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【発明の名称】 入浴剤
【発明者】 【氏名】藤坂 憲二
【住所又は居所】高知県南国市左右山229番地1 松田医薬品株式会社南国工場内

【要約】 【課題】入浴剤を包装している包材の浴湯投入前後の透明性の変化に基づいて、浴湯投入後に包材内の入浴剤組成物を目視できることで利用者の入浴気分を高めるとともに温浴効果を向上させた入浴剤を得ることを目的とする。

【解決手段】包材により包装された入浴剤を浴湯に投入した際に、乾燥状態から湿潤状態へ移行した包材の不透明度の変化によって、包材内の入浴剤組成物を視覚可能とした入浴剤を基本手段として提供する。そして乾燥状態から湿潤状態へ移行した際の包材の不透明度の変化は6以上であり、かつ、湿潤状態での不透明度が25以下とする。また、入浴剤組成物は水溶性組成物と非水溶性組成物でなり、浴湯投入前は水溶性組成物のマスキング効果により非水溶性組成物が目視できない状態であり、浴湯投入後は水溶性組成物が溶解することで非水溶性組成物を視覚可能としている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 包材により包装された入浴剤を浴湯に投入した際に、乾燥状態から湿潤状態へ移行した包材の不透明度の変化によって、包材内の入浴剤組成物を視覚可能としたことを特徴とする入浴剤。
【請求項2】 乾燥状態から湿潤状態へ移行した際の包材の不透明度の変化が6以上であり、かつ、湿潤状態での不透明度が25以下である請求項1に記載の入浴剤。
【請求項3】 包材の湿潤状態の不透明度が25以下であり、乾燥状態の不透明度が湿潤状態の値より6以上大きく、かつ、26以上である請求項1に記載の入浴剤。
【請求項4】 入浴剤組成物が水溶性組成物と非水溶性組成物でなり、浴湯投入前は水溶性組成物のマスキング効果により非水溶性組成物が目視できない状態であって、浴湯投入後は水溶性組成物が溶解することで非水溶性組成物を視覚可能とした請求項1に記載の入浴剤。
【請求項5】 入浴剤組成物中に前記水溶性組成物を80重量%以上100重量%未満配合した請求項4に記載の入浴剤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は入浴剤に関し、特には入浴剤組成物を包装した包材の乾燥時(使用前)の不透明度と該包材を浴湯に投入後(使用時)の不透明度の変化を視覚的に利用することにより、利用者が包材中の入浴剤組成物を目視により認識して、入浴時の視覚的な楽しみ、入浴剤組成物の確認、また、入浴剤に注目することで入浴者が手に取ったり揉み出す回数が多くなることにより、組成物の溶出効果を上げるとともに入浴気分を高め、更には入浴時間の延長による温浴効果を増大することができる新規な入浴剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から各家庭において菖蒲湯とか柚子湯等を利用した入浴法が広く使用されており、近時は健康志向とか薬用作用、ストレス解消のためのリラックス作用及びサラ湯の皮膚刺激緩和を目的とする各種入浴剤が市販されている。特に入浴剤は温泉治療や生薬による薬湯効果の外、浴湯に色と香りを付与することによって入浴気分が高められる作用が得られるので、多くの利用者に好まれている。
【0003】これら従来から知られている通常の入浴剤の形態は、温泉成分から採取した無機塩類に色素と香料を添加して乾燥させた粉末タイプ及び生薬エキス、ハーブ、香料、着色料等を配合して乾燥した後、不織布等の包材を用いて包装したティーバックタイプ等が一般的である。特にティーバックタイプの入浴剤は、浴湯内に投入した際に生薬等の非水溶性組成物の散乱を防ぐ作用があり、包材ごと浴槽中に浸漬して手で揉み出して使用する。その外にも顆粒状とか液体状の製品も市販されており、顆粒状の入浴剤は湯中で炭酸ガス等を発生する発泡性を有する製品が主流となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記ティーバックタイプの入浴剤は、不織布等の包材で包装された生薬とかハーブ類及び着色による特有な色調を持つ入浴剤組成物などを利用者が目視により認識することができず、包材は単なる使用感を損ねないように用いられているのみであるため、入浴気分を高める作用は得られないという難点がある。特に浴湯投入後には包材の影響で入浴剤組成物の変化を見ることができないため、入浴剤組成物の溶出後は使用者が包材を手に取ることもなく、入浴剤自体はほとんど注目されることがない。
【0005】また、細かい網目状の包材とか小孔を設けた透明のフィルムなどを包材として使用したことによって入浴剤組成物を視認できる入浴剤も存在しているが、これらの入浴剤はあくまで浴湯に投入する前に入浴剤組成物を確認できるようにしたものであって包材としての使用感を損ねないことを主たる目的としているに留まっているものである。即ち、従来は乾燥時と浴湯投入後の包材の不透明度の変化を利用して入浴剤組成物を視認して、視覚的な楽しみを得ることが可能な入浴剤は存在していない。更に当初から透明な包材を用いて包装した入浴剤もあるが、紫外線による影響で入浴剤組成物の脱色現象が生じやすく、時間の経過とともに商品価値が低下してしまうという課題がある。
【0006】そこで本発明は包材を入浴剤組成物の単なる包装物として利用していた点を改め、包材の乾燥状態と湿潤状態での透明性の変化と人間の視覚的変化との関係を明らかにすることで浴湯投入後に包材内の入浴剤組成物をはっきりと目視できるようにして入浴時の視覚的な楽しみ、入浴剤組成物の確認、入浴気分を高めるとともに温浴効果を向上させることができる入浴剤を得ることを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成するために、包材により包装された入浴剤を浴湯に投入した際に、乾燥状態から湿潤状態へ移行した包材の不透明度の変化によって、包材内の入浴剤組成物を視覚可能とした入浴剤を基本手段として提供する。乾燥状態から湿潤状態へ移行した際の包材の不透明度の変化は6以上であり、かつ、湿潤状態での不透明度が25以下とする。また、包材の湿潤状態の不透明度が25以下であり、乾燥状態の不透明度が湿潤状態の値より6以上大きく、かつ、26以上である入浴剤を提供する。
【0008】前記入浴剤組成物は水溶性組成物と非水溶性組成物でなり、浴湯投入前は水溶性組成物のマスキング効果により生薬,ハーブ等の非水溶性組成物が目視できない状態であり、浴湯投入後は水溶性組成物が溶解することで生薬,ハーブ等の非水溶性組成物が視覚可能となる。この水溶性組成物は入浴剤組成物中に80重量%以上100重量%未満配合してある。
【0009】かかる入浴剤によれば、包材が乾燥状態から湿潤状態へ移行した際の不透明度の変化により、利用者は包材中の入浴剤組成物としての非水溶性組成物を目視により認識することができるので、従来の入浴剤のように浴湯の色とか香り以外の要素によって、即ち生薬,ハーブ等の非水溶性組成物を視覚的に楽しむことによって入浴気分を高めるとともに、入浴剤に注目することで入浴者が手に取ったり揉み出す回数が多くなることによる入浴剤組成物の溶出効果を上げて、入浴時間の延長に伴う温浴効果を増大することができる入浴剤が提供される。また、入浴剤組成物中に水溶性組成物を80重量%以上100重量%未満配合したことにより、浴湯投入前は水溶性組成物のマスキング効果により非水溶性組成物が目視できず、浴湯投入後に水溶性組成物が溶解することで非水溶性組成物が視覚可能となる作用が得られる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下本発明にかかる入浴剤の具体的な実施形態例を説明する。本実施形態では入浴剤組成物を包装している包材の乾燥状態と湿潤状態の不透明度の変化を利用することで、該包材を浴湯に投入した後に包材の影響を受けずにはっきりと入浴剤組成物を目視できる入浴剤を得ることが特徴となっている。
【0011】従来の入浴剤は、浴湯の色、香り、体感性即ち入浴気分を高めたり温浴作用が向上する等の効果があるが、包材中の入浴剤組成物を視覚的に認識する作用はない。他方で透明な包材を用いた入浴剤も存在するが、当初から入浴剤組成物が見えているケースでは入浴剤組成物に大きな変化が生じないので、入浴気分を高める効果は期待できない。そこで本発明は浴湯内に投入した後に入浴剤組成物が認識できる視覚的な作用と、入浴気分を高める作用を持つ入浴剤を提供することが主眼となっている。
【0012】本発明で用いた入浴剤組成物は水溶性組成物と非水溶性組成物で構成され、浴湯投入前は水溶性組成物のマスキング効果によって非水溶性組成物が目視できない状態であるが、浴湯投入後は水溶性組成物が溶解することで非水溶性組成物が視覚可能となる。水溶性組成物を入浴剤組成物中に80重量%以上配合してある。なお、非水溶性組成物のみで入浴剤組成物を構成することも可能である。
【0013】浴湯への投入前後の包材の透明性の変化を十分利用するためには、利用者の視覚認識に関する判断基準を確立することが肝要である。特に包材の透明性の変化を数値として確立することにより、視覚的に感じられる効果を調整することも可能となる。そこで本発明では包材の不透明度を尺度として人間の視覚的な効果との関連を調べ、入浴剤に応用することを基本手段としている。
【0014】〔包材の不透明度の測定〕包材の透明性の測定には不透明度を指標として行った。不透明度の測定は紙の不透明度試験方法(JIS P3138)に準じて実施した。測定値の評価として0〜100で分析値が表示され、測定値が0の場合に透明性が最大であり、測定値が100では不透明性が最大となる。
【0015】浴湯中で包材の透明性が大きくなることで利用者が非水溶性組成物を認識することができるが、視覚的効果は包材の条件等によっても異なる。この視覚的効果の大きい領域を明らかにするため、試料包材の乾燥状態と湿潤状態での不透明度の変化を測定した。
【0016】試料包材の不透明度の測定は、分光式白度計分光式色差計PF10(日本電色工業株式会社製)を用いて室温23℃、湿度50%の条件下で行った。また、湿潤状態での測定は精製水に十分に浸した試料をガラス板にはさみ込み、気泡がない状態にして測定を行った。湿潤状態でのブランクとして2枚のガラス板と精製水を用いて測定し、乾燥状態のブランクは2枚のガラス板のみを用いて測定した。
【0017】種々の包材試料の乾燥状態及び湿潤状態での不透明度を測定し、不透明度の変化をまとめた結果を表1に示す。包材名B,C,D,E,Sは本発明にかかる実施例としての包材試料であり、包材名F,G,I,Aは従来から包材として用いられている比較例としての包材試料である。不透明度の変化は乾燥状態と湿潤状態の不透明度の差で表している。比較例の包材A,Fは湿潤状態の不透明度が比較的小さい試料、比較例の包材G,Iは湿潤状態の不透明度が比較的大きい試料である。
【0018】
【表1】

【0019】次に表2,表3に示したように使用した包材を袋状にして非水溶性組成物として直径約3〜5mmの生薬、ハーブであるオウバク、ショウキョウ、ラベンダーを1:1.5:1の割合で配合した入浴剤組成物3.5gを入れ、湿潤状態と乾燥状態での目視による評価を行った。表2の評価基準は×:包材の影響が大きく組成物の形状が見えない△:包材の影響でぼやけているが組成物の形状が見える○:包材の影響で少しぼやけているが組成物の形状が見える◎:包材の影響を受けない位の透明状態であり組成物の形状がよく見えるであり、表3の評価基準は×:包材の影響が大きく組成物の形状が見えない□:包材の影響でかなりぼやけているが組成物の形状が見える△:包材の影響でぼやけているが組成物の形状が見える○:包材の影響でわずかにぼやけているが組成物の形状が見えるである。
【0020】
【表2】

【0021】
【表3】

【0022】表2,表3では試料包材を左から不透明度の高い順に並び代えてあり、不透明度値が減少するのにつれて包材の影響が少なくなって入浴剤組成物が目視可能となっている。従って使用者は不透明度の減少に伴って入浴剤組成物を目視で認識することができる。前記したように不透明度が0に近づけば透明性が大きくなるが、例外として包材によっては湿潤状態の時に乾燥状態より不透明度が大きくなるものが存在する。これは包材加工の際に繊維状の物質が浮き出てくるために不透明度の数値が上昇するためであり、湿潤状態の不透明度が大きくなるが、入浴剤組成物は不透明度が上昇しても湿潤状態では乾燥状態よりも部分的に認識しやすくなる。
【0023】表2の比較例の包材Aと実施例の包材Eの目視による評価が大きく異なることから、不透明度が約25以下の場合には包材の影響を大きく受けずに入浴剤組成物を目視できることが分かる。更に表2に示す視覚的な変化として捉えられるためには、比較例の包材Aと本発明にかかる実施例の包材Eとの湿潤状態での不透明度の差「32−25=7」、即ち、不透明度の差が少なくとも7以上必要であることが判明した。このように湿潤状態での不透明度の差が7で視覚的効果があると考えられるが、より大きい効果を得るために表2の実施例の包材Eと比較例の包材Fの湿潤状態の不透明度の差「37−25=12」が乾燥状態から湿潤状態への移行の際の視覚的な変化の目安となる。
【0024】このように湿潤状態の不透明度の差と視覚的な変化との関係は判明したが、乾燥状態と湿潤状態では試料の目視できる不透明度が少し異なっている。そこで湿潤状態で目視できる不透明度が乾燥状態での不透明度としてどのくらいの数値になるかを検討した。表2,3において本発明にかかる実施例の包材B,C,E,Sは浴中に投入する前は入浴剤組成物を十分に目視することができなかったが、投入後は目視可能となり、視覚的な変化を与えることができる。また表3において実施例の包材Cは包材の影響が小さくなっていると考えられ、表1に示す乾燥状態での不透明度26では視覚的な効果は期待できない。
【0025】次に実施例の各包材試料と比較例の各包材試料における乾燥時と湿潤時の不透明度の関係を検証する。前記表2,表3は目視による湿潤状態と乾燥状態の不透明度を評価した結果であり、不透明度と視覚的な関係として、湿潤状態では包材の目に水が侵入することで水がレンズのような役目をするため、目視で認識し易い状態となっている。特に湿潤状態のほうが乾燥状態より高い不透明度の値でも認識し易い状態を生じている。以下湿潤状態での目視の具合と乾燥状態の目視の具合がどのような関係になるかを検討する。
【0026】各包材試料内の入浴剤組成物は表2,3で使用したものと同一物を用いて袋状にした包材内に充填、密封した。基準品である湿潤状態の試料はそのまま浴湯中に投入し、判定品である乾燥状態の試料は透明のフィルムに入れ、十分に空気を抜いた後、シーラーにて密封した。浴中の基準品(湿潤状態)の横に、透明のフィルムに投入した試料(乾燥状態)を並べて目視の具合を評価した。
【0027】表4と表5は湿潤状態(比較例)と乾燥状態(実施例)での目視による入浴剤組成物の見え具合を比較例の包材Aと実施例の包材C,Sで行った評価結果であり、表4は比較例の包材Aの湿潤状態の不透明度32と、実施例の包材Cの乾燥状態の不透明度26との差が6であるケース、表5は比較例である包材Aの湿潤状態の不透明度32と、実施例の包材Sの乾燥状態の不透明度30との差が2であるケースにおける目視の判定結果を示している。尚、目視判定の評価基準は実施例の包材C,Sが比較例の包材Aに比較して◎:はっきりと目視できる○:同等である△:少しぼやけているが目視できる×:ぼやけているが目視できるである。
【0028】
【表4】

【0029】
【表5】

【0030】表4から湿潤状態の不透明度32と乾燥状態の不透明度26の目視の具合が略同等であることが判明した。これにより包材試料の乾燥状態では湿潤状態に比べより大きい透明性が必要であることが明らかとなった。表5の不透明度の差が2であるケースでは少しぼやけているが目視できる範囲である。
【0031】表6は比較例の包材Fの湿潤状態の不透明度37と実施例の包材Sの乾燥状態の不透明度30の差が7であるケースでの目視の判定結果を示している。目視判定の評価基準は同一である。
【0032】
【表6】

【0033】表4と表6を較べると、不透明度の差は6と7で1だけ異なるがほぼ同じと判定できたので、湿潤状態と乾燥状態での目視の具合を不透明度で示すと、以下のようになることがわかる。即ち、〔湿潤状態での不透明度〕=〔乾燥状態の不透明度の値〕−6従って乾燥状態の不透明度よりマイナス6の値で、湿潤状態の不透明度の見え方の値に換算できることが分かる。
【0034】前記表2より乾燥状態から湿潤状態へ移行する際の不透明度の変化は、湿潤状態の不透明度の変化で比較例の包材Fと実施例の包材Eの不透明度の差「37−25=12」が必要と考えられるが、湿潤状態の不透明度37の見え具合は乾燥状態の不透明度31に相当し、湿潤状態では不透明度が25であれば乾燥状態より湿潤状態へ移行する際に不透明度の変化が少なくとも6以上必要であることも判明した。
【0035】以上の検証結果から、非水溶性組成物としての入浴剤組成物が浴湯投入前よりも投入後に視覚により十分に確認できる入浴剤は、湿潤状態での包材の不透明度が約25以下であり、乾燥状態から湿潤状態へ移行の際、6以上の不透明度の変化を有する包材を用いればよいことが判明した。一例として表1、表3で包材の影響でぼやけて見える乾燥状態の包材よりも、実施例の包材Bのように乾燥状態での不透明度が36、湿潤状態での不透明度が20である包材を用いた場合には、乾燥状態から湿潤状態へ移行する際の不透明度の変化値、即ち乾燥状態と湿潤状態の不透明度の差が16であって不透明度6以上の変化があり、かつ、湿潤状態での不透明度が25以下であるため、この包材試料を用いれば目的とする入浴剤が提供可能となる。以下に具体的な実施例を説明する。
【0036】表7に示す処方例1を用いて配合した入浴剤組成物を、表8に示す本実施例1と従来例1,2,3の袋状の包材中に充填、シールして入浴剤の試料を作成した。処方例1の内容は、炭酸水素ナトリウム16.5g,オウバク1.0g,ラベンダー1.0g,ショウキョウ1.5g,色素(青色1号)0.4g,香料(ミント)0.4gとした。本実施例1の使用包材はB、従来例1,2,3の使用包材は各F,G,Aとした。
【0037】
【表7】

【0038】
【表8】

【0039】〔評価例1〕上記本実施例1と従来例1,2,3の入浴剤の試料を10人の評定者に提供して入浴時の気分的な効果を判定して貰い、比較して評価した。その結果を表9に示す。
【0040】
【表9】

【0041】各試料は以下の4段階にて評価した。評価内容は、(1)投入前の入浴剤を見て一番使用してみたいものはどれか、(2)入浴して最も楽しめたと思う入浴剤はどれか、(3)また使用したいと一番思う入浴剤はどれか、(4)投入後、入浴剤組成物としての非水溶性組成物の色彩等を楽しむことができたか、である。評定者1〜10が(1)〜(3)で最も使用してみたいという選択をした試料に●でポイントを表示してある。(4)の評価基準は◎:組成物の色彩感を十分に目視でき、極めて十分に楽しむことができた○:ぼやけているが組成物の色彩感を目視でき、やや楽しむことはできた△:組成物の色彩感を十分に目視できず、楽しむことができなかった×:組成物を十分に目視できず、楽しむことができなかったである。
【0042】表9によれば評価内容(4)において本実施例1が圧倒的に支持されており、浴湯へ投入した後に入浴剤組成物がはっきりと目視できることによって従来例1,2,3よりも包材内の入浴剤組成物の色彩感などを楽しむ効果が極めて大きいことが分かった。また、評価内容(2)においても本実施例1に全員が●を選択して全面的に支持されており、浴湯投入後に組成物をはっきりと目視できる入浴剤が入浴気分を高める効果が大きいことが判明した。
【0043】本実施例1が圧倒的に支持された最大の理由として、入浴剤組成物の包材が浴湯投入後に投入前とは異なって透明になることで、視覚的な変化が注目されたこと、しかもその視覚的変化が大きかったことが挙げられる。特に従来例1,2,3では十分に目視することができない色鮮やかな入浴剤組成物としての非水溶性組成物をはっきりと目視できることが大きな要因である。また、評価内容(3)においても本実施例1に全員が●を選択して全面的に支持されており、本実施例1が再度使用したい入浴剤であることが確認された。
【0044】従来例2は評定者1〜10にほとんど支持されなかったが、この従来例2は浴湯中で入浴剤組成物が全く目視できない入浴剤であり、評定者にほとんど注目されなかった。従って入浴剤組成物が浴湯中ではっきりと目視できることは入浴気分を高める上で効果があることが理解される。
【0045】〔評価例2〕上記本実施例1と従来例1,3の入浴剤の試料を10人の評定者に提供して浴用効果を判定して貰い、比較して評価した。その結果を表10に示す。入浴剤は浴湯につかるときに投入することにし、評定者として日常浴湯につかる時間が約4分程度の者を選出した。
【0046】
【表10】

【0047】各試料は以下の8段階にて評価した。評価内容は、■体がよく温まった、■よい香りがした、■肌がしっとりした、■浴湯につかる時間が増加した、■入浴により落ち着いた気分がした、■入浴剤を目視することが多かった、■入浴剤を手に取ることが多かった、■入浴剤を揉み出す回数が多かった、である。評価基準は◎:従来品より大きい効果が得られた○:従来品と同等の効果が得られた(違いがわからない)
×:従来品の効果が得られなかったである。
【0048】表10によって従来例1,3と本実施例1との間に包材による使用感の違いがないかを比較してみたところ、評価内容■はともに大きな相違がなく、包材による影響はほとんどないものと考えられる。本実施例1は評価内容■で多くの支持を受けており、本実施例1が気分的な効果を大きくすることが分かった。更に評価内容■によれば本実施例1の入浴剤が従来例よりも浴湯中で多く目視されるていることが分かる。入浴剤に注目することで入浴者が手に取ったり揉み出す回数が多くなり、浴湯につかる時間が増加するとともに入浴剤成分の浴湯への浴出が大きくなることで温浴効果が高くなる。
【0049】〔評価例3〕包材試料E、即ち湿潤状態の不透明度が25である包材試料を本実施例2とし、該包材試料Eと従来例である包材試料Aに処方例1の入浴剤組成物を充填して10人の評定者に提供して入浴時の気分的な効果に関する総合評価を行った。その結果を表11に示す。表9で使用した従来例中の最も評価の高い従来例3を本実施例2の比較品とした。
【0050】
【表11】

【0051】各入浴剤試料は以下の4段階にて評価した。評価内容は、(1)投入前の入浴剤を見て一番使用してみたいものはどれか、(2)入浴して最も楽しめたと思う入浴剤はどれか、(3)また使用したいと一番思う入浴剤はどれか、(4)投入後、入浴剤組成物の色彩等を楽しむことができたか、である。評定者1〜10が最も使用してみたいという選択をした試料に●でポイントを表示してある。評価基準は◎:組成物の色彩感を十分に目視でき、極めて十分に楽しむことができた○:ぼやけているが組成物の色彩感を目視でき、やや楽しむことはできた△:組成物の色彩感を十分に目視できず、楽しむことができなかった×:組成物を十分に目視できず、楽しむことができなかったである。
【0052】表11によれば本実施例2も入浴剤組成物がはっきりと目視できることで本実施例1と同等の評価が得られることが示された。従って包材の不透明度の視覚的な変化を利用することにより、本実施例2も本実施例1と同等の効果を有する入浴剤が得られることが分かった。
【0053】〔評価例4〕上記本実施例2と従来例1,3の入浴剤の試料を10人の評定者に提供して浴用効果を判定して貰い、比較して評価した。その結果を表12に示す。入浴剤は浴湯につかるときに投入することにし、評定者として日常浴湯につかる時間が約4分程度の者を選出した。
【0054】
【表12】

【0055】各試料の評価内容と評価基準は〔評価例2〕と同一とした。表12によって従来例1,3と本実施例2との間に包材による使用感の違いがないかを比較してみたところ、評価内容■はともに大きな相違がなく、包材による影響はほとんどないものと考えられる。本実施例2は評価内容■で多くの支持を受けており、本実施例2が気分的な効果を大きくすることが分かった。更に評価内容■によれば本実施例2の入浴剤が従来例よりも浴湯中で多く目視されるていることが分かる。よって、湿潤状態の不透明度が25以下であることが入浴時の気分的な効果を大きくする上で有効であることが分かった。
【0056】以上本発明の実施例1,2と従来例及び各評価内容の説明を行ったが、入浴剤組成物の配合例は前記表7に示した処方例1の外に、表13,表14,表15,表16に示す処方例2,3,4,5を用いてもよい。
【0057】
【表13】

【0058】
【表14】

【0059】
【表15】

【0060】
【表16】

【0061】処方例2の内容は、ミント5.6g,ローズマリー4.4g,カミツレ1.0g,色素(青色1号)0.025g,香料(ミント系)0.3gであり、処方例3の内容は、ローズ4.6g,ローズマリー4.4g,ミント1.0g,色素(赤色1号)0.025g,香料(ローズ系)0.3gである。また、処方例4の内容は、炭酸水素ナトリウム6.5g,硫酸ナトリウム7.5g,コウカ0.5g,チンピ5.5g,色素(リボフラビン)0.03g,香料(レモン系)0.2gであり、処方例5の内容は、炭酸水素ナトリウム10.0g,硫酸ナトリウム7.3g,ローズマリー2.5g,色素(緑色201号,黄色4号)0.02g,香料(ハーブ系)0.17gである。
【0062】本発明において使用可能な入浴剤組成物の原料は、通常の入浴剤原料として使用できるものならすべて使用し得るが、その目的とする効能、効果に応じて次に示すものの中から適宜選択して配合すればよい。
【0063】〔無機塩類〕炭酸水素ナトリウム,硫酸ナトリウム,塩化ナトリウム,セスキ炭酸ナトリウム,炭酸ナトリウム,チオ硫酸ナトリウム,硫酸マグネシウム,酸化カルシウム,塩化カリウム,硝酸カリウム,臭化カリウム,炭酸マグネシウム,ホウ酸,メタケイ酸,無水ケイ酸等。
【0064】〔有機塩類〕クエン酸,フマル酸,安息香酸,酒石酸,サリチル酸,カルボン酸等。
【0065】〔生薬,ハーブ類〕チンピ,ショウキョウ,オウバク,サンシシ,コウボク,コウカ,ジュウヤク,ガイヨウ,センキュウ,トウガラシ,カミツレ,ローズマリー,ローズ,ラベンダー,ミント,レモングラス等の粉砕物および抽出液等。
【0066】〔色素類〕赤色104号,赤色106号,黄色202−1号,黄色203号,緑色204号,緑色201号,青色1号,青色205号,橙色205号等の厚生省令別表(1)及び(2)の色素、リボフラビン,アントラキノン等の食品添加剤として認められる天然色素。
【0067】〔香料類〕ラベンダー油,ローズ油,レモン油,ペパーミント油,オレンジ油,ヒバ油,シトロネール等の天然および合成香料等。
【0068】〔白濁剤〕酸化チタン,酸化カルシウム,被覆酸化チタン等の白濁剤。
【0069】〔油脂類〕流動パラフィン,オーブ油,スクワラン,ホホバ油,白色ワセリン等。
【0070】〔多価アルコール類〕1、3−ブチレングリコール,グリセリン等。
【0071】〔増粘剤〕カルボキシメチルセルロースナトリウム,ポリエチレングリコール等。
【0072】更に本発明の入浴剤組成物は、上記した成分以外にも必要に応じて殺菌防止剤,界面活性剤,アミノ酸類,ビタミン類,金属封鎖剤,その他の広い範囲の原料を配合することができる。
【0073】次に本実施例にかかる入浴剤組成物を構成する水溶性組成物と非水溶性組成物の配合割合による水溶性組成物のマスキング効果について検討した。入浴剤組成物として水溶性組成物に色素と香料を加えて着色したものと、非水溶性組成物を任意の割合で配合したものを用いた。表17,表18は水溶性組成物と非水溶性組成物の処方例6と処方例7を示している。
【0074】
【表17】

【0075】
【表18】

【0076】処方例6は、水溶性組成物として炭酸水素ナトリウム,緑色201号,黄色4号,香料(ローズマリー)、非水溶性組成物としてローズマリーを用いており、処方例7は炭酸水素ナトリウム,緑色201号,赤色104号,香料(ラベンダー)、非水溶性組成物としてラベンダーを用いた。そして表1の包材試料Cを袋状にして処方例6,7の組成物を配合した入浴剤組成物を各々20g入れてシールしてマスキング効果を判定した。表19と表20は各処方例6,7の水溶性組成物の配合量に対する非水溶性組成物のマスキング効果を評価した結果である。評価基準は◎:目視において非水溶性組成物がほぼ完全にマスキングされている○:目視において非水溶性組成物が少し確認できる×:目視において非水溶性組成物が目立ちはじめたである。
【0077】
【表19】

【0078】
【表20】

【0079】表19によれば、水溶性組成物の配合割合が80重量%以上で目視による非水溶性組成物のマスキング効果が現れており、表20によれば水溶性組成物の配合割合が90重量%以上で同様な効果が得られている。そこで本発明では入浴剤組成物中に水溶性組成物を80重量%以上100重量%未満配合したことによって浴湯投入前は入浴剤組成物が目視できない状態であり、浴湯投入後は水溶性組成物が溶解することで入浴剤組成物を視覚することができる。
【0080】乾燥状態から湿潤状態への不透明度の変化が小さい場合などは、水溶性組成物を非水溶性組成物と同色に着色することで乾燥状態において非水溶性組成物をマスキングすることができる。また、浴湯投入後に水溶性組成物が溶解して非水溶性組成物を目視できる状態になる効果を共有することで、浴湯投入後の入浴剤組成物をはっきりと目視できる効果を大きくすることができる。前記したように目視による効果を大きくするためには、水溶性組成物の配合割合が80重量%以上で100重量%未満が最も効果的であり、例えばラベンダー、ローズのような比重の小さいものは10重量%付近までの配合とし、ローズマリーのように比較的比重の大きいものは20重量%付近までの配合により効果を高めることができる。
【0081】本発明にかかる入浴剤はティーバック仕様でありながら無機塩類などの一般的な水溶性の粉末入浴剤と同様な入浴気分が得られ、入浴剤組成物を溶出した包材の廃棄処理も簡単であって、特に包材内部の入浴剤組成物が浴湯中ではっきりと目視できることで浴湯の色と香り以外の要素でも入浴気分を高める効果が得られる。特に従来のティーバック仕様の入浴剤には使用者が「何が入っているか分からないので少し不安である」という意見があり、本実施例では浴湯投入後に入浴剤組成物が確認できるとともにその変化を楽しむ効果も大きいことが特徴の一つとなっている。
【0082】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明にかかるティーバックタイプの入浴剤によれば、浴湯投入後に入浴剤組成物を包装している包材が乾燥状態から湿潤状態へ移行した際の不透明度の変化によって利用者が包材中の入浴剤組成物を目視により認識することができるので、従来の入浴剤のように単に浴湯の色とか香り以外の要素、即ち利用者が包材内の入浴剤組成物をはっきりと目視できることで入浴気分が高まり、かつ、入浴剤に注目することで入浴者が手に取ったり揉み出す回数が多くなることによって入浴剤組成物の溶出効果を上げ、温浴効果を向上させることができる。
【0083】更に入浴剤組成物中に水溶性組成物を80重量%以上100重量%未満配合したことによって、浴湯投入前に水溶性組成物のマスキング効果により入浴剤組成物が目視できず、浴湯投入後に水溶性組成物が溶解することで非水溶性組成物が視覚可能となり、浴湯投入後の水溶性組成物の溶出後は使用者が包材を手に取って目視により認識することによって使用感を高めることができる。更に入浴剤は当初から透明な包材を用いて包装していないため、紫外線による影響で入浴剤組成物の脱色現象は生じることがなく、商品価値を高く維持することができる。
【0084】従って本発明によれば、包材の乾燥状態と湿潤状態での透明性の変化と人間の視覚的変化との関連性に基づいて、包材を単に入浴剤組成物の包装物として使用するのみでなく、浴湯への投入後に包材内の入浴剤組成物をはっきりと目視可能として入浴気分を高めるとともに温浴効果を向上させることができる入浴剤を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】392016258
【氏名又は名称】松田医薬品株式会社
【住所又は居所】高知県吾川郡伊野町3806番地のイ
【識別番号】398012410
【氏名又は名称】三和製紙株式会社
【住所又は居所】高知県土佐市高岡町丙443番地の1
【出願日】 平成14年5月9日(2002.5.9)
【代理人】 【識別番号】100085648
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 幹人
【公開番号】 特開2003−327524(P2003−327524A)
【公開日】 平成15年11月19日(2003.11.19)
【出願番号】 特願2002−134290(P2002−134290)