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【発明の名称】 多角枠体およびその製造方法
【発明者】 【氏名】松本 伸介
【住所又は居所】福岡県北九州市小倉北区三萩野一丁目2番5号 松本工業株式会社内

【要約】 【課題】隅部を溶接しないかその溶接範囲を狭めて、製造の容易化や製造時間の短縮化が図れる多角枠体およびその製造方法を提供する。

【解決手段】1枚のステンレス板の中央部に矩形状の下穴bを形成後、下穴bをダイス穴30aに合わせてステンレス板をダイス30に載置し、それから下穴bにポンチ31を押し込み、スカート10の下部側板11a…と上部側板11b…とを突き立てる。結果、スカート10が隅部を溶接しないか、溶接範囲を狭めて製造される。よって多角枠状のスカート10の製造が容易になり、製造時間も短縮できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 1枚の金属板に下穴を形成し、該下穴をダイス穴に合わせて金属板をダイスに載置し、前記下穴にポンチを押し込んで各側板を突き立てるプレス成形により得た多角枠体。
【請求項2】 前記多角枠体が、建物の床に形成された避難用のハッチ取付口に取り付けられ、折り畳み式の梯子が収納された改修用ハッチの外装部分を構成するハッチ本体である請求項1に記載の多角枠体。
【請求項3】 前記ハッチ本体の内部空間に突出する突起物にキャップを取り付けた請求項2に記載の多角枠体。
【請求項4】 1枚の金属板に下穴を形成し、該下穴をダイス穴に合わせて金属板をダイスに載置し、前記下穴にポンチを押し込んで各側板を突き立てることで、多角形状の枠体をプレス成形する多角枠体の製造方法。
【請求項5】 前記多角枠体が、建物の床に形成された避難用のハッチ取付口に取り付けられ、折り畳み式の梯子が収納された改修用ハッチの外装部分を構成するハッチ本体である請求項4に記載の多角枠体の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は多角枠体およびその製造方法、詳しくは多角枠体の隅部を形成する際に、隣り合う側板と側板とを溶接せずに作製するか、その溶接の範囲を狭めて作製した多角枠体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えばマンションのベランダには、火災などの緊急時に、上階に住んでいる人が下階へ逃げるため、避難用ハッチが設置されている。この避難用ハッチは、ベランダに形成された平面視して矩形状のハッチ取付口に取り付けられる金属の板枠からなるハッチ本体と、このハッチ本体の上側の開口部を開閉する上蓋と、ハッチ本体の下側の開口部を開閉する下蓋と、ハッチ本体の内部空間に収納された折り畳み式の梯子とを有している。非常時には、これらの上蓋と下蓋とを開き、収納された梯子を下階へ垂らし、上階の利用者が梯子を使って下階へ避難する。この避難用ハッチは、長年のベランダへの設置によって各部品が錆びてしまい、避難時の使用に際して上蓋,下蓋,梯子などの動きやその強度が問題となる場合がある。そこで、錆などにより不具合が生じた避難用ハッチは、通常、改修工事を行って新規なハッチ(改修用ハッチ)に交換している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の改修用ハッチにあっては、以下の問題点があった。すなわち、(1) 矩形状のハッチ本体は4枚の側板を構成要素とし、その製造に際して、ハッチ本体の隅部が、隣り合う側板と側板とを溶接して形成されていた。そのため、ハッチ本体の製造に手間を要し、その製造時間が長くなっていた。(2) また、一般的にハッチ本体の内部空間には、ボルトなどの突起物が突き出ている場合が多い。そのため、避難中に避難者の衣服などがこのボルトの先端部に引っかかり、衣服などを傷つけていた。
【0004】
【発明の目的】この発明は、隅部を溶接しないかその溶接範囲を狭めることができ、これにより製造の容易化および製造時間の短縮化を図ることができる多角枠体およびその製造方法を提供することを、その目的としている。また、この発明は、ハッチ本体の通過時に衣服などを損傷しにくい多角枠体を提供することを、その目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明は、1枚の金属板に下穴を形成し、該下穴をダイス穴に合わせて金属板をダイスに載置し、前記下穴にポンチを押し込んで各側板を突き立てるプレス成形により得た多角枠体である。金属板の素材は限定されない。例えば鉄,ステンレス,銅,黄銅,青銅,アルミニウムなどを採用することができる。多角枠体の用途は限定されない。例えば、改修用ハッチのハッチ本体が挙げられる。多角枠体を平面視した形状は、三角形または四角形以上の多角形であればよい。すなわち、隣り合う側板と側板との間に、鋭角または鈍角の隅部が現出される。多角枠体の製造時には、必ずしも隅部をプレス加工だけで形成しなくてもよい。例えば、一部分をスポット溶接してもよい。
【0006】請求項2に記載の発明は、前記多角枠体が、建物の床に形成された避難用のハッチ取付口に取り付けられ、折り畳み式の梯子が収納された改修用ハッチの外装部分を構成するハッチ本体である請求項1に記載の多角枠体である。建物の種類は限定されない。例えばビル,マンション,アパート,一般住宅などが挙げられる。ハッチ取付口が形成される建物の床は限定されない。例えば、ビルの場合には室内の床、アパートやマンションや一般住宅の場合にはベランダなどが挙げられる。また、ここでいう床とは、例えばビルなどの天井(屋上階の床)を含む。
【0007】ハッチ取付口を平面視した形状は限定されない。通常は矩形状である。また、ハッチ取付口はその全長にわたって開口面積が一定でもよいし、下側の開口部の開口面積が上側の開口部よりも大きくてもよい。
【0008】請求項3に記載の発明は、前記ハッチ本体の内部空間に突出する突起物にキャップを取り付けた請求項2に記載の多角枠体である。突起物としては、例えばハッチ本体の四隅に配されたボルトなどが挙げられる。キャップの素材は限定されない。例えば各種のゴム(天然ゴム,合成ゴムなど)、各種の合成樹脂(ポリエチレン,ポリプロピレンなど)、各種の金属(アルミニウム,ステンレスなど)、各種のセラミックス、各種の木などを採用することができる。
【0009】請求項4に記載の発明は、1枚の金属板に下穴を形成し、該下穴をダイス穴に合わせて金属板をダイスに載置し、前記下穴にポンチを押し込んで各側板を突き立てることで、多角形状の枠体をプレス成形する多角枠体の製造方法である。
【0010】請求項5に記載の発明は、前記多角枠体が、建物の床に形成された避難用のハッチ取付口に取り付けられ、折り畳み式の梯子が収納された改修用ハッチの外装部分を構成するハッチ本体である請求項4に記載の多角枠体の製造方法である。
【0011】
【作用】この発明によれば、1枚の金属板に下穴を形成し、その後、この下穴をダイス穴に合わせて金属板をダイスに載置する。次に、下穴にポンチを押し込んで多角枠体の各側板を突き立てる。こうして、多角枠体(請求項2または請求項5ではハッチ本体)は隅部を溶接せず、またはその溶接範囲を狭めた状態で製造される。その結果、この多角枠体の製造が容易になり、製造時間も短縮される。
【0012】特に、請求項3の発明によれば、ハッチ本体の内部空間に突出する突起物にキャップを取り付けるので、避難中に避難者の衣服などがこの突起物に引っかかり、衣服などを傷つけるおそれが少なくなる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき、この発明の一実施例に係る多角枠体およびその製造方法を説明する。図1は、この発明の一実施例に係る多角枠体の展開図である。図2は、この発明の一実施例に係る多角枠体が組み込まれた改修用ハッチを正面方向から視た縦断面図である。図3は、この発明の一実施例に係る多角枠体が組み込まれた改修用ハッチの梯子を省略した平面図である。図4は、図3のS4−S4拡大断面図である。図5は、この発明の一実施例に係る多角枠体の斜視図である。図6は、改修用ハッチのボルトの先端部を被うキャップの拡大正面図である。図7は、この発明の一実施例に係る多角枠体のプレス工程を示す縦断面図である。
【0014】図1〜図6において、10はこの発明の一実施例に係るスカート(多角枠体)で、このスカート10は、旧い避難用ハッチを改修するための改修用ハッチAの上端部を外方から被っている。まず、この改修用ハッチAの構成を説明する。改修用ハッチ10は、マンションのベランダの床Fに形成されたハッチ取付口12に設置されるハッチ本体13と、このハッチ本体13の上側の開口部を開閉する上蓋14と、ハッチ本体13の下側の開口部を開閉する下蓋15と、ハッチ本体13の内部空間に収納された折り畳み式の梯子16とを備えている。以下、これらの構成部品を詳細に説明する。ハッチ取付口12は、床Fに形成された平面視して矩形状の切欠部である。ハッチ本体13はステンレス板からなる平面視して矩形状の板枠である。また、ハッチ取付口12への着脱を容易にするため、ハッチ本体13は下部本体13Aと上部本体13Bとに2分割されている。このうち、下部本体13Aは、ハッチ取付口形成部の下部を内側から覆うように、ハッチ取付口12の下側の開口部に挿入されている。一方、上部本体13Bは、ハッチ取付口形成部の上部を内側から覆うように、ハッチ取付口12の上側の開口部に挿入されている。
【0015】下部本体13Aと上部本体13Bとは、それぞれの先端部同士を、ハッチ取付口12の通路の長さ方向の中間部で重ね合わせて嵌合されている。また、上蓋14、下蓋15および梯子16もステンレス製であり、これにより改修用ハッチAが総ステンレス製となる。こうして、改修用ハッチAの防錆効果を高めている。下部本体13Aおよび上部本体13Bは、ハッチ本体13の四隅内で、下部本体13Aの下端部に取り付けられたブラケット13aと、上部本体13Bの下部に取り付けられたブラケット13bとを、4本の垂直なボルト21によってそれぞれ連結することで一体化されている。各ボルト21の先端部には、避難時に避難者の衣服などの引っかけを防ぐキャップ22がそれぞれ着脱自在に取り付けられている(図6も参照)。キャップ22はゴム製のブロック片で、ハッチ本体13の四隅の形状に合わせて、正面視して略銀杏葉形状を有している。このキャップ22の裏面には、ボルト21の嵌入孔21aが形成されている。梯子16は、上下方向へ伸縮自在なパンタグラフ式で、所定長さごとに水平方向へ向かう棒状のステップ16a…が配されている。梯子16は、ボルトを介して、上部本体13Bの上部に固定されている。上部本体13Bの上端部は、床Fの上面から外方へ露出している。この露出部分の全周側面には、保形用の前記スカート10が固着されている。以下、このスカート10について説明する。
【0016】スカート10は平面視して矩形状の枠体であって、矩形状の下穴bが中央部に形成された1枚のステンレス薄板をプレス成形することで作製される。このスカート10は、連続した4枚の下部側板11a…と、連続した4枚の上部側板11b…と、これらの対応する下部側板11a…および上部側板11b…を連結する1枚の矩形状の連結枠板11cとから構成されている(図1参照)。各下部側板11a…の一端には、溶接しろ11d…がそれぞれ一体的に突出されている。スカート作製時、これらの溶接しろ11d…を介して、隣接する下部側板11a…の端部同士がスポット溶接される。一方、連結枠板11cは、わずかな角度ではあるが上部側板11b…側へ向かうほど、徐々に上方へ傾いている。連結枠板11cの内側の各隅部に、角部絞り込み用の矩形小孔11e…をそれぞれ穿設する。このとき、各矩形小孔11e…は、その一方の対角線が、連結枠板11cの対応する対角線と合致しているものとする。また、隣り合う上部側板11bの間には、連結枠板11cの対角線に沿った幅の広いスリット11f…がそれぞれ形成されている。
【0017】次に、図7に基づき、スカート10の作製方法を説明する。まず、1枚のステレス板の中央部に矩形状の下穴bを形成する。これと同時に、連結枠板11cの内側の各隅部に、角部絞り込み用の矩形小孔11e…をそれぞれ穿設する。このとき、各矩形小孔11e…は、その一方の対角線が、連結枠板11cの対応する対角線と合致しているものとする。また、隣り合う上部側板11bの間には、連結枠板11cの対角線に沿った幅の広いスリット11f…がそれぞれ形成されている。次に、この下穴bをダイス穴30aに合わせて金属板をダイス30に載置し、下穴bにポンチ31を押し込んで下部側板11a…と上部側板11b…とを突き立てる。その際、これらの下部側板11a…および上部側板11b…は、それぞれの隣り合う側板間の接合角度が90度となるように突き立てられる。これと同時に、連結枠板11cがダイスの付形面に押し付けられて若干傾斜する。その際、連結枠板11cの各隅部にあっては、連結枠板11cの対角線と合致する矩形小孔11e…の対角線を中心とした鋭利な屈曲線が現出される。その後、前記溶接しろ11d…を介して、隣接する下部側板11a…の端部同士を2箇所ずつスポット溶接して、スポット溶接部Pを形成する。そして、これらの下部側板11a…と上部側板11b…との各隅部に、大きさ異なるゴムカバー33…をそれぞれ外方から装着する。これにより、各隅部の漏水が防止されるとともに、これらの隅部でケガをするおそれが低減する。こうして、スカート10が作製される。
【0018】次に、この改修用の改修用ハッチAの使用方法を説明する。改修用ハッチAの施工にあたって、あらかじめ図示しない旧い避難用ハッチをハッチ取付口12から取り外す。その後、図2に示すように新しい改修用ハッチAをハッチ取付口12に挿入し、ハッチ本体13を床Fのハッチ取付口形成部に取り付ける。具体的には、下部本体13Aを、ハッチ取付口形成部の下部を内側から覆うように、ハッチ取付口12の下側の開口部に挿入する。一方、上部本体13Bを、ハッチ取付口形成部の上部を内側から覆うように、ハッチ取付口12の上側の開口部に挿入する。このとき、スカート10がハッチ取付口12の上側の開口部の周囲に配置される。緊急避難時には、上蓋14および下蓋15を開き、梯子16を下階のベランダまで吊り下げ、使用する。
【0019】このように、1枚のステンレス板をプレス加工して枠形のスカート10を作製したので、それぞれの隅部に溶接を施さなくてもスカート10の製造が可能になる。その結果、スカート10を容易に製造でき、その製造時間も短縮することができる。また、ハッチ本体13の内部空間に突出するボルト21にキャップ22を取り付けたので、避難中に避難者の衣服などがこのボルト21に引っかかり、衣服などを傷つけるおそれを減少させることができる。
【0020】
【発明の効果】この発明によれば、1枚の金属板に下穴を形成し、下穴をダイス穴に合わせて金属板をダイスに載置し、下穴にポンチを押し込んで多角枠体の各側板を突き立てることで多角枠体を製造するようにしたので、隅部に手間を要する溶接を行わなくても、もしくはこの溶接の範囲を狭めて多角枠体を製造することができる。その結果、多角枠体の製造が容易化し、その製造時間も短縮することができる。
【0021】特に、請求項3の発明によれば、ハッチ本体の内部空間に突出する突起物にカバーを取り付けるようにしたので、避難中、避難者の衣服などがこの突起物に引っかかって、衣服などを傷つけるおそれが低減する。
【出願人】 【識別番号】396008934
【氏名又は名称】松本工業株式会社
【住所又は居所】福岡県北九州市小倉北区三萩野1丁目2番5号
【出願日】 平成13年11月27日(2001.11.27)
【代理人】 【識別番号】100094215
【弁理士】
【氏名又は名称】安倍 逸郎
【公開番号】 特開2003−159344(P2003−159344A)
【公開日】 平成15年6月3日(2003.6.3)
【出願番号】 特願2001−361309(P2001−361309)