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【発明の名称】 乳化化粧料
【発明者】 【氏名】伊藤 茂樹
【住所又は居所】大阪府八尾市渋川町2丁目1番3号 松本油脂製薬株式会社内

【氏名】伊藤 誠
【住所又は居所】大阪府八尾市渋川町2丁目1番3号 松本油脂製薬株式会社内

【要約】 【課題】滑りや、延び、感触に優れた安定な乳化系を容易に与える乳化化粧料を提供することを目的とする。

【解決手段】(a)炭素数18〜20の液状乳酸アルキルまたはアルケニルを含む油性成分3〜50重量%、(b)非イオン性界面活性剤0.1〜20重量%、(c)水酸基含有水溶性溶剤0.1〜20重量%、(d)精製水40〜97重量%を含む乳化化粧料とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】(a)炭素数18〜20の液状乳酸アルキルまたはアルケニルを含む油性成分3〜50重量%、(b)非イオン性界面活性剤0.1〜20重量%、(c)水酸基含有水溶性溶剤0.1〜20重量%、(d)精製水40〜97重量%を含む乳化化粧料。
【請求項2】請求項1記載の(a)成分が乳酸オレイルを含むことを特徴とする請求項1記載の乳化化粧料。
【請求項3】請求項1記載の(a)成分中に液状乳酸アルキルまたはアルケニルが10重量%以上含まれ、且つ乳化化粧料全体の1〜30重量%含まれることを特徴とする請求項1記載の乳化化粧料。
【請求項4】請求項1記載の(b)成分がポリオキシエチレン基含有非イオン性界面活性剤であることを特徴とする請求項1記載の乳化化粧料。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は乳液、クリーム、液体入浴料、乳化タイプのローション、ヘアクリームなど、乳化化粧料に関する。尚、液体入浴料はオイルリッチで透明な形態の製品もあるが、使用時にはお湯に乳化させて使用するものは本明細書中では乳化化粧料として扱う。
【0002】
【従来の技術】乳化化粧料とは油性成分と水とを界面活性剤などを用いて乳化状態を保持している。油性成分としてはパラフィン類、ワックス類、動植物油類、エステル油などが一般的に用いられる。界面活性剤を用いることによりこれを水へ乳化させるが、使用時に滑りや延びが悪かったり、べとつく感触が生じたりすることがある。これを改善するためにシリコーン類、例えばジメチルポリシロキサンなどが添加される。しかしながらシリコーン類は生分解性が悪い、比較的高価であるなど、欠点も指摘されている。シリコーン類は延びや滑りを向上させるのには有効であるが、しっとりさせる感触を出すことはできず、他の成分に依るところとなる。他の成分として、セラミド類、加水分解蛋白質、ヒアルロン酸塩、糖類、グリセリンやプロピレングリコール等の多価アルコールなどの保湿剤が用いられるが、多価アルコールではしっとり感が十分に得られず、糖類ではべたつき使用感が悪く、他は乳化系の安定性に富むものは少ない。特開平11−269026号公報によると、シリコーン類、乳酸セチルを含む2種の長鎖アルキル乳酸エステルからなるローション、ジェル、およびクリームが開示されている。シリコーン類には上記の欠点があり、乳酸セチルの如く固形の乳酸長鎖アルキルを用いては感触、使用感が劣る。該公報によると、シリコーンと乳酸エステルとからなる保護層を形成させることにより皮膚からの水分の蒸発速度が抑えられてしなやかになる旨が記されているが、使用時の滑り性は満たすものの、その後、即ち乾燥後の感触は満足されない。即ち、べたつきが生じる。これは固形の乳酸長鎖アルキルに起因するものと推測される。
【0003】シリコーン類を用いない例として、特開昭64−42415号公報では特定の脂肪酸残基を有するジグリセリドを含有する固形化粧料が、特開2001−39818号公報には特定の脂肪酸残基を有し且つ特定のトリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド比を有する化粧料が開示されているが、これらは滑り、延び、使用感に優れるものの、乳化化粧料に使用するには高濃度で添加すると晶出する事が多く、使用方法が難しい。また、特公昭59−51520号公報には特定の脂環式ジエステル化合物を含有する化粧料が開示されているが、該化合物を得るには分子蒸留を施すなどの必要があり、生産性に劣る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は上述のような先行技術における不都合点を解消し、滑りや、延び、感触に優れた安定な乳化系を容易に与える乳化化粧料を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、炭素数18〜20の液状乳酸アルキルまたはアルケニルを油性成分の1成分として用い、水酸基含有水溶性溶剤を助剤、非イオン性界面活性剤を乳化剤とすることにより目的とする物性を満たすことを見出し、本発明となった。ここでいう液状とは、25℃で流動性を有するものを指す。以下に本発明を詳細に説明する。本発明の乳化化粧料は、(a)炭素数18〜20の液状乳酸アルキルまたはアルケニルを含む油性成分3〜50重量%、(b)非イオン性界面活性剤0.1〜20重量%、(c)水酸基含有水溶性溶剤0.1〜20重量%、(d)精製水40〜97重量%を含む事を特徴とする。(a)成分中の液状乳酸アルキルまたはアルケニルとしては乳酸オレイルが好ましく、液状乳酸アルキルまたはアルケニルの含有率は(a)成分中に10重量%以上、且つ乳化化粧料全体の1〜30重量%であることが好ましい。
【0006】本発明の(a)成分中の炭素数18〜20の液状乳酸アルキルまたはアルケニルとしては、乳酸オレイル、乳酸イソステアリル、乳酸−2−オクチルドデシル(通常、「乳酸オクチルドデシル」と呼ばれる)が例示される。つまり、炭素数18〜20の範囲では分岐もしくは不飽和でなければ固体となってしまうため、本発明の趣旨から外れる。オレイルとは厳密には9位に二重結合を有しcis−構造のものを指すが、熱や光(紫外線)などによりtrans−構造へと変化することがあり、本発明ではここまで厳密な解釈をしない。即ち、trans−構造のものであっても構わない。また、イソステアリルに関して分岐位置、分岐の仕方については議論しない。これらに限定されるのではなく、炭素数18〜20の液状乳酸アルキルまたはアルケニルであればよい。炭素数18〜20の液状乳酸アルキルまたはアルケニルの中でも、乳酸オレイルが滑り性としっとり感を供する点で特に優れている。
【0007】特開平11−199448号公報によれば、毛髪表面に疎水性分子を残留させることにより感触的に柔軟性を賦与する記述があるが、この観点から推測すると、液状乳酸アルキルまたはアルケニルは皮膚表面と親和的であり、特に乳酸オレイルは親和性が強いと考察される。故に液体入浴料の如く皮膚に直接すり込まない化粧料でも、強い親和性のために皮膚に残留し、しっとり感が得られると考察される。尚、本明細書の乳酸アルキルまたはアルケニルには積極的な保湿力は期待できないと思われる。しかし、特開平11−269026号公報によると、油分は皮膚に効果的なバリアを形成し皮膚からの水分の消失を防ぐ旨の記述がある。これはどの油分についても同様の機構が考えられるが、本発明の場合、前述の如く本明細書の乳酸アルキルまたはアルケニルと皮膚との親和性がより強いために、しっとり感がより強調されて得られるものと考察される。
【0008】(a)成分中の他の油性成分としては流動パラフィン等のパラフィン類、ワセリンなどのワックス類、ホホバ油やスクワラン等の動植物油類、パルミチン酸イソプロピルやパルミチン酸セチル等のエステル油、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル等のグリセリドなど、一般に化粧品用途で使用される油性成分が挙げられる。これらの油性成分は必ずしも加えられる必要はないが、1種以上加えられても良い。
【0009】(a)成分中に炭素数18〜20の液状乳酸アルキルまたはアルケニルは10重量%以上含まれ、且つ乳化化粧料全体の1〜30重量%含まれる。好ましくは(a)成分中の炭素数18〜20の液状乳酸アルキルまたはアルケニルは15〜50重量%、且つ乳化化粧料全体の2〜10重量%である。少なくては目的物性が得られず、多くてはしっとりしすぎるために却って不快感を生じる。アルキルまたはアルケニル基の炭素鎖長は短くてはしっとり感が得られず、長くては安定に乳化させることが難しくなる。従って、18〜20の炭素数を有することを特徴とする。(a)成分としては、乳化化粧料において3〜50重量%添加される。好ましくは5〜40重量%である。化粧料の種類により添加量は異なるが、少なくては化粧料としての目的が達せられず、また本発明の趣旨であるしっとり感が得られない。多くては使用後、皮膚に油分が残る。
【0010】非イオン性界面活性剤は乳化剤として加えられる。好ましくはポリオキシエチレン基含有非イオン性界面活性剤である。ポリオキシエチレン基を含有しない乳化剤を用いて乳化させるには、機械的な力が必要となることがあるなど、設備的に不利なことがある。ポリオキシエチレン基含有非イオン性界面活性剤は比較的容易に乳化させることが可能である。例えるなら、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルなどが例示されるが、これらに限定されない。好ましくはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルなどが例示される。より好ましくはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油が挙げられる。特に好ましくは炭素数12〜18のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテルである。これらの場合、酸化エチレンの重合度はそれぞれの系に合わせ、適宜選択される。即ちそれぞれの乳化系に最適の酸化エチレン重合度を選択できる。これらの少なくとも1種、あるいは2種以上が使用される。添加量としては0.1〜20重量%が好適である。より好ましくは0.5〜10重量%である。少なくては安定な乳化物が得られず、多くては目的の物性が得られない。それぞれの乳化系により添加量を範囲内で調整できる。
【0011】水酸基含有水溶性溶剤は滑りと延び、感触に与える助剤として併用される。即ち、請求項1記載の(a)成分中の炭素数18〜20の液状乳酸アルキルまたはアルケニルの機能を補助、増幅させる効果を有する。詳しくは請求項1記載の(a)成分中の炭素数18〜20の液状乳酸アルキルまたはアルケニルが与える滑り、延び、感触をより強調する。具体的にはグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、エタノールなど、化粧品用途で使用され得るものであれば限定されない。これらの少なくとも1種、あるいは2種以上が使用される。添加量としては0.1〜20重量%が好適である。より好ましくは1〜10重量%である。少なくては滑り、延び、感触を強調する度合いは小さい。多くては目的の物性が得られない。それぞれの乳化系により添加量を範囲内で調整できる。
【0012】他の成分として必要に応じ、増粘剤や粘度調整剤、色素、香料、防腐剤、抗菌剤、酸化防止剤、皮膚栄養、pH調整剤など、一般に化粧品に添加されるものを添加しても良い。
【0013】残部は精製水となる。具体的には40〜97重量%となる。
【0014】目的の乳化化粧料の調整方法は常法で良いが、特に限定はされない。反転乳化法、界面活性剤相乳化法などが例示される。本発明の組成物は乳液、クリーム、液体入浴料をはじめとする乳化化粧料一般に応用できるが、これらに限定されるものではない。
【0015】
【実施例】以下に実施例、比較例を示すが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。表1には乳液の、表2にはハンドクリームの、表3には液体入浴料の実施例ならびに比較例と評価結果を示す。表中、バランスとは全量を100重量%となるように調整することを意味する。評価に関する説明は次の通り。乳液とハンドクリームに関しては、使用時の滑り、延び、しっとり感とべとつきに関して、10人の被験者を用いて官能検査を行った。滑りはより滑るもの、延びは少量の試料が良く延びるものを良好とし、しっとり感はより強くしっとり感を与えるものを良好、べとつきに関してはべとつきのより少ないものを良好とした。乳液に関しては、入浴後のしっとり感、入浴後のべとつき、入浴時のぬめりに関して、10人の被験者を用いて官能検査を行った。入浴後のしっとり感はより強くしっとり感を与えるものを良好とし、入浴後のべとつきはべとつきのより少ないものを良好、入浴時のぬめりは入浴中に肌を触れたときにぬめり感がより少ないものを良好とした。
【0016】
【図1】
【0017】
【図2】
【0018】
【図3】
【0019】
【本発明の効果】特定の液状乳酸アルキルまたはアルケニルを含む油性成分、非イオン性界面活性剤、水酸基含有水溶性溶剤、精製水を特定の割合で含有することにより、滑りや、延び、感触に優れた安定な乳化系を容易に与える乳化化粧料を提供することができる。



【出願人】 【識別番号】000188951
【氏名又は名称】松本油脂製薬株式会社
【住所又は居所】大阪府八尾市渋川町2丁目1番3号
【出願日】 平成13年11月2日(2001.11.2)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−137764(P2003−137764A)
【公開日】 平成15年5月14日(2003.5.14)
【出願番号】 特願2001−374963(P2001−374963)