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【発明の名称】 変温潤滑剤
【発明者】 【氏名】西城 隆

【要約】 【課題】気化熱や吸熱反応に因らない冷感付与と、皮膚刺激や発熱反応に因らない温感付与とを、1次的では無く永続性と耐洗濯性及び柔軟性を有し且つ、肌への潤滑性をも付与出来ることを可能とする。

【解決手段】冷感は油溶性ビタミン類か植物油の少なくとも一方とアルコール類と及び被覆剤を担体に包含させることで、柔軟性に富んだ心地良い冷感と肌への潤滑性とが得られる。また、温感は水不溶性物質の少なくとも一方と被覆剤の少なくとも2種とを担体に包含させることで、柔軟性に富んだ心地良い温感と肌への潤滑性と得られる。霊感付与も温感付与も水系加工か水含有物質への添加を図る場合には、分散剤を使用すれば良い。なお、分散剤無添加の剤は水不溶性物質の耐熱性を被覆剤により向上出来るので、熱可塑性樹脂への添加が可能となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水不溶性物質と分散剤及び又は被覆剤とを無機担体に包含させた変温潤滑剤。
【請求項2】 水不溶性物質が油溶性ビタミン類、アルコール類及び植物油の1種又は2種以上である請求項1記載の変温潤滑剤。
【請求項3】 油溶性ビタミン類がレチノイド、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、エルゴステロール、デヒドロコレストロール、トコフェロール、トコトリエリトール、テトラヘキシルデカン酸アスコビル、フィロキノン及びメナキオンの1種又は2種以上である請求項2記載の変温潤滑剤。
【請求項4】 アルコール類がα−ヒドロキシトルエン、アニスアルコール及びβ−フェノキシエタノールの高沸点アルコールの1種又は2種以上である請求項2記載の変温潤滑剤。
【請求項5】 植物油がオリーブ油、椿油、ホホバ油、パーム油、キャロット油、ブドウ油、油溶性ヨクイニンエキス及び油溶性ローズマリーエキスの1種又は2種以上である請求項2記載の変温潤滑剤。
【請求項6】 分散剤がエチレンオキサイドの付加モル数5〜12である(ポリオキシエチレン2−エチレンヘキシル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンオレエート、ポリオキシエチレンアリルエーテル、ポリオキシエチレンアリルエーテルの硫酸エステルNa塩)、モノオクチル・スルホコハク酸のNa塩又はCa塩及びジオクチル・スルホコハク酸のNa又はCa塩の1種又2種以上である請求項1記載の変温潤滑剤。
【請求項7】 被覆剤がジメチルシリコーンオイル、メチル水素シリコーンオイル、流動パラフィン、パラフィンワックス、硬化牛脂脂肪酸ジエタノールアミド、硬化ナタネ油アルコール、硬化ヒマシ油、2−エチルヘキサン酸イソステアリル、2−エチルヘキサン酸ステアリル、2−エチルヘキサン酸セチル、2−エチルヘキサン酸セトステアリル、水素添加ホホバ油、2−エチルヘキサン酸アルキル(但し、アルキル基の炭素数が12,13、14、16、18のいずれか一方である)の1種又は2種以上である請求項1記載の変温潤滑剤。
【請求項8】 無機担体が1次粒子径で5〜20ナノメーターであり、且つ、BHT法による比表面積が35m/g〜300m/gであるシリル化処理無水ケイ酸である請求項1記載の変温潤滑剤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する分野】本発明は、潤滑性に富んだ冷感が気化熱や吸熱反応によることなく、また、潤滑性に富んだ温感が皮膚刺激によることなく得られる変温潤滑剤に関する。
【0002】
【従来の技術】これまでの冷感剤としては、L−メントールやサリチル酸メチルを使用した物がある。これらの作用機構はL−メントールやサリチル酸メチルが気化する時に周辺の熱を奪う気化熱利用の1次的な冷感付与である。また、尿素やキシリトールを使用したものの冷却機構は、これらのものが水に溶ける時に吸熱反応を起して、周辺の熱を奪うことを利用した1次的な冷感付与である。温感剤としては、カプサイシン、生姜エキス、芥子等の皮膚刺激性物質を使用した物や、使い捨てカイロに見られる鉄が水と接触して水酸化第二鉄となる時の発熱反応を利用した物があるが、いずれも一時的な温感付与である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、冷感付与が気化熱利用や吸熱反応に因ること無く、温感付与が皮膚刺激性物質や発熱反応に因ること無く、永続性に富んだ冷感又は温感の付与機能を繊維や化粧品に与えると共に、樹脂併用された繊維には耐洗濯性のある柔軟性や肌への潤滑性をも付与し且つ、熱可塑性樹脂への練り込みも出来ることである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する為、本発明の変温潤滑剤は、冷感付与を図る為に水不溶性物質である油溶性ビタミン類、アルコール類及び植物油の1種又は2種以上と分散剤と被覆剤とを、無機担体に包含させることである。また、油溶性ビタミン類とアルコール類及び植物油の1種又は2種以上と被覆剤とを、無機担体に包含させてもよい。
【0005】油溶性ビタミン類、植物油の1種又は2種以上と分散剤及び又は被覆剤を無機担体に包含させた物では冷感性が弱く、アルコール類と分散剤及び又は被覆剤を無機担体に包含させたものでも冷感性が弱いのである。しかしながら、油溶性ビタミン類か植物油の少なくとも一方とアルコール類とを併用すると、風合いが柔らかく且つ、心地よい冷感性と肌への潤滑性とが得られるのである。
【0006】油溶性ビタミン類又は植物油の少なくとも1種とアルコール類、分散剤及び被覆剤を無機担体に包含させた冷感性付与剤は、水や有機溶媒を使用した加工に供することが出来ると共に、化粧品への添加が可能となるのである。油溶性ビタミン類又は植物油の少なくとも1種とアルコール類及び被覆剤とを無機担体に包含させた冷感性付与剤は、熱可塑性樹脂への練り込みや化粧品への添加が可能となるのである。
【0007】一方、温感を得るには、水不溶性物質のうちの少なくとも1種と分散剤及び又は被覆剤の少なくとも2種とを無機担体に包含させることである。被覆剤が1種だけの場合には温感性が得られ無いからである。何故ならば、被覆剤を少なくとも2種使用することによってのみ被覆剤の一方が熱不良導体として機能し、他方の被覆剤が蓄熱剤とし機能するからである。
【0008】水不溶性物質の少なくとも1種と分散剤及び被覆剤の少なくとも2種とを無機担体に包含させた温感性付与剤は、水や有機溶媒を使用した加工に供すことが出来ると共に、化粧品への添加が可能となるのである。水不溶性物質の少なくとも1種と被覆剤の少なくとも2種とを無機担体に包含させた温感性付与剤は、熱可塑性樹脂への練り込みや化粧品への添加が可能と成るのである。
【0009】これらの冷感性付与並びに温感性付与剤は、いずれもが肌への潤滑性を有すると共に、樹脂併用をした繊維加工品は風合い硬化を来すこと無く柔軟である。
【0010】分散剤は水系物質への添加又は水で稀釈する場合に添加するのであって、アニオン系分散剤を使用するか又は、ノニオン系分散剤を使用するかは併用剤のイオン性により決定すべきである。即ち、アニオン系の併用剤にはアニオン系分散剤を、ノニオン系やカチオン系の併用剤にはノニオン系分散剤を使用すべきである。
【0011】無機担体は冷感性や温感性と共に潤滑性をも付与する剤を包含させる為、変温潤滑剤には有機担体では無く、膨潤性や親水性の無い疎水性の無機担体が必用となる。
【0012】有機担体としては、α−サイクロデキストリン、β−サイクロデキストリン、γ−サイクロデキストリン、無水結晶マルトース、活性炭粉末等の物がある。これらの有機担体の中でα−サイクロデキストリン、β−サイクロデキストリン、γ−サイクロデキストリン及び無水マルトースは水に溶けると共に、250℃〜300℃の高温下では炭化が始まる為に使用出来ないのである。また、活性炭粉末は色が黒いことと疎水性では無いことにより、変温潤滑剤の担体には成り得ないのである。
【0013】膨潤性の無機担体としては、ナトリウム4珪素雲母やテニオライトがある。これらの担体では水の包含率が高く、水不溶性物質のみを包含していても水と接触すると、水不溶性物質を追い出して水を多く包含することになるので、水不溶性物質の担持体としては使用出来ないのである。
【0014】親水性の無機担体としては、スメクタイト、カオリナイト、バイロフィライト、ハロイサイト、セピオライト、アタパルジャイト、ベントナイト、ゼオライト、球形多孔質シリカ、球形多孔質中空シリカ、無水ケイ酸等の物があるが、疎水性で無い為に水不溶性物質や被覆剤を包含し難いのである。
【0015】なお、カオリナイトやバイロフィライト等のクレーに脂肪族アミンや疎水性物質で処理し、クレーの結晶表面に有機基を吸着させて親油化させた物もある。これらの物は水不溶性物質や被覆剤を包含させると、脂肪族アミンや疎水性物質がクレー表面から脱落する為、水不溶性物質や被覆剤の保持性を低下させるのである。また、脂肪族アミンによる親油化や有機アミンと反応させた有機ベントナイトは経時により担体を黄変させる欠点を有している。
【0016】球形多孔質シリカと球形多孔質中空シリカとは、減圧下では容易に水不溶性物質や被覆剤を包含するが、1次粒子径が0.2〜25μと細かいにもかかわらず真密度が2.1g/cmと高いので、変温潤滑剤を包含させた物を水で稀釈すると沈降するので使用が困難であり、風合硬化を来すことになる。
【0017】BET法による比表面積が35〜330m/gで、1次粒子の平均径が7〜40ナノメーターである無水ケイ酸は、攪拌下で変温潤滑剤を包含することが出来る。しかしながら、無水ケイ酸が疎水化されていないので、これらの担体に包含させた水不溶性物質と被覆剤とは吸着包含出来ないのである。それ故、無水ケイ酸に包含させた変温潤滑剤を水で稀釈すると、分散剤により水不溶性物質と被覆剤とが全て水中に放出されて乳化するので、担体として機能しないことになる。
【0018】BHT法による比表面積が35〜300m/gで、1次粒子径の平均粒子が5〜20ナノメーターであるシリル化無水ケイ酸(以下単に「無機担体」と略記する)は、水不溶性物質と被覆剤とを攪拌することにより包含する。なお、水不溶性物質は被覆剤を併用して無機担体に包含させると、耐熱性が少なくとも100℃は向上すると共に、酸化防止機能をも獲得するので、可塑性樹脂への添加が可能となるのである。また、この物に分散剤を添加して水に分散させても、不溶性物質と被覆剤とは担体に大部分包含されているので、変温潤滑剤としての機能を喪失することが無い。また、超微粒子体の分散配合物に見られる分離が無いだけでなく、本発明の変温潤滑剤は水に分散させても凝集や沈殿を来すことがないだけで無く、水で稀釈した分散物を静置しておいても、経時変化としての沈殿や凝集を来すことが無いのである。
【0019】それ故、本発明の変温潤滑剤は、短繊維に加工すると繊維と繊維との間に入り込むので、樹脂を併用した加工では耐洗濯性を飛躍的に高めることになる。なお、長繊維への加工では変温潤滑剤が繊維表面に留まるのに対し、短繊維への加工では変温潤滑剤が繊維間に入り込む為に長繊維への加工品ほどには変温機能が得られ無いことになる。それ故、短繊維や静電防止加工及び又は抗菌加工が施された長繊維には、エマルジョンの粒子径の大きいエチレン酢酸ビニルコポリマーのエマルジョンやアクリエマルジョンを使用すべきである。樹脂を使用した長繊維への加工に於いては、樹脂単品の加工と比較しても柔軟性に富んだ加工品となり、樹脂併用時の風合い硬化を来さないことである。
【0020】超微粒子体に担持させた変温潤滑剤は、化粧品のクリームファンデーションや乳液に変温潤滑剤を組み込んでも、凝集や沈殿を来さないのでファンデーションや乳液の延びや、ノリを阻害すること無く肌に変温潤滑の機能を付与出来るのである。
【0021】
【発明の実態の態様】上記のように構成れた変温潤滑剤は分離すること無く、また、水で稀釈したり、化粧品に組み込んでも凝集や沈殿を来すこと無く、変温潤滑の機能を繊維や肌に付与することが出来る。
【0022】
【実施例1】油溶性ビタミン類がレチノイドを■、アルコール類がアニスアルコールを■、植物油が椿油を■、分散剤がエチレンオキサイドの付加モル数が10モルであるポリオキシエチレンラウリルエーテルを■、被覆剤がジメチルシリコーンオイルを■、無機担体を■、脂肪族アミンで親油化されたカオリナイトを■として、下記の配合物を調製した。なお、エチレンオキサイドの付加モル数がnのものは、以下単に「(nE.O.)」と略記する。
■ : ■ : ■ : ■ : ■ : ■ : ■10 : 0 : 0 :100: 1 :10 : 0 → (A)
10 : 0 : 0 :100: 1 : 0 :10 → (B)
0 :10 : 0 :100: 1 :10 : 0 → (C)
0 :10 : 0 :100: 1 : 0 :10 → (D)
0 : 0 :10 :100: 1 :10 : 0 → (E)
0 : 0 :10 :100: 1 : 0 :10 → (F)
10 :10 : 0 :100: 1 :10 : 0 → (G)
10 :10 : 0 :100: 1 : 0 :10 → (H)
10 : 0 :10 :100: 1 :10 : 0 → (I)
10 : 0 :10 :100: 1 : 0 :10 → (J)
0 :10 :10 :100: 1 :10 : 0 → (K)
0 :10 :10 :100: 1 : 0 :10 → (L)
5 :10 : 5 :100: 1 :10 : 0 → (M)
5 :10 : 5 :100: 1 : 0 :10 → (N)
試験(A)〜(N)までの配合物各3gと1液性の水溶性ウレタン(日本エヌエスシー株式会社製品:ヨドゾールRA−8)3gとを水94gに溶解して処理液を調製し、その中にナイロン製のソックスを浸してすぐに絞り、乾燥後に着用試験に供した。尚、ナイロン製ソックス1足当たりの目付けは8gで、絞り率は100%、乾燥は80℃に設定された乾燥機で7分間乾燥した。着用試験は30歳台の男性二人と30歳台の女性3人により、処理品と無処理品とを片方ずつ履いた試験であり、着用も左右を交換しての確認である。
結果(室内平均気温28℃に於いて)
(A):着用5分間経過後に微かな冷感を感じたが、風合いは硬かった。
(B):着用5分間経過後も冷感を得ず、風合いも硬かった。
(C):着用5分間経過後に微かな冷感を感じたが、風合いは硬かった。
(D):着用5分間経過後も冷感を得ず、風合いも硬かった。
(E):着用5分間経過後に微かな冷感を感じたが、風合いは硬かった。
(F):着用5分間経過後も冷感を得ず、風合いも硬かった。
(G):着用後すぐに心地よい冷感が得られ、経時による冷感喪失も無く、風合いが柔らかく且つ、肌への潤滑性にも富んでいた。
(H):着用5分間経過後も冷感を得ず、風合いも硬かった。
(I):着用5分間経過後に微かな冷感を感じたが、風合いは硬かった。
(J):着用5分間経過後も冷感を得ず、風合いも硬かった。
(K):着用後すぐに心地よい冷感が得られ、経時による冷感喪失も無く、風合いが柔らかく且つ、肌への潤滑性に富んでいた。
(L):着用5分間経過後も冷感を得ず、風合いも硬かった。
(M):着用後すぐに心地よい冷感が得られ、経時による冷感喪失も無く、風合いが柔らかく且つ、肌への潤滑性に富んでいた。
(N):着用5分間経過後も冷感を得ず、風合いも硬かった。
又、微かでも冷感付与機能を有する処理品を洗濯ネットに入れ、それぞれを洗濯試験JIS C 9606に供したところ、(A)、(C)、(E)のいずれもが洗濯1回で冷感付与機能を喪失していた。なお、(G)、(I)、(K)、(M)は、いずれも洗濯30回後も冷感付与機能は経時による喪失が無く、柔軟性とを有し、肌への潤滑性付与機能をも有していた。
【0023】
【実施例2】油溶性ビタミン類がトコフェロールを(a)、アルコール類がβ−フェノキシエタノールを(b)、植物油がパーム油を(c)、分散剤がポリオキシエチレンオレエート(8E.O.)を(d)、ジオクチル・スルホコハク酸のNa塩を(e)、被覆剤が2−エチルヘキサン酸セトステアリルを(f)、無機担体を(g)として下記の試験に供した。
(a): (b): (c): (d): (e): (f): (g)
10: 10: 0: 60: 0: 5: 7 → (1)
10: 10: 0: 0: 80: 5: 7 → (2)
0: 10: 10: 60: 0: 5: 7 → (3)
0: 10: 10: 0: 80: 5: 7 → (4)
10: 10: 0: 0: 0: 5: 5 → (5)
0: 10: 10: 0: 0: 5: 5 → (6)
10: 10: 0: 60: 0: 0: 7 → (7)
10: 10: 0: 0: 80: 0: 7 → (8)
試験(1)〜(4)までの物を重量当たり各3%ずつ市販のボディーローションに添加した物を検体とし、無添加の物を対象検体とする。右側の背中に検体1g、左側の背中に対象検体1gを各々塗り広げ、乾いてから半袖の下着を着用し、室内で1時間後冷感の有無を確認した。なお、被験者は30歳台の男性4人で、被験者は1検体のみの塗布で、室内温度は28℃である。
結果 検体側はいずれの物も心地良い冷感がえられ、体を動かすと更に冷感が増し、経時による冷感喪失は無かった。また、塗布した肌は潤滑性を帯びて艷やかであった。対象検体側はいずれも冷感が得られず、肌も潤滑性と艶やかさとに欠けていた。
【0024】
【実施例3】実施例2記載の配合物を使って下記の試験をした。
試験 (5)と(6)とをそれぞれ市販のクリームファンデーションに重量当たり3%添加した物を検体とし、無添加物を対象検体とした。30歳台、40歳台、50歳台の女性一人ずつに右頬には検体、左頬には対象検体を塗って試験をした後、塗布側を逆にして再確認した。なお、試験は平均気温28℃の室内で行った。
結果 被験者のいずれもが検体を塗布して1分後に心地良い冷感を検体側に感じ、7時間後に洗顔するまで冷感が喪失することが無かった。また、塗布性は対象検体に比して、延び、ノリ共に良く、肌がしっとりと潤っていた。対象検体側には被験者のいずれもが、冷感を感じることが無かった。
【0025】
【実施例4】実施例2記載の配合物を使って下記の試験をした。
試験 エチレン酢酸ビニルコポリマーのエマルジョン(ポリゾールEVA AD−5:昭和高分子株式会社製品)3重量%と(1)、(3)、(7)、(8)のいずれか一方を各5重量%溶解した液に、綿の天竺(目付:150g/m)をパディングし、絞って乾燥する。絞り率は90%、乾燥は110℃に設定された乾燥炉で15分間行う。着用試験は、30歳台の男性3人と女性2人の計5人に肘から下5cmの腕に10cmの幅で一重に巻き、その上を粘着テープで固定した。平均気温28℃の室内で10分間経過後に着用感を聞いた。
結果 (1)、(3)の処理物は変色が無く、5人の被験者は共に心地良い冷感がえられ、実施例1記載の洗濯試験30回後も風合いが柔らかく、心地良い冷感と肌への潤滑性が得られた。(7)、(8)の処理物は、乾燥後には共に薄い暗赤色を呈して風合いは硬く、被験者5人全てが冷感を得られなかった。また、(1)、(3)の併用樹脂をポリゾールEVA AD−5からヨドゾールRA−85に置換すると、(1)、(3)を使用していても、冷感も肌への潤滑性も5人の被験者は得られなかった。
【0026】
【実施例5】実施例2記載の配合物を使って下記の試験をした。
試験 ポリエチレンテレフタレートのチップ(以下単に「チップ」と略記する)重量に対して、(1)、(3)、(5)、(6)の調製物を各5%ずつ配合し、ポリストロープ加熱式スクリューを有したエクストルダーでそれらを個々に280℃で溶融紡糸し、延伸後に繊度14デニール、繊維長70mmの短繊維とする。この短繊維をニードルパンチにかけて厚み1mm、目付100g/mの不織布を作り、28℃の室内で試験IIIの被験者の背中に貼って10分後に確認した。
結果 (1)、(3)使用の不織布は共に黒ずんでおり、5人の被験者はいずれの不織布にも冷感を感知しなかった。(5)、(6)使用の不織布は変色の無い柔らかな物で、5人の被験者全員が両不織布に冷感を感じたし、確認後も2時間貼ったままにしておいたが冷感喪失を来すことが無く肌はしっとりと潤っていたが、不織布への後加工品程には冷感が強く無かった。また、(5)、(6)使用の不織布を実施例1記載の洗濯試験を50回繰り返しても変色が無くて柔らかく、冷感機能と肌への潤滑付与機能とを有していた。
【0027】
【実施例6】水不溶性物質がテトラヘキシルデカン酸アスコビルを(イ)、アルコール類がα−ヒドロキシトルエンを(ロ)、植物油がローズマリーエキスを(ハ)、分散剤がポリオキシエチレンアリルエーテル(12E.O.)を(ニ)、モノオクチル・スルホコハク酸のCa塩を(ホ)、被覆剤が硬化ヒマシ油を(ヘ)、流動パラフィンを(ト)、無機担体を(チ)として、下記の物を調製して試験を行った。
(イ):(ロ):(ハ):(ニ):(ホ):(ヘ):(ト):(チ)
10: 0: 0: 60: 0: 7: 0: 10 ■ 10: 8: 0: 60: 0: 7: 0: 10 ■ 10: 0: 8: 60: 0: 7: 0: 10 ■ 10: 0: 0: 60: 0: 7: 7: 10 ■ 10: 0: 0: 0: 0: 7: 7: 10 ■ 0: 0: 10: 0: 80: 7: 0: 10 ■ 0: 8: 10: 0: 80: 7: 0: 10 ■ 0: 0: 10: 0: 80: 7: 7: 10 ■ 0: 10: 0: 0: 0: 7: 0: 10 ■ 0: 10: 0: 0: 0: 7: 7: 10 ▲10▼試験■〜▲10▼の各3gとヨドゾールA4100(日本エヌエスシー株式会社製品:アクリルエマルジョン)3gとを水94gに分散させ、ナイロン製ソックス(1足当たり8g)をパディングにて処理し、絞り率100%で絞り、80℃で7分間乾燥して着用試験に供した。なお、被験者は実施例1と同様であり、処理品と無処理品とを交互に片足ずつ履いた。
結果着用して3分後の確認では、5人の被験者はいずれもが■、■、■、▲10▼の処理品に対して、汗ばむ温かさを感じたが他の処理物には温かさを感じず、■、■、■の処理品では逆に冷感を得た。また、■、■、■、▲10▼の処理品を着用した側では、足の裏や脹脛の部分がすべすべとした潤滑性を呈していた。実施例1の洗濯試験を30回繰り返しても効能低下を来すことがく、■の処理品は芳香を呈していた。
【0028】
【実施例7】試験実施例6記載の配合物■、■、■ を市販のボディーローションに3重量%配合し、実施例1の被験者5人の背中に塗布した後、下着を着用して5後に確認した。
結果■の配合品では冷感も温感も無く、■の配合品では冷感を得たが、■の配合物では温感を得た。また、■の温感は温水で絞ったタオルで拭き取る迄の6時間持続し、配合品を塗布した側の肌はしっとりと潤うと共に芳香を呈していた。
【0029】
【実施例8】試験実施例5記載のポリエステル不織布を製造するに際し、実施例6記載の配合物■、■のみをチップ重量に対して各々5%添加した。50歳台の男女各5人の背中に10cm角の不織布を貼り、下着を着用して10分後に確認した。なお、■、■の添加された不織布は検体とし、無添加の不織布は対象検体とすした。
結果■が添加された不織布は褐色に変色しており、全ての被験者は何も感じなかった。■が添加された不織布には変色が見られず、被験者全員が温かさを感じた。5時間後に不織布を剥がしたが、剥がすまでの5時間は温かさが持続しており、肌は艷やかに潤っていた。実施例1記載の洗濯試験に30回供しても、■の不織布は処理上がりの効能を保持していた。また、遊離残留塩素が0.5mg/Lである汲みたての水道水50ccに塩素呈色剤(残留塩素測定液:株式会社アサコ製品)を0.1cc添加すると黄色に呈色す。この黄色に呈色した液に薬剤無添加の不織布と■、■が添加された不織布とを個々に入れてテトラヘキシルデカン酸アスコビルの残存確認をした。テトラヘキシルデカン酸アスコビルが残存していれば、黄色に呈色した液が無色なるからである。■が添加された不織布は洗濯30回後の物でも、不織布の浸漬と同時に黄色が退色して5秒後には無色となったが、無添加と■添加の不織布は共に変化が無く、液は黄色に呈色したままであった。
【0030】
【発明の効果】本発明の温感潤滑剤は繊維に後加工で柔軟性に富んだ冷感や温感を付与出来るのみならず、肌に潤滑性をも付与出来ると共に、化粧品に添加して温感や冷感の付与と肌への潤滑性を付与出来ることである。また、本加工剤は耐熱性の向上を図り得るので、熱可塑性樹脂への添加が不可能と思われていた物質の用途を拡大するものである。
【出願人】 【識別番号】000146331
【氏名又は名称】株式会社祥光化学研究所
【出願日】 平成13年12月17日(2001.12.17)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−183115(P2003−183115A)
【公開日】 平成15年7月3日(2003.7.3)
【出願番号】 特願2001−402832(P2001−402832)