| 【発明の名称】 |
油中水型乳化組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】森 俊樹
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| 【要約】 |
【課題】界面活性剤を用いることなく、経時安定性、安全性および使用性に優れた油中水型乳化組成物を提供すること。
【解決手段】脂肪酸および高級アルコールからなる群から選択された一種以上の油分、前記油分に可溶な一種以上の高分子、ならびに無機塩、有機酸塩、アミノ酸およびその塩からなる群から選択された一種以上の化合物を含み、好ましくは、さらに水相に前記油分に不溶な水溶性高分子を含むことを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 脂肪酸および高級アルコールからなる群から選択された一種以上の油分、前記油分に可溶な一種以上の高分子、ならびに無機塩、有機酸塩、アミノ酸およびその塩からなる群から選択された一種以上の化合物を含み、かつ界面活性剤を含まないことを特徴とする油中水型乳化組成物。 【請求項2】 前記油分に可溶な高分子が、ポリビニルピロリドン、またはビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体である請求項1記載の油中水型乳化組成物。 【請求項3】 無機塩および有機酸塩が、硫酸塩、クエン酸塩、炭酸塩およびリン酸塩からなる群から選択された一種以上の化合物である請求項1記載の油中水型乳化組成物。 【請求項4】 水相に前記油分に不溶な水溶性高分子を含む請求項1記載の油中水型乳化組成物。 【請求項5】 前記油分以外の油分を含有し、前記油分以外の油分の50重量%以上がシリコーン系オイルである請求項1記載の油中水型乳化組成物。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、油中水型乳化組成物に関する。 【0002】 【従来の技術】従来の油中水型乳化組成物は、親油性の高い界面活性剤を使用した乳化により製造されてきた。また、近年では、特開平9−301824号公報および粧技誌,34,3,291(2000)において、高分子化合物であるエチルセルロースを使用した製造方法が開示されている。 【0003】しかしながら、このような従来の油中水型乳化組成物においては、つぎのような問題点があった。界面活性剤を用いた場合には、界面活性剤によりべたつきのある使用感となるために好ましくなく、また、一般消費者の間で界面活性剤の安全性に不安を抱くものが多いという問題もあった。 【0004】また、乳化剤として高分子を用いた場合には、界面活性剤と比較して界面張力低下能が小さいため、乳化力が相対的に小さく、乳化安定性が悪いという問題があった。 【0005】エチルセルロースを乳化剤として用いた場合には、極性のある油分を主体とした油相でなければ安定な乳化物を得ることができなかった。したがって、油中水型乳化組成物を使用する際にさっぱりとした使用感を有するために油分として多用されるジメチルポリシロキサンあるいは環状ポリシロキサンだけでは乳化することができないなど応用範囲の狭いものであった(粧技誌、34、3、291(2000))。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明では、界面活性剤を用いない経時安定性に優れた油中水型乳化組成物を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものである。すなわち、本発明は、脂肪酸および高級アルコールからなる群から選択された一種以上の油分、前記油分に可溶な一種以上の高分子、ならびに無機塩、有機酸塩、アミノ酸およびその塩からなる群から選択された一種以上の化合物を含み、かつ界面活性剤を含まないことを特徴とする油中水型乳化組成物、前記油分に可溶な高分子が、ポリビニルピロリドン、またはビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体である前記の油中水型乳化組成物、無機塩および有機酸塩が、硫酸塩、クエン酸塩、炭酸塩およびリン酸塩からなる群から選択された一種以上の化合物である前記の油中水型乳化組成物、水相に前記油分に不溶な水溶性高分子を含む前記の油中水型乳化組成物、および前記油分以外の油分を含有し、前記油分以外の油分の50重量%以上がシリコーン系オイルである前記の油中水型乳化組成物に関する。 【0008】本発明の油中水型乳化組成物は、界面活性剤を含まず、かつ経時安定性に優れているという特徴を有する。 【0009】 【発明の実施の形態】本発明の油中水型乳化組成物は、脂肪酸および高級アルコールからなる群から選択された一種以上の油分、前記油分に可溶な一種以上の高分子、ならびに無機塩、有機酸塩、アミノ酸およびその塩からなる群から選択された一種以上の化合物を含有する。 【0010】油中水型乳化組成物は、外油相および内水相を有し、前記油分に可溶な高分子が乳化剤として作用している。 【0011】脂肪酸は、炭素数6以上で常温(25℃)において固形あるいは液状のものであれば、特に限定されるものではない。炭素数が6未満では、親油性が不充分である。油相を形成する脂肪酸の親油性が不充分である場合には、前記油分に可溶な高分子が油相に配向しにくくなり、乳化剤としての作用が低下するため、乳化組成物の安定性が低下する傾向がある。常温において固形である脂肪酸としては、パルミチン酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸などを使用することができる。また、常温において液状である脂肪酸としては、カプロン酸、カプリル酸などの直鎖脂肪酸;イソパルミチン酸、イソステアリン酸などの分岐脂肪酸;オレイン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸などの不飽和脂肪酸などを使用することができる。特に常温で液状のものが好ましい。 【0012】高級アルコールは、炭素数6以上で常温(25℃)において固形あるいは液状のものであれば、特に限定されるものではない。炭素数が6未満では、親油性が不充分である。油相を形成する高級アルコールの親油性が不充分である場合には、前記油分に可溶な高分子が油相に配向しにくくなり、乳化剤としての作用が低下するため、乳化組成物の安定性が低下する傾向がある。常温において固形である高級アルコールとしては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなどを使用することができる。また、常温において液状である高級アルコールとしては、オクタノール、デカノールなどの直鎖高級アルコール;イソステアリルアルコール、オクチルドデカノールなどの分岐高級アルコール;オレイルアルコールなどの不飽和高級アルコールなどを使用することができる。特に常温で液状のものが好ましい。 【0013】前記油分の配合量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは2重量%以上である。0.1重量%未満では良好な乳化組成物を得ることができない。前記油分の配合量に特に上限はなく、使用性などを考慮して配合することができる。 【0014】前記油分に可溶な高分子としては、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルカプロラクタム、ビニルピロリドン/ビニルカプロラクタム共重合体、ポリN−ビニルアセトアミドなどがあげられ、ポリビニルピロリドンおよびビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体が特に好ましい。 【0015】前記油分に可溶な高分子の分子量としては、重量平均分子量が1000〜1500000、なかんづく5000〜500000のものが用いられる。前記油分に可溶な高分子としては、市販品を用いることができる。分子量が低すぎるときには、経皮吸収されるおそれがあり、界面活性剤を使用しないメリットがなくなり、分子量が高すぎるときには、粘度が高くなるため乳化組成物に影響を与える。ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体中、酢酸ビニルは好ましくは0〜90モル%含有されることができる。90モル%をこえると充分な親水性を得ることができず、乳化剤として機能することができない。また、ビニルピロリドン/ビニルカプロラクタム共重合体については、ポリビニルピロリドンおよびポリビニルカプロラクタムともに単独で前記油分に可溶な高分子として使用することができるため、特に組成は限定されないが、たとえば、共重合体中、ビニルカプロラクタムを1〜99モル%含有することができる。 【0016】前記油分に可溶な高分子として用いられるビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体およびビニルピロリドン/ビニルカプロラクタム共重合体は、ランダム共重合体あるいはブロック共重合体として使用される。 【0017】前記油分に可溶な高分子は、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.2〜2重量%配合される。0.1重量%未満では乳化剤としての効果が不充分であり、10重量%をこえると系の粘度が高くなりすぎて使用性がわるく、また高分子によるぬめりなども感じられるため好ましくない。 【0018】本発明においては、無機塩、有機酸塩、アミノ酸およびその塩の塩析効果により、油分に可溶な高分子を親油性乳化剤として作用させ、油中水型乳化組成物を得ることができる。 【0019】無機塩としては、水溶性であり、脱水和作用による塩析効果を示すものであれば特に限定されないが、硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩などが好ましく、特に硫酸ナトリウムなどの硫酸塩が好ましい。 【0020】有機酸塩としては、水溶性であり、脱水和作用による塩析効果を示すものであれば特に限定されないが、クエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸一カリウムなどのクエン酸塩;コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウムなどのコハク酸塩;酒石酸二ナトリウムなどの酒石酸塩などを用いることができる。有機酸塩は、有機酸塩および有機酸塩の水和物として添加することもできるが、有機酸をアルカリで中和して添加することもできる。 【0021】アミノ酸およびその塩としては、水溶性であり、脱水和作用による塩析効果を示すものであれば特に限定されないが、グリシン、プロリン、アラニン、アスパラギン酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウムなどを用いることができる。 【0022】無機塩、有機酸塩およびアミノ酸塩は、水溶性であり、塩析効果を示すものであれば特に限定されないが、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩などが用いられる。 【0023】無機塩、有機塩酸、アミノ酸およびその塩は、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜3重量%配合される。0.1重量%未満では塩析効果が不充分であり、10重量%をこえると塩の析出などが起こり、系が不安定となる。 【0024】本発明の油中水型乳化組成物は、界面活性剤を含まない。 【0025】本発明の油中水型乳化組成物は、さらに前記油分に不溶な水溶性高分子を含有することができる。 【0026】前記油分に不溶な水溶性高分子としては、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸ナトリウム、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロースなどがあげられる。水相に前記油分に不溶な水溶性高分子を加えることにより、乳化が行ないやすくなる。前記油分に不溶な水溶性高分子は、0.05〜10重量%、好ましくは0.1〜1重量%配合することができる。0.05重量%未満では、乳化はするものの水相を油相へ分散させるときの分散性が低く、大きな撹拌力を要する。10重量%をこえると、油中水型から水中油型へ転相する可能性があり、また、べたつき、およびぬめりなどが生じて使用感がわるくなる。 【0027】本発明の油中水型乳化組成物には、油相を形成する成分として、前記油分以外の油分を含有させることができる。前記油分以外の油分としては、常温で固形、ペースト状、液状いずれの形状のものでも配合することができ、炭化水素系の極性油、非極性油、シリコーン系オイルなどを使用することができる。油中水型乳化組成物は、水中油型乳化組成物に比べて一般的に油分が多いために、べたついた使用感を有する。したがって、油分のべたつき感の少ない環状ポリシロキサン、ジメチルポリシロキサンなどのシリコーン系オイルを使用することが好ましい。特に揮発性の高い環状ポリシロキサンを使用することが好ましい。たとえば、前記油分以外の油分の50重量%以上をシリコーン系オイルとすることができる。 【0028】本発明の油中水型乳化組成物には、脂肪酸および高級アルコールからなる群から選択された一種以上の油分、それ以外の油分、前記油分に可溶な一種以上の高分子、無機塩、有機酸塩、アミノ酸およびその塩からなる群から選択された一種以上の化合物、ならびに前記油分に不溶な水溶性高分子以外に、保湿剤、殺菌剤、防腐剤、酸化防止剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、酸化チタンや酸化バリウムのような粉体、酸化鉄のような着色料などを配合させることもできる。 【0029】油相と水相の比率は特に限定されないが、好ましくは油相:水相=50〜10:50〜90(重量比)、より好ましくは油相:水相=40〜20:60〜80(重量比)である。油相が10重量%未満では安定な乳化物を得ることが困難となり、50重量%をこえると油分によるべたつきにより使用感上好ましくない。 【0030】本発明の油中水型乳化組成物は、たとえば、油分に可溶な高分子を含む油相を均一化したのち、ホモミキサーまたはディスパーで撹拌しながら無機塩、有機酸塩、アミノ酸およびその塩を含む水溶液を徐々に添加することにより調製される。ポリビニルピロリドンなどの油分に可溶な高分子を油分に溶解させる場合には、通常加温が必要であるが、ポリビニルピロリドンなどの油分に可溶な高分子を溶解させる溶媒、たとえばエタノールなどを用いることで操作を簡便にすることができる。 【0031】本発明の油中水型乳化組成物に前記油分に不溶な水溶性高分子を含有させるときには、たとえば、無機塩、有機酸塩、アミノ酸およびその塩とともに油分に不溶な水溶性高分子を水に溶解させ、そののち、その水溶液を油分に可溶な高分子を溶解させた油分に添加することにより、乳化組成物を調製することができる。 【0032】本発明の油中水型乳化組成物は、界面活性剤を含有しない経時安定性の良好な油中水型乳化組成物として有効に利用される。本発明の油中水型乳化組成物は、たとえば、保湿クリーム、乳化ファンデーション、日焼け止め乳液、ヘアクリームなどの乳化化粧料、クリーム製剤などの乳化医薬品などに応用することができる。 【0033】 【実施例】実施例1〜7および比較例1〜2表1において、A相中、イソステアリン酸、ステアリン酸およびオクチルドデカノールは油分、PVPは油分に可溶な高分子、トリオクタン酸グリセリル、流動パラフィン、環状ポリシロキサンおよびジメチルシリコーンは油相を形成するそのほかの成分、エタノールはPVPを溶解させる溶媒に相当する。B相中、硫酸ナトリウムは無機塩、カルボキシメチルセルロースは油分に不溶な水溶性高分子に相当する。 【0034】表1に示す配合組成(重量比)のA相を必要に応じて70℃まで加熱して均一化し、ディスパー攪拌しながら、A相と同じ温度にしたB相を徐々に添加した。そののち、さらにディスパー撹拌して油中水型乳化組成物を得た。 【0035】調製した乳化組成物の安定性は、以下の評価方法および評価基準によって評価した。 【0036】<安定性評価方法>調製した乳化組成物をサンプル瓶に充填し、50℃で1ヵ月放置したのち状態を目視にて観察した。 【0037】<安定性評価基準>◎:全く分離が認められない。 〇:ほとんど分離が認められない。 △:わずかに分離が認められる。 ×:明確な分離が認められる。 【0038】結果を表1に示す。 【0039】 【表1】
【0040】 【発明の効果】本発明によれば、油分に可溶な高分子を配合することにより、界面活性剤を用いることなく、経時安定性に優れた油中水型乳化組成物を提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003506 【氏名又は名称】第一工業製薬株式会社
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| 【出願日】 |
平成14年3月1日(2002.3.1) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100065226 【弁理士】 【氏名又は名称】朝日奈 宗太 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−252723(P2003−252723A) |
| 【公開日】 |
平成15年9月10日(2003.9.10) |
| 【出願番号】 |
特願2002−56017(P2002−56017) |
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