| 【発明の名称】 |
歯科用ガラス |
| 【発明者】 |
【氏名】藤波 恭一 【住所又は居所】東京都台東区台東1丁目38番9号 株式会社トクヤマデンタル内
【氏名】関野 雅人 【住所又は居所】東京都台東区台東1丁目38番9号 株式会社トクヤマデンタル内
【氏名】潮田 昌昭 【住所又は居所】東京都台東区台東1丁目38番9号 株式会社トクヤマデンタル内
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| 【要約】 |
【課題】歯の切端部や漂白歯等の色が薄く(彩度が低く)、明度の高い部位の色調を再現でき、かつ歯科用として充分に高い機械的強度を有する歯科用ガラスを得る。さらには、製造時の作業性も向上させる。
【解決手段】JIS Z8729に基づいて試料厚7mmにて測定したL*、a*およびb*が下記式(1)および(2) |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 JIS Z8729に基づいて試料厚7mmにて測定したL*、a*およびb*が下記式(1)および(2) (a*2+b*2)1/2<30 (1) 1.2{(a*2+b*2)1/2}+L*>48 (2) を満たすガラスであって、該ガラスがチタン成分を酸化物(TiO2)換算で5〜20質量%及びセリウム成分を酸化物(CeO2)換算で0.005〜0.25質量%含有しており、かつ、加熱により結晶を析出し結晶化ガラスとなり得ることを特徴とする歯科用結晶性ガラス。 【請求項2】 請求項1記載の歯科用結晶性ガラスを加熱により結晶化ガラスとした歯科用結晶化ガラス。 【請求項3】 酸化物換算で、・SiO2:35〜70質量%・MgO:8〜30質量%・Al2O3:5〜31質量%・CaO:5〜20質量%・TiO2:5〜20質量%・CeO2:0.005〜0.25質量%・その他の金属酸化物:0〜10質量%(上記成分の合計は100質量%) の組成からなることを特徴とする歯科用ガラス。 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の歯科用ガラスを成形して得た結晶化ガラス歯冠。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、新規な歯科用ガラスに関する。更に詳しくは、高強度でかつ天然歯の切端色を良好に再現できる歯科用ガラスに関する。 【0002】 【従来の技術】う蝕等により部分的に欠損した歯の修復に使用される材料としては、コンポジットレジンと呼ばれる無機物と有機物からなる複合材料、金属或いはセラミックスが用いられている。特に強度の要求されるブリッジ、即ち欠損歯を補う不可撤式補綴物等には金属やセラミックスが使用されている。中でもセラミックスは天然歯に近い色調を再現できるため審美性に優れており、かつ耐摩耗性にも優れるため修復、補綴材料としての評価が非常に高い。 【0003】歯科用に用いられるセラミックスとしては、非晶質ガラス中にリューサイト、マイカ、リン酸カルシウム、ディオプサイド等の結晶が析出した結晶化ガラス(ガラスセラミックスとも呼ばれる)やガラスマトリックス中にアルミナ、ジルコニア、スピネル等のセラミックスを複合化した材料等がある。 【0004】特に、結晶化ガラスは審美性、曲げ強度等の力学的特性に優れている。審美面では結晶とガラスマトリックスの屈折率を調節することによって天然歯と似た透明感や質感を得られる。一般に析出した結晶とガラスマトリックスの屈折率差が小さい程、また析出した結晶の大きさが小さい程透明となる。また、力学的特性も析出する結晶の種類、大きさ、及び析出量等により曲げ強度、破壊靭性などの機械的性質が影響を受ける。一般に析出結晶の剛性が高く、結晶粒子の大きさが小さく、アスペクト比が大きく、結晶の量が多く、結晶の分散性が良い場合に機械的特性の向上が見られる。これらのことより、結晶化ガラスを歯科用に用いる為には、結晶の析出状態を適切な状態に制御することが不可欠である。 【0005】該結晶化ガラスは通常、加熱により結晶を析出する結晶性ガラスを調製し、該結晶性ガラスを加熱軟化させて鋳型に遠心力あるいは加圧によって流し込み、該鋳型中で、または鋳型から取り出した後に、制御された適度な温度条件下で加熱することにより、ガラスマトリックス中に結晶を析出させることにより製造される。 【0006】そして、前記した結晶径や結晶化率等の結晶の析出状態の制御を容易なものとするために、ガラス中に核形成剤と呼ばれる成分が配合される。一般に核形成剤としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化バナジウム、酸化ニッケル、酸化クロム、フッ化物、硫化物、リン酸、タングステン、白金、金、銀、銅など多くのものが知られているが、通常、歯科用ガラスとしては結晶の析出状態の制御が容易で、得られる結晶化ガラスが高強度かつ審美性に優れたものになる点で、酸化チタンが結晶化核剤として繁用されている。 【0007】他方、歯科用ガラスを用いた歯の修復に際して、高い審美性を得るためには、該歯科用ガラスと天然歯の色調を合せる必要がある。通常、天然歯の色調は個人差や部位差のあるものの、青味あるいは赤味を帯びた黄色い半透明の色調を有している。特に口を開けた際に最も目につきやすい前歯の中央部付近は一般に黄色味を帯びていることが多い。そのため従来の歯科用ガラスは、この色調に合わせて黄色味を帯びた半透明の材料を用いてコアと呼ばれる部分を形成し、さらにその上に、必要に応じて青味あるいは赤味を帯びた黄色いガラスを築盛し、製造される歯冠全体の色調を整える方法をとっている。当該コア部分の強度は、製造される歯冠の強度に直結するため、通常は前記した結晶化ガラスが用いられる。 【0008】上記色調を再現するための着色材料としては、酸化セリウム、酸化鉄、酸化マンガン、酸化クロム等が使用されており、一般には、歯科用ガラス中、0.3〜2質量%配合される。それに対し、前歯の切端部は上記歯の中央部付近の色に比較して色が薄い、即ち黄色味や赤味が低く(彩度が低く)また明度も高い。したがって、このような部分の色調を再現するために、着色材料のほとんど配合されていない歯科用ガラスも製造されており、上記コアの上に築盛してその色調を再現している。 【0009】一方、近年では白く明るい歯が求められる傾向にあり、テトラサイクリンや色素沈着等による変色歯や色調を改善したいという願望を持った患者の天然歯を過酸化水素や過酸化尿素や過ホウ酸ナトリウム等で漂白することが行われている。 【0010】 【発明が解決すべき課題】しかしながらこのような漂白処理をした歯牙では、一般になんら処理していない天然歯に比して彩度が低く明度が高くなる傾向が強いため、従来の歯の中央部付近の色調に合わせて製造された歯科用ガラスでは、その色調を再現することが困難である。 【0011】この問題を解決する方法として、前記切端部における色調を有するようなガラスを用いれば当該漂白歯の色調と同等の歯冠が製造できるが、通常、このような切端部の色調を有す歯科用ガラスは、前記強度の高いコアの上に築盛するために製造されており、その機械的強度はさして大きくなく、該材料を用いてコアを形成しても歯冠用として充分な強度を有するものとはならなかった。 【0012】上記問題点を解決する方法として、充分な強度を有す結晶化ガラスとするために、核形成剤としてチタンを配合することが考えられる。 【0013】ところが、本発明者らが上記方法を検討したところ、切端部の色調を有する歯科用ガラスとして着色のほとんどないガラスを作製するために、着色材料を配合せずにガラスを製造しようとすると、ガラスを製造する際の1400〜1650℃の加熱によってガラス全体が黒く変色してしまうという現象が生じることを見出した。 【0014】該黒変化現象は前記した核形成剤として配合されるチタン成分の一部が、三価のチタン(Ti3+)となってしまったり、あるいはなんらかの酸素欠陥が生じるためだと推測される。 【0015】上記黒変化現象を避けるために、チタン成分を配合しないと結晶化を起こさせることができず、コア用の歯科用ガラスとして充分な強度を有するものが得られない。また、黒変化はガラス製造時の1400〜1650℃という高い温度での加熱によるものであるため、より低温でガラスの製造を行うことが考えられるが、この場合には加熱時の粘度が極めて高く、作業性に劣り、製造が極めて困難である。 【0016】従って、彩度が低く、明度の高い切端部の色調を有するガラスであって、かつコア製造用としても使用可能な歯科用ガラスとして充分な機械的強度を有し、さらには、製造時の作業性にも優れる歯科用ガラスが求められていた。 【0017】 【課題を解決する手段】本発明者等は上記問題点を解決すべく鋭意検討した結果、核形成剤としてチタンを配合した場合でも、極微量のセリウムが共存していれば、1400〜1650℃の加熱でも黒変化が起こらず、よって切端部の色調を良好に再現できる、彩度が低く明度の高いガラスにすることができ、かつ配合されたチタンの核形成剤の作用により高い強度を有する結晶化ガラスを得ることができることを見出し本発明を完成した。 【0018】すなわち本発明は、JIS Z8729に基づいて試料厚7mmにて測定したL*、a*およびb*が下記式(1)および(2) (a*2+b*2)1/2<30 (1) 1.2{(a*2+b*2)1/2}+L*>48 (2) を満たすガラスであって、該ガラスがチタン成分を酸化物(TiO2)換算で5〜20質量%及びセリウム成分を酸化物(CeO2)換算で0.005〜0.25質量%含有しており、かつ、加熱により結晶を析出し結晶化ガラスとなり得ることを特徴とする歯科用結晶性ガラスである。 【0019】 【発明の実施の形態】本発明の歯科用結晶性ガラスは、JIS Z8729に基づいて試料厚7mmにて測定したL*、a*およびb*が下記式(1)および(2)双方を満たすガラスである。 (a*2+b*2)1/2<30 (1) 1.2{(a*2+b*2)1/2}+L*>48 (2) なお、L*は知覚的にほぼ均等な歩度を持つ三次元色空間のおける座標の一つで物体の色調の明るさ(明度)を示す。L*は値が大きくなるほど明るくなることを示す。a*、b*は、L*a*b*表色系のクロマティクネス指数と呼ばれ、視覚的にほぼ均等な歩度を持つ三次元色空間における二つの座標で、それぞれ、a*は赤味を示し、b*は黄色味を示す。a*の値が大きくなると赤味が増し、値が負になると緑味を増す。b*の値が大きくなると黄色味が増し、値が負になると青味を増す。従って色の濃さはa*、b*の値に依存し、通常下記式で示されるc*(彩度)が高いほど色が濃いとされる。 c*=(a*2+b*2)1/2(以下では簡便のため、(a*2+b*2)1/2をc*と記す) 結晶性ガラスにおいては、後述する結晶化にともない、上記a*およびb*はほとんど変化しないか僅かに低下する傾向があり、他方、L*は大きく上昇するため、上記式(1)および(2)双方を満たす結晶性ガラスを結晶化させることにより、歯の切端部や漂白歯の色調等の、色が薄く(彩度が低く)、明度の高い部分の色調を再現可能な歯科用の結晶化ガラスとすることができる。 【0020】上記式(1)を満たさない場合には、得られる結晶化ガラスの色が濃くなりすぎて、切端部や漂白歯の色の薄い状態を再現することができない。また、式(2)を満たさない場合には色が暗くなりすぎ、やはり切端部や漂白歯の明るい色調を再現できない。 【0021】上記L*、a*およびb*の測定は、試料厚さ7mmで行う。本発明の歯科用結晶性ガラスは通常透明〜半透明であり、表面反射に加えて、透過光の反射・散乱がL*、a*およびb*の測定値に大きく影響を与えるため一定の厚さで測定する必要がある。試料厚さが薄い場合には背景色の影響をつよく受けるため、切端部や漂白歯の色調を良好に再現できないような色調のガラスでも前記式(1)および(2)を満たす場合がある。また、試料厚さが厚い場合には吸収が大きすぎて一般に測定が困難である。 【0022】本発明の歯科用結晶性ガラスには、酸化物(TiO2)換算で5〜20質量%のチタン成分が含まれる。当該チタン成分は、結晶化の際に核形成剤として働く。該チタン成分の含有量が酸化物換算で5質量%未満の場合には、核形成剤としての作用が不足し、充分な結晶析出量が得られず、機械的強度が低いものとなり、歯科用として好適な結晶化ガラスとすることができない。他方、20質量%を超える場合には、過剰な結晶化や分相等により、得られるガラスが失透してしまうため審美性に劣るものとなり、歯科用のガラスとして使用することが困難となる。 【0023】該チタン成分の含有量は、好ましくは酸化物換算で10〜15質量%である。 【0024】また本発明の歯科用結晶性ガラスには、酸化物(CeO2)換算で0.005〜0.25質量%のセリウム成分が含まれる。 【0025】該セリウム成分は三価のチタンの生成、あるいは酸素欠陥の生成を防ぎ、得られる歯科用ガラスが黒色に着色するのを防ぐために必要である。 【0026】セリウム成分の含有量が、酸化物換算で0.005質量%未満では上記黒変を防ぐ効果が得られない。一方、セリウム成分は通常、歯科用ガラスの黄色の着色成分として0.3〜2質量%配合される。従って、該セリウム成分が酸化物換算で0.25質量%を超えて含有されていると、得られる歯科用結晶化ガラスが黄色くなりすぎ、そのため切端部や漂白歯の薄い色調を再現することができなくなる。 【0027】当該セリウム成分の含有量は、好ましくは酸化物換算で0.01〜0.20質量%である。 【0028】本発明の歯科用ガラスを構成する、上記チタン、セリウム及び酸素以外の構成成分は特に限定されるものではなく、歯科用結晶性ガラスとして公知の成分であれば良いが、好ましくは、ケイ素、マグネシウム、アルミニウムおよびカルシウムが含有されていることが好ましい。 【0029】これら成分を含有するガラスとすることにより、結晶性ガラスから結晶化ガラスへとする際の結晶の析出制御が容易となり、歯科用として好適な機械的強度および色調を有する結晶化ガラスとすることが容易にできる。また、これら成分を含有するガラスは、核形成剤としてチタン成分を配合することにより黒色に着色し易く、微量のセリウム成分を含むガラスを配合することによってこの黒変を防ぐ本発明の効果が顕著に得られる。 【0030】通常、これら成分の配合により、ディオプサイト、ウォラストナイト、エーライト、ベライト、アーケルマナイト、モンチセライト、ホルステライト、エンスタタイト、スピネル、トリジマイト、α―石英、β―石英、クリストバライトといった結晶が析出する。 【0031】ケイ素成分の含有量は特に制限されるものではないが、酸化物(SiO2)換算でガラス中35〜70質量%であることが好ましく、40〜60質量%であることがより好ましく、特に好ましくは45〜55質量%である。ケイ素成分の含有量が少ないほどガラスの粘性が低くなり、均質なガラスを得やすく、またプレス成形法等による歯冠への成形および結晶化の際の成形温度を低くすることが可能となる。一方、ケイ素成分の含有量が多いほど得られるガラスの透明感を保持することが容易となり、よって歯科用として適度な透明感を有すガラスとすることが容易となる。 【0032】マグネシウム成分の含有量は酸化物(MgO)換算でガラス中8〜30質量%であることが好ましく、12〜26質量%であることがより好ましく、14〜17質量%であることが最も好ましい。マグネシウム成分の含有量が少ないほどガラスの粘性が低くなり、また過度の結晶化を防ぐことができ、成形が容易となると同時に透明感を保持しやすくなる。一方、マグネシウム成分の含有量が多い方がガラス表面と内部の結晶化が均一となり、全体が均一に結晶化されたガラスとすることが容易となる。 【0033】アルミニウム成分の含有量は、酸化物(Al2O3)換算でガラス中5〜31質量%であることが好ましく、6〜19質量%であることがより好ましく、12〜15質量%であることが最も好ましい。アルミニウム成分の含有量が多いほど均質なガラスとするのが容易となり、他方、少なくするほど溶融温度が低く、脱泡、成形が容易なガラスとなる。 【0034】カルシウムの含有量はガラス中、酸化物(CaO)換算で5〜20質量%であるのが好ましく、7〜16質量%であるのがより好ましく、11〜15質量%であるのがより好ましい。カルシウム成分の含有量が多いほど結晶析出量を多くすることが容易となり、またガラスの粘性を低くすることができる。他方、少ないほどガラス全体を均一に結晶化させることが容易となる。 【0035】本発明の歯科用ガラスには、上記成分にさらに加えて、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、ストロンチウム、バナジウム、亜鉛、カドミウム、鉛、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、硼素、ガリウム、インジウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、ゲルマニウム、錫、ジルコニウム、ハフニウム、リン、ニオブ、クロム、ネオジウム、プラセオジウム、エルビウム等の公知のガラス成分が含有されていても良い。これらの含有量は酸化物換算でガラス中10質量%以下とすることが好ましく、さらにこれらの中でも、一般に着色成分として知られている、鉄、マンガン、ニッケル、コバルト、バナジウム、銅、クロム等の成分は、前記式(1)および(2)双方を満足する歯科用ガラスとするために、酸化物換算で0.1質量%以下の含有量とすることが好ましく、0.01質量%以下の含有量とすることがより好ましく、0.005質量%以下とすることが最も好ましい。 【0036】本発明の歯科用結晶性ガラスの製造方法は特に制限されず、公知の方法で製造できる。具体的には、ガラス原料となる金属化合物をロッキングミキサー、シェーカーミキサー、ボールミル、乳鉢等を用いて混合した後、白金坩堝等に混合物を充填し、電気炉を用いて1450〜1650℃の温度で加熱溶融する。ついで溶融状態のガラスを、型枠に鋳込み徐冷してガラス塊を得る。なお、得られたガラスの均一性を向上させるために、作製したガラスを粉砕、再溶融を繰り返して作製することもできる。 【0037】このようにして得たガラス塊は、必要に応じて粉末状に粉砕したり、適当な大きさを有するガラス塊に再成形して保管、流通させ、必要なときに後述する結晶化および歯冠への成形を行なう。 【0038】上記のガラス原料となる金属化合物は特に制限されず一般的にガラス原料として用いられる金属酸化物、炭酸塩、水酸化物、硝酸塩、硫酸塩等の粉末や破砕物を用いることができる。また最終的に得ようとするガラス組成を勘案して、予め計算により用いるガラス原料の混合比を決定する。各構成成分の供給源となるガラス原料を以下具体的に例示する。 【0039】ケイ素成分の原料としては石英(SiO2)、クリストバライト(SiO2)、非晶質シリカ(SiO2)が一般に用いられる。マグネシウム成分の原料としてはマグネシア(MgO)、マグネサイト(MgCO3)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)が主に用いられる。静澄剤として硫酸マグネシウム(MgSO4)、硝酸マグネシウム(MgNO3)等を少量添加する場合もある。アルミニウム成分の原料としては、アルミナ(Al2O3)、水酸化アルミ(Al(OH)3)等が用いられる。チタン成分の原料としてはルチル(TiO2)、アナターゼ(TiO2)等を用いることができる。カルシウム成分の原料としては、炭酸カルシウム(CaCO3)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)が主に用いられる。セリウム成分の原料は対応する酸化物(CeO2)を用いるのが好ましいが、硝酸塩(Ce(NO3)3・6H2O)や硫酸塩(Ce2(SO4)3・8H2O)といった無機塩を用いても構わない。 【0040】また、上記原料に限らず例えばカオリン(Al2O3・2SiO2・2H2O)、苦灰石(MgCO3・CaCO3)といった複数の金属元素を含む化合物等を用いることもできる。 【0041】また、本発明に用いられるガラス原料は、不純物を含有しない方が好ましいが、少なくともそれぞれ98%以上の純度を有していれば原料として用いることができる。 【0042】さらに上記した溶融法に限らず、金属アルコキサイド等からなる溶液を加水分解して得たゲルを焼結することによって目的とするガラスを得ること(ゾルゲル法)も可能である。 【0043】このようにして得られた結晶性ガラスは、熱処理によりガラス中に微結晶を析出させ結晶化ガラスとして歯冠等に使用する。当該結晶化は歯冠に成形する前でも良いし、成形中でもよいし、あるいは成形後に行ってもよい。 【0044】結晶を析出させるための方法は特に限定されず公知の方法を採用すればよいが代表的な方法を以下に説明する。一度の加熱により結晶化させる方法としては、ガラス組成によっても異なるが、概ね850℃〜1100℃で加熱することにより可能である。より優れた強度および明度を有する結晶化ガラスを作製するためには、650〜850℃の温度域で第一段の熱処理(核形成処理)を行い、その後、例えば800〜1100℃の温度域で第二段の熱処理(結晶化処理)を行い、あるいは更に熱処理するそれ以上の多段階熱処理をとることが好ましい。熱処理にかける時間は一般にチタン含有量が少ない方が長く必要になり、一概には言えないが、通常、一度の加熱で結晶化させる場合には1〜10時間、二段階処理で結晶化させる際には、第一段の熱処理を1〜10時間、第二段の熱処理を5〜120分行えば良い。 【0045】熱処理するための装置としては、公知の熱処理装置、例えば電気炉等が好適に用いられる。 【0046】また、歯冠への成形方法についてもなんら制限されるものでなく公知の方法が採用でき、前記第一段の熱処理をしたガラスを、加熱しつつ鋳型中へプレスし、プレスと結晶化を同時に行う方法、結晶化させた結晶化ガラスをプレス成形する方法、結晶化させた結晶化ガラスの粉砕物を焼結させる方法、圧粉体とした物をプレス成形する方法、溶融状態で鋳型に流し込んだ後結晶化する方法などを用いることができる。中でも、ディオプサイド系の結晶化ガラスでは第一段の熱処理をしたガラスをプレスと同時に第二段の熱処理を行ない結晶化させる方法が好適に用いられる。 【0047】該プレスと同時に第二段の熱処理を行ない結晶化させる方法を更に詳しく説明すると、鋳型へのプレス注入時に850〜1100℃程度に加熱することによって結晶化と注入が同時に達成する方法と、ガラス粘度が鋳型へ注入可能となる温度領域(800〜1000℃)に加熱し、鋳型への注入完了後、さらに850〜1100℃の結晶化領域に加熱する二段階の加熱工程を採る方法が挙げられる。 【0048】このようにして得られた結晶化ガラスからなる歯冠は、通常、0.001〜100μmの結晶を体積分率で5〜80%含有しており、優れた審美性と機械的強度を有している。該結晶の析出により優れた審美性と機械的強度を有する、歯科用として好適な結晶化ガラスとすることができる。なお、コア用として用いる歯科用ガラスとしては、一般には100MPa以上の強度を有していることが必要であり、200MPa以上の強度を有していることが好ましく、300MPa以上であることが特に好ましい。 【0049】上記方法で得られた切端部の色調を有する結晶化ガラスからなる歯冠(コア)は、必要に応じて、他のより色の濃い各種ガラスやセラミックス等をその上に築盛、焼成してより審美性の高い歯冠とすることができる。 【0050】 【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、本実施例及び比較例で用いた材料及び評価方法は次の通りである。 【0051】(X線回折)試料となる結晶性ガラス塊又は結晶化ガラス塊をアルミナ乳鉢を用いて粉砕し、粉末X線回折(リガク社製、RINT−1200)により解析した。X線源はCuKα線を用い、加速電圧50kV、電流32mAで測定を行い、走査範囲は10〜70°、スキャンスピードは4°/分で測定を行った。 【0052】(a*、b*およびL*の測定)結晶性ガラスのa*、b*およびL*の測定には下記の方法を用いた。即ち、得られた結晶性ガラスを750℃で10分間加熱後放冷して歪み除去を行った後、該ガラス材を直径15mm、厚み7mmの円柱状に加工し、表面を#1000の耐水サンドペーパーにて研磨を行った。色差計(東京電色社製、TC−1800MK II)を用いて、白背景をバックにしJIS Z8729に従って、a*、b*、L*を測定した。 【0053】(色調の評価)得られた結晶性ガラスを前記方法で結晶化させ、その色調を肉眼で観察して切端部や漂白歯に使用可能な色調か否かを判断し、用いることが可能な場合には◎、黄色味が強すぎたり、明度が低すぎて用いることができないと判断された場合には×とした。 【0054】(曲げ強度)曲げ強度の測定試料は結晶性ガラスに700℃で6時間の熱処理をし、更に900℃で25mm×5mm×2mmの大きさに加熱加圧成形しながら40分間熱処理した試料を作製した後、研磨機(マルトー社製、ダイヤラップ)を用いて、幅4mm、厚さ1.2mm、長さが25mmの長方形になるように成形し、表面を1μmのダイヤモンドスラリーにより仕上げ研磨した。強度試験機(島津製作所社製、オートグラフ)によりクロスヘッド速度1mm/分、スパン距離15mmの条件で3点曲げ試験を行って曲げ強度を求めた。 【0055】実施例1ガラス原料として88.87gのSiO2、26.88gのMgO、23.75gのAl2O3、38.81gのCaCO3、21.63gのTiO2、0.091gのCeO2をロッキングミキサーを用いて1時間混合した。白金るつぼにこれらの混合物を充填し、電気炉(モトヤマ社製、スーパーバーン)を用いて、1500℃で2時間加熱溶融した後、水砕した。乾燥後、アルミナ製の乳鉢を用いて1mmになるまで粉砕を行い、さらに1500℃で2時間加熱溶融した。再び水砕したガラスを粉砕し、3時間清澄を行った後、カーボンからなる型枠に鋳込み徐冷して試料ガラス塊を得た。該ガラスはX線回折によっては結晶の析出の確認されない非晶質のガラスであった。 【0056】得られた非晶質ガラスを700℃で6時間熱処理(核形成処理)した後に900℃で30分間熱処理したものをX線回折により確認したところディオプサイド結晶が析出しており、該非晶質ガラスは、加熱により結晶化ガラスへとなる結晶性ガラスであることが確認できた。 【0057】上記の結晶性ガラスを色差計により測定した結果を表1に示す。色差の値は、c*が11.27、L*が47.45であり、1.2c*+L*の値は60.97となり、式(1)及び(2)双方を満足していた。該結晶性ガラスを上記方法で結晶化させ結晶化ガラスとしたものを目視で観察したところ、切端部や漂白歯の色調を有する歯科用ガラスとして好適に使用できる色調を有していた。 【0058】また得られた結晶性ガラスを結晶化させて曲げ強度を測定したところ、曲げ強度は310MPaであり、歯科用として十分な強度を有していた。 【0059】これらの結果はまとめて表1に示す。 【0060】 【表1】
【0061】実施例2〜5実施例1と同様の方法で、表1に示した組成の試料ガラスを作製した。得られたガラスの色差の値、目視による評価、析出結晶及び曲げ強度を表1に示した。いずれも良好な結果を示した。 【0062】比較例1〜6実施例1と同様にして表2に示す組成のガラスを調製し、各種評価を行った。評価結果を合せて表2に示す。 【0063】 【表2】
【0064】比較例1はセリウム成分を添加しない場合の組成である。この場合、明度が低く、式(2)の条件を満たすガラスとはならなかった。結晶化させたものを目視で確認しても、このガラスは明度の高い切端部や漂白歯としての使用は不可能であると判断された。比較例2はセリウム成分の添加量が少なすぎる場合の組成である。この場合、明度が低く、式(2)の条件を満たすガラスとはならなかった。結晶化させたものを目視で確認しても、このガラスは明度の高い切端部や漂白歯としての使用は不可能であると判断された。 【0065】比較例3はセリウム成分量が過剰の場合の組成である。この場合には、式(1)の条件を満たすガラスとはならなかった。結晶化させたものを目視で確認しても、このガラスは黄色みが強すぎ、色の薄い切端部や漂白歯としての使用は不可能であると判断された。 【0066】比較例4は、チタン成分量が少ない場合の組成である。結晶化核剤の酸化チタン量が少ないために、結晶化せず、歯科用ガラスとして十分な曲げ強度が得られなかった。比較例5及び6は、チタン成分量が過剰な場合の組成である。いずれも得られたガラス塊はまだら状に失透し均一に透明なガラスを得ることが出来ず、明らかに歯科用ガラスとして使用することができないため、その後の色調評価、曲げ強度の測定は行わなかった。 【0067】 【発明の効果】以上のように、核形成剤としてチタン成分を含むガラスに微量のセリウム成分を添加したガラスは彩度の上昇を伴わずに明度が大幅に向上する。具体的に説明すれば、チタン成分の配合によって発生する酸素欠陥や三価のチタンの発生を、極微量のセリウム成分を加えることにより防ぎ、明度を向上させることができる。また、添加されるセリウム成分が極微量であるため彩度の上昇がほとんどない。さらに配合されたチタン成分が結晶化の核形成剤となって歯冠のコア等の用途に使用可能な強度を有す結晶化ガラスとすることができる。このような彩度が低く明度が高いガラスは、歯の切端部や漂白歯の色調を表現するのに適した歯科用ガラスとして非常に有用である。さらに、溶融粘度が低くなる高温で製造することが可能なため、製造時の作業性にも優れたものとなる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003182 【氏名又は名称】株式会社トクヤマ 【住所又は居所】山口県徳山市御影町1番1号 【識別番号】391003576 【氏名又は名称】株式会社トクヤマデンタル 【住所又は居所】東京都台東区台東1丁目38番9号
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| 【出願日】 |
平成13年12月27日(2001.12.27) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2003−192518(P2003−192518A) |
| 【公開日】 |
平成15年7月9日(2003.7.9) |
| 【出願番号】 |
特願2001−395664(P2001−395664) |
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