| 【発明の名称】 |
歯科用材料 |
| 【発明者】 |
【氏名】佐野 裕子
|
| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】加工温度が250℃以上の非晶性ナイロンからなることを特徴とする歯科用材料。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は義歯床、人工歯、裏装材、補修材又はスプリントなどに使用される歯科用材料に関する。 【0002】 【従来の技術】歯科用材料例えば義歯用の材料は生体安全性、成形加工性に優れ、機械的強度、耐熱性が高く、適度な透明性を有し着色した際に審美性に優れた色調が得られることが求められる。歯科においては長年PMMAポリマーとMMAモノマーを重合成形するアクリル系材料が使用されている。この種の材料は審美性に優れているものの、粉状ポリマーと液状モノマーを混合して餅状になったものを型内に充填し加熱することにより重合と成形を同時に行って義歯床や人工歯などを製作するものである。したがって、成形品にはモノマーおよび重合促進剤が残留してしまい、これが口腔内に溶出する虞れがあり、生体安全性が低く、また機械的強度及び成形加工性も十分ではないという問題がある。これを解決するために重合、後処理済みの熱可塑性樹脂を用い、例えばペレット状にしたものを歯科用射出成形機により射出成形したり、あるいはU字形プレート状にしたものを歯科用圧縮成形機によりプレス成形することが実施化されている。これは重合、後処理済みの樹脂を義歯用材料とするため、モノマー、重合促進剤が口腔内で溶出する心配がなく生体安全性に優れているとともに機械的強度、成形加工性もアクリル系材料に比べ有利であるという利点を有している。そして熱可塑性樹脂の中でも成形加工性、機械的強度、耐熱性及び審美性からみて総合的に有利なポリカーボネートの使用が主流になっている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】このように生体安全性、成形加工性、機械的強度、耐熱性及び審美性からみて総合的に有利なポリカーボネートが義歯用などの歯科用材料として長年定着している。しかしながら、近年ポリカーボネートに関係するビスフェノールAの影響も考慮することが求められる傾向にある。そこで発明者は生体安全性、成形加工性、機械的強度、審美性の他にビスフェノールAの影響を考慮しても総合的に優れた歯科用材料を得るとともに、臨床的に長年の信頼性を得ているポリカーボネートに比較的近い性質を有することにより、歯科医師や歯科技工士が歯科材料の変更を臨床的に行い易くすることが大切であるという考えから、ビスフェノールAの影響が無い熱可塑性樹脂の中で、非晶性であり、かつガラス転移温度がポリカーボネートと極端に相違しない樹脂が望ましいという結論に達し、これに基づき鋭意研究した結果本発明を提供するものである。 【0004】本発明は、総合的に優れた歯科用材料を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】前記課題を解決するための本発明の歯科用材料は、加工温度が250℃以上の非晶性ナイロンからなるものである。 【0006】 【作用】上記構成により、ポリカーボネートと比較的近い性質を有することにより臨床的に材料変更を行い易く、しかもビスフェノールAによる影響の心配が無いものが得られる。 【0007】非晶性ナイロンとはポリアミド樹脂の中で一般的な結晶性ナイロンとは異なり、側鎖や環構造をもつモノマー成分を用いて結晶化を阻害するような構造を有する特殊ナイロンであり、所謂透明ナイロンである。これは例えば芳香族ジカルボン酸などのジカルボン酸、脂肪族ジアミンなどのジアミンなどを原料とする。非晶性ナイロンは有機系または無機系の強化材を複合化したり、あるいはポリエステルなどを用いてポリマーアロイ化したものや、エラストマー化したポリマーなどでもよい。また臨床的に材料変更し易いとはポリカーボネート用として使用している歯科用成形機を用いて義歯を成形できるということである。また加工温度とは歯科用射出成形機におけるシリンダー設定温度であり、歯科用圧縮成形機における樹脂軟化手段の設定温度をいう。非晶性ナイロンとしては下記分子構造を主構造とするコポリマーが望ましい。 【0008】 【化1】
【0009】具体的には例えば下記分子構造を有するコポリマーである第1の非晶性ナイロンが好ましい。 【0010】 【化2】
【0011】あるいは下記分子構造を有するコポリマーである第2の非晶性ナイロンが好ましい。 【0012】 【化3】
【0013】 【実施例】実施例として第1の非晶性ナイロンに染料を加えて均一に混合し、シリンダー温度280℃で押出機にてペレット状に成形して試料No.1を得た。第2の非晶性ナイロンに染料を加えて均一に混合し、シリンダー温度280℃で押出機にてペレット状に成形して試料No.2を得た。第1の非晶性ナイロンにガラス繊維5重量%と染料を加えて均一に混合し、シリンダー温度280℃で押出機にてペレット状に成形して試料No.3を得た。比較例としてポリカーボネートに染料を加えて均一に混合し、シリンダー温度280℃で押出機にてペレット状に成形して試料No.4を得た。ポリカーボネートにガラス繊維5重量%と染料を加えて均一に混合し、シリンダー温度280℃で押出機にてペレット状に成形して試料No.5を得た。さらに比較例としてポリアミド樹脂の中で加工性、寸法安定性に優れているナイロン11を用い、これにガラス繊維5重量%と染料を加えて均一に混合し、シリンダー温度200℃で押出機にてペレット状に成形して試料No.6を得た。前記試料1〜6をそれぞれ射出成形機にて成形して試験片及び人工歯を得、歯科用射出成形機(東伸洋行株式会社製ミニレ23GS)を用いて義歯床を得た。また試験片を用いて日本工業規格(JISK7113,JISK7203,JISK7110,JISK7202,JISK7112)に従い測定した機械的性質、義歯及び人工歯の成形性、審美性の結果を表1に示す。 【0014】 【表1】
【0015】表1に示すように、試料1〜3で示す非晶性ナイロンは試料4,5で示すポリカーボネートと機械的性質においてほぼ同等であり、成形条件も比較的類似しているとともに、生体安全性、成形加工性、審美性に優れ、かつビスフェノールAの影響も無いため総合的に優れた歯科用材料が得られる。また臨床的に長年の信頼性を得ているポリカーボネートに比較的近い性質を有しているため、ポリカーボネートを長年使用していた歯科医師や歯科技工士がこの材料に安心して移行しやすく、実用的である。試料6は審美性が悪いとともにガラス転移温度が低すぎるため実用化は無理であった。本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能であり、例えば非晶性ナイロンの種類あるいは強化材を用いる場合はその種類や含有量、またポリマーアロイ樹脂などは適宜選定すればよい。また可塑剤の有無、あるいは可塑剤を含有する場合はその含有量などは適宜選定すればよい。非晶性ナイロンの種類を選択する場合は、歯科用材料が次の条件を満足するものであることが望ましい。それは表1の規格において引張強度60MPa以上、曲げ強度90MPa以上、ガラス転移温度125℃〜200℃、加工温度250℃以上である。また歯科用材料の形態はペレット、U状プレート等適宜選定すればよい。また上記実施例では義歯床用を主に例示したが人工歯用材料またはスプリントなどにも有効である。またスプリントとは、バイトプレーン、バイトガード、テンプレート、パワープレート、マウスガード、ポジショナーなどと称されるものをいう。 【0016】 【発明の効果】本発明は総合的に優れた歯科用材料を提供できる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】596036898 【氏名又は名称】財団法人歯友会
|
| 【出願日】 |
平成13年11月7日(2001.11.7) |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開2003−146823(P2003−146823A) |
| 【公開日】 |
平成15年5月21日(2003.5.21) |
| 【出願番号】 |
特願2001−380726(P2001−380726) |
|