| 【発明の名称】 |
ルテニウムメタセシス触媒を使用する歯科用印象材料 |
| 【発明者】 |
【氏名】クリストス アンギレタキス
【氏名】ミンフェイ チェン
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| 【要約】 |
【課題】硫黄不純物に対する敏感さ等の従来の歯科用印象材料の不利を解消した、歯科用印象材料のための組成物の提供。
【解決手段】本発明の歯科用印象材料として使用するための組成物は、開環メタセシス重合(ROMP)により硬化可能な基で官能化された、重合可能な少なくとも1種のオリゴマー及び(又は)重合体、歯科用無機充填剤、及びその組成物のROMPを開始することができるルテニウムカルベン錯体触媒を含む。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 開環メタセシス重合により硬化可能な基で官能化されたオリゴマー又は重合体であって、該基につながれ且つ該基で末端封鎖されたオリゴマー又は重合体、該基で末端封鎖された三−官能性オリゴマー又は重合体、及び該基で末端封鎖された四−官能性オリゴマー又は重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種のオリゴマー又は重合体を含む重合可能な樹脂;無機の歯科用充填剤系;並びにルテニウムカルベン錯体触媒であって、この触媒は下記組成物の開環メタセシス重合を開始して硬化された歯科用印象材料を形成することができる上記触媒;を含む、歯科用印象材料として使用するための組成物。 【請求項2】 重合可能な樹脂が、ノルボルネニル基につながれ且つ該基で末端封鎖された、そして約5〜約5000のジメチルシロキサン単位を有するポリジメチルシロキサンを含む、請求項1の組成物。 【請求項3】 ポリジメチルシロキサンが、約27〜約1590のジメチルシロキサン単位を含む、請求項2の組成物。 【請求項4】 組成物が、約5重量%〜約95重量%の重合可能な樹脂を含む、請求項1の組成物。 【請求項5】 充填剤系が、サブミクロン寸法の充填剤成分及びミクロン寸法の充填剤成分を含む二様式性である、請求項1の組成物。 【請求項6】 組成物が、約10重量%までのサブミクロン寸法の充填剤及び約10重量%〜約75重量%のミクロン寸法の充填剤を含む、請求項5の組成物。 【請求項7】 触媒が式: (式中、Cyはシクロヘキシルであり、そしてPhはフェニルである)のベンジリデンルテニウム錯体である、請求項1の組成物。 【請求項8】 触媒が4,5−ジヒドロイミダゾール−2−イリデン置換ルテニウムカルベン錯体である、請求項1の組成物。 【請求項9】 触媒がトリシクロヘキシルホスフィンより高い塩基度を有する1つの配位子を有するルテニウムカルベン錯体である、請求項1の組成物。 【請求項10】 錯体が式: (式中、Cyはシクロヘキシルであり、Phはフェニルであり、そしてRはメシチルである)の錯体である、請求項9の組成物。 【請求項11】 錯体が式: (式中、Cyはシクロヘキシルであり、Phはフェニルであり、そしてRはメシチルである)の錯体である、請求項9の組成物。 【請求項12】 錯体が式: (式中、Cyはシクロヘキシルであり、Phはフェニルであり、そしてRはメシチルである)の錯体である、請求項9の組成物。 【請求項13】 組成物が、酸化可能な硫黄含有化合物のフィルムに接触の20分内に少なくとも96.5%の変形後回復を達成する、請求項1の組成物。 【請求項14】 組成物が、約0.001重量%〜約1重量%の触媒を含む、請求項1の組成物。 【請求項15】 該基がシクロアルケニル基である、請求項1の組成物。 【請求項16】 該基がノルボルネニル基である、請求項1の組成物。 【請求項17】 重合可能な樹脂がノルボルネニル基につながれ且つ該基で末端封鎖され、かつ式: (式中、n=5〜5000であり、そしてm=1〜100である)を有するポリジメチルシロキサンである、請求項1の組成物。 【請求項18】 重合可能な樹脂が、シクロアルケニル基につながれ且つ該基で末端封鎖されたポリジメチルシロキサンを含む、請求項1の組成物。 【請求項19】 触媒を促進するためにシリコーンをベースとするスルホスクシナート化合物をさらに含む、請求項1の組成物。 【請求項20】 触媒を促進するために、ジメチコーンコポリオールスルホスクシナートアンモニウム塩をさらに含む、請求項1の組成物。 【請求項21】 エトキシル化アルキルフェノール界面活性剤をさらに含む、請求項1の組成物。 【請求項22】 重合可能な樹脂がノルボルネニル官能化四−官能性ポリジメチルシロキサンを含む、請求項1の組成物。 【請求項23】 重合可能な樹脂がノルボルネニル基で末端官能化されたテレケリックポリジメチルシロキサン及びノルボルネニル基につながれ且つ該基で末端官能化されたポリジメチルシロキサンを含む、請求項1の組成物。 【請求項24】 重合可能な樹脂が、ノルボルネニル基で末端官能化された四−官能性ポリジメチルシロキサンをさらに含む、請求項23の組成物。 【請求項25】 歯科用印象材料として使用するための組成物であって、開環メタセシス重合により硬化可能な基で官能化されたポリジメチルシロキサンであって、該基につながれ且つ該基で末端封鎖されたポリジメチルシロキサン、該基で末端封鎖された三−官能性ポリジメチルシロキサン及び該基で末端封鎖された四−官能性ポリジメチルシロキサンからなる群から選ばれる少なくとも1種のポリジメチルシロキサンを含む重合可能な樹脂、及び無機の歯科用充填剤系を含む基材ペースト;該基材と混和性である溶媒に溶解されたルテニウムカルベン錯体触媒であって、上記組成物の開環メタセシス重合を開始して硬化された歯科用印象材料を形成することができる触媒、及び歯科用無機充填剤系を含む触媒ペースト;を含む、上記組成物。 【請求項26】 組成物において該基材ペースト対該触媒ペーストの比が約10:1〜約1:1の範囲にある、請求項25の組成物。 【請求項27】 重合可能な樹脂が、開環メタセシス重合により硬化可能な基で末端封鎖されたテレケリックポリジメチルシロキサンをさらに含む、請求項25の組成物。 【請求項28】 該基がノルボルネニル基であり、そして該ポリジメチルシロキサンが約5〜約5000のジメチルシロキサン単位を有する、請求項25の組成物。 【請求項29】 該ポリジメチルシロキサンが、約27〜約1590のジメチルシロキサン単位を含む、請求項28の組成物。 【請求項30】 該組成物が、約5重量%〜約95重量%の重合可能な樹脂を含む、請求項25の組成物。 【請求項31】 基材ペースト及び触媒ペーストの各々における充填剤系が、サブミクロン寸法の充填剤成分及びミクロン寸法の充填剤成分を含む二様式性である、請求項25の組成物。 【請求項32】 該組成物が約10重量%までのサブミクロン寸法の充填剤及び約10重量%〜約60重量%のミクロン寸法の充填剤を含む、請求項31の組成物。 【請求項33】 触媒が式: (式中、Cyはシクロヘキシルであり、そしてPhはフェニルである)のベンジリデンルテニウム錯体である、請求項25の組成物。 【請求項34】 触媒が、4,5−ジヒドロイミダゾール−2−イリデン置換ルテニウムカルベン錯体である、請求項25の組成物。 【請求項35】 触媒が、トリシクロヘキシルホスフィンより高い塩基度を有する1つの配位子を有するルテニウムカルベン錯体である、請求項25の組成物。 【請求項36】 錯体が式: (式中、Cyはシクロヘキシルであり、Phはフェニルであり、そしてRはメシチルである)の錯体である、請求項35の組成物。 【請求項37】 錯体が式: (式中、Cyはシクロヘキシルであり、Phはフェニルであり、そしてRはメシチルである)の錯体である、請求項35の組成物。 【請求項38】 錯体が式: (式中、Cyはシクロヘキシルであり、Phはフェニルであり、そしてRはメシチルである)の錯体である、請求項35の組成物。 【請求項39】 組成物が、酸化可能な硫黄含有化合物のフイルムに接触の20分以内に少なくとも96.5%の変形後回復を達成する、請求項25の組成物。 【請求項40】 組成物が、約0.001重量%〜約1重量%の触媒を含む、請求項25の組成物。 【請求項41】 該基がシクロアルケニル基である、請求項25の組成物。 【請求項42】 該基がノルボルネニル基である、請求項25の組成物。 【請求項43】 重合可能な樹脂が、ノルボルネニル基につながれ且つ該基で末端封鎖され、そして式: (式中、n=5〜5000であり、そしてm=1〜100である)を有するポリジメチルシロキサンを含む、請求項25の組成物。 【請求項44】 重合可能な樹脂が、シクロアルケニル基につながれ且つ該基で末端封鎖されたポリジメチルシロキサンを含む、請求項25の組成物。 【請求項45】 触媒を促進するためにシリコーンをベースとするスルホスクシナート化合物をさらに含む、請求項25の組成物。 【請求項46】 触媒を促進するためにジメチコーンコポリオールスルホスクシナートアンモニウム塩をさらに含む、請求項25の組成物。 【請求項47】 エトキシル化アルキルフェノール界面活性剤をさらに含む、請求項25の組成物。 【請求項48】 重合可能な樹脂が、ノルボルネニル官能化四−官能性ポリジメチルシロキサンを含む、請求項25の組成物。 【請求項49】 重合可能な樹脂が、ノルボルネニル基で末端官能化されたテレケリックポリジメチルシロキサン及びノルボルネニル基につながれ且つ該基で末端官能化されたポリジメチルシロキサンを含む、請求項25の組成物。 【請求項50】 重合可能な樹脂が、ノルボルネニル基で末端官能化された四−官能性ポリジメチルシロキサンをさらに含む、請求項49の組成物。 【請求項51】 歯科用印象材料として使用するための組成物であって、開環メタセシス重合により硬化可能な基で官能化されたポリジメチルシロキサンであって、該基につながれ且つ該基で末端封鎖されたポリジメチルシロキサン、該基で末端封鎖された三−官能性ポリジメチルシロキサン及び該基で末端封鎖された四−官能性ポリジメチルシロキサンからなる群から選ばれる少なくとも1種のポリジメチルシロキサンを含む重合可能な樹脂、及び無機の歯科用充填剤系を含む基材ペースト;並びにトリシクロヘキシルホスフインより高い塩基度を有する置換配位子を有する置換されたルテニウムカルベン錯体であって、該基材ペーストと混和性である溶媒に溶解された錯体、及び無機の歯科用充填剤系を含む触媒ペースト;を含み、しかも該触媒が上記組成物の開環メタセシス重合を開始することができ、そして上記組成物が、ヘキサン中の酸化可能な硫黄含有化合物の1%又はそれ以下の溶液との接触の20分以内に少なくとも96.5%の変形後回復を達成する、上記組成物。 【請求項52】 重合可能な樹脂が、シクロアルケニル基でつながれ且つ該基で末端封鎖されたポリジメチルシロキサンを含む、請求項51の組成物。 【請求項53】 基材ペーストが、触媒を促進するためにシリコーンをベースとするスクシナート化合物をさらに含む、請求項51の組成物。 【請求項54】 基材ペーストが、触媒を促進するためにジメチコーンコポリオールスルホスクシナートアンモニウム塩をさらに含む、請求項51の組成物。 【請求項55】 基材ペーストが、エトキシル化アルキルフェノール界面活性剤をさらに含む、請求項51の組成物。 【請求項56】 重合可能な樹脂が、ノルボルネニル官能化四−官能性ポリジメチルシロキサンを含む、請求項51の組成物。 【請求項57】 重合可能な樹脂が、ノルボルネニル基で末端官能化されたテレケリックポリジメチルシロキサン及びノルボルネニル基につながれ且つ該基で末端官能化されたポリジメチルシロキサンを含む、請求項51の組成物。 【請求項58】 重合可能な樹脂が、ノルボルネニル基で末端官能化された四−官能性ポリジメチルシロキサンをさらに含む、請求項57の組成物。
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【発明の詳細な説明】【0001】関連出願に対する相互参照この出願は、2000年10月17日に出願されそしてルテニウム触媒を使用する歯科用印象材料と題する、共係続中の米国特許出願番号第09/690,236号(この出願の開示があたかも本明細書中以下に完全に記載されているように、その全体において参照することによりその開示を本明細書に組み入れる)の部分継続出願である。 【0002】 【発明の属する技術分野】この発明は歯科用印象材料に関し、特にルテニウム錯体触媒を用いての開環メタセシス重合により硬化可能な歯科用印象材料に関する。 【0003】 【従来技術】発明の背景歯科において用いられる印象材料は、ポリスルフィド類、縮合シリコーン類、ポリエーテル類、又はポリビニルシロキサン類(付加硬化可能なシリコーン類)のような、幾つかのタイプのエラストマーの1つである。これらの材料は、通常、使用の直前に混合され、次に歯の構造に接触させて置かれる二種ペースト系である。2種のペーストの混合は、化学反応を開始し、これは硬化後に、弾性のゴム印象材料の形成を生じ、それにより関係する歯構造の陰(ネガ)型印象を形成する。硬化速度が迅速で、かつ収縮が少ない付加硬化可能なシリコーン類は、典型的には白金含有ヒドロシリル化触媒を使用する。このタイプの触媒は一般に費用がかかる珪素含有オリゴマーの使用を必要とする。また、白金をベースとする触媒は、歯科医により通常使用されるラテックス手袋中に存在する硫黄含有不純物によりそして口腔において使用される或る種の薬品により不活性化される可能性がある。さらに、これらの系に存在するヒドロシロキサン架橋剤の分解からの望ましくない水素発生が生じ得る。これは、余計な予防措置を取らなければならないので、これらの材料を用いての印象(歯型)をとるために必要な時間及び努力を増大させるだろう。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】これらの不利に鑑みすると、上記のような種々の繊細な、問題を生じない歯科用印象材料に対するニーズがある。 【0005】 【課題を解決するための手段】発明の概要本発明は、歯科用印象材料として使用するための組成物を提供する。その組成物は、開環メタセシス重合(ROMP)により硬化可能な、重合可能な樹脂、歯科用充填剤系及びルテニウムカルベン錯体触媒を含み、それによりその触媒は該組成物の開環メタセシス重合を開始する。重合可能な樹脂はメタセシス反応を受けることができる、シクロアルケニル基のような官能基につながっている(tethered)及び(又は)該基で末端封鎖されていることができる、1種又はそれ以上のオリゴマー又は重合体を含む。それを他の方法で表現してみると、重合可能な樹脂は以下の1つ又は組み合わせを含むことができる:ROMPにより硬化可能な基で末端封鎖された重合可能なテレケリック(telechelic)オリゴマー又は重合体;ROMPにより硬化可能な基につながれ且つ該基で末端封鎖された重合可能なオリゴマー又は重合体;あるいはROMPにより硬化可能な基で末端封鎖された重合可能な三−官能性又は四−官能性のオリゴマー又は重合体。主鎖は有利にはポリジメチルシロキサンである。 【0006】本発明の1つの態様において、本組成物は基材/触媒系であり、その系において基材ペーストは重合可能なオリゴマー又は重合体及び無機の歯科用充填剤系を含み、そしてその系において触媒ペーストは不活性溶媒に溶解されたメタセシス触媒及び無機の歯科用充填剤系を含む。本発明の1つの例示的態様において基材ペーストは、基材ペーストと触媒ペーストとを混合する際に触媒を促進するために、ジメチコーンコポリオールスルホサクシネートのようなシリコーンをベースとするスルホサクシネート塩をさらに含む。本発明の他の例示的態様において、オリゴマー又は重合体は、ノルボルネニル基につながれ且つ末端官能化された、そして5〜5000のジメチルシロキサン単位を有するポリジメチルシロキサンであり、そしてその触媒はトリシクロヘキシルホスフィンよリ高い塩基度を有する配位子を少なくとも1つ有するルテニウムカルベン錯体である。本発明の組成物では硫黄不純物に対する弱さが減じられるている。 【0007】 【発明の実施の形態】本発明は、ルテニウムカルベン錯体メタセシス触媒の助けをかりてROMPにより硬化される、環状オレフイン含有樹脂系を使用する歯科用印象材料のための配合物を提供する。有利には、樹脂系はテレケリックで、つながれて(tethered)、三−官能性又は四重−官能性である少なくとも1種の環状オレフイン官能化オリゴマー又は重合体を含む。樹脂系は以下の1種又は組み合わせを含み得る:ROMPにより硬化可能な基につながれ且つ末端封鎖されたさらなる重合可能な重合体;ROMPにより硬化可能な基で末端封鎖されたさらなる重合可能な三−官能性オリゴマー又は重合体;そしてROMPにより硬化可能な基で末端封鎖されたさらなる重合可能な四−官能性オリゴマー又は重合体。 【0008】本発明の組成物は有利にはペースト/ペースト系においてお互いに緊密な混合状態にある、触媒ペースト及び基材ペーストを含む。硬化は、触媒としてルテニウムカルベンを用いてROMP反応により得られる。一般に、この系において、触媒ペーストは、重合を開始するためのルテニウム触媒、基材ペーストと混和性又は分散性である触媒のための溶媒、そして適用のための及び硬化された材料の強化のためのペーストの粘度およびチキソトロピー特性を最適にするための無機充填剤を含む。基材ペーストは一般に、ROMPメカニズムを介して硬化可能である、重合可能なオリゴマー及び(又は)重合体樹脂系、そして触媒系ペーストについて上記したとおりの無機充填剤を含む。基材ペーストと触媒ペーストとの混合の際に触媒を促進し、それにより触媒の効率を高めるための、ジメチコーンコポリオールスルホスクシナート化合物のようなシリコーンをベースとするスルホスクシナート塩をさらに含むことができる。基材ペーストは、歯科用印象材料に適している水接触角を与えるための界面活性剤をさらに含むことができる。 【0009】本発明の1つの態様において使用されることができる1つのタイプのオリゴマー及び(又は)重合体は、鎖端がシクロアルケニル基のような反応性ROMP基で官能化されている限り、任意の種々のバックボーンを有するテレケリック(末端官能化された/末端封鎖された)重合体を包含する。例えば、その樹脂は以下の構造に従うノルボルネニルエチル基を末端とするテレケリックポリジメチルシロキサンであることができる:【0010】
(式中、n=5〜5000、例えば27〜1590である)。 【0011】テレケリックポリシロキサン類の他の例は以下の構造を有するポリシロキサンである: (式中、n=5〜5000、例えば27〜1590であり、R1、R2=C1〜C18炭化水素、又は (但し、R3、R4=C1〜C18炭化水素であり、そしてm=0〜2である)であり、そして である)。 【0012】別の例について、その樹脂はノルボルネニル基を末端とするポリテトラヒドロフラン−ポリエチレンオキシド共重合体であることができる。さらに他の別の例として、その樹脂はノルボルネニルカルボキシレート末端を有するポリブタジェンであることができる。 【0013】本発明の他の態様において用いられることができる1つのタイプのオリゴマー及び(又は)重合体は、シクロアルケニル基のような、ROMPにより硬化可能な基につながれ且つ該基で末端封鎖されたオリゴマー又は重合体を包含する。そのオリゴマー又は重合体はバックボーン又は主鎖から突き出て、かくしてつながれた構造を形成する、バックボーン又は主鎖内に導入されたペンダント基を有する、任意の種々のバックボーン、特にポリジメチルシロキサンのような珪素含有バックボーンを有することができる。テレケリック重合体に関して鎖末端は、シクロアルケニル基、例えばノルボルネニル基のような反応性ROMP基で官能化されているか、又は末端封鎖されている。ペンダント基はまた、ノルボルネニル基のようなシクロアルケニル基であることができる。例えば、その樹脂は以下の構造式に従う、ノルボルネニルエチル基につながれ且つ該基で末端封鎖されたポリジメチルシロキサンであることができる:【0014】
(式中、n=5〜5000、例えば27〜1590であり、そしてm=1〜100、例えば1〜10である)。 【0015】本発明のなお他の態様において、使用されることができるタイプのオリゴマー及び(又は)重合体はシクロアルケニル基、例えばノルボルネニル基のような、ROMPにより硬化可能な基により末端官能化された又は末端封鎖された三−官能性又は四−官能性オリゴマー又は重合体を包含する。そのような重合体の例は、ノルボルネニルエチル基で末端封鎖された四−官能性のポリジメチルシロキサンである。 【0016】例として、重合可能な樹脂は、各々がROMPにより硬化可能な基で末端封鎖された、テレケリックオリゴマー又は重合体と、つながれたオリゴマー又は重合体との両方を含むことができるか、あるいは各々がROMPにより硬化可能な基で末端封鎖された、テレケリックオリゴマー又は重合体と、つながれたオリゴマー又は重合体と、四−官能性オリゴマー又は重合体とを含むことができる。したがって、樹脂配合物は硬化されていない及び硬化された歯科用印象材料において所望の物理的性質を得られるように変化させることができる。 【0017】界面活性剤を、例えば基材ペースト中等、樹脂配合物中に導入し、歯科用印象材料のために適当である、水接触角を与えることができる。疎水性物質に親水性を与えるために、そして表面湿潤性を改良するために、イオン性−及び非イオン性−タイプの界面活性剤を包含する界面活性剤を含ませることが知られている。しかしながら、硬化された組成物の満足な水湿潤性を得るために組成物に1種又はそれ以上の界面活性剤を添加すると、低い引っ張り強さ、伸び及び引き裂き強さのような貧弱な物理的性質を生ずる可能性がある。それにもかかわらず、使用される界面活性剤は陽イオン性、陰イオン性、両性又は非イオン性であることができる。IGEPAL(商標)CO−520、CO−530、等の商標名で、ニュージャージー州、クランバリー(Cranbury)のローンプーラン(Rhone−Pouleuc)社から市販されているノニルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノールを含むもの等、非イオンタイプの界面活性剤が好ましい。別法として、コネティカット州、グリニッチのWitco Corp.市販のSilwet 77のようなシリコーンをベースとする界面活性剤を用いることもできる。 【0018】本発明において有用な触媒は、ルテニウムカルベン錯体を包含する。以下の構造式を有する親のベンジリデンルテニウム錯体Aは、高い空気及び水安定性を示す: 【0019】親の錯体Aの開環メタセシス活性は、トリシクロヘキシルホスフイン配位子を、飽和のイミダゾール配位子で置き換えることにより増大させることができる。配位子は、以下の一般構造式を有する4,5−ジヒドロイミダゾール−2−イリデン類であることができる: 【0020】これらの置換された配位子は、より高い活性に寄与すると信じられるより高いpKaにより示されるように、トリシクロヘキシルホスフインの塩基度より高い塩基度を有する。錯体Aの誘導体であって、下に示される構造式を有するルテニウム錯体Bは、そのような配位子を含む置換されたルテニウムカルベン錯体である: 【0021】以下の構造式を有する置換されたルテニウムカルベン錯体C及びDのような、親の錯体Aの他の誘導体は、本発明の組成物の樹脂系においてまた用いられることができる: 【0022】歯科用印象材料の触媒成分は不活性溶媒中にルテニウムカルベン錯体を溶解することにより配合される。溶媒又は希釈剤は、溶媒及び錯体が基材ペーストと混和性(溶解性)又は分散性であるように、そしてその溶媒が反応を妨げないように選ばれる。溶媒は、例えば3−フェニル−ヘプタメチル−トリシロキサンであることができる。他の例示的溶媒はダウコーニング fluid 556のような部分的にフェニル置換されたポリ(ジメチルシロキサン)である。 【0023】ROMPメカニズムをさらに促進し、それによりルテニウム錯体触媒の効率を高めるために、基材ペーストにおけるような樹脂配合物中に触媒促進剤を導入することができる。シリコーンをベースとするスルホスクシナート塩は、ルテニウム錯体触媒のための促進剤として働く。米国特許第4,717,498号及び同第4,849,127号(これらは、その全体において、引用により本明細書に組み入れられる)において十分に記載されているように、ジメチコーンコポリオールスルホスクシナートはシャンプー、等のための界面活性剤として通常用いられているけれども、それはルテニウム錯体触媒を含有する本発明の配合物において用いられる場合に触媒促進剤として予想外に機能を果たす。例示的促進剤は、イリノイ州、シカゴのMcIntyre Chemical Co.市販のDC−30Aである。 【0024】本発明の組成物はまた、無機の歯科用充填剤、そして有利には無機充填剤の混合物を含む。適当な充填剤は、シリカ、アルミナ、マグネシア、二酸化チタン、珪酸ジルコニウム、炭酸カルシウム、金属酸化物、珪酸カルシウム(ケイ灰石)、珪藻土、等を包含する。充填剤の寸法及び表面積は、得られる歯科用途のための懸濁液の粘度及びチキソトロピーを最適化するために制御される。表面処理された充填剤もまた用いることができる。典型的な表面処理は、シラン化処理、等を含む。本発明に従えば、異なる粒子寸法を有する充填剤の混合物が使用されることができる。近い粒子寸法分布の、サブミクロン(<1μm)寸法の粒子およびミクロン(2〜10μm)寸法の粒子を用いてブレンドされた2−様式の充填剤系はすべての歯科用印象技術において使用するために適当なISO仕様書(Specification)No.4823(第2版(1992))により規定されているとおりに、低い、中間、又は高い粘稠度(コンシステンシー)を有する歯科用印象材料を与えるために、変化する充填剤装入物として用いられる。充填剤は、組成物の約15重量%〜約70重量%の量で存在することができる。低い、中間又は高い粘稠度(コンシステンシー)の組成物のいずれかを達成させるために本発明の2−ペースト態様の粘稠度(コンシステンシー)を調節するために、サブミクロン寸法の充填剤及び(又は)ミクロン寸法の充填剤は、触媒ペースト及び基材ペーストの一方又は両方において調節されることができる。所望される粘稠度(コンシステンシー)が高ければ高い程、サブミクロン充填剤をミクロン充填剤における増大よりもより大きな程度に増大させて、それにより混合中の微粉砕化粒子間の間隙空間中にサブミクロン充填剤粒子を入りこませることが、それだけ一層有利となる。 【0025】例だけの手段としてそして限定なしに、本組成物は、約5重量%〜約95重量%の量で重合可能な樹脂、約10重量%までの量でサブミクロン寸法の充填剤、約10重量%〜約70重量%の量でミクロン寸法の充填剤、及び約0.001重量%〜約1重量%の量で触媒を含むことができる。本発明の組成物は、反応を妨げない、顔料のような、当業者に知られている任意の添加剤をさらに含むことができる。 【0026】 【実施例】例 1ノルボルネニルエチル基を末端とするテレケリックポリジメチルシロキサン(化合物1)は、酸スカベンジャーとしてトリエチルアミンを用いて、以下の図式に従って合成された:【0027】
【0028】機械的かき混ぜ機、コンデンサー及びN2の入口−出口を備えた三つ首丸底フラスコに、シラノール末端ポリ(ジメチルシロキサン)(Gelest Corp.製のDMS−S27、n=243)の360.0g及び1%の4−(N,N−ジメチル)アミノ−ピリジンを含有するトリエチルアミンの4.85gを装入した。2−(5−ノルボルネニル)エチル−ジメチルクロロシラン(前駆体A)の9.02gの量をかき混ぜながらフラスコに滴下して加えた。この化合物のモノクロロ部分は末端封鎖処理の助けとなる。添加後に、反応温度を70℃に上昇させ、そしてその温度で4時間かき混ぜ続けた。次に2mLのメタノールを混合物に添加し、そして1時間長くの間かき混ぜを続けた。次に反応混合物を500mLのヘキサンで希釈し、そして濾過して白色の塩を除去した。ヘキサン溶液を、1%のHClで3回洗浄し、そして脱イオン水で3回洗浄した。次に、溶液をNa2SO4上で乾燥した。真空下に溶媒を蒸発した後に、透明な液体生成物が得られた。n=243(平均)を有するこの化合物1aは、以下の赤外ピーク(cm−1)を示した:2963、1411、1260、1020、800、及び702。 【0029】第2の同族体である化合物1bが上記方法と同じ方法に従って生成されたが、しかしこの時はn=27(平均)を有するシラノール末端ポリ(ジメチルシロキサン)を用いた。次に、これらの2種の得られた化合物を充填剤と混合調合し、そして3−ロールミル中で分散させて懸濁液を形成した。この懸濁液は基材成分又は基材ペーストとして称せられ、そしてその組成を表1に詳細に記載する。 【0030】 表 1―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 試験基材ペーストの組成――――――――――――――――――――――――――――――――――――化合物1a、 n=243 55.25重量%化合物1b、 n=27 9.75重量%珪酸カルシウム ケイ灰石(2〜10μm平均粒径) 30重量%サブミクロンシリカ(<1μm平均粒径) 5重量% 合計 100――――――――――――――――――――――――――――――――――――【0031】次に、3−フェニル−ヘプタメチル−トリシロキサン中にルテニウムカルベン錯体A及びBをそれぞれ溶解することにより、2種の触媒ペーストが配合された(上記の各々の触媒錯体は、マサチューセッツ州、ニューベリーポートのStrem Chemicals Inc.から得られた)。それらの溶液を次に充填剤と混合調合し、そして3−ロールミル中で分散させて懸濁液を形成した。これらの懸濁液は、触媒成分又は触媒ペーストとして称され、そして表2おいてさらに記載される。 【0032】 表 2―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 試験触媒ペーストの組成―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 3−フェニル−ヘプタメチル−トリシロキサン 64.35重量% 珪酸カルシウム ケイ灰石(2〜10μm平均粒径) 30重量% サブミクロンシリカ(<1μm平均粒径) 5重量% 触媒A又は触媒B 0.65重量% 合計 100――――――――――――――――――――――――――――――――――――【0033】比較の目的のために、試験基材ペースト組成物を、基材対触媒比10:1で、試験触媒ペースト組成物の各々と合わせ、そしてスパチュラにより混合した。別に、比較において使用するために、白金含有ヒドロシリル化触媒を用いて付加−硬化可能なシリコーン組成物のために、触媒ペースト及び基材ペーストが調製された。比較の、対照基材ペースト組成及び対照触媒ペーストの組成が表3及び表4に、それぞれ詳細に示される。 【0034】 表 3―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 対照基材ペーストの組成――――――――――――――――――――――――――――――――――――ポリビニルジメチルシロキサン(4000 cSt.) 57重量%珪酸カルシウム ケイ灰石(2〜10μmの平均粒径) 30重量%サブミクロンシリカ(<1μm平均粒径) 5重量%ポリメチルヒドロシロキサン架橋剤(30 cSt.) 8重量% 合計 100――――――――――――――――――――――――――――――――――――【0035】 表 4―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 対照触媒ペーストの組成――――――――――――――――――――――――――――――――――――ポリビニルジメチルシロキサン(4000 cSt.) 63.5重量%珪酸カルシウム ケイ灰石(2〜10μmの平均粒径) 30重量%サブミクロンシリカ(<1μm平均粒径) 5重量%ビニルシロキサンとの白金触媒錯体 1.5重量% 合計 100――――――――――――――――――――――――――――――――――――【0036】それらの対照ペーストを、基材ペースト対触媒ペースト比1:1で合わせた。 【0037】試験組成物及び対照組成物の両方は、ISO仕様書No.4823に規定されているとおりに、タイプ2又は3印象材料として分類される。これは、それらが低い、ないしは中間の粘稠度(コンシステンシー)を有することを意味する。硬化された組成物の物理的性質は、加工時間、硬化時間、混合粘稠度(コンシステンシー)、寸法変化、ひずみ及び圧縮、及び変形回復の評価のためにISO仕様書No.4823を用いて決定された。結果を表5において下に示す。 【0038】表5はまた、歯科医により用いられるラテックス手袋のような、残留硫黄化合物を含有する表面に対するこれらの配合物の相対的な敏感さを決定するために工夫された試験の結果を包含する。その硫黄に対する敏感さの試験は、ヘキサン中のモノ−及びジ−オクチル錫ビス(2−エチルヘキシルチオグリコレート)エステルの約30%/70%混合物の1%溶液を調製することを包含した。ミクロブラシをこの溶液に浸漬し、そして溶液を3x6インチの歯科用印象混合用パッドの端の上に塗りつけた。対照基材ペースト及び対照触媒ペーストは1:1の比(0.5g/0.5g)で、そして試験基材ペースト及び試験触媒ペーストは10:1の比(1.0g/0.1g)で、各々20秒間スパチュラにより混合した。そして各々の混合物は、ヘキサン溶液が塗りつけられたパッドの領域の上に部分的に置かれた。硬化時間及び変形の回復により示されるように、材料の塊が硬化した後、混合物をパッドから持ち上げ、塗りつけられた領域と接触していた領域を、それがまた硬化したかどうかを調べるためにチェックした。それらの材料をパッド上に置いた後に10分間チェックし、塊材料が既に硬化した後に、硬化が硫黄接触領域で達成されたかどうかを確認した。ISO仕様書No.4823に記載された物理的性質と一緒に、この硫黄に対する敏感さの試験の結果を表5に示す。 【0039】 表 5―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 印象材料ペーストの物理的性質―――――――――――――――――――――――――――――――――――― ISO 4823 対照 試験1 試験2 仕様書 (タイプ2及び3) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――使用触媒 Pt錯体 錯体A 錯体B混合比 1:1 10:1 10:1(基材:触媒) 粘稠度(mm) ≧36:タイプ3 34.7(0.6) 43(1) 33(2) 31〜39:タイプ2加工時間(秒) >30 235(13) 198(10) 181(8)硬化時間(秒) 587(8) 400(10) 327(12)圧縮ひずみ(%) 2〜20 5.5(0.2) 10.7(0.6) 6.4(0.0)変形回復 96.5〜100 99.4(0.1) 99.1(0.1) 99.8(0.0)線型寸法変化(%) 0〜1.5 0.06(0.08) 0.08(0.01) 0.11(0.02)(24時間後) 細部再現 必要 有り 有り 有りギプスとの適合性 必要 有り 有り 有り硫黄に対する敏感さ 20分にて 10分後に 10分後に 完全な又は 完全な硬化 完全な 部分的な なし、 硬化あり 硬化なし 部分的硬化 あり――――――――――――――――――――――――――――――――――――【0040】表5におけるデータから、本発明の材料がギプスとの適合性及び細部の再現のための要件を包含する、タイプ2及び(又は)3の歯科用印象材料のためのISO仕様書4823の要件に合格していることを示している。 【0041】さらに、試験印象材料は硫黄不純物に対する敏感さにおいて減少を示した。錯体B触媒を導入している本発明の試験印象材料は硫黄不純物と接触している表面で完全に硬化するその能力により示されているように、有意に減少した硫黄に対する敏感さを示した。錯体A触媒を使用する本発明の試験印象材料は、置いた後の20分以内に完全に硬化しなかったけれども、10分後に接触表面で少なくとも部分的に硬化した。それに対して、白金錯体触媒を使用する対照の印象材料は、硫黄不純物との接触の20分内に、接触表面で全く硬化しなかった。ISO仕様書4823において規定されているとおりに、材料は、それが96.5%〜100%の、変形からの回復を発現するときに硬化したとされる。したがって、印象材料の塊は、試験材料及び対照材料の各々において10分内に完全に硬化することができるけれども、硫黄不純物と接触している表面は、恐らくはキレート化メカニズムにより、触媒を不活性化する硫黄に起因して硬化が妨げられる可能性がある。親のベンジリデンルテニウム錯体Aは硫黄に対する敏感さにおいて減少を生じ、そして置換されたイミダゾール配位子を有する高い開環メタセシス活性のルテニウムカルベン錯体は、接触表面でのその材料の完全な硬化により示されるように、重合中に硫黄に対する敏感さにおいて最も高い減少を示した。したがってトリシクロヘキシルホスフィンの塩基度より高い塩基度を有する配位子を有するルテニウムカルベン錯体を含む本発明の組成物は、酸化可能な硫黄含有化合物の薄膜との接触の20分内に少なくとも96.5%の変形後回復を達成することができる。 【0042】上に記載された配合物は、酸スカベンジャーとしてトリエチルアミンを用いて調製された末端封鎖オリゴマーだけを含有する。得られた重合体は歯科用印象材料のためのISO要件を満たしたけれども、引っ張り強さ、引き裂き強さ及び伸び(破断までのひずみ)についての試験により示されたとおりのそれらの物理的性質プロフィルは市販の材料より低かった。物理的性質を改良するために、ノルボルネニル基で末端封鎖され且つ該基につながれたポリジメチルシロキサン類は、改良された強度のために配合物に導入される。また、水酸化カリウム(KOH)がトリエチルアミンの代わりに、酸スカベンジャーとして用いられる。これはエステル化処理を単純化する。以下の例はつながれた重合体及びKOH酸スカベンジャーの使用を例示する。 【0043】例 2重合体前駆体2−(5−ノルボネニル)エチルメチルジクロロシラン(前駆体B)の合成を以下のとおりにして行った: 【0044】機械的かき混ぜ機、コンデンサー、N2の入口−出口、及び滴下漏斗を備えた500mLの3つ首丸底フラスコに5−ビニル−2−ノルボネン(143mL、1.0モル)及び白金触媒(0.2g、Aldrich Chemical製、白金(0)1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルシロキサン錯体)を導入した。その系の温度を70℃に上昇させた。ジクロロメチルシラン(69mL、0.66モル)を滴下して加えた。添加速度は、温度が75℃を超えないように制御された。反応は、IRスペクトルにおけるSi−Hの吸収の消失により示されるときに約3時間で完了した。過剰の5−ビニル−2−ノルボルネンを真空下に除去した。前駆体B生成物は、0.1mmで65℃の沸点を用いて、二重真空蒸留により得られた。収率は68%であった。前駆体Bの合成はLeCamp,L.等による33(9)Eur.Polym.J.第1453頁〜第1462頁(1997)において記載されていた。 【0045】2−(5−ノルボルネニル)エチルジメチルクロロシラン(前駆体A)の合成は、前駆体Bについて記載された方法に類似の方法を用いて行われた。収率は、82%であった。前駆体Aの合成は米国特許第5,266,670号(この特許をその全体として引用により本明細書に組み入れる)に記載されていた。 【0046】ノルボルネニル基で末端封鎖されたテレケリックポリ(ジメチルシロキサン)(化合物1)は、酸スカベンジャーとしてKOHを用いて以下の図式に従って合成された:【0047】
【0048】機械的かき混ぜ機を備えた500mLの反応ケトルに、26,000の分子量のシラノール末端ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)の260g(10ミリモル、Gelest Corp.製のDMS−S31、n=350(平均))、KOHの1.2g(22ミリモル)、及び2−(5−ノルボルネニル)エチルジメチルクロロシラン(前駆体A)の4.3g(21ミリモル)を導入した。混合物を室温(RT)で一晩かき混ぜた。反応混合物を2Lのヘキサンで希釈し、そして約100gの珪藻土(Celite(商標)、Spectrum Chemicals製)と一緒にかき混ぜた。溶液を濾過し、そして回転式エバポレーター上で溶媒を除去して、n=350(平均)及び4.9Pa.s.の粘度を有する透明な液体生成物として化合物1cを得た。GPC(トルエン)Mn 32,000及びMw 67,000。 【0049】例 3ノルボルネニル基につながれ且つ該基で末端封鎖されたポリ(ジメチルシロキサン)(化合物2)は酸スカベンジャーとしてKOHを用いて以下の図式に従って合成された:【0050】
【0051】機械的攪拌機を備えた500mLの反応ケトルに、26,000の分子量のシラノール末端ポリ(ジメチルシロキサン)(Gelest Corp.製DMS−S31、n=350(平均)、10ミリモル)の260g、KOH1.23g(22ミリモル)、2−(5−ノルボルネニル)エチルメチルジクロロシランの2.02g(8.56ミリモル、前駆体B)及び2−(5−ノルボルネニル)エチルジメチルクロロシランの0.617g(2.87ミリモル、前駆体A)を導入した。前駆体Bはつなげる処理をもたらし、そして前駆体Aは末端封鎖処理をもたらす。混合物をRTで一晩攪拌した。粘稠な樹脂をヘキサンで希釈し、そして約100gの珪藻土(Celite(商標)、Spectrum Chemicals製)と一緒にかき混ぜた。次に溶液を濾過し、そして溶媒を回転式エバポレーター上で除去して61.6Pa.s.の粘度を有する化合物2aを得た。GPC(トルエン)Mn 74,000及びMw 67,000。 【0052】例 4ノルボルネニル基で末端封鎖された、Q−樹脂と称せられる、四−官能性ポリ(ジメチルシロキサン)(化合物3)が以下の計画に従って合成された。 【0053】ディーン−スタークトラップ及び磁気スピン棒を備えた500mLの丸底フラスコに、300mLのトルエンを装入し、水を除去するためにこれを2時間共沸的に還流した。次に90gのシラノール末端Q−樹脂(Gelest Corp.製SQO−299、Mw 3000〜4000、OH 1.7〜2.0%)を乾燥されたトルエンに溶解した。冷却した後に、1%の4−(N,N−ジメチル)アミノピリジン(0.13g、1.1ミリモル)を含有するトリエチルアミンの12.9g(0.13モル)を導入した。次に、2−(5−ノルボルネニル)エチルジメチルクロロシランの22.4g(0.104モル、前駆体A)を滴下して加えた。反応混合物をRTで一晩かき混ぜた。白色沈殿物を濾去した。トルエン溶液を5%HCl(300mL)で3回、そして脱イオン水(300mL)で3回洗浄し、そしてNa2SO4上で乾燥させた。回転式エバポレーター上で溶媒を蒸発させて固体生成物の化合物3aを得た。収率は80%であった。NMR(核磁気共鳴)分析の結果は以下のとおりである:NMR(1H)0.15δ(CH3-Si),5.9,6.1δ(ビニルH)。 【0054】低い粘度のタイプ3印象材料は例2〜4からの上記樹脂を用いて配合され、Kerr Corp.から市販のExtrude(商標)に類似の取扱性質を得た。基材ペースト配合物は下記表6に示される:【0055】 表 6―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 試験基材ペーストの組成(重量%) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――基材樹脂成分 59.2珪酸カルシウム ケイ灰石(2〜10μm平均粒径) 36.8サブミクロンシリカ(<1μm平均粒径) 4 合計 100――――――――――――――――――――――――――――――――――――【0056】評価された基材樹脂配合物の組成を下記表7に示す: 表 7―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 基材樹脂の組成(重量%) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――基材樹脂成分 試験3 試験4 試験5 試験6 試験7末端封鎖PDMS,1C 30 29.8 29.8 29.8 29.9つながれたPDMS,2a 70 70.12 69.45 59.55 69.7NB官能化Q-樹脂,3a 0 0 0 9.9 0促進剤(DC-30A)1 0 0.08 0.25 0.25 0.15界面活性剤(Igepal(商標)CO-520)2 0 0 0.50 0.50 0.25―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 1:イリノイ州シカゴのMcIntyre Chemical Co.市販のジメチコーンコポリオールスルホスクシナートアンモニウム塩。 2:ニュージャージー州クランベリーのローンプーラン市販のエトキシル化アルキルフェノール。 【0057】用いられた触媒は、カリフォルニア州パサデナのMateria Inc.から得られた、上に示された構造を有する1,3−ジメシチル−4,5−ジヒドロイミダゾール−2−イリデン置換ルテニウムカルベン錯体(B)である。次に、触媒ペーストは部分的にフェニル置換されたポリ(ジメチルシロキサン)、特にダウコーニングfluid 556中にルテニウムカルベン錯体Bを溶解することにより配合された。次にその溶液を歯科用無機充填剤と混合調合し、そして遠心タイプのミキサー(ドイツ国、ハムのHauschild Engineering製Speed Mixタイプ AM501T)中で60秒間混合した。これらの懸濁液は触媒成分、又は触媒ペーストと称せられ、そして表8にさらに記載される。 【0058】 表 8―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 試験触媒ペーストの組成(重量%) ――――――――――――――――――――――――――――――――――――ダウコーニングFluid 556 39.05珪酸カルシウム ケイ灰石(2〜10μmの平均粒径) 53.30サブミクロンシリカ(2〜10μm平均粒径) 7.40触媒B 0.25 合計 100――――――――――――――――――――――――――――――――――――【0059】硬化パラメータ及び幾つかの物理的性質が下記表9に示される。2種の市販の材料、即ちKerr Corp.市販のExtrude(商標)タイプ3、及び3M製のImprint(商標)IIタイプ3がまた、比較の目的のために試験された。これらの市販の材料は先行技術にしたがって、白金含有ヒドロシリル化触媒により架橋された付加−硬化可能なシリコーン類を包含し、そして1:1の重量比で混合された。試験材料3〜7は表8の触媒ペースト、及び表7に挙げられた樹脂成分3〜7、それぞれを含む表6の基材ペーストを含む。すべてのROMP硬化された試験材料は基材ペースト対触媒ペースト比10:1で混合された。硬化された組成物の物理的性質は、加工時間及び硬化時間を評価するためにISO仕様書No.4823を用い、そして引っ張り強さ(ASTM D412Die D)、伸び(ASTM D412 Die D)及び引き裂き強さ(ASTM 624 Die C)の評価のためにASTM標準を用いて調べられる。水接触角は、接触角の角度計(ニュージャージー州マウンテンレークスのRame−Hart Inc.製のモデル100)を用いて室温で、蒸留水の液滴を本発明の硬化組成物に適用した後に60秒で測定された。 【0060】
【0061】その結果は、ROMPをベースとする材料が引っ張り強さ及びパーセント伸びにおいて市販の材料に類似しているか又は均等であることを示している。試験3は許容出来る加工時間及び硬化時間、粘度、引っ張り強さ及び引き裂き強さ、及びパーセント伸びを提供したが、しかし高い接触角を示した。試験5〜7のROMP配合物中への界面活性剤Igepal(商標)CO−520の導入は、水接触角を有意に低下させたが、しかしより低い物理的性質、特に低い引っ張り強さに導いた。それにもかかわらず、最終の硬化されていないペースト及び硬化された印象材料において所望の性質を与えるために、配合成分を変えることができる。ジメチコーンコポリオールスルホスクシネートの添加がルテニウム錯体触媒のための促進剤として役割を演じることがまた観察された。ジメチコーンコポリオールスルホスクシナートは、米国特許第4,717,498号及び同第4,849,127号(これらの特許を、それらの全体として引用により本明細書に組み入れる)に十分に記載されているように、シャンプー、等のための界面活性剤として通常用いられるけれども、触媒Bのようなルテニウム錯体触媒を含有する本発明の配合物において用いられる場合に、触媒促進剤として予想外に機能を果たす。結果として、より少ない量の触媒を配合物において用いることができ、それによりその使用を経済的なものにする。例えば本発明の歯科用配合物はジメチコーンコポリオールスルホスクシナートの不存在下に、約0.4〜約0.5重量%の触媒を含むことができ、又は約0.25重量%の触媒及び約0.25〜約0.5重量%のジメチコーンコポリオールスルホスクシネートを含むことができ、両方の配合物は加工時間のような、同様な物理的性質を有する。 【0062】McIntyre Chemical Companyからのこれらのタイプの化合物、特にMackanate DC−30(二ナトリウムPEG−12ジメチコーンスルホスクシナート)及びMackanate DC−30A(二アンモニウムPEG−12ジメチコーンスルホスクシナート)、の追加の試験が行われた。第1のものは市販製品であり、そして第2のものは今回での開発製品である。 【0063】上に記載された2種のジメチコーンコポリオールは、1mmHg真空を用いて50℃で一晩オーブン中に置くことにより存在する水(約17%)を除去するために乾燥された。種々の量のDC−30Aは試験5において用いられる配合物に非常に類似している配合物中に導入された。DC−30Aの増大させていく濃度と共に、加工及び硬化時間の変化を示す結果が表10に示される。これらの結果から、約0.25重量%が歯科用印象配合物において使用するための良好な水準であると思われる。 【0064】 表 10―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 促進剤含有量と共にの加工時間の変化――――――――――――――――――――――――――――――――――――参照 試験8 試験9 試験10 試験11DC-30A、乾燥重量% 0 0.1 0.25 0.4加工時間 WT(秒) 320 147 97 93硬化時間 ST(秒) 規定せず 496 330 308400Pa.s.までの時間(WT)(秒) 365 134 100 965000Pa.s.までの時間(ST)(秒) 規定せず 427 274 259――――――――――――――――――――――――――――――――――――【0065】物理的性質の比較を2種の材料の間で行われた。結果を表11に示す。結果に基づいて、DC−30Aがより有効な促進剤で有り、反応速度変化効果においてアンモニウムイオンが重要な役割を演ずることを示唆している。 【0066】 表 11―――――――――――――――――――――――――――――――――――― 促進剤DC-30及びDC-30Aの効率の比較――――――――――――――――――――――――――――――――――――参照 試験3 試験12 試験13――――――――――――――――――――――――――――――――――――促進剤 無し 乾燥0.08%DC-30 乾燥0.08%DC-30A触媒導入(%) 0.40 0.25 0.2525℃での樹脂粘度η*(Pa.s.) 11.63(0.07) 11.14(0.04) 11.28(0.11)加工時間WT(秒) 147 202 80硬化時間ST(秒) 304 660 222引っ張り強さMpa(Die D) 2.20(0.31) 2.18(0.16) 1.98(0.07)伸び(%) (Die D) 224(27) 252(12) 269(18)――――――――――――――――――――――――――――――――――――【0067】本発明はその態様の記載により例証され、そしてその態様はかなり詳細に記載されたけれども、本特許請求の範囲の範囲を、そのような詳細に制限すること、そして、どんなやりかたであっても、限定することは意図されない。追加の利点及び変更は当業者に容易に明らかであろう。それ故に、そのより広い面において本発明は、示され且つ説明された特定の細部分、代表的な方法及び例示的例に限定されない。したがって、本出願人の一般的発明概念の範囲及び精神から離れることなしに、そのような詳細からの発展を行うことができる。 【0068】 【発明の効果】本発明により、硫黄化合物に対し強い等の利点を有する、歯科用印象材料が提供された。
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| 【出願人】 |
【識別番号】599079034 【氏名又は名称】カー コーポレイション
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| 【出願日】 |
平成14年12月5日(2002.12.5) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100066692 【弁理士】 【氏名又は名称】浅村 皓 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−192520(P2003−192520A) |
| 【公開日】 |
平成15年7月9日(2003.7.9) |
| 【出願番号】 |
特願2002−354241(P2002−354241) |
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