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【発明の名称】 粒子線治療装置
【発明者】 【氏名】溝田 学
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三菱電機株式会社内

【要約】 【課題】粒子線の治療をより正確にかつ単純化し、稼働率の増加を図った。

【解決手段】患者を載せる治療台の天板2の一部に切り欠いた部分2aを配設し、下方からビームを照射するとき、粒子線が天板2を通さずに直接人体に照射されるようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 陽子線や重粒子線などの荷電粒子線を患者の患部に照射して治療する放射線治療装置において、患者を載置する治療台の天板の一部に切り欠いた部分を配設し、下方からビームを照射したときに、粒子線が天板を通過せずに直接人体に照射されるように構成したことを特徴とする粒子線治療装置。
【請求項2】 切り欠いた部分は、あらかじめ取り外し可能で着脱自在に構成されていることを特徴とする請求項1記載の粒子線治療装置。
【請求項3】 下方からビームを照射する手段が回転ガントリであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の粒子線治療装置。
【請求項4】 切り欠いた部分が、複数種のそれぞれ異なる位置に配置された天板を用意し、この天板を交換することで、切り欠いた部分が、照射される患部に合わせられるようにしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の粒子線治療装置。
【請求項5】 天板の切り欠いた部分にフィルターやコリメータなどのビーム整形機器を取り付けることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の粒子線治療装置。
【請求項6】 天板の長手方向に支持棒を突出して備え、この支持棒に分割されたブロックをはめこんでいくことにより天板を構成すると同時に、切り欠き部を形成するようにしたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の粒子線治療装置。
【請求項7】 ブロック間にスペーサを介入することで、ブロックとスペーサの順番によって穴状切り欠きのあいた場所を任意の位置に配置できるようにしたことを特徴とする請求項6記載の粒子線治療装置。
【請求項8】 穴状切り欠きのあいたブロックを用いることで、ブロックの順番によって穴状切り欠きを自由な位置に配置できるようにしたことを特徴とする請求項6記載の粒子線治療装置。
【請求項9】 穴状切り欠き部を有するブロックとして、コリメータやフィルターのついたブロックを用い、該ブロックが自由な位置に配置できるようにしたことを特徴とする請求項8記載の粒子線治療装置。
【請求項10】 ブロックビームが通過する部分の厚みを、粒子線の到達する深さが患部の形状に適合するように、あらかじめブロック下面に凹欠状切り欠き部が形成されていることを特徴とする請求項9記載の粒子線治療装置。
【請求項11】 分割ブロックはすべて同一材質で作成されていることを特徴とする請求項10記載の粒子線治療装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、荷電粒子からなるビームをがん患者に照射して治療等に供する粒子線治療装置の治療台に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図8は、例えば「三菱電機技報Vol.69 No.2 1995 p45−49 HIMAC用重粒子線照射位置決め装置」の図3に示された従来のこの種の治療装置を示す概念図であり、(a)は装置の斜視図、(b)(c)はその治療状態を示す正面図である。図において、1は治療台であり、2はその天板、3は治療台の支柱、4はこの支柱3と天板2との間に取り付けられて天板2を並行移動及び回転移動させる駆動機構である。5は治療台1の下方に配置されて荷電粒子ビームが出てくる照射ノズルである。なお、同図(b)(c)は治療台に載せられた患者の頭の方向からみた概念図を示したもので、11は天板2上に仰向けに載せられた患者であり、12は下方の照射ノズル5から出てくる荷電粒子のビームである。また、同図(c)は位置決め時における概念図を示しており、13はX線14を放出するX線管、15は患者11と天板2を通過してきたX線を検知し、画像として表示するための検出器であり、II管(イメージインテンシファイヤー)やイメージングプレートなどからなる。
【0003】次に動作について説明する。陽子線や重粒子線などの、特にがんの治療等に使われる粒子ビームは、物質内においてブラッグカーブと呼ばれる特徴的なピークをもってエネルギーを付与し、腫瘍細胞を死滅させる。そのピークは粒子線のエネルギーと物質の種類と厚みに依存する。粒子線治療は、この特異的な線量分布で従来の放射線治療よりはるかに正常組織への線量付与を少なくできるが、より正常組織への余分な線量付与を無くすために、人体に対し最適な角度からの照射が行われる。特に、回転ガントリと呼ばれる回転自在な照射ノズルでは、任意の角度が選ばれ、治療台をとおしての下方からの照射も行われる。また、粒子線は深さ方向の分布だけでなく、横方向の分布もコリメータ等を利用して余分な部分を遮断することにより、従来のX線等の分布よりも集中性が高いためにビームに対して患者の位置合わせをより正確に行う必要がある。この位置決めには、同図(c)に示したように、垂直上方の方向からX線を治療台上の患者に照射し、その下方で透過してきたX線をイメージインテンシファイヤーやイメージングプレートなどの検出器によって受け、その画像から体内の骨の位置等を検出し、標的となる位置とのずれ量を判断して治療台を動かし、位置決めを行っている。この際、照射ノズルは、回転ガントリなどの場合、X線検出器に干渉しないように、退避位置(回転させている)にあるか、固定ノズルなどの場合、別の場所にX線管があり、治療台の並行移動や回転移動だけで切り替えるようにしている。なお、上記位置決めの説明では、一方向から(正面方向という)のものだけで説明したが、場合により側面からのX線と検出器の組み合わせを用いることもある。
【0004】ところで、図8に見られるように、例えば、仰向けに寝かせた患者の患部の上表面側に重要臓器があって、放射線をできる限りその重要臓器に当てずに患部のみに線量を吸収させるためには、下方から照射せざるを得ない。この場合、照射ノズルから出てくるビームは治療台の天板も通過しなければならないために、その分の材質と厚みを考慮して照射するビームのエネルギーをその分、加速器で増加して照射される。従って、それらのエネルギーを成可く無駄に消費しないように、天板はできるだけ薄くかつ剛性をもつような材質で作られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の粒子線治療装置では、下方からの照射時には、天板をビームが通過して患部に照射されるようになっているので、粒子線のエネルギーがその分損なわれ、患者の体内で到達する深さが浅くなってしまう。従って、患部の位置がビーム方向から見て深い位置にある患者については治療できない場合が生じてしまうという問題がある。たとえまた、十分に到達できる場合でも、回転ガントリ等により下方斜めから照射するような場合、治療台の天板を通過する部分と、そうでないところが生じ、単純に天板の厚みのみを考慮するだけでなく、その患部に対しての天板境界の位置を特定して照射系のパラメータを設定する必要があり、治療計画が複雑になる。さらにまた、X線による位置決めの場合においても、X線が人体と天板を透過した像を見ることになるので、天板部分でのX線の吸収・散乱があり、画質がその分、劣化するという間題がある。
【0006】この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、治療対象となる患者数を増加させるとともに、天板をビームが一部通過するような斜め下方からの治療に対する治療計画を単純化したものである。またたとえ、下方からの照射でない場合でも、患者の位置決めの際に画像をより鮮明にできることで、位置決めの迅速化が図れ、より正確な治療や稼働率の増加を可能とすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明の請求項1に係る粒子線治療装置は、陽子線や重粒子線などの荷電粒子線を患者の患部に照射して治療するものであって、患者を載置する治療台の天板の一部に切り欠いた部分を配設し、下方からビームを照射したときに、粒子線が天板を通過せずに直接人体に照射されるように構成したものである。
【0008】この発明の請求項2に係る粒子線治療装置は、切り欠いた部分が、あらかじめ取り外し可能で着脱自在に構成されているものである。
【0009】この発明の請求項3に係る粒子線治療装置は、下方からビームを照射する手段が回転ガントリであるものである。
【0010】この発明の請求項4に係る粒子線治療装置は、切り欠いた部分が、天板上の様々の位置に配置された天板を用意し、この天板を交換することで、切り欠いた部分が、照射される患部に合わせられるようにしたものである。
【0011】この発明の請求項5に係る粒子線治療装置は、天板の切り欠いた部分にフィルターやコリメータなどのビーム整形機器を取り付けるようにしたものである。
【0012】この発明の請求項6に係る粒子線治療装置は、天板の長手方向に支持棒を突出して備え、この支持棒に分割されたブロックをはめこんでいくことにより天板を構成するとともに、切り欠き部を形成するようにしたものである。
【0013】この発明の請求項7に係る粒子線治療装置は、ブロック間にスペーサを介入することで、ブロックとスペーサの順番によって穴状切り欠きのあいた場所を任意の位置に配置できるようにしたものである。
【0014】この発明の請求項8に係る粒子線治療装置は、穴状切り欠きのあいたブロックを用いることで、ブロックの順番によって穴状切り欠きを自由な位置に配置できるようにしたものである。
【0015】この発明の請求項9に係る粒子線治療装置は、穴状切り欠き部を有するブロックとして、コリメータやフィルターのついたブロックを用い、それが自由な位置に配置できるようにしたものである。
【0016】この発明の請求項10に係る粒子線治療装置は、ブロックビームが通過する部分の厚みを、粒子線の到達する深さが患部の形状に適合するように、あらかじめブロック下面に凹欠状切り欠き部が形成されているものである。
【0017】この発明の請求項11に係る粒子線治療装置は、分割ブロックがすべて同一材質で作成されているものである。
【0018】
【発明の実施の形態】実施の形態1.以下、この発明の実施形態を図について説明する。図1はこの発明の実施形態1に係る粒子線治療装置を示す概念図であり、(a)は斜視図、(b)(c)はそれぞれ治療状態を示す切り欠き部分の断面図である。図1において、1は治療台、2はその天板であり、この天板2はCFRPなどの材質からなる。2aはこの天板2の一部を切り欠いた部分(図では穴で示している)である。3は治療台の支柱、4はこの支柱3に取り付けられていて天板2を上下左右に移動、及び回転移動等を行うための駆動機構である。5は天板2の下方に配置された照射ノズルであり、ここから粒子線ビームが出て治療台上の患者11の治療を行う。なお、この照射ノズル5は、床に固定されていても、また回転ガントリの照射ノズルでもよい。図1の(b)は原理を示した図であり、治療台の長手方向から切り欠きのある断面を見た場合を示している。11は治療される患者であり、その体内に照射される患部Aを有する。12は照射ノズル5から出てくる粒子線ビームを模式的に示したものである。また、同図(c)は位置決めにおける断面を示しており、13はX線14を放出するX線管、15は患者11と天板2を通過してきたX線を検知し、画像として表示するための検出器であり、II管(イメージインテンシファイヤー)やイメージングプレートなどからなる。
【0019】次に動作について説明する。以上に示す実施の形態1による粒子線治療装置では、天板2の中央付近に穴状の切り欠き2aが形成されており、患者11をこの天板2上に載せたとき、図1(b)に示すように、その患部Aが上記穴状の切り欠き2aの直上部位にくるように配置する。従って、照射ノズル5はこの切り欠き2aを通してビーム12が天板材質を通らずに人体に照射するようになっている。また、同図(c)の位置合わせの際にも、X線管13とX線検出器15の間には切り欠き2aを通して人体、あるいは、着用した下着類の薄い衣類のみをX線14が通過するようにしている。
【0020】このように、この実施の形態1によれば、治療ビームは天板材質を通過せずに患部を下方から照射することができ、天板材質でのビームのエネルギー損失や散乱が無いために、腫瘍などの患部Aがビームから深い位置にあっても、照射治療が可能となる。また、患者の天板を移動させての位置合わせの際には、X線管とその検出器の間のX線透過領域に腫瘍を含めた部分で人体のみを通過し、余分な天板材質を通過しないので、特に腫瘍まわりの骨格等の投影画像がより鮮明になり、位置合わせに要する時間が削減されたり、より正確な位置合わせの達成にすぐれた効果を発揮する。
【0021】なお、上記の切り欠き部分は、予め天板にスリットを設けておいて、使用時にその部分のみを取り外し可能として、切り欠き部分を構成するようにしてもよい。
【0022】実施の形態2.図2はこの発明の実施の形態2に係る粒子線治療装置の治療台を示す構成図であり、図において、天板2の切り欠き部の位置が、2aと2bと2cの数種類のもの(図では2A,2B,2Cの3種類)が用意されていて、そのうち患者の治療部位に応じて適切なものに取り替え、適宜、治療台の駆動機構4に着脱可能に取り付けられるようになっている。
【0023】この実施の形態2による粒子線治療装置の治療台では、さまざまな切り欠き部の天板を用意しており、患者の治療部位にあわせて予め天板を取り替えることで、患者の位置を天板上で切り欠き部に合わせるように動かす必要がなく、患者への負担を減らすことができる。即ち、この実施の形態2によれば、上記実施の形態1と同様のメリットを有するうえに、さらに患者を動かす必要がないものである。例えば、切り欠き部が2bのような天板では、特に回転ガントリーのように自由に角度を替えて照射できる場合で、斜め下方からの場合に、ビームが腫瘍に到達するまでにその一部が天板を通過するということがなく、治療計画も簡単となる。
【0024】実施の形態3.図3(a)はこの発明の実施の形態3に係る粒子線治療装置の治療台を示す構成図である。図において、6は真鍮等の材質からなるコリメータであり、個々の患者用に照射野の形(患者の患部にそって照射したい領域)に穴6aがあいている。また、7は補償フィルターやリッジフィルターと呼ばれる、ビームを整形する各種の機器を示す。なお、従来の照射装置では、コリメータ6やフィルター7が照射ノズル5の中に組み込まれている。
【0025】この実施の形態3による粒子線治療装置の冶療台では、図3(b)に示す天板2の切り欠き部分2aに上記コリメータ6が取り付けられるようになっており、さらにそのコリメータ6には、補償フィルターやリッジフィルター等の各種フイルター7が重ねて取り付けられるようになっている。従って、通常、照射ノズル5側に設置されているコリメータや各種フィルターが、患者のより患部に近い場所に設置できるものである。
【0026】以上のように、この実施の形態3によれば、天板2をビームが通らずに下方からの照射ができるというメリットの他に、コリメータや各種フィルターが患者の患部により近いところに設置されており、このコリメータと患者の位置を正確に合わせれば、ノズルと治療台の位置が多少ずれていても、患部にあたるビームはコリメータで決められるので問題がない。また、コリメータがより患部に近くなることで、ビームの半影ボケのような影響が少なくなって、ビームのコントラストがシャープになるという効果がある。
【0027】実施の形態4.図4はこの発明の実施の形態4に係る粒子線治療装置の治療台を示す構成図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図である。図において、1は治療台、2はその天板2の一部で、8はこの天板2の両側に突き出した、剛性を保つための支持棒である。9と16はCFRP等の材料からなるブロックであり、支持棒8に通すことができるようにそれぞれ貫通部9a,16aを設けている。このブロックは片側の支持棒だけに通すスペーサタイプ16と両支持棒を通すタイプのブロック9があり、それらのブロックの支持棒に串刺しする方向の厚みにそれぞれ様々な厚みをもつものを用意している。そして、スペーサブロック16はブロック9の間隔を調整するスペーサの役割を果たし、これらを支持棒8に図(b)のように串刺ししていくことにより、一体となって天板を構成するとともに、切り欠き部2aを形成する。
【0028】この実施の形態4による粒子線治療装置の治療台では、天板が分割されたブロック状になっており、これらを任意の順序で支持棒8に挿入できるので、様々な厚みのブロックあるいはスペーサブロックを組み合わせて、その順番を変えることにより、任意の位置に任意の幅の穴のあいた部分を配置することが可能となる。従って、この穴の位置を患者の照射したい部分にくるように患者の患部にあわせて組み合わせることにより、下方からの照射治療において、照射ノズルから天板を通さずに、治療ビームを照射したり、X線での位置決め用の透過像を得ることが可能となる。以上のように構成すれば、実施の形態2で示したような、切り欠いた天板を幾種類も用意することなく、ブロックの組み合わせだけで対応することが可能となる。
【0029】なお、以上の説明では、2個一対のスペーサブロック16を用いて切り欠き部分2aを作製したものを示したが、ブロック9に穴状の切り欠き部を形成したものを用意し、その穴の開いたブロックをスペーサブロック16の代わりに用いてもよい。
【0030】実施の形態5.図5はこの発明の実施の形態5に係る粒子線治療装置の治療台を示す構成図であり、(a)は斜視図、(b)は組立て平面図である。図において、2,3,4,8は上記実施の形態4に示したものと同様であるので説明を省略する。10は真鍮等の材料からなるコリメータを形成したブロックであり、支持棒8に通すことができるように貫通部10aを設けているとともに、穴状の切り欠き部10bが配設されている。また、9はCFRP等の材料からなるブロックで、支持棒8に串刺しする方向の厚みにそれぞれ様々な厚みをもつものを用意している。そして、これらブロック9,10を支持棒8に串刺ししていくことにより、一体となって天板全体を構成する。
【0031】この実施の形態5による粒子線治療装置の治療台では、天板が分割されたブロック状になっており、患者の照射野を形作るコリメータのブロックとともに、任意の順序で入れられるので、様々な厚みのブロックの組み合わせ、およびコリメータのブロックの順番を変えることにより、任意の位置にコリメータブロックを配置することが可能となる。従って、このコリメータブロック10の位置を患者の照射したい部分に切り欠き部10bが合致するように患者の患部にあわせて組み合わせることにより、下方からの照射治療において、照射ノズルから天板を通さずに、治療ビームを照射することが可能となるとともに、照射ノズルではなく、患者の患部に近い位置でビームをコリメートすることができ、半影ボケ等の影響を少なくすることが可能となる。
【0032】実施の形態6.図6はこの発明の実施の形態6に係る粒子線治療装置の治療台の構成を示す斜視図である。図において、2,3,4は、上記実施の形態5と同様のものであり、17は天板2の一部に当る部分から一方へコ字状に突き出して形成され、治療台の剛性を確保する構造体となる天板フレームである。9はCFRP等の材料からなるブロックであり、その下面には溝9bが設けてあって、上記フレーム17にブロック9の溝9bがかみ合って配置することができるようになっている。次に、10は真鍮等の材料からなるコリメータを形成したブロックであり、上記ブロック9と同様に、その下面に溝10cが設けてあり、この溝10cをフレーム17に挿入して配置することができるようになっている。そして、これらのブロック9,10をフレーム17にかみ合わせ挿着することにより、一体となって天板全体を形成する。なお、10bはブロック10にあけられた穴状の切り欠き部である。
【0033】この実施の形態6による粒子線治療装置の治療台では、天板が分割されたブロック状になっており、その下部に設けられた溝9b,10cによって治療台天板フレーム17に上面から取り付けられるようになっている。この場合、患者の照射野を形成するコリメータのブロック10も同様に構成されているので、任意の順序で入れるときに、治療台上面から取り外しができ、順序の入れ替えが簡単である。即ち、これらの様々な厚みのブロック9,10の組み合わせと、その順番を変えることにより、任意の位置にコリメータブロックを配置することが可能となる。従って、本実施形態においては、実施の形態5に示したものと同様の効果が得られるうえに、配置の変更、つまりブロックの並べ替えにおいて入れ替えを容易にすることが可能となる。
【0034】実施の形態7.図7はこの発明の実施の形態7に係る粒子線治療装置の治療台の構成を示す斜視図(a)とその補償フィルタ18の断面図であり、図において、17は上記実施の形態6と同様に治療台の剛性をたもつ構造体となる天板フレーム、9はポリエチレン等の材料からなるブロックであり、その下面には溝9bが設けてあって、上記天板フレーム17にこの溝9bがかみ合って配置することができるようになっている。一方、18は上記ポリエチレンブロック9を3次元的に加工した補償フィルターであり、その下面に溝18aを有しており、天板フレーム17とかみ合って配置することができるようになっている。そして、これらブロック9,18を天板フレーム17にかみ合わせることにより、一体となって天板を形成する。そして、上記補償フィルター18は、水等価なポリエチレン等の材質でつくられ、患部の奥行きの深さとビームの到達個所を合わせるためにドリル等で予め掘削した凹欠状切り欠き18bが形成されており、この凹欠状切り欠きは、ビームから見たときにこの補償フィルター18の厚みと人体の患部終端までの厚みが一定となるように加工されているものである。なお、従来の装置は照射ノズルの先にこれが取り付けられている。
【0035】この実施の形態7による粒子線治療装置の治療台では、天板が分割されたブロック状になっており、その下部に設けられた溝によって治療台天板フレームに上面から取り付けられるようになっていて、ブロックが補償フィルター18と同じ材質で作られているので、その任意のブロックに掘削を施こして補償フィルターを作製することができる。これによって、材料の種類を増やすことなく、治療台と補償フィルターを作製し、しかもその補償フィルターが患部の位置にくるように設定することが可能となる。特に、ビームが通過する補償フィルターのブロック以外のブロックに、他の患者のために掘削使用した補償フイルターを再利用することができる。このように、材料の再利用が可能であるとともに、ブロックの種類も補償フィルターと同じ材質の一種類に統一することができ、コストの削減が容易となる。
【0036】
【発明の効果】請求項1に示す発明によれば、治療ビームは天板材質を通過せずに患部を下方から照射するので、天板材質でのビームのエネルギー損失や散乱が無いために、腫瘍などの患部Aがビームから深い位置にあっても、照射治療が可能となる。また、患者の天板を移動させての位置合わせの際には、X線管とその検出器の間のX線透過領域に腫瘍を含めた部分で人体のみを通過し、余分な天板材質を通過しないので、特に腫瘍まわりの骨格等の投影画像がより鮮明になり、位置合わせに要する時間が削減されたり、より正確な位置合わせの達成にすぐれた効果を発揮する。
【0037】請求項2に示す発明によれば、上記請求項1に示す効果のうえに、使用時に切り欠き部分のみを取外せるように着脱可能に構成したので、取扱い上極めて便利である。
【0038】請求項3に示す発明によれば、上記請求項1に示す効果のうえに、回転ガントリを用いることで、自由に角度を替えて照射でき、斜め下方からの患部へのビームの到達を容易にする。
【0039】請求項4に示す発明によれば、上記請求項1に示す効果のうえに、複数種の切り欠き部を有する天板を用意することで、切り欠いた部分が照射される患部へ臨機応変に的確に合致可能とする。
【0040】請求項5に示す発明によれば、上記請求項1に示す効果のうえに、患者の患部に、より近い部分にビーム整形機器を取付けることができる。
【0041】請求項6に示す発明によれば、異なる場所に切り欠いた部分を有する天板を幾種類も用意する必要がないので、より効率的である。
【0042】請求項7及び8に示す発明によれば、穴状切り欠きを自由な位置に配置することが可能となる。
【0043】請求項9に示す発明によれば、切り欠き部にコリメータやフィルターのついたブロックを自由に配置することが可能となる。
【0044】請求項10に示す発明によれば、ブロック下面に凹欠状切り欠き部を形成したので、患者の患部に適合させることが容易になし得る。
【0045】請求項11に示す発明によれば、各分割ブロックを同一材質で構成したので、再利用が可能である。
【出願人】 【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区丸の内二丁目2番3号
【出願日】 平成13年12月26日(2001.12.26)
【代理人】 【識別番号】100094916
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 啓吾 (外3名)
【公開番号】 特開2003−190304(P2003−190304A)
【公開日】 平成15年7月8日(2003.7.8)
【出願番号】 特願2001−393027(P2001−393027)