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【発明の名称】 錠剤の製造方法
【発明者】 【氏名】谷口 俊哉

【氏名】寺井 孝夫

【要約】 【課題】製剤中の医薬含量が少ない錠剤に関し、特別に工程数を増やすことなく医薬含量が均一な錠剤を製造することができ、しかも医薬を安定に保持できる錠剤の製造方法を提供すること。

【解決手段】医薬を微粉末として不溶性の溶媒に均一に懸濁させ、得られた懸濁液を製剤上の添加物に加えて造粒し、乾燥後、圧縮成形することよりなる錠剤の製造方法において、前記微粉末の平均粒子径を1μm〜20μmとし、その医薬含量を錠剤全重量の0.1%〜10%とすることにより、前記課題を解決した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】医薬を微粉末として不溶性の溶媒に均一に懸濁させ、得られた懸濁液を製剤上の添加物に加えて造粒し、乾燥後、圧縮成形することよりなる錠剤の製造方法であって、医薬の微粉末の平均粒子径が1μm〜20μmであり、その医薬含量が錠剤全重量の0.1%〜10%であることを特徴とする錠剤の製造方法。
【請求項2】製剤上の添加物が賦形剤と結合剤を含有する請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】懸濁液が結合剤を含有する懸濁液である請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】医薬がトランドラプリル、ペリンドプリル、エチゾラム又はブロチゾラムであり、溶媒が水である請求項1に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薬理活性が高い医薬、すなわち1回の投与量が少ない医薬の錠剤を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】薬理活性が高い医薬の製剤は、製剤中の医薬含量が少なく、その僅かなばらつきが原因で期待どおりの効果が得られなかったり、不測の副作用が出現する場合がある。したがって、医薬含量が少ない製剤を製造する場合は、含量の均一性について特に注意を払う必要があり、通常、少量の医薬を賦形剤で倍々希釈して均一混合物を得る方法や、医薬を溶媒に溶解させ、これを添加剤に加えて湿式造粒する方法等がとられている。しかし、前記の倍々希釈する方法は、製剤工程数が多く生産効率の点で問題がある。また、湿気や酸素に対して安定性に問題がある医薬の場合、一旦溶液にして湿式造粒に用い、顆粒ないし錠剤とする方法では、主薬の含量低下が生じ易い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、製剤中の医薬含量が少ない錠剤に関し、特別に工程数を増やすことなく医薬含量が均一な錠剤を製造することができ、しかも医薬を安定に保持できる錠剤の製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、医薬を微粉末とし、これを不溶性の溶媒に懸濁させ、製剤上の添加物に加えて湿式造粒し、乾燥後、圧縮成形すると、医薬含量の均一性の点、医薬の安定保存の点ともに優れた錠剤が得られることを見出し、本発明を完成することができた。
【0005】すなわち本発明によれば、(1)医薬を微粉末として不溶性の溶媒に均一に懸濁させ、得られた懸濁液を製剤上の添加物に加えて造粒し、乾燥後、圧縮成形することよりなる錠剤の製造方法であって、医薬の微粉末の平均粒子径が1μm〜20μmであり、その医薬含量が錠剤全重量の0.1%〜10%であることを特徴とする錠剤の製造方法、(2)製剤上の添加物が賦形剤と結合剤を含有する前記(1)の製造方法、(3)懸濁液が結合剤を含有する懸濁液である前記(1)の製造方法、(4)医薬がトランドラプリル、ペリンドプリル、エチゾラム又はブロチゾラムであり、溶媒が水である前記(1)の製造方法を提供することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明で用いられる医薬は、前記のほか、室温で固体であり、薬理活性が高く、したがって微量の投与量で効果を示し、湿式造粒の際に使用される溶媒に難溶であれば、特に限定されない。錠剤に占める医薬の割合は、0.1w/w%〜10w/w%であるが、好ましくは、0.2w/w%〜5w/w%である。また、その微粉末の平均粒子径は、1μm〜20μmであるが、好ましくは2μm〜15μm、より好ましくは3μm〜10μmである。前記溶媒としては、製剤の際に通常用いられている水やエタノール、塩化メチレン等の有機溶媒が挙げられ、本発明で用いる医薬を殆ど溶解しない溶媒が選択される。
【0007】本発明に用いられる製剤上の添加剤には、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤等が含まれる。例えば、賦形剤としては、乳糖、白糖、トウモロコシデンプン、結晶セルロース等が挙げられ、中でも乳糖や結晶セルロースが好ましい。また、崩壊剤としては、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、部分アルファー化デンプン、トウモロコシデンプン等が使用できる。結合剤としては、ポリビニルピロリドン、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プルラン、部分アルファー化デンプン、アルファー化デンプン、マクロゴール6000等が挙げられ、それらの混合物も好適に使用される。滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、タルク、硬化油、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。必要に応じてその他の添加剤を加えてもよい。
【0008】本発明の錠剤は、通常の方法、例えば第十四改正日本薬局方第二部の製剤総則に記載されている方法により、容易に製造できる。なお、得られた錠剤は、任意にコーティングされてもよい。
【0009】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0010】実施例1乳糖319.5g、ポリビニルピロリドン13.8g及び部分アルファー化デンプン15.0gを高速撹拌造粒機に投入し、混合した。次いで、精製水22.8mlとポリビニルピロリドン1.2gからなる溶液に平均粒子径8μmのトランドラプリル粉末3.0gを加えて均一に分散させた液を投入し、造粒した。得られた造粒物を、乾燥後、30メッシュのJIS標準篩で篩過し、整粒末を得た。この整粒末に硬化油7.5gを加え、タンブラー混合機を用いて均一に混合し、回転式打錠機で圧縮成型して下記組成の錠剤を得た。
[成 分] [1錠当たりの重量(mg)]
トランドラプリル 1.0 乳糖 106.5 ポリビニルピロリドン 5.0 部分アルファー化デンプン 5.0 硬化油 2.5 合 計 120.0【0011】実施例2乳糖165g、結晶セルロース105g及びトウモロコシデンプン30gを高速撹拌造粒機に投入し、混合した。次いで、精製水90mlとマクロゴール6000の6gからなる溶液に平均粒子径6μmのエチゾラム粉末3.0gを加えて均一に分散させた液を投入し、造粒した。得られた造粒物を、乾燥後、30メッシュのJIS標準篩で篩過し、整粒末を得た。この整粒末にカルボキシメチルセルロースカルシウム15.0g及びステアリン酸マグネシウム6.0gを加え、タンブラー混合機を用いて均一に混合し、回転式打錠機で圧縮成型して下記組成の錠剤を得た。
[成 分] [1錠当たりの重量(mg)]
エチゾラム 1.0 乳糖 55.0 結晶セルロース 35.0 トウモロコシデンプン 10.0 マクロゴール6000 2.0 カルボキシメチルセルロースカルシウム 5.0 ステアリン酸マグネシウム 2.0 合 計 110.0【0012】比較例1乳糖319.5g、ポリビニルピロリドン13.8g及び部分アルファー化デンプン15.0gを高速撹拌造粒機に投入し、混合した。次いで、エチルアルコール90mlにトランドラプリル粉末3gを溶解した液を投入し、造粒した。得られた造粒物を、乾燥後、30メッシュのJIS標準篩で篩過し、整粒末を得た。この整粒末に硬化油7.5gを加え、タンブラー混合機を用いて均一に混合し、回転式打錠機で圧縮成型して下記組成の錠剤を得た。
[成 分] [1錠当たりの重量(mg)]
トランドラプリル 1.0 乳糖 106.5 ポリビニルピロリドン 5.0 部分アルファー化デンプン 5.0 硬化油 2.5 合 計 120.0【0013】比較例2乳糖165g、結晶セルロース105g及びトウモロコシデンプン30gを高速撹拌造粒機に投入し、混合した。次いで、エチルアルコール90mlにエチゾラム3gを溶解した液を投入し、造粒した。得られた造粒物を、乾燥後、30メッシュのJIS標準篩で篩過し、整粒末を得た。この整粒末にカルボキシメチルセルロースカルシウム15g及びステアリン酸マグネシウム6gを加え、タンブラー混合機を用いて均一に混合し、回転式打錠機で圧縮成型して下記組成の錠剤を得た。
[成 分] [1錠当たりの重量(mg)]
エチゾラム 1.0 乳糖 55.0 結晶セルロース 35.0 トウモロコシデンプン 10.0 マクロゴール6000 2.0 カルボキシメチルセルロースカルシウム 5.0 ステアリン酸マグネシウム 2.0 合 計 110.0【0014】試験例1(苛酷試験による製剤の保存安定性比較)
実施例1及び2並びに比較例1及び2で得た各錠剤を、温度60℃、湿度75%で密封保存及びシャーレ中開放保存し、10日後に各錠剤の医薬残存量を高速液体クロマトグラフ法により測定した なお、定量は内標準法によった。結果(医薬の初期値に対する残存値の百分率)は下記のとおりである。
密封保存 シャーレ中開放保存 実施例1 97.0% 79.5% 比較例1 94.3% 67.1% 実施例2 98.6% 97.2% 比較例2 96.1% 93.7%この結果から、本発明の実施例1及び2の錠剤は、医薬の安定化効果の点で対応する比較例1及び2より、それぞれ優れていることが判明した。
【0015】試験例2(含量均一性試験)
試験は、第十四改正日本薬局方に記載の「12.含量均一試験法」に準拠した。すなわち、実施例1及び2並びに比較例1及び2で得た各錠剤10個づつについて医薬含量を高速液体クロマトグラフ法により測定し、各医薬含量の均一性を調べた。その結果、判定値は何れも適合であった。
【0016】
【発明の効果】本発明によれば、製剤中の医薬含量が少ない錠剤に関し、特別に工程数を増やすことなく医薬含量が均一な錠剤を製造することができ、しかも医薬を安定に保持できる錠剤の製造方法を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】593030071
【氏名又は名称】大原薬品工業株式会社
【出願日】 平成13年10月12日(2001.10.12)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−119121(P2003−119121A)
【公開日】 平成15年4月23日(2003.4.23)
【出願番号】 特願2001−315447(P2001−315447)