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【発明の名称】 リポソームの製造方法、及び該リポソームを含有する化粧料、及び皮膚外用剤
【発明者】 【氏名】阿部 正彦

【氏名】大竹 勝人

【氏名】橋本 悟

【要約】 【課題】親水性薬効成分や親油性薬効成分の品質を損なうことなく、これらを安定かつ高濃度に内包したリポソーム水溶液を製造する方法、及び該リポソームを配合した皮膚化粧料、皮膚外用剤、頭髪化粧料を提供する。

【解決手段】臨界あるいは亜臨界状態の炭酸ガス、更にこれに低級アルコール等の溶解剤を併用してリポソームを調製することにより、上記課題が解決できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】リン脂質、及び/又は糖脂質を膜脂質とし、臨界あるいは亜臨界状態の炭酸ガスを用いることを必須条件とするリポソームの製造方法、及び該リポソーム。
【請求項2】超臨界あるいは亜臨界状態の炭酸ガス中に、予め膜脂質を溶解または混合することを特徴とする請求項1に記載のリポソームの製造方法、及び該リポソーム。
【請求項3】臨界あるいは亜臨界状態の炭酸ガスに、1種又は2種以上の溶解助剤を添加することを特徴とする請求項1〜2に記載のリポソームの製造方法、及び該リポソーム。
【請求項4】親水性薬効成分、及び/又は親油性薬効成分の1種、又は2種以上を内包させることを特徴とする請求項1〜3に記載のリポソームの製造方法、及び該リポソーム。
【請求項5】膜脂質を溶解あるいは混合させた臨界あるいは亜臨界状態の炭酸ガスに、親水性薬効成分を溶解あるいは混合させた水溶液を添加することを特徴とする請求項4に記載のリポソームの調製方法、及び該リポソーム。
【請求項6】膜脂質を溶解あるいは混合させた臨界あるいは亜臨界状態の炭酸ガス中に、親油性薬効成分を溶解あるいは混合させることを特徴とする請求項4に記載のリポソームの調製方法、及び該リポソーム。
【請求項7】請求項2に記載の溶解助剤が、低級アルコール、グリコール、グリコールエーテル、グリコールエステル、炭酸アルキルの1種又は2種以上であることを特徴とするリポソームの調製方法、及び該リポソーム。
【請求項8】請求項4〜6に記載の親水性薬効成分、及び/又は親油性薬効成分が、抗酸化剤、抗菌剤、抗炎症剤、血行促進剤、美白剤、肌荒れ防止剤、老化防止剤、発毛促進剤、、保湿剤、ホルモン剤、ビタミン類、色素、およびタンパク質類から任意に選ばれた1種又は2種以上であることを特徴とするリポソーム。
【請求項9】請求項4〜6及び8に記載の薬効成分が、アスコルビン酸、およびアスコルビン酸誘導体の任意の1種又は2種以上であることを特徴とするリポソーム。
【請求項10】請求項1〜9に記載のリポソームを含有する化粧料、皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、臨界あるいは亜臨界状態の炭酸ガスを用て親水性薬効成分あるいは親水性生理活性成分や、親油性薬効成分あるいは親油性整理活性成分の品質を損なうことなく、これらを安定かつ高濃度に内包したリポソームを製造する方法、及び該リポソーム製剤に関し、更に、これらを配合した皮膚化粧料、皮膚外用剤、頭髪化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に、リポソームは、リン脂質と水とを混合して得られるリン脂質の単層あるいは複数層からなる閉鎖小胞体であり、内部の水層あるいは脂質層に種々の物質を内包できる。例えば、水溶性薬効成分は、その中心部または二重層の間に存在でき、一方、親油性薬効成分は二重層中に含有される。
【0003】リポソームは生体膜と類似の脂質から構成されているため、細胞膜と結合しやすく、水分や種々の薬効成分を角質層に運搬できる。また、リポソーム化によって、本来不安定で失活しやすい薬効成分を長期間安定に保つことができる。以上の理由から、近年、スキンクリームなどの皮膚化粧料、育毛剤などの頭髪用化粧料、および軟膏などの皮膚外用剤に、薬効成分を封入したリポソームを製剤そのものとして応用、あるいはこれらの製品中に配合することが求められている。
【0004】薬効成分を封入したリポソームを調製する方法は、薄膜法、逆相蒸発法、エタノール注入法により調製することができる。また更に、高圧ホモジナイザーや超音波乳化機などの、高エネルギーを印加できる乳化機で二次処理することでもリポソームを得ることができる。これらの調製法は例えば「化粧品ハンドブック」(日光ケミカルズ等、平成8年)に記載されている。
【0005】しかしながらこれらのリポソームの調製方法、及びこれらにより得られたリポソーム製剤には、これらを特に化粧料や皮膚外用剤として使用する場合に、以下の問題が指摘されている。すなわち(1)リン脂質を溶解する場合に有機溶剤を使用するので、最終製品からこれらを完全に除去することが困難であり、化粧料や皮膚外用剤に応用する場合、安全性の面で支障をきたす。
(2)有機溶媒を使用する方法は、調製中に有機溶媒が飛散し、環境に影響を与える。また、これを回避するための溶媒回収装置等にコストがかかる。
(3)工程が煩雑で工業スケールでの製造が困難である。特に、薄膜法は、有機溶剤を除去してリン脂質薄膜を得る工程が、工業スケールでは、実用上不可能である。
(4)超音波乳化機や高圧ホモジナイザー等の強い機械力を使用して、リン脂質と、場合によりそこに親油性の内包物を予め混合した油相を、直接水相に分散させる方法は、工程が簡便で、工業スケールでの製造に適するが、リポソームの生成率が十分でなく、内包率も小さい。また、攪拌の際に発生する熱や高せん断力により、不安定な薬効成分を封入する場合、分解や変性の問題が生ずる。
【0006】これらの方法は、簡便で工業スケールでの製造に適するので汎用されている方法であるが、得られたリポソームの安定性が低く、これを化粧料や皮膚外用剤として直接応用することは困難である。特に、このリポソームを化粧料や皮膚外用剤の製剤に配合すると、乳化剤等他の成分の影響で、安定性が著しく低下することが問題となっている。
【0007】一方、好適なリポソームの製造法法として、超臨界炭酸ガスをリポソームの調製に使用する技術が特開平6−315624等に開示されている。しかしながらこれらの方法は、脂質膜として好適に使用できるリン脂質が1−n−ヘキサデカノイル―2―(9−シス−オクタデセノイル)―3―sn−ホスファチジルコリンに限定されている。このものは、工業的に得られるリン脂質とは異なり、合成や精製が煩雑で、工業的規模での生産には不適当であることが指摘される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、化粧料や皮膚外用剤として実用に耐えうる安定性と、親水性薬効成分や親油性薬効成分を安定かつ高率で内包したリポソームを得ることを目的として、薬効成分の安定性を損なうことのない工業スケールでの製造に適する方法を見出すこと、及びリポソームの生成率と薬効成分の内包率を高め、かつリポソームと薬効成分の安定性を確保すること、更に製品中に残留する懸念のある有機溶媒を使用しない調製方法を見出すことを課題とした。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記の課題を解決するべく鋭意研究した結果、超臨界あるいは亜臨界炭酸ガスを使用してリポソームを調製する方法が、従来法に比べてリポソームの生成率と薬効成分の内包率が高いこと、また薬効成分の残存率が従来法によるリポソームに比べて高いことを見出した。また更に実質的に有機溶剤を用いない工業的スケールでの応用可能な製造方法であることを確認し、本発明を完成した。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明で用いる超臨界状態あるいは亜臨界状態の炭酸ガスの好適な圧力としては50Kg/cm〜500Kg/cm、好ましくは、75Kg/cm〜500Kg/cm、より好ましくは、100Kg/cm〜400Kg/cmである。また好適な超臨界状態あるいは亜臨界状態の炭酸ガスの温度としては25℃〜200℃、好ましくは、31℃〜100℃、より好ましくは、35℃〜80℃である。
【0011】本発明のリポソームの好適な調製方法としては以下の通りである。すなわち上記の好適な圧力及び温度の超臨界状態あるいは亜臨界状態の炭酸ガスに、脂質膜成分であるリン脂質と、必要に応じて親油性の薬効成分を加えて撹拌・溶解させる。また必要に応じてリン脂質等の溶解性を高めるために化粧品等に許容される溶媒を併用することもできる。続いて所定の水相を連続的に添加する。水相の添加により、水/炭酸ガスエマルションが形成され、水相の添加量の増大とともに系の相転移が起こり、水/炭酸ガスエマルション+炭酸ガス/水エマルションの2相系を経て、過剰な炭酸ガスが炭酸ガス/水エマルションと分離した2相系となる。ここで減圧して、炭酸ガスを気化・回収すれば、所望するリポソームを得ることができる。
【0012】また更に、特開平6−315624や特表平9−502644で開示されている連続法でも、好適に調製することができる。
【0013】本発明に用いる脂質膜の成分としては、リン脂質または糖脂質が好適に使用できる。またこれらは単一でも、併用してもかまわない。
【0014】本発明に用いるリン脂質としては、その種類に特に限定されることなく、また飽和脂肪酸・不飽和脂肪酸を問わず脂肪酸構成にも限定されない。
【0015】具体的にリン脂質としては、大豆、卵黄等から得られるレシチン、リゾレシチンおよびまたはこれらの水素添加物、水酸化物等の誘導体が挙げられる。更には、ホスファチジルコリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、スフィンゴミエリン等が挙げられる。その際に、構成リン脂質は、特に限定されず、また、構成脂肪酸は、特に限定されることはなく、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸のどちらでもよい。
【0016】具体的に糖脂質としては、ジガラクトシルジグリセリド、ガラクトシルジグリセリド硫酸エステル等のグリセロ脂質、ガラクトシルセラミド、ガラクトシルセラミド硫酸エステル、ラクトシルセラミド、ガングリオシドG7、ガングリオシドG6、ガングリオシドG4等のスフィンゴ糖脂質等が好適に使用できる。
【0017】本発明のリポソームを調製するには、これら脂質膜成分を、前述した超臨界状態、およびまたは亜臨界状態の炭酸ガスを含む超臨界あるいは亜臨界流体中に溶解、分散、あるいは混合させることが好ましい。その際に、低級アルコール、グリコール、グリコールエーテル、グリコールエステル、炭酸アルキルの1種又は2種以上を併用すると、前記した超臨界あるいは亜臨界流体に対する脂質膜成分の溶解性が向上し、更に好ましい。
【0018】好ましい低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等が挙げられ、安全性の面から、エタノールが特に望ましい。
【0019】好ましいグリコール、グリコールエーテル、グリコールエステルとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、エチルカービトール、ブチルカービトール、ジエチレングリコールジエチルエーテル、これらグリコール類のアルキルエステル等が挙げられる。
【0020】好ましい炭酸アルキルとしては、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート等の炭酸アルキルが挙げられる。
【0021】本発明のリポソームには、親水性薬効成分、およびまたは親油性薬効成分を内包させることで、化粧料、皮膚外用剤に好適に使用できる。好適な薬効成分としては、抗酸化剤、抗菌剤、抗炎症剤、血行促進剤、美白剤、肌荒れ防止剤、老化防止剤、発毛促進剤、、保湿剤、ホルモン剤、ビタミン類、色素、およびタンパク質類が挙げられる。
【0022】好適な抗酸化剤としては、トコフェロール類、天然ビタミンE類およびそれらの脂肪酸エステル類、BHT、BHA、ヒドロキシアニソール、t-ブチルハイドロキノン、ノルジヒドログアヤレチン、没食子酸アルキルエステル類、チオジプロピオン酸ジラウリル、トリルビグアナイド、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、エリソルビン酸およびその塩類、L−アスコルビン酸およびその塩類、脂肪酸アスコルビル類、茶エキス、リンゴエキス等のカテキン類、カテキン誘導体類、およびポリフェノール類等が挙げられる。また、チオタイン、グルタチオン、チオタウリン、ヒポタウリン等の還元性基を有するアミノ酸も好ましい。
【0023】好適な抗菌剤としては、安息香酸、ウンデシレン酸、サリチル酸、ソルビン酸、デヒドロ酢酸、パラオキシ安息香酸アルキルエステル等の有機酸およびその塩類や誘導体類、イソプロピルメチルフェノール、クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、フェノール、クレゾール、チモール、トリクロサン等のフェノール類、ヒノキチオール、ヒバオイル、茶エキス、リンゴエキス、グレープフルーツ種子エキス等の植物抽出油類、植物抽出物類、カテキン類、カテキン誘導体類、およびポリフェノール類等が挙げられる。また、クロラミンT、ジンクピリチオン等も好ましい。
【0024】好適な抗炎症剤としては、ε−アミノカプロン酸、トラネキサム酸、トラネキサム酸アルキルエステル、グルチルリチン酸、グリチルリチン酸アルキルエステル、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸アルキルエステル、塩化リゾチーム、グアイアズレン、ヒドロコルチゾン、シソエキス、イチョウエキス、海藻エキス等の植物抽出物等が挙げられる。
【0025】好適な血行促進剤としては、イチョウエキス、センブリエキス、セリコサイド、マロニエエキス等の植物抽出物、トコフェロール類、およびビタミンEとその誘導体、γ−オリザノール等が挙げられる。
【0026】好適な美白剤としては、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、アスコルビン酸硫酸エステルナトリウム、アスコルビン酸グリセリル(ポリグリセリル)エーテル類、アスコルビン酸グリセリル(ポリグリセリル)エステル類、アスコルビン酸グルコシド(グリコシド)類、アスコルビン酸アルキルエステル類、アスコルビン酸アルキルエーテル類等のビタミンC類およびその誘導体、コウジ酸、アルブチン、プラセンタエキス、イオウ等が挙げられる。
【0027】また、油溶性甘草エキス、クワエキス、シャクヤクエキス、トウキエキス、ワレモコウエキス、マロニエ樹皮エキス、カミツレエキス等の植物抽出物、更には、リノール酸、リノレン酸、乳酸、トラネキサム酸等も好ましい。
【0028】好適な肌荒れ防止剤、保湿剤としては、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール等の多価アルコール、トレハロース、マルトース等の糖類、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、キチン・キトサン等の生体高分子、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ヒドロキシプロリン等のアミノ酸類、乳酸ナトリウム、尿素、スフィンゴ脂質、セラミド類、コレステロールおよびその脂肪酸エステルやポリオキシエチレン付加物等の誘導体が挙げられる。また、スクワラン、スクワレン等の炭化水素油、ククイナッツ油、ボラジ油、ローズヒップ油等のグリセライド類も好適に使用できる。
【0029】好適な老化防止剤としては、前述した抗酸化剤、保湿剤、血行促進剤、肌荒れ防止剤が挙げられる。また、α−ヒドロキシ酸、ビタミンAおよびその誘導体、ビタミンAアルコールおよびその誘導体が好適に使用できる。
【0030】好適な発毛促進剤としては、トウガラシチンキ、トウキンセンカエキス、オウゴウエキス、センブリエキス等の植物抽出物、ステロール類およびステロール配糖体類、、リノール酸、リノレン酸、ペンタデカン酸等の脂肪酸類およびそのグリセライド等の誘導体、エチニルエストラジオール等のホルモン、また、ミノキシジル等が挙げられる。
【0031】好適なホルモン剤としては、コルチコステロン、アンドステロン、ハイドロコルチゾン、β−エストランジオール等のステロイドホルモン、プロスタグランジン等が挙げられる。
【0032】好適なビタミン類としては、ビタミンA群、ビタミンB群、ビタミンC群、ビタミンE群、ビタミンK群より任意に選択された1種又は2種以上が使用でき、これらの親油性および親水性誘導体も好適である。
【0033】また、ユビキノン類のような補酵素、カルニチン、フェルラ酸、γ−オリザノール、α−リポ酸、オロット酸等のビタミン用作用因子も好適に使用できる。
【0034】好適な色素としては、法定色素(タール色素)、および、フラボノイド、カロチノイド、キノン、ポリフィリン、ジケトン、ビオフラボノイド、フラビン、ベタシアニジン等の骨格を有する天然色素から任意に選択した1種又は2種以上が好適に使用できる。
【0035】好適なタンパク質類としては、アミノ酸類、および、加水分解エラスチン、水溶性エラスチン、加水分解コラーゲン、小麦ペプチド、大豆ペプチド、カチオン化ペプチド、アシルペプチド等のタンパク質変性物、また、カゼイン、グルタチオン等が挙げられる。
【0036】本発明のリポソームは、そのままで、また既存の製剤に混合することで、化粧料や皮膚外用剤として使用することができる。既存の製剤に混合する場合は、製剤の最終段階で混合しても良く、製剤の途中、例えば、水相を添加する際に、混合しても良い。混合条件は、通常の化粧料や皮膚外用剤を製造する条件がそのまま適用できる。
【0037】本発明による薬効成分を内包したリポソームは、既存の製剤に混合してもリポソームが安定に保たれ、薬効成分の安定性が損なわれることがない。
【0038】本発明を適用できる化粧料や皮膚外用剤は、一般的に許容される化粧料や皮膚外用剤であれば特に限定されないが、具体的には乳液、ローション、クリーム、サンスクリーン等の基礎化粧料、洗顔料、ボディーソープ等の洗浄料、シャンプー、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、育毛料、整髪料、ヘアトニック、パーマネント・ウェーブ剤、ヘアカラー・ヘアブリーチ等の頭髪用化粧料、リキッドファンデーション、口紅等のメークアップ化粧料、軟膏等の皮膚外用剤等が挙げられる。
【0039】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲がこれらに限定されるものではない。
【0040】なおリン脂質としては水素添加大豆レシチン(レシノール S10:日光ケミカルズ社製)を用いた。リン脂質組成は、薄相クロマトグラフ・蛍光検出法を用いる分析によりホスファチジルコリン31.8重量%、ホスファチジルエタノールアミン31.2重量%、ホスファチジン酸7.8重量%、ホスファチジルイノシトール15.1重量%であった。
<本発明によるリポソームの調製>:実施例1〜10【0041】(1)親水性の薬効成分を内包させたリポソームの調製方法水素添加大豆レシチンと炭酸ガスを、水相を供給するための定量ポンプと攪拌装置を装備したステンレス製オートクレーブに、エタノールとともに仕込んだ。仕込み後、オートクレーブ内を40℃、200Kg/cmとして撹拌し、超臨界炭酸ガス中に、必要に応じて溶媒とともに水素添加大豆レシチン溶解させた。均一溶解後、撹拌を続けながら水溶性薬効成分として表1に示される緑茶カテキン、L−アスコルビン酸、リン酸L−アスコルビルマグネシウム、L−アスコルビン酸グルコシド、グリチルリチン酸ジカリウム、グルタチオンを含む水相を、定量ポンプにより、オートクレーブ内へ連続的に注入した。所定の量を注入後、系内を減圧し炭酸ガスを排出することで、水溶性薬効成分を含むリポソームを得た。
【0042】(2)親油性薬効成分を内包させたリポソームの調製方法水素添加大豆レシチンと炭酸ガス、及び親油性薬効成分として表1に示されるビタミンAアルコール、β−カロチン、天然ビタミンE、セラミドIII、コレステロール、スクワレン、ローズヒップ油、グリチルレチン酸ステアリル、ヒノキチオールを、水相を供給するための定量ポンプと攪拌装置を装備したステンレス製オートクレーブに、エタノールとともに仕込んだ。仕込み後、オートクレーブ内を60℃、200Kg/cmとして撹拌し、超臨界炭酸ガス中に水素添加大豆レシチン及び親油性薬効成分を溶解させた。均一溶解後、同条件で、撹拌を続けながら水相を、定量ポンプによりオートクレーブ内へ連続的に注入した。所定の量を注入後、系内を減圧し、炭酸ガスを排出することで、水溶性薬効成分を含むリポソームを得た。
【0043】(3)親水性の薬効成分、及び親油性薬効成分を内包させたリポソームの調製方法親水性の薬効成分を内包させたリポソームの調製方法、及び親油性薬効成分を内包させたリポソームの調製方法を併用して、親水性の薬効成分及び親油性薬効成分を内包させたリポソームを調製する。
(比較例)
【0044】<高圧ホモジナイーザーを用いるリポソームの調製>:比較例1〜10水素添加大豆レシチンと親油性薬効成分、およびまたは、親水性薬効成分等と水を、予め、ホモミキサーを用いて80℃、8000回転で30分撹拌し、均一分散液を得た。更に、この液を、高圧ホモジナイーザーで、500Kg/cmの圧力下で処理を5回繰り返す連続処理を行ない、親水性、または親油性薬効成分を内包したリポソームを得た。なお、高圧ホモジナイザーで処理した際、処理液の温度は、約80℃となった。
【0045】(薬効成分及びリポソームの安定性評価)薬効成分の安定性は、それぞれの成分について高速液体クロマトグラフ法によりそれぞれ定量を行って、初期添加量に対する残存率から安定性を評価した。リポソームの安定性は、その粒度分布を粒度分布測定装置(コールターカウンターN4MD:コールター社)により測定して、粒子径の増大からその安定性を評価した。
実施例1水素添加大豆レシチン6.0重量%、エタノール7.0重量%、親油性薬効成分としてビタミンAアルコールを0.2重量%、及びグリチルレチン酸ステアリルを0.01重量%、残部として水を用い、本発明の方法によりリポソームを調製した。0℃及び50℃における1ヶ月後の薬効成分の定量値、及びリポソーム平均粒子径の測定値を表1に示した。
【0046】
【表1】

実施例2セレブロシド3.0重量%、親油性薬効成分としてβ−カロチン0.15重量%、及びヒノキチオール0.05重量%、残部として水を用い、本発明の方法によりリポソームを調製した。0℃及び50℃における1ヶ月後の薬効成分の定量値、及びリポソーム平均粒子径の測定値を表2に示した。
【0047】
【表2】

実施例3水素添加大豆レシチン6.0重量%、エタノール7.0重量%、親油性薬効成分として天然ビタミンEを0.2重量%、及びセラミドIIIを0.01重量%、残部として水を用い、本発明の方法によりリポソームを調製した。0℃及び50℃における1ヶ月後の薬効成分の定量値、及びリポソーム平均粒子径の測定値を表3に示した。
【0048】
【表3】

実施例4水素添加大豆レシチン3.0重量%、コレステロール0.01重量%、親油性薬効成分としてびスクワレンを0.2重量%、残部として水を用い、本発明の方法によりリポソームを調製した。0℃及び50℃における1ヶ月後の薬効成分の定量値、及びリポソーム平均粒子径の測定値を表4に示した。
【0049】
【表4】

実施例5水素添加大豆レシチン3.0重量%、セレブロシド3.0重量%、エタノール7.0重量%、コレステロール0.01重量%、親油性薬効成分としてローズヒップ油を0.2重量%、残部として水を用い、本発明の方法によりリポソームを調製した。0℃及び50℃における1ヶ月後の薬効成分の定量値、及びリポソーム平均粒子径の測定値を表5に示した。
【0050】
【表5】

実施例6水素添加大豆レシチン3.0重量%、コレステロール0.01重量%、親水性薬効成分として緑茶カテキンを0.2重量%、残部として水を用い、本発明の方法によりリポソームを調製した。0℃及び50℃における1ヶ月後の薬効成分の定量値、及びリポソーム平均粒子径の測定値を表6に示した。
【0051】
【表6】

実施例7水素添加大豆レシチン6.0重量%、エタノール7.0重量%、親水性薬効成分としてL−アスコルビン酸を0.2重量%、残部として水を用い、本発明の方法によりリポソームを調製した。0℃及び50℃における1ヶ月後の薬効成分の定量値、及びリポソーム平均粒子径の測定値を表7に示した。
【0052】
【表7】

実施例8水素添加大豆レシチン3.0重量%、コレステロール0.01重量%、親水性薬効成分としてL−アスコルビン酸リン酸マグネシウムを0.2重量%、及びグリチルリチン酸ジカリウムを0.1重量%、残部として水を用い、本発明の方法によりリポソームを調製した。0℃及び50℃における1ヶ月後の薬効成分の定量値、及びリポソーム平均粒子径の測定値を表8に示した。
【0053】
【表8】

実施例9水素添加大豆レシチン6.0重量%、エタノール7.0重量%、親水性薬効成分としてL−アスコルビン酸グルコシド0.1重量%、及びグリチルリチン酸ジカリウムを0.1重量%、残部として水を用い、本発明の方法によりリポソームを調製した。0℃及び50℃における1ヶ月後の薬効成分の定量値、及びリポソーム平均粒子径の測定値を表9に示した。
【0054】
【表9】

実施例10水素添加大豆レシチン6.0重量%、エタノール7.0重量%、親水性薬効成分としてグルタチオンを0.2重量%、及び尿素をを0.1重量%、残部として水を用い、本発明の方法によりリポソームを調製した。0℃及び50℃における1ヶ月後の薬効成分の定量値、及びリポソーム平均粒子径の測定値を表10に示した。
【0055】
【表10】

実施例1〜10のリポソームは調製時に内包する薬効成分の分解や損傷が極めて少なく、また更に経時的にも安定であった。更に、リポソームの平均粒径の経時変化は小さく、凝集、分離、沈殿は見られることなく、極めて安定であった。
比較例1水素添加大豆レシチン6.0重量%、エタノール7.0重量%、親油性薬効成分としてビタミンAアルコールを0.2重量%、及びグリチルレチン酸ステアリルを0.01重量%、残部として水を用い、比較例の方法によりリポソームを調製した。0℃及び50℃における1ヶ月後の薬効成分の定量値、及びリポソーム平均粒子径の測定値を表11に示した。
【0056】
【表11】

比較例2セレブロシド3.0重量%、親油性薬効成分としてβ−カロチン0.15重量%、及びヒノキチオール0.05重量%、残部として水を用い、比較例の方法によりリポソームを調製した。0℃及び50℃における1ヶ月後の薬効成分の定量値、及びリポソーム平均粒子径の測定値を表12に示した。
【0057】
【表12】

比較例3水素添加大豆レシチン6.0重量%、エタノール7.0重量%、親油性薬効成分として天然ビタミンEを0.2重量%、及びセラミドIIIを0.01重量%、残部として水を用い、比較例の方法によりリポソームを調製した。0℃及び50℃における1ヶ月後の薬効成分の定量値、及びリポソーム平均粒子径の測定値を表13に示した。
【0058】
【表13】

比較例4水素添加大豆レシチン3.0重量%、コレステロール0.01重量%、親油性薬効成分としてスクワレンを0.2重量%、残部として水を用い、比較例の方法によりリポソームを調製した。0℃及び50℃における1ヶ月後の薬効成分の定量値、及びリポソーム平均粒子径の測定値を表14に示した。
【0059】
【表14】

比較例5水素添加大豆レシチン3.0重量%、セレブロシド3.0重量%、エタノール7.0重量%、コレステロール0.01重量%、親油性薬効成分としてローズヒップ油を0.2重量%、残部として水を用い、比較例の方法によりリポソームを調製した。0℃及び50℃における1ヶ月後の薬効成分の定量値、及びリポソーム平均粒子径の測定値を表15に示した。
【0060】
【表15】

比較例6水素添加大豆レシチン3.0重量%、コレステロール0.01重量%、親水性薬効成分として緑茶カテキンを0.2重量%、残部として水を用い、比較例の方法によりリポソームを調製した。0℃及び50℃における1ヶ月後の薬効成分の定量値、及びリポソーム平均粒子径の測定値を表16に示した。
【0061】
【表16】

比較例7水素添加大豆レシチン6.0重量%、エタノール7.0重量%、親水性薬効成分としてL−アスコルビン酸を0.2重量%、残部として水を用い、比較例の方法によりリポソームを調製した。0℃及び50℃における1ヶ月後の薬効成分の定量値、及びリポソーム平均粒子径の測定値を表17に示した。
【0062】
【表17】

比較例8水素添加大豆レシチン3.0重量%、コレステロール0.01重量%、親水性薬効成分としてL−アスコルビン酸リン酸マグネシウムを0.2重量%、及びグリチルリチン酸ジカリウムを0.1重量%、残部として水を用い、比較例の方法によりリポソームを調製した。0℃及び50℃における1ヶ月後の薬効成分の定量値、及びリポソーム平均粒子径の測定値を表18に示した。
【0063】
【表18】

比較例9水素添加大豆レシチン6.0重量%、エタノール7.0重量%、親水性薬効成分としてL−アスコルビン酸グルコシド0.1重量%、及びグリチルリチン酸ジカリウムを0.1重量%、残部として水を用い、比較例の方法によりリポソームを調製した。0℃及び50℃における1ヶ月後の薬効成分の定量値、及びリポソーム平均粒子径の測定値を表19に示した。
【0064】
【表19】

比較例10水素添加大豆レシチン6.0重量%、エタノール7.0重量%、親水性薬効成分としてグルタチオンを0.2重量%、及び尿素をを0.1重量%、残部として水を用い、比較例の方法によりリポソームを調製した。0℃及び50℃における1ヶ月後の薬効成分の定量値、及びリポソーム平均粒子径の測定値を表20に示した。
【0065】
【表20】

比較例1〜10のリポソームは調製時の機械力や、発生する熱で内包する薬効成分が分解、あるいは損傷し、調製直後から残存率の低下が見られ、また経時的にも不安定であった。更に、リポソームの平均粒径の経時変化が極めて大きく、加えて成分の沈殿や、系の破壊が確認された。特に、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸リン酸マグネシウム、L−アスコルビン酸グルコシドを内包成分とした場合、これらのリポソームは極めて不安定であった。
【0066】更に、本発明のリポソームを用いた化粧品、皮膚外用剤の具体的な処方を示す。
実施例11:エモリエントクリーム(処方)
油相 重量% モノステアリン酸ポリオキシエチレン40 2.0 自己乳化型モノステアリン酸グリセリル 5.0 ステアリン酸 2.0 セタノール 2.0 スクワラン 12.0 マカデミアナッツ油 4.0 メチルポリシロキサン 0.2 防腐剤 適量水相 1,3−ブタンジオール 7.0 精製水 残部リポソーム 実施例1のリポソーム 50.0(調製法)
【0067】油相、水相ともに80℃で加温溶解し、水相を油相に撹拌しながら徐々に加えて乳化する。更に撹拌を続けて冷却し、40℃以下でリポソームを添加、更に撹拌して均一混合した。
実施例12:乳液(処方)
油相 重量% モノステアリン酸ポリオキシエチレン20ソルビタン 1.0% テトラオレイン酸ポリオキシエチレン40ソルビトール0.5 モノステアリン酸ソルビタン 1.0 ステアリン酸 0.5 ベヘニルアルコール 0.5 ミツロウ 0.5 スクワラン 10.0 トリイソオクタン酸グリセリル 10.0 デカオレイン酸デカグリセリル 3.0 1,3−ブタンジオール 7.0 防腐剤 適量水相 キサンタンガム 0.04 トリエタノールアミン 0.05 精製水 残部リポソーム 実施例3のリポソーム 50.0(調製法)実施例11の方法に従って調製した。
実施例13:化粧水1(処方)
A相 重量% クエン酸ナトリウム 0.1 ピロリドンカルボン酸ナトリウム 1.0 1,3−ブタンジオール 5.0 精製水 残部B相 ポリオキシエチレン30ポリオキシプロピレン6 デシルテトラデシルエーテル 0.6 防腐剤 適量 エタノール 10.0リポソーム 実施例6のリポソーム 50.0(調製法)A相、B相ともに50℃で加温溶解し、B相をA相に撹拌しながら徐々に添加し可溶化する。更に撹拌を続けて冷却し、40℃以下でリポソームを添加し、更に撹拌して均一混合した。
実施例14:化粧水2(処方)
A相 重量% クエン酸ナトリウム 0.1 ピロリドンカルボン酸ナトリウム 1.0 1,3−ブタンジオール 5.0 精製水 残部B相 ポリオキシエチレン30ポリオキシプロピレン6 デシルテトラデシルエーテル 0.6 防腐剤 適量 エタノール 10.0リポソーム 実施例8のリポソーム 50.0(調製法)実施例13の方法に従って調製した。
(安定性の評価)
【0068】実施例11〜14の化粧品処方について、6ヶ月間、50℃の恒温槽中に放置し、その外観を目視により観察することにより評価した。
【0069】その結果、これら全ての化粧品処方は凝集、分離、沈殿を起こすことがなく、極めて安定であった。
【0070】
【発明の効果】以上詳しく示したように本発明によれば、親水性薬効成分や親油性薬効成分の品質を損なうことなく、これらを安定かつ高濃度に内包したリポソーム水溶液を製造することができ、またこれらのリポソームを配合した皮膚化粧料、皮膚外用剤、頭髪化粧料を提供される。
【出願人】 【識別番号】598069939
【氏名又は名称】阿部 正彦
【識別番号】500573509
【氏名又は名称】大竹 勝人
【識別番号】000226437
【氏名又は名称】日光ケミカルズ株式会社
【識別番号】000228729
【氏名又は名称】日本サーファクタント工業株式会社
【出願日】 平成13年10月12日(2001.10.12)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−119120(P2003−119120A)
【公開日】 平成15年4月23日(2003.4.23)
【出願番号】 特願2001−314900(P2001−314900)