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【発明の名称】 透析用の精製水製造システム
【発明者】 【氏名】齊藤 和洋

【氏名】大坪 真也

【要約】 【課題】エンドトキシンのないクリーンな精製水を生成する。

【解決手段】供給された原水中のエンドトキシンを除去するエンドトキシン除去手段を逆浸透膜装置よりも上流に具備してなり、逆浸透膜装置はエンドトキシン除去手段によりエンドトキシンが低減された原水を精製して精製水を生成する。これにより、逆浸透膜装置に入り込む原水それ自体がエンドトキシンのない清浄水とされ、このエンドトキシンのないクリーンな精製水を使用して透析液を製造する。逆浸透膜装置の上流の段階にエンドトキシン除去手段を設ける構成であり、従来のように透析液供給装置の段階でエンドトキシン除去設備を設ける構成に比べて、透析液供給装置に対するシステム構成変更が一切不要であるために、簡単かつ安価にエンドトキシン汚染のない透析液を生成することが可能となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 供給された原水を軟水化する軟水化装置と、前記原水中の塩素分を除去する活性炭装置と、逆浸透膜により原水を精製する逆浸透膜装置とを具備する透析用の精製水製造システムにおいて、前記原水中のエンドトキシンを除去するエンドトキシン除去手段を、前記逆浸透膜装置よりも上流に具備したことを特徴とする透析用の精製水製造システム。
【請求項2】 前記エンドトキシン除去手段は、前記軟水化装置よりも上流に設けられる請求項1に記載の透析用の精製水製造システム。
【請求項3】 前記エンドトキシン除去手段は、耐塩素性のエンドトキシン除去フィルタエレメントで構成される請求項1又は2に記載の透析用の精製水製造システム。
【請求項4】 精製水の非生成時において前記エンドトキシン除去フィルタエレメントを逆洗浄する逆洗浄手段を更に具備する請求項3に記載の透析用の精製水製造システム。
【請求項5】 精製水の非生成時において前記エンドトキシン除去手段で処理された原水を前記軟水化装置の再生洗浄用水として使用することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の透析用の精製水製造システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、透析治療に用いられる高度に清浄な透析液を生成する透析システムに関する。特に、医療安全上の問題を発生することなく、簡単かつ安価にエンドトキシン汚染のないクリーンな透析液を生成することのできるようにした透析用の精製水製造システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】医療分野においては腎不全患者の尿毒素等を取り除くための透析医療が行われており、こうした透析医療(詳しくは血液透析)を行うための透析システムが従来から知られている。該透析システムの概要を簡単に説明すると、予め生成済みの透析液と患者体内からの血液とをダイアライザー(透析器)に対して送り、ダイアライザーでは送られてきた血液と透析液とを透析膜を介して接触させることで、血液中の老廃物や余分な水分などを血液から分離する。そして、老廃物や余分な水分などを分離した浄化済みの血液は患者体内へと戻される。他方、分離された老廃物や余分な水分などは透析液により運び去られて透析廃液として排出される。このような透析システムにおいて、ダイアライザーに供給される透析液は原水(一般的には水道水)から不純物・異物などを除去した精製水(または純水)に薬液(つまり透析原剤)を加えることによって生成されている。透析液生成のために使用する精製水を製造するシステムは、プレフィルターによる原水中に含まれるごみや微粒子などの除去、軟水化装置による硬度成分の除去(例えば、イオン交換による原水の軟水化)、活性炭装置による残留塩素の除去、ROモジュール内の逆浸透膜による各種金属イオンなどの除去、といったような処理工程からなる。
【0003】ところで、細菌の一種であるグラム陰性菌から派生するエンドトキシン(ET:細菌内毒素)が透析液に残留すると大きな問題となる。このエンドトキシンが患者の体内に多量に混入すると、患者に血圧降下や発熱などをもたらし、さらに重篤な場合には患者の生命をも危険たらしめる可能性がある。また、このエンドトキシンが細かく分裂した破片(フラグメント)が引き起こす患者の慢性的な障害も指摘されている。そこで、こうした問題を引き起こす原因となるエンドトキシンを低減するために、従来から種々の検討がなされてきた。例えば、透析終了後に、次亜鉛素酸ナトリウム溶液等の洗浄液を透析液流路に流すことが試みられているが、このような洗浄法ではエンドトキシンを簡単には低減することができない。また、透析液の流路にて洗浄を行う構成であるため、透析システム構成の大きな改変を余儀なくされ、装置改変のためのコストが極めて高額となってしまう。また、既設の透析システムに気軽に適用できるものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術においては、透析液中のエンドトキシンを除去するという観点に目を奪われていたが故に、ダイアライザーに対する透析液の製造装置又は供給流路等の部分に対して、大がかりな殺菌・洗浄装置を導入しており、しかし、そうでありながら、十分なエンドトキシン除去効果を上げることは困難であった。これは、透析液の製造装置又は供給流路等の部分では、透析液そのものに対して殺菌消毒液等を添加することは到底できず、透析終了後のメンテナンス処理として殺菌・洗浄を行うしかなかったため、抜本的なエンドトキシン除去対策とはなり得なかったためと思われる。
【0005】本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、既設の透析システムの構成をそれほど大きく改変することなく、比較的安価なコストで、かつ、透析液におけるエンドトキシンを有効に除去できるようにしたシステムを提供しようとするものである。すなわち、予め原水に使用する水道水中に含まれるエンドトキシンを低減し、該エンドトキシンを低減した水を段階的に精製して精製水を得る、あるいは該エンドトキシンを低減した水を軟水化装置における軟水膜の再生に用いることによって、水道水中に含有されるエンドトキシン濃度よりもエンドトキシン濃度の低い精製水を安価かつ容易に生成することができるようにした透析用の精製水製造システムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明では、上述のような従来技術とは視点を変え、透析液製造装置の上流にある精製水製造装置の部分に着目し、この部分で適切にエンドトキシンを除去した精製水を供給することにより、その下流で生成される透析液中にエンドトキシンが含まれることがないようにしようとするものである。すなわち、本発明は、透析用の精製水製造システムを改善することにより、その下流で生成される透析液中にエンドトキシンが含まれることがないようにしようとするものである。このために、本発明に係る透析用の精製水製造システムは、供給された原水を軟水化する軟水化装置と、前記原水中の塩素分を除去する活性炭装置と、逆浸透膜により原水を精製する逆浸透膜装置とを具備する透析用の精製水製造システムにおいて、前記原水中のエンドトキシンを除去するエンドトキシン除去手段を、前記逆浸透膜装置よりも上流に具備したことを特徴とする。
【0007】この発明によると、供給された原水中のエンドトキシンを除去するエンドトキシン除去手段を逆浸透膜装置よりも上流に具備してなり、前記逆浸透膜装置は前記エンドトキシン除去手段によりエンドトキシンが低減された原水を精製して精製水を生成する。このように、逆浸透膜装置の上流の段階で原水中のエンドトキシンを除去するようにしたので、逆浸透膜装置に入り込む原水それ自体がエンドトキシンのない清浄水とされ、逆浸透膜装置以降の工程におけるエンドトキシンの繁殖が防がれ、極めてクリーンな精製水が得られる。したがって、次の透析液製造工程において、このようにエンドトキシンのないクリーンな精製水を使用して透析液を製造することにより、エンドトキシン汚染のないクリーンな透析液を生成することができるようになる。逆浸透膜装置の上流の段階にエンドトキシン除去手段を設ける構成であるため、従来のように透析液供給装置の段階でエンドトキシン除去設備を設ける構成に比べて、透析液供給装置に対するシステム構成変更が一切不要であるため、簡単かつ安価である。また、既存の透析システムにおける透析液供給装置及びダイアライザー周辺の改造が不要であり、精製水製造システムの部分でエンドトキシン除去手段を付加すればすむために、病院に既設の透析システムに対して容易かつ安価に適用できる。一例として、エンドトキシン除去手段は軟水化装置よりも上流に設けると、精製水製造過程の早い段階で原水中のエンドトキシンを除去できるので好ましいことが確かめられた。それは、その後の工程(軟水化処理、活性炭処理、RO処理等)におけるエンドトキシンの繁殖を適切に防止することができ、かつ、微量のエンドトキシンが残っていたとしてもそれらの後工程で容易に除去されるためと思われる。
【0008】ところで、軟水化装置に対しては塩化ナトリウムを付加した水道水を用いて電気分解させることによる軟水膜(例えば、イオン交換樹脂などのエレメント)の再生を行っている。しかし、エンドトキシンを派生するグラム陰性菌は特別な細菌ではなく一般生活環境に生存している常在菌であり、水道水にも所定量含まれている。一般的に水道水に含まれるエンドトキシン濃度は所定の許容範囲内であるが、上記したように従来においては軟水化装置における軟水膜の再生を行う場合にも水道水を用いており、軟水膜の再生時に用いられた水道水中に含まれるエンドトキシンが増えることによって軟水化装置が汚染されてしまうことが起こり得る。汚染された軟水化装置を用いて原水の精製を行うと、生成された精製水のエンドトキシン濃度が水道水中に含有される通常のエンドトキシン濃度と比較して非常に高いものとなることから精製水として使うことができず非常に都合が悪い。そこで、本発明の好ましい一実施例として、精製水の非生成時において前記エンドトキシン除去手段で処理された原水を前記軟水化装置の再生洗浄用水として使用するように構成するとよい。こうすると、常に軟水化装置をエンドトキシンが付着していないきれいな状態で使用することができることから、原水の精製時においてエンドトキシン汚染のない精製水を常時生成することができるようになり、さらに有利である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照してこの発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0010】図1は、この発明に係る透析用の精製水製造システムの一実施例を採用した透析システムの全体構成例を示すシステムブロック図である。この実施例に示した透析システムは、プレフィルター1、耐塩素性ETカットモジュール2、軟水化装置3、活性炭装置4、ROモジュール5で構成される精製水製造システムと、透析液供給装置6、ダイアライザー(透析器)7、排水装置8とにより構成される。勿論、透析システムはこれら以外の装置を有していてもよい。
【0011】プレフィルター1は、原水(例えば水道水)に含まれるごみや微生物などを取り除いて原水を濾過するためのフィルターである。該プレフィルター1で濾過された原水は、耐塩素性ETカットモジュール2に供給される。耐塩素性ETカットモジュール2はプレフィルター1では濾過され得ないエンドトキシン発生の基となる細菌の一種であるグラム陰性菌を取り除くための装置であり、原水のエンドトキシン濃度を数百程度に低減するフィルターエレメント(濾過膜)を具える。通常、標準的な透析システムにおいて原水として使用される水道水は、水質の清浄度の指標とされるエンドトキシン濃度が都市部で数千から数万を示すものである。こうした水道水を耐塩素性ETカットモジュール2に通すことにより、エンドトキシン濃度が数千から数万を示していた水道水が数百程度のエンドトキシン濃度を示す清浄水へと変えることができる。こうして耐塩素性ETカットモジュール2によりエンドキシン濃度が低減された原水は、軟水化装置3に供給される。耐塩素性ETカットモジュール2は耐塩素の特性を持ったET(エンドトキシン)カット用のフィルターエレメント(濾過膜)で構成される装置であるために、水道水のような塩素により消毒された水であってもフィルターエレメントをあまり痛めることもなく、ETカットの性能を長く保つことのできるものである。こうした耐塩素性ETカットモジュール2に対するメンテナンスは、エンドトキシン濃度を低減するために水道水を流す通常の方向とは逆方向に所定の洗浄液(例えば、次亜鉛素酸ナトリウム溶液などの消毒液)を流すことによって、ETカット用のフィルターエレメントの再生洗浄を行うことができるようになっている。これについての説明は後述する。
【0012】軟水化装置3には耐塩素性ETカットモジュール2によりエンドトキシン濃度が低減された原水が供給され、該原水に含まれるカルシウムやミネラルなどの硬度成分を除去するためのイオン交換を行う装置である。これにより、原水は軟水化される。また、精製水の非生成時においてはメンテナンスのために、原水を精製するための通常の方向とは逆方向に軟水化装置3に対して耐塩素性ETカットモジュール2から供給された原水を塩化ナトリウムと共に流すことにより、軟水化装置3の再生を行うことができるようになっている。すなわち、軟水化装置3における軟水膜(例えば、イオン交換樹脂などのエレメント)に付着したカルシウムなどの硬度成分を塩化ナトリウムと反応させることによって除去・洗浄し、軟水膜の再生を行う。こうした軟水化装置3における軟水膜の再生時において耐塩素性ETカットモジュール2を通して処理された水道水を使用すると、従来のように直接水道水を使用して軟水膜の再生を行った場合に比較して軟水化装置3自体がエンドトキシンに汚染される可能性が各段に低くなる。また、軟水膜の再生を行っても軟水化装置3自体がエンドトキシンに汚染される可能性が非常に低くなると、軟水膜の再生処理回数を増やすことができる。例えば、従来のように直接水道水を使用する場合には週に多くても3回程度しか軟水膜の再生処理を行うことができなかったが、本実施例のようにETカットした清浄水を使用する場合には週に6〜7回程度(つまり、ほとんど毎日の患者への透析医療終了後に)軟水膜の再生処理を行うことができるようになる。こうして軟水膜の再生処理回数を増やすと常に軟水膜をきれいな状態で使用することができるようになり、軟水化装置3内に滞留又は発生するエンドトキシンによる汚染がなくなる。なお、耐塩素性ETカットモジュール2としてほぼ100%の割合でエンドトキシンを除去できる高性能のものを用いた場合は、該耐塩素性ETカットモジュール2よりも下流の工程でエンドトキシンが繁殖する恐れがなくなるため、軟水膜の再生処理回数を特に増やすことなく、従来通りの週に数回の再生処理回数であっても問題ない(すなわち、軟水化装置3内に滞留又は発生するエンドトキシンによる汚染の恐れがない)。
【0013】活性炭装置4は、軟水化装置3から送られた軟水化された原水に含まれる残留塩素を除去するための装置である。この活性炭装置4により原水中の残留塩素が除去されると細菌等が繁殖し易くなるため、エンドトキシンによる汚染が非常に起こりやすい環境となる。しかし、該活性炭装置4に送られる原水は耐塩素性ETカットモジュール2により大幅にエンドトキシンが除去された清浄水であることから、エンドトキシンの原因となる細菌が存在せず、よって活性炭装置4以降でも細菌の繁殖が起こらず、従来のようにエンドトキシン濃度が著しく増大することがない。ROシステム5は逆浸透(RO)膜を含む装置であり、この逆浸透膜を活性炭装置4から送られた原水が通過することにより、原水に含まれるアルミニウムイオンなどの各種金属イオンを除去する。以上のようなプレフィルター1、耐塩素性ETカットモジュール2、軟水化装置3、活性炭装置4、ROモジュール5を原水が順次に通過することにより、原水中に含まれる各種イオン、微粒子、細菌、エンドトキシンなどが除去された高度に清浄な精製水を得ることができるようになっている。
【0014】こうして得られた精製水に対して薬液(つまり透析原剤)を加えることにより透析液が生成され、透析液供給装置6は該生成した透析液を個々の患者毎のダイアライザー(透析器)7に供給する。透析液は、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、塩素イオン、酢酸、ブドウ糖などを含む。ダイアライザー7では、患者から送られてきた血液と透析液供給装置6から送られてきた透析液とを透析膜を介して接触させることで、血液中の老廃物や余分な水分などを血液から分離する。そして、老廃物や余分な水分などを分離した浄化済みの血液は患者体内へと戻し、分離された老廃物や余分な水分などは透析液と一緒に排水装置8に送る。排水装置8では、透析液に含まれている成分以外に患者血液中に含まれていた尿毒性物質(例えば、尿素窒素、クレアチニン、尿酸など)等を含んだ透析廃液を排出する。
【0015】本発明に係る透析システムにおける耐塩素性ETカットモジュール2に対しては、精製水を生成するための原水を流す通常の方向とは逆方向に洗浄液を流すことにより、耐塩素性ETカットモジュール2におけるETカット用のフィルターエレメントを洗浄することができるようになっている。そこで、こうした耐塩素性ETカットモジュール2の洗浄システムについて、図2を用いて説明する。図2は、耐塩素性ETカットモジュール2の洗浄システムについて説明するためのブロック図である。
【0016】上述したように、原水を精製する場合において、供給された原水はプレフィルター1、耐塩素性ETカットモジュール2、軟水化装置3、活性炭装置4、ROモジュール5を通ることによって段階的に精製される(図1参照)。こうした原水の精製を、多量に、長い期間行い続けると、プレフィルター1、耐塩素性ETカットモジュール2、軟水化装置3、活性炭装置4、ROモジュール5の各性能が落ちてしまうことから、こうした性能の低下を避けるために定期的なメンテナンスが必要である。特に、耐塩素性ETカットモジュール2のフィルターエレメントの性能、つまりエンドトキシン除去性能が落ちてしまうと、有効にエンドトキシンの除去を行うことができなくなってしまい、耐塩素性ETカットモジュール2以降においてエンドトキシンによる汚染が生じ易くなることから非常に都合が悪い。そこで、精製水を生成する際に原水を流す方向(図2において実線で表わす矢印参照)とは逆向きに洗浄液供給装置9から洗浄液を供給することによって、耐塩素性ETカットモジュール2内のエンドトキシンを消毒しながら、耐塩素性ETカットモジュール2のフィルターエレメントを洗浄する。すなわち、フィルターエレメントの逆洗浄処理を行う(図2において点線で表わす矢印参照)。
【0017】この図2から理解できるように、洗浄液供給装置9は、洗浄液原液タンク9A内に蓄えられている洗浄液原液(例えば、次亜鉛素酸ナトリウムのような消毒液)と、プレフィルター1によりごみや微生物などを除去した原水とを混ぜ合わして洗浄液を生成し、該生成した洗浄液を送液ポンプ(図示せず)による圧力により流水路に送り込む。コントロール装置PCは、洗浄液供給装置9による原水と洗浄液原液の混合量や生成した洗浄液の流水路への供給量及び供給圧力を制御するための電磁弁A、プレフィルター1と耐塩素性ETカットモジュール2との間、耐塩素性ETカットモジュール2と軟水化装置3との間に配置された複数の電磁弁Bの制御を行うことによって、原水を精製する方向とは逆方向に洗浄液が流れるように制御するためのコンピュータのような制御装置である。すなわち、図示のように、コントロール装置PCでは流水路の適宜の位置に配置された複数の電磁弁Bの開閉を制御して洗浄液の流路を変更することによって、洗浄液供給装置9により生成された洗浄液が軟水化装置3に流れていかないように、また耐塩素性ETカットモジュール2を洗浄した後の洗浄液がプレフィルター1に流れていかないように、逆洗浄処理時の流路を形成するようにしている。
【0018】以上のように、ROモジュール5よりも上流の処理工程にンドトキシンを除去する耐塩素性ETカットモジュール2を配置し、原水を精製する早い段階でエンドトキシンを除去しておき、該エンドトキシンを除去した原水を軟水化装置3などに供給するようにしたことから、耐塩素性ETカットモジュール2以降の各装置においてエンドトキシン濃度が高くなる可能性を減らすことができる。すなわち、予めエンドトキシンを除去しておくことによって各装置がエンドトキシンに汚染される恐れがなく、またエンドトキシンの除去された原水を用いて精製水を生成するようにしたことから、高度に清浄な精製水を生成することができるようになる。また、耐塩素性ETカットモジュール2により予めエンドトキシンを除去した原水を軟水化装置3における軟水膜の再生に用いるようにしたことから、軟水膜の再生処理回数を大きく増やすことができ、それに伴い軟水化装置3に対する洗浄効果を高めることができるようになるので、これによっても耐塩素性ETカットモジュール2以降の各装置においてエンドトキシン濃度が高くなる可能性を減らすことができるようになる。すなわち、軟水膜の再生処理回数を増やすことで高い洗浄効果が期待でき、これにより軟水化装置3以降の各装置においてエンドトキシン濃度に大きな変化を生じることがなくなる。さらには、従来から知られた既存の透析システムにおいても簡単に耐塩素性ETカットモジュール2をプレフィルター1と軟水化装置3との間に挿入することは可能であることから、既存の透析システムを大幅に改変することなく、簡単かつ安価にエンドトキシン濃度の低い高度に清浄な精製水を生成することができるようになる、という利点もある。
【0019】なお、活性炭装置4をプレフィルター1の後に配置するようにしてもよい。そうすると、ETカットモジュール2を耐塩素性の材質で構成しなくてよくなるのでシステムをより安価に構築することができるようになる。また、耐塩素性ETカットモジュール2を用いているような場合であっても、活性炭装置4をプレフィルター1の後に配置すると、耐塩素性ETカットモジュール2におけるETカット用のフィルターエレメントを痛めることが少なくなるためにフィルターエレメントを長く使用することができ、これによりフィルターエレメントの交換頻度が少なくなるので、メンテナンスのためのコストを低く抑えることができるようになる。
【0020】なお、耐塩素性ETカットモジュール2は上記したようなフィルターのみに限らず、紫外線照射による殺菌灯などを含んでいてもよい。すなわち、エンドトキシン濃度を低減することのできる装置であればどのようなものであってもよい。なお、プレフィルター1や耐塩素性ETカットモジュール2などは多段に構成してもよいことは言うまでもない。そうした場合には、異なる性能のプレフィルター1や耐塩素性ETカットモジュール2を段階的に配置するようにするとよい。例えば、プレフィルター1を3段に構成する場合には、第1段として10〜15μmm以上のごみや微生物などを除去するフィルター、第2段として1.0〜5.0μmm以上のごみや微生物などを除去するフィルター、第3段として0.1μmm以上のごみや微生物などを除去するフィルターのように後段に性能のよいフィルターを配置して、段階的に大きさの異なるごみや微生物などを除去するようにするとよい。
【0021】
【発明の効果】この発明によれば、原水から予めエンドトキシンを排除しておき、こうした予め原水に含まれるエンドトキシンを低減した水を軟水膜の再生に用いたり、あるいは段階的に精製して精製水を得るようにしたことから、エンドトキシンの低減を安価かつ容易に実現することができるようになる、という効果を得る。
【出願人】 【識別番号】899000068
【氏名又は名称】学校法人早稲田大学
【出願日】 平成14年4月12日(2002.4.12)
【代理人】 【識別番号】100077539
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 義仁
【公開番号】 特開2003−305119(P2003−305119A)
【公開日】 平成15年10月28日(2003.10.28)
【出願番号】 特願2002−110732(P2002−110732)