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【発明の名称】 封入された化合物のパーセントを増加させるリポソームの製造方法
【発明者】 【氏名】イエ,キアン

【氏名】サンカラム,マントリプラガダ,ブヒマ

【要約】 【課題】本発明の課題は、薬物の封入効率を最大限に高めて低い脂質:薬物比を達成するリポソーム製剤を得るための別のよりよい方法を提供することである。

【解決手段】(a) 1) 有機溶媒、長鎖両親媒性脂質、及び中性脂質を含む脂質成分、及び2) 不混和性の第1の水性成分からエマルションを形成し、ここで少なくとも1種の生物活性化合物が不混和性成分あるいは両方のいずれかに導入されているものとし、(b) エマルションを第2の水性成分と混合して溶媒小球を形成し、(c) 溶媒小球から有機溶媒を除去して前記生物活性物質を封入する多胞リポソームを形成することを含み、封入される生物活性化合物のパーセントが30〜85パーセントの範囲であるリポソーム製剤の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (a) 1) 有機溶媒、長鎖両親媒性脂質、及び中性脂質を含む脂質成分、及び2) 不混和性の第1の水性成分からエマルションを形成し、ここで少なくとも1種の生物活性化合物が不混和性成分あるいは両方のいずれかに導入されているものとし、(b) エマルションを第2の水性成分と混合して溶媒小球を形成し、(c) 溶媒小球から有機溶媒を除去して前記生物活性物質を封入する多胞リポソームを形成することを含み、封入される生物活性化合物のパーセントが30〜85パーセントの範囲であるリポソーム製剤の製造方法。
【請求項2】 両親媒性脂質がその炭素鎖に13〜約28の炭素を有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】 両親媒性脂質がその炭素鎖に13〜約22の炭素を有する請求項1に記載の方法。
【請求項4】 両親媒性脂質が、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジベヘノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジパルミトレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジエイコセノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジエルコイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール、及び1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロールからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば薬物のような化合物のリポソーム製剤に関するものである。特に本発明は、リポソーム製剤への所望の化合物の封入量を増加させる方法及びそのような製剤の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】リン脂質及びその他の多くの両親媒性脂質を水性媒質に静かに分散させると、それは膨張し水和して、脂質二重層の間に水性媒質の層を有する多重層同心二重層小胞を自然に形成する。これらの系は一般に多重層リポソーム(multilameller liposome)あるいは多重層小胞(multilameller vesicle, MLV)と呼ばれ、通常0.2〜5μmの直径を有する。MLVを超音波処理すると、小さな単層小胞(smallunilameller vesicle, SUV)が形成され、これは直径が通常20〜100 nmの範囲にあり、コアに水溶液を含んでいる。多胞リポソーム(multivesicular liposome,MVL)は、リポソーム内部にランダムに非同心に配置された小室が存在する点で多重層リポソームとは異なるものである。両親媒性脂質は水中に分散されると、脂質の水に対するモル比に応じてリポソーム以外の種々の構造を形成し得るが、比が小さいときにはリポソームが好ましい構造である。
【0003】リポソームの物理的特性は、一般にpH及びイオン強度によって決まる。リポソームは、イオン性物質及び極性物質に対する低い透過性を示すことを特徴とするが、一定の温度では、それらの製造において使用された脂質の物理的性質に応じてゲル-液晶相(または主相)転移を起こし得、これによりその透過性は著しく変化する。相転移は、ゲル状態として知られている密に充填された規則的な構造から、液晶状態として知られている粗く充填された規則性のより小さい構造への変化を伴う。
【0004】鎖長、飽和状態、及び頭部基が異なる様々な種類の脂質が、上述の単層リポソーム、多重層リポソーム、及び多胞リポソームを含むリポソーム薬物製剤において長年にわたって用いられてきた。この分野の主な目標の一つは、薬物及びその他の目的の化合物の持続的放出のためのリポソーム製剤、及び封入化合物の放出速度を制御できるリポソーム製剤を開発することである。
【0005】これらの目標は重要であり、その達成に向けて様々な研究がなされてきた。認識度はより低いが、別の目標として、デリバリー用物質として用いられるリポソーム製剤からの製品の収率を高めることは、特に医薬品工業において、同様に実用面で極めて有益である。例えば、リポソーム製剤に封入された薬物のパーセントを増加させることにより、収率が高められ実質的なコスト節約につながる。リポソーム薬物製剤の場合には、所与の脂質:薬物比率について封入された薬物のパーセントを最大限に高めて、所望の投与量を達成するために患者に高粘度の製剤を注射したり、大容量の注射をする必要をなくすことも望ましいことである。何らかの方法により、封入された化合物のパーセンテージは高いが薬物:脂質比率の低い製品が生じる場合は、特定の薬物投与量を達成するために製剤が高いリポクリット(ヘマトクリットに類似する)を有するか、あるいは注射によって治療上有効な量の生物活性物質を与えることが一般に必要である。リポクリットは、ヘマトクリットに類似し、リポソーム懸濁物の総体積に対するリポソームが占める体積の割合のパーセントである尺度である。しかしこのような製剤はその高い粘性のために注射によって投与することが困難である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、薬物の封入効率を最大限に高めて低い脂質:薬物比を達成するリポソーム製剤を得るための別のよりよい方法に対する要請が存在する。
【0007】
【課題を解決するための手段】リポソームの脂質成分の少なくとも1種の脂質の炭素鎖の炭素数を増加させることを含み、その2種の脂質の化学構造はその他の点では実質的に同様なものとする、リポソーム製剤に封入される薬物のような化合物のパーセントを増加させる方法を提供する。多胞リポソームにおける少なくとも1種の脂質の炭素鎖の長さは、好ましくは炭素数で約13〜約28の範囲の整数、最も好ましくは約13〜22の範囲の整数まで長くされる。炭素鎖長を増加させる脂質で好ましいものはリン脂質である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明は、化合物がリポソーム製剤に封入される効率を高めるための方法を提供する。驚くべきことに、リポソーム製剤の製造で用いられる両親媒性脂質の少なくとも1種の炭素鎖の炭素数を増加させることによって、リポソーム製剤における活性物質の封入効率が著しく高められることが見出された。本発明は、所与の薬物投与量について製剤のリポクリットを実質的に高めることなく、薬理学的に活性な量の生物活性化合物をリポソームに封入する効率を高めるために医薬品工業の分野において特に有用なものである。本発明の方法は、任意の種類のリポソームの封入効率を高めるのに有用であるが、好ましい態様においては、多胞リポソーム製剤の製造の際に封入効率を高める方法が提供される。
【0009】少なくとも3つの種類のリポソームが存在する。本明細書及び請求の範囲全体を通して使用される用語「多胞リポソーム(MVL)」は、多数の非同心の水性小室を内包する脂質膜を含む人工の非常に小さな脂質小胞を意味する。これに対して「多重膜リポソームまたは小胞(MLV)」は、「たまねぎの皮状の」同心多重層を有し、その間に貝殻状の同心水性区画を有するものである。多重層リポソーム及び多胞リポソームは、その特徴としてマイクロメートル範囲の平均直径、通常0.5〜25μmの平均直径を有する。本明細書で用いられ用語「単層リポソームまたは小胞(ULV)」は、一つの水性小室を有し、平均直径が通常約20〜500 nmのリポソーム構造を意味する。
【0010】多重層リポソーム及び単層リポソームは、いくつかの比較的簡単な方法によって製造することができる。従来技術にはULV及びMLVを製造するための技術が多数記載されている(例えば、Lenkに付与された米国特許第4,522,803号、Baldeschweilerに付与された米国特許第4,310,506号、Papahadjopoulosに付与された米国特許第4,235,871号、Schneiderに付与された米国特許第4,224,179号、Papahadjopoulosに付与された米国特許第4,078,052号、Taylorに付与された米国特許第4,394,372号、Marchettiに付与された米国特許第4,308,166号、Mezeiに付与された米国特許第4,485,054号、及びRedziniakに付与された米国特許第4,508,703号等)。
【0011】これに対して、多胞リポソームの製造にはいくつかのプロセスステップが必要である。簡単に述べると、MVLを製造するための好ましい方法は以下の通りである。第1のステップは、少なくとも1種の両親媒性脂質及び少なくとも1種の中性脂質を脂質成分のための1種またはそれ以上の揮発性有機溶媒に溶解することにより「油中水」エマルションを作り、この脂質成分に不混和性の第1の水性成分及び封入される生物活性物質を加えることであり、所望に応じて脂質成分と第1の水性成分の両方またはいずれか一方に、MVLからの封入された生物活性物質の放出速度を調節するための酸またはその他の添加剤を加える。この混合物を乳化し、次に第2の不混和性水性成分と混合して第2のエマルションを作る。この第2のエマルションを超音波エネルギー、ノズルを用いた噴霧等、またはそれらの組み合わせにより機械的に混合して、第2の水性成分に懸濁された溶媒小球を形成する。この溶媒小球は、そこに溶解された封入されるべき物質を含む多数の水性液滴を含んでいる(Kimら、Biochem. Biophys. Acta, 728:339-348, 1983参照)。ULV及びMLV製造の様々な方法を包括的に概観するためには、Szokaら、Ann. Rev. Biophys. Bioeng. 9:465:508, 1980を参照されたい。
【0012】本明細書及び請求の範囲全体を通して用いる用語「溶媒小球」は、内部に多数のより小さい水性溶液の液滴を含んでいる非常に小さい有機溶媒の球形の液滴を意味する。この溶媒小球は第2の水性溶液に懸濁され、完全に溶液内に浸漬されているものである。
【0013】用語「中性脂質」は、それ自体は膜形成能を有しておらず、親水性「頭部」基を欠いている油または脂肪を意味する。
【0014】用語「両親媒性脂質」は、親水性「頭部」基と疎水性「尾部」基を有し、膜形成能を有する分子を意味する。
【0015】用語「双性イオン性脂質」は、pH 7.4において正味の電荷がゼロとなる両親媒性脂質を意味する。
【0016】用語「陰イオン性脂質」とは、pH 7.4において正味で負の電荷を有する両親媒性脂質を意味する。
【0017】用語「陽イオン性脂質」とは、pH 7.4において正味で正の電荷を有する両親媒性脂質を意味する。
【0018】多胞リポソームの形成のためには、少なくとも1種の両親媒性脂質及びその脂質成分に含められる1種の中性脂肪が必要である。この両親媒性脂質は双性イオン性脂質、陰イオン性脂質、陽イオン性脂質であり得る。双性イオン性の両親媒性脂質の例としては、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリン等が挙げられる。陰イオン性の両親媒性脂質の例としては、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホルファチジルイノシトール、ホスファチジル酸等が挙げられる。陽イオン性の両親媒性脂質の例としては、ジアシルトリメチルアンモニウムプロパン及びエチルホスファチジルコリンが挙げられる。中性脂肪の例としては、例えばジオレイン、ジパルミトレイン、及び混合カプリリン−カプリンジグリセリドのようなジグリセリド;例えばトリオレイン、トリパルミトレイン、トリリノレイン、トリカプリリン、及びトリラウリンのようなトリグリセリド;例えば大豆油のような植物性油脂;例えば豚脂及び牛脂のような動物性脂肪;スクアレン;トコフェロール;及びこれらの組み合わせが挙げられる。さらに、多胞リポソームの製造においては、コレステロールや植物ステロールも用いることができる。
【0019】本明細書で用いる「薬物または他の化合物の封入のパーセント」は、リポソーム製造プロセスの最終懸濁物中の封入されるべき化合物の量の、プロセスの第1の水溶液に用いられる封入されるべき化合物の総量に対する比に100を乗じたものを意味する。
【0020】化合物の封入のパーセント=(封入された化合物の量)/(封入の前に導入された化合物の量)×100本明細書で用いる、ヘマトクリットに類似したものとして定義される「リポクリット」は、リポソームによって占められる体積の懸濁物の総体積に対する比に100を乗じたものを意味する。
【0021】リポクリット(%)=(リポソームによって占められる体積)/(リポソーム懸濁物の総体積)×100【0022】本明細書で用いる「遊離薬物のパーセント」は、最終リポソーム懸濁物中のリポソームの外部にある薬物の量の、最終懸濁物(最終製品)中の薬物の総量に対する比に100を乗じたものを意味する。
【0023】遊離薬物のパーセント=(最終製品中のリポソームの外部にある薬物の量)/(最終製品中の薬物の量)×100これらのパラメータを決定するための方法は、本出願の実施例2に説明されている。
【0024】本明細書で用いる用語「治療上有効な量」は、所望の薬理作用を誘導するために必要な生物活性物質の量を意味する。この量は、特定の活性物質の有効性、個々の患者の年齢、体重、及び反応、並びに患者の症状の性質及び重篤度に応じて大幅に変化し得る。従って活性物質の量の臨界的な上限または下限は存在しない。本発明において用いられる治療上有効な量は当業者であれば容易に決定できる。
【0025】本発明の方法においては、炭素鎖に12以下の炭素を有する短い鎖の両親媒性脂質を用いている所与のリポソーム製剤の封入効率を、リポソーム製剤において用いられる所与の脂質内の炭素鎖の長さを、一般に13〜約28個程度の炭素数、好ましくは約18〜約22個の炭素数の炭素鎖まで長くすることによって高めることができる。この一般的原則は、変化させる両親媒性脂質の炭素鎖が飽和しているか否か、あるいはそれが1またはそれ以上の二重結合を有しているか否かに関わらず有効である。しかし一般には、多胞リポソームの製造において用いられる脂質の選択においては、脂質が少なくとも1つの二重結合を炭素鎖内に有する場合には、炭素鎖に所与の数の炭素を有する脂質を用いるのに沸点のより低い有機溶媒を用いることができることを留意すべきである。封入効率の高い多胞リポソームの製造において用いるために好ましい両親媒性脂質はリン脂質であり、これはリン脂質が体内に存在する天然の脂質であることによる。
【0026】本発明の実施において用いるのに好ましい長鎖両親媒性脂質の代表的なもののリストは以下の通りである。このリストは例示であり、あらゆる意味で本発明の範囲を限定するものではない。本明細書においてリン脂質を表すために用いる略号も併記する。
DOPCまたはDC18:1PC=1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンDLPCまたはDC12:0PC=1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンDMPCまたはDC14:0PC=1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンDPPCまたはDC16:0PC=1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンDSPCまたはDC18:0PC=1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンDAPCまたはDC20:0PC=1,2-ジアラキドイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンDBPCまたはDC22:0PC=1,2-ジベヘノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンDC16:1PC=1,2-ジパルミトレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンDC20:1PC=1,2-ジエイコセノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンDC22:1PC=1,2-ジエルコイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリンDPPG=1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロールDOPG=1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール【0027】本明細書で用いる用語「生物活性化合物」は、例えば医学上の効果、農業上の効果、または化粧品としての効果のような、生物における望ましくない既存の状態の調整または治療において所望の効果を上げるように、生物学的プロセスを調節するための有用性を有するものとして当分野において知られている化学物質を意味する。従って生物活性物質は一般に、薬物、医薬、放射性同位体、農業製品、及び化粧品の広いカテゴリーから選択される。
【0028】本発明の方法及び組成物において封入される治療用の生物活性化合物、すなわち薬物は、抗腫瘍剤、抗感染剤、ホルモン、抗うつ剤、抗ウイルス剤、抗侵害受容剤、抗不安薬、及び生物製剤からなる一般的な群から選択され得る。
【0029】本発明の組成物及び方法において有用な抗腫瘍剤の代表的な例としては、メトトレキセート、タキソール、腫瘍壊死因子、クロラムブシル、インターロイキン、エトポシド、シタラビン、フルオロウラシル、ビンブラスチン等が挙げられる。
【0030】本発明の組成物及び方法において有用な抗感染剤の代表的な例としては、ペンタミジン、メトロニダゾール、ペニシリン、セファレキシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール等が挙げられる。
【0031】本発明の組成物及び方法において有用な抗ウイルス剤の代表的な例としては、ジデオキシシチジン、ジドブジン、アシクロビル、インターフェロン、ジデオキシイノシン、ガンシクロビル等が挙げられる。
【0032】本発明の組成物及び方法において有用な抗不安薬及び鎮静剤の代表的な例としては、ジアゼパムのようなベンゾジアゼピン、フェノバルビタールのようなバルビツール酸塩、及びブスピロン及びハロペリドールのようなその他の化合物が挙げられる。
【0033】本発明の組成物及び方法において有用なホルモンの代表的な例としては、エストラジオール、プレドニゾン、インスリン、成長ホルモン、エリスロポエチン、プロスタグランジン等が挙げられる。
【0034】本発明の組成物及び方法において有用な抗うつ剤の代表的な例としては、フルオキセチン、トラゾドン、イミプラミン、ドクセピン等が挙げられる。
【0035】本発明の組成物及び方法において有用な抗侵害受容剤の代表的な例としては、ヒドロモルフィン、オキシコドン、フェンタニル、モルヒネ、メペリジン等が挙げられる。
【0036】用語「生物製剤」は、核酸(DNA及びRNA)、タンパク質、及びペプチドを包含し、また例えばサイトカイン、ホルモン(下垂体ホルモンや下垂体性ホルモン)、成長因子、ワクチン等のような化合物を含む。特に重要なものは、インターロイキン2、インスリン様成長因子1、インターフェロン、インスリン、ヘパリン、ロイプロリド、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、腫瘍壊死因子、インヒビン、腫瘍増殖因子α及びβ、ミュラー管阻害物質(Mullerian inhibitory substance)、カルシトニン、及びB型肝炎ワクチンである。
【0037】本発明において、生物活性物質は、例えば分子複合体や生物学的に許容される塩のような種々の形態で用いることができる。そのような塩の代表的な例としては、コハク酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、サリチル酸塩、金属塩(例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩)、アンモニウム塩またはアミン塩(例えば4級アンモニウム塩)等が挙げられる。さらに、所望の保持及び放出特性を有するが生理的pHまたは酵素によってin vivoで容易に加水分解されるエステル、アミド、及びエーテルのような活性物質の誘導体も含まれ得る。
【0038】本発明の方法は、通常炭化水素鎖に12個未満の炭素を有するリン脂質のような特定の種類の短い鎖の脂質を、鎖における1またはそれ以上の追加の炭素を有するもの、通常は13個〜約22個の炭素を有するものに置換することによって実施される。例えば、12個の炭素の脂質から13個の炭素の脂質に置き換えたり、あるいは14個の炭素の脂質から16個の炭素の脂質に置き換えることよりリポソーム製剤の封入効率を高めることができ、このときこの2つの脂質の化学構造はその他の点では実質的に類似しており、リポソーム製剤の組成はその他の点では変わらない。表2に示すように、12炭素飽和PCを、14〜18炭素のより長い鎖の飽和PCに置き換えると、シタラビンの封入効率は0.2%から56.9%まで単調に増加した。同様に表2に示すように、16炭素の不飽和PCを、アシル鎖の同じ位置(位置9)に同じ数の二重結合を有する18炭素の不飽和PCで置き換えると、シタラビンの封入効率は30.1%から44.6%に上昇し、18炭素の不飽和PCを、アシル鎖において同じ数であるが異なる位置(位置11)に二重結合を有する20炭素の不飽和PCで置き換えると、44.6%から57.5%に上昇した。しかし、2つの脂質の化学構造が他の点で実質的に異なっている場合、即ち脂質の頭部基が異なる場合、立体化学が異なる場合(例えばシス型からトランス型へ、D型からL型への変化、すなわち他の型の立体異性体への変換)、または2種の不飽和脂質内の二重結合の数が異なる場合には、封入化合物のパーセントの上昇は、12炭素の飽和脂質を13炭素の不飽和脂質に、あるいは12炭素のリン脂質を13炭素のリン脂質に置き換えることにより必ずしも得られるわけではない。
【0039】リポソーム製剤の封入効率を高める方法は、生物活性物質をMVLに封入するための技術に適用することが好ましい。一般にリポソーム製剤の封入効率は少なくとも30%高めることができ、MVLでは、活性物質の封入のパーセントは、製剤に使用される脂質及び生物活性物質の化学的特性に応じて、65%程度、あるいは85%程度までも高められる。例えば多胞リポソーム製剤へのロイプロリドの封入効率は、リポソーム製造において使用される飽和リン脂質の炭素数を12から20へ増加させることによって5倍高めることができるが、このとき粒径は10.9μmから15.1μmまで増加するに過ぎないことが見出された。本発明のリポソームの直径は、一般に50μm未満、好ましくは25μm未満である。製剤のリポクリットに生ずる変化は、リポソーム懸濁物の同様な薬物濃度については、35.8%から40.1%までのものに過ぎない。さらに、最終リポソーム懸濁物における所与の薬物濃度について、MLV製剤はMVL製剤より有意に高いリポクリットを有する。例えば、DSPCを用いたシタラビンのMLV製剤は、3.5 mg/mLの薬物濃度について24.6のリポクリットを有するが、DSPCを用いたMVL製剤は26.8のリポクリットを有し、このときの薬物濃度は10.2 mg/mLであり、これは3倍高い薬物濃度である。
【0040】この知見は多胞リポソームに特有なものではない。以下の実施例8に例示するように、その製造で用いられる少なくとも1種の脂質の鎖の炭素数を増加させると、多重層リポソームでも封入効率の上昇が見られる。しかし、一般に多重層リポソームでは上昇の程度は多胞リポソームほど大きくはなく、通常6〜50%の範囲である。例えば、実施例8に示すように、多重層製剤では、リン脂質の炭素鎖の炭素数を14から18に増加させることにより、封入効率が6.5%から44.2%まで上昇した。
【0041】リポソームの製造に用いられるリン脂質の炭素数の増加に伴う封入効率の上昇は、不飽和リン脂質を製剤に導入する場合にも得られる。一般に、MVLにおいて不飽和リン脂質の鎖の炭素数を増加させると、封入効率は30〜80%の範囲で上昇するが、それに伴う粒径の増加は比較的小さい。例えば、ロイプロリドを1つの二重結合を有する不飽和リン脂質を含む多胞リポソームに封入する場合、リン脂質の炭素鎖の炭素数が18から22に増加すると、封入効率は55.4%から83.3%に上昇し、平均粒径は9.7から14.3μmに増加する。
【0042】原則として、封入効率を高めるために使用され得る脂質炭素鎖の長さに上限はないが、但しプロセス条件での脂質の相転移温度が上限を与える。本発明の方法で使用されるMVLの製造では、考慮すべき3つの温度、即ち溶媒の沸点、脂質のゲル−液晶相転移温度、及びプロセス温度が存在する。これらの中で溶媒の沸点が最も高い温度で、脂質の相転移温度が最も低い温度であり、プロセス温度をその中間とすべきである。従って、水性溶媒の場合、脂質の鎖の長さは、標準状態で100℃未満のゲル−液晶相転移温度を有するように選択するべきである。さらに、封入効率を最大限に高めるためには、飽和脂質を多胞リポソームの製剤に使用する場合には、溶媒小球の製造において使用される脂質のゲル−液晶転移温度より高い温度で乳化を行うことが通常必要である。
【0043】本明細書で用いる、リポソーム製剤の「貯蔵寿命(shelf life)」は、例えば生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム)のような貯蔵用溶液中における、例えば4℃の貯蔵温度でのリポソーム製剤からの封入された物質の放出速度と関係を有する。ここで開示するように、例えば13〜28個の炭素を含む長鎖の両親媒性脂質を組み込むことによってその封入効率を高めている多胞リポソーム製剤の貯蔵寿命も炭素鎖の炭素数の増加に比例して有意に長くなる。
【0044】従って本発明は、一つの態様において、13〜28個、好ましくは13〜22個の炭素を含む炭素鎖を有する少なくとも1種の両親媒性脂質を含む多胞リポソーム製剤に封入された、薬理学的に活性な量の生物活性化合物を含むリポソーム組成物を提供する。このような多胞リポソームは本明細書に説明する方法によって製造することができ、他の既存の種類のリポソームより高い効率で生物活性化合物を封入する能力を本来的に有する。この効率は製剤の製造において用いられる両親媒性脂質の炭素鎖における炭素数に正比例して上昇する。好ましくは、多胞リポソームの長鎖両親媒性脂質の少なくとも1種はリン脂質であり、最も好ましくはホスホコリンである。
【0045】本発明の組成物及び方法は、特に製薬工業に対していくつかの利点をもたらす。すなわち、封入効率を改善することによって収率が改善され、コストが節約されることになる。
【0046】高い化合物の封入を達成する本発明の方法により、任意の所与の薬物についての薬物:脂質比率が他の封入方法によって達成され得るものより高いことを特徴とするリポソーム製剤の製造が一般に可能となる。薬物-脂質比率が高いことは薬物や他の治療用化合物のin vivo投与のためのリポソーム系にとって実用上重要なことであり、これは体内への注射のために製造されたリポソーム製剤は一般に注射可能と考えられる約60%未満のリポクリットを有し、しかも好ましくは注射を反復することを避けるために治療上有効な量の封入薬物を単回投与量に含んでいなければならないからである。従って、高い薬物封入効率と高い薬物:脂質比率とを併せ有する製剤は、注射によって患者に投与するためにリポソーム製剤に薬物封入される治療的処置のために特に好ましく、本発明の方法を用いることにより得られる。
【0047】本発明を実施できる方法を以下の実施例において説明する。しかし、これらの実施例は例示を目的としており、実施例における特定の材料や条件に本発明を限定しようとするものではない。
【0048】
【実施例】実施例1多胞リポソーム製剤の製造多胞リポソーム製造の第1のステップは、「油中水型(water-in-oil)」エマルションの製造であった。この第1のエマルションは、クロロホルム中の13.20 mMの炭素数12〜22個の範囲の炭素鎖(飽和、不飽和いずれか)を有する試験用ホスファチジルコリン(PC)(Avanti Polar Lipids Inc., Alabaster, AL)と、19.88mMのコレステロール(Spectrum Chemical Manufacturing Corporation, Gardena, CA)と、2.79 mMの1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセロール(DPPG)と、2.44 mMのトリオレイン(Avanti Polar Lipids)とから形成された溶液の4〜5 mLを含む試験用脂質成分から製造した。この脂質成分を、4〜5 mLの水性薬物溶液と混合して、以下の薬物、シタラビン、ロイプロリド、またはモルヒネの1種を含む第1の水性溶液を製造した。
【0049】この第1の混合ステップでは、TK model K Autohomogenizerを使用して9,000 rpmの速度で8分間混合物を乳化した。得られた第1のエマルションに、4重量%のグルコース(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)及び40 mMのリシン(DegussaCorp., Marceau, France)を含む溶液を20 mL添加した。第2の混合ステップでは、model K Autohomogenizerを使用して4,000 rpmの速度で60秒間、混合物を再び乳化した。得られた第2のエマルションである「水中油中水型(water-in-oil-in-water)」二重エマルションを、4重量%のグルコースと40 mMのリシンの溶液30 mLの入った1 Lのエルレンマイヤーフラスコに静かにまぜながら(swirling)移した。静かに振盪しながらこのエマルションに37℃で20分間窒素ガスを通し、クロロホルムを蒸発させた。得られた多胞リポソームを、50 mLの生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム)(McGaw Inc., Irvine, CA)で、あるいは特定のモルヒネ製剤中のモルヒネ結晶を除去する必要がある場合には酸性化食塩水で2回洗浄した。洗浄したリポソームをベンチトップ遠心機で600×gで遠心分離し、上清をデカントして2〜8 mLの「最終懸濁物」を得た。試験用PCの主相転移温度が室温に近いかそれより高い場合は、通常は第1及び第2の混合ステップにおいて高い温度を用いて多胞リポソームを形成した。
【0050】実施例2化合物の封入、リポクリット、遊離薬物のパーセント、及び粒径分布の測定上述の調製物のそれぞれを以下のように特性化した。0.2 mLの懸濁物をエッペンドルフ遠心管内で600×gで3分間遠心分離して上清を得た。シタラビン及びモルヒネ製剤の場合は、50μLの上清を取り出して、3:1 v/vイソプロピルアルコール:1N塩酸(Fisher Chemical, Fair Lawn, NJ)が2 mL入ったガラス管にピペットで移し、激しく混合して透明な溶液を得た。U-2000分光光度計(Hitachi Instruments Inc., Danbury, CT)で、シタラビンの場合は280 nmの吸光度を、モルヒネの場合は285 nmの吸光度を測定した。ロイプロリド製剤の場合は、50μLの上清を取り出して、0.1 N水酸化アンモニウムを用いてpH 10に滴定した1:1イソプロピルアルコール:水が2 mL入ったガラス管にピペットで移し、激しく混合して透明な溶液を得た。次いで前記分光光度計で280 nmの吸光度を測定した。リポソーム懸濁物に対しても、懸濁物がより高濃度の薬物を含んでいた場合にはより大きい希釈が必要であった点を除いて同様に吸光度測定を行った。各薬物についての参照吸光度標準を、試験用溶解溶液に試験用薬物を既知の濃度で溶解した溶液に基づいて作成した。懸濁物及び上清中の薬物の濃度を、既知の方法を用いて参照吸光度標準に基づいて計算した。
【0051】化合物の封入のパーセントは、封入された薬物量の、封入前に導入された化合物の量に対する比に100を乗じたものである。遊離薬物のパーセントは、リポソーム懸濁物中のリポソームの外部にある薬物濃度の、リポソーム懸濁物中の薬物の総量に対する比に(100-リポクリット)を乗じたものである。
【0052】リポクリットは、ヘマトクリット法で求めた。約50μLの多胞リポソーム懸濁物を取り出して毛細管に入れた。気泡が生じないようにしながら管の一端を封止した。600×gで10分間遠心分離すると、懸濁物はペレット層と上清層とに分かれた。ペレットが占める管の長さの、懸濁物が占める長さに対するパーセント比を求めてリポクリットを計算した。
【0053】粒径分布及び平均粒径は、LA-500またはLA-910 Particle Size Analyzer (Horiba Inc., Irvine, CA)を用いてレーザー光回折法によって求めた。
【0054】下記の表1のデータに示すように、3回の測定を行ったときの相対的標準偏差は、化合物の封入量については3%未満、全薬物濃度、遊離薬物のパーセント、リポクリット、及び平均粒径については10%未満であった。
【0055】
【表1】

【0056】実施例3多胞リポソーム中のシタラビンについての、化合物の封入のパーセントのPC鎖長に対する依存性上述のようにシタラビンを多胞リポソームに封入したが、但し第1の水溶液として136 mM塩酸中の20 mg/mlのシタラビンを用いた。5 mLの第1の水溶液を5 mLの試験用脂質配合溶液と混合して第1のエマルションを生成した。鎖長が12〜20個の炭素からなる長さの異なるリン脂質を含む7種の試験用脂質配合溶液を製造した。それぞれ以下のリン脂質、DC12:0PC、DC14:0PC、DC16:0PC、DC18:0PC、DC16:1PC、DC18:1PC、またはDC20:1PC(Avanti Polar Lipids, Inc. Alabaster, AL)の1種を含むものとした。飽和リン脂質のDC14:0PC、DC16:0PC、及びDC18:0PCの場合は、それぞれ45℃、55℃、及び60℃で乳化させた。不飽和リン脂質のDC16:1PC、DC18:1PC、及びDC20:1PCの場合は、周囲温度(〜23℃)で乳化させた。各製剤について化合物の封入のパーセントを求めた。結果を下記表2にまとめた。
【0057】
【表2】

表2のデータから、飽和リン脂質及び不飽和リン脂質の何れの場合も、リン脂質の炭素鎖長が長くなるにつれてシタラビンの封入効率が上昇することが分かる。一方、リポクリットや粒径の脂質の鎖長への明らかな依存性は見られなかった。
【0058】実施例4その他の脂質についての化合物の封入のパーセントの依存性の共通性化合物の封入における増加の傾向がリポソーム製剤中のPC以外の脂質中の鎖長すなわち炭素数に依存するかどうかを調べるため、実施例3のシタラビン製剤のDPPGを、異なる炭素鎖長及び飽和状態を有するDOPGに置換した。3種の異なる脂質の組合せの溶液を製造し、それぞれDOPGと、以下のリン脂質、DC16:1PC、DC18:1PC及びDC20:1PCのいずれか1種とを含むものとした。これらのリン脂質は不飽和であるため、乳化は周囲温度(およそ23℃)で行った。これらの実験の結果を下記表3に示す。
【0059】
【表3】

表3にまとめた結果は、DPPGをDOPGに置換しても、リポソーム中の鎖長の増加にともなう封入効率の増加の傾向は変化しないことを示している。この関係は飽和及び不飽和のリン脂質の両者についてあてはまる。DOPG及び1個の二重結合と16炭素鎖を有する不飽和リン脂質DC16:1PCを使用して製造されたリポソームは36.8%の封入効率でシタラビンを封入し、DOPG及び1個の二重結合と20炭素鎖を有するリン脂質DC20:1PCの組合せは53.2%の化合物の封入率でシタラビンを封入した。
【0060】実施例5シタラビンを封入する多重層リポソーム(MLV)の製造60〜65℃に予め温めた20 mg/mLシタラビン(Upjohn Co., Kalamazoo, MI)溶液を、14〜18の炭素の範囲の鎖長を有する試験用ホスファチジルコリン(PC)のシリーズ(DCn:0PC, n=14〜18)のいずれか1種を含む試験管に加えて100 mM脂質分散物を製造することにより、多重層リポソーム(MLV)を製造した。10分間のインターバルで計5回、攪拌機(Baxter S/P Bortex Mixer)を用いて最大速度で分散物を試験管内で30秒間攪拌した。その後分散物を試験用PCの相転移温度をまたぐ冷却-加熱サイクルに3回かけ、リポソームの二重層膜両側の薬物平衡を促進した。そしてMLVを600×gの遠心分離によりペレット化し、生理食塩水で洗浄した(容量比20:1)。ペレットの洗浄を適当なものとするため、種々の洗浄温度で食塩水洗浄試験を行った。洗浄温度を試験PCのゲル-液晶転移温度未満に維持すると、2回のみの食塩水洗浄により比較的完全な洗浄が得られることが判った。このため、試験用PCとしてDC14:0PCを使用して製造したMLVを4℃で洗浄し、DC16:0PCまたはDC18:0PCを試験用PCとして使用して製造したものは周囲温度で洗浄した。洗浄後、ペレットを生理食塩水に再懸濁した。
【0061】実施例6モルヒネ実施例1に記載したようにしてモルヒネを多胞リポソームに封入し、上記実施例2に記載したように特性化した。但し、100 mM塩酸中の36 mg/mlの硫酸モルヒネ5水和物(Mallinckrodt Chemical Inc., St. Louis, MO)を第1の水溶液とした。第1の水溶液の5 mLを5 mLの脂質配合溶液と混合して第1のエマルションを生成した。飽和リン脂質、DC14:0PC及びDC18:0PCについては、それぞれ45℃及び60℃の異なる2種の温度で乳化を行った。結果を表4にまとめた。
【0062】
【表4】

表4のデータにより示されるように、化合物の封入は、飽和及び不飽和リン脂質の両者についてPC鎖長が増加するに従って増加する。
【0063】実施例7ロイプロリド上記実施例1及び2に記載したようにしてロイプロリドを多胞リポソームに封入し特性化した。但し以下の変更を加えた。クロロホルム中の39.60 mMの種々の鎖長及び飽和状態のホスファチジルコリン(PC)、59.64 mMのコレステロール、9.37mMのDPPG、及び7.32mMのトリオレインから形成された試験脂質配合溶液の4 mLをそれぞれ、100 mMリン酸中の10 mg/mlの酢酸ロイプロリド(Bachem BioscienceInc., King of Prussia, PA)の4 mLと混合して第1のエマルションを製造した。結果を表5にまとめた。
【0064】
【表5】

表5のデータにより示されるように、薬物封入効率は、飽和及び不飽和リン脂質の両者についてPC鎖長が増加するに従って増加する。
【0065】実施例8多重層リポソーム中へのシタラビンの封入の鎖長に対する依存性化合物の封入のパーセントと脂質鎖長との関係が多胞リポソーム以外のリポソームに適用されるかどうかを調べるため、14、16、及び18個の炭素の飽和炭素鎖を有するリン脂質、DC14:0PC、DC16:0PCまたはDC18:0PCをそれぞれ使用して製造した3種の異なる多重層リポソーム中にシタラビンを封入した。結果を下記表6にまとめた。これらの結果から、多胞リポソームの場合と同様に、多重層リポソームの薬物封入効率は、脂質の炭素鎖長とともに増加することが判る。
【0066】
【表6】

【0067】実施例9シタラビンを含む多胞リポソームにおける貯蔵寿命の鎖長及び鎖飽和状態に対する依存性多胞リポソーム製剤の貯蔵寿命に対する脂質鎖長の影響を調べるため、シタラビンとDC14:0PC、DC16:0PC及びDC18:1PCとを含む多胞リポソームの製剤について一連のリアルタイム安定性試験を行った。製剤は実施例1に記載したようにして製造し、実施例2に記載したようにして特性化した。上記安定性試験の結果を図1〜3にまとめた。この実験においては、14あるいは16炭素の炭素鎖長を有する飽和PCを含む製剤の貯蔵寿命安定性が18炭素の炭素鎖長を有する不飽和PCを含む製剤のものよりも高かった。
【0068】これまでの本発明の説明は実例と説明のための例示的なものである。本発明の概念及び範囲を逸脱することなく種々の改変を行い得ることが理解されるべきである。従って以下の請求の範囲はそのような改変の全てを包含するものと解されることを意図するものである。
【出願人】 【識別番号】503220347
【氏名又は名称】スカイファーム インコーポレーテッド
【出願日】 平成9年9月29日(1997.9.29)
【代理人】 【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔 (外1名)
【公開番号】 特開2003−327525(P2003−327525A)
【公開日】 平成15年11月19日(2003.11.19)
【出願番号】 特願2003−173460(P2003−173460)