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【発明の名称】 ステント
【発明者】 【氏名】石井 達三
【住所又は居所】神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1500番地 テルモ株式会社内

【要約】 【課題】動脈瘤内に充填した塞栓物質の離脱を防止することができるステントを提供すること。

【解決手段】ステント1は、血管10の動脈瘤11付近に挿入・留置して使用されるもので、全体形状がほぼ筒状をなし、伸張性を有する網状体で構成されたステント本体2を有する。ステント本体2の側壁部には、開口3が形成され、該開口3には、弁体4が設置されている。弁体4は、フランジ状の基部41と、該基部41からステント本体2の外方に向かって突出する突出部42とを有している。突出部42は、弾性膜で構成され、漏斗状(ダックビル状)をなしている。突出部42の頂部には、一文字状のスリット43が形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 血管の動脈瘤付近に挿入・留置されるステントであって、全体形状がほぼ筒状をなすステント本体を有し、前記ステント本体の側壁部に、開口が形成され、該開口に動脈瘤に塞栓物質を供給するためのカテーテルを通過可能とし、かつ、カテーテル非挿通時は閉鎖する弁体が設けられていることを特徴とするステント。
【請求項2】 生体内での前記開口の位置を示すマーカーを有する請求項1に記載のステント。
【請求項3】 前記マーカーは、開口の周囲に形成されている請求項2に記載のステント。
【請求項4】 前記マーカーは、前記弁体に形成されている請求項2に記載のステント。
【請求項5】 前記弁体は、基部と、該基部から前記ステント本体の外方に向かって突出する突出部とを有し、前記突出部は、弾性膜で構成されている請求項1ないし4のいずれかに記載のステント。
【請求項6】 前記突出部は、ダックビル状をなしている請求項5に記載のステント。
【請求項7】 前記ステント本体は、拡張状態において前記開口の内の最短開口距離より短い距離を有する窓を形成する細長い部材で構成されている請求項1ないし6のいずれかに記載のステント。
【請求項8】 前記ステント本体は、半径方向に作用する力で塑性的に伸張し、該作用力の除去でその外径が保持される請求項1ないし7のいずれかに記載のステント。
【請求項9】 前記ステント本体は、弾力性があり、外力を除くと元の形状に戻るように拡張する請求項1ないし8のいずれかに記載のステント。
【請求項10】 前記開口は、前記ステント本体の長手方向の中央部付近に形成されている請求項1ないし9のいずれかに記載のステント。
【請求項11】 前記ステント本体は、その内面および/または外面を覆う膜を有する請求項1ないし10のいずれかに記載のステント。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血管の動脈瘤付近に挿入・留置して使用されるステントに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、動脈瘤の治療にあたっては、外科的に動脈瘤を切除し、その部分に人工血管(人工的な材料で作製された管体)を移植するあるいは、バイパス手術と呼ばれる別の新たな血管流路を形成し、血液を確保するという治療法が行われていた。しかし、動脈瘤を発症する患者は一般的に高齢者が多く、このような大手術は、患者の負担が大きいため困難な場合が多く、また術中、術後の合併症も発生し易く、危険を伴うものであった。
【0003】近年、大腿部等から経皮的に血管にカテーテルを導入し、X線透視下で当該カテーテルの先端部を目的部位である例えば脳内血管の動脈瘤の位置まで進め、カテーテル内に形成されたルーメンを介して動脈瘤内に塞栓物質を供給・充填する治療法(動脈瘤塞栓術)が開発されている。この治療法によれば、手術の危険性および患者の負担が大幅に軽減するという利点がある。
【0004】しかしながら、この治療法では、動脈瘤内に充填した塞栓物質が動脈瘤から離脱(流出)するおそれがある。このような塞栓物質の離脱が生じると、塞栓物質によって血管が詰まってしまった場合、その下流の組織が壊死してしまうという危険性があった。また、血管が詰まることにより動脈瘤が破裂するという問題が生じる。
【0005】そこで、これを防止するために、血管の動脈瘤付近にステントを挿入、留置し、このステントの側壁部に形成された開口を介して動脈瘤内に塞栓物質を充填することが提案されている。
【0006】しかしながら、この方法でも、ステントの側壁部に形成された開口から塞栓物質が流出するおそれがあり、上記問題を解消するには至っていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、動脈瘤内に充填した塞栓物質の離脱を防止することができるステントを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記(1)〜(11)の本発明により達成される。
【0009】(1) 血管の動脈瘤付近に挿入・留置されるステントであって、全体形状がほぼ筒状をなすステント本体を有し、前記ステント本体の側壁部に、開口が形成され、該開口に動脈瘤に塞栓物質を供給するためのカテーテルを通過可能とし、かつ、カテーテル非挿通時は閉鎖する弁体が設けられていることを特徴とするステント。
【0010】(2) 生体内での前記開口の位置を示すマーカーを有する上記(1)に記載のステント。
【0011】(3) 前記マーカーは、開口の周囲に形成されている上記(2)に記載のステント。
【0012】(4) 前記マーカーは、前記弁体に形成されている上記(2)に記載のステント。
【0013】(5) 前記弁体は、基部と、該基部から前記ステント本体の外方に向かって突出する突出部とを有し、前記突出部は、弾性膜で構成されている上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のステント。
【0014】(6) 前記突出部は、ダックビル状をなしている上記(5)に記載のステント。
【0015】(7) 前記ステント本体は、拡張状態において前記開口の内の最短開口距離より短い距離を有する窓を形成する細長い部材で構成されている上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のステント。
【0016】(8) 前記ステント本体は、半径方向に作用する力で塑性的に伸張し、該作用力の除去でその外径が保持される上記(1)ないし(7)のいずれかに記載のステント。
【0017】(9) 前記ステント本体は、弾力性があり、外力を除くと元の形状に戻るように拡張する上記(1)ないし(8)のいずれかに記載のステント。
【0018】(10) 前記開口は、前記ステント本体の長手方向の中央部付近に形成されている上記(1)ないし(9)のいずれかに記載のステント。
【0019】(11) 前記ステント本体は、その内面および/または外面を覆う膜を有する上記(1)ないし(10)のいずれかに記載のステント。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明のステントを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0021】図1は、大動脈のような太い血管に用いる場合における本発明のステントの実施形態を示す側面図、図2は、本発明のステントにおける弁体の構成例を示す平面図、図3は、図2中のA−A線断面図、図4は、本発明のステントが導入シース内に挿入された状態を示す部分縦断面図、図5および図6は、それぞれ、図1に示す本発明のステントの使用状態を示す部分断面側面図である。なお、以下の説明では、図1、図4〜図6中の左側を「基端」、右側を「先端」と言う。
【0022】図1、図5および図6に示すように、本発明のステント(血管内留置物)1は、血管10の動脈瘤11付近に挿入・留置して使用されるもので、全体形状がほぼ筒状をなすステント本体2を有する。ステント本体2の側壁部には、開口3が形成されている。
【0023】ステント本体2は、好ましくは細長い部材の連なりとそれらが構成する複数の窓(開口)から構成されている。以下、詳細に説明する。ステント本体2は、螺旋状に巻かれた複数本のストランド(線状体)21で構成されている。この場合、1つのストランド21と他のストランド21とは、その螺旋が互いに逆方向に巻かれている。これらのストランド21は、ステント本体2の骨格を形成している。
【0024】ストランド21の形状、形態は、螺旋状のものに限らず、その他、例えばリング状(特に複数のリングを連結した形状)のものや格子状のものでもよい。
【0025】ストランド21の交差した間に窓が形成される。ストランド21の構成材料としては、自己拡張型ステントの場合、例えば、ステンレス鋼、Ni-Ti系合金、Cu-Zn系合金、Ni-Al系合金等の擬弾性金属、タングステン、タングステン合金、チタン、チタン合金、タンタル等の各種金属が挙げられ、形状が復元できることが必要である。これを満たすことを条件に、ポリアミド、ポリイミド、超高分子量または高分子量のポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、フッ素系樹脂等の比較的高剛性の高分子材料を適宜組み合わせてもよい。
【0026】また、ストランド21に造影性を持たせることもでき、この場合には、ストランド21の構成材料は、前記各種金属のようなX線造影性を有する材料であるのが好ましい。
【0027】また、ストランド21の線径は、特に限定されないが、好ましくは0.02〜2mm程度とすることができ、より好ましくは0.1〜1mm程度とすることができる。
【0028】このようなステント本体2は、弾性的に伸張性を有し、外力の除去によってその外径が変化、拡張するものであるのが好ましい。すなわち、ステント本体2は、自然状態(外力を作用させない状態)では、第1の外径である(以下、この状態を「拡径状態」と言う)が、外力を作用させる(例えばステント本体2に対し、その長手方向に引張力を作用させたり、その径方向に圧縮力を作用させたりする)と、前記第1の外径より小さい第2の外径となる(以下、この状態を「縮径状態」と言う)。
【0029】この場合、第1の外径は、ステント本体2が動脈瘤11付近の血管10の内壁に十分に密着できる程度のものである。また、第2の外径は、図4に示す導入シース7に挿入可能な程度のものである。
【0030】ステント本体2がこのような伸張性を有することにより、ステント1を目的部位へ容易に移送することができるとともに、目的部位に確実に留置、固定することができる。
【0031】このようなステント本体2の内面および/または外面には、膜(図示せず)が被覆されていてもよい。この膜としては、ステント本体2の外径の変化に伴い伸縮するもの、または折り畳まれた状態から広がるものが挙げられる。
【0032】この膜は、例えば、織物、編物、不織布、紙材のような繊維性多孔質膜、その他非繊維性多孔質膜、高分子シートのような緻密膜のいずれでもよい。
【0033】膜の素材(繊維)としては、例えば、セルロース繊維、綿、リンター、カポック、亜麻、大麻、ラミー、絹、羊毛等の天然繊維、ナイロン(ポリアミド)、テトロン、レーヨン、キュプラ、アセテート、ビニロン、アクリル、ポリエチレンテレフタレート(ポリエステル)、ポリプロピレン等の化学繊維、またはこれら天然および化学繊維のうちの2以上の組み合わせ(混紡等)を挙げることができる。
【0034】また、膜の素材(高分子シート)の他の例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、天然ゴム、イソプレンゴム、シリコーンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ラテックスゴム等の各種ゴム、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリウレタン系等の各種熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0035】また、膜は、同一または異なる材料による2層以上の積層体であってもよい。さらに、膜に対し親水化処理または疎水化処理が施されていてもよい。
【0036】膜のステント本体2に対する設置箇所は、ステント本体2の全体でも、一部分でもよいが、好ましくはステント本体2の長手方向中央部分、より好ましくはステント本体2のほぼ全体の内面または外面を覆っているのが好ましい。
【0037】このようなストランドで構成されるステント本体2の窓は、開口3よりも目の細かいものであるのが好ましい。これにより、動脈瘤11に充填された塞栓物質13の動脈瘤11からの離脱をより有効に防止することができる。
【0038】ステント本体2の窓の大きさ(目開き)は、特に限定されないが、塞栓物質がコイル状のものの場合はコイルが突出しない程度の大きさである。
【0039】塞栓物質が液状の場合は、ステント本体2のうち少なくとも動脈瘤の開口部(入口部)12を塞ぐ部分において、ステント本体2を液体が流出しない膜で覆う必要がある。
【0040】ステント本体2の側壁部には、開口3が形成され、この開口3に弁体4が設置されている。この場合、弁体4は、開口3を覆うように設置されている。弁体4のステント本体2に対する固定方法は、特に限定されず、例えば接着剤による接着、融着、縫合、嵌合等が挙げられる。
【0041】開口3および弁体4には、動脈瘤11に塞栓物質13を供給するためのカテーテル9を通過させるが(図6参照)、これらは、ステント本体2の長手方向の中央部付近に形成されているのが好ましい。これにより、動脈瘤11に対しステント1をより適正な位置および姿勢で留置すること、すなわち動脈瘤11の開口部12に対しステント1の長手方向の中央部付近を位置させて固定することができる(図5参照)。
【0042】以下、弁体4の構成について説明する。図1〜図4に示すように、弁体4は、いわゆるダックビル(あひるの口ばし)弁と呼ばれるものであり、逆止弁(一方向弁)としての機能を有している。
【0043】弁体4は、フランジ状(円盤状)の基部41と、該基部41からステント本体2の外方(ステント本体2の外面から離間する方向)に向かって突出する突出部42とを有している。
【0044】突出部42は、弾性膜で構成され、いわゆる漏斗状(先細り形状)をなしている。突出部42の頂部には、一文字状のスリット43が形成されている。なお、突出部42やスリット43の形状は、図示のものに限定されないことは、言うまでもない。他の弁体の例としては、軸方向に沿って設けられた観音扉であってもよい。この場合、ステントの長手方向にスリット状のものができるのでカテーテルを挿入しやすくなる。
【0045】弁体4の構成材料としては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、ヒドリンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムのような各種ゴム材料、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、フッ素ゴム系等の各種熱可塑性エラストマーが挙げられる。
【0046】ダックビル弁のような形状の場合はカテーテルが滑りやすい表面性状であることが、カテーテルの弁の通過に役立つ。
【0047】以上のような弁体4では、図6に示すように、塞栓物質供給用のカテーテル(マイクロカテーテル)9を弁体4の内側から挿入し、カテーテル9の先端でスリット43を押し広げてスリット43から突出させることができる。一方、カテーテル9により塞栓物質13を動脈瘤11内に充填した後、カテーテル9を抜き取ると、突出部42の復元力によりスリット43が閉じて密着する。これにより、動脈瘤11内に充填された塞栓物質13が弁体4を介してステント本体2の内側に流出(離脱)することはない。
【0048】開口3の周囲には、X線透視下で開口3(および/または弁体4)の生体内での位置を確認するためのマーカー5が設置されている。
【0049】このマーカー5は、例えば、白金、金、銀、タングステン等の金属、またはこれらの合金等のX線不透過材料で構成されている。また、前記X線不透過材料や、その他例えば硫酸バリウム、炭酸バリウム、酸化ビスマス等のX線不透過材料が配合された層(例えば塗膜)であってもよい。
【0050】本実施形態では、マーカー5は、開口3を囲むリング状をなし、ステント本体2の外面に形成されているが、これに限られるものではない。例えば、マーカー5の形状は、帯状、粒状、チップ状、ブロック状などであってもよく、また、マーカー5の形成位置は、ステント本体2の内面や、開口3から離間した位置であってもよい。
【0051】また、このような位置表示機能を有するマーカーは、弁体4に形成されていてもよい。この場合、弁体4の外面または内面にマーカーが付されている構成や、弁体4の構成材料中に、前述したようなX線不透過材料が配合されていてもよい。
【0052】なお、このようなマーカーは、開口3の位置を示すものに限らず、例えば、ステント本体2の先端の位置(先端開口の位置)、基端の位置(基端開口の位置)を示すものや、ステント本体2全体を示すものでもよい。
【0053】なお、このようなマーカーは、X線透視下に限らず、CTスキャン、MRI等において開口5等の位置を確認することができるものであってもよい。
【0054】以上のようなステント1は、例えば図4に示すような、管状をなす導入シース7と、該導入シース7内に挿入されるプッシャ−8とを用いて、血管10の目的部位(動脈瘤11の近傍)へ導入される。なお、導入シース7およびプッシャー8も、前記と同様にX線造影性が付与されているのが好ましい。
【0055】また図示しないが、導入シース7またはプッシャー8の少なくともいずれかに、導入シース7内に挿入されたステントの弁体4(開口3)の位置に対応するマーカーを設け、これにより、導入シース7を動脈瘤近傍に位置させる際、この導入シース7のマーカーと、予め造影剤で確認した動脈瘤の位置とをX線透視下で確認し、弁体4を動脈瘤11に確実に向けるようにしてもよい。
【0056】次に、ステント1の使用方法の一例について、図4〜図6を参照しつつ説明する。
【0057】導入シース7の先端部にステント1を挿入するとともに、導入シース7内に基端側からプッシャー8を挿入し、これらのものをX線透視下で大腿部等から経皮的に血管に導入し、導入シース7の先端を例えば大動脈血管のような太い血管10の動脈瘤(目的部位)11がある部分まで移送する。このとき予め造影剤で確認した動脈瘤の位置と開口3の周辺に設けられたマーカーとの軸方向、円周方向位置を確認する。なお、ステント1が導入シース7内に挿入されている状態では、ステント本体2は、導入シース7の内面から応力を受け、前述した第2の外径(縮径状態)となっている。また、弁体4の突出部42は、導入シース7内で例えば折れ曲がった状態で保持される。
【0058】次に、プッシャー8を固定した状態で、導入シース7を基端方向に引き抜くように移動する。これにより、ステント1が導入シース7の先端開口71から血管10内に開放放出される。放出されたステント1は、導入シース7の内面から受ける応力が解除されるので、第1の外径(拡径状態)となり、動脈瘤11付近の血管10の内壁に密着し、確実に固定される。また、ステント1が導入シース7から開放放出されると、弁体4の突出部42は、弾性体で構成されているため、折れ曲がった状態から元の形状に復帰する。
【0059】このようにしてステント1を装着すると、弁体4は、動脈瘤11の開口部12付近に位置し、突出部42は、動脈瘤11の内部に向かって突出した状態となる(図5参照)。
【0060】以上の操作が終わったら、導入シース7およびプッシャー8を血管10から抜き取る。
【0061】次に、例えばセルジンガー法により大腿部等から経皮的に血管にカテーテル9を導入し、X線透視下で、ガイドワイヤー(図示せず)を用いてカテーテル9の先端をステント1の基端開口22付近まで進める。
【0062】ここで、カテーテル9には、その内部に少なくとも一本のルーメン(塞栓物質供給用ルーメン)91が形成されている。このルーメン91は、カテーテル9の先端に開放し、先端開口92を形成している。このルーメン91は、カテーテル9を血管10の目的部位等へ誘導する際に用いられるガイドワイヤーを挿入するのにも用いられる。また、ガイドワイヤーは、その先端が湾曲したものを用いるのが好ましい。これにより、ガイドワイヤーの先端は弁体に挿入し易くなり、このガイドワイヤーに沿ってカテーテル9の先端部を弁体に挿入させ易くなる。なお、これとは逆に、カテーテル9の先端部が予め所定形状に湾曲しており、先端部が直線状のガイドワイヤーを用いて、カテーテル9の先端部を適宜直線状にする(湾曲を緩和する)ような構成のものを用いることもできる。
【0063】さらに、ガイドワイヤーとカテーテル9をゆっくりと先端方向へ進め、ガイドワイヤーを先行させカテーテル9の先端をステント1の基端開口22よりステント1の内腔に挿入するとともに、ガイドワイヤーを操作してカテーテル9の先端部を開口3の方に向くように湾曲させる。この状態でカテーテル9をさらに進め、カテーテル9の先端を開口3および弁体4の内側に挿入し、カテーテル9の先端でスリット43を押し広げる。これにより、カテーテル9の先端がスリット43から動脈瘤11内に突出する(図6参照)。この操作が終わったら、カテーテル9からガイドワイヤーを抜き取る。
【0064】次に、カテーテル9のルーメン91の基端から塞栓物質を導入し、ルーメン91を経て先端開口92から塞栓物質13を供給する。先端開口92から出た塞栓物質13は、動脈瘤11内に充填される。
【0065】塞栓物質13としては、特に限定されず、任意のものが使用可能であるが、液状、ゲル状またはコイル状のものが好ましい。以下、塞栓物質13の一例を挙げる。
【0066】[1] シアノアクリレート系材料(J.Biomed,Mater. Res.,17, 167-177(1983)M.C. Harpers)
【0067】[2] 反応硬化型の液状物質(例えば、エポキシ系2液硬化型樹脂と硬化剤、アクリル系2液硬化型樹脂と硬化剤)
【0068】[3] エチレン−ビニルアルコール共重合体のジメチルスルホキシド溶液(メディカルトリビューン、1989年10月26日、46〜47頁)
【0069】[4] トロンビン、重金属およびポリエチレングリコールを含有する水性懸濁液(特開平5−17369号公報)
【0070】[5] 複数の一価アニオン性の官能基を有する水溶性高分子を含む溶液を、多価カチオンを含む溶液中に析出させ、得られる析出物をさらに塩溶液に浸漬処理してなる高分子ゲル(特開平5−103802号公報)
【0071】[6] 液状物質(例えば、溶質/溶媒の組み合わせとして、エチレン−ビニルアルコール共重合体/ジメチルスルホキシド、セルロースアセテート樹脂/エタノール、エチレン−ビニルアルコール共重合体/ノルマルプロパノール)を糸状に形成したもの【0072】[7] 光反応型液状物質(例えば、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等を有するアクリル系の光硬化樹脂、光ラジカル付加型および光カチオン重合型の感光性樹脂)
【0073】[8] ポリビニルアルコールスポンジ[9] コイル状塞栓物質(例えば、特表平5−500322号公報、特表平7−502674号公報、特表平8−501015号公報、特開平10−57385号公報等に記載のもの)
【0074】[10] 送達用具から機械的または電気的(通電により)に分離可能なコイル状塞栓物質(米国特許第5250071、米国特許第5122136、米国特許第5354295、特開平8−299457号公報、特表平8−501015号公報等)
【0075】[11] 離脱型バルーン[12] 縫合糸等の糸状物、繊維塞栓物質13の充填が完了したら、カテーテル9を基端方向へ引き、血管10から抜き取る。このとき、カテーテル9の先端部は弁体4から抜き取られるが、突出部42の復元力により瞬時にスリット43が閉じて密着する。このように弁体4が閉鎖するため、動脈瘤11内に充填された塞栓物質13が弁体4を介してステント本体2の内側に流出(離脱)することが防止される。
【0076】なお、脳血管の動脈瘤に用いるステントとしては、血管が細いため壁厚の薄いステント本体であることが望ましい。このようなステント本体は、例えばステンレス円筒体にレーザにより格子状、波状環、波状バーの交差したパターンを形成したものが好ましい。この場合、拡張する手段としては、PTCA拡張バルーンカテーテルが使われる。拡張したステントの直径は、1mmのものまでできる。最大でも5mmのものまで可能である。
【0077】以上、本発明のステントを図示の実施形態に基づき説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、ステントを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0078】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、塞栓物質の充填操作を容易かつ確実に行うことができるとともに、充填した塞栓物質の動脈瘤からの離脱を防止することができる。
【0079】ステント本体が伸張性を有し、その外径が可変である場合には、目的部位への挿入操作を容易に行なうことができ、血管への固定がより確実になされる。
【0080】また、生体内で開口等の位置を確認し得るマーカーを設けた場合には、開口や弁体の目的部位に対する位置合わせをより正確に行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
【住所又は居所】東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目44番1号
【出願日】 平成14年3月5日(2002.3.5)
【代理人】 【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
【公開番号】 特開2003−250907(P2003−250907A)
【公開日】 平成15年9月9日(2003.9.9)
【出願番号】 特願2002−59448(P2002−59448)