トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 抗炎症剤および組成物
【発明者】 【氏名】鹿島 稔

【氏名】阿部 高樹

【氏名】加藤 博史

【要約】 【課題】バラ科植物の花びら抽出物からなる抗炎症剤を提供することにある。バラ科植物の花びら抽出物と賦形剤とからなる抗炎症剤組成物を提供することにある。

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】バラ科植物の花びらを極性溶媒で抽出してなる抽出物を有効成分とする抗炎症剤。
【請求項2】請求項1記載のバラ科植物の花びら抽出物の水溶液を凍結乾燥してなる抗炎症剤。
【請求項3】バラ科植物がバラである請求項1または2に記載の抗炎症剤。
【請求項4】請求項1〜3のいずれか1項に記載のバラ科植物の花びら抽出物と、さらに賦形剤とからなることを特徴とするバラ花びら抽出物を含有する組成物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バラ科植物の花びらから抽出してなる抗炎症剤に関する。さらに前記抽出物と賦形剤とからなる抗炎症剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の花粉症のようなアレルギー性疾患の羅患率の増大に伴って、アレルギー性疾患に有効な抗炎症用組成物の研究が行われている。特開平11−318387号公報には、抗炎症効果に優れ、安全性が高く、しかも食品の風味を損なうことがないバラ科の果実等の植物抽出物を抗炎症用食品に応用する技術が開示されている。また、抗アレルギー性活性を有する化合物は種々知られており、代表的なものとしては、ジソジウムクロモグリケート、ヨモギ抽出物に含まれるカフェー酸等を挙げることができる。さらに、特開平10−72358号公報には、バラ科植物の抽出物を抗アレルギー性剤として利用する技術が開示されている。特開平11−180879号公報には、バラ科植物エキスの用途が開示されている。即ち、敏感肌の治療や美容について、バラ科の植物のエキスをサブスタンスPアンタゴニストの活性成分として有効量含有させる化粧品または製薬組成物が開示されている。ところが、バラ科植物の花びらの抗炎症効果についてはこれまでに全く知られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的は、バラ科植物の花びら抽出物からなる抗炎症剤を提供することにある。さらに、本発明の第2の目的は、バラ科植物の花びら抽出物と賦形剤とからなる抗炎症剤組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討した結果、バラ科植物の花びらを原料として抽出した成分に抗炎症効果があることの知見を得て、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は次に示す[1]〜[4]である。
[1]バラ科植物の花びらを極性溶媒で抽出してなる抽出物を有効成分とする抗炎症剤。
[2]前記[1]記載のバラ科植物の花びら抽出物の水溶液を凍結乾燥してなる抗炎症剤。
[3]バラ科植物がバラである前記[1]または[2]に記載の抗炎症剤。
[4]前記[1]〜[3]のいずれかに記載のバラ科植物の花びら抽出物と、さらに賦形剤とからなることを特徴とするバラ花びら抽出物を含有する組成物。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の抗炎症剤は、バラ科植物の花びらを原料として、抽出した成分を含有することを特徴とする。本発明に使用するバラ科植物としては、種類や原産国には特に限定されず、バラ科バラ族に属する植物であればよいが、バラ(Rosa spp)が好ましく、具体的には、ロサ・ガリカ(Rosa gallica)、ロサ・モスカタ(Rosa moschata)、ロサ・フォエティダ(Rosa foetida)、ロサ・ギガンテア(Rosa gigantea)、ノイバラ(Rosamultiflora)、テリハノイバラ(Rosa wichuraiana)等の野生種、またはこれらを交配して得られた園芸種の花びらを用いることが好ましい。
【0006】本発明に用いるバラ科植物の抽出物の抽出には、水または水とメタノールもしくはアセトン等の極性溶媒との混合溶媒が用いられ、抽出温度は室温から溶媒の沸点までの温度から適宜選択されるが、50〜70℃程度の熱水を用いることがより好ましい。本発明に用いるバラ科植物より抽出物を得る方法は、具体的には、例えば、以下のように製造される。洗浄後、乾燥した前記のバラ科植物の花びらの原料を熱水と混合して破砕し、そのまま浸漬および圧搾、または加熱還流しながら抽出し、次いで減圧濃縮等により水を留去した後、遠心分離および濾過を行い、抽出液を得る。
【0007】この抽出液は、適宜に濃縮して液体抽出物としてもよく、また、濃縮乾固して固体抽出物としてもよい。さらには、デキストリン等の賦形剤を添加し、噴霧乾燥または凍結乾燥を行うことにより、粉末の組成物としてもよい。前記の抽出物は、凍結乾燥することにより固形化、粉末化することが好ましいが、特に、固体化、粉末化することにより経時的な安定性が得られる。また、さらに賦形剤を添加して粉末化することが望ましいが、これらの賦形剤としては、乳糖、マルトオリゴ糖、デキストリン等が挙げられる。これらの賦形剤は、凍結乾燥した固形化物、粉末化物と配合してもよいし、前記のようにして得た濃縮液に配合して粉末化してもよい。前記賦形剤の配合量は、例えば、前記濃縮液として得られるものに対して、10〜70重量%添加するのが好ましい。粉末化は、凍結乾燥、噴霧乾燥等、任意の方法を採用することができるが、このうち、凍結乾燥が好ましく、この場合、前記濃縮液あるいは賦形剤を添加した濃縮液を凍結乾燥した後、粉砕用ブレンダーを使用して粉末化するのが好ましい。凍結乾燥の温度は、−3〜−40℃、特に−10〜−30℃前後が好ましい。
【0008】本発明のバラ科植物の花びら抽出物を抗炎症剤として使用する形態は、特に制限がなく、例えば、打錠品、ソフトカプセル、飲料等とすることができる。打錠品としては、例えば、健康食品、打錠菓子等を挙げることができる。ソフトカプセルとしては、例えば、健康食品等を挙げることができる。飲料としては、例えば、スポーツ飲料、果汁飲料、乳酸飲料、アルコール飲料、豆乳等を挙げることができる。また、パン、ビスケット、キャンディー、ゼリー等のパン、菓子類;ヨーグルト、ハム等の乳肉加工食品;マーガリン、ショートニング等の油脂加工食品等の食品の形態とすることもできる。
【0009】
【発明の効果】本発明の抗炎症剤は、バラ科植物の花びらの極性溶媒よる抽出物であって、炎症を抑えることができる。前記バラ科植物の花びら抽出物は、健康食品等の用途に展開できる。
【0010】
【実施例】以下に、具体例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
<抗炎症効果の評価方法>本発明では、バラ科植物の花びら抽出物の抗炎症剤としての評価をホスホリパーゼA2活性の阻害効果を測定することによって行った。
<試薬>次に、試薬類について示す。
1.トリス−HCl緩衝液(pH8.0)
2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール[トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン]を0.01Mおよび塩化カルシウムを0.05Mとなるように精製水に溶解し、塩酸でpHを8.0に調整する。
2.PC溶液ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル(R&H社、商品名;トリトンX−100)を2%(w/v)となるようにトリス−HCl緩衝液に溶解する。純度98%以上のホスファチジルコリン50mgを、前記トリトンX−100溶液10mLに溶解する。
3.酵素溶液ホスホリパーゼA2[旭化成(株)製、0.28IU/mg]35.714mgをトリスHCl緩衝液10mLに溶解する。なお、酵素の純度が異なる場合には溶解量を調整し、1IU/mLとなるようにする。
4.反応停止液EDTA・2Na(エチレンジアミン−N,N,N’,N’−四酢酸−2Na・2H2O)の0.1M水溶液である。
5.試験溶液活性阻害を測定したい物質を、水溶性ならトリス−HCl緩衝液に、油溶性なら緩衝液で調製したトリトンX−100溶液に溶解する(今回のバラの花びらエキス末および紫玄米エキス末は、トリス−HCl緩衝液に0.4〜8%(w/v)で溶解する)。
6.クロロホルム−メタノール混液クロロホルムとメタノールを2/1(v/v)で混合した溶液である。
【0011】次に、ホスホリパーゼA2活性阻害効果の測定操作法について記す。
<測定操作法>10mL容ネジ口試験管に、試験溶液1mLと酵素溶液0.4mLを採取して混和した後、37℃に調温したウォーターバスで振盪しながら5分間予備加温する。また、ブランクとして試験溶液の代わりにトリス−HCl緩衝液を1mLを用いた試験も平行して行う。5分経過後、前記PC溶液0.6mLを加えて混和し、37℃のウォーターバスで振盪しながら15分間反応する。15分経過後、反応停止液1.5mLを加えて混和し、反応を停止する。水3mLおよびクロロホルム−メタノール混液を6mL加えて激しく振盪し、3000rpmで10分間遠心分離する。遠心分離後、下層(クロロホルム層)を減圧乾固する。上層と、界面の不溶物を廃棄し残った下層を遠心エバポレーターで濃縮する方法でよい。濃縮物に0.2mLのクロロホルムを加えて溶解し、正確に1mLをスポットして薄層クロマトグラフィー(TLC)に供する。TLCプレートは通常のシリカゲルとし、展開溶媒は石油エーテル/ジエチルエーテル/酢酸=80/20/1(容量比)を用いる。展開終了後、50%(v/v)硫酸を噴霧し、105℃恒温槽で加熱発色する。ブランクの遊離脂肪酸スポット強度を100とし、試験溶液を添加した系の遊離脂肪酸スポット強度のブランクに対する百分率を反応率(%)とする。これを100から差し引いたものを反応阻害率(%)とする。
【0012】実施例1洗浄後、バラの花びらを乾燥して得たバラ原料100gをミル等で細かく粉砕し、フラスコに入れ熱水1000mLを添加して、70℃の温度で撹拌しながら30分間抽出処理する。次いで、抽出処理物をガラスフィルターで濾過し、固形物を取り除き、濾液を減圧濃縮によって、18.2gのバラの花びらの抽出濃縮エキスを得た。前記抽出濃縮エキスにデキストリンを添加して得たバラの花びらエキス末[抽出濃縮エキス/デキストリン=1/1(重量比)]を0.04gはかりとり、0.01Mトリス塩酸緩衝液(pH8.0)10mLに溶解し、0.4%溶液とした。この溶液1mLと酵素溶液(ホスホリパーゼA2をトリス塩酸緩衝液に溶解し、1IUとしたもの)0.6mLを、ネジ口試験管中で混和した後、37℃で5分間予備加温した。次いで、高純度ホスファチジルコリンをトリトンX−100溶液に溶解した溶液0.6mLを加えて混和し、37℃で15分間反応させた。その後、反応停止液として0.1MのEDTA溶液を1.5mL添加して反応を停止させた。これを試験溶液と称する。試験溶液から、クロロホルムで脂質を抽出し、展開溶媒[石油エーテル/ジエチルエーテル/酢酸=80/20/1(容量比)]で薄層クロマトグラフィーに供した。展開後は50%硫酸による加熱発色による分析を行った。
【0013】実施例2〜4表1のように、バラの花びらエキス末の濃度を0.8%、4%、8%とし、それぞれ実施例1と同様の操作を行った。結果をあわせて表1に示す。
【0014】
【表1】

【0015】比較例1〜4表1のように、バラの花びらエキス末に代えて、紫玄米エキス末を使用した以外は実施例1と同様の操作を行った。結果をあわせて表1に示す。
【0016】以上、表1より、バラの花びらエキス末を用いた実施例1〜4では、バラの花びらエキス末の濃度が、0.4%、0.8%、4%、8%の順に、反応阻害率が、11.2%、33.5%、59.6%、83.1%となった。反応阻害率は、バラの花びらエキス末の濃度に依存した。これに対し、紫玄米エキス末を用いた比較例1〜4では、有意な反応阻害効果は示さなかった。このようにバラ花びら抽出物は抗炎症効果があることがわかる。
【0017】実施例5 (錠剤の作製)
バラの花びらエキス末2g、乾燥コーンスターチ[日本食品化工(株)]96g(96重量%)、タルク[和光純薬工業(株)]1.8g(1.8重量%)およびステアリン酸カルシウム[日本油脂(株)]2g(0.2重量%)を混合し、ロッキングミキサーで10分間混和したのち、打錠機を用いて、1錠0.52gの錠剤を作製した。
【0018】以上のことから、抗炎症作用を有するバラの花びらエキスを錠剤として摂取しやすい形状とすることができる。
【出願人】 【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日本油脂株式会社
【出願日】 平成13年12月10日(2001.12.10)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−171302(P2003−171302A)
【公開日】 平成15年6月20日(2003.6.20)
【出願番号】 特願2001−376330(P2001−376330)