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【発明の名称】 抗う蝕剤及び口腔用組成物
【発明者】 【氏名】田村 幸吉
【住所又は居所】広島県尾道市向東町14703−10 丸善製薬株式会社内

【要約】 【課題】安全かつ優れたう触予防作用を有する天然系抗う蝕剤及び該抗う触剤を含有する口腔用組成物の提供。

【解決手段】トウダイグサ科フィランツス属植物、ブナ科コナラ属植物、セリ科ハマボウフウ属植物、セリ科カワラボウフウ属植物及びミソハギ科サルスベリ属植物から選ばれる少なくとも1種の植物の抽出物を有効成分として含む抗う蝕剤、又はキダチミカンソウ、ウバメガシ、ハマボウフウ、ボタンボウフウ及びバナバからなる群から選択される少なくとも1種の植物から抽出されるグルコシルトランスフェラーゼ阻害作用物質を有効成分として含む抗う蝕剤、及び該抗う蝕剤を含む口腔用組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 トウダイグサ科フィランツス属植物、ブナ科コナラ属植物、セリ科ハマボウフウ属植物、セリ科カワラボウフウ属植物及びミソハギ科サルスベリ属植物から選ばれる少なくとも1種の植物の抽出物を有効成分として含むことを特徴とする抗う蝕剤。
【請求項2】 キダチミカンソウ、ウバメガシ、ハマボウフウ、ボタンボウフウ及びバナバからなる群から選択される少なくとも1種の植物から抽出されるグルコシルトランスフェラーゼ阻害作用物質を有効成分として含むことを特徴とする抗う蝕剤。
【請求項3】 キダチミカンソウ、ウバメガシ、ハマボウフウ、ボタンボウフウ及びバナバからなる群から選択される少なくとも1種の植物の葉部、茎部、根部又はこれらの混合部位を、水若しくは親水性溶媒又はこれらの混合溶媒で抽出して得られるグルコシルトランスフェラーゼ阻害作用物質を有効成分として含む請求項2に記載の抗う蝕剤。
【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の抗う蝕剤を含有する口腔用組成物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な抗う蝕剤及び該抗う触剤を含有する口腔用組成物に関する。なお、本発明において、口腔用組成物とは、口腔内に一定時間保持される、飲食物を含む幅広い概念を意味する。
【0002】
【従来の技術】う蝕の発生には口腔内の微生物、特にストレプトコッカス・ミュータンス(以下「S.mutans」と略記する)及びストレプトコッカス・ソブリナス(以下「S.sobrinus」と略記する)が産生する酵素であるグルコシルトランスフェラーゼが関与している。
【0003】即ち、口腔内に残った飲食物中のショ糖の一部がグルコシルトランスフェラーゼの作用によって水不溶性且つ付着性の強いグルカンに変化し、それが口腔内微生物と共に歯の表面に付着してプラーク(歯垢)を形成する。そして、プラーク内の微生物が糖類を代謝して酸を作り、この酸が歯のエナメル質を脱灰し侵食するのがう蝕である。また、プラークはう蝕の他、口臭の原因となったり、その進行によって歯周病、歯肉炎、更には歯槽膿漏に発展する場合もある。
【0004】従って、う蝕を防ぐには、歯の表面に付着したプラークを歯磨き等を行って除くだけではなく、口腔におけるS.mutans及びS.sobrinusの増殖やグルコシルトランスフェラーゼの作用を阻害することによってグルカンの生成を防止し、ひいてはプラークが生じないようにするのが最も効果的である。
【0005】このような観点から、近年、グルコシルトランスフェラーゼ阻害作用を有する物質を含有させることにより、う蝕予防作用を付与した口腔用組成物が提供されている。
【0006】このような用途に適したグルコシルトランスフェラーゼ阻害物質としては、例えば、タイソウ、ウイキョウ、芍薬、ゲンチアナ、センソ、龍胆、黄連、センブリ(特開昭58−121218号公報)、エラグ酸及びエラグ酸を含有するゲンノショウコ、ユーカリ(特開昭64−10985号公報)、シャクヤク、ビワヨウ、ジョウインチン、チユ(特開平4−95020号公報)、ムタスティン、生薬タンニン類、エラグ酸、緑茶ポリフェノール、ウーロン茶抽出物などが提案されているが、更なる、安全かつ安価でありながら高いう触防止効果を有する抗う蝕剤の提供が望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、安全かつ優れたう触予防作用を有する天然系抗う蝕剤及び該抗う触剤を含有する口腔用組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、キダチミカンソウ、ウバメガシ、ハマボウフウ、ボタンボウフウ及びバナバからなる群から選択される少なくとも1種の植物の抽出物が、グルコシルトランスフェラーゼ阻害作用を有し、安全な天然系抗う触剤として有効であり、しかも、風味や使用感に対する悪影響が少ないので、広範な口腔用組成物に対して使用できることを知見し、本発明をなすに至った。
【0009】即ち、本発明は、上記課題を解決するため、下記の抗う蝕剤及び口腔用組成物を提供する。
【0010】請求項1の発明は、トウダイグサ科フィランツス属植物、ブナ科コナラ属植物、セリ科ハマボウフウ属植物、セリ科カワラボウフウ属植物及びミソハギ科サルスベリ属植物から選ばれる少なくとも1種の植物の抽出物を有効成分として含むことを特徴とする抗う蝕剤である。
【0011】請求項2の発明は、キダチミカンソウ、ウバメガシ、ハマボウフウ、ボタンボウフウ及びバナバからなる群から選択される少なくとも1種の植物から抽出されるグルコシルトランスフェラーゼ阻害作用物質を有効成分として含むことを特徴とする抗う蝕剤である。
【0012】請求項3の発明は、キダチミカンソウ、ウバメガシ、ハマボウフウ、ボタンボウフウ及びバナバからなる群から選択される少なくとも1種の植物の葉部、茎部、根部又はこれらの混合部位を、水若しくは親水性溶媒又はこれらの混合溶媒で抽出して得られるグルコシルトランスフェラーゼ阻害作用物質を有効成分として含む請求項2に記載の抗う蝕剤である。
【0013】請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の抗う蝕剤を含有する口腔用組成物である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明について更に詳しく説明する。本発明の抗う蝕剤は、第1の態様として、トウダイグサ科フィランツス属植物、ブナ科コナラ属植物、セリ科ハマボウフウ属植物、セリ科カワラボウフウ属植物及びミソハギ科サルスベリ属植物から選ばれる少なくとも1種の植物の抽出物を有効成分として含むものである。
【0015】また、本発明の抗う蝕剤は、第2の態様として、キダチミカンソウ、ウバメガシ、ハマボウフウ、ボタンボウフウ及びバナバからなる群から選択される少なくとも1種の植物から抽出されるグルコシルトランスフェラーゼ阻害作用物質を有効成分として含むものである。
【0016】前記トウダイグサ科フィランツス属(Euphorbiaceae)植物としては、キダチミカンソウ(Phyllanthus niruri var. amarus Leamdri)、ユカン(Phyllanthus emblica)などが挙げられ、これらの中でも、キダチミカンソウが好ましい。キダチミカンソウは、熱帯〜暖帯に広く分布し、耕地、路地に普通に見られる植物であり、茎部、葉部(全草)を用いることができる。
【0017】前記ブナ科コナラ属(Fagaceae)植物としては、ウバメガシ(Quercus phillyraeoides A. Gray)、ミズナラ(Quercus mongolica var. grosseserrata (Bl.)Rehd.et Wils.)、シラカシ、コナラなどが挙げられ、これらの中でも、ウバメガシが好ましい。ウバメガシは、小型でつやのある常緑の葉を密に付け、生垣や庭木としてよく植えられる樹木である。本州の神奈川県以西、四国、九州、沖縄、中国大陸に幅広く分布し、葉部を用いることができる。
【0018】セリ科ハマボウフウ属(Umbelliferae)植物としては、ハマボウフウ(Glehnia littoralis F. Schmidt ex Miq.)などが挙げられる。ハマボウフウは、海岸に生える多年草であり、日本全土、朝鮮、中国大陸などに幅広く分布し、葉部又は根部を用いることができる。
【0019】セリ科カワラボウフウ属(Umbelliferae)植物としては、ボタンボウフウ(Peucedanum japonicum Thunb.)、ノダケ、イノンド、カワラボウフウなどが挙げられ、これらの中でも、ボタンボウフウが好ましい。ボタンボウフウは、海岸に生える多年草であり、関東以西、四国、九州、沖縄、朝鮮、中国大陸、フィリピンなどに分布し、葉部又は根部を用いることができる。
【0020】ミソハギ科サルスベリ属(Lythraceae)植物としては、バナバ(Lagerstroemia speciosa l.)、シマサルスベリなどが挙げられ、これらの中でも、バナバが好ましい。バナバは、オオバナサルスベリともいわれ、東南アジア原産であり、葉部を用いることができる。
【0021】上記抽出原料である植物は、1種を単独で用いても、又は2種以上を併用してもよい。例えば、キダチミカンソウ、ウバメガシ、ハマボウフウ、ボタンボウフウ及びバナバの全てを混合してもよいし、キダチミカンソウとウバメガシとの組み合わせ、キダチミカンソウとハマボウフウとの組み合わせ、キダチミカンソウとボタンボウフウとの組み合わせ、キダチミカンソウとバナバとの組み合わせ、ハマボウフウとボタンボウフウとの組み合わせなどが好適である。
【0022】前記本発明の抗う蝕剤の抽出原料となる植物は、各植物体は自然界に大量に存在しており、安定供給が可能であり、また、古くから食用、薬用に供せられている安全性の高いものである。なお、本発明の抗う触剤の有効成分であるグルコシルトランスフェラーゼ阻害作用が抽出物中のいかなる化合物によるものなのかは確認されていないが、おそらくは、複数の化合物の作用が複合しているものと推察される。
【0023】また、本発明の抗う蝕剤は、前記抽出原料である植物の葉部、茎部、根部又はこれらの混合部位を生のまま又は乾燥した後、そのまま又は粉砕機を用い粉砕して溶媒抽出に供することにより得ることができる。抽出に用いる溶媒としては、水若しくは親水性溶媒又はこれらの混合溶媒を室温乃至溶媒の沸点程度の温度で用いることが好ましい。
【0024】前記抽出溶媒として使用し得る水としては、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等の他、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、滅菌、ろ過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等が含まれる。従って、本発明において抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
【0025】前記親水性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロピレンアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコールなどが挙げられ,これら親水性有機溶媒と水との混合溶媒などを用いることができる。なお、水と親水性有機溶媒との混合系溶媒を使用する場合には、低級アルコールの場合は水10質量部に対して1〜990質量部、低級脂肪族ケトンの場合は水10質量部に対して1〜990質量部、多価アルコールの場合は水10質量部に対して1〜990質量部添加することが好ましい。
【0026】本発明において、抗う蝕剤の有効成分を抽出するにあたり特殊な抽出方法を採用する必要はなく、室温乃至還流加熱下で、任意の装置を用いて抽出することができる。具体的には、抽出溶媒を満たした処理槽に抽出原料を投入し、時々撹拌して可溶性成分を溶出する。その後、濾過して抽出残渣を除き、得られた抽出液を濃縮、乾燥することにより、有効成分を含有する抽出物を得ることができる。
【0027】抽出条件は、抽出溶媒として水を用いた場合は、通常40〜90℃で30分〜2時間程度である。また、抽出溶媒として水とエタノールとの混合溶媒を用いた場合には、通常40〜80℃で30分〜2時間程度である。なお、溶媒で抽出することにより得られる抽出液は、抽出溶媒が安全性の高いものであればそのまま配合して本発明の抗う触剤として用いることができる。
【0028】また、得られる抽出液を脱色、脱臭、活性向上等を目的として精製することもできる。精製手段としては、特に制限されず、活性炭処理、樹脂吸着処理、イオン交換樹脂処理、液−液向流分配等の方法が挙げられる。例えば、セパビーズSP−207、ダイヤイオンHP−20(いずれも三菱化学(株)製)等の多孔性樹脂と濃縮液とを接触させる樹脂吸着精製法等を採用することができる。なお、樹脂に吸着された有効成分は水、エタノールなどで溶出させることができる。
【0029】上述のようにして得られるこれらの植物の抽出液又は抽出物は、そのままでも抗う蝕剤として利用可能であるが、必要に応じて、他の活性物質や成形助剤と共に、任意の剤形の抗う触剤とすることができる。
【0030】本発明の抗う触剤は、各種口腔用組成物に添加して口腔内におけるグルカン生成の防止に寄与することができる。前記口腔用組成物としては、各種歯磨き類、マウスウォッシュ、トローチ、口腔用パスタ、歯肉マッサージクリーム、うがい剤、口中清涼剤、菓子、パン、キャンディー、チューインガム、グミ、ゼリー、チョコレート、錠菓、ペットフードなどが挙げられる。この場合、抗う触剤の口腔用組成物に対する配合量は活性の強さや添加対象物によって異なり一概には規定することはできないが、前記植物の抽出物として約0.001〜5.0質量%であり、特に約0.05〜1.0質量%であることが好ましい。
【0031】本発明の口腔用組成物には、前記植物の抽出物以外にも他のグルコシルトランスフェラーゼ阻害剤やプラーク形成抑制剤を併用してもよく、また、S.mutans及びS.sobrinusに対して有効な抗菌剤を添加してもよい。更に、任意の抗炎症剤、抗菌剤、消臭剤等を添加することにより、口腔用剤として一層優れたものを提供することができる。
【0032】前記抗炎症剤としては、例えば、アセンヤク、カンゾウ、ウワウルシ、オウゴン、コウキ、サイコ、サンザシ、シゾ、シャクヤク、ソウハクヒ、キョウニン、タイソウ、チョウジ、トウニン、ニクズク、ボタンピ、クワの葉等の抽出物;アズレン、アラントイン、ウルソール酸、オレアノール酸、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸又はその誘導体;トコフェロール、トラネキサム酸などを挙げることができる。
【0033】前記抗菌剤としては、例えば、ゴバイシ、サイシン、サンショ、ショウキョウ、ディル、タイム、ローズマリー、油溶性甘草エキス等の抽出物;アスコルビン酸、ムタスティン、フミン酸、リノール酸、リノレン酸などを挙げることができる。
【0034】前記消臭剤としては、例えば、アマチャ、ウイキョウ、ウラジロガシ、ケイヒ、コショウ、メース、セージ、シソ、イチョウ、カキ葉、緑茶、ウーロン茶、トウガラシ、タマリンドハスク等の抽出物;ロジン、カキ渋、アクチゾル、クロロフィリン誘導体、エラグ酸、クロルヘキシジン、メイラード反応物などを挙げることができる。
【0035】また、本発明の口腔用組成物には、上記成分以外にも口腔用組成物に普通に用いられる研磨剤、界面活性剤、粘着剤、粘稠剤、甘味剤、防腐剤、香料、各種色素などを目的に応じて適宜選択して配合することができる。例えば、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、アルミノシリケート、無水ケイ酸、レジン等の研磨剤;長鎖アルキル硫酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、ラウリルジエタノールアマイド、ショ糖脂肪酸エステル等の界面活性剤;CMC、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸塩、カラゲナン、アラビアガム、ポリビニルアルコール等の粘着剤;ポリエチレングリコール、ソルビトール、グリセリン、プロピレングリコール等の粘稠剤;サッカリン、ステビオサイド類、グリチルリチン酸、ソーマチン、アスパルテーム等の甘味剤;デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム等の防腐剤;メントール、カルボン、オイゲノール、アネトール、ハッカ油、スペアミント油、ペパーミント油、ユーカリ油、ジンジャー油、アニス油等の香料;各種色素などを配合し得る。
【0036】
【実施例】以下、製造例及び実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0037】〔製造例1〕 キダチミカンソウ抽出物キダチミカンソウ全草部(100g)に50質量%エタノール(1000mL)を加え、還流冷却器を用いて、80℃にて2時間抽出を行った後、濾紙にて濾過し、抽出液を得た。得られた抽出液を減圧下に濃縮、乾燥を行い、キダチミカンソウ抽出物26.0g(粉末)を得た(収率26.0%)。
【0038】〔製造例2〕 ウバメガシ抽出物ウバメガシ葉部(100g)に水(1000mL)を加え、還流冷却器を用いて、80℃にて2時間抽出を行った後、濾紙にて濾過し、抽出液を得た。得られた抽出液を減圧下に濃縮、乾燥を行い、ウバメガシ抽出物29.1g(粉末)を得た(収率29.1%)。
【0039】〔製造例3〕 ハマボウフウ葉抽出物ハマボウフウ葉部(100g)に50質量%アセトン(1000mL)を加え、還流冷却器を用いて、80℃にて2時間抽出を行った後、濾紙にて濾過し、抽出液を得た。得られた抽出液を減圧下に濃縮、乾燥を行い、ハマボウフウ葉抽出物23.4g(粉末)を得た(収率23.4%)。
【0040】〔製造例4〕 ハマボウフウ根抽出物ハマボウフウ根部(100g)にエタノール(1000mL)を加え、還流冷却器を用いて、80℃にて2時間抽出を行った後、濾紙にて濾過し、抽出液を得た。得られた抽出液を減圧下に濃縮、乾燥を行い、ハマボウフウ根抽出物15.8g(粉末)を得た(収率15.8%)。
【0041】〔製造例5〕 ボタンボウフウ葉抽出物ボタンボウフウ葉部(100g)に70質量%エタノール(1000mL)を加え、還流冷却器を用いて、80℃にて2時間抽出を行った後、濾紙にて濾過し、抽出液を得た。得られた抽出液を減圧下に濃縮、乾燥を行い、ボタンボウフウ葉抽出物22.3g(粉末)を得た(収率22.3%)。
【0042】〔製造例6〕 ボタンボウフウ根抽出物ボタンボウフウ根部(100g)に水(1000mL)を加え、還流冷却器を用いて、80℃にて2時間抽出を行った後、濾紙にて濾過し、抽出液を得た。得られた抽出液を減圧下に濃縮、乾燥を行い、ボタンボウフウ根抽出物30.2g(粉末)を得た(収率30.2%)。
【0043】〔製造例7〕 バナバ抽出物バナバ葉部(100g)に70質量%アセトン(1000mL)を加え、還流冷却器を用いて、80℃にて2時間抽出を行った後、濾紙にて濾過し、抽出液を得た。得られた抽出液を減圧下に濃縮、乾燥を行い、バナバ抽出物23.5g(粉末)を得た(収率23.5%)。
【0044】〔実施例1〜7〕 グルコシルトランスフェラーゼ阻害試験製造例1のキダチミカンソウ抽出物(実施例1)、製造例2のウバメガシ抽出物(実施例2)、製造例3のハマボウフウ葉抽出物(実施例3)、製造例4のハマボウフウ根抽出物(実施例4)、製造例5のボタンボウフウ葉抽出物(実施例5)、製造例6のボタンボウフウ根抽出物(実施例6)、製造例7のバナバ抽出物(実施例7)を50質量%エタノールで溶解及び希釈することによって、それぞれ試料濃度3.125μg/mL〜40mg/mLの試料溶液を調製した。
【0045】得られた各試料溶液50μL、アジ化ナトリウム0.1%を含有した2%ショ糖水溶液1000μL、粗グルコシルトランスフェラーゼ溶液(S.mutansより調製したもの)50μL及び蒸留水900μLを試験管に加え、混合した。37℃で5時間反応させた後、生成したグルカンを撹拌器により水中に分散させ、550nmの吸光度を濁度の指標として測定した。別に、コントロールとして、各試料溶液の代わりに試料溶液の溶媒を加えた場合について同様の操作を行った。更に、それぞれの場合について粗グルコシルトランスフェラーゼ溶液を添加せずに同様の操作と測定を行った。
【0046】得られた測定結果から、下記計算式によりグルコシルトランスフェラーゼ活性の阻害率を算出した。
<数式1>阻害率(%)=[1−(A−B)/(C−D)]×100但し、A:試料溶液の酵素反応後の吸光度B:試料溶液の酵素無添加時の吸光度C:コントロールの酵素反応後の吸光度D:コントロールの酵素無添加時の吸光度【0047】各反応溶液の試料濃度を0.078〜1000μg/mLに段階的に変化させて上記グルコシルトランセフェラーゼ活性阻害率の測定を行い、阻害率が50%になる各反応溶液の試料濃度(IC50)(μg/mL)を求めた。結果を表1に示す。なお、IC50が1000μg/mL以下であるとグルコシルトランスフェラーゼ阻害作用が充分であると判断できる。
【0048】
【表1】

【0049】表1の結果から、キダチミカンソウ抽出物、ウバメガシ抽出物、ハマボウフウ葉抽出物、ハマボウフウ根抽出物、ボタンボウフウ葉抽出物、ボタンボウフウ根抽出物及びバナバ抽出物が、充分なグルコシルトランスフェラーゼ阻害作用を有することが確認できた。
【0050】〔実施例8〕 練り歯磨き下記の原料を混合して、う蝕防止作用を有する練り歯磨きを製造した。
製造例1のキダチミカンソウ抽出物 1質量部 第二リン酸カルシウム 45質量部 CMC・ナトリウム塩 1質量部 グリセリン 20質量部 ラウリル硫酸ナトリウム 2質量部 1−メントール 1質量部 水 30質量部【0051】〔実施例9〕 練り歯磨き下記の原料を混合して、う蝕防止作用を有する練り歯磨きを製造した。
製造例4のハマボウフウ根抽出物 3質量部 第二リン酸カルシウム 45質量部 CMC・ナトリウム塩 1質量部 グリセリン 20質量部 ラウリル硫酸ナトリウム 2質量部 1−メントール 1質量部 水 30質量部【0052】〔実施例10〕 マウスウォッシュ下記の原料を混合して、う蝕防止作用を有するマウスウォッシュを製造した。
製造例2のウバメガシ抽出物 1質量部 エタノール 20質量部 グリセリン 0.2質量部 クロルヘキシジン 5質量部 1−カルボン 0.005質量部 水 74質量部【0053】〔実施例11〕 マウスウォッシュ下記の原料を混合して、う蝕防止作用を有するマウスウォッシュを製造した。
製造例5のボタンボウフウ葉抽出物 3質量部 エタノール 20質量部 グリセリン 0.2質量部 クロルヘキシジン 5質量部 1−カルボン 0.005質量部 水 74質量部【0054】〔実施例12〕 チューインガム下記の原料をチューインガム製造の常法により処理して、う蝕予防作用を有するチューインガムを製造した。
製造例3のハマボウフウ葉抽出物 5質量部 チューインガムベース 20質量部 ショ糖 50質量部 水飴 20質量部 軟化剤 4質量部 香料 1質量部【0055】〔実施例13〕 チューインガム下記の原料をチューインガム製造の常法により処理して、う蝕予防作用を有するチューインガムを製造した。
製造例6のボタンボウフウ根抽出物 5質量部 チューインガムベース 20質量部 ショ糖 50質量部 水飴 20質量部 軟化剤 4質量部 香料 1質量部【0056】〔実施例14〕 下記の原料を飴製造の常法により混合、濃縮、成形して、う蝕予防作用を有する飴を製造した。
製造例7のバナバ抽出物 3質量部 ショ糖 70質量部 水飴 30質量部 クエン酸 1質量部 香料 0.1質量部 水 15質量部【0057】
【発明の効果】本発明の抗う蝕剤は、添加対象物となる口腔用組成物の風味や使用感に対する悪影響が少ないので、広範な口腔用組成物に対して使用できる。また、本発明の抗う蝕剤の有効成分の抽出原料となる各植物体は自然界に大量に存在しており、安定供給が可能であるので、本発明の抗う蝕剤は安全かつ安価に製造することができる。
【出願人】 【識別番号】591082421
【氏名又は名称】丸善製薬株式会社
【住所又は居所】広島県尾道市向東町14703番地の10
【出願日】 平成13年10月15日(2001.10.15)
【代理人】 【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広 (外1名)
【公開番号】 特開2003−119117(P2003−119117A)
【公開日】 平成15年4月23日(2003.4.23)
【出願番号】 特願2001−316434(P2001−316434)