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【発明の名称】 防火排煙システム
【発明者】 【氏名】佐藤 博臣
【住所又は居所】東京都港区元赤坂一丁目2番7号 鹿島建設株式会社内

【氏名】栗岡 均
【住所又は居所】東京都港区元赤坂一丁目2番7号 鹿島建設株式会社内

【氏名】辻 利秀
【住所又は居所】東京都品川区上大崎二丁目10番43号 ホーチキ株式会社内

【氏名】林 龍也
【住所又は居所】東京都品川区上大崎二丁目10番43号 ホーチキ株式会社内

【要約】 【課題】水幕式の防火システムと排煙システムとを適切に組合せ、防火および排煙効率を総合的に向上等させることができる、防火排煙システムを提供することを課題とする。

【解決手段】本発明にかかる防火排煙システムは、対象領域1に配置した放水ヘッド11を介して放水を行うことにより、当該対象領域1の内部に水幕Wを形成する防火システム10と、対象領域1に配置した排煙口21を介して、水幕Wよりも排煙口21側の煙を、当該対象領域1の外部に排出する排煙システム20と、対象領域1の内部において所定状態が検知された場合、防火システム10と排煙システム20とを、相互に所定タイミングで連動するように起動する制御システムとを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 対象領域に配置した放水ヘッドを介して放水を行うことにより、当該対象領域の内部に水幕を形成する防火手段と、上記対象領域に配置した排煙口を介して、上記水幕よりも上記排煙口側の煙を、当該対象領域の外部に排出する排煙手段と、上記対象領域の内部において所定状態が検知された場合、上記防火手段と上記排煙手段とを、相互に所定タイミングで連動するように起動する制御手段と、を備えることを特徴とする防火排煙システム。
【請求項2】 上記制御手段は、上記防火手段と上記排煙手段とを同時に起動させること、を特徴とする請求項1に記載の防火排煙システム。
【請求項3】 上記制御手段は、上記防火手段を起動させた後、所定の蓄積時間経過後に上記排煙手段を起動させること、を特徴とする請求項1に記載の防火排煙システム。
【請求項4】 上記排煙口を、上記対象領域の床面における、上記水幕の下方近傍位置に設置したこと、を特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の防火排煙システム。
【請求項5】 上記排煙口を、上記対象領域の天井面に設け、上記排煙口と上記水幕との間に、上記天井面から垂下する排煙垂壁を設置したこと、を特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の防火排煙システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、対象領域内の防火または排煙を行うシステムに関し、特に、放水ヘッドから放水して水幕を形成する防火システムと、排煙口から排煙を行う排煙システムとを組合せて構成された防火排煙システムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、防火の対象領域内に水幕(ウォータースクリーン)を形成する、水幕式の防火システムが提案されている(本件出願人による特願2001−51520号参照)。この防火システムは、対象領域の天井に設けた放水ヘッドと、この放水ヘッドに水を加圧供給する水供給機構と、対象領域内における火災発生を感知する火災感知機構とを備えて構成されていた。そして、対象領域内で火災が発生したことが火災感知機構によって感知されると、水供給機構によって放水ヘッドに水が供給され、この放水ヘッドから対象領域に対して水が粒子状に放水されて円錐状に拡散し、水幕が形成される。
【0003】このような水幕式の防火システムによれば、水幕によって対象領域を隔絶して防火区画を形成し、この防火区画に上記火災による炎や煙が侵入することを防止して延焼等を防ぐことができる。また、この防火システムによれば、水幕の内外を人が出入りすることができるので避難活動や救助活動をスムーズに行うことができると共に、防火区画の境界上に障害物が存在していても、この障害物の形状に応じて水幕が形成されるので隔絶性を維持することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の防火システムにおいては、火源から発生した煙が、火源の区画に隣接する防火区画に流入することを完全に防止することが困難であった。すなわち、放水ヘッドから放水された水は、放水後に拡散されるが、放水直後の放水ヘッド周囲部においては充分に拡散させることが困難である。このため、放水ヘッド周囲においては水幕が形成されずに隙間が生じ、この隙間から煙が侵入して隣の防火区画に流入する可能性があった。
【0005】特に、天井からの放水によって生じる下降気流が、火災によって生じる上昇気流と相俟って、火災によって生じて天井近傍に蓄積している高温煙層を拡散させてしまうため、煙が滞留せずに上記隙間から防火区画に流入する可能性を増大させていた。なお、このような問題を防止するため、複数の放水ヘッドを列状に配置したり、複数の水幕を相互に重合状に配置することも提案されているが、依然として上記隙間を完全に無くすことが困難であった。
【0006】一方、従来から、対象領域内に発生した煙を排煙する排煙システムが提案されている。この排煙システムは、対象領域に設けた排煙口と、この排煙口から対象領域の外部に至る排煙路と、この排煙路に設置された排煙ファンと、対象領域内における煙の発生を感知する煙感知機構とを備えて構成されていた。そして、対象領域内に煙が発生したことが煙感知機構によって感知されると、排煙ファンが起動されて排煙が開始され、対象領域の煙が排煙口から吸引されて、排煙路を介して領域外部に排出される。このような排煙システムによれば、対象領域内の煙を領域外部に排出し、煙による人的被害や高温煙による延焼を防止することができる。
【0007】ここで、上記従来の防火システムにおける煙流入の問題を解決するためには、この防火システムと上記従来の排煙システムとを併設すればよいようにも思われる。しかしながら、これら防火システムや排煙システムを相互に関連性なく、単に併設した場合、新たな弊害が生じることが予想される。例えば、防火システムを起動させる前に排煙システムのみを起動させてしまった場合、煙が防火システムの火災感知機構に到達する前に排出されてしまい、煙に基づいて火災感知を行う火災感知機構が正常に作動せずに放水が行われず、防火が適切に行われなくなるという問題が考えられる。
【0008】本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、水幕式の防火システムと排煙システムとを適切に組合せ、防火および排煙効率を総合的に向上等させることができる、防火排煙システムを提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成するため、請求項1に記載の防火排煙システムは、対象領域に配置した放水ヘッドを介して放水を行うことにより、当該対象領域の内部に水幕を形成する防火手段と、上記対象領域に配置した排煙口を介して、上記水幕よりも上記排煙口側の煙を、当該対象領域の外部に排出する排煙手段と、上記対象領域の内部において所定状態が検知された場合、上記防火手段と上記排煙手段とを、相互に所定タイミングで連動するように起動する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0010】このシステムによれば、防火手段と排煙手段とが、相互に所定タイミングで連動するように起動されるので、防火と排煙とを相互に適切に連動させることができ、防火システムによる水幕を通って煙が流入することを防止できると共に、最初に排煙システムのみが作動して煙が排出されてしまうことによる防火システムの作動不良を防止できる。
【0011】また、請求項2に記載の防火排煙システムは、請求項1に記載の防火排煙システムにおいて、上記制御手段は、上記防火手段と上記排煙手段とを同時に起動させることを特徴とする。
【0012】このシステムによれば、防火手段と排煙手段とが同時に起動されるので、排煙を行うと同時に水幕を形成して防火を行うことができ、最初に排煙システムのみが作動して煙が排出されてしまうことによる防火システムの作動不良を防止できる。
【0013】また、請求項3に記載の防火排煙システムは、請求項1に記載の防火排煙システムにおいて、上記制御手段は、上記防火手段を起動させた後、所定の蓄積時間経過後に上記排煙手段を起動させることを特徴とする。
【0014】このシステムによれば、防火手段を起動させた後、所定の蓄積時間経過後に排煙手段が起動されるので、この蓄積時間を適切に設定することにより、防火区画において発生した煙を水幕の近傍で冷却した後で排煙することによって、排煙路の耐熱化に要するコストを低減できる一方で、防火区画に煙が充満し過ぎて危険等を生じさせることのないタイミングで排煙を行うことによって、安全性を確保できる。
【0015】また、請求項4に記載の防火排煙システムは、請求項1〜3のいずれか一つに記載の防火排煙システムにおいて、上記排煙口を、上記対象領域の床面における、上記水幕の下方近傍位置に設置したことを特徴とする。
【0016】このシステムによれば、排煙口を水幕の下方近傍位置に設置したので、水幕に沿って下降した煙が、その下降位置において排煙口に流入するので、スムーズな排煙を行うことができる。
【0017】また、請求項5に記載の防火排煙システムは、請求項1〜4のいずれか一つに記載の防火排煙システムにおいて、上記排煙口を、上記対象領域の天井面に設け、上記排煙口と上記水幕との間に、上記天井面から垂下する排煙垂壁を設置したことを特徴とする。
【0018】このシステムによれば、放水ヘッドによる水幕の間に隙間が生じた場合においても、この隙間に煙が流入することを防止することができると共に、煙の流れを排煙口側に導いて、スムーズな排煙を行うことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に、本発明にかかる防火排煙システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0020】〔第1の実施の形態〕
〔防火排煙システムの構成〕まず、第1の実施の形態について説明する。最初に、本実施の形態にかかる防火排煙システムの構成について説明する。図1は本実施の形態にかかる防火排煙システムを設置した建物の側面図、図2は図1の防火排煙システムの全体概要を示す斜視図、図3は図1の建物の平面図である。これら図1〜3に示すように、建物内部において、防火および排煙の対象になる所定の対象領域1には、防火システム10、排煙システム20、制御システム30、および、排煙垂壁40が設置されている。
【0021】このうち、防火システム10は、放水ヘッド11を介して放水を行うことにより対象領域1の内部に水幕(図において符号W)を形成する防火手段であり、対象領域1の天井に設けた複数の放水ヘッド11と、これら複数の放水ヘッド11に水を加圧供給する水供給機構12とを備えて構成されている。
【0022】このうち、複数の放水ヘッド11は列状に配置されて、全体として放水列13が形成されている。また、水供給機構12は、ポンプ14、給水本管15、放水弁16、給水支管17を備えて構成されている。このような構成において、後述する制御システム30の機能によって放水弁16が開放されると、図示しない水源の水がポンプ14によって加圧され、この水が給水本管15および給水支管17を経て各放水ヘッド11に供給され、この水が放水ヘッド11から粒子状に放水されて円錐状に拡散することによって、水幕が形成される。そして、この水幕を境界として、対象領域1が第1の防火区画2と第2の防火区画3とに区画される。
【0023】また、排煙システム20は、対象領域1に設けた排煙口21と、この排煙口21から対象領域外部に至る排煙路22と、排煙路22に配置された排煙ファン23とを備えて構成されており、水幕よりも排煙口21側の煙を対象領域1の外部に排出する排煙手段である。そして、後述する制御システム30の機能によって排煙ファン23が起動されると、この排煙ファン23によって対象領域1の内部の煙が排煙路22に吸入され、さらに排煙路22を介して領域外部に排出される。
【0024】また、制御システム30は、対象領域1の内部において所定状態が検知された際、防火システム10と排煙システム20とを、相互に所定タイミングで連動するように起動する制御手段である。図2に示すように制御システム30は、排煙口21が配置された防火区画における火災発生を感知する火災感知器31と、この防火区画における煙の発生を感知する煙感知器32と、これら火災感知器31および煙感知器32からの出力に基づいて、防火システム10および排煙システム20の制御を行う制御盤33とを備えて構成されている。図4は、この制御盤33の要部構成を機能概念的に示すブロック図である。この図4に示すように、補助記憶部34、主記憶部35、CPU(Central Processing Unit)36、入力インターフェース37、および、出力インターフェース38を備えて構成されている。
【0025】このうち、補助記憶部34は、制御盤33による制御に必要なプログラムおよびパラメータ等を記憶する記憶手段である。この補助記憶部34によって記憶されたプログラムは、必要に応じて主記憶部35にロードされ、CPU36にて実行される。ここでは、特に、補助記憶部34には、後述する防火排煙処理を行うための防火排煙処理プログラムが記憶されている。また、入力インターフェース37は、火災感知器31および煙感知器32からの当該制御盤33に対する入力を受け付ける入力受け付け手段である。また、出力インターフェース38は、当該制御盤33から防火システム10の放水弁16および排煙システム20の排煙ファン23に対する出力を行う出力手段である。
【0026】また、排煙垂壁40は、図5の要部側面図に示すように、対象領域1の天井面から垂下するように設置されている。この排煙垂壁40は、対象領域1で発生して天井に滞留した煙が、周囲に流出することを防止するためのもので、特に、排煙口21と上記水幕Wとの間における当該排煙口21の近傍位置であって、少なくとも、放水ヘッド11と放水ヘッド11との間に対応する位置に配置されている。このことにより、放水ヘッド11による水幕Wの間に隙間が生じた場合においても、この隙間に煙が流入することを防止することができる。
【0027】〔防火排煙処理〕次に、上記のような各システムを用いて行われる防火排煙処理について説明する。図6は、防火排煙処理のフローチャートである。この図6に示すように、制御盤33は、入力インターフェース37における、火災感知器31または煙感知器32からの当該制御盤33に対する入力の有無を監視する(SA−1)。そして、防火区画において煙または火災が発生し、火災感知器31または煙感知器32からの入力があった場合、制御盤33は、防火システム10および排煙システム20を同時に起動させる(SA−2)。例えば、防火システム10の放水弁16に対する弁開放指示信号および排煙システム20の排煙ファン23に対する排煙開始指示信号を出力インターフェース38を介して同時に出力する。
【0028】この弁開放指示信号を受けた放水弁16は当該放水弁16を開放し、ポンプ14によって加圧された水を給水本管15および給水支管17を経て各放水ヘッド11に供給して、放水ヘッド11からの放水を行って水幕を形成する。また、同時に、排煙開始指示信号を受けた排煙ファン23は排煙を開始する。このような処理によれば、最初に排煙システム20のみが作動して煙が排出されてしまうことによる防火システム10の作動不良を防止でき、図1に示すように排煙を行うと共に、防火についても適切に行うことができる。特に、上記のように排煙垂壁40が設けられているので、防火区画において煙が発生した場合においても、この煙が水幕の隙間に流入することを防止しつつ、図1に示すように、この煙を排煙口21に効果的に導くことができる。
【0029】その後、制御盤33は、防火システム10の停止または排煙システム20の停止が担当者によって所定手順で指示された場合には、その操作内容に応じて防火システム10または排煙システム20を停止させる(SA−3〜SA−7)。すなわち、防火システム10の放水弁16に対する弁閉鎖指示信号を出力インターフェース38を介して出力し、あるいは、排煙システム20の排煙ファン23に対する排煙停止指示信号を出力インターフェース38を介して出力する。これにて本処理が終了する。
【0030】〔第2の実施の形態〕次に、第2の実施の形態について説明する。ただし、特に説明なき構成および処理については第1の実施の形態と同様であり、同様の構成要素を実施の形態1と同じ名称および符号を付して説明する。この実施の形態は概略的に、防火システム10を最初に起動させた後、所定時間経過後に、排煙システム20を起動させる防火排煙システムに関するものである。図7は本実施の形態にかかる防火排煙システムを設置した建物の側面図である。
【0031】〔防火排煙処理〕本実施の形態においては、実施の形態1と異なる内容の防火排煙処理プログラムが実行される。この防火排煙処理について説明する。図8は防火排煙処理のフローチャートである。この図8に示すように、制御盤33は、入力インターフェース37における、火災感知器31または煙感知器32からの当該制御盤33に対する入力の有無を監視する(SB−1)。
【0032】そして、火災感知器31または煙感知器32からの入力があった場合、制御盤33は、最初に防火システム10のみを起動させる(SB−2)。すなわち、防火システム10の放水弁16に対する弁開放指示信号を出力インターフェース38を介して同時に出力する。これによって水幕が形成される。その後、制御盤33は、所定の蓄積時間のカウントダウンを開始し、この蓄積時間の経過を監視する(SB−3)。そして、蓄積時間が経過した場合、制御盤33は、排煙システム20を起動させる(SB−4)。すなわち、排煙ファン23に対する排煙停止指示信号を出力インターフェース38を介して出力する。これにて排煙が開始される。
【0033】ここで、上記蓄積時間としては、防火区画において発生した煙が水幕によって冷却されることによって排煙路22の耐熱性が軽減され、かつ、防火区画に煙が充満し過ぎて危険等を生じさせることのない時間が、その環境に応じた実験値や経験値に基づいて設定される。
【0034】このような処理を行うことにより、下記のような効果が得られる。すなわち、上記ステップSB−2の直後においては、水幕のみが形成され、未だ排煙は開始されていない。このため、図7に示すように、防火区画において発生した煙は、天井に向かって上昇した後、水幕によって形成された気流の流れと、水幕の近傍で冷却されることによって、水幕に沿って下降する。この煙は、さらに水幕から離れた位置で再び天井に向かって上昇し、以下、同様の経路を循環することになる。そして、この間に、煙の温度が水幕によって冷却される。その後、ステップSB−4において、防火区画において発生した煙が水幕によって冷却されることによって排煙路22の耐熱性に悪影響を与えず、かつ、防火区画に煙が充満し過ぎて危険等を生じさせることのないタイミングで排煙が開始されるので、排煙路22の耐熱化に要するコストを低減できる一方で、安全性を確保できる。
【0035】その後、制御盤33は、防火システム10の停止または排煙システム20の停止が担当者によって所定手順で指示された場合には、その操作内容に応じて防火システム10または排煙システム20を停止させる(SB−5〜SB−9)。すなわち、防火システム10の放水弁16に対する弁閉鎖指示信号を出力インターフェース38を介して出力し、あるいは、排煙システム20の排煙ファン23に対する排煙停止指示信号を出力インターフェース38を介して出力する。これにて本処理が終了する。
【0036】〔第3の実施の形態〕次に、第3の実施の形態について説明する。ただし、特に説明なき構成および処理については第1の実施の形態と同様であり、同様の構成要素を実施の形態1と同じ名称および符号を付して説明する。この実施の形態は概略的に、排煙システム20を水幕近傍の下方位置に配置した防火排煙システムに関するものである。図9は本実施の形態にかかる防火排煙システムを設置した建物の側面図である。
【0037】この図9に示すように、本実施の形態においては、排煙システム20の排煙口が、対象領域1の床面における、水幕の下方近傍位置に設置されている。すなわち、防火システム10の放水によって形成された水幕の最下端の輪郭よりも排煙口側の位置であって、水幕に沿って下降する煙に対応する位置に配置されている。特に、本実施の形態においては、対象領域1の天井には排煙垂壁40が形成されているので、この排煙垂壁40の略下方位置に排煙口が配置されている。このように排煙システム20を構成することにより、水幕あるいは排煙垂壁40に沿って下降した煙が、その下降位置において排煙口に流入するので、スムーズな排煙を行うことができる。
【0038】(他の実施の形態)さて、これまで本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態以外にも、上記特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施の形態にて実施されてよいものである。例えば、上記の第1〜第3の実施の形態を相互に混在させることもでき、第3の実施の形態の排煙システム20を設けると共に、第2の実施の形態の防火排煙処理を実行することができる。
【0039】なお、上記実施の形態においては、火災感知器31または煙感知器32のいずれか一方の入力に基づいて防火システム10や排煙システム20を起動するものとして説明したが、複数の感知器のAND出力に基づいて起動を行うことにより、誤起動の危険性を低減させてもよい。例えば、同一の防火区画に設置していた2以上の火災感知器31の火災感知信号のAND出力が得られた場合に防火システム10や排煙システム20を起動したり、あるいは、スプリンクラー作動用の自火報用火災感知器と、当該自火報用火災感知器よりも高い温度で作動する防火排煙システム専用の専用火災感知器とのAND出力が得られた場合に防火システム10や排煙システム20を起動してもよい。
【0040】また、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行なわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行なわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順等については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。また、上述した制御装置の構成は任意であるが、例えば、上記測定方法を実現するプログラムを記憶手段に記憶させると共に、このプログラムを逐次呼び出してCPU(Central Processing Unit)にて実現することができる。
【0041】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれば、防火と排煙とを相互に適切に連動させることができ、防火システムによる水幕を通って煙が流入することを防止できると共に、最初に排煙システムのみが作動して煙が排出されてしまうことによる防火システムの作動不良を防止できる。
【0042】また、本発明によれば、排煙を行うと同時に水幕を形成して防火を行うことができ、最初に排煙システムのみが作動して煙が排出されてしまうことによる防火システムの作動不良を防止できる。
【0043】また、本発明によれば、防火区画において発生した煙を水幕の近傍で冷却した後で排煙することによって、排煙路の耐熱化に要するコストを低減できる一方で、防火区画に煙が充満し過ぎて危険等を生じさせることのないタイミングで排煙を行うことによって、安全性を確保できる。
【0044】また、本発明によれば、水幕に沿って下降した煙が、その下降位置において排煙口に流入するので、スムーズな排煙を行うことができる。
【0045】また、本発明によれば、放水ヘッドによる水幕の間に隙間が生じた場合においても、この隙間に煙が流入することを防止することができると共に、煙の流れを排煙口側に導いて、スムーズな排煙を行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
【住所又は居所】東京都港区元赤坂一丁目2番7号
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
【住所又は居所】東京都品川区上大崎2丁目10番43号
【出願日】 平成14年3月4日(2002.3.4)
【代理人】 【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明 (外1名)
【公開番号】 特開2003−250919(P2003−250919A)
【公開日】 平成15年9月9日(2003.9.9)
【出願番号】 特願2002−57952(P2002−57952)