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【発明の名称】 吸収性を向上した経口投与製剤
【発明者】 【氏名】岡田 実

【氏名】菅田 晴夫

【氏名】堀江 敏彰

【氏名】金子 哲男

【要約】 【課題】消化管からの吸収性が優れたビスベンチアミン製剤を提供すること。

【解決手段】ビスベンチアミン、ヘプロニカートおよびビタミンEを配合することを特徴とする経口投与製剤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ビスベンチアミン、ヘプロニカートおよびビタミンEを配合することを特徴とする経口投与製剤。
【請求項2】 ビスベンチアミン1重量部に、ヘプロニカートを0.3〜300重量部およびビタミンEを0.3〜300重量部配合することを特徴とする請求項第1項記載の経口投与製剤。
【請求項3】 ヘプロニカートとビタミンEの重量比が、1:100〜100:1である請求項第1項および第2項記載の経口投与製剤。
【請求項4】 ビタミンEが、コハク酸d−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロールカルシウム、酢酸d−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、d−α−トコフェロール、dl−α−トコフェロールからなる群より選ばれる1種または2種以上である請求項第1項ないし第3項の何れかの項記載の経口投与製剤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は経口投与製剤に関し、更に詳細にはビスベンチアミンの吸収性が向上した経口投与製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】ビタミンは、糖質、脂質、タンパク質がエネルギー源や体の構成成分として利用される場合に必ず必要な成分である。現代では、かっけ等の古典的なビタミン欠乏症はあまりみられなくなったが、ビタミンが不足すると、疲労感、倦怠感、食欲不振などの症状が出てくる。更に、喫煙やストレスでビタミンC、飲酒でビタミンBの消費量が増加して、ビタミンCやビタミンBが不足がちになることもあり、潜在性ビタミン欠乏症ないし境界型ビタミン欠乏症は、現代でも決して少なくない。
【0003】ビタミンのうち、ビタミンBやビタミンC等の水溶性ビタミンは、大量に摂取してもすぐに尿に排泄されるため、毎日必要なだけ摂取すれば良いとされている。しかしながら、毎日の食事によって必要な水溶性ビタミンを摂取することは容易ではないことが多い。このため、不足する水溶性ビタミンをそれらを含有するビタミン製剤で補うことも行われている。
【0004】ところで、一般に、脂溶性ビタミンに比べ、水溶性ビタミンは吸収が良いとされるが、水溶性ビタミンでも消化管吸収が問題となることが多い。例えば、水溶性ビタミンの1つであるビタミンBは消化管での吸収に限界があり、体外へ排泄されやすく、またアノイリナーゼを出す菌が腸内にいると、ビタミンB欠乏症になることが知られている。
【0005】このため、ビタミンB欠乏症の改善や治療に使用されている塩酸チアミン等の消化管における吸収を改善するために、ビタミンBの脂溶性を増加させた誘導体が検討されている。このような易吸収性誘導体として、オクトチアミン、ベンフォチアミン、ジセチアミン、シコチアミン、チアミンジスルフィド、ビスベンチアミン、ビスイブチアミン等が合成され、それらにより高い血中濃度が得られている。しかし、例えば上記のビスベンチアミンにおいては、賦形剤などの添加物などにより吸収性に差があることが知られており、消化管からの吸収を最適化するような処方の提供が求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明は、更に吸収性の優れたビタミンB含有製剤の提供をその課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような実情に鑑み、本発明者らはビタミンBの消化管からの吸収性を種々検討した結果、意外にもビスベンチアミンにヘプロニカートとビタミンEを配合した時に、消化管からのビスベンチアミンの吸収が速くなりかつ血漿中のチアミン量が増大することを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明はビスベンチアミン、ヘプロニカートおよびビタミンEを配合することを特徴とする経口投与製剤を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の経口投与製剤(以下、「本発明製剤」という)において使用されるビスベンチアミンは、化学名:N'-[dithiobis[2-[2-(benzoyloxy)-ethyl]-1-methyl-2,1-ethenediyl]]bis[N-[(4-amino-2-methyl-5-pyrimidinyl)methyl]formamide]、分子式:C3842、分子量:770.93のチアミン誘導体であり、ビスベンチアミン114mgは塩酸チアミン100mgに相当する化合物である。
【0010】また、本発明製剤において用いられるヘプロニカート(化学名:2-hexyl-(2-hydroxymethyl)-1,3-propandiol trinicotinate)は、血流改善作用、血小板凝集抑制作用、繊維素溶解作用などの薬理効果を有する末梢血管拡張剤であり、レイノー病、パージャー病、閉塞性動脈硬化症などの末梢循環障害、凍瘡、凍傷の薬として使用されている化合物である。
【0011】更に、本発明製剤において用いられるビタミンEは、一般にビタミンEと総称されるすべての化合物を意味し、好適な具体例としては、コハク酸d−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロールカルシウム、酢酸d−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、d−α−トコフェロール、dl−α−トコフェロール等を挙げることができる。
【0012】本発明製剤における、ビスベンチアミン、ヘプロニカートおよびビタミンEの配合量は、通常、ビスベンチアミン1重量部に対し、ヘプロニカートは0.3〜300重量部の範囲にあり、ビタミンEは0.3〜300重量部の範囲にあり、好適にはビスベンチアミン1重量部に対し、ヘプロニカートは0.5〜3重量部の範囲にあり、ビタミンEは0.5〜3重量部の範囲にある。また、ヘプロニカートとビタミンEの配合比は、通常、100:1から1:100の重量比の範囲にあり、好適には10:1〜1:10の重量比の範囲にあり、更に好適には1:3〜3:1の重量比の範囲にある。
【0013】本発明製剤には、上記した成分の他、他の薬効成分を配合することができる。このような薬効成分の例としては、酪酸リボフラビン、リボフラビン、リン酸リボフラビンナトリウム、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウムなどのビタミンB類、ナイアシン、ニコチン酸、ニコチン酸アミドなどのビタミンB類、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、パンテノール、パンテチンなどのビタミンB類、塩酸ピリドキシン、リン酸ピリドキサールなどのビタミンB類、酢酸ヒドロキソコバラミン、塩酸ヒドロキソコバラミン、ヒドロキソコバラミン、シアノコバラミン、メコバラミン、コバマミドなどのビタミンB12類、葉酸、アスコルビン酸、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸ナトリウムなどのビタミンC類、ビオチンなどのビタミンH類、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、エトレチノール、ビタミンA油、肝油、強肝油などのビタミンA類、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、アルファカルシドール、カルシトリオール、マサキカルシトール、ジヒドロタキステロールなどのビタミンD類、フィトナジオン、メナテレインなどのビタミンK類などの脂溶性ビタミン、カルシウム、鉄、リン、マグネシウム、カリウム、銅、ヨウ素、マンガン、セレン、亜鉛、クロム、モリブテンなどのミネラル類、L−アラニン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−ヒドロキシプロリン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−フェニルアラニン、L−リジン、L−メチオニン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−バリン、L−システイン、L−シスチン、L−オキシプロリン、L−チロシン、L−ヒスチジン、L−プロリン、L−セリン、グリシン、L−スレオニン、L−アルギニンなどのアミノ酸類、ゴオウ、ニンジン、ヨクイニン、加工大蒜、ロクジョウ、イカリソウ、ウイキョウ、ウヤク、エンゴサク、オウギ、オウセイ、オウバク、オウレン、カイクジン、カシュウ、カッコン、カンゾウ、クコシ、ケイヒ、ゴシュユ、ゴミシ、サイコ、サンシュユ、サンヤク、ジオウ、シャクヤク、ジャショウシ、ジュクジオウ、シュクシャ、シゴカ、ショウキョウ、センキュウ、ソウジュツ、ダイオウ、タイソウ、タクシャ、チモ、チョウトウコウ、トウキ、トシシ、トチュウ、ニクジュヨウ、バクモンドウ、ハンピ、ブクリョウ、ボタンピ、ボレイ、マオウ、ムイラプアマ、リョウキョウ、ローヤルゼリーなどの生薬・生薬抽出物・漢方薬類、イノシトールヘキサニコチネート、ガンマ−オリザノール、ウルソデスオキシコール酸、オロチン酸、グルクロノラクトン、グルクロン酸アミド、コロイドロイチン硫酸ナトリウム、アスパラギン酸カリウム・マグネシウム等量混合物、γ−オリザノール、カフェイン、無水カフェイン、塩化カルニチン、合成ヒドロタルサイトなどが挙げられる。これらの薬効成分は本発明の効果を損なわない範囲で加えることができ、1種又は2種以上を使用してもよい。
【0014】本発明製剤は、常法に従い、経口製剤に適した剤形中にビスベンチアミン、ヘプロニカートおよびビタミンEを配合することにより調製することができ、錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、カプセル剤、軟カプセル剤、丸剤、懸濁剤、乳剤、内服液剤、シロップ剤、ドライシロップ剤等の経口投与形態の固形、半固形、および、液状の形態の製剤として用いることができる。また、マイクロカプセル、ナノカプセル、マイクロスフィアー、ナノスフィアー等の微小粒子とした後、前述の製剤としてもよい。
【0015】これらの製剤の調製に当たっては、必要により、安定(化)剤、界面活性剤、可塑剤、滑沢化剤、滑沢剤、可溶(化)剤、還元剤、緩衝剤、甘味剤、基剤、吸着剤、矯味剤、結合剤、懸濁(化)剤、抗酸化剤、光沢化剤、コーティング剤、剤皮、湿潤剤、湿潤調整剤、充填剤、消泡剤、清涼化剤、着色剤、着香剤、香料、糖衣剤、等張化剤、軟化剤、乳化剤、粘稠化剤、粘稠剤、発泡剤、pH調整剤、稀釈剤および賦形剤、分散剤、崩壊剤、崩壊補助剤、崩壊延長剤、芳香剤、防湿剤、防腐剤、保存剤、溶解剤、溶解補助剤、溶剤、流動化剤、帯電防止剤、増量剤、保湿剤、付湿剤等の製剤添加物を添加することができる。
【0016】
【実施例】次に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
【0017】実 施 例懸濁液剤の製造:表1に示す処方でビスベンチアミン、ヘプロニカートおよびコハク酸トコフェロールカルシウムを精製水に分散・溶解し、塩酸を適量添加してpHを調整し、精製水にて全量を100mLとして懸濁液剤(本発明品1)を製造した。なお、比較品としては、コハク酸トコフェロールカルシウムを配合しないもの(比較品1)、ヘプロニカートを配合しないもの(比較品2)およびその両者を配合しないもの(比較品3)を用いた。
【0018】
【表1】

【0019】試 験 例吸収性試験:(1)試験方法吸収性試験には試験実施前日より絶食させた9週齢の雄SD系ラットを5頭1群として用いた。試験薬剤には本発明品1、比較品1〜3を用いた。各薬剤を各々の群のラットにビスベンチアミンが20mg/kgとなるように強制的に経口投与した。血漿中のチアミン濃度を、各薬剤の投与直前、投与後0.5、1、2、3、4、8、12および24時間後に、血液を1ml採取し遠心分離して得られる血漿を試料として、HPLCにより測定した。
【0020】(2)結果投与直前の血漿中のチアミン濃度を差し引いた各採血時点のチアミン濃度を第1図に示し、AUC0−∞を表2に示した。本発明品1は比較品1、2、3よりも投与直後から血漿中に高いチアミン濃度を示し、AUC値も高かった。
【0021】
【表2】

【0022】
【発明の効果】本発明の経口投与製剤は、ビスベンチアミンに、ヘプロニカートおよびビタミンEを配合することにより、ビスベンチアミンの消化管からの吸収性を向上させ、バイオアベイラビリティーを向上させることができるものである。
【0023】従って、ビタミンB欠乏症患者の他、潜在性ビタミンB欠乏症ないし境界型ビタミンB欠乏症患者に投与し、摂取したビスベンチアミンの効果を十分に得ることが可能となるものである。
【出願人】 【識別番号】000102496
【氏名又は名称】エスエス製薬株式会社
【出願日】 平成13年10月11日(2001.10.11)
【代理人】 【識別番号】100086324
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 信夫 (外1名)
【公開番号】 特開2003−119141(P2003−119141A)
【公開日】 平成15年4月23日(2003.4.23)
【出願番号】 特願2001−313977(P2001−313977)