| 【発明の名称】 |
糖化蛋白変性物質生成阻害剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】河村 透
【氏名】丸山 智之
【氏名】晶 利明
【氏名】粟田 隆
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| 【要約】 |
【課題】糖化蛋白変性物質(AGE)生成阻害剤の提供。
【解決手段】一般式(I) |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一般式(I) 【化1】
(式中、R1 およびR2 は同一または異なっていてよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、トリフルオロメチル基またはトリフルオロメトキシ基を示し、R3 はエステル化されていてもよいカルボキシ基を示し、R4 、R5 、R6 およびR7 は同一または異なっていてよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基またはトリフルオロメチル基を示し、Xは酸素原子または硫黄原子を示す。)で表される1,4−ベンゾチアジン−2−酢酸誘導体またはその医薬的に許容される塩を有効成分とする糖化蛋白変性物質生成阻害剤。 【請求項2】 有効成分が、3,4−ジヒドロ−3−オキソ−4−[(4,5,7−トリフルオロ−2−ベンゾチアゾリル)メチル]−2H−1,4−ベンゾチアジン−2−酢酸またはその医薬的に許容される塩である請求項1記載の糖化蛋白変性物質生成阻害剤。 【請求項3】 一般式(I) 【化2】
(式中、R1 およびR2 は同一または異なっていてよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、トリフルオロメチル基またはトリフルオロメトキシ基を示し、R3 はエステル化されていてもよいカルボキシ基を示し、R4 、R5 、R6 およびR7 は同一または異なっていてよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基またはトリフルオロメチル基を示し、Xは酸素原子または硫黄原子を示す。)で表される1,4−ベンゾチアジン−2−酢酸誘導体またはその医薬的に許容される塩を有効成分とする糖化蛋白変性物質の生成に起因して発症する疾患の予防治療剤。 【請求項4】 糖化蛋白変性物質の生成に起因して発症する疾患がヘモグロビンの糖化による機能異常に起因して発症する疾患である請求項3記載の予防治療剤。 【請求項5】 糖化蛋白変性物質の生成に起因して発症する疾患が糖尿病性合併症ではない請求項3または4記載の予防治療剤。 【請求項6】 有効成分が、3,4−ジヒドロ−3−オキソ−4−[(4,5,7−トリフルオロ−2−ベンゾチアゾリル)メチル]−2H−1,4−ベンゾチアジン−2−酢酸またはその医薬的に許容される塩である請求項3〜5のいずれか1項に記載の糖化蛋白変性物質の生成に起因して発症する疾患の予防治療剤。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は1,4−ベンゾチアジン−2−酢酸誘導体またはその医薬的に許容される塩を有効成分とする糖化蛋白変性物質(Advanced Glycation End Products、以下、「AGE」と称する)生成阻害剤に関する。 【0002】 【従来の技術】生体内における蛋白質の非酵素的糖化(non-enzymatic glycation)は、直接的な蛋白質機能の修飾と細胞膜上のレセプターを介して細胞の障害をもたらし、糖尿病や動脈硬化に伴う多様な生理的障害を引き起こすことが知られている。即ち、血中のブドウ糖は非酵素的に蛋白質のアミノ基とシッフ塩基を形成し、更にアマドリ転位により転位生成物を生じる。このアマドリ転位生成物は、微量の遷移金属の作用により、活性酸素を放出すると共に3−デオキシグルコソン様の活性中間体へ変換され、更に蛋白質のアミノ基と反応し、その後酸化、縮合、転位、脱水などの複雑な反応を経てAGEが形成される。AGEは、蛋白質(又はその分解物)が糖に由来する構造で架橋された重合体であると考えられている。糖化蛋白は健常人でも生成しており、年齢とともに増加するが、糖尿病患者においては、血中ブドウ糖濃度が高いため、蛋白質の糖化が速く進行し、それが蛋白質機能への直接的な影響とAGEレセプターを介した細胞応答によって種々の障害をもたらし、これが種々の糖尿病性合併症を引き起こす原因の一つであるとされている。また、糖化蛋白が生成する際に生じる活性酸素も細胞障害の原因になると考えられている。 【0003】より具体的には、糖尿病性白内障は、眼球水晶体のクリスタリンの糖化に伴うクリスタリンの重合、不溶化、蛍光発生及び着色によって起こることが認められており(J. Biol. Chem.,256, 5176, 1981)、また糖尿病性神経疾患は神経ミエリン蛋白質の非酵素的糖化が原因であると考えられている(Clin. Endocrinol. Metab., 11, 431, 1982)。また、AGEが生成する過程は老化の原因とも考えられており、例えば、老人性白内障は眼球水晶体のクリスタリンの糖化が関与しており、またアテローム性動脈硬化にもAGEの生成が関与している。更に、老化に伴う細い血管の基底膜の肥厚、腎臓の機能低下をもたらす腎糸球体基底膜の肥厚にもAGEが関与していることが知られている(Science, 232, 1629, 1986)。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】このような背景のもとに、蛋白質のAGE化を阻害する物質の探索が行われており、そのような化合物としてアミノグアニジンが報告されている(Science, 232, 1629, 1986)。アミノグアニジンはアマドリ転位生成物の活性カルボニル基を封鎖し、アマドリ転位生成物の架橋重合を阻害することから、蛋白質のAGEへの移行を阻害すると考えられてる。しかしながら、アミノグアニジンはその作用が十分とはいえず、実用的に満足できる効果が得られるAGE生成阻害剤は未だ見出されていない。本発明者等は、AGEの生成を阻害することによりAGEの生成に起因して発症する種々の疾患、例えば、神経障害、網膜症、腎症、白内障、冠動脈性心疾患、末梢循環障害、脳血管障害、動脈硬化症、関節硬化症、癌、アルツハイマー病等を予防・治療するために有用な化合物について検討した結果、後記一般式(I)で表される1,4−ベンゾチアジン−2−酢酸誘導体またはその医薬的に許容される塩が優れたAGE生成阻害活性を有することを見出した。本発明はかかる知見に基づいてなされたものである。 【0005】本発明はAGE生成阻害剤を提供することを目的とする。また本発明はAGEの生成に起因して発症する上記の如き種々の疾患の予防治療剤を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明は下記一般式(I) 【0007】 【化3】
【0008】(式中、R1 およびR2 は同一または異なっていてよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、トリフルオロメチル基またはトリフルオロメトキシ基を示し、R3 はエステル化されていてもよいカルボキシ基を示し、R4 、R5 、R6 およびR7 は同一または異なっていてよく、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基またはトリフルオロメチル基を示し、Xは酸素原子または硫黄原子を示す。)で表される1,4−ベンゾチアジン−2−酢酸誘導体またはその医薬的に許容される塩を有効成分とするAGE生成阻害剤に関する。 【0009】本発明はまた、上記一般式(I)で表される1,4−ベンゾチアジン−2−酢酸誘導体またはその医薬的に許容される塩を有効成分とするAGEの生成に起因して発症する疾患の予防治療剤に関する。 【0010】一般式(I)で表される化合物において、各置換基の定義は次のとおりである。ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。 【0011】低級アルキル基としては、炭素数1〜6の直鎖または分枝鎖のアルキル基が好ましく、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、イソヘキシル等が挙げられる。 【0012】低級アルコキシ基としては、炭素数1〜6の直鎖または分枝鎖のアルコキシ基が好ましく、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、イソヘキシルオキシ等が挙げられる。 【0013】低級アルキルチオ基としては、炭素数1〜6の直鎖または分枝鎖のアルキルチオ基が好ましく、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオ、ペンチルチオ、イソペンチルチオ、ヘキシルチオ、イソヘキシルチオ等が挙げられる。 【0014】エステル化されたカルボキシ基としては、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル等の低級アルコキシカルボニル;シクロヘキシルオキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニル等のシクロアルキル部分の炭素数が5〜10のシクロアルキルオキシカルボニル;またはベンゼン環上にハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ニトロ基等の置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニルもしくはベンジルオキシカルボニル等が挙げられる。 【0015】一般式(I)で表される化合物は不斉炭素原子を有しており、したがって立体異性体として存在することができ、必要に応じて純粋な異性体に分割することができる。 【0016】一般式(I)で表される化合物の医薬的に許容される塩としては、医薬的に許容される無毒性のものであれば特に制限されず、例えばリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩;トリエチルアミン塩、ピリジン塩等の有機塩基との塩;リシン塩、アルギニン塩等の塩基性アミノ酸との塩が挙げられる。 【0017】一般式(I)において、R4 、R5 、R6 およびR7 は同一または異なっていてよく、それぞれ水素原子、フッ素原子または塩素原子である化合物が本発明の化合物として好ましい。 【0018】本発明において一般式(I)で表される化合物としては、例えば、特開平5−92961号公報に記載された化合物を使用することができる。一般式(I)で表される化合物の代表的なものとしては、例えば、3,4−ジヒドロ−3−オキソ−4−[(4,5,7−トリフルオロ−2−ベンゾチアゾリル)メチル]−2H−1,4−ベンゾチアジン−2−酢酸を挙げることができる。 【0019】一般式(I)で表される化合物は、例えば、特開平5−92961号公報に記載の方法により調製することができる。 【0020】本発明のAGE生成阻害剤は、一般式(I)で表される化合物またはその医薬的に許容される塩を、適宜の医薬的に許容される添加剤(例えば、担体、賦形剤、希釈剤等)等の製薬上必要な成分と混合し、粉末、顆粒、錠剤、カプセル剤等の態様にて経口的に、また注射剤や点眼剤等の態様にて非経口的に投与することができる。上記製剤中には一般式(I)で表される化合物またはその医薬的に許容される塩の有効量が配合される。投与量は投与ルート、症状、患者の体重あるは年齢等によっても異なるが、例えば、成人患者に経口投与する場合は、1〜2000mg/kg体重/日、特に10〜600mg/kg体重/日を1日1回から数回に分けて投与するのが望ましい。 【0021】 【発明の効果】本発明のAGE生成阻害剤は、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ヒト等)に対して優れたAGE生成阻害作用を示し、かつ低毒性である。従って、AGEの生成に起因して発症する種々の疾患、例えば、神経障害、網膜症、腎症、白内障、冠動脈性心疾患、末梢循環障害、脳血管障害、動脈硬化症、関節硬化症、癌、アルツハイマー病等の予防・治療に有用である。特に本発明のAGE生成阻害剤は、優れたヘモグロビン糖化阻害作用を示すことから、ヘモグロビンの糖化による機能異常に起因する組織ハイポキシアに基づく上記疾患に対して有用である。 【0022】 【実施例】以下、試験例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。 製剤例1錠剤(1)化合物A 10mg(2)直打用微粒No.209(富士化学社製) 46.6mg メタケイ酸アルミン酸マグネシウム 20% トウモロコシデンプン 30% 乳糖 50%(3)結晶セルロース 24.0mg(4)カルボキシメチルセルロース・カルシウム 4.0mg(5)ステアリン酸マグネシウム 0.4mg化合物A:3,4−ジヒドロ−3−オキソ−4−[(4,5,7−トリフルオロ−2−ベンゾチアゾリル)メチル]−2H−1,4−ベンゾチアジン−2−酢酸(以下の製剤例も同じ) (1)、(3)および(4)はいずれも予め100メッシュの篩に通す。この(1)、(3)および(4)と(2)をそれぞれ乾燥して一定含水率にまで下げた後、上記の重量割合で混合機を用いて混合する。全質均等にした混合末に(5)を添加して短時間(30秒)混合し、混合末を打錠(杵:6.3mmφ、6.0mmR)して、1錠85mgの錠剤とした。この錠剤は、必要に応じて通常用いられる胃溶性フィルムコーティング剤(例えば、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート)や食用性着色剤でコーティングしてもよい。 【0023】 製剤例2カプセル剤(1)化合物A 50g(2)乳糖 935g(3)ステアリン酸マグネシウム 15g上記成分をそれぞれ秤量した後、均一に混合し、混合粉体をハードゼラチンカプセルに200mgずつ充填した。 【0024】 製剤例3注射剤(1)化合物A 50mg(2)ブドウ糖 100mg(3)生理食塩水 10ml上記の混合液をメンブランフィルターで濾過後、再び除菌濾過を行い、その濾液を無菌的にバイアルに分注し、窒素ガスを充填して静脈内注射剤とした。 【0025】薬理試験本発明のAGE生成阻害剤の有用性を示すために、代表的な化合物の薬理試験結果を以下に示す。 試験例1(AGE生成阻害活性) 試験化合物3,4−ジヒドロ−3−オキソ−4−[(4,5,7−トリフルオロ−2−ベンゾチアゾリル)メチル]−2H−1,4−ベンゾチアジン−2−酢酸(化合物A) 【0026】 【化4】
【0027】試験方法雄性Sprague−Dawleyラット(8週齢)に、クエン酸緩衝液(pH4.5)に溶解したストレプトゾトシン(STZ,60mg/kg体重)を尾静脈内投与した。STZの投与3〜5週後、化合物A(30mg/kg体重)を0.5%カルボキシメチルセルロースに懸濁させて1日1回、2週間にわたり経口投与した。対照群には、ビヒクル(0.5%カルボキシメチルセルロース)5ml/kg体重を経口投与した。薬剤投与の最終日に、ヘパリン加食塩水を含有する注射器を用いて血液サンプルを採取し、2000rpm、4℃にて10分間遠心分離し、ヘモグロビンを抽出した。 【0028】従来確立されているプロトコルを改変した競合ELISA法(J. Biol. Chem., 267, 5133 (1992)) により血中のAGE化ヘモグロビン(Hb−AGE)を測定した。簡単に説明すると、上記で抽出したヘモグロビン溶液50μLを同容量のポリクローナル抗−AGE抗体(1:400に希釈)と共に、AGE修飾リボヌクレアーゼ(リン酸緩衝生理食塩水中に10μg/mL)でプレコーティングしたマイクロタイタープレートに添加した。室温で2時間インキュベートした後、西洋ワサビペルオキシダーゼ標識二次抗体を添加し、室温で再び1時間インキュベートし、o−フェニレンジアミンを添加することにより結合した抗AGE抗体を検出した。AGE免疫反応性を、段階希釈したサンプルで2回づつ測定した。AGE単位は合成AGE−リボヌクレアーゼ標準品に対する相対値として算出した(1AGE単位=AGE−リボヌクレアーゼ10μg)。全てのデータは例数8〜10の平均値±S.E.で表した。有意差の検定にはDunnett's 法を用いた。 【0029】結果結果を表1および図1に示す(# p<0.05,正常群に対して;**p<0.01,ビヒクルを投与した対照群に対して)。 【0030】 【表1】
【0031】対照群のHb−AGEレベルは正常群のHb−AGEレベルと比較して有意に高かった(Δ%=45,p<0.05,正常群に対して)。これに対し、化合物Aの投与によりHb−AGEレベルは有意に低下した(p<0.01,ビヒクルを投与した対照群に対して,Δ%=48)。表1および図1に示すように、本発明の試験化合物は高いAGE生成阻害活性を示した。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006725 【氏名又は名称】三菱ウェルファーマ株式会社 【識別番号】000199175 【氏名又は名称】千寿製薬株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年3月31日(1997.3.31) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100080791 【弁理士】 【氏名又は名称】高島 一
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| 【公開番号】 |
特開2003−119142(P2003−119142A) |
| 【公開日】 |
平成15年4月23日(2003.4.23) |
| 【出願番号】 |
特願平9−79636 |
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