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【発明の名称】 薬剤を長期搬送するための方法およびデバイス
【発明者】 【氏名】クラレンス・シー・リー

【要約】 【課題】治療剤を長期に渡って組織または器官に搬送し得る移植可能デバイスを提供する。

【解決手段】蛋白質および細胞の如き巨大分子に浸透性を示さない壁20を含んでいるシリンダー10である。シリンダー壁20は、医学グレードのシリコン、ステンレス鋼、チタンまたはプラスチックで作られていてもよい。シリンダー10に、生分解性マトリックス30とそれと混和させた治療剤を充填する。シリンダー10の末端15、17は、組織に向かって開放されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】組織または器官の中に移植するための容器、該容器の中に含まれている治療剤、および少なくとも約3カ月の期間に渡って少なくとも約0.1μg/日の速度で該治療剤が放出されるように、該治療剤が該容器から該組織または器官の中に放出される速度を調節するための、該容器および該治療剤の少なくとも1つに関連した手段、を含んでいる、治療剤を組織または器官に長期搬送するための移植デバイス。
【請求項2】組織または器官の中に移植するための容器、該容器の中に含まれている治療剤、および少なくとも約3カ月の期間に渡って少なくとも約0.1μg/日の速度で該治療剤が放出されるように、該治療剤が該容器から該組織または器官の中に放出される率を調節するための、該容器および該治療剤の少なくとも1つに関連した手段、を含んでいる移植デバイスを、組織または器官の中に移植する段階を含む、組織または器官を治療する方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、治療剤を組織または器官に搬送(delivery)するための方法およびデバイスに関するものである。より詳細には、本発明は、1つの薬剤もしくは多数の薬剤を直接標的の平滑筋組織または器官に長期搬送するための方法およびデバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】体の中の数多くの器官および腺は、随意制御下でない点でそして光顕微鏡下で見て筋状もしくは帯状外観を有していない点で、骨格筋とは異なった筋を含んでいる。これらの平滑筋は、列になった規則正しい配列状態で組織化されていないことから筋が無い。平滑筋は、通常、長くてゆっくりした収縮を生じるように発達している。これらは、中枢神経中の細胞体と一緒に運動ニューロンからの指示を得るのではなく、自律神経系の神経繊維および循環しているホルモン類によって制御されている。
【0003】平滑筋は幅広い種類の機能を果している。これらは、小動脈の直径を調節し、従って圧力調整の助けとなっている。これらは、血管木の枝に筋肉括約筋を形成しており、従って血液を異なる毛細管床に分配するのを決定している。胃腸括約筋は、腸の内容物をこの消化管の1つの部分から次の部分に移すのを調節している。平滑筋は、膀胱および子宮の如き中空器官の大きさおよび内圧を調節している。平滑筋は、電気的活性、自動度、神経支配、循環ホルモン類および薬剤に対する応答、並びに細胞対細胞カップリングの度合などに関して大きく変化している(例えば非特許文献1参照)。
【0004】単一の平滑筋では、この筋肉が一単位として作用する結果として全ての繊維が収縮もしくは休息するように、収縮が同時進行する。単一の筋肉は、自発的活性を示し、電気的ペースメーカー活性を表し、そして活性が上昇するにつれて伸びに応答する。この神経支配密度は低く、そしてこれらの細胞は、ギャップジャンクションを通して電気的に密に対になっており、その結果として、一度開始された活性が迅速に細胞から細胞へと広がる。この多細胞筋肉は単一単位として作用する。従って、単一平滑筋は、横紋筋よりもずっと心筋に類似している。その例は、消化管および子宮、即ちそれら自身がゆっくりとしたリズミカルな動きを発生して伝播する器官である。
【0005】薬剤を組織または器官に長期投与することが必要な場合、薬剤を平滑筋組織または器官に徐放(time release delivery)することが望まれている。更に、治療する必要がある部位に直接薬剤を搬送することが可能なこと、それによって全身的な薬剤投与を回避することがしばしば有利である。これは特に、この薬剤を全身投与すると特定の組織または器官に有害である可能性がある場合真実である。局所的な搬送は、体の特定領域に所望薬剤を高濃度で搬送しても他の組織および器官には無害であることを可能にしている。
【0006】薬剤を特定組織もしくは器官に徐放するに適した用途の1つは、機械的に動的な器官として分類され得る内蔵用である。機械的に動的な器官の例には、これに限定されるものではないが、胃、腸類、心臓、膀胱、尿管、尿道、種々の括約筋および食道が含まれる。これらの器官の機能は、それらが示す正常なそして適時の機械的収縮によって維持されている。この機械的特性が失われたならば、これらの器官の意図した機能が完全もしくは部分的に損失する。
【0007】この機械的収縮は、この構成要素である平滑筋およびそれに伴う神経系の状態に依存している。これらの器官の収縮に影響を与える因子には、心配、生化学もしくはホルモンの不均衡もしくは平滑筋の病気または機能不全、および中枢もしくは末梢神経の障害が含まれる。ストレスが最終的にヒトの胃の収縮に影響を与える結果として何人かの個人に潰瘍が生じる原因となり得る時、特定の例を見ることができる。女性における子宮痙攣は、心配、生化学および/またはホルモンの不均衡によって生じ得る。末梢神経障害は切迫尿失禁の原因と成り得る。
【0008】内蔵の収縮を外部で調節するように設計されている現在利用できる治療は、病気になった特定の器官を電気的に刺激しそして/または筋向剤および/または神経化学品を全身投与することに限定されている。永久的な電気刺激装置の移植は、主要な外科手術と一般的な麻酔に関連した潜在的危険に患者をさらすことになる。この電気刺激移植片の機能不全または感染は、更にこれらの患者の予後を複雑にするか或は後戻りさせる可能性がある。神経化学品および/または筋向剤の全身的投与は、病気になっていない他の器官および組織に悪影響を与えることはよく知られている。この起こり得る副作用には、乾口、視覚がぼんやりすること、瞳孔拡大、頻拍、うとうと状態および便秘が含まれる。一般に、緑内障または心臓状態に関する患者は、これらの種類の薬剤の全身投与から排除されている。従って、神経化学品および/または筋向剤の局所的制御投与は、他の器官または神経系に有意な影響を与えることなく、標的器官に対するそれらの効果を最適にする。
【0009】いくつかの特許に短期搬送組成物およびデバイスが記述されている。例えば、特許文献1には、治療剤と混和することが可能でありそして体の中に移植することで短期の治療剤放出を可能にする生分解性ポリマーが開示されている。このポリマーは2種のポリオルトエステル類を基にしているものであり固体状ポリマーを生じる。この特許文献1に開示されているポリマーは、手術後回復期間の如き比較的短い期間に渡って化学治療剤を放出するように設計されている。この特許文献1に開示されている生分解性ポリマーは、長期投与、即ち1から2年が必要とされている場合には有効でない。
【0010】例えば、特許文献2には、膀胱の内部および尿道に治療剤を搬送するための方法および装置が開示されている。この特許文献2に開示されているデバイスは、治療剤のための貯蔵場所として作用する多孔質のミニ細胞様ポリマー容器である。このミニ細胞様孔の大きさが、該治療剤の拡散率を調節している。この特許文献2に記述されているデバイスは、治療剤を長期投与する目的で組織に移植するには不適切である。
【0011】例えば、特許文献3には、治療剤、オイルおよび適切なグリセリド放出改質剤を含んでいる、注射可能な徐放調剤が開示されている。この組成物は筋肉内注射され、そしてこの治療剤が数日間かけて放出される。この特許文献3に開示されている調剤は、治療剤を組織もしくは器官に長期搬送するには不適切である。
【0012】最後に、例えば、特許文献4には、水に不溶な薬剤が含まれている注射可能微小液滴が開示されている。この微小液滴の好適な使用は麻酔薬の局所的徐放である。再び、この微小液滴からの、水に不溶な薬剤の放出は数日間に渡るものである。この特許文献4に開示されている微小液滴は、数カ月から数年に渡って生物活性剤を放出するには不適切である。
【0013】
【非特許文献1】 Stephens, N.L.著「平滑筋収縮」(Smooth Muscle Contraction)、New York, M. Dekker (1984)【0014】
【特許文献1】 米国特許第4913903号明細書【0015】
【特許文献2】 米国特許第4871542号明細書【0016】
【特許文献3】 米国特許第4775659号明細書【0017】
【特許文献4】 米国特許第4725442号明細書【0018】
【発明が解決しようとする課題】必要とされているものは、標的組織に直接移植可能であると共に数カ月もしくは数年間かけて生物活性剤を好適にはゼロ次速度で放出することが可能な、注射可能デバイスである。このような注射可能デバイスは、特に、膀胱不安定病因を有する患者を治療するに有効である。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は、治療剤を組織もしくは器官に長期局所搬送するためのデバイスおよび方法である。本発明には、その中に生分解性マトリックスが入っている容器を含んでいるデバイスが含まれる。この生分解性マトリックスと治療剤とを混和する。この容器を組織の中に移植することができ、この組織は、この治療剤が長期投与されることによる利益を受ける。
【0020】
【発明の実施の形態】より詳細には、本発明は、組織または器官の中に移植するための容器、該容器の中に含まれている治療剤、および少なくとも3カ月の期間に渡って約0.1μgから約12mg/日の速度で該治療剤が放出されるように、該治療剤が該容器から該組織または器官の中に放出される率を調節するための、該容器および該治療剤の少なくとも1つに関連した手段、を含んでいる、治療剤を組織または器官に長期搬送するための移植デバイスである。
【0021】好適な具体例において、この容器はシリンダーであり、そしてこれには、このシリンダーを移植する組織に向かう少なくとも1つの開口部が備わっている。このシリンダーは、シリコン、ステンレス鋼、チタン、または他の種類の医学/外科グレードのプラスチックまたは金属から製造されていてもよい。本発明を構成するに使用され得るプラスチックには、これに限定されるものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびパリレン(parylene)が含まれる。このシリンダーの壁は、酵素または他の巨大分子に浸透性を示さず、そして任意に、水に対して浸透性を示さない。巨大分子は、ここでは、10,000ダルトン以上の分子量を有する分子として定義する。
【0022】本発明は、1つの面において、特に、筋向剤または神経化学品を平滑筋組織に投与するに適切である。本発明で利益を受け得る組織および器官には、これに限定されるものではないが、胃、腸類、心臓、子宮、膀胱、尿管、尿道、括約筋および食道が含まれる。
【0023】本発明は、純粋な排尿筋不安定に関するか、或は上位運動ニューロン損傷無しのストレス尿失禁と排尿筋不安定との組み合わせに関する、失禁頻度を低くするか或は無くするように設計されている。このデバイスは、少なくとも6カ月に渡って治療剤を有効に搬送することが可能であり、そして再移植可能である。この移植は、医者のオフィスの中か或は外来を基にして行われ得る。
【0024】従って、本発明の1つの目的は、治療剤を特別な組織または器官に局所長期投与するためのデバイスおよび方法を提供することにある。
【0025】本発明の別の目的は、筋向剤または神経化学品を平滑筋組織に長期搬送するためのデバイスおよび方法を提供することにある。
【0026】本発明の別の目的は、膀胱不安定病因を有する失禁患者にデバイスおよび方法を供給することにある。
【0027】上記および他の目的、特徴および利点は、以下に示す開示具体例および添付請求の範囲の詳述を再吟味することで明らかになるであろう。
【0028】本発明は、組織または器官の局所的長期治療のための装置および方法から成る。本発明は、特に、平滑筋組織および器官の長期治療に適切である。
【0029】本発明は、1つの具体例において、物理的に捕捉されているか或は共有結合的もしくはイオン的に生分解性マトリックスの中に固定されている治療剤が入っている容器を含んでいる装置である。これらの治療剤は、混合によって該マトリックスの中に物理的に捕捉されており、該マトリックス上にイオン結合しており、そして/または照射によるか或はこれに限定されるものではないがグルタルアルデヒド、ポリエチレングリコールエポキサイドまたはエチレンオキサイドを含む架橋剤の使用を通して共有結合的に結合していてもよい。好適な具体例において、この生分解性マトリックスはシリンダーの形態である。このシリンダーの側面は、好適には不浸透性コーティング物である。このシリンダーが有する一つの末端または両方の末端が該組織に開放されているか、或はこのシリンダーの末端は、水浸透性膜で覆われていてもよい。
【0030】図1に示すように、本発明の1つの具体例は、好適には蛋白質および細胞の如き巨大分子に浸透性を示さない壁20を含んでいるシリンダー10である。このシリンダー壁20は、医学グレードのシリコン、ステンレス鋼、チタンまたはプラスチックで作られていてもよい。このシリンダー10に、生分解性マトリックス30とそれと混和させた治療剤を充填する。このシリンダー10の末端15、17は、好適には組織に向かって開放されている。二者択一的に、このシリンダーの末端15、17は、水、巨大分子および任意の細胞に浸透性を示す膜で覆われていてもよい。本発明の別の具体例において、このシリンダー10の1つの末端15が、酵素および細胞に浸透性を示さない材料で密封されており、そしてこのシリンダーのもう1つの末端が組織に開放されていてもよい。図2は、シリンダー壁20とその中の生分解性マトリックス30を示しているシリンダー10の断面図である。
【0031】本発明の好適な具体例において、このデバイスの長さは好適には0.1cmから3.0cmであり、そして直径は好適には0.1cmから3.0cmである。本発明として意図するこのデバイスの好適な形状はシリンダーであるが、このデバイスは、これに限定されるものではないが、盤状もしくは環状を含む他の如何なる形状であってもよい。
【0032】このシリンダーの中に入れる生分解性マトリックスは、生適合性を示す材料、例えばリポソーム類、ポリラクチド類(ポリ乳酸)、ポリグリコリド(グリコール酸のポリマー)、ポリ(ラクチド コ−グリコリド)(乳酸とグリコール酸のコポリマー類)、ポリ無水物、ポリペプチド類、ヒアルロン酸、コラーゲン、コンドロイチン硫酸、カルボン酸、脂肪酸、燐脂質、多糖類、核酸、フェニルアラニン、チロシンおよびイソロイシンの如きアミノ酸、ポリヌクレオチド類、ポリビニルプロピレン、ポリビニルピロリドンおよびシリコンなどから選択されるマトリックスであってもよい。該治療剤は、生物活性を示すと共に最大の効果を得る目的で組織もしくは器官に長期投与することが必要とされている、如何なる化合物であってもよい。本発明に従って用いられ得る治療剤には、これに限定されるものではないが、抗ムスカリン剤、抗コリン作動剤、抗痙攣剤、カルシウム拮抗剤、カリウムチャンネル開放剤、筋向性弛緩薬、抗腫瘍剤、多シナプス阻害剤およびベータ−アドレナリン作動性刺激薬が含まれる。抗コリン作動剤の例は、臭化プロパンテリン、イミプラミン、臭化メペンゾレート、ヨウ化イソプロパミド、臭化クリジニウム、臭化メチルアニソトロピン、塩酸スコポラミンおよびそれらの誘導体が含まれる。抗ムスカリン剤の例には、これに限定されるものではないが、硫酸ヒオスシアミン、アトロピン、臭化メタンテリン、臭化エメプロニウム、臭化メチルアニソトロピンおよびそれらの誘導体が含まれる。多シナプス阻害剤の例は、バクロフェンおよびその誘導体である。β−アドレナリン作動性刺激薬の例はテルブタリンおよびそれの誘導体である。カルシウム拮抗剤の例はテロジリンおよびそれの誘導体である。筋向性弛緩薬の例には、これに限定されるものではないが、塩酸ジシクロミン、塩酸フラボキセート、塩酸パパベリン、塩化オキシブチニンおよびそれらの誘導体が含まれる。抗腫瘍剤の例には、これに限定されるものではないが、塩酸カルムスチンレバミソール、フルタミド、(w−メチル−N−[4−ニトロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル])、アドリアマイシン、塩酸ドキソルビシン、イダマイシン、フルオロウラシル、シトキサン、ムタマイシン、ムスタルゲンおよびロイコボリンカルシウムが含まれる。
【0033】これらの治療剤の放出速度はゼロ次速度であるか或はゼロ次速度に近いことが重要である。この治療剤の放出率は、標的組織もしくは器官および搬送すべき治療剤もしくは治療剤類に応じて変化する。この治療剤の放出率は、異なる溶解度および生分解性マトリックスを有する活性材料の選択、該治療剤を該生分解性マトリックスの中に物理的に捕捉するか或は化学的に固定する方法、該容器内の開口部の面積を調節することによってその組織に暴露される生分解性マトリックスの面積を変化させること、そして/または壁の浸透度および/または該治療剤に対する開口度を調節すること、によって調節され得る。
【0034】筋向性弛緩薬は、平滑筋を直接抑制するように働き、そしてコリン作動レセプタに対する遠方部位で該平滑筋に直接作用する。β−アドレナリン作動性刺激剤は、平滑筋中の弛緩仲介ベータレセプタを刺激する。カルシウム拮抗薬は、数多くの種類の平滑筋の弛緩をもたらす。このカルシウム拮抗薬は、カルシウムイオンが平滑筋に流入するのを低くするか或は抑制し、そして/またはカルシウムイオンを平滑筋から細胞外流体に輸送するカルシウムポンプを活性化する。全ての種類の平滑筋は、カルシウムイオンを貯蔵するための筋小胞体をほとんど発達させていないことから、平滑筋弛緩のためのカルシウム源は常に細胞外流体である。抗ムスカリン阻害剤は、ニューロエフェクター連結における副交感神経刺激の影響を防止する。これらの抗ムスカリン剤は、ニューロエフェクター連結における副交感神経刺激をもたらす。多シナプス阻害剤は、シナプス的に連結している数多くの神経細胞の鎖によって生じる神経伝導路中の神経細胞に作用することにより、平滑筋の弛緩を生じさせる。
【0035】ポリグリコリド/塩化オキシブチニンおよびポリラクチド/塩化オキシブチニンで作られている繊維(直径0.2mm)を、コーティング用シリコン室温加硫(RTV)の中に押した後、それから取り出す。このコートした繊維を0.5mmの断片に切断する。これらのポリグリコリド/塩化オキシブチニン繊維断片およびポリラクチド/塩化オキシブチニン繊維断片を、USPグレードのグリセロール中で混合する。次に、この懸濁させた材料を、16ゲージの経尿道カテーテル針を用いて内視鏡的に膀胱粘膜下組織の中に注入する。
【0036】如何なる方法でも本発明の範囲に対する制限として解釈されるべきでない下記の実施例を用いて本発明を更に説明する。それとは逆に、これは、本文中の記述を読んだ後の本分野の技術者に示唆を与え得る、本発明の精神および/または添付請求の範囲から逸脱することのない、本発明の種々の具体例、修飾および同等物に頼っている可能性があると明らかに理解される。
【0037】
【実施例】実施例I機械的撹拌を用いてポリラクチドと塩化オキシブチニン粉末(5:1重量)をブレンドした後、約140℃で押し出すことにより、長いケーブル(直径3mm)を生じさせる。このケーブルを1インチのペレットに切断する。これらのペレットの1つの端を生適合性シリコン(RTV)接着剤で遮断する。この遮断した末端を外側に向けながら、これらのペレットを真空チャンバ中のターンテーブルの上に置く。所望の真空度(約10-10ミリバール)に到達した後、DC電流を入れ、そして24K金ワイヤー電極に火花が生じるまで電圧を上昇させる。この金ワイヤー電極は、該ペレットの上でそれらに角度を付けるように位置している必要がある。最小で100Åの厚さの金がコーティングされるまで、その回転しているロッドの表面にその金を振り掛ける。次に、この接着性を示すトップを、引きはがすか或は機械的摩耗で取り除く。
実施例II撹拌を用いてポリグリコリドと硫酸ヒオスシアミン粉末(20:1重量)をブレンドした後、約160℃で押し出すことにより、5インチのロッド(直径1mm)を生じさせる。このロッドをその軸の回りで回転させながら、真空蒸着で純粋なプラチナをそれにコートして、厚さを10ミクロンに到達させる。次に、このロッドを1/2インチ断片に切断する。スタイレットが備わっている18ゲージの3.5インチ針を用いて、このペレットを直接、女性患者の膀胱首部組織の中に搬送する。適当な位置にスタイレットが付いているこの針を、会陰的にそしてその挿入した膀胱鏡と平行になるように挿入する。この膀胱鏡の助けで、これをその膀胱首部に向かって進めながら、この針の先端を位置させる。この先端がその膀胱首部から約1インチの所に来た時、この針が動かないように保持しながら、該スタイレットを取り外す。この針の管腔の中に、USPグレードのグリセロールを約0.3cc注入する。次に、この針の管腔の中に該1/2インチロッドを挿入し、続いて該スタイレットを用いて、このロッドを該膀胱首部組織の中に押し込む。該ロッドを該膀胱首部組織の中に挿入する間、該グリセロールが潤滑剤および保護層として機能する。
実施例IIIポリ無水物、即ち比率が20:80のビス(p−カルボキシフェノキシ)プロパンとセバシン酸のコポリマーを、テロジリン((N−1,1−ジメチルエチル)−α−メチル−γ−フェニルベンゼンプロパンアミン)と混合する。次に、この混合物を成形して10mmx3mmのペレットを生じさせる。実施例Iに記述したのと同様にして、これらのペレットに金をコートする。1つの末端を遮断しない。トロカール−スリーブシステムを用いて、このペレットを尿道周囲組織に搬送する。このコートされているペレットからテロジリンが≧1.7μg/時のゼロ次速度率で搬送される。
実施例IVポリ無水物コポリマーを、抗腫瘍剤であるカルムスチン(N,N−ビス(2−クロロエチル)−N−ニトロソ−尿素)およびアトロピンと混合する。寸法が10mm(L)x4mm(D)のペレットを生じさせる。これらのペレットの側面と1つの末端を金でコートする。1つの末端を開放したままにする。癌患者の前立腺腫瘍を取り出した後、縫合するに先立って、この外科部位に1個のペレットを残す。このペレットから該カルムスチンとアトロピンが消費されたら、必要に応じて、内視鏡の作業チャンネルを通して第二ペレットを搬送することができる。
実施例Vそれぞれ内部および外部直径が1.5cm(L)x1.0cm(内部寸法)x1.7cm(L)x1.4cm(外側寸法)のステンレス鋼製筒状容器に、プロパンテリンとポリ乳酸(1:50)を充填した後、加圧下で圧縮する。その開放末端をニトロセルロース膜で閉じる。次に、この筒状デバイスを、外科手術によるか或は内視鏡を用いて、慢性嘔吐で苦しんでいるウシの胃壁に移植する。
実施例VIポリグリコリド/プロパンテリン(80:20)およびポリラクチド/メトスコポラミン(50:50)から作成した繊維(直径0.2mm)を、コーティング用シリコン(RTV)の中に押し出す。次に、これらの2種のコートした繊維を1.0mm断片に切断する。USPグレードのグリセロールの中で、これらのポリグリコリド/プロパンテリン繊維断片とポリラクチド/メトスコポラミン繊維断片を混合する。次に、この懸濁している材料を、14ゲージのカテーテル針を用いて内視鏡的に、嘔吐を有するウシの胃壁の中に注入する。
【0038】勿論、上記は本発明の好適な具体例にのみに関するものであり、添付請求の範囲の中に列挙する本発明の精神および範囲から逸脱しない限り、数多くの修飾および変更をそれに関して行い得る、と理解すべきである。
【0039】本発明の特徴および態様は以下のとうりである。
1. 組織または器官の中に移植するための容器、該容器の中に含まれている治療剤、および少なくとも約3カ月の期間に渡って少なくとも約0.1μg/日の速度で該治療剤が放出されるように、該治療剤が該容器から該組織または器官の中に放出される率を調節するための、該容器および該治療剤の少なくとも1つに関連した手段、を含んでいる、治療剤を組織または器官に長期搬送するための移植デバイス。
2. 該治療剤が放出される率を調節するための、該容器および該治療剤の少なくとも1つに関連した該手段が、該治療剤に浸透性を示す容器の一部を含んでいる、第1項の移植デバイス。
3. 該浸透性部分の浸透率を調節することによって該治療剤の放出率を調節する第2項の移植デバイス。
4. 該浸透性部分の寸法を調節することによって該治療剤の放出率を調節する第2項の移植デバイス。
5. 該治療剤が放出される率を調節するための、該容器および該治療剤の少なくとも1つに関連した該手段が、該治療剤がその中に固定されている生分解性マトリックスを含んでいる、第1項の移植デバイス。
6. 該生分解性マトリックスの生分解率を調節することによって該放出率を調節する第5項の移植デバイス。
7. 該容器が、巨大分子に浸透性を示さない材料で構成されている第1項の移植デバイス。
8. 該治療剤が抗ムスカリン剤、抗コリン作動剤、抗痙攣剤、カルシウム拮抗剤、カリウムチャンネル開放剤、筋向性弛緩薬、多シナプス阻害剤、ベータ−アドレナリン作動性刺激薬および抗腫瘍剤から成る群から選択される第1項の移植デバイス。
9. 該治療剤が臭化プロパンテリン、イミプラミン、硫酸ヒオスシアミン、塩化オキシブチニン、カルムスチン、ジシクロミンおよびテロジリンから成る群から選択される第1項の移植デバイス。
10. 該生分解性マトリックスがポリラクチド、ポリ無水物、ポリグリコリド、ポリペプチド類、ヒアルロン酸、コラーゲン、コンドロイチン硫酸、カルボン酸、燐脂質、多糖類、核酸、フェニルアラニン、チロシン、イソロイシン、ポリヌクレオチド類、ポリエチレングリコールおよび蜜ろうから成る群から選択される第5項の移植デバイス。
11. 該容器がシリンダーである第1項の移植デバイス。
12. 巨大分子に浸透性を示さない該材料がステンレス鋼、金、チタンおよびプラスチックから成る群から選択される第7項の移植デバイス。
13. 該プラスチックがポリエチレン、ポリプロピレンおよびパリレンから成る群から選択される第12項の移植デバイス。
14. 組織または器官の中に移植するための容器、該容器の中に含まれている治療剤、および少なくとも約3カ月の期間に渡って少なくとも約0.1μg/日の速度で該治療剤が放出されるように、該治療剤が該容器から該組織または器官の中に放出される率を調節するための、該容器および該治療剤の少なくとも1つに関連した手段、を含んでいる移植デバイスを、組織または器官の中に移植する段階を含む、組織または器官を治療する方法。
15. 該治療剤が放出される速度を調節するための、該容器および該治療剤の少なくとも1つに関連した該手段が、該治療剤に浸透性を示す容器の一部を含んでいる、第14項の移植方法。
16. 該浸透性部分の浸透率を調節することによって該治療剤の放出率を調節する第15項の移植方法。
17. 該浸透性部分の寸法を調節することによって該治療剤の放出率を調節する第16項の移植方法。
18. 該治療剤が放出される速度を調節するための、該容器および該治療剤の少なくとも1つに関連した該手段が、該治療剤がその中に固定されている生分解性マトリックスを含んでいる、第15項の移植方法。
19. 該生分解性マトリックスの生分解率を調節することによって該放出率を調節する第18項の移植方法。
20. 該容器が、巨大分子に浸透性を示さない材料で構成されている第14項の移植方法。
21. 該治療剤が抗ムスカリン剤、抗コリン作動剤、抗痙攣剤、カルシウム拮抗剤、カリウムチャンネル開放剤、筋向性弛緩薬、多シナプス阻害剤、ベータ−アドレナリン作動性刺激薬および抗腫瘍剤から成る群から選択される第14項の移植方法。
22. 該治療剤が臭化プロパンテリン、イミプラミン、硫酸ヒオスシアミン、カルムスチン、塩化オキシブチニン、ジシクロミンおよびテロジリンから成る群から選択される第21項の移植方法。
23. 該生分解性マトリックスがポリラクチド、ポリ無水物、ポリグリコリド、ポリペプチド類、ヒアルロン酸、コラーゲン、コンドロイチン硫酸、カルボン酸、燐脂質、多糖類、核酸、アミノ酸、ポリヌクレオチド類、ポリエチレングリコールおよび蜜ろうから成る群から選択される第18項の移植方法。
24. 該容器がシリンダーである第14項の移植方法。
25. 巨大分子に浸透性を示さない該材料がステンレス鋼、金、チタンおよびプラスチックから成る群から選択される第20項の移植方法。
26. 該プラスチックがポリエチレン、ポリプロピレンおよびパリレンから成る群から選択される第25項の移植方法。
【出願人】 【識別番号】592055299
【氏名又は名称】シー・アール・バード・インコーポレーテツド
【出願日】 平成5年6月1日(1993.6.1)
【代理人】 【識別番号】100060782
【弁理士】
【氏名又は名称】小田島 平吉
【公開番号】 特開2003−250909(P2003−250909A)
【公開日】 平成15年9月9日(2003.9.9)
【出願番号】 特願2003−41251(P2003−41251)