| 【発明の名称】 |
建造物の延焼防止方法および延焼防止用防火布 |
| 【発明者】 |
【氏名】井野 雅史 【住所又は居所】大阪府大阪市中央区伏見町四丁目1番1号 三菱化学産資株式会社大阪支店内
【氏名】荘司 守 【住所又は居所】新潟県上越市福田1番地 三菱化学産資株式会社直江津工場内
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| 【要約】 |
【課題】簡単に建造物を被覆でき、周辺からの飛び火や輻射による延焼を確実に防止できる建造物の延焼防止方法および延焼防止用防火布を提供する。
【解決手段】建造物の延焼防止方法は、積層状態の延焼防止用防火布(1)を展開するにあたり、建造物表面を引摺ることなく且つ建造物(9)を跨いで(9)建造物の一側面側から他側面側に亘って展開し、延焼防止用防火布(1)によって建造物(9)の表面を覆う。また、延焼防止用防火布(1)は、一定の耐熱性を有する繊維集合体で構成されており、そして、積層状態になされ且つ拘束部材(2)によって外周部を拘束されている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 延焼防止用防火布を使用して建造物の延焼を防止する建造物の延焼防止方法であって、積層状態の延焼防止用防火布を展開するにあたり、建造物表面を引摺ることなく且つ建造物を跨いで建造物の一側面側から他側面側に亘って展開することにより、延焼防止用防火布によって建造物表面を覆うことを特徴とする建造物の延焼防止方法。 【請求項2】 延焼防止用防火布として、ISO 5660の規格に準拠した50kW/m2の加熱条件下において20分以上の耐熱性を有する繊維集合体で構成され、かつ、非圧縮状態における密度が80〜200kg/m3、厚みが10〜30mmの防火布を使用する請求項1に記載の延焼防止方法。 【請求項3】 繊維集合体が、ロックウール、グラスウール、非晶質アルミナシリカ系繊維および結晶質アルミナシリカ系繊維の群から選ばれた繊維から成る請求項2に記載の延焼防止方法。 【請求項4】 延焼防止用防火布が紡織布または不織布である請求項1〜3の何れかに記載の延焼防止方法。 【請求項5】 展開前の積層状態の延焼防止用防火布が、巻回または折り畳まれた防火布である請求項1〜4の何れかに記載の延焼防止方法。 【請求項6】 延焼を防止するために建造物を覆う延焼防止用防火布であって、ISO 5660の規格に準拠した50kW/m2の加熱条件下において20分以上の耐熱性を有する繊維集合体で構成され、かつ、非圧縮状態における密度が80〜200kg/m3、厚みが10〜30mmであり、しかも、積層状態になされ且つ拘束部材によって外周部を拘束され、そして、展開するための展開用部材を端部に装着可能になされていることを特徴とする延焼防止用防火布。 【請求項7】 繊維集合体が、ロックウール、グラスウール、非晶質アルミナシリカ系繊維および結晶質アルミナシリカ系繊維の群から選ばれた繊維から成る請求項6に記載の延焼防止用防火布。 【請求項8】 紡織布または不織布である請求項6又は7に記載の延焼防止用防火布。 【請求項9】 巻回または折り畳まれて積層状態になされている請求項6〜8の何れかに記載の延焼防止用防火布。 【請求項10】 拘束部材が結束バンド又は結束フィルムである請求項6〜9の何れかに記載の延焼防止用防火布。 【請求項11】 拘束部材が金属製または樹脂製の結束バンドである請求項6〜9の何れかに記載の延焼防止用防火布。 【請求項12】 拘束部材が、ストレッチフィルムから成る結束フィルムである請求項6〜9の何れかに記載の延焼防止用防火布。 【請求項13】 拘束部材が、破断用の切取り線を備えた結束フィルムである請求項6〜9の何れか又は12に記載の延焼防止用防火布。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、建造物の延焼防止方法および延焼防止用防火布に関するものであり、詳しくは、屋根、外装などの外被部分に防火規制が適用されない木造住宅、木製橋梁あるいは文化財建築などの建造物の延焼を有効に防止し得る建造物の延焼防止方法、および、当該延焼防止方法において好適に使用される延焼防止用防火布に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、山火事や草原火災による木造住宅や文化財の延焼を防止するには、放水を伴う消火活動以外は、通常、周辺に設置したスプリンクラーによる散水、上空からの消火剤散布などの手段が採用されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の様な建造物の延焼を防止するにあたり、スプリンクラーによる散水は、最初の設備コストが大きく、また、設置場所も限定されるうえ、維持点検に手間と時間を要する。一方、消火剤の散布は、ヘリコプターや航空機を必要とするため、高価で且つ危険を伴ううえ、局所的な散布となるため、飛び火に対処するには大量の薬剤を必要とする。しかも、消火剤の散布は、土壌に残留した後に降雨で流出するため、人体はもとより植生や生態系などの周辺環境を汚染するという問題もある。また、工場施設などで見られる様に、建造物の周囲を仮設防火壁で取り囲む延焼防止方法もあるが、斯かる方法によっては、上空から飛来する飛び火までも十分に防ぐことは出来ない。 【0004】本発明は、上記の実情に鑑み、耐火性材料によって建造物を被覆する方法を種々検討の結果なされたものであり、その目的は、簡単に建造物を被覆でき且つ周辺からの飛び火や輻射による建造物の延焼を確実に防止でき、しかも、鎮火後には容易に撤去できて周辺環境を汚染することのない建造物の延焼防止方法および延焼防止用防火布を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の耐熱性能を備えた材料から成る延焼防止用防火布によって建造物全体を略隙間なく被覆することにより、確実に延焼を防止し得るが、建造物を被覆する際、通常のシート掛けの様な被覆操作では建造物との接触により延焼防止用防火布が損傷するとの知見を得た。斯かる知見に基づき、本発明者等は更に検討した結果、出来る限り非接触で建造物を跨いで延焼防止用防火布を展開し、自重による落下を利用して被覆するならば、延焼防止用防火布に損傷を与えることなく、建造物の略全体を効果的に被覆できることを見出し、本発明を完成した。 【0006】すなわち、本発明の第1の要旨は、延焼防止用防火布を使用して建造物の延焼を防止する建造物の延焼防止方法であって、積層状態の延焼防止用防火布を展開するにあたり、建造物表面を引摺ることなく且つ建造物を跨いで建造物の一側面側から他側面側に亘って展開することにより、延焼防止用防火布によって建造物表面を覆うことを特徴とする建造物の延焼防止方法に存する。 【0007】また、本発明の第2の要旨は、延焼を防止するために建造物を覆う延焼防止用防火布であって、ISO 5660の規格に準拠した50kW/m2の加熱条件下において20分以上の耐熱性を有する繊維集合体で構成され、かつ、非圧縮状態における密度が80〜200kg/m3、厚みが10〜30mmであり、しかも、積層状態になされ且つ拘束部材によって外周部を拘束され、そして、展開するための展開用部材を端部に装着可能になされていることを特徴とする延焼防止用防火布に存する。 【0008】 【発明の実施の形態】本発明に係る建造物の延焼防止方法および延焼防止用防火布の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る建造物の延焼防止方法における延焼防止用防火布の展開操作を示す説明図である。図2は、展開前の積層状態の延焼防止用防火布の一形態を示す斜視図であり、図3は、延焼防止用防火布の展開方法の一例を示す斜視図である。以下、実施形態の説明においては、建造物の延焼防止方法を「延焼防止方法」と略記し、延焼防止用防火布を「防火布」と略記する。 【0009】本発明の延焼防止方法は、耐火性能の低い木造住宅、木製橋梁あるいは文化財建築などの建造物において、周辺の火災による延焼を防止するために適用される。本発明の延焼防止方法を説明するにあたり、先ず、斯かる延焼防止方法に使用される本発明の防火布について説明する。なお、図中において、建造物は符号(9)で示し、防火布は符号(1)で示す。 【0010】本発明の防火布(1)は、延焼を防止するために建造物(9)を覆う防火布であり、斯かる防火布(1)は、一定の耐熱性を有する繊維集合体、すなわち、ISO 5660の規格に準拠した50kW/m2の加熱条件下において20分以上の耐熱性を有する繊維集合体で構成される。 【0011】具体的には、繊維集合体の構成繊維としては、JIS A−9504及びA−9505に示されるロックウール、グラスウール、非晶質アルミナシリカ系繊維および結晶質アルミナシリカ系繊維の群から選ばれた耐熱繊維が挙げられる。中でも、非晶質アルミナシリカ系繊維、結晶質アルミナシリカ系繊維は、耐熱温度が高く且つ軽量であるために好ましい繊維である。特に、結晶質アルミナ繊維は、高温で強度劣化も少なく最も有効な繊維である。上記の耐熱繊維は、単独で使用されてもよいし、また、複数を組合せて使用されてもよい。 【0012】上記の繊維集合体は、シート状に形成されるが、紡織布、不織布の何れの形態に構成されていてもよい。紡織布は、素材の耐熱繊維に有機繊維などの補強材を加えてカード機などで混紡フリースにし、次いで、撚り機でヤーンにした後、紡織機で紡織したものが一般的である。また、不織布は、耐熱繊維をバインダーで成形したものやニードルパンチしたものが一般的である。本発明において、繊維集合体としては、何れの形態のものも採用できるが、火炎や輻射を遮蔽する観点からは、高温に晒された場合に繊維集合体自体における着火、発煙あるいは大きな強度低下を生じないものが好ましく、極力補強材を含まないニードルパンチで成型した不織布が好ましい。 【0013】防火布(1)を構成する繊維集合体は、通常、繊維径が1〜20μm、長さ数mmから数百mm程度の短繊維で構成される。輻射熱の遮蔽効果、取扱い性および強度の観点から、シート状の繊維集合体の密度(かさ密度)、すなわち、防火布(1)の非圧縮状態における密度(かさ密度)は80〜200kg/m3、厚みは10〜30mmに設定される。繊維集合体の真密度は、耐熱繊維の種類にもよるが、通常、2.5〜3.5g/cm3であり、そして、上記の様に繊維集合体の密度が200kg/m3(0.2g/cm3)以下であるから、本発明の防火布(1)は、90%を越える高い気孔率を有していて極めて軽く、しかも、上記の様な耐熱繊維の特性により少ない厚みで耐熱性に優れている。 【0014】防火布(1)の厚さは、上記の密度によっても異なるが、展開した際の強度、延焼防止効果および取扱い性を考慮して決定される。すなわち、防火布(1)の厚みが10mm未満の場合は、取り扱い性はよいが熱輻射を抑える効果がなく、また、防火布(1)の厚みが30mmを越えた場合は、取り扱い性が悪くなる。シート状の繊維集合体の厚さ、すなわち、防火布(1)の厚さは、好ましくは15〜25mmとされる。 【0015】防火布(1)を製作するにあたり、不織布を使用する場合は、10〜30mmの厚さの通常流通されているシートをそのまま使用してもよいし、複数枚重ね合わせてもよい。また、紡織布は、一般的にヤーンを平織りあるいは綾織りなどして製造され、1〜3mmの薄い厚さシートとして多く流通しているため、この様な紡織布を使用する場合は、通常、多数枚を重ね合わせる。 【0016】1枚の防火布(1)の幅は、取扱い性および製造上の観点から、通常、数百mm以上で且つ2000mm以下、好ましくは600mm以上で且つ1200mm以下とされる。また、防火布(1)の長さは、所望の長さに設計できるが、途中で繋ぎ合わせることなく使用できる様に、建造物(9)の大きさに従った長さに設定されるのが好ましい。通常は数10m〜100m以下、好ましくは20〜50mである。防火布(1)は、耐熱性の糸を使用して縫い合わせることにより、幅方向に複数枚を連結して構成されていてもよい。 【0017】また、防火布(1)は、高い破断強度を備えているのが好ましい。本発明の防火布(1)は、破断強度を比強度で示した場合、50m以上、好ましくは100m以上の比強度を備えているのが好ましい。上記の比強度とは、破断強度の相違により何mの自己繊維を吊り下げられるかを示す一般的な繊維強度の指標であり、繊維の他にシートにも適用できる。例えば、比強度が50mの繊維(又はシート)は、自己繊維またはシート自体を連続状態で50mの高さまで引き上げることができる。 【0018】防火布においては、破断強度が低いと、ハンドリング時に破れたり、展開した際または使用時に破断する可能性が高くなる。従って、展開、吊り下げた状態において、自重で切れることのない強度、更には、散水などにより100%近く含水した状態でも重量で切れることのない強度が要求される。本発明の防火布(1)においては、総合的な破断強度を高めるため、片面あるいは両面を金属ネット等の補強材で補強されていてもよい。 【0019】破断強度の上限としては、特に制限はないが、一般的には、強度を高くすると気孔率が低くなり、重量が増加して比強度が低下するので注意を要する。また、気孔率を高めることは、断熱効果を高めるための重要な要素ではあるが、その反面、気孔率を高めた場合には、吸湿し易くなる。従って、防火布(1)は、使用前は吸湿、吸水しない様に、屋内で保管されるか或いは防湿フィルムで覆われているのが望ましい。 【0020】本発明の防火布(1)は、平常時は嵩張ることなく容易に運搬、保管でき、非常時には簡単に展開可能な形態が望ましい。そこで、本発明の防火布(1)は、使用前においては積層状態になされ、そして、拘束部材(2)によって外周部を拘束されている。 【0021】積層状態としては、図2に示す様な巻回された状態、あるいは、折り畳まれた状態(図示省略)が挙げられる。本発明の防火布(1)は、積層状態とすることにより、容易に運搬可能な大きさと重量に収めることが出来る。具体的には、本発明の防火布(1)は、例えば、繊維集合体のかさ密度を100kg/m3とされ、かつ、厚さを20mm、幅を600mm、長さを30mに設定され、そして、巻回状態に積層した場合、直径は1000mm程度であり、重量は36kg程度である。 【0022】拘束部材(2)は、保管場所の省スペース化を図り、輸送・移動を容易にするために装着される。拘束部材(2)としては、その形状に特に制限はないが、例えば、結束バンド(21)、結束フィルム(22)等の梱包材料が使用できる。結束バンド(21)としては、金属製または樹脂製の結束バンド、あるいは、金属材料と樹脂材料を組合せて成る結束バンドが挙げられるが、非常時に切断し難いものは避ける必要がある。結束バンド(21)の材質、幅、厚みなどは、例えば巻回物の長さや直径に応じて適宜決定される。更に、結束バンド(21)は、伸縮性のあるバンドでもよい。 【0023】また、結束フィルム(22)としては、各種の樹脂フィルムを使用できるが、巻回物の外周全体を覆うフィルムを使用するのが好ましく、また、輸送や移動時の緩みを防止する観点からは、ストレッチフィルムを使用するのが好ましい。上記のストレッチフィルムとしては、牧草の発酵に使用されるストレッチフィルムが耐候性に優れているので好適である。更に、結束フィルム(22)は、防火布(1)を展開する際の操作性を高めるため、すなわち、傷つけることなく防火布(1)を迅速に展開するため、破断用の切取り線を備えていてもよい。 【0024】上記の拘束部材(2)は、積層状態の防火布(1)の形状を保持し、吸湿、吸水を防止する機能を発揮する。防火布(1)は、特に吸湿によって重量が増加した場合には運搬に支障を来すばかりか、展開時に破断の恐れが生ずるため、上記の拘束部材(2)としては、結束バンド(21)と結束フィルム(22)とを併用するのが望ましい。その場合、防火布(1)の積層作業において形崩れを防止するため、予め結束バンド(21)で結束し、その上をフィルムで被覆するのがよい。また、防火布(1)は、平常時に一層コンパクトな形状とするため、拘束部材(2)によって圧縮梱包されているのが好ましい。 【0025】また、本発明の防火布(1)は、後述する様に迅速に展開するため、端部(最も外側の端縁部)には、後述する牽引用ロープ(3)等の展開用部材を装着可能になされている必要がある。展開用部材を装着可能な構造としては、例えば図3に示す様に、1枚の防火布(1)を長手方向の中央で2つに折り畳み、開放端側から巻回して最外周に折畳み部分を位置させることにより、丸棒などの支持材(4)の挿通部として折畳み部分を利用する構造が挙げられる。斯かる構造を利用した場合には、折畳み部分の挿通した支持材(4)の両端に例えば牽引用ロープ(3)を簡単に引掛けることが出来る。 【0026】本発明の防火布(1)は、軽量で取扱い性に優れているため、簡単に建造物(9)を被覆することが出来、そして、優れた耐熱性により、周辺からの飛び火や輻射による建造物(9)の延焼を確実に防止することが出来る。しかも、本発明の防火布(1)は、鎮火後には容易に撤去でき、周辺環境を汚染することもない。 【0027】次に、上記の防火布(1)の使用方法として、予め巻回状態になされた防火布(1)を使用する場合を例に挙げて本発明の延焼防止方法について説明する。本発明の延焼防止方法は、上記の様な防火布(1)を使用して建造物(9)の延焼を防止する方法であり、図1に示す様に、積層状態の防火布(1)を展開するにあたり、建造物(9)の表面を引摺ることなく且つ建造物(9)を跨いで建造物(9)の一側面側から他側面側に亘って展開することにより、防火布(1)によって建造物(9)の表面を覆うことを特徴とする。 【0028】防火布(1)を展開するにあたり、図1に示す様に、先ず、防火布(1)を建造物(9)の一方の側面側に設置する。防火布(1)の設置においては、巻回状態の防火布(1)を円滑に繰り出せる様に、図2に示す様に、フリーローラー等の回動自在な軸が設けられた架台(5)を配置し、前記の軸に防火布(1)を装着するのがよい。 【0029】防火布(1)を設置した後は、図2に示す結束バンド(21)等の拘束部材(2)を除去する。次いで、図3に示す様に、最外周に位置する折畳み部分に丸棒などの支持材(4)を挿通した後、支持材(4)の両端に展開用部材としての牽引用ロープ(3)の先端を引掛ける。その場合、牽引用ロープ(3)は、例えば、先端がY字状に二股に分岐したものを使用する。そして、図1に示す様に、屋根を越えて建造物(9)の他方の側面側に位置させた牽引用ロープ(3)の基端を牽引することにより、巻回状態の防火布(1)を巻回時とは逆に回転させて漸次引き出す。防火布(1)の引出し操作は、人力で行ってもよいし、図示した様にハイライザー等の高所作業車(8)を使用してもよい。 【0030】上記の引出し操作により防火布(1)を漸次引き上げ、そして、屋根の上部を跨ぐ様に展開する。その際、防火布(1)の破損を防止するため、実質的に建造物表面を引摺ることなく展開することが重要である。すなわち、接触状態で展開すると防火布(1)が破断したり、途中で引掛るために展開が出来ない可能性があるため、出来る限り建造物(9)に非接触状態で展開するのが望ましい。 【0031】具体的には、防火布(1)の展開に先立ち、建造物(9)の突出部分、例えば軒下の破風や屋根の棟などの頂部に対し、案内用のコロ(6)が装着された補助ロープを建造物(9)の幅方向(棟方向)に亘って張設しておく。そして、防火布(1)を展開する際、コロ(6)の上を這わせることにより、建造物表面を引摺ることなく防火布(1)を展開する。なお、建造物(9)の突出部分には、アームの先端にローラーが付設された移設可能な緩衝装置を配置してもよい。 【0032】上記の展開操作においては、巻回状態の防火布(1)の巻回中心に位置する下側の開放端を固定し、支持材が挿通された折畳み部分を屋根の最上部よりも更に上方まで引き上げることにより、固定されていない側の防火布(1)の開放端を建物の他方の側面側に落下させることが出来る。その結果、建造物(9)の一側面側から他側面側に亘って防火布(1)を展開することが出来、防火布(1)によって建造物(9)の略全体を覆うことが出来る。 【0033】なお、幅方向に繋ぎあわせていない狭い幅の防火布(1)を使用する場合は、防火布(1)は建造物(9)の大きさに従って多数枚使用しなければならない。その場合、建造物(9)を略完全に覆うため、互いに隣接する防火布(1)は、隙間がない様に幅方向の1〜2割に相当する部位を重畳させて展開すればよい。 【0034】本発明の延焼防止方法によれば、上記の様に、建造物表面を引摺ることなく且つ建造物(9)を跨ぐ状態で防火布(1)を展開するため、防火布(1)に損傷を与えることなく、建造物(9)の略全体を効果的に被覆できる。そして、耐熱性に優れた且つ軽量で取扱い性に優れた上記の防火布(1)を使用するため、人力や簡易な巻き上げ装置により短時間で簡単に建造物を被覆でき、飛び火や輻射による建造物の延焼を確実に防止することが出来、しかも、鎮火後には容易に撤去でき、周辺環境を汚染することがない。 【0035】 【実施例】本発明の延焼防止方法における防火布の強度を確認するため、次の通り防火布の展開試験を実施した。 【0036】防火布の製作:防火布(1)を構成するにあたり、アルミナ繊維ブランケット(三菱化学産資(株)製:商品名マフテックブランケット)の連続シートを繊維集合体として使用した。その厚みは12.5mm、幅は620mm、長さは40m、嵩密度は130kg/m3であった。繊維集合体1枚当たりの耐破断荷重、すなわち、幅620mm当たりの耐破断荷重は200kgであり、100%含水状態においても長さ24m相当までは破断しない強度を有していた。換言すれば、繊維集合体の比強度は198mであり、100%含水状態での比強度は24mであった。 【0037】次に、上記の繊維集合体を長手方向の中央部で2つに折り畳み、合計の厚みが約25mで長さが20mのシートとした後、折畳み部分と反対側の開放端部から2枚揃えた状態で紙管に巻回した。紙管の外径は80mmφ、厚みは1.5mm、長さは600mmであった。そして、紙管に巻回した結果、直径が850mmφ、重量が40.3kgの巻回物を得た。次いで、斯かる巻回物に対し、幅15mmの一般梱包用のポリプロピレン製の結束バンド(21)を使用し、幅方向の2箇所を結束した後、更に、耐候性を持たせるため、結束フィルム(22)によって外周を被覆し、巻回状態の防火布(1)を得た(図2参照)。巻回物の被覆においては、結束フィルム(22)として、ストレッチフィルム(三菱化学産資(株)製:商品名ユカラップBS)を使用し、斯かるストレッチフィルムを1.5〜1.8倍に引き伸ばして5層程度巻き付けた。 【0038】展開試験:内部のブランケット(繊維集合体)が傷つかない様に、防火布(1)表面のストレッチフィルムをカッターナイフで切除して巻回物を取り出した。次いで、直径60mmφ、長さ1000mmの軟鋼製のフリーローラーを巻回物中心の紙管に通した後、フリーローラーを両端で支えて地上に固定した。フリーローラーを支持するにあたっては、一般的工業材料である50mm(一辺の幅)×3mm(板厚)の鉄製山形鋼にて製作した架台(5)を使用した。 【0039】続いて、巻回物表面の結束バンド(21)を切除し、最外周側の折畳み部分に対して長さが800mm、直径が12mmφの鉄丸棒(支持材(4))を通した後、鉄丸棒の両端に1本のロープを架け渡す様に結びつけた。次いで、斯かるロープの中央に対し、長さが40mの牽引様ロープ(3)を更に取り付けた後、牽引様ロープ(3)の基端を高所作業車(8)で吊り上げることにより、防火布(1)を巻回状態から展開した(図1及び図3参照)。展開操作においては、20mの高さまで問題なく吊り上げることが出来た。そして、散水を実施して防火布(1)に含水させたところ、防火布(1)は自重で切れることなく展開状態を良好に維持できた。 【0040】 【発明の効果】以上説明した様に、本発明の建造物の延焼防止方法によれば、建造物表面を引摺ることなく且つ建造物を跨ぐ状態で延焼防止用防火布を展開するため、延焼防止用防火布に損傷を与えることなく、建造物の略全体を効果的に被覆でき、飛び火や輻射による建造物の延焼を確実に防止することが出来、そして、周辺環境を汚染することなく、鎮火後は容易に延焼防止用防火布を撤去できる。 【0041】また、本発明の延焼防止用防火布によれば、軽量で取扱い性に優れているため、簡単に建造物を被覆することが出来、そして、優れた耐熱性により、周辺からの飛び火や輻射による建造物の延焼を確実に防止することが出来、しかも、周辺環境を汚染することなく、鎮火後は容易に撤去できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000236159 【氏名又は名称】三菱化学産資株式会社 【住所又は居所】東京都千代田区丸の内一丁目8番2号
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| 【出願日】 |
平成13年12月27日(2001.12.27) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100097928 【弁理士】 【氏名又は名称】岡田 数彦
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| 【公開番号】 |
特開2003−190310(P2003−190310A) |
| 【公開日】 |
平成15年7月8日(2003.7.8) |
| 【出願番号】 |
特願2001−395586(P2001−395586) |
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