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【発明の名称】 防煙用具
【発明者】 【氏名】藤尾美智子

【氏名】山下陽子

【要約】 【課題】小型軽量で、取扱性及び装着性に優れて、生命の安全性を確保できる防煙用具を提供することを目的とする。

【解決手段】空気源ボンベ11から送気可能に接続する防煙用具10であって、避難者の鼻孔に挿入可能な二つの鼻孔チューブ30A、30Bを具備し一方の鼻孔チューブ30Aに空気源ボンベ11を送気可能に接続し、他方の鼻孔チューブ30Bに吸気不能な排気弁6を接続して左右の各鼻孔で吸気と排気を個別に行い得るように構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】空気源ボンベから送気可能に接続する防煙用具であって、避難者の鼻孔に挿入可能な二つの鼻孔チューブを具備し前記一方の鼻孔チューブに前記空気源ボンベを送気可能に接続し、前記他方の鼻孔チューブに吸気不能な排気弁を接続して左右の各鼻孔で吸気と排気を個別に行い得るように構成したことを特徴とする、防煙用具。
【請求項2】請求項1に記載する防煙用具において、二つの鼻孔チューブを本体に取り付け、各鼻孔チューブが個別に首振り自在で、且つスライド自在であることを特徴とする、防煙用具。
【請求項3】請求項2に記載する防煙用具において、本体の一部に避難者の口で保持可能なプレートを形成したことを特徴とする、防煙用具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、防煙用具に関するもので、特に火災現場から逃げる火災避難者が、有害な煙を口及び鼻から吸い込むのを防ぐための簡易式の防煙用具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】建築物の高層化が進むのに伴い、建物内の火災現場から建物外部に非難するまでに多くの時間を要することから、ビルやホテルその他の建築物には、防煙用具を常備することが多い。火災発生時において、煙やガスなどを吸い込まずに、新鮮な空気を吸入するための器具として各種の防煙用具が知られているが、大別すると頭部全体を覆うようにした所謂袋状のものと、人の鼻口部分だけを覆う所謂マスク状のものとがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】<イ>袋状のものは、マスク全体が大きく、しかもバンド類を用いて装着する複雑な構造であり、火災避難者がその顔面に取り付けるのに、多大な手数と時間を要する。そのため、判断能力が低下する厳しい環境下においてマスクを迅速、且つ的確に装着できない。
<ロ>マスク状のものは、簡単な構造であり、取り扱いに便利であるが、火災避難者が、その口や鼻から有毒ガスを吸い込むのを完全に防ぐことができない。
<ハ>また、空気源ボンベから送気可能にチューブを接続し、そのチューブの終端を避難者の鼻孔に挿入して使用する防煙用具があるが、チューブの向きが一定で、鼻の大きさや形状に対応性がなく、誰にでも適合するものでなかった。
【0004】
【本発明の目的】本発明は以上の点に鑑みて考えられたもので、小型軽量で、取扱性及び装着性に優れて、生命の安全性を確保できる防煙用具を提供することを目的とする。また本発明は、鼻の大きさや形状に関係なく、誰にでも適合する防煙用具を提供することを目的とする。本発明は、上記目的のうち少なくとも一つを達成するようにしたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記のような目的を達成するために、本発明の防煙用具は、空気源ボンベから送気可能に接続する防煙用具であって、避難者の鼻孔に挿入可能な二つの鼻孔チューブを具備し前記一方の鼻孔チューブに前記空気源ボンベを送気可能に接続し、前記他方の鼻孔チューブに吸気不能な排気弁を接続して左右の各鼻孔で吸気と排気を個別に行い得るように構成したことを特徴とするものである。
【0006】また本発明の防煙用具は、二つの鼻孔チューブを本体に取り付け、各鼻孔チューブが個別に首振り自在で、且つスライド自在であることを特徴とするものである。
【0007】また本発明の防煙用具は、本体の一部に避難者の口で保持可能なプレートを形成したことを特徴とするものである。
【0008】また本発明は、避難者の鼻孔に挿入可能な二つの鼻孔チューブと空気源ボンベとを使用し、一方の鼻孔チューブに前記空気源ボンベを送気可能に接続し、他方の鼻孔チューブに吸気不能な排気弁を接続して左右の各鼻孔単位で独立して吸気と排気を行うことを特徴とする防煙方法である。
【0009】
【発明の実施の形態1】以下、図面を参照しながら、本発明に係る一実施の形態について説明する。
【0010】<イ>防煙用具の全体構成図1に本発明に係る防煙用具10の一例を示す。防煙用具10は、空気源ボンベ11(図2参照)を接続して用いるもので、避難者の鼻孔に挿入可能な二つの鼻孔チューブ30A、30B(説明の便宜上、空気源ボンベ11に接続する側の部材に符号Aを付加し、排気弁6を取り付ける側の部材に符号Bを付加する)を有し鼻孔チューブ30Aに送気可能に空気源ボンベ11を接続し、鼻孔チューブ30Bに排気可能に排気弁6を接続する。本体20の一部に形成したプレート221を口でくわえて防煙用具10を保持し、左右の鼻孔で吸気と排気を個別に行うものである。
【0011】<ロ>鼻孔チューブ鼻孔チューブ30A、30Bは、左右の鼻孔に対応して設けられ、吸気と排気ができるように筒状の中空構造を呈する。鼻孔チューブ30Aに接続ホース12を介して空気源ボンベ11を接続し、鼻孔チューブ30Bに接続管32Bを介して排気のみを可能とする排気弁6を取り付ける。なお、鼻孔チューブ30Aは、接続ホース12を介することなく、空気源ボンベ11の送気口に直接接続してもよい。
【0012】本例では鼻孔チューブ30は、チューブ本体31、接続管32、ジョイント管33、鼻孔プラグ34からなる。チューブ本体31Aの一端に接続管32A及びジョイント管33A(図示せず)を介して鼻孔プラグ34Aを取り付ける。チューブ本体31Bの一端も同様に接続管32B、ジョイント管33Bを介して鼻孔プラグ34Bを取り付け、他端に接続管32Bを介して排気弁6を取り付ける。これら鼻孔チューブ30A、30Bは、ゴムや樹脂等の軽量で成形性に優れた素材が望ましい。なお、チューブ本体31を長く形成して接続管32とジョイント管33を省略してもよい。このようにして空気源ボンベ11と鼻孔チューブ30Aを接続し、排気弁6と鼻孔チューブ30Bを接続して、連続した空気の供給路及び排出路を形成し、左右の鼻孔で吸気と排気を個別に行うことができる。
【0013】<ハ>鼻孔チューブ支持部左右の鼻孔チューブ30A、30Bを、夫々鼻孔チューブ支持部3A、3Bに取り付ける。鼻孔チューブ支持部3A、3Bは、鼻孔チューブ30A、30B(チューブ本体31A、31B)を挿通したボックス体4A、4Bと、コの字形の支持体5A、5Bとからなる。支持体5A、5Bの凸部51A、51Bと嵌り合う凹部40A、40Bをボックス体4A、4Bに形成し、鼻孔チューブ30A、30Bを首振り自在に構成する(図4参照)。ボックス体4A、4Bに凸部を形成し、支持体5A、5Bに凹部を形成してもよい。支持体5A、5Bの下方に回転軸52A、52Bを設ける。
【0014】<ニ>本体本体20は、二つの角体21A、21Bと、この角体21A、21Bを連結する基板22および支え板23とからなる。左右の角体21A、21Bの内側に設けた溝213A、213Bに支え板23を差し込み、基板22の表面からねじ24を支え板23にねじ込んで角体21A、21Bを連結する。角体21A、21Bの鉛直方向に回転軸52A、52Bが挿通する貫通孔211A、211Bを開口する。貫通孔211A、211Bの径を回転軸52A、52Bの径より小さく形成し、スリ割212A、212Bを開いたばね力で回転軸52A、52Bを保持し、手でもって回転軸52A、52Bを回したり(図5参照)、上下にスライドできるようにする(図6参照)。また、角体21A、21Bは、基板22と支え板23との間の摩擦力で保持され、手でもってねじ軸24を中心に回すことができる(図7参照)。基板22の一部を折り曲げて、プレート221を形成する。
【0015】<ホ>排気弁鼻孔チューブ30Bに取り付けた排気弁6は、例えば図3に示すように小径部62を有する外筒61と、外筒61内に収納され、スプリング65によって小径部62に当接する弁体63等からなる一方向弁である。弁体63が小径部62と当接する側には、合成ゴムなどのシール部材64を介在する。弁体63と蓋66との間に介在したスプリング65を呼気で押し縮めて弁63を開き、外筒61に開口した排気孔67から大気中に排気する。蓋66のねじ込み量を変えることでスプリング力を調整できる。なお、排気弁6は、本例に限らず呼気で弁を開くことができるものであれば形式を問わない。
【0016】<ヘ>鼻孔プラグ鼻孔プラグ34A、34Bは、ゴムや樹脂等の軽量材からなる中空管であって、その端部は鼻孔を傷つけないように丸みを持たせて形成し、また外周面の一部を径方向に張り出してリング状の鍔部341を形成する。鍔部341A、341Bは、比較的柔らかいゴム等の軟質材で形成し、鼻孔プラグ34A、34Bが鼻孔への深入りを防止することと、挿入後に鼻孔から脱落するのを防止すること、及び鼻孔をシールする機能を併有する。鼻孔プラグ34A、34Bは、接続管32A、32B、ジョイント管33A、33Bを介することなく、直接チューブ本体31A、31Bに接続してもよい。
【0017】<ト>プレート従来の防煙用具はバンドやベルト類を用いて頭部に固定していた。これに対して本発明では防煙用具10の装着手段として防煙用具本体の一部を口で保持する方式とした。プレート221はそのための部位であり、前記したように本例では基板22の一部を折り曲げて形成しておりその形状や大きさは適宜選択することができる。プレート221を保持する箇所には、少なくとも口や歯形に倣って変形可能な所要の剛性を有する樹脂やゴムなどで被覆する。プレート221は歯で噛むようにしたり、プレート221の端部に掛止部を形成しておき、この掛止部を歯の内側に掛止させるようにしてもよい。要は口で保持したときに脱落し難い形状であればよい。
【0018】
【作用】つぎに防煙用具の使用方法について説明する。
【0019】<イ>保管形態防煙用具10は空気源ボンベ11と一緒に、各種建築物の廊下や室内等の人の目に付きやすい場所に格納しておくか、或いは携帯するようにする。防煙用具10は小型軽量であるため、格納や携帯に便利である。
【0020】<ロ>使用時火災発生時等に避難する場合、前述した防煙用具本体のプレート221を口で保持するとともに、本体20から伸びる2本の鼻孔プラグ34A、34Bを鼻孔の奥深く差し込む。このとき、防煙用具10の鼻孔チューブ30Aには空気源ボンベ11から空気を供給しておく。本発明の鼻孔チューブ30は、凸部51と凹部40の嵌合部を中心とする首振り運動(図4参照)、回転軸52を中心とする首振り運動(図5参照)、回転軸52に沿った上下のスライド(図6参照)及びねじ軸24を中心とする首振り運動(図7参照)の4方向の可動構造となっているので、あらゆる鼻の大きさや形状に対応することができる。さらに、プレート221を保持する位置を変えることで個人差のある口から鼻孔までの距離の変化に対応するようにしてもよい。空気源ボンベ11から送られた空気は、鼻孔チューブ30Aを経て鼻孔内に供給され、新鮮な空気を吸引しながら避難することができる。一方、他の鼻孔チューブ30Bには排気弁6を取り付けているので、呼気が鼻孔チューブ30B及び排気弁6を介して大気中へ排気される。
【0021】近時の建材には、種々の化学物質が用いられており、建物内で火災が起きた際には、その建材から様々の有毒ガスが建物内に発生する。そのため、建物内の火災現場から避難する場合、口及び鼻から大量の有毒な煙を吸い込んで、健康を害したり体の機能を損なったりする危険性があるが本発明によれば左右の鼻孔で吸気と排気を個別に行い口はプレート221をくわえているので口から吸込むことはない。プレート221をくわえることで、口から煙を吸い込むことを防止するとともに、鼻孔プラグ34に設けた鍔部341で鼻孔をシールして鼻から煙を吸い込むことも防止する。
【0022】
【発明の実施の形態2】鼻孔チューブ30A、30Bの可動構造として、図8に示すように鼻孔チューブ30A、30Bを取り付けたボックス体4A、4Bを湾曲板7に沿ってスライド可能にするとともに、プレート221に対して湾曲板7を揺動可能としてもよい。また、上記の可動構造において、鼻孔チューブ30A、30Bを蛇腹に形成し、ボックス体4A、4Bに対して伸縮自在に構成することもできる。
【0023】
【発明の効果】本発明は、以上説明したようになるから次のような効果を得ることができる。
<イ>二つの鼻孔チューブの一方に空気源ボンベを送気可能に接続し、他方に排気のみを可能とする排気弁を接続しているので、連続した空気の供給路及び排出路を形成し得るようになっており、左右の各鼻孔で吸気と排気を個別に行うことができる。
<ロ>鼻孔に差し込んだ鼻孔プラグが鼻孔をシールするとともに、口に防煙用具の一部であるプレートをくわえさせることで、有害な煙やガスを鼻や口から吸い込む危険性がなくなり、高い安全性を確保できる。
<ハ>各鼻孔チューブは、個別に首振り自在、スライド自在の可動構造であるため、あらゆる鼻の大きさや形状に対応することができる。
<ニ>小型軽量であるため、保管性や携帯性に優れるだけでなく、コストも低廉に抑えることができる。したがって、防煙用具を数多くあらゆる場所に設置したり、多数の人が気軽に携帯することができ、極めて有益である。
<ホ>防煙用具の本体の一部を口に銜え、鼻孔チューブの一部を鼻孔に差し込むだけで装着を完了するので、誰でも防煙用具の装着を簡単で速やかに行うことができ、取扱性及び装着性に優れている。
【出願人】 【識別番号】597161676
【氏名又は名称】藤尾 美智子
【識別番号】397040535
【氏名又は名称】山下 陽子
【出願日】 平成13年12月6日(2001.12.6)
【代理人】 【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生 (外2名)
【公開番号】 特開2003−169856(P2003−169856A)
【公開日】 平成15年6月17日(2003.6.17)
【出願番号】 特願2001−372990(P2001−372990)