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【発明の名称】 開放弁
【発明者】 【氏名】平井 弘毅
【住所又は居所】東京都千代田区九段南4丁目7番3号 能美防災株式会社内

【要約】 【課題】開放弁の開放速度と、閉止速度とを水撃作用を起こさないように個別に調整することができるようにする。

【解決手段】シリンダ室12を加圧することにより、弁体9を開放させる加圧開放型の開放弁1Cにおいて、シリンダ室に配管14を接続し、その配管に配管内を流れる水の流量を調整する流量調整装置30を設けた。流量調整装置は、シリンダ室へ流入する方向の流量とシリンダ室から流出する方向の流量とが異なるように調整される。シリンダ室へ流入する方向の流量は、シリンダ室から流出する方向の流量に比べ、少なくなるように調整され、弁体の閉止速度を低下させずに、開放速度のみを低下させてある。流量調整装置は、逆止弁構造の弁部材31と、流量を規制するオリフィス部材33とから構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 本体内を一次側および二次側に区画して、それらを連通する開口を弁体で封じ、該弁体をシリンダ室内のピストンに結合し、該シリンダ室を加圧又は減圧することにより、弁体を開閉させる開放弁において、前記シリンダ室に配管を接続し、該配管に配管内を流れる水の流量を調整する流量調整装置を設け、該流量調整装置は、前記シリンダ室へ流入する方向の流量と前記シリンダ室から流出する方向の流量とが異なるように調整されることを特徴とする開放弁。
【請求項2】 前記開放弁は、前記シリンダ室へ水が流入すると、前記弁体が開放する加圧開放型の開放弁であり、前記シリンダ室へ流入する方向の流量は、前記シリンダ室から流出する方向の流量に比べ、少なくなるように調整されることを特徴とする請求項1記載の開放弁。
【請求項3】 前記流量調整装置は、逆止弁構造の弁部材と、流量を規制するオリフィス部材とからなることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の開放弁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、開放弁に関するもので、特に消火設備に使用される開放弁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】特開2001−124234号などに、消火設備で使用される開放弁としての自動弁が開示されている。従来の開放弁について図4を用いて説明する。
【0003】開放弁1は、隔壁7によって、その本体2内部が一次側3および二次側4に区画して分割されている。一次側3には図示しない加圧給水装置からの一次側配管5が接続されるとともに、二次側4には図示しない開放型の散水ヘッドへつながる二次側配管6が接続されている。
【0004】本体2の一次側3には加圧された圧力水が充填され、また、二次側4は大気開放された状態となっている。一次側3および二次側4に区画する隔壁7には、それらを連通する開口が設けられ、その開口の周囲には弁座8が形成されている。この弁座8には、開口を封じる弁体9が設けられ、弁体9は図4の見た目で左右方向に摺動することで、開放状態または閉止状態となる。
【0005】弁体9は、ロッド10の一端に結合されていて、さらにロッド10の他端にはピストン11が結合されることにより、弁体9はピストン11に連動する。このピストン11は、シリンダ室12内に設けられている。シリンダ室12において、ピストン11の弁体9側には加圧室13が構成されている。
【0006】加圧室13には、接続配管14が接続されており、この接続配管14は、加圧配管15を介して本体2の一次側3に接続されている。加圧配管15には遠隔又は手動によって開閉される起動弁16が備えられる。また、接続配管14には、接続配管14内を流れる水の流量を可変に調整するためのニードル弁19pが設けられる。加圧配管15と接続配管14との経路から分岐して排水配管17が設けられ、流量を絞るためのオリフィス18が備えられている。
【0007】このような開放弁1は、起動弁16を開閉して、加圧室13を加圧することにより弁体9の開閉動作が行われる。この開放弁1の動きについて簡単に説明する。常時は起動弁16は閉止状態となっており、加圧室13は無加圧状態であり、弁体9は弁座8に着座している。
【0008】起動弁16を手動または遠隔的に開放すると、一次側3の圧力水が加圧配管15および接続配管14を通じてシリンダ12室内の加圧室13に導入され、その圧力水によってピストン11が押し上げられ(図では左方向で移動)、連動する弁体9が開放動作を行う。その結果、本体2の一次側3まで導入されていた圧力水が弁体9の開放によって二次側4に流入して二次側配管6に圧力水が供給される。
【0009】そして、起動弁16を開放状態から閉止状態にすると、加圧室13への圧力水の供給が遮断される。このため、加圧室13から接続配管14および排水配管17を通じて圧力が排出され、それによってピストン11が下がり(図では右方向へ移動)、連動する弁体9が閉止動作を行う。こうして、弁体9が弁座8に着座することで一次側3と二次側4とが遮られ、圧力水は一次側3に封じられることになる。
【0010】この開放弁1の動作において、接続配管14にニードル弁19pを設けないと、加圧室13に流れる水量が制限されず、水撃現象が生じる。そこでニードル弁19pを設けない場合の動作について簡単に説明する。
【0011】起動弁16を開いて加圧室13に消火水を供給すると、弁体9が急激に弁座8から離れて一気に全開にまで至ってしまう。このため一次側配管5内の高圧消火水が、充水されていない二次側配管6内に高速で圧送されることになる。この消火水は管路を経て、散水ヘッドのノズル口でその流れが急激に絞られると、流速が急に落とされ、極めて大きな衝撃がノズルや配管設備にかかる。このように、ニードル弁19pを設けずに、弁体9の開閉が急速に行われると、一次側3の加圧水が一気に流れたり、また止まったりすることで、配管系統に水撃作用が生じてしまう。
【0012】そのため、この従来の開放弁1では、ニードル弁19pによって加圧室13への圧力水の導入または排出を制限している。この時、単に流量を絞れば良いというのものではない。つまり、開放弁1は消火のための散水システムなどに使用されるが、その際に、開放弁1を開放しても消火水(圧力水)が放出されるのに時間がかかるというのでは、システムの機能が発揮し得なくなる。従って、開放弁1は用いられるシステムにおいて、機能を発揮できる範囲で極力水撃作用を起こさないように、ニードル弁19pによって流量が調整されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】流量調整用のニードル弁19pは、加圧室13へ接続される接続配管14の流量を制限している。このため、加圧室13に圧力水を導入するとき、および排出するときの双方同一に制限することになる。つまり弁体の開放速度を低下させると、同時に閉止速度も低下してしまうことになる。このことは調圧までの時間や、閉止時間が長くなりあまり望ましくない。そこで本発明は、開放弁の開放動作および閉鎖動作の調整をそれぞれ個別に最適に設定できる開放弁を得ることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、本体内を一次側および二次側に区画して、それらを連通する開口を弁体で封じ、該弁体をシリンダ室内のピストンに結合し、該シリンダ室を加圧又は減圧することにより、弁体を開閉させる開放弁において、前記シリンダ室に配管を接続し、該配管に配管内を流れる水の流量を調整する流量調整装置を設け、該流量調整装置は、前記シリンダ室へ流入する方向の流量と前記シリンダ室から流出する方向の流量とが異なるように調整されることを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の開放弁の概略構成を示したものである。なお、図1において、従来技術(図4)と同じ部分には同じ符号をつけて説明を省略する。
【0016】図1において、開放弁1Cはシリンダ室12の加圧室13を加圧することで、開放する加圧開放型の弁である。即ち、従来技術と同じように、この開放弁1Cは、シリンダ室12の加圧室13へ加圧水が流入して加圧室13内が加圧されると、弁体9が開放する。
【0017】本実施形態と従来技術との違いは、ニードル弁19pの代わりに流量調整装置30を、加圧室13に接続された接続配管14に設けた点である。そこで、接続配管14内を流れる水の流量を調整する流量調整装置30について図2を用いて説明する。
【0018】図2は、本実施形態の流量調整装置30の一例を示した概略断面図である。なお図2において、図2(A)は開放時、つまり一次側3からシリンダ室12側へ水が流れる場合を示している。また図2(B)は閉止時、つまりシリンダ室12から排水配管17側へ水が流れる場合を示している。
【0019】流量調整装置30は、ある一方向にのみ開放する逆止弁構造の弁部材31と、流量を規制するオリフィス部材33とから構成されている。
【0020】流量調整装置30内には、直径Aの開口部34を有する弁座35が設けられている。この弁座35の開口部34は、常時は弁部材31によって閉じられている。弁部材31は一端が軸止されており、シリンダ室12側から水が流出するとき、回動して開放するようになっている。
【0021】この弁部材31の中央には、開口部34と対向して連通するオリフィス部材33が形成されている。このオリフィス部材33のオリフィス径Bは、開口部34の径Aよりも小さく形成されている。
【0022】このような構成により、流量調整装置30は、シリンダ室12へ流入する方向の流量とシリンダ室12から流出する方向の流量とが異なるように調整されている。 特に、シリンダ室12へ流入する方向の流量が、シリンダ室12から流出する方向の流量に比べ、少なくなるように調整されている。
【0023】次にこの流量調整装置30の動作について説明する。火災が発生し、遠隔又は手動により起動弁16が開放されると、一次側3の水が流量調整装置30に供給される。この時、弁部材31は、逆止弁構造のため、開放されない(図2(A)参照)。このため供給された水は、オリフィス部材33によって制限されて、開口部34を通って、シリンダ室12の加圧室13に流入することになる。従って、加圧室13への流量は微少であり、弁体9開放時の水撃の発生を抑えることができる。
【0024】つづいて火災の消火が完了して起動弁16が閉止された場合について説明する。この場合には、加圧室13内の水が流量調整装置30に供給されて、排水配管17から排水されることになる。この時には、弁部材31が軸を中心に回動して開放する(図2(B)参照)。このため加圧室13からの水は、開口部34の大きさに基づいて、開放時に比べ多めに流れる。従って、ある程度流量を抑えて、水撃の発生を防止しながら、弁体9の閉止時間が長くなることを防ぐことができる。
【0025】このように、流量調整装置30により、シリンダ12室へ流入する方向の流量とシリンダ室12から流出する方向の流量とが異なるように調整したので、開放弁の開放速度(時間)と、閉止速度(時間)とを水撃作用を起こさないように個別に調整することが可能となる。
【0026】また加圧開放型の開放弁1Cにおいて、シリンダ室12へ流入する方向の流量を、シリンダ室12から流出する方向の流量に比べ、少なくなるように調整したので、弁体9の閉止速度を低下させずに、開放速度のみを低下させることが可能となる。
【0027】次に流量調整装置の他の実施形態を図3を用いて説明する。図3は、本実施形態の流量調整装置40の一例を示した概略断面図である。なお図3において、図3(A)は開放時、つまり一次側3からシリンダ室12側へ水が流れる場合を示している。また図3(B)は閉止時、つまりシリンダ室12から排水配管17側へ水が流れる場合を示している。
【0028】流量調整装置40は、ある一方向にのみ開放する逆止弁構造の弁部材41と、流量を規制するオリフィス部材43とを備えている。
【0029】流量調整装置40内には、中心に直径Cの開口部44を有するようにテーパ状にすぼめられた弁座体45が設けられている。この弁座体45の開口部44は、直径Cより大きいボール状の弁部材41によって閉じられる。弁部材41は、シリンダ室12側から水が流出するときは、弁座体45から離れて、弁座体45の反対側に設けた金網46で止められるようになっている。
【0030】弁座体45の一部には、オリフィス部材43が形成されている。このオリフィス部材43のオリフィス径Dは、開口部44の径Cよりも小さく形成されている。
【0031】このような構成により、流量調整装置40は、シリンダ室12へ流入する方向の流量とシリンダ室12から流出する方向の流量とが異なるように調整されている。 特に、シリンダ室12へ流入する方向の流量が、シリンダ室12から流出する方向の流量に比べ、少なくなるように調整されている。
【0032】つまり起動弁16を開放させ、弁体9を開放させる時には、図3(A)に示すように、弁部材41によって弁座体45の開口部44がふさがれ、オリフィス部材43のみから水が流れ、流量は微少に制限される。これに対し、起動弁16を閉止し、弁体9が閉じる時には、図3(B)に示すように、弁部材41は、水流によって弁座体45の開口部44から離され、金網46にあたる。よって、水は開口部44の大きさに基づいて流れるので、開放時に比べ多量に流れることになる。
【0033】この図3で示される流量調整装置40においても、図2の流量調整装置30と同様に、開放弁の開放速度(時間)と、閉止速度(時間)とを水撃作用を起こさないように個別に調整することができるという作用効果を得ることができ、弁体の閉止速度を低下させずに、開放速度のみを低下させることが可能である。
【0034】なお本実施の形態においては、開放弁1を加圧室13に水を導入して弁体9を開放させる加圧開放型の弁として説明したが、減圧開放型の弁とすることもできる。この場合には、シリンダ室13内のピストン11の加圧室13とは逆側の位置に加圧室を設ける。そしてその加圧室に一次側3から常時開放された起動弁16を介して接続配管14を接続し、常時、ピストン11に加圧水の圧力がかかるようにして、弁体9を閉じておく。なおこの加圧配管15には、オリフィス18を備えた排水配管17が接続され、また接続配管14に流量調整装置30が設けられる。
【0035】こうして火災時に、起動弁16を閉止させると、排水配管17から加圧室の水が抜けて、ピストン11への加圧をなくすことで、ピストン11と共に弁体9が開放するようになる。そして起動弁16を開放させれば、流量調整装置30で流量を調整されながら、加圧室に水が入り、弁体9は閉じる。
【0036】
【発明の効果】本発明は以上にように構成され、流量調整装置により、シリンダ室へ流入する方向の流量とシリンダ室から流出する方向の流量とが異なるように調整した。このため、開放弁の開放速度(時間)と、閉止速度(時間)とを水撃作用を起こさないように個別に調整することができる。
【0037】また加圧開放型の開放弁において、シリンダ室へ流入する方向の流量を、シリンダ室から流出する方向の流量に比べ、少なくなるように調整した。このため、弁体の閉止速度を低下させずに、開放速度のみを低下させることができる。
【0038】また流量調整装置は、逆止弁構造の弁部材と、流量を規制するオリフィス部材とからなる。このため、構造が非常に簡単である。
【出願人】 【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区九段南4丁目7番3号
【出願日】 平成13年11月26日(2001.11.26)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−159347(P2003−159347A)
【公開日】 平成15年6月3日(2003.6.3)
【出願番号】 特願2001−359767(P2001−359767)