| 【発明の名称】 |
極微小船の体内航行装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】矢部 孝
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| 【要約】 |
【課題】体外からのレーザー照射により極微小船を航行させることができる極微小船の体内航行装置を提供する。
【解決手段】極微小船の体内航行装置において、被推進体を有する極微小船30を血管41内に装填して、体内の体液を介してこの極微小船30に体外からレーザー42を照射することにより、極微小船30を体内で航行させる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】(a)被推進体を有する極微小船と、(b)該極微小船を体内に装填し、体内の体液を介して前記極微小船に体外からレーザーを照射する手段とを備え、(c)前記極微小船を体内で航行させることを特徴とする極微小船の体内航行装置。 【請求項2】(a)被推進体を有する極微小船と、(b)該極微小船を体内に装填し、体内の体液を介して前記極微小船に体外からX線を照射する手段とを備え、(c)前記極微小船を体内で航行させることを特徴とする極微小船の体内航行装置。 【請求項3】 請求項1又は2記載の極微小船の体内航行装置において、前記極微小船の被推進体にレンズを配置することを特徴とする極微小船の体内航行装置。 【請求項4】 請求項3記載の極微小船の体内航行装置において、前記レンズは、前記極微小船の被推進体に各方面に向けて配置される複数のレンズであることを特徴とする極微小船の体内航行装置。 【請求項5】 請求項1、2、3又は4記載の極微小船の体内航行装置において、前記極微小船を血管内に配置することを特徴とする極微小船の体内航行装置。 【請求項6】 請求項1、2、3又は4記載の極微小船の体内航行装置において、前記極微小船を肺内に配置することを特徴とする極微小船の体内航行装置。 【請求項7】 請求項5又は6記載の極微小船の体内航行装置において、前記極微小船に薬を搭載し、前記レンズを介するレーザー又はX線の照射により病巣において投薬することを特徴とする極微小船の体内航行装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、極微小船に係り、特に、体外からのレーザー駆動による極微小船の体内航行装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】本願発明者は、(1)被推進体と、この被推進体の後方に設けられる流動性レーザー光透明体と、この流動性レーザー光透明体に繰り返しレーザーを照射することにより、駆動される繰り返し推進装置と、(2)少なくとも金属部分を有する飛行機と、この飛行機本体の金属部分の後方に設けられる流動性レーザー光透明体と、この流動性レーザー光透明体に繰り返しレーザーを照射することにより駆動される繰り返し推進装置付き軽量小型飛行機を提案し、既に特願2001−380312として特許出願を行っている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本願発明者は、かかる繰り返し推進装置を用いた軽量小型飛行機を極微小体内船へと展開させて、体内への導入を図る。 【0004】本発明は、上記状況に鑑み、体外からのレーザー照射により極微小船を航行させることができる極微小船の体内航行装置を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するために、〔1〕極微小船の体内航行装置において、被推進体を有する極微小船と、この極微小船を体内に装填し、体内の体液を介して前記極微小船に体外からレーザーを照射する手段とを備え、前記極微小船を体内で航行させることを特徴とする。 【0006】〔2〕極微小船の体内航行装置において、被推進体を有する極微小船と、この極微小船を体内に装填し、体内の体液を介して前記極微小船に体外からX線を照射する手段とを備え、前記極微小船を体内で航行させることを特徴とする。 【0007】〔3〕上記〔1〕又は〔2〕記載の極微小船の体内航行装置において、前記極微小船の被推進体にレンズを配置することを特徴とする。 【0008】〔4〕上記〔3〕記載の極微小船の体内航行装置において、前記レンズは、前記極微小船の被推進体に各方面に向けて配置される複数のレンズであることを特徴とする。 【0009】〔5〕上記〔1〕、〔2〕、〔3〕又は〔4〕記載の極微小船の体内航行装置において、前記極微小船を血管内に配置することを特徴とする。 【0010】〔6〕上記〔1〕、〔2〕、〔3〕又は〔4〕記載の極微小船の体内航行装置において、前記極微小船を肺内に配置することを特徴とする。 【0011】〔7〕請求項5又は6記載の極微小船の体内航行装置において、前記極微小船に薬を搭載し、前記レンズを介するレーザー又はX線の照射により病巣において投薬することを特徴とする。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。 【0013】まず、微小体の推進原理について説明する。 【0014】図1は本発明にかかる推進装置の原理の説明図である。 【0015】この図において、物質1とレーザーに対して透明な物質2が接着されており、この二つの物質1,2の間にレーザー3が照射されると、物質2はレーザー3に対して透明であるため、物質2側から入射したレーザー3はこれを通過し物質1まで達する。このとき、運動量保存の法則により、MU=muが成立する。 【0016】これを用いると、物質1と物質2の部分の運動エネルギーの比は、MU2 /mu2 =m/Mとなる。 【0017】したがって、物質2が空気のような質量の軽い物質であると、m≪Mであるため、ほとんどの運動エネルギーは物質2の方へ行き、物質1(例えば、飛行機)を加速する効率が悪い。 【0018】そこで、m,Mを同等にすれば、エネルギーが効率よく、物質1(例えば、飛行機)に与えられる。 【0019】図2は本発明にかかる繰り返し推進装置の模式図である。 【0020】この図において、11は被推進体(金属体)としてのアルミニウム体、12はこの被推進体11の後方に設けられる(付着される)流動性透明体としての液滴、13はこの液滴12に繰り返し照射されるレーザー、14はそのレーザー13によって発生するアブレイションによる駆動力、15はその駆動力14が液滴12に作用して発生する反作用力としての推進力である。 【0021】これによれば、レーザー13が照射されアブレイションによる駆動力14が発生すると、すぐに流動性透明体としての液滴12は復元し、次の照射されるレーザーにより再びアブレイションによる駆動力14が発生し、これを繰り返すことにより、継続的な推進力15を得ることができる。 【0022】また、被推進体11と液滴12との二重構造の効果は、図3に示すように、半導体ロードセル(豊田工機社製 Model PA−6/10N)による直接的な力の測定でも実証された。図3はアルミニウム薄膜のみの場合(B)と、その上にアクリル板を付着させた場合(A)での、レーザー照射によって、物体に働く力の時間変化を示す図である。 【0023】なお、この図において、横軸は時間(μsec)、縦軸は力(N)であり、(A)の場合は、(B)の場合に比べて、数倍の力を発生させることができた。 【0024】このように、本発明によれば、より実現性の高いレーザーの応用として、小さな物体をレーザー光で繰り返し、推進させることができる。 【0025】図4は本発明の推進装置を水中で駆動する実験装置を示す図である。 【0026】この図において、21はレーザーに対して透明なコップ、22はそのコップ21内に入っている水、23は渡し棒、24はその渡し棒23から下げられる吊し糸、25はその吊し糸24の先端に設けられるアルミニウム板、26はレーザーである。 【0027】本発明では、図2で示した液滴12の部分を、図4に示すように、水22とすることにより、水22を連続的に供給可能な効率の良い推進装置を提案する。すなわち、このような二重構造は、実は水中では全体が水であるので自動的に形成されている。この構造の場合、効果があるかどうかを調べるために、図4に示すように、コップ21の中に水22を入れ、ここに7mm×5mm×1.5mmの矩形のアルミニウム板25を吊るし、これにパルス幅5ナノ秒のYAGレーザー26を照射する実験を行った。 【0028】これを高速度カメラで撮影したものが図5である。このときのレーザーエネルギーは560mJであった。図5(a)はアルミニウム板へのレーザー照射前の状態、図5(b)はアルミニウム板へのレーザーが照射された瞬間の状態、図5(c)はアルミニウム板が推力を得た状態、図5(d)〜図5(f)は次第にアルミニウム板が推力を得て移動する状態を示している。 【0029】この実験の結果を空中での同様の実験と比較したのが、表1である。 【0030】 【表1】
【0031】この表1において、運動量結合係数はアルミニウム板の得た運動量/レーザーエネルギーであり、単位はN.sec/MJである。 【0032】このように、明らかに水中の方が大きな運動量を得ている。水中では水の抵抗のためにアルミニウム板が動きにくいにも関わらず、より大きな運動量を得ているということは、アルミニウム板と水の二重構造にレーザーが照射されたときに、いかに大きな力が発生するかが分かる。 【0033】このような推力装置の原理は体液(ほぼ水)に満たされた血管やリンパ管などへ適用できる。 【0034】以下、本発明の実施例を示すレーザー駆動の極微小船の構成とその血管への適用例について説明する。 【0035】図6は本発明の実施例を示す極微小体内航行船の構成図である。 【0036】この図において、30は極微小船(ミクロンサイズ)、31はその本体、32は本体31から延びる脚体、33はその脚体32によって極微小船30に固定されるレンズ、34は外部からレンズ33を介して本体31へ照射されるレーザーである。 【0037】図7は本発明の実施例を示す血管内の極微小船に体外からレーザーを照射して航行させる様子を示す図である。 【0038】この図において、40は体の部分(例えば、リンパ管を有する筋肉)、41は血管、42は体外から照射されるレーザーである。 【0039】この実施例では、体外からレーザー42を照射することにより、極微小船30を外部から駆動することができる。現在の技術で波長40オングストロームのX線レーザーが照射可能であるが、これは水を完全に透過する。人体は80%が水であるので、これを用いれば、図7に示すように、人体外部から、血管41内の極微小船30にレーザーを照射することができる。 【0040】この際に人体への影響を極力少なくするためには、レーザーの強度を非常に弱くする必要がある。そこで、図6に示すような、レンズ33を備えたミクロンサイズの極微小船30を用いれば、レーザー34は極微小船30の近傍でだけ強度が増加するので安全である。また、極微小船30に多数のレンズ33を備え各方向に向ければ、外部からのレーザー34はこの極微小船30に焦点を合わせて照射しなくても、極微小船30の近傍で集光され、レーザー強度が増大する。 【0041】現在、このような目的のためのマイクロレンズが開発されており、文献:S.Tamura,K.Ohtani,N.Kamijyo,K.Mori,T.Maruhashi,K.Yoshida,Y.Suzuki and H.Kihara,“Fabrication and Testing of Cu−Al Multi−Layer Fresnel Zone Place”,真空 Vol.40,pp.234−237,(1997)によれば、波長1オングストロームのX線を47ミクロンの大きさのレンズで0.5ミクロンまでに集光することに成功している。これは、強度にして1万倍に増幅されたことになる。従って、人体に損傷を与えることのない弱いX線を極微小船の近傍でだけ増幅させることにより、安全な照射が可能である。この結果は、通常のX線でも使用可能であり、必ずしもX線レーザーである必要はないことを示す。 【0042】図8に示す、本発明者の実験とシミュレーションから得られた、レーザー強度と運動量結合係数Cmの比例則から計算すると、0.5ミクロンに集光すべきレーザーの強度は、パルス幅5ナノ秒であればわずか30ミリワットでよい。また、これに要するエネルギーはわずか140ピコジュール(ピコは1兆分の1)となり、現在の技術で全く問題なく発生させることができる。 【0043】図9は本発明の実施例を示す血管内の極微小船に薬を搭載してレーザー照射することにより、投薬を行う様子を示す図である。 【0044】この実施例に示すように、極微小船50を観測船として血管54内で航行させることができるだけでなく、薬52をこの極微小船50の本体51に搭載して、病巣56の位置でこの薬52を体外から照射されるレーザー53でレンズ55を介して破壊し、投薬することが可能となる。 【0045】また、この極微小船に羽毛のような羽根を付ければ、肺の中のような体内の気体中でも航行させることができる。 【0046】また、レーザーは繰り返し照射することにより、極微小船を任意の位置まで航行させることができる。 【0047】更に、上記実施例では、主にレーザーの照射による極微小船の駆動について説明したが、必ずしもレーザーである必要はなく、シンクロトロン等から発生するX線や、電子ビームやレーザーを金属に当てて出るX線から切り出された特定の波長域のX線を用いてもよい。実際に、吉田国雄らによって作製されたフレネルレンズは上記の放射光を0.5ミクロンにまで収束させている。X線でもよいということは、実現の可能性が格段に上がり、既存の技術で十分に対応できることを意味している。 【0048】なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。 【0049】 【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明によれば、以下のような効果を奏することができる。 【0050】(A)極微小船を体内に装填して体内の体液を介して体外からレーザー又はX線を照射し、極微小船を体内で航行させることができる。 【0051】(B)極微小船の被推進体に各方面に向けられる複数のレンズを備え、極微小船を体内に配置して、微弱なレーザーでも極微小船近傍だけで、強度を増加させることができる。 【0052】(C)極微小船の被推進体に各方面に向けられる複数のレンズを備え、極微小船を血管内に配置して、血管内を航行させることができる。 【0053】(D)極微小船の被推進体に各方面に向けられる複数のレンズを備え、極微小船を体内に配置して、極微小船に薬を搭載して、レーザー又はX線を照射し、レンズを介して病巣に投薬することができる。 【0054】(E)極微小船の被推進体に各方面に向けられる複数のレンズを備え、極微小船を血管内に配置して、極微小船に薬を搭載して、レーザー又はX線を照射しレンズを介して病巣に投薬することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】396020800 【氏名又は名称】科学技術振興事業団
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| 【出願日】 |
平成14年4月16日(2002.4.16) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100089635 【弁理士】 【氏名又は名称】清水 守
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| 【公開番号】 |
特開2003−305126(P2003−305126A) |
| 【公開日】 |
平成15年10月28日(2003.10.28) |
| 【出願番号】 |
特願2002−112962(P2002−112962) |
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