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【発明の名称】 多枝流路管
【発明者】 【氏名】古荘 拓二
【住所又は居所】兵庫県西宮市六湛寺町9番8号 日本メジフィジックス株式会社内

【氏名】川戸 聖司
【住所又は居所】兵庫県三田市テクノパーク9番地の1 日本メジフィジックス株式会社兵庫工場内

【氏名】稗田 恭子
【住所又は居所】東京都千代田区九段北1−13−5 日本メジフィジックス株式会社東京本部内

【要約】 【課題】プレフィルドシリンジ内の薬液と他の薬液とを投与することを可能にする多枝流路管であって、廃棄物の量を少なくすることができ、また面倒な流路切り替え操作が不要であるとともに、流路内に溜まるエアの量を少なくすることができる多枝流路管を提供する。

【解決手段】2つの流入口4、6と、これら流入口とそれぞれ連通する1つの流出口8とを有する多枝流路管とする。また、流入口の一方にプレフィルドシリンジ70の栓72を穿刺する流路針18を装着する。さらに、流路の合流部14と流出口とは常時連通させるとともに、2つの流入口と合流部との間の流路10、12の一方を開き、他方を閉じる流路切替機構20を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 2つ以上の流入口と、前記2つ以上の流入口とそれぞれ流路を介して連通する1つの流出口とを有し、前記2つ以上の流入口からの流路が合流部で合流し、この合流した流路が流出口に至る多枝流路管であって、前記2つ以上の流入口の内の一部の流入口にはプレフィルドシリンジの栓を穿刺する流路針が装着され、かつ前記合流部と流出口とは常時連通しているとともに、前記2つ以上の流入口と合流部との間の流路のいずれか1つを開き、他を閉じる流路切替機構が設けられていることを特徴とする多枝流路管。
【請求項2】 流路針は該流路針が装着された流入口から取り外し可能であることを特徴とする請求項1に記載の多枝流路管。
【請求項3】 流路針を包囲する流路針保護部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の多枝流路管。
【請求項4】 2つの流入口を備え、一方の流入口には流路針が装着され、他方の流入口には流路針が装着されていないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の多枝流路管。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薬液を予め充填した薬液充填済み注射器(プレフィルドシリンジ)を用いて体内に薬液を投与する際に使用される多枝流路管に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、プレフィルドシリンジを用いて体内に薬液を投与する際に使用される三方活栓として、特許第2764432号に示されたものがある。この三方活栓は、二系統の液体注入口と一系統の液体注出口を有し、液体の流れを一系統または二系統に選択的に制御する三方活栓において、液体注入口の一方に、注射液が予め封入されたゴム栓付きカートリッジ型注射シリンジ(プレフィルドシリンジ)の先端と嵌合しつつ上記ゴム栓を穿刺する注射針を連通突設せしめたものである。この三方活栓を用いた場合、プレフィルドシリンジ内の薬液と他の薬液(例えば生理食塩水)とを体内に投与することが可能となる。
【0003】
【特許文献1】特許第2764432号公報【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述した特許第2764432号の三方活栓は、下記(イ)〜(ハ)に示す問題点を有するものであった。
【0005】(イ)特許第2764432号の三方活栓は、3本の分岐管を有する「分枝筒体」と、この分枝筒体の分岐管に対応する流路を有して分枝筒体の中に回転自在に配設された「回転栓体」と、流路を切換えるために回転栓体に取り付けられた「コック部」とを備え、さらに針と三方活栓とが一体化されたものであるため、部材数が多く、質量、体積が大きい。したがって、廃棄物となった際の質量、体積が大きくなる。また、針が一体化されているため、三方活栓全体が金属を含む廃棄物となる。さらに、プレフィルドシリンジは放射性医薬品に使用されるため、この場合には廃棄物は全て金属を含む放射性廃棄物となる。
【0006】なお、放射性医薬品を取り扱った後のシリンジや注射針等は、放射性廃棄物として処分されるものであり、廃棄物の材質によって不燃物、可燃物、難燃物等に分類された上で、(財)日本アイソトープ協会等の放射性廃棄物処理業者により集荷され処分される。
【0007】(ロ)特許第2764432号の三方活栓は、流路切り替えのために回転栓体の流路を分枝筒体の分岐管に対応させる際に、コック部を回転させて決められた位置に合わせる必要があるため、両手での細かい操作を要し、また誤操作も起こりやすい。
【0008】(ハ)特許第2764432号の三方活栓は、回転栓体内に流路が設けられているため、流路内に溜まるエアの量が多く、薬液を投与する際のエア抜きが面倒である。
【0009】本発明は、前述した事情に鑑みてなされたもので、プレフィルドシリンジを用いて体内に薬液を投与する際に使用され、プレフィルドシリンジ内の薬液と他の薬液とを体内に投与することを可能にする多枝流路管であって、廃棄物、特に放射性廃棄物の量を少なくすることができ、また、コック部を回転させるという両手での細かい流路切り替え操作が不要であるとともに、流路内に溜まるエアの量を少なくすることができる多枝流路管を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達成するため、2つ以上の流入口と、前記2つ以上の流入口とそれぞれ流路を介して連通する1つの流出口とを有し、前記2つ以上の流入口からの流路が合流部で合流し、この合流した流路が流出口に至る多枝流路管であって、前記2つ以上の流入口の内の一部の流入口にはプレフィルドシリンジの栓を穿刺する流路針が装着され、かつ前記合流部と流出口とは常時連通しているとともに、前記2つ以上の流入口と合流部との間の流路のいずれか1つを開き、他を閉じる流路切替機構が設けられていることを特徴とする多枝流路管を提供する。
【0011】本発明の多枝流路管は、流入口の数が2つである場合、例えば次のように使用される。まず、流路針が装着された流入口と合流部との間の流路を流路切替機構により閉じた状態で、流路針が装着されていない流入口に第1の薬液(例えば生理食塩水)を充填した注射器を連結するとともに、流出口に注射針を連結し、上記注射器を用いて第1の薬液の流入口と注射針先端との間の流路を第1の薬液で満たし、被投与者に注射針を穿刺する。次に、流路針が装着された流入口に第2の薬液(例えば放射性医薬品)を充填したプレフィルドシリンジを連結し、流路針が装着された流入口と合流部との間の流路を流路切替機構により開いた状態で、プレフィルドシリンジを用いて注射針から第2の薬液を被投与者に投与する。
【0012】したがって、本発明の多枝流路管は、多数の部材からなる三方活栓を使用することなく流路を切り替えるので、廃棄物の量を少なくすることができる。また、流路切替機構の操作という容易な操作のみで流路を切り替えるので、コック部を回転させるという両手での細かい流路切り替え操作が不要で、誤操作も防ぐことができる。さらに、三方活栓のように回転栓体内に流路を有するものではないので、流路内に溜まるエアの量を少なくすることができる。
【0013】この場合、本発明において、流路切替機構の構成に特に限定はなく、流入口と合流部との間の流路のいずれか1つを開き、他を閉じることができるものであればよい。流路切替機構として、具体的には、後述する実施形態に示すように、進退することによって流路を切り替えるプラグ式切替コック等を挙げることができる。
【0014】また、本発明では、流路針は該流路針が装着された流入口から取り外し可能であることが適当である。これにより、金属を含む廃棄物の量を減らすことができる。
【0015】さらに、本発明では、流路針を包囲する流路針保護部を有することが好適である。これにより、流路針による指先穿刺等の危険を防止する効果、および流路針の針先に対する外部からの衝撃や流路針の針先と外部との接触を防ぐ針先保護効果などを得ることができる。流路針保護部の構成は適宜決定することができるが、例えば、流路針に密着して流路針を覆うゴムを設け、使用時に針先が上記ゴムを突き破ってプレフィルドシリンジの栓を穿刺する構成、流路針が装着された流入口に着脱されるプラスチック等からなるキャップであって、流路針を包囲するキャップを設ける構成等を挙げることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明するが、本発明は下記例に限定されるものではない。
【0017】図1は本発明に係る多枝流路管の一実施形態を示す概略図である。本例の多枝流路管2は、金属、プラスチック、ガラス等により形成された略Y字状の管材を主体とするもので、2つの流入口、すなわち第1の流入口4および第2の流入口6と、上記2つの流入口4、6とそれぞれ流路を介して連通する1つの流出口8とを有する。第1の流入口4からの流路10と第2の流入口6からの流路12とは合流部14で合流し、この合流した流路16が流出口8に至っている。
【0018】第2の流入口6には、プレフィルドシリンジの栓を穿刺する流路針18が取り外し可能に装着されている。また、合流部14と流出口8とは常時連通しているとともに、2つの流入口4、6と合流部14との間の流路10、12の一方を開き、他方を閉じる流路切替機構20が合流部14の近傍に設けられている。
【0019】図2および図3は上記流路切替機構の一例を示す斜視図である。本例の流路切替機構では、流路針が装着された流入口と合流部との間の流路に大径部102とその上流側の小径部104とが形成され、大径部102にプラグ式切替コック106が配設されている。プラグ式切替コック106は、後端に円錐部108を有するプラグ本体110と、プラグ本体110を多枝流路管の外からの操作により進退させるスライド部材112とを有し、プラグ本体110内には第1流路114および第2流路116が形成されている。
【0020】本例の流路切替機構は、図2のようにスライド部材112の操作によりプラグ本体110を前進させたときには、プラグ本体110の外周面によって第1の流入口4と合流部との間の流路10の出口が塞がれ、この流路10が閉じられるとともに、プラグ本体110の第1流路114を通って第2の流入口6と合流部14との間の流路12に薬液が流れる(流路12は開)。一方、図3のようにスライド部材112の操作によりプラグ本体110を後退させたときには、円錐部108によって小径部104の開口部が塞がれ、第2の流入口6と合流部14との間の流路12が閉じられるとともに、プラグ本体110の第2流路116を通って第1の流入口4と合流部14との間の流路10に薬液が流れる(流路10は開)。
【0021】図4は本例の多枝流路管2の使用方法の一例を示す概念図である。図1および図4を参照すると、本例の多枝流路管2は例えば次のように使用される。なお、図4の符号■〜■と下記符号■〜■とは対応している。
【0022】■流路針18が装着された第2の流入口6と合流部14との間の流路12を流路切替機構20により閉じた状態で、第1の流入口4(流路針が装着されていない流入口)に生理食塩水を充填した注射器50を連結するとともに、流出口8に翼状針(注射針)60を連結する。
■注射器50のプランジャ52を前進させ、第1の流入口4と翼状針60先端との間の流路を生理食塩水で満たす。
■翼状針60を被投与者に穿刺する。
■注射器50のプランジャ52を若干後退させ、血管確保(翼状針60が血管内に刺さったか否かの確認)を行う。この場合、流路内に血液が逆流したときには血管確保がなされたことになる。
■放射性医薬品を充填したプレフィルドシリンジ70のゴム栓72に流路針18を穿刺して、第2の流入口6にプレフィルドシリンジ70を連結する。また、第2の流入口6と合流部14との間の流路12を流路切替機構20により開いた状態にする。なお、図中74はプレフィルドシリンジ70を収容した放射線遮蔽部材を示す。また、この■より前の段階で第2の流入口6にプレフィルドシリンジ70を連結してもよい。
■プレフィルドシリンジ70のガスケット76に取り付けたプランジャ78を若干後退させ、多枝流路管2内の流路内のエアを一旦プレフィルドシリンジ70内へ移す。
■プランジャ78を前進させ、プレフィルドシリンジ70内の放射性医薬品を被投与者に投与する。
■第2の流入口6と合流部14との間の流路12を流路切替機構20により閉じた状態にする。そして、注射器50のプランジャ52を前進させ、流路内に残存している放射性医薬品を生理食塩水により押し出して被投与者に全て投与する(生理食塩水フラッシュ)。
■第2の流入口6からプレフィルドシリンジ70を脱着する。
【0023】前述した実施形態では流入口の数を2つとしたが、3つ以上としてもよい。流入口の数を3つ以上とした場合、その内の少なくとも1つにプレフィルドシリンジの栓を穿刺する流路針を装着すればよい。流入口の数を3つとした例を次に示す。
【0024】流入口の数を3つとした本発明多枝流路管の一例を図5〜図7に示す。図5〜図7において、(a)は正面図、(b)は背面図を示す。本例の多枝流路管202は、3つの流入口、すなわち第1の流入口204、第2の流入口206および第3の流入口208と、上記3つの流入口204、206、208とそれぞれ流路を介して連通する1つの流出口210とを有する。第1の流入口204からの流路212、第2の流入口206からの流路214および第3の流入口208からの流路216とは合流部218で合流し、この合流した流路220が流出口210に至っている。
【0025】3つの流入口204、206、208の内の1つまたは2つの流入口には、プレフィルドシリンジの栓を穿刺する流路針(図示せず)が取り外し可能に装着されている。また、合流部218と流出口210とは常時連通しているとともに、3つの流入口204、206、208と合流部218との間の流路212、214、216のいずれか1つを開き、他を閉じる流路切替機構が設けられている。
【0026】本例の流路切替機構は、多枝流路管本体と一体に形成された管体224とプラグ式切替コック226とを具備する。プラグ式切替コック226は、管体224の内部にスライド可能に挿入された円柱形のプラグ本体228と、プラグ本体228を多枝流路管の外からの操作により進退させるスライド部材230とを有し、プラグ本体228内には径方向に沿って1本の流路232が形成されている。
【0027】本例の流路切替機構は、図5のようにスライド部材230の操作によりプラグ本体228を中央に配置したときには、プラグ本体228の流路232を通って第1の流入口204と合流部218との間の流路212に薬液が流れる(流路212のみ開)。図6のようにスライド部材230の操作によりプラグ本体228を正面から見て右側に配置したときには、プラグ本体228の流路232を通って第2の流入口206と合流部218との間の流路214に薬液が流れる(流路214のみ開)。図7のようにスライド部材230の操作によりプラグ本体228を正面から見て左側に配置したときには、プラグ本体228の流路232を通って第3の流入口208と合流部218との間の流路216に薬液が流れる(流路216のみ開)。
【0028】流入口の数を3つとした本発明多枝流路管の他の例を図8〜図10に示す。図8〜図10において、(a)は正面図、(b)は背面図を示す。本例の多枝流路管302は、3つの流入口、すなわち第1の流入口304、第2の流入口306および第3の流入口308と、上記3つの流入口304、306、308とそれぞれ流路を介して連通する1つの流出口310とを有する。第1の流入口304からの流路312、第2の流入口306からの流路314および第3の流入口308からの流路316とは合流部318で合流し、この合流した流路320が流出口310に至っている。
【0029】3つの流入口304、306、308の内の1つまたは2つの流入口には、プレフィルドシリンジの栓を穿刺する流路針(図示せず)が取り外し可能に装着されている。また、合流部318と流出口310とは常時連通しているとともに、3つの流入口304、306、308と合流部318との間の流路312、314、316のいずれか1つを開き、他を閉じる流路切替機構が設けられている。
【0030】本例の流路切替機構では、第2の流入口306と第3の流入口308との間の流路に大径部402とその上流側(両側)の小径部404、406とが形成され、大径部402にプラグ式切替コック408が配設されている。プラグ式切替コック408は、両端に円錐部410を有するプラグ本体412と、プラグ本体412を多枝流路管の外からの操作により進退させるスライド部材414とを有し、プラグ本体412内には径方向に沿った第1流路416、L字形の第2流路418およびL字形の第3流路420が形成されている。なお、第2流路418と第3流路420とは連通している。
【0031】本例の流路切替機構は、図8のようにスライド部材414の操作によりプラグ本体412を中央に配置したときには、プラグ本体412の第1流路416を通って第1の流入口304と合流部318との間の流路312に薬液が流れる(流路312のみ開)。図9のようにスライド部材414の操作によりプラグ本体412を正面から見て左側に配置したときには、プラグ本体412の外周面によって第1の流入口304からの流路312および第3の流入口308からの流路316が塞がれるとともに、プラグ本体412の第2流路418を通って第2の流入口306と合流部318との間の流路314に薬液が流れる(流路314のみ開)。図10のようにスライド部材414の操作によりプラグ本体412を正面から見て右側に配置したときには、プラグ本体412の外周面によって第1の流入口304からの流路312および第2の流入口306からの流路314が塞がれるとともに、プラグ本体412の第3流路420を通って第3の流入口308と合流部318との間の流路316に薬液が流れる(流路316のみ開)。
【0032】流入口の数を3つとした本発明多枝流路管の使用例としては、負荷検査が挙げられる。負荷検査としては、例えば、負荷薬剤を最初に投与し、次に放射性医薬品を投与し、最後に生理食塩水を投与するものがある。
【0033】
【発明の効果】以上のように、本発明の多枝流路管によれば、廃棄物、特に放射性廃棄物の量を少なくすることができ、また、コック部を回転させるという面倒な両手での細かい流路切り替え操作が不要であり、誤操作も防ぐことができるとともに、流路内に溜まるエアの量を少なくすることができる。
【出願人】 【識別番号】000230250
【氏名又は名称】日本メジフィジックス株式会社
【住所又は居所】兵庫県西宮市六湛寺町9番8号
【出願日】 平成14年12月26日(2002.12.26)
【代理人】 【識別番号】100095326
【弁理士】
【氏名又は名称】畑中 芳実 (外2名)
【公開番号】 特開2003−250911(P2003−250911A)
【公開日】 平成15年9月9日(2003.9.9)
【出願番号】 特願2002−377860(P2002−377860)