| 【発明の名称】 |
細菌吸着阻害剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】神舘 隆史 【住所又は居所】和歌山県和歌山市湊1334 花王株式会社研究所内
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| 【要約】 |
【課題】効果的に歯表面への細菌の吸着を阻害することのできる細菌吸着阻害剤、及びそれを含有する口腔用組成物の提供。
【解決手段】親水性ポリマーの片末端に、リン酸、ポリリン酸、ホスホン酸、ポリホスホン酸、ホスフィン酸及びそれらの部分エステル並びにそれらの塩から選ばれる1種以上のリン系の酸から水素原子1個を除いた残基を有する親水性のポリマーからなる細菌吸着阻害剤、並びにこの細菌吸着阻害剤と、水及び/又は炭素数1〜5の低級アルコールを含有する口腔用組成物。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 親水性ポリマーの片末端に、リン酸、ポリリン酸、ホスホン酸、ポリホスホン酸、ホスフィン酸及びそれらの部分エステル並びにそれらの塩から選ばれる1種以上のリン系の酸から水素原子1個を除いた残基(以下、リン系酸残基という)を有する親水性のポリマーからなる細菌吸着阻害剤。 【請求項2】 親水性ポリマーが、オキシアルキレン基を構成単位として含有するポリマーである、請求項1記載の細菌吸着阻害剤。 【請求項3】 オキシアルキレン基が、オキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基である請求項2記載の細菌吸着阻害剤。 【請求項4】 請求項1〜3記載の細菌吸着阻害剤と、水及び/又は炭素数1〜5の低級アルコールを含有する口腔用組成物。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、オーラルケア剤に有用な、歯表面への細菌吸着を有効に阻害する細菌吸着阻害剤及びそれを含有する口腔用組成物に関する。 【0002】 【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】歯垢が歯周病や虫歯の原因であることは公知の事実であり、更に、歯垢を放置しておくと、除去が困難な歯石(結晶性カルシウム)に変化する。歯垢の形成は、唾液中の蛋白質が歯表面に吸着し、ペリクルと呼ばれる皮膜が形成され、このペリクルに細菌が吸着することで始まる。そのため、従来から細菌や、微生物の吸着を阻害する剤が提案されている。 【0003】例えば、特開平9−175965号公報には、塩化ジメチルジアリルアンモニウムのホモポリマー及び塩化ジメチルジアリルアンモニウムと少なくとも1種のエチレン性不飽和炭化水素結合を有する重合可能なモノマーとのコポリマーから選ばれるポリマーとベタイン型界面活性剤とからなる組成物が、歯表面への微生物の付着抑制に効果があることが開示されているが、この組成物は、細菌吸着抑制効果が十分でない。 【0004】また特開昭57−135817号公報には、ビニルホスホン酸から誘導される単位の分子配置を持つ単位とビニルホスホニルフルオリドから誘導される単位とから構成される水溶性コポリマーにより、だ液処理被膜ヒドロキシアパタイトビーズヘ細菌が吸着するのを阻止出来ることが開示されているが、その効果はまだ十分ではない。 【0005】本発明の課題は、更に効果的に歯表面への細菌の吸着を阻害することのできる細菌吸着阻害剤、及びそれを含有する口腔用組成物を提供することである。 【0006】 【課題を解決する手段】本発明は、親水性ポリマーの片末端に、リン酸、ポリリン酸、ホスホン酸、ポリホスホン酸、ホスフィン酸及びそれらの部分エステル並びにそれらの塩から選ばれる1種以上のリン系の酸から水素原子1個を除いた残基(以下、リン系酸残基という)を有する親水性のポリマーからなる細菌吸着阻害剤、並びにその細菌吸着阻害剤と、水及び/又は炭素数1〜5の低級アルコールを含有する口腔用組成物に係わる。 【0007】 【発明の実施の形態】[親水性ポリマー]本発明において、ポリマーが親水性であるとは、有機概念図−基礎と応用−(甲田善生著、三共出版株式会社、昭和59年5月10日初版第1刷発行)において、ポリマーを構成するモノマーの無機性(I)と有機性(O)の比率[I/O]が、0.6以上であることを意味し、好ましくは1.0以上、更に好ましくは1.5以上である。 【0008】親水性ポリマーとしては、下記(i)〜(xii)のモノマー群から選ばれる構成単位を有するポリマー等が好ましく挙げられる。 【0009】(i)(メタ)アクリルアミド、(ii)N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド等のアルキル(炭素数1〜3)(メタ)アクリルアミド、(iii)N, N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド等のジアルキル(総炭素数2〜8)(メタ)アクリルアミド、(iv)ヒドロキシアルキル(炭素数1〜3)基を有する(メタ)アクリル酸エステル又は(メタ)アクリルアミド、(v)(メタ)アクリル酸及びその塩、(vi)スチレンスルホン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸(AMPS)、メタクリルスルホン酸等のスルホン酸基を有するモノマー又はその塩、(vii)エチレンイミン、アリルアミン等のアミン系モノマー、(viii)エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド、(ix)ビニルアルコール、アリルアルコール等のヒドロキシ基を有するモノマー、(x)ビニルピロリドン、(xi)エピクロロヒドリン、(xii)グリシジルエーテル及びそのアルキル(炭素数1〜3)エーテル等が挙げられる。塩としては、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等が挙げられる。 【0010】親水性ポリマーは、上記のモノマーと、共重合し得る他のモノマーも、共重合していてもよいが、親水性を保持するために、(i)〜(xii)のモノマー群からなる構成単位の割合は、親水性ポリマー中、70〜100質量%が好ましく、80〜100質量%が更に好ましく、90〜100質量%が特に好ましく、100質量%が最も好ましい。 【0011】特にこれらの中では、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリ(メタ)アクリル酸及びその塩、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリオキシアルキレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエピクロロヒドリン、ポリグリシジルエーテル及びそのアルキル(炭素数1〜3)エーテル等の単一重合体が好ましく、ポリオキシアルキレンが、製造法が容易であり更に好ましい。ポリオキシアルキレンとしては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、又はそれらのランダム、ブロック共重合体等が好ましく、ポリオキシエチレンが更に好ましい。 【0012】[リン系酸残基]リン系酸残基としては、WO98/26749号明細書に記載されているような、リン酸残基(1)、リン酸モノエステル残基(2)、ジリン酸残基(3)、ジリン酸モノエステル残基(4)、ジリン酸ジエステル残基(5)等の少なくとも1個の水酸基を有するホスフェート基又はジホスフェート基あるいはそれらの塩;ホスホン酸残基(6)、ホスホン酸モノエステル残基(7)、ジホスホン酸残基(8)、ジホスホン酸モノエステル残基(9)等の少なくとも1個の水酸基を有するホスホネート基又はジホスホネート基あるいはそれらの塩;ホスフィン酸残基(ホスフィネート基)(10)又はそれらの塩等が挙げられる。上記(1)〜(10)で示される基のうち、入手し易さ及び安全性の点から(1)〜(5)又はそれらの塩が更に好ましく、リン酸残基(1)又はその塩が特に好ましい。リン系酸残基中の水酸基の1又は2以上が塩素原子、臭素原子、フッ素原子等で置換されたハロゲン化物であってもよい。エステルとしては、炭素数1〜22の直鎖又は分岐鎖のアルキルエステル又はアルケニルエステルが好ましい。塩としては、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルカノールアンモニウム塩(例えば、モノエタノールアンモニウム塩、ジエタノールアンモニウム塩等)等が挙げられ、アルカリ金属塩が好ましい。 【0013】[片末端にリン系酸残基を有する親水性ポリマー]本発明において、好ましい片末端にリン系酸残基を有する親水性ポリマーは、下記一般式(I)で表わされる親水性ポリマーである。 【0014】 【化1】
【0015】[式中、R1は、炭素数1〜22の、直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示す。R2及びR3は、同一又は異なって、水素原子、又は炭素数1〜3の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基を示し、n個のR2、n個のR3は同一でも異なっていても良い。nは2〜200の数を示す。Xは、式(II)又は(III)【0016】 【化2】
【0017】(M1及びM2は、同一又は異なって、水素原子、金属、アンモニウム、総炭素数1〜22のアルキルもしくはアルケニルアンモニウム、炭素数1〜22のアルキルもしくはアルケニル置換ピリジニウム、総炭素数1〜22のアルカノールアンモニウム、又は塩基性アミノ酸を示し、R4は、炭素数1〜22の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示す。)で表わされるリン酸残基を示す。] 一般式(I)において、R1は、好ましくは炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基であり、特に好ましくはメチル基である。R2及びR3は、同一又は異なって、水素原子又はメチル基が好ましく、水素原子が更に好ましい。nは20〜200が好ましく、40〜120が更に好ましい。M1及びM2は、同一又は異なって、水素原子、又はナトリウム、カリウム等のアルカリ金属が好ましい。R4は、好ましくは、炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基である。 【0018】本発明の片末端にリン系酸残基を有する親水性ポリマーの分子量は、後述する測定法により、重量平均分子量で1,000から20,000の間が好ましく、1,000から10,000が更に好ましい。この範囲内では、細菌吸着の阻害効果が高く、水溶液中の粘度が適度で扱いやすい。 【0019】尚、本明細書において、分子量は以下の方法で測定した値である。 【0020】<分子量測定法>ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、以下の条件で重量平均分子量を求めた。 ・条件カラム:G4000PWXL+G2500PWXL(トーソー社製) 溶離液:0.2Mリン酸水溶液/アセトニトリル=9/1検出:RI流量:1mL/minカラム温度:40℃換算分子量:ポリエチレングリコール。 【0021】[片末端にリン系酸残基を有する親水性ポリマーの合成法]本発明のポリマーの合成法は特に限定されず、公知の方法を選択できる。なかでも、片末端がアルキル基で保護されているポリオキシアルキレン鎖の末端の水酸基に、所定のリン系酸残基を導入する方法が好ましい。 【0022】リン系酸残基を導入するには、リン酸、ポリリン酸、オキシ塩化リン等のリン酸化剤等が用いられるが、オキシ塩化リンを用いるのが好ましい。使用する溶媒は、片末端がアルキル基で保護されているポリオキシアルキレンとリン酸化剤が溶解し、不活性なものであれば限定されないが、テトラヒドロフラン、クロロホルム、塩化メチレン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタンが好ましい。あるいは無溶媒で反応を行っても良い。 【0023】リン酸化剤の使用量は、片末端がアルキル基で保護されているポリオキシアルキレンの水酸基に対して1.0〜1.2当量が副反応を抑制するため好ましい。 【0024】生成する塩酸ガスをトラップする剤として、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、ピコリン等の有機三級アミンや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属水酸化物、あるいは過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、ジクロロ酢酸ナトリウム等の金属塩を用いるのが好ましい。トラップ剤の使用量は、使用するリン酸化剤に対して、1.0〜1.1当量が好ましい。リン酸化する際の温度は、−30℃〜5℃が反応性と副反応の抑制の面で好ましい。 【0025】[細菌吸着阻害剤]本発明の片末端にリン系酸残基を有する親水性ポリマーからなる細菌吸着阻害剤の細菌吸着阻害性は下記式(IV)で定義される細菌吸着阻害値で示した。 【0026】 細菌吸着阻害値=[(A−X)/(A−B)]×100 …(IV)〔式中、Aは、本発明の細菌吸着阻害剤を含有しない標識細菌液中、唾液処理を行ったヒドロキシアパタイト板へ付着した細菌数(×107 cells/cm2)を示し、Bは、本発明の細菌吸着阻害剤を含有しない標識細菌液中、唾液処理を行っていないヒドロキシアパタイト板へ付着した細菌数(×107 cells/cm2)を示し、Xは0.5質量%の本発明の細菌吸着阻害剤を含有する標識細菌液中、唾液処理を行ったヒドロキシアパタイト板へ付着した細菌数(×107 cells/cm2)を示す。〕即ち、本発明の細菌吸着阻害剤を含有しない標識細菌液中、唾液処理を行ったヒドロキシアパタイト板へ付着した細菌数(A)と、本発明の細菌吸着阻害剤を含有しない標識細菌液中、唾液処理を行っていないヒドロキシアパタイト板へ付着した細菌数(B)との差を基準値(100)として、(A)と0.5質量%の本発明の細菌吸着阻害剤を含有する標識細菌液中、唾液処理を行ったヒドロキシアパタイト板へ付着した細菌数(X)の差を、式(IV)に示すように数値化したものを、細菌吸着阻害値とした。 【0027】本発明の細菌吸着阻害剤は、この細菌吸着阻害値が、10以上であることが好ましく、15以上であることが更に好ましい。 【0028】[口腔用組成物]本発明の口腔用組成物は、本発明に係わる細菌吸着阻害剤と、水及び/又は低級アルコールを含有するものである。ここで、低級アルコールとは、炭素数1〜5の直鎖又は分岐鎖の飽和アルコールが好ましく、なかでもエタノール、イソプロピルアルコールが更に好ましく、エタノールが特に好ましい。水及び低級アルコールから選ばれる2種以上を組み合わせて用いることもできる。 【0029】本発明の口腔用組成物中の、本発明に係わる細菌吸着阻害剤の含有量は、0.05〜20質量%が好ましく、0.1〜5質量%が更に好ましい。水及び/又は低級アルコールの含有量は、0.1〜99.9質量%が好ましく、5〜80質量%が更に好ましい。 【0030】本発明の口腔用組成物は、殺菌剤を全組成中に0.1〜5質量%、特に0.01〜1質量%配合するのが、歯垢阻害の点で好ましい。このような殺菌剤としては、例えば塩化ベンゼトニウム、塩酸クロルヘキシジン、トリクロサン、塩化セチルピリジニウム、イソプロピルメチルフェノール、塩化デカリニウム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン等が挙げられる。 【0031】本発明の口腔用組成物には、更に口腔用組成物に通常用いられる成分、例えば界面活性剤、研摩剤、オリゴ糖類又は糖アルコール等の甘味料、香料、保存剤、美白剤、湿潤剤、粘結剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合できる。 その他、血行促進剤、抗炎症剤、止血剤、鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、更にこれらの作用を有する植物エキス等の薬効剤を含有することも好ましい。血行促進剤としては、例えばビタミンE、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、塩化ナトリウム等が挙げられ;抗炎症剤としては、例えばアラントイン、β−グリチルレチン酸、グリチルリチン酸、エピジヒドロコレステリン、ジヒドロコレステロール、ε−アミノカプロン酸、ヒノキチオール、塩化リゾチーム、インドメタシン、イブプロフェン等が挙げられ;止血剤としては、例えばトラネキサム酸、トロンビン、アスコルビン酸、ルチン等が挙げられ;鎮痛剤としては、例えばアスピリン、アセトアミノフェン、サリチル酸メチル等が挙げられ;抗ヒスタミン剤としては、例えばシメチジン、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸プロメタジン等が挙げられ;植物エキスとしては、例えばウイキョウエキス、ウコンエキス、オウゴンエキス、オトギリソウエキス、カモミラエキス、クマザサエキス、シソエキス、セージエキス、チョウジエキス、ニンジンエキス、ハマメリスエキス、ヒバマタエキス、マロニエエキス、モモ葉エキス、ローズマリーエキス、ユーカリエキス等が挙げられる。薬効剤は1種以上を用いることができ、全組成中に0.01〜5質量%、特に0.1〜1質量%配合するのが好ましい。 【0032】本発明の口腔用組成物は、通常の方法により製造される。また、通常の方法により、口腔内に適用でき、これを用いて歯ぐきをマッサージすることもできる。 【0033】本発明の口腔用組成物は、練り歯磨き、粉歯磨き、水歯磨き、マウスウォッシュ、歯牙コーティング剤、チューインガム等の剤形に使用できる。特に練り歯磨とするのが好ましい。 【0034】 【実施例】例中の%は、特記しない限り質量%である。 【0035】合成例1(ポリマー1の合成) 200mlの2口ナス型フラスコに冷却管と窒素導入管と撹拌羽根をつけ、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(アルドリッチ製、平均分子量5000)20.0g(4mmol)、アセトニトリル20ml、トリエチルアミン0.44g(4.4mmol)を入れた。撹拌しながら、窒素置換後氷冷した。オキシ塩化リン0.67g(4.4mmol)を一括で添加し、0℃で5時間攪拌した。濾過後、濾液にアセトニトリル70gと、イオン交換水10gを加え室温で一晩撹拌した。濃縮後、酢酸エチルで洗浄し、乾燥後無色の固体16gを得た。 【0036】得られた生成物を10%重水溶液として1H−NMRの測定を行ったところ、図1に示す結果が得られ、、δ=3.3ppmにポリオキシエチレン鎖の末端に結合したメチル基のプロトン、δ=3.4〜3.6ppmにポリオキシエチレン鎖のメチレンのプロトンを確認した。また、P−NMRの測定を行ったところ、図2に示す結果が得られ、−0.2ppmのリン酸エステル由来の3重線を確認し、該化合物がポリエチレングリコールモノメチルエーテルのリン酸モノエステル[式(I)において、R1=CH3、R2=R3=H、n=113、Xが式(II)で表される基で、M1=M2=Hである化合物]であることを確認した。NMRより純度はポリマーが87%、リン酸が5%、水が2%であった。重量平均分子量はゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC:ポリエチレングリコール換算)より5500であった。 【0037】実施例1合成例1で合成したポリマー1、並びに表1に示す比較ポリマーを細菌吸着阻害剤として用い、下記方法で細菌吸着阻害性を評価した。 【0038】<細菌吸着阻害性評価法>ヒト口腔内より単離したS.mutans保存菌体を10μCi/mL メチル化[3H]-チミジン0.2%グルコース含有ブレインハートインフュージョン培地(DIFCO社)10mLに接種し、37℃で24時間嫌気培養した。緩衝KCl溶液(50mM KCl、1mM CaCl2、0.1mM MgCl2含有1mMリン酸緩衝液)で3回洗浄後、5mg/mLウシ血清アルブミン含有緩衝KCl溶液に1×109CFU/mLの濃度で分散させ、3H標識S.mutans液とした。 【0039】旭光学(株)製ヒドロキシアパタイト(HAp)平板1cm×1cm×2mmを細菌吸着阻害剤0.5%水溶液1mLで37℃1時間処理をした。緩衝KCl溶液2mLで2回洗浄後、健常男性被験者7名より採取した耳下腺唾液1mL中、4℃で24時間処理した。緩衝KCl溶液2mLで3回洗浄後、5mg/mLウシ血清アルブミン含有緩衝KCl溶液0.5mLと、上記3H標識S.mutans液0.5mLを加え、37℃で1時間処理した。緩衝KCl溶液で3回洗浄後、HAp平板を2N NaOH 1mL中で1時間処理した。2N HCl 1mLで中和後、液体シンチレーションカウンターにて、3H放射活性を測定し、細菌吸着数を出した。この値をXと定義し、表1に示した。 【0040】上記の実験で、該細菌吸着阻害剤0.5%水溶液の代わりに緩衝KCl溶液1mLを用いて同様の処理を行ったときの、細菌吸着数をAと定義する。A=5.67(×107cells/cm2)であった。 【0041】HAp平板を緩衝KCl溶液2mLで2回洗浄後、5mg/mLウシ血清アルブミン含有緩衝KCl溶液0.5mLと、上記3H標識S.mutans液0.5mLを加え、37℃で1時間処理した。緩衝KCl溶液で3回洗浄後、HAp平板を2N NaOH 1mL中で1時間処理した。2NHCl 1mLで中和後、液体シンチレーションカウンターにて、3H放射活性を測定し、細菌吸着数を出した。この値をBと定義する。B=0.33(×107cells/cm2)であった。 【0042】上記A,B及びXの値から、上記式(IV)で定義される細菌吸着阻害値を求めた。結果を表1に示す。 【0043】 【表1】
【0044】処方例1:歯磨き剤次の処方により常法に従い、練り歯磨きを製造した。 【0045】 ポリマー1 5.0%シリカ 30.0%ソルビトール 30.0%ラウリル硫酸ナトリウム 1.0%カルボキシメチルセルロース*1 1.0%サッカリン 0.1%塩化ベンゼトニウム 0.5%香料 0.3%水 32.1%計 100 %*1:カルボキシメチルセルロース(商品名サンローズF20−HC、日本製紙(株)製)。 【0046】処方例2:洗口剤次の処方により常法に従い、洗口剤を製造した。 【0047】 ポリマー1 5.0%エタノール 20.0%ピロリン酸ナトリウム 2.0%サッカリン 0.1%塩酸クロルヘキシジン 0.3%香料 0.3%水 72.3%計 100 %【0048】 【発明の効果】本発明の細菌吸着阻害剤は、有効な細菌吸着阻害効果を有している。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000918 【氏名又は名称】花王株式会社 【住所又は居所】東京都中央区日本橋茅場町1丁目14番10号
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| 【出願日】 |
平成14年5月30日(2002.5.30) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100063897 【弁理士】 【氏名又は名称】古谷 馨 (外4名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−342140(P2003−342140A) |
| 【公開日】 |
平成15年12月3日(2003.12.3) |
| 【出願番号】 |
特願2002−157165(P2002−157165) |
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