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【発明の名称】 化粧料並びに化粧料用組成物
【発明者】 【氏名】宮川 さつき
【住所又は居所】東京都北区栄町48番18号 株式会社コーセー研究本部内

【氏名】鈴木 一弘
【住所又は居所】東京都北区栄町48番18号 株式会社コーセー研究本部内

【要約】 【課題】化粧効果とその持続性に優れ、経時的安定性も良好な化粧料を提供する。

【解決手段】次の成分(A)〜(D):(A)一単糖単位あたりの脂肪酸エステル化度が2.2以上の、イヌリン及び/又は加水分解イヌリン糖脂肪酸エステルであり、該エステルのアシル基において、総アシル基の60モル%以上が、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、エイコサノイル基、ドコサノイル基から選ばれる一種又は二種以上であるイヌリン及び/又は加水分解イヌリン糖脂肪酸エステル(B)特定成分を共重合して得られる、アクリル−シリコーン系グラフト共重合体(C)揮発性環状シリコーン(D)化粧料用粉体を含有することを特徴とする化粧料、並びに化粧料用組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】次の成分(A)〜(D);
(A)一単糖単位あたりの脂肪酸エステル化度が2.2以上の、イヌリン及び/又は加水分解イヌリン糖脂肪酸エステルであり、該エステルのアシル基において、総アシル基の60モル%以上が、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、エイコサノイル基、ドコサノイル基から選ばれる一種又は二種以上であるイヌリン及び/又は加水分解イヌリン糖脂肪酸エステル(B)下記の成分(a)及び(b)を必須成分として共重合して得られる、アクリル−シリコーン系グラフト共重合体成分(a):下記一般式で表される、分子中にラジカル重合性基を有するオルガノポリシロキサン化合物【化1】

(式中、Rは水素原子又はメチル基。Rは場合によりエーテル結合1個又は2個で遮断されている直鎖状又は分岐鎖状の炭素鎖を有する炭素原子1〜10個の2価の飽和炭化水素基。Rは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン置換アルキル基、オルガノポリシロキシ基、2価アルキル基で連結されるオルガノポリシロキシ基から選ばれる、互いに異なっていても良い、一種又は二種以上の置換基。nは1.5〜2.5、mは1〜300。)
成分(b):N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、マレイン酸、マレイン酸ハーフエステル、フマール酸、イタコン酸、クロトン酸、グリセロールモノアクリレート、グリセロールモノメタクリレート、N−ビニルホルムアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級塩、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド四級塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート四級塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド四級塩、リン酸基含有ラジカル重合性モノマー、スルホン酸基含有ラジカル重合性モノマーから選ばれる水溶性ラジカル重合性モノマーの一種又は二種以上の組合わせ。
(C)揮発性環状シリコーン(D)化粧料用粉体を含有することを特徴とする化粧料。
【請求項2】成分(A)のイヌリン及び/又は加水分解イヌリン糖脂肪酸エステルのアシル基において、総アシル基の60モル%以上が、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、エイコサノイル基、ドコサノイル基から選ばれる一種又は二種以上の組合わせであり、残アシル基40モル%中に、分岐炭化水素骨格を有するアシル基を含有しているイヌリン及び/又は加水分解イヌリン糖脂肪酸エステルであることを特徴とする請求項1記載の化粧料。
【請求項3】成分(C)が、オクタメチルシクロテトラシロキサン及び/又はデカメチルシクロペンタシロキサンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧料。
【請求項4】油中水型乳化化粧料であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の化粧料。
【請求項5】次の成分(A)〜(D);
(A)一単糖単位あたりの脂肪酸エステル化度が2.2以上の、イヌリン及び/又は加水分解イヌリン糖脂肪酸エステルであり、該エステルのアシル基において、総アシル基の60モル%以上が、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、エイコサノイル基、ドコサノイル基から選ばれる一種又は二種以上であるイヌリン及び/又は加水分解イヌリン糖脂肪酸エステル(B)下記の成分(a)及び(b)を必須成分として共重合して得られる、アクリル−シリコーン系グラフト共重合体成分(a):下記一般式で表される、分子中にラジカル重合性基を有するオルガノポリシロキサン化合物【化2】

(式中、Rは水素原子又はメチル基。Rは場合によりエーテル結合1個又は2個で遮断されている直鎖状又は分岐鎖状の炭素鎖を有する炭素原子1〜10個の2価の飽和炭化水素基。Rは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン置換アルキル基、オルガノポリシロキシ基、2価アルキル基で連結されるオルガノポリシロキシ基から選ばれる、互いに異なっていても良い、一種又は二種以上の置換基。nは1.5〜2.5、mは1〜300。)
成分(b):N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、マレイン酸、マレイン酸ハーフエステル、フマール酸、イタコン酸、クロトン酸、グリセロールモノアクリレート、グリセロールモノメタクリレート、N−ビニルホルムアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級塩、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド四級塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート四級塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド四級塩、リン酸基含有ラジカル重合性モノマー、スルホン酸基含有ラジカル重合性モノマーから選ばれる水溶性ラジカル重合性モノマーの一種又は二種以上の組合わせ。
(C)揮発性環状シリコーン(D)化粧料用粉体を含有することを特徴とする化粧料用組成物。
【請求項6】成分(A)のイヌリン及び/又は加水分解イヌリン糖脂肪酸エステルのアシル基において、総アシル基の60モル%以上が、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、エイコサノイル基、ドコサノイル基から選ばれる一種又は二種以上の組合わせであり、残アシル基40モル%中に、分岐炭化水素骨格を有するアシル基を含有しているイヌリン及び/又は加水分解イヌリン糖脂肪酸エステルであることを特徴とする請求項5記載の化粧料用組成物。
【請求項7】成分(C)が、オクタメチルシクロテトラシロキサン及び/又はデカメチルシクロペンタシロキサンであることを特徴とする請求項5又は6に記載の化粧料用組成物。
【請求項8】請求項5〜7のいずれかに記載の化粧料用組成物を含有することを特徴とする化粧料。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粉体を含有する化粧料並びに化粧料用組成物に関し、更に詳細には、揮発性環状シリコーン及び化粧料用粉体を必須に含有し、高い化粧効果とその持続性、経時的安定性に優れた化粧料の提供を目的とするものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、化粧料、特に化粧効果を必要とするメイクアップ化粧料においては化粧料用粉体の配合が行われている。化粧料用粉体は、目的とする化粧効果により適宜選択され、ファンデーションの様なベースメイク料には、酸化チタン、酸化鉄顔料、タルク、マイカ等の体質粉体、アイシャドウの様なポイントメイク料には、酸化鉄顔料、有機顔料、体質粉体、また、紫外線防御を目的とした化粧料には、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛等が配合される。また、特殊な例として、化粧効果を狙うものではないが、収斂効果を期待して酸化亜鉛を配合する化粧料もある。
【0003】一般的に、これらの化粧料用粉体を、流動性を有する媒質に安定分散するためには、分散剤が使用される。分散剤は、粉体の媒質濡れを促進させると共に、粉体表面に吸着し、立体的な障害を形成して、凝集を防止する役割を持つ。また、媒質の粘性に降伏値を付与するゲル化剤の添加は、比重差によって発生する粉体の沈降や浮遊を防止する効果を有する為、分散剤と併用されることが多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年では、軽く伸び広がり、肌への負担感が少ない化粧料が好まれており、粉体を分散する媒質においても同様である。特に汎用されているものとしてシリコーン油が挙げられ、化粧持続性への配慮で、揮発性のシリコーン油が多用されている。
【0005】オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンに代表される揮発性環状シリコーンを化粧料用粉体の媒質とする場合、ジメチルポリシロキサン構造の一部をポリオキシエチレンで親水化した、所謂ポリオキシエチレン変性シリコーンが使用できるが、分散能力は高くない。そのものの分子量を高くすることで、分散能力の向上はある程度得られるが、分散物の粘度が高くなり、軽い感触も失われる。
【0006】また、媒質の粘性に降伏値を付与するゲル化剤についても、揮発性環状シリコーンに有効なものが限られる。特開平1−190757号公報に開示されるようなオルガノポリシロキサンの三次元架橋体を使用する技術もあるが、降伏値を付与するための必要量が多く、揮発性環状シリコーンの軽い感触を損なってしまうことが多い。したがって、揮発性環状シリコーンの媒質中に粉体を安定的に分散した化粧料や化粧料用組成物の開発が切望されていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、係る実情に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、特定のイヌリン及び/又は加水分解イヌリンと、特定の脂肪酸とのエステル、及び特定のアクリル−シリコーン系グラフト共重合体とを併用することで、粉体を揮発性環状シリコーン中に安定的に分散できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、次の成分(A)〜(D):(A)一単糖単位あたりの脂肪酸エステル化度が2.2以上の、イヌリン及び/又は加水分解イヌリン糖脂肪酸エステルであり、該エステルのアシル基において、総アシル基の60モル%以上が、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、エイコサノイル基、ドコサノイル基から選ばれる一種又は二種以上であるイヌリン及び/又は加水分解イヌリン糖脂肪酸エステル(B)下記の成分(a)及び(b)を必須成分として共重合して得られる、アクリル−シリコーン系グラフト共重合体成分(a):下記一般式で表される、分子中にラジカル重合性基を有するオルガノポリシロキサン化合物【0009】
【化3】

【0010】(式中、Rは水素原子又はメチル基。Rは場合によりエーテル結合1個又は2個で遮断されている直鎖状又は分岐鎖状の炭素鎖を有する炭素原子1〜10個の2価の飽和炭化水素基。Rは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン置換アルキル基、オルガノポリシロキシ基、2価アルキル基で連結されるオルガノポリシロキシ基から選ばれる、互いに異なっていても良い、一種又は二種以上の置換基。nは1.5〜2.5、mは1〜300。)
成分(b):N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、クロトン酸、グリセロールモノアクリレート、グリセロールモノメタクリレート、N−ビニルホルムアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級塩、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド四級塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート四級塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド四級塩、リン酸基含有ラジカル重合性モノマー、スルホン酸基含有ラジカル重合性モノマーから選ばれる水溶性ラジカル重合性モノマーの一種又は二種以上の組合わせ。
(C)揮発性環状シリコーン(D)化粧料用粉体を含有することを特徴とする化粧料、並びに、化粧料用組成物である。さらに、上記成分(A)のイヌリン及び/又は加水分解イヌリン糖脂肪酸エステルのアシル基において、総アシル基の60モル%以上が、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、エイコサノイル基、ドコサノイル基から選ばれる一種又は二種以上の組合わせであり、残アシル基40モル%中に、分岐炭化水素骨格を有するアシル基を含有しているイヌリン及び/又は加水分解イヌリン糖脂肪酸エステルであることを特徴とする化粧料、並びに化粧料用組成物である。さらに、上記成分(C)が、オクタメチルシクロテトラシロキサン及び/又はデカメチルシクロペンタシロキサンであることを特徴とする化粧料、並びに化粧料用組成物である。さらには、上記成分を含有する油中水型乳化化粧料であり、上記化粧料用組成物を含有する化粧料である。以下、詳述する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明に使用される成分(A)は、一単糖単位あたりの脂肪酸エステル化度が2.2以上である、イヌリン及び/又は加水分解イヌリン脂肪酸エステルであり、成分(C)の揮発性環状シリコーンのゲル構造付与剤として機能する。成分(A)に用いられるイヌリン及び/又は加水分解イヌリンは、多糖類の一種であり、D−フルクトースを主要構成糖とするオリゴ糖及びその加水分解物である。イヌリンは、β−1、2結合したフラノイドフルクトース単位の鎖から成り、還元末端において蔗糖結合したα−D−グルコースを有する構造のものである。イヌリンは、キク科植物、例えばチコリ、ダリヤ等の植物から得られる。本発明に使用するイヌリン及び加水分解イヌリンは、フラノイドフルクトース単位が2〜60程度のものが好適に使用できる。成分(A)に用いられる脂肪酸は、炭素数16、18、20、22の直鎖脂肪酸が好ましい。また、成分(A)における、イヌリン及び/又は加水分解イヌリンのフルクトース単位当りの脂肪酸の置換度は、2.2以上が好ましい。置換度が2.2より低いと、揮発性環状シリコーンへの溶解性及びゲル構造性の付与が充分でなく、本発明の目的である分散安定性の確保が困難である。
【0012】本発明に使用される成分(A)においては、該エステルのアシル基において、総アシル基の60モル%以上が、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、エイコサノイル基、ドコサノイル基から選ばれる一種又は二種以上であることが必要である。これらのアシル基総量が60モル%未満であると、化粧料用組成物やそれを配合する化粧料の安定性確保が困難である。アシル基の炭素鎖長においては、ヘキサデカノイル基より炭素数の少ないアシル基では、ゲル構造性の付与が充分でなく、反対にドコサノイル基より炭素数の多いアシル基では、使用時に重い感触を伴ったり、経時でゲル化剤の析出が発生する。
【0013】本発明に使用される成分(A)においては、総アシル基の60モル%以上が、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、エイコサノイル基、ドコサノイル基から選ばれる一種又は二種以上であり、一単糖単位あたりの脂肪酸エステル化度が2.2以上であれば、他のアシル基で置換されていても構わない。他のアシル基を例示するならば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、テトラデカノイル基、テトラコサノイル基、ヘキサコサノイル基、オクタコサノイル基、トリアコンタノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基等が挙げられる。
【0014】本発明に使用される成分(A)のアシル基置換度2.2以上のイヌリン及び/又は加水分解イヌリンの脂肪酸エステルは、当該するイヌリン及び/又は加水分解イヌリンと脂肪酸もしくは脂肪酸誘導体を反応させることにより製造される。脂肪酸誘導体は、酸ハライド、酸無水物等が例示できる。イヌリン及び加水分解イヌリンと脂肪酸もしくは脂肪酸誘導体との反応は、従来公知の方法により容易に行なうことができる。例えば、イヌリン及び加水分解イヌリンをジメチルホルムアミド及びピリジン中に分散させ、これに脂肪酸ハライド又は脂肪酸無水物を加え、60℃前後で約2時間反応させることにより得ることができる。
【0015】本発明に使用される成分(A)においては、安定性の確保と同時に、良好なる流動性を確保したい場合、該エステルのアシル基において、分岐炭化水素骨格を有するアシル基を含有することが望ましい。分岐炭化水素骨格を有するアシル基は、炭素数22以下であることが望ましく、更に望ましくは炭素数18以下である。好適に使用される分岐炭化水素骨格を有するアシル基を例示すると、イソステアロイル基、イソヘキサデカノイル基、イソデカノイル基、イソオクタノイル基等が挙げられる。分岐炭化水素骨格を有するアシル基で置換した成分(A)の場合でも、その総アシル基の60モル%以上は、炭素数16〜22のアシル基であり、一単位糖あたりのアシル基置換度は、2.2以上である必要がある。
【0016】本発明の化粧料における成分(A)の配合量は、化粧料の剤型、用途等により特に限定はできないが、好ましくは0.1〜15質量%、より好ましくは、0.5〜12質量%である。
【0017】本発明に配合される成分(B)は、以下の成分(a)及び(b)を必須成分として共重合して得られるアクリル−シリコーン系グラフト共重合体である。本発明における成分(B)の配合目的は、化粧料並びに化粧料用組成物中での粉体分散性の向上及び確保である。
【0018】成分(a)は、分子中にラジカル重合性基を有するオルガノポリシロキサン化合物であり、下記一般式で表されるものである。
【0019】
【化4】

【0020】式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、場合によりエーテル結合1個又は2個で遮断されている直鎖状又は分岐鎖状の炭素鎖を有する炭素原子1〜10個の2価の飽和炭化水素基を表すものであるが、これは具体的には、−CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH10−、−CHCH(CH)CH−、−CHCHOCHCHCH−、−CHCHOCHCH(CH)CH−、−CHCHOCHCHOCHCHCH−等が例示される。Rは、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン置換アルキル基、オルガノポリシロキシ基、2価アルキル基で連結されるオルガノポリシロキシ基から選ばれる、互いに異なっていても良い、一種又は二種以上の置換基である。nは1.5〜2.5、mは1〜300、好ましくは5〜100である。mが1より小さいと、成分(C)の揮発性環状シリコーン油への溶解性が劣るものとなってしまい、粉体の分散能が発揮できなくなる。また、300を超えると、成分(C)への溶解が非常に長い時間を要するようになり、化粧料用組成物及び化粧料の調製に合理的でない。
【0021】本発明の成分(B)を構成する成分(a)として好適に使用できる、分子中にラジカル重合性基を有するオルガノポリシロキサン化合物としては、以下の構造のものが例示できる。
【0022】
【化5】

【0023】成分(b)は、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、クロトン酸、グリセロールモノアクリレート、グリセロールモノメタクリレート、N−ビニルホルムアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級塩、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド四級塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート四級塩、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド四級塩、リン酸基含有ラジカル重合性モノマー、スルホン酸基含有ラジカル重合性モノマーから選ばれる水溶性ラジカル重合性モノマーの一種又は二種以上の組合わせである。
【0024】成分(b)は、成分(B)の高分子が、化粧料用粉体に吸着し、分散能を発揮する際の吸着アンカーとして作用する。高分子化合物による粉体分散は、高分子構造中のアンカー(粉体に吸着する部位)と吸着せずに粉体の周囲に立体的障害を形成する部位(ループ、テイル)が必要であり、成分(B)中の成分(b)はこの役割を担う。
【0025】本発明に使用される成分(B)は、上記の成分(a)及び成分(b)を必須成分として共重合することで得られるが、必須成分以外のラジカル重合性モノマーを共重合しても構わない。必須成分以外のラジカル重合性モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレートやアルキル(メタ)アクリレートのアルキル部分の水素原子が一部若しくは総てハロゲン原子で置換されたハロゲン置換アルキル(メタ)アクリレート等、スチレン、置換スチレン、酢酸ビニル、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、クロトン酸エステル等が例示される。上記の必須成分以外のラジカル重合性モノマーの内、本発明の目的に則し、好適に使用できるものは、アルキル(メタ)アクリレートである。
【0026】成分(B)中の成分(a)は、その構造により限定はできないが、15〜98モル%であり、好ましくは20〜90モル%である。成分(B)中の成分(a)が15モル%未満になると、成分(B)の成分(C)への溶解性が悪くなり、本発明の目的である化粧料用粉体の分散性を発揮できなくなる。反対に98モル%を超えると、成分(C)への溶解性が高くなり過ぎ、化粧料用粉体への吸着性が低下して、粉体分散能が低下する。
【0027】成分(B)中の成分(b)は、その構造により限定はできないが、3〜40モル%、好ましくは5〜35モル%である。3モル%未満では、化粧料用粉体への吸着部位が少なく、充分な粉体分散能が得られない成分(B)になり、40モル%を超えると、成分(B)の成分(C)への溶解性が低くなる。
【0028】成分(a)と成分(b)、若しくは成分(a)と成分(b)と他のラジカル重合性モノマーの共重合は、従来公知の方法で行われる。すなわち、パーオキサイド化合物、アゾ化合物等のラジカル重合開始剤の存在下の溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊重合を行なうことができる。これらの中でも溶液重合法は、得られる成分(B)の分子量を最適範囲に調整することが容易であるため、好ましい方法である。用いられる溶媒は、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル類、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類の一種又は二種以上の混合物が挙げられる。
【0029】重合反応温度は、50〜180℃、好ましくは60〜120℃の範囲内で行なうことができ、この条件下に5〜10時間程度で完結させることができる。このようにして調製される成分(B)のアクリル−シリコーン系グラフト共重合体は、GPCにおけるポリスチレン換算の重量平均分子量において、約3000〜約200000、より好ましくは約5000〜約100000の範囲であることが好ましい。分子量が低い場合は、化粧料用組成物及び化粧料中の化粧料用粉体の分散が悪くなり、反対に高い場合は成分(B)の成分(C)に対する溶解が非常に遅くなり、効率的な化粧料調製が行いにくくなる。
【0030】本発明の化粧料における成分(B)の配合量は、化粧料の剤型、用途、総油量中の成分(C)が占める割合等により特に限定はできないが、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは、0.05〜5質量%である。
【0031】本発明に配合される成分(C)の揮発性環状シリコーンは、成分(A)によりゲル化され、且つ成分(B)を溶解し、後述する成分(D)の化粧料用粉体の分散を向上させ、目的である高い化粧効果と経時安定性を発現させるものである。揮発性環状シリコーンとしては、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等が例示され、これらの一種又は二種以上を適宜選択して用いることができる。これらの中でも、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンがより好ましい。
【0032】本発明の化粧料における成分(C)の配合量は、化粧料の用途等により特に限定はできないが、好ましくは1〜70質量%、より好ましくは、3〜50質量%である。
【0033】本発明においては、成分(C)の揮発性環状シリコーン以外にも、本発明の効果を妨げない範囲で、通常化粧料に配合される油剤の配合が可能である。成分(C)以外の油剤は、固体、半固体、液体のいずれの性状であってもよく、動物油、植物油、鉱物油、合成油を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、エステル類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油、親油性界面活性剤等が使用可能である。例えば、流動パラフィン、スクワラン、ポリブテン、ワセリン、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、マカデミアンナッツ油、モクロウ、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ラノリン、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ロジン酸ペンタエリスリトール、トリオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、三次元架橋構造を有するジメチルポリシロキサン重合物、パーフルオロオクタン、パーフルオロデカン、パーフルオロポリエーテル等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を用いることができる。
【0034】本発明においては、成分(D)として化粧料用粉体が配合される。化粧料用粉体は、化粧料用組成物の着色、化粧料へ配合した時のメイクアップ効果、紫外線防止効果、感触改良等を目的とするものである。本発明に配合可能な化粧料用粉体は、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造、等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類、等が挙げられる。具体的には、着色剤として、酸化チタン、黒酸化チタン、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、タール系色素等、感触調整剤として、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、合成セリサイト、セリサイト、タルク、炭化珪素、窒化硼素、ナイロンパウダー、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体パウダー、塩化ビニリデン−メタクリル酸共重合体パウダー、ウールパウダー、シルクパウダー、結晶セルロース、N−アシルリジン等、光輝性粉体として、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、酸化鉄コーティング雲母、酸化鉄雲母チタン、有機顔料処理雲母チタン、アルミニウムパウダー等、紫外線遮断剤として、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン等の複合粉体等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を配合することができる。尚、これら粉体は、分散性や付着性を改良するために、シリコーン類、フッ素化合物類、金属石鹸類、油剤類等の通常公知の方法により、表面処理して用いても良い。
【0035】本発明の化粧料における成分(D)の配合量は、化粧料並びに化粧料用組成物の用途等により特に限定はできないが、好ましくは0.01〜40質量%、より好ましくは0.1〜30質量%である。
【0036】本発明の化粧料は、上記必須成分を含有して、油性化粧料、油中水型乳化化粧料、水中油型乳化化粧料とすることができ、それらの中でも、より好ましい化粧料の剤型は、油中水型乳化化粧料である。化粧料としては、化粧水、美容液、乳液、クリーム、日焼け止め料、パック料、マッサージ料、クレンジング料、化粧下地料、コントロールカラー、ファンデーション、頬紅、アイカラー、マスカラ、アイライナー、口紅、口紅オーバーコート、ハンドクリーム、美爪料、シャンプー、リンス、コンディショナー、整髪料、制汗剤、洗浄剤組成物等が挙げられる。
【0037】本発明の化粧料は、上記必須成分を常法に従い配合して化粧料とすることができるが、予め、前述した必須成分を用いて化粧料用組成物として製造し、それを化粧料に配合しても良い。化粧料用組成物としては、成分(A)〜(D)を含有してなる油性の化粧料用組成物や、さらにその油性組成物を乳化した油中水型の化粧料用組成物、又は水中油型の化粧料用組成物とすることができる。この化粧料用組成物は、成分(A)〜(D)のみから構成されるものであっても良いし、目的に応じて、これらの成分に他の油剤や界面活性剤を添加したものでも良い。さらには、成分(A)〜(D)を含有する化粧料用組成物を、そのまま化粧料として用いることもできる。化粧料用組成物として製造する場合、成分(A)〜(D)の各配合量は特に限定されないが、好ましい配合質量比は、(A):(B):(C):(D)=1:0.01〜10:0.1〜100:0.01〜10であり、より好ましくは、(A):(B):(C):(D)=1:0.1〜1:1〜10:0.1〜10である。当該化粧料用組成物を化粧料に配合する場合の配合量は特に限定されず、前述した化粧料中への好ましい配合量となるように適宜調整して使用することができる。
【0038】さらに、本発明の化粧料においては、上記必須成分の他、ゲル化剤、界面活性剤、多価アルコール、水溶性高分子、油溶性高分子、水性成分、水、防腐防黴剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、美肌成分、香料、色素等を本発明の効果を妨げない範囲で配合することが可能である。
【0039】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0040】参考例1:加水分解イヌリンステアリン酸エステルの合成加水分解イヌリン(商品名「ラフティローズP95」ORAFTi社製、糖重合度2〜7)10.8gにジメチルホルムアミド500gを加え、60℃で攪拌して溶解した。これにピリジン16gを加えて攪拌しながらステアリン酸クロライド60.5g滴下し、2時間反応後ピリジン塩を濾別し、ジメチルホルムアミドを留去した。残渣にトルエンを加えて抽出し、ボウ硝にて乾燥後溶媒を留去した。残渣をメタノールで洗浄し、加水分解イヌリンステアリン酸エステル40gを得た。この加水分解イヌリンステアリン酸エステルの脂肪酸平均置換度(一単糖単位あたりにアシル化した脂肪酸の分子数を示す。)は、そのケン化価より2.8であった。
【0041】参考例2:イヌリンステアリン酸エステルの合成イヌリン(商品名「ラフティリンLS」ORAFTi社製、糖重合度8〜12)10.8gにジメチルホルムアミド500gを加え、60℃で攪拌して溶解した。これにピリジン16gを加えて攪拌しながらステアリン酸クロライド60.5g滴下し、2時間反応後ピリジン塩を濾別し、ジメチルホルムアミドを留去した。残渣にトルエンを加えて抽出し、ボウ硝にて乾燥後溶媒を留去した。残渣をメタノールで洗浄し、イヌリンステアリン酸エステル45gを得た。このイヌリンステアリン酸エステルの脂肪酸平均置換度(一単糖単位あたりにアシル化した脂肪酸の分子数を示す。)は、そのケン化価より2.7であった。
【0042】参考例3:イヌリンステアリン酸エステルの合成イヌリン(商品名「ラフティリンHP」ORAFTi社製、糖重合度20〜25)16.2gにジメチルホルムアミド200g、ピリジン30gを加え、60℃で攪拌しながら溶解した。これに、攪拌しながらステアリン酸クロライド91gを滴下し、5時間反応後、精製水1L中に投入して固形分を析出させた。これを濾別し、残渣をメタノールで洗浄し、イヌリンステアリン酸エステル57gを得た。このイヌリンステアリン酸エステルの脂肪酸平均置換度(一単糖単位あたりにアシル化した脂肪酸の分子数を示す。)は、そのケン化価より2.8であった。
【0043】参考例4:イヌリンステアリン酸エステル(低置換度)の合成ステアリン酸クロライド60gを用いる以外は、参考例3と同様の操作を行い、イヌリンステアリン酸エステル45gを得た。このイヌリンステアリン酸エステルの脂肪酸平均置換度(一単糖単位あたりにアシル化した脂肪酸の分子数を示す。)は、そのケン化価より1.9であった。
【0044】参考例5:加水分解イヌリンパルミチン酸/2−エチルヘキサン酸エステルの合成加水分解イヌリン(商品名「ラフティローズP95」ORAFTi社製、糖重合度2〜7)16.2gにジメチルホルムアミド50mL、ピリジン25gを加え、55℃で攪拌しながら溶解した。これに、窒素雰囲気下で攪拌しながらパルミチン酸クロライド60.5gと2−エチルヘキサン酸クロライド16.25gの混合物を滴下し、3時間反応後、精製水1.5L中に投入して固形分を析出させた。これを濾別し、残渣をメタノールで洗浄し、加水分解イヌリンパルミチン酸/2−エチルヘキサン酸エステル51gを得た。この加水分解イヌリンパルミチン酸/2−エチルヘキサン酸エステルの脂肪酸平均置換度(一単糖単位あたりにアシル化した脂肪酸の分子数を示す。)は、そのケン化価より2.8であった。
【0045】参考例6:アクリル−シリコーン系グラフト共重合体の合成1温度計及び還流冷却器を付した反応容器に、下記化学式で表される分子内にラジカル重合性基を有するオルガノポリシロキサン化合物160g(約80モル%相当量)、【0046】
【化6】

【0047】N−ビニルピロリドン2.2g(約20モル%相当量)、トルエン600g及びアゾビスイソブチロニトリル5gを仕込み、内温を110〜115℃に保ちながら攪拌し、8時間共重合反応を行なった。冷却後、反応溶液にメタノールを加え、共重合物を沈降、洗浄する工程を数回行い、約170gの無色粘稠液体を得た。この無色粘稠液体は、元素分析によると、炭素35.36%、水素8.34%、窒素0.10%の組成を有しており、理論値と一致した。また、この元素分析値、定性試験結果及び赤外吸収スペクトル分析から、この無色粘稠液体は、ジメチルポリシロキサン鎖及びピロリドン基を側鎖に有するアクリル−シリコーン系グラフト共重合体であることが確認された。また、このものの分子量は、GPCによるポリスチレン換算重量平均分子量で約9700であった。
【0048】参考例7:アクリル−シリコーン系グラフト共重合体の合成2下記化学式で表される分子内にラジカル重合性基を有するオルガノポリシロキサン化合物190g(約20モル%相当量)、【0049】
【化7】

【0050】2−エチルヘキシルアクリレート50g(約60モル%相当量)、N−ビニルピロリドン10g(約20モル%相当量)、トルエン750g及びアゾビスイソブチロニトリル5gを用い、参考例6と同様に操作して、約245gの無色粘稠液体を得た。この無色粘稠液体は、元素分析によると、炭素42.78%、水素8.92%、窒素0.60%の組成を有しており、理論値とよく一致した。また、この元素分析値、定性試験結果、NMR分析及び赤外吸収スペクトル分析から、この無色粘稠液体は、ジメチルポリシロキサン鎖、2−エチルヘキシル基及びピロリドン基を側鎖に有するアクリル−シリコーン系グラフト共重合体であることが確認された。また、このものの分子量は、GPCによるポリスチレン換算重量平均分子量で約66000であった。
【0051】参考例8:アクリル−シリコーン系グラフト共重合体の合成3下記化学式で表される分子内にラジカル重合性基を有するオルガノポリシロキサン化合物181g(約37モル%相当量)、【0052】
【化8】

【0053】2−エチルヘキシルアクリレート13g(約29モル%相当量)、アクリル酸6g(約37モル%相当量)、トルエン750g及びアゾビスイソブチロニトリル5gを用い、参考例6と同様に操作して、約190gの無色粘稠液体を得た。この無色粘稠液体は、各種分析の結果、ジメチルポリシロキサン鎖、2−エチルヘキシル基及びカルボキシル基を側鎖に有するアクリル−シリコーン系グラフト共重合体であることが確認された。
【0054】参考例9:アクリル−シリコーン系グラフト共重合体の合成4下記化学式で表される分子内にラジカル重合性基を有するオルガノポリシロキサン化合物166g(約60モル%相当量)、【0055】
【化9】

【0056】2−エチルヘキシルアクリレート1.8g(約5モル%相当量)、n−ブチルメタクリレート2.8g(約10モル%相当量)、アクリルアミド3.6g(約25モル%相当量)、トルエン450g、アゾビスイソブチロニトリル5gを用い、参考例6と同様に操作して、約160gの無色粘稠液体を得た。この無色粘稠液体は、各種分析の結果、ジメチルポリシロキサン鎖、分岐を含むアルキル基及びアミノ基を側鎖に有するアクリル−シリコーン系グラフト共重合体であることが確認された。
【0057】参考例10:アクリル−シリコーン系グラフト共重合体の合成5下記化学式で表される分子内にラジカル重合性基を有するオルガノポリシロキサン化合物214g(約50モル%相当量)、【0058】
【化10】

【0059】2−エチルヘキシルアクリレート11g(約20モル%相当量)、ヒドロキシエチルアクリレート5.2g(約15モル%相当量)、ジメチルアミノエチルメタクリレート7g(約15モル%相当量)、トルエン700g、アゾビスイソブチロニトリル5gを用い、参考例6と同様に操作して、約220gの無色粘稠液体を得た。この無色粘稠液体は、各種分析の結果、ジメチルポリシロキサン鎖、分岐アルキル基、水酸基及びジメチルアミノ基を側鎖に有するアクリル−シリコーン系グラフト共重合体であることが確認された。
【0060】実施例1〜3及び比較例1〜5:油中水型固形ファンデーション表1に示す組成の油中水型固形ファンデーションを以下の製造方法にて製造し、「化粧持続性」、「経時安定性」の各項目について、以下の評価方法により評価を行い、結果を併せて表1に示した。
【0061】
【表1】

【0062】(注1):KP−571(信越化学工業社製)
(注2):コスモール168AR(日清製油社製)
(注3):PI−チタンCR−50(80%)(三好化成社製)
(注4):PI−ベンガラ七宝(80%)(三好化成社製)
(注5):PI−イエローLLXLO(80%)(三好化成社製)
(注6):PI−ブラックBL−100(80%)(三好化成社製)
(注7):PI−タルク(三好化成社製)
(注8):IPソルベント1620(出光石油化学社製)
(注9):KF−6017(信越化学工業社製)
【0063】(製造方法)
A:成分1〜10、16〜18を加温して均一に混合溶解する。
B:Aに成分11〜15を加えロールミルにて均一に混合する。
C:成分19〜21を均一混合溶解する。
D:BにCを攪拌しながら加え乳化する。
E:Dを気密性ジャーボトルに溶融充填し、冷却して油中水型固形ファンデーションを得た。
【0064】(評価方法:化粧持続性)女性専門パネル30名に、実施例及び比較例のファンデーションを腕に塗布してもらい、30℃相対湿度50%の恒温恒湿室に30分間在室してもらった。その後、塗布部を5分間流水下にさらした後、軽い押圧条件で腕をタオルドライして、塗布したファンデーションの残存状態の観察を行なった。残存状態の観察評点は、「殆ど塗布時のまま残存している」=4、「塗布時の半分以上が残存している」=3、「塗布時の半分以下しか残存していない」=2、「殆ど残存していない」=1とし、「化粧持続性」について、下記判定基準により評価をおこなった。

但し、比較例1に関しては、製造直後から安定性が悪く、評価対象としなかった。
【0065】(評価方法:経時安定性)実施例及び比較例のファンデーションを5℃、40℃、室温の各条件下にて3ヶ月保存した後、状態を観察し、以下の判定基準により評価を行なった。

但し、比較例1に関しては、製造直後から安定性が悪く、評価対象としなかった。
【0066】表1の結果からあきらかなように、本発明に係わる実施例1〜3は、比較例に対して、化粧持続性、経時安定性の評価項目を満足する優れた油中水型固形ファンデーションであった。
【0067】
実施例4:リキッドファンデーション (成分) (質量%)
1.加水分解イヌリンステアリン酸エステル(参考例1) 2.0 2.加水分解イヌリンパルミチン酸/2−エチルヘキサン酸 2.0 エステル(参考例5)
3.モノステアリン酸硬化ヒマシ油 1.0 4.トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル 3.0 5.ジカプリン酸プロピレングリコール 3.0 6.ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール 3.0 7.アクリル−シリコーン系グラフト共重合体 4.0 (KP−571:信越化学工業社製)
8.ショ糖脂肪酸エステル 0.5 (シュガーワックスS−10E:第一工業製薬社製)
9.有機変性ベントナイト 1.0 (ベントン38:NLインダストリー社製)
10.デカメチルシクロペンタシロキサン 20.011.パラメトキシケイ皮酸オクチル 3.012.酸化チタン 9.013.ベンガラ 0.1514.黄色酸化鉄 2.115.アンバー 0.516.黒酸化鉄 0.1517.タルク 5.618.球状PMMA粉体 0.519.ヘプタオレイン酸デカグリセリル 1.020.セスキオレイン酸ソルビタン 1.021.ポリオキシエチレン変性シリコーン 1.0 (KF6017:信越化学工業社製)
22.ポリオキシエチレン・アルキル共変性シリコーン 2.0 (アビルEM−90:ゴールドシュミット社製)
23.合成ケイ酸ナトリウム・マグネシウム 0.3 (ラポナイトXLS:ラポナイト社製)
24.エタノール 1.525.防腐剤 適量26.プロピレングリコール 5.027.精製水 残量【0068】(製造方法)
A:成分1〜8、11、19〜22を加熱して混合溶解し、放冷する。
B:Aに成分9、12〜18を加え、ロールミルにて均一混合する。
C:成分10にBを加え、均一に混合する。
D:成分23〜27を均一混合する。
E:CにDを攪拌しながら加え、乳化し、脱泡後、広口瓶に充填してリキッドファンデーションとした。
【0069】実施例4のリキッドファンデーションは、化粧持続性と経時安定性に優れるものであった。
【0070】
実施例5:ハンドガード (成分) (質量%)
1.加水分解イヌリンパルミチン酸/2−エチルヘキサン酸 12.0 エステル(参考例5)
2.イソオクタン酸セチル 8.0 3.ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール 12.0 4.オクタメチルシクロテトラシロキサン 30.0 5.デカメチルシクロペンタシロキサン 残量 6.アクリル−シリコーン系グラフト共重合体(参考例6) 7.0 7.ビタミンEアセテート 0.2 8.パーフルオロポリエーテル 0.05 (フォンブリンHC/04:アウシモント社製)
9.グリセリン 0.0510.疎水性無水ケイ酸 5.0 (AEROSIL R974:日本アエロジル社製)
【0071】(製造方法)
A:成分8、9を混合する。
B:成分1〜7を加熱溶解して均一に混合する。
C:Bに成分10を加え、均一に混合後、Aを加え、ハンドガードとした。
【0072】実施例5のハンドガードは、長時間、手をガードするものであり、安定性にも優れるものであった。
【0073】
実施例6:サンカットミルク (成分) (質量%)
1.イヌリンステアリン酸エステル(参考例2) 2.5 2.加水分解イヌリンパルミチン酸/2−エチルヘキサン酸 2.5 エステル(参考例5)
3.デキストリン脂肪酸エステル(置換度2.2) 0.5 (レオパールKL:千葉製粉社製)
4.メチルフェニルポリシロキサン 10.0 (FZ209:日本ユニカー社製)
5.アクリル−シリコーン系グラフト共重合体 5.0 (KP571:信越化学工業社製)
6.デカメチルシクロペンタシロキサン 残量 7.パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 3.0 8.4−t−ブチル−4’−メトキシベンゾイルメタン 0.02 9.微粒子酸化チタン 2.0 (TIPAQUE TTO−51(A):石原産業社製)
10.微粒子酸化亜鉛 2.0 (ZnO−350:住友大阪セメント社製)
11.モノステアリン酸ソルビタン 1.512.ポリオキシエチレン変性シリコーン 3.5 (KF6015:信越化学工業社製)
13.エタノール 7.514.防腐剤 適量15.精製水 32.5【0074】(製造方法)
A:成分1〜5、7〜12を加熱して均一に混合溶解し、ロールミルにて均一にする。
B:Aに成分6を加え、均一に混合する。
C:成分13〜15を均一混合する。
D:Bを攪拌しながら徐々にCを加え、均一に混合する。
E:Dを脱泡後、ディスペンサー付きボトルに充填し、サンカットミルクとした。
【0075】実施例6のサンカットミルクは、サンカット効果が長時間持続するものであり、安定性も良好なものであった。
【0076】
実施例7:液状口紅 (成分) (質量%)
1.加水分解イヌリンパルミチン酸/2−エチルヘキサン酸 10.0 エステル(参考例5)
2.トリイソステアリン酸グリセリル 15.0 3.イソオクタン酸セチル 残量 4.ワセリン 6.0 5.ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル 3.0 (コスモール168AR:日清製油社製)
6.デカメチルシクロペンタシロキサン 10.0 7.アクリル−シリコーン系グラフト共重合体 20.0 (KP571:信越化学工業社製)
8.トリメチルシロキシケイ酸 4.0 (KF7312J:信越化学工業社製)
9.ショ糖脂肪酸エステル 2.0 (シュガーワックスS−10E:第一工業製薬社製)
10.ポリイソブチレン 8.011.赤色202 適量12.赤色226 適量13.マイカ 5.014.雲母チタン 3.015.酸化鉄雲母チタン 1.016.香料 適量【0077】(製造方法)
A:成分1〜10を加熱溶解して均一に混合後、放冷する。
B:Aに成分11〜15を加え、ロールミルにて均一に混合する。
C:Bに成分16を加え、均一に混合する。
D:Cを紅筆付きのボトル容器に充填し、液状口紅とした。
【0078】実施例7の液状口紅は、化粧効果の持続性が高く、顔料、粉体等の沈降が無い、安定性に優れるものであった。
【0079】参考例8:化粧料用組成物下記組成の化粧料用組成物を製造した。
(成分) (質量%)
1.加水分解イヌリンパルミチン酸/2−エチルヘキサン酸 20.0 エステル(参考例5)
2.アクリル−シリコーン系グラフト共重合体 20.0 (KP571:信越化学工業社製)
3.デカメチルシクロペンタシロキサン 40.0 4.マイカ 10.0 5.雲母チタン 6.0 6.酸化鉄雲母チタン 3.0 7.酸化チタン 1.0【0080】(製造方法)
A:成分1〜3を加熱溶解して均一に混合し、放冷する。
B:成分4〜7を均一に混合分散する。
C:AにBを添加して、ロールミルにて均一に混合し、化粧料用組成物を得た。
実施例8の化粧料用組成物は、粉体の分散性が非常に良好で、また経時安定性にも優れたものであった。
【0081】
実施例9:スティック状口紅 (成分) (質量%)
1.化粧料用組成物(実施例8) 40.0 2.トリイソステアリン酸グリセリル 25.0 3.イソオクタン酸セチル 残量 4.ワセリン 6.0 5.ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル 3.0 (コスモール168AR:日清製油社製)
6.キャンデリラワックス 10.0 7.流動パラフィン 2.0 8.赤色202 適量 9.赤色226 適量10.香料 適量【0082】(製造方法)
A:成分2〜7を加熱溶解して均一に混合後、放冷する。
B:Aに成分1及び成分8〜9を添加して、ロールミルにて均一に混合する。
C:Bに成分10を添加して、均一に混合する。
D:Cを容器に溶融充填し、スティック状口紅を得た。
【0083】実施例9のスティック状口紅は、化粧効果の持続性が高く、顔料、粉体等の沈降が無い、安定性に優れるものであった。また、予め、本発明に係る化粧料用組成物を製造し、それに油剤や顔料を適宜選択して配合することによって、豊富なカラーバリエーションや異なる感触を持つスティック状口紅を効率良く得ることができた。
【0084】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明に係る化粧料は、化粧効果とその持続性に優れ、経時的安定性も良好なものである。
【出願人】 【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
【住所又は居所】東京都中央区日本橋3丁目6番2号
【出願日】 平成13年9月28日(2001.9.28)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−104825(P2003−104825A)
【公開日】 平成15年4月9日(2003.4.9)
【出願番号】 特願2001−303065(P2001−303065)