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【発明の名称】 高濃度塩酸ニカルジピン含有製剤
【発明者】 【氏名】野上 俊宏

【氏名】松木 紀友

【氏名】杉本 謙一

【要約】 【課題】

【解決手段】塩酸ニカルジピンが2mg/mL以上の濃度で酸性緩衝剤溶液に溶解され、pHが3.0〜4.5の範囲にある液剤を、容器に充填した塩酸ニカルジピン含有製剤であって、容器の空間部分の酸素濃度が3%以下である塩酸ニカルジピン含有製剤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 塩酸ニカルジピンが2mg/mL以上の濃度で酸性緩衝剤溶液に溶解され、pHが3.0〜4.5の範囲にある液剤を、容器に充填した塩酸ニカルジピン含有製剤であって、容器の空間部分の酸素濃度が3%以下である塩酸ニカルジピン含有製剤。
【請求項2】 酸性緩衝剤を構成する酸成分が、酒石酸、クエン酸及び酢酸からなる群より選ばれた1種又は2種以上である請求項1記載の塩酸ニカルジピン含有製剤。
【請求項3】 酸性緩衝剤を構成する酸成分の濃度が、酒石酸の場合1〜4mmol/L、クエン酸の場合0.4〜29mmol/L、酢酸の場合5〜10mmol/Lである請求項2記載の塩酸ニカルジピン含有製剤。
【請求項4】 容器が、ガラス製アンプル、ガラス製バイアル又はキットガラス製容器である請求項1〜3のいずれか1項記載の塩酸ニカルジピン含有製剤。
【請求項5】 塩酸ニカルジピンが1容器当たり25〜100mg含まれている点滴静注用注射剤である請求項1〜4のいずれか1項記載の塩酸ニカルジピン含有製剤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩酸ニカルジピンの濃度を高め、安全性が高くかつ安定性に優れた塩酸ニカルジピン含有製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】塩酸ニカルジピンは、カルシウム拮抗作用により脳血管拡張、冠血管拡張及び血圧降下作用を有することが見出され、昭和56年に錠剤及び散剤が発売されて以来、有用医薬品として、各適応症に対しての臨床現場で第一選択されている薬剤である。また、平成元年には、手術時の異常高血圧の緊急処置及び高血圧性緊急症を適用として注射剤が発売されている。
【0003】これまで注射剤の製造技術として、安定化、溶解補助及び等張化の目的で、ソルビトールやマンニトール等の多価アルコールを2〜7w/v%含有させることが知られており(特公平2-47964号)、実際の製剤においては、5w/v%のD−ソルビトールが配合されたものが市販されている。しかし、このソルビトール量は主薬の塩酸ニカルジピンの50倍の量となり、極めて有機系の添加剤が多い製剤であった。塩酸ニカルジピンは弱酸性乃至中性における水に対する溶解度が低いため、通常の等張化剤である塩化ナトリウムを用いて等張化を行った場合、薬液中の塩酸ニカルジピンの溶解度が更に低下し、所定濃度の注射剤を得ることができなかったり、塩酸ニカルジピンが析出することがあることから、溶解補助剤として極めて大量の有機系の添加剤を必要とした。
【0004】しかしながら、D−ソルビトールは、尿崩症患者や肝及び腎に障害のある患者への投与は慎重に行うことが必要とされており、また、急速かつ大量の注射で電解質の喪失を起こす可能性のある薬物である。さらに、D−ソルビトールは、その浸透圧性脱水作用から、腸管壁やその他の組織及び浮腫組織等からの脱水があり、低張性脱水症及び遺伝性果糖不耐症には禁忌とされ、その使用はかなり制限されている。直接血管内に投与される注射剤におけるD−ソルビトールの使用は、特に塩酸ニカルジピン注射剤が使用される緊急医療の場では、充分注意が必要であることはいうまでもない。
【0005】このような現状を踏まえ、D−ソルビトールを用いることなく、医療上の安全性を高めた塩酸ニカルジピン含有液剤について、本発明者等は鋭意研究を重ねた結果、酸性緩衝液に塩酸ニカルジピンを溶解し、特定の処理後における薬液中の溶存酸素を一定濃度以下にすることにより、通常の等張化剤で等張化を行った液剤の安定化においても図れることを見出し、先に特許出願した(特開2000-72673号)。
【0006】塩酸ニカルジピンの注射剤は、ほとんどの場合輸液に配合され、点滴静注により投与されるが、塩酸ニカルジピン注射剤自体の濃度が1mg/1mLと希薄なため、多量の薬液を配合しなければならない。このため、既存の製剤である2mg/2mL及び10mg/10mLの製剤に加え、25mg/25mLの製剤が、平成11年7月に追加発売された。しかし、この製剤はアンプル容器を用いた注射剤としては、最大クラスのものであり、アンプルの強度を保つために、肉厚の生地管を用いて成型されており、医療現場での調製においてアンプルカットを行う際、医療従事者への危険性の問題があった。
【0007】従来の製剤技術では、塩酸ニカルジピン濃度として1mg/mLを上限とした製剤でしか安定化を図ることができず、それ以上の濃度の液剤を製造することはできなかった。このため、緊急の操作を要求される救急医療の現場における使用実態は、10mg/10mL規格の注射剤を2〜12アンプル、25mg/25mL規格の注射剤の場合は1〜5アンプルを、同時にアンプルをカット開封し、10〜30mL容量程度のシリンジで、1〜12回程度吸い上げ、12〜120mLのかなり多い量の薬液を輸液ボトルやバッグ等に投薬する操作を必要とし、点滴静注用薬剤の調製に非常に労力と時間を必要とするものであり、また、無菌製剤の微生物汚染の確率が非常に高いものであった。
【0008】このように、塩酸ニカルジピン注射剤は、その適応症の用法特性上、医療の現場において緊急時に使用されるものであることから、煩雑な操作を極力なくし、簡便に調製できる注射剤であることが望まれるが、注射剤として希薄な薬液濃度(1mg/mL)の製剤の安定性しか確立できなかったことから、多量の注射液を輸液に混注する必要があり、投与前の無菌操作を含む調製作業に非常に時間と労力を要し、取り扱いの有用性の面でも改善すべき問題点が多かった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的は、塩酸ニカルジピンの薬液濃度を高めても安定性が良好で、緊急医療の現場における操作を簡便にすることができる製剤を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】かかる実情において、本発明者らは更に研究を重ねた結果、酸性緩衝液に塩酸ニカルジピンを溶解し、容器の空間部分の酸素を一定濃度以下にすれば、塩酸ニカルジピン濃度を高めた場合においても、塩酸ニカルジピンの晶出、分解物の生成が抑制され、またpHも維持した極めて安定な塩酸ニカルジピン製剤が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0011】すなわち、本発明は、塩酸ニカルジピンが2mg/mL以上の濃度で酸性緩衝剤溶液に溶解され、pHが3.0〜4.5の範囲にある液剤を、容器に充填した塩酸ニカルジピン含有製剤であって、容器の空間部分の酸素濃度が3%以下である塩酸ニカルジピン含有製剤を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明において、酸性緩衝剤とは、医薬品添加物辞典に記載の医薬品添加物として認められた範囲の緩衝能をもつ酸性緩衝剤成分をいう。酸性緩衝剤を構成する成分としては、クエン酸、酒石酸、酢酸、これらのアルカリ金属塩等が挙げられる。酸性緩衝剤溶液の酸を基準とした濃度は、それぞれ酒石酸の場合1〜4mmol/L、クエン酸の場合0.4〜29mmol/L、酢酸の場合5〜10mmol/Lの濃度であるのが、塩酸ニカルジピンの安定性の点で好ましい。
【0013】このような酸性緩衝剤溶液には、塩酸ニカルジピンを2mg/mL以上、好ましくは2〜4mg/mLの濃度で溶解する。また、溶液のpHは3.0〜4.5の範囲が医薬品としての許容範囲であり、調製時のpHは3.0〜3.8が好ましい。
【0014】本発明の製剤において、容器の空間部分の酸素濃度は3%以下、好ましくは1%以下である。この酸素濃度が3%を超えると、高濃度の塩酸ニカルジピン含有液剤を安定化することができない。
【0015】製剤容器中の酸素除去するための方法としては、液剤中の溶存酸素を減少又は除去する手段として、例えば液剤中に窒素ガスを吹き込み溶存酸素を追い出す方法、ピロ亜硫酸ナトリウムや亜硫酸水素ナトリウム等により酸素を直接除去する方法などが挙げられ、また、容器の空間部分の酸素を減少又は除去する方法として、例えば充てん密封工程で、容器の窒素置換を行う方法などが挙げられる。これら液剤中の溶存酸素及び空間部分の酸素除去工程は、厳密に低酸素濃度の精製水を使用して、低酸素濃度又は無酸素のガス雰囲気中で製剤を行うことによって上記した一定濃度以下の酸素量を保つことができるのであれば、特別の工程として組み込む必要はない。
【0016】液剤を充填する容器としては、通常注射剤に用いられるガラス製容器、例えば褐色アンプルや褐色バイアルを用いることができる。アンプルは、熔閉して注射剤としての密封性を担保するものとし、バイアルはゴム栓を打栓し、装栓することにより密封性を担保する。さらには、直接輸液に投入することが可能なキット、例えばモノバイアル(登録商標:日本ベクトンディッキンソン社製)を用いることもでき、より迅速な医療行為が可能となる。
【0017】本発明の塩酸ニカルジピン含有製剤は、例えば、適切な種類の酸性緩衝剤成分を用い、適切な濃度によりpHを3.0〜4.5の範囲に調整し、塩酸ニカルジピンを高濃度に溶解して液剤を調製する工程、液剤中の溶存酸素を低減する工程、容器の空間部分の酸素を低減する工程を任意に組み合わせることによって製造することができる。
【0018】本発明の塩酸ニカルジピン含有製剤は、注射剤、特に点滴静注用注射剤として好適である。本発明の製剤は、塩酸ニカルジピンを高濃度で含有することができるため、1容器中に25〜100mgの塩酸ニカルジピンを含有する製剤とすることができる。また、本発明による技術は、塩酸ニカルジピンを0.1mg及び0.2mg/mL等の低濃度含有する製剤についても、塩酸ニカルジピンのアンプル壁への付着等を防止して、安定な製剤を製造することができる。
【0019】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は、これらの実施例に限られるものではない。
【0020】実施例1クエン酸5.0gを注射用水100mLに撹拌溶解する。この液を0.4mLとり注射用水160mLに加える。この液に塩酸ニカルジピンを0.8g加え撹拌溶解する。また別にクエン酸ナトリウム0.125gを注射用水に溶解して100mLとし、更にこの液を1mLとり、注射用水で50mLとした液を調製する。これを先の塩酸ニカルジピン水溶液に1mL添加し(pH3.7)、注射用水を加えて200mLとし、充分混和して均質な塩酸ニカルジピン含有液剤(pH3.74)を得る。この液に窒素ガスを吹き込み、溶存する酸素を窒素に置換し、0.22μmのメンブランフィルターでろ過し、このろ過液の10.5mLをアンプル内の空気を窒素に置換した褐色アンプルに充填し、その後、更にアンプル薬液上部の空間部分を窒素ガスに置換して密封する。これをさらに121℃で20分間加熱滅菌し、塩酸ニカルジピンの注射剤を製造した。容器の空間部分の酸素濃度は1.0%であった。
【0021】実施例2クエン酸5.0gを注射用水100mLに撹拌溶解する。この液を2mLとり注射用水160mLに加える。この液に塩酸ニカルジピンを0.8g加え撹拌溶解する。また別にクエン酸ナトリウム2.0gを注射用水に溶解して100mLとした液を調製し、これを先の塩酸ニカルジピン水溶液に1.8mL添加し(pH3.5)、注射用水を加え200mLとし、充分混和して均質なニカルジピン含有液剤(pH3.51)を得る。この液に窒素ガスを吹き込み、溶存する酸素を窒素に置換し、0.22μmのメンブランフィルターでろ過し、このろ過液の10.5mLをアンプル内の空気を窒素に置換した褐色アンプルに充填し、その後、更にアンプル薬液上部の空間部分を窒素ガスに置換して密封する。これをさらに121℃で20分間加熱滅菌し、塩酸ニカルジピンの注射剤を製造した。容器の空間部分の酸素濃度は1.0%であった。
【0022】実施例3クエン酸5.0gを注射用水100mLに撹拌溶解する。この液を4mLとり注射用水160mLに加える。この液に塩酸ニカルジピンを0.8g加え撹拌溶解する。また別にクエン酸ナトリウム2.0gを注射用水に溶解して100mLとした液を調製し、これを先の塩酸ニカルジピン水溶液に4.2mL添加し(pH3.5)、注射用水を加え200mLとし、充分混和して均質なニカルジピン含有液剤(pH3.49)を得る。この液に窒素ガスを吹き込み、溶存する酸素を窒素に置換し、0.22μmのメンブランフィルターでろ過し、このろ過液の10.5mLをアンプル内の空気を窒素に置換した褐色アンプルに充填し、その後、更にアンプル薬液上部の空間部分を窒素ガスに置換し密封する。このニカルジピン製剤をさらに121℃で20分間加熱滅菌し、塩酸ニカルジピンの注射剤を製造した。容器の空間部分の酸素濃度は1.0%であった。
【0023】実施例4クエン酸5.0gを注射用水100mLに撹拌溶解する。この液を8mLとり注射用水160mLに加える。この液に塩酸ニカルジピンを0.8g加え撹拌溶解する。また別にクエン酸ナトリウム2.0gを注射用水に溶解して100mLとした液を調製し、これを先の塩酸ニカルジピン水溶液に10.0mL添加し(pH3.6)、注射用水を加え200mLとし、充分混和し均質なニカルジピン含有液剤(pH3.56)を得る。この液に窒素ガスを吹き込み、溶存する酸素を窒素に置換し、0.22μmのメンブランフィルターでろ過し、このろ過液の10.5mLをアンプル内の空気を窒素に置換した褐色アンプルに充填し、その後、更にアンプル薬液上部の空間部分を窒素ガスに置換し密封する。このニカルジピン製剤をさらに121℃で20分間加熱滅菌し、塩酸ニカルジピンの注射剤を製造した。容器の空間部分の酸素濃度は1.0%であった。
【0024】実施例5酒石酸0.75gを注射用水100mLに撹拌溶解する。この液を4mLとり注射用水160mLに加える。この液に塩酸ニカルジピンを0.8g加え撹拌溶解する。別に、水酸化ナトリウム0.22gを注射用水に溶解して100mLとした液を調製し、これを先の塩酸ニカルジピン水溶液に 2.0mL添加し(pH3.6)、注射用水を加え200mLとし、充分混和し均質なニカルジピン含有液剤(pH3.66)を得る。この液に窒素ガスを吹き込み、溶存する酸素を窒素に置換し、0.22μmのメンブランフィルターでろ過し、このろ過液の10.5mLをアンプル内の空気を窒素に置換した褐色アンプルに充填し、その後、更にアンプル薬液上部の空間部分を窒素ガスに置換し密封する。このニカルジピン製剤をさらに121℃で20分間加熱滅菌し、塩酸ニカルジピンの注射剤を製造した。容器の空間部分の酸素濃度は1.0%であった。
【0025】実施例6酒石酸0.75gを注射用水100mLに撹拌溶解する。この液を4mLとり注射用水160mLに加える。この液に塩酸ニカルジピンを0.8g加え撹拌溶解する。別に、水酸化ナトリウム0.22gを注射用水に溶解して100mLとした液を調製し、これを先の塩酸ニカルジピン水溶液に2.0mL添加し(pH3.6)、注射用水を加え200mLとし、充分混和し均質なニカルジピン含有液剤(pH3.66)を得る。この液を0.22μmのメンブランフィルターでろ過し、このろ過液の10.5mLを褐色アンプルに充填し、その後、更にアンプル薬液上部の空間部分を窒素ガスに置換し密封する。このニカルジピン製剤をさらに121℃で20分間加熱滅菌し、塩酸ニカルジピンの注射剤を製造した。容器の空間部分の酸素濃度は1.5%であった。
【0026】実施例7酒石酸0.75gを注射用水100mLに撹拌溶解する。この液を4mLとり注射用水160mLに加える。この液に塩酸ニカルジピンを0.8g加え撹拌溶解する。別に、水酸化ナトリウム0.22gを注射用水に溶解して100mLとした液を調製し、これを先の塩酸ニカルジピン水溶液に2.0mL添加し(pH3.6)、注射用水を加え200mLとし、充分混和し均質なニカルジピン含有液剤(pH3.66)を得る。この液を、0.22μmのメンブランフィルターでろ過し、このろ過液の10.5mLをアンプル内の空気を窒素に置換した褐色アンプルに充填し、その後密封する。このニカルジピン製剤をさらに121℃で20分間加熱滅菌し、塩酸ニカルジピンの注射剤を製造した。容器の空間部分の酸素濃度は3.0%であった。
【0027】実施例8酒石酸0.75gを注射用水100mLに撹拌溶解する。この液を8mLとり注射用水160mLに加える。この液に塩酸ニカルジピンを0.8g加え撹拌溶解する。別に、水酸化ナトリウム0.22gを注射用水に溶解して100mLとした液を調製し、これを先の塩酸ニカルジピン水溶液に5.3mL添加し(pH3.6)、注射用水を加え200mLとし、充分混和し均質なニカルジピン含有液剤(pH3.62)を得る。この液に窒素ガスを吹き込み、溶存する酸素を窒素に置換し、0.22μmのメンブランフィルターでろ過し、このろ過液の10.5mLをアンプル内の空気を窒素に置換した褐色アンプルに充填し、その後、更にアンプル薬液上部の空間部分を窒素ガスに置換し密封する。このニカルジピン製剤をさらに121℃で20分間加熱滅菌し、塩酸ニカルジピンの注射剤を製造した。容器の空間部分の酸素濃度は1.0%であった。
【0028】実施例9酒石酸0.75gを注射用水100mLに撹拌溶解する。この液を12mLとり注射用水160mLに加える。この液に塩酸ニカルジピンを0.8g加え撹拌溶解する。別に、水酸化ナトリウム0.22gを注射用水に溶解して100mLとした液を調製し、これを先の塩酸ニカルジピン水溶液に8.0mL添加し(pH3.6)、注射用水を加え200mLとし、充分混和し均質なニカルジピン含有液剤(pH3.63)を得る。この液に窒素ガスを吹き込み、溶存する酸素を窒素に置換し、0.22μmのメンブランフィルターでろ過し、このろ過液の10.5mLをアンプル内の空気を窒素に置換した褐色アンプルに充填し、その後、更にアンプル薬液上部の空間部分を窒素ガスに置換し密封する。このニカルジピン製剤をさらに121℃で20分間加熱滅菌し、塩酸ニカルジピンの注射剤を製造した。容器の空間部分の酸素濃度は1.0%であった。
【0029】実施例10酒石酸0.75gを注射用水100mLに撹拌溶解する。この液を16mLとり注射用水160mLに加える。この液に塩酸ニカルジピンを0.8g加え撹拌溶解する。別に、水酸化ナトリウム0.22gを注射用水に溶解して100mLとした液を調製し、これを先の塩酸ニカルジピン水溶液に12.4mL添加し(pH3.6)、注射用水を加え200mLとし、充分混和し均質なニカルジピン含有液剤(pH3.64)を得る。この液に窒素ガスを吹き込み、溶存する酸素を窒素に置換し、0.22μmのメンブランフィルターでろ過し、このろ過液の10.5mLをアンプル内の空気を窒素に置換した褐色アンプルに充填し、その後、更にアンプル薬液上部の空間部分を窒素ガスに置換し密封する。このニカルジピン製剤をさらに121℃で20分間加熱滅菌し、塩酸ニカルジピンの注射剤を製造した。容器の空間部分の酸素濃度は1.0%であった。
【0030】実施例11酢酸1.5gを注射用水100mLに撹拌溶解する。この液を4mLとり注射用水160mLに加える。この液に塩酸ニカルジピンを0.8g加え撹拌溶解する。また別に酢酸ナトリウム0.2gを注射用水に溶解して100mLとした液を調製し、これを先の塩酸ニカルジピン水溶液に0.2mL添加し(pH3.8)、注射用水を加え200mLとし、充分混和し均質なニカルジピン含有液剤(pH3.83)を得る。この液に窒素ガスを吹き込み、溶存する酸素を窒素に置換し、0.22μmのメンブランフィルターでろ過し、このろ過液の10.5mLをアンプル内の空気を窒素に置換した褐色アンプルに充填し、その後、更にアンプル薬液上部の空間部分を窒素ガスに置換し密封する。このニカルジピン製剤をさらに121℃で20分間加熱滅菌し、塩酸ニカルジピンの注射剤を製造した。容器の空間部分の酸素濃度は1.0%であった。
【0031】実施例12酢酸1.5gを注射用水100mLに撹拌溶解する。この液を8mLとり注射用水160mLに加える。この液に塩酸ニカルジピンを0.8g加え撹拌溶解する。また別に酢酸ナトリウム0.2gを注射用水に溶解して100mLとした液を調製し、これを先の塩酸ニカルジピン水溶液に3.0mL添加し(pH3.6)、注射用水を加え200mLとし、充分混和し均質なニカルジピン含有液剤(pH3.59)を得る。この液に窒素ガスを吹き込み、溶存する酸素を窒素に置換し、0.22μmのメンブランフィルターでろ過し、このろ過液の10.5mLをアンプル内の空気を窒素に置換した褐色アンプルに充填し、その後、更にアンプル薬液上部の空間部分を窒素ガスに置換し密封する。このニカルジピン製剤をさらに121℃で20分間加熱滅菌し、塩酸ニカルジピンの注射剤を製造した。容器の空間部分の酸素濃度は1.0%であった。
【0032】実施例13クエン酸5.0gを注射用水100mLに撹拌溶解する。この液を16mLとり注射用水160mLに加える。この液に塩酸ニカルジピンを0.8g加え撹拌溶解する。また別にクエン酸ナトリウム2.0gを注射用水に溶解して100mLとした液を調製し、これを先の塩酸ニカルジピン水溶液に20.0mL添加し(pH3.5)、注射用水を加え200mLとし、充分混和し均質なニカルジピン含有液剤(pH3.52)を得る。この液に窒素ガスを吹き込み、溶存する酸素を窒素に置換し、0.22μmのメンブランフィルターでろ過し、このろ過液の10.5mLをアンプル内の空気を窒素に置換した褐色アンプルに充填し、その後、更にアンプル薬液上部の空間部分を窒素ガスに置換し密封する。このニカルジピン製剤をさらに121℃で20分間加熱滅菌し、塩酸ニカルジピンの注射剤を製造した。容器の空間部分の酸素濃度は1.0%であった。
【0033】実施例14クエン酸5.0gを注射用水100mLに撹拌溶解する。この液を24mLとり注射用水160mLに加える。この液に塩酸ニカルジピンを0.8g加え撹拌溶解する。また別にクエン酸ナトリウム2.0gを注射用水に溶解して100mLとした液を調製し、これを先の塩酸ニカルジピン水溶液に30.0mL添加し(pH3.5)、注射用水を加え200mLとし、充分混和し均質なニカルジピン含有液剤(pH3.49)を得る。この液に窒素ガスを吹き込み、溶存する酸素を窒素に置換し、0.22μmのメンブランフィルターでろ過し、このろ過液の10.5mLをアンプル内の空気を窒素に置換した褐色アンプルに充填し、その後、更にアンプル薬液上部の空間部分を窒素ガスに置換し密封する。このニカルジピン製剤をさらに121℃で20分間加熱滅菌し、塩酸ニカルジピンの注射剤を製造した。容器の空間部分の酸素濃度は1.0%であった。
【0034】比較例1酒石酸0.75gを注射用水100mLに撹拌溶解する。この液を4mLとり注射用水160mLに加える。この液に塩酸ニカルジピンを0.8g加え撹拌溶解する(pH3.7)。注射用水を加え200mLとし、充分混和し均質なニカルジピン含有液剤(pH3.66)を得る。この液を、0.22μmのメンブランフィルターでろ過し、このろ過液の10.5mLをアンプル内の空気を窒素に置換した褐色アンプルに充填し、その後密封する。このニカルジピン製剤をさらに121℃で20分間加熱滅菌し、塩酸ニカルジピンの注射剤を製造した。容器の空間部分の酸素濃度は20.0%であった。
【0035】比較例2塩酸ニカルジピンを10mg/10mL含有する市販の塩酸ニカルジピン製剤(pH3.54)を用いた。
【0036】実施例1〜14及び比較例1〜2で得られた塩酸ニカルジピン含有製剤を纏めると、表1のとおりである。
【0037】
【表1】

【0038】試験例1実施例1〜14及び比較例1〜2で得られた塩酸ニカルジピン含有製剤について、安定性を評価した。すなわち、100℃で115時間苛酷試験を行い、その前後の塩酸ニカルジピンの含量を高速液体クロマトグラフィーで測定し、開始時を100%とした残存率により比較した。また、pHの変動及び苛酷試験後の既知類縁物質(2−(N−ベンジル−N−メチルアミノ)エチル メチル−2,6−ジメチル−4−(3−ニトロフェニル)−ピリジン−3,5−ジカルボン酸塩酸塩)量を測定した。結果を表2に示した。
【0039】
【表2】

【0040】
【発明の効果】本発明の塩酸ニカルジピン製剤は、塩酸ニカルジピンを高濃度に含有するものであるが、安全性及び安定性に優れたものである。緊急医療の現場における、煩雑な調製操作を軽減することができ、医療行為の迅速性と正確性及び微生物汚染の危険性を回避できる。
【出願人】 【識別番号】592197599
【氏名又は名称】株式会社富士薬品
【出願日】 平成13年11月5日(2001.11.5)
【代理人】 【識別番号】100068700
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 三幸 (外6名)
【公開番号】 特開2003−137782(P2003−137782A)
【公開日】 平成15年5月14日(2003.5.14)
【出願番号】 特願2001−339543(P2001−339543)