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【発明の名称】 洗浄剤組成物
【発明者】 【氏名】山本 泰之
【住所又は居所】滋賀県八日市市岡田町112−1 株式会社ノエビア滋賀研究所内

【要約】 【課題】pH緩衝能が低下した皮膚,皮膚老化やその他の原因によって防御機能が低下した皮膚や、元来敏感な皮膚の人にとっても、ヒリヒリ感,チクチク感といった刺激が極めて少なく、さっぱりと洗い上がり、使用性にも優れた洗浄剤組成物を得ることを目的とした。

【解決手段】海洋性コラーゲン、炭素数が10〜18の脂肪酸、L−アルギニン、及び強塩基を含有させることにより、ヒリヒリ感,チクチク感といった刺激感を緩和し、かさつき感やつっぱり感等の不快な感触を与えることのないさっぱりとした洗い上がりで、泡立ちや泡持ち等の使用性にも優れた洗浄剤組成物が得られた。なお、当該組成物中の、L−アルギニンで中和した脂肪酸石鹸の含有量が、全脂肪酸石鹸の含有量に対して1〜50重量%の範囲であることが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 海洋性コラーゲン、炭素数が10〜18の脂肪酸、L−アルギニン、及び強塩基を含有することを特徴とする洗浄剤組成物。
【請求項2】 L−アルギニンで中和した脂肪酸石鹸の含有量が、全脂肪酸石鹸の含有量に対して1〜50重量%の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の洗浄剤組成物。
【請求項3】 海洋性コラーゲンが、魚類の皮,骨,腱,浮き袋等の組織から抽出されたコラーゲン及び/又はその誘導体であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、pH緩衝能が低下した皮膚,老化等によって防御機能が低下した皮膚,もともと刺激に敏感な皮膚等に対し、ヒリヒリ感,チクチク感といった刺激感が極めて少なく、かさつき感やつっぱり感等の不快な感触を与えることなくさっぱりと洗い上がり、泡立ちや泡持ち等の使用性にも優れた洗浄剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】pH緩衝能が低下した皮膚,皮膚老化やその他の原因によって防御機能が低下した皮膚は、刺激に対して敏感になりやすく、元来刺激に敏感な皮膚も含め、このような皮膚に洗浄剤組成物を用いた場合、健常な皮膚に用いた場合には感じられない、ヒリヒリ感,チクチク感といった不快な刺激が敏感に感じられる傾向がある。
【0003】近年では、原料の精製度を高める技術の向上により、洗浄剤組成物用の原料自体の安全性はめまぐるしく改善されている。しかしながら、ヒリヒリ感,チクチク感といった刺激感は、組成物のpHに起因したり、洗浄剤組成物の必須成分である防腐剤,キレート剤,界面活性剤,有機酸,香料,さらにエタノールまでもが原因となって生じることが知られており、上記のような皮膚の敏感な消費者が、通常の洗浄剤組成物を用いた場合、不快な刺激感を伴うことが多かった。
【0004】従来、皮膚洗浄料には、高い起泡力と洗浄力を有するアルキル硫酸エステル塩,ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩,脂肪酸セッケン等の陰イオン性の界面活性剤が汎用されている。ところが、アルキル硫酸エステル塩やポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩等を界面活性剤として用いた場合、皮膚に対する刺激性や眼粘膜刺激性において問題がある場合があり、また、脂肪酸セッケンはアルカリ性であるため、洗浄後の皮膚のかさつき感やつっぱり感が大きく、洗浄時の皮膚の負担も大きいとされている。従って、皮膚の敏感な消費者の使用に供するには、なるべく皮膚刺激性を低減するべく、皮膚刺激性及び皮膚感作性の低い界面活性剤を用いるか、あるいは界面活性剤の使用量を低く抑える必要があるなどの制約があり、皮膚の敏感な消費者も安心して使用することのできる洗浄剤組成物を提供することは容易ではなかった。
【0005】また、最近ではN−アシルアミノ酸塩等を界面活性剤として用いた、皮膚表面のpHに近い弱酸性の皮膚洗浄料が好まれる傾向も認められるが、弱酸性の洗浄剤組成物はしっとり感が高いことが特徴であり、しっとり感よりもさっぱり感を好む消費者にとって、皮膚に対する刺激がなく、さっぱりした洗い上がりの洗浄剤組成物が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明においては、上記のような従来の洗浄剤組成物の有する問題点を解決し、元来皮膚の敏感な人や、何らかの原因で皮膚の防御機能が衰えた状態の人にとっても低刺激性であり、且つ、さっぱりとした洗い上がりで、充分な洗浄機能を有する洗浄剤組成物を得ることを目的とした。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するべく、鋭意検討を行った結果、海洋性コラーゲン、炭素数が10〜18の脂肪酸、L−アルギニン、及び強塩基を含有して成る洗浄剤組成物が、ヒリヒリ感,チクチク感といった刺激感を緩和し、かさつき感やつっぱり感等の不快な感触を与えることなくさっぱりと洗い上がり、泡立ちや泡持ち等の使用性にも優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、海洋性コラーゲン、炭素数が10〜18の脂肪酸、L−アルギニン、及び強塩基を含有して成る洗浄剤組成物に関するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0010】本発明で用いる海洋性コラーゲンは、海洋性生物の各部位より抽出することができ、特に限定はされないが、魚類(例えば、タラ,ヒラメ,サケ,イワシ,マグロ等)の、骨,皮,腱,浮き袋といった組織から公知の方法を用いて抽出される。
【0011】また、上記のコラーゲンを酸,アルカリ,酵素又はこれらの組み合わせにより加水分解して得られる加水分解物、サクシニル化物、前記加水分解物のエチルエステル,ヘキサデシルエステル等のアルキル又はアルケニルエステル、前記加水分解物のアラニンミリスチン酸縮合物,イソステアリン酸縮合物,ヤシ油脂肪酸縮合物,ウンデシレン酸縮合物,樹脂酸縮合物といった脂肪酸等の縮合物及びそれらの塩、前記加水分解物の3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド付加物,グリシントリメチルアンモニウムクロリド付加物といったカチオン化修飾物及びそれらの塩、前記加水分解物の3−グリシドキシプロピルメチルジヒドロキシシラン付加物といった付加修飾物及びそれらの塩等も好ましく用いることができる。
【0012】上記の海洋性コラーゲンは、動物性コラーゲンに比べて、保湿効果,安全性の面においても優れている。
【0013】本発明の洗浄剤組成物における海洋性コラーゲンの含有量は、有効性及び使用性等を考慮すると、組成物全体に対して固形分換算で0.00001〜0.1重量%が好ましく、0.0001〜0.08重量%がさらに好ましい。海洋性コラーゲンの含有量が全体に対して0.00001重量%未満であると、ヒリヒリ感,チクチク感といった刺激感に対する十分な緩和効果を発揮し難くなり、逆に0.1重量%を超えると使用性を低下させ好ましくない。
【0014】本発明では、炭素数が10〜18の脂肪酸を用いる。具体的には、カプリン酸,ラウリン酸,ヤシ油脂肪酸,ミリスチン酸,パルミチン酸,パルミトレイン酸,ステアリン酸,イソステアリン酸,オレイン酸等が例示できる。
【0015】これらの脂肪酸は、L−アルギニン及び強塩基で中和することにより、界面活性剤の一種である脂肪酸石鹸として用いる。
【0016】本発明で用いるL−アルギニンの含有量は、有効性及び使用性等を考慮すると、組成物全体に対して0.001〜5重量%が好ましく、0.01〜3重量%がさらに好ましい。L−アルギニンの含有量が、組成物全体に対して0.001重量%未満であると、ヒリヒリ感,チクチク感といった刺激感に対する十分な緩和効果を発揮し難くなり、逆に5重量%を超えるとアルギニン特異な匂いが気になり好ましくない。
【0017】また、本発明においては、製品安定性上,使用性上の理由から、L−アルギニンの他に、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム等の強塩基を含有させる。
【0018】脂肪酸の中和率は65〜85%とすることが好ましく、また、L−アルギニンで中和した脂肪酸石鹸の含有量が、全脂肪酸石鹸の含有量に対して1〜50重量%の範囲であることが望ましい。L−アルギニンで中和した脂肪酸石鹸の含有量が、全脂肪酸石鹸の含有量に対して1重量%未満であると、ヒリヒリ感,チクチク感といった刺激感に対する十分な緩和効果を発揮し難くなり、逆に50重量%を超えると、洗浄剤組成物の泡立ちや泡持ち,洗い流し時にぬるつきを感じるなど好ましくない。
【0019】また、本発明の洗浄剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、更にその他の成分を含有することができる。かかる成分としては、上記以外のアニオン界面活性剤,両性界面活性剤,ノニオン界面活性剤,カチオン界面活性剤、植物抽出物、ビタミン類、アルコール類、ポリオール類、油分、パール化剤、保湿成分、香料、色素、紫外線吸収剤、酸化防止剤、殺菌剤、抗炎症剤、防腐剤等が挙げられる。
【0020】本発明に係る洗浄剤組成物は、クリーム状,ペースト状、液状等の剤型として提供することができる。
【0021】
【実施例】本発明について、実施例を示してより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はそれにより何ら限定されるものではない。なお、特に断わらない限り、実施例中の量目は、重量%で示した。また、以下の処方に示される海洋性コラーゲン液としては、BROOKS社より「Marine Collagene」の商品名で発売されている、タラの浮き袋より抽出されたコラーゲンの1重量%水溶液を用いた。
【0022】
実施例1 洗顔料(1)ステアリン酸 5.00(2)ミリスチン酸 30.00(3)N−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウム 1.00(4)ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム 2.00(5)親油型モノステアリン酸グリセリン 3.00(6)精製水 全体を100とする量(7)グリセリン 15.00(8)1,3−ブチレングリコール 5.00(9)水酸化カリウム 6.04(10)パラオキシ安息香酸エステル 0.05(11)L−アルギニン 2.00(12)海洋性コラーゲン液 0.10(13)香料 0.10製造方法:(1)〜(5)の成分を75〜85℃にて加熱溶解し、これに対し、予め混合均一化し75〜85℃に調整した(6)〜(11)の成分を加えて完全にケン化する。次に冷却を開始し45〜50℃にて(12)、(13)成分を加えた後、室温までさらに冷却し洗顔用洗浄剤を得た。
【0023】
実施例2 洗顔料(1)ステアリン酸 2.00(2)ミリスチン酸 25.00(3)N−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウム 1.00(4)ベントナイト 1.00(5)親油型モノステアリン酸グリセリン 3.00(6)精製水 全体を100とする量(7)グリセリン 15.00(8)1,3−ブチレングリコール 5.00(9)水酸化カリウム 4.75(10)パラオキシ安息香酸エステル 0.05(11)L−アルギニン 1.50(12)海洋性コラーゲン液 1.00(13)香料 0.10製造方法:(1)〜(5)の成分を75〜85℃にて加熱溶解し、これに対し、予め混合均一化し75〜85℃に調整した(6)〜(11)の成分を加えて完全にケン化する。次に冷却を開始し45〜50℃にて(12)、(13)成分を加えた後、室温までさらに冷却し洗顔用洗浄剤を得た。
【0024】
実施例3 洗顔料(1)ステアリン酸 10.00(2)パルミチン酸 10.00(3)ミリスチン酸 15.00(4)ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン液 3.00(5)縮合リシノレイン酸ポリグリセリル 1.00(6)親油型モノステアリン酸グリセリン 1.00(7)精製水 全体を100とする量(8)グリセリン 20.00(9)ジグリセリン 2.00(10)水酸化カリウム 5.47(11)パラオキシ安息香酸エステル 0.05(12)L−アルギニン 2.50(13)海洋性コラーゲン液 4.00(14)香料 0.10製造方法:(1)〜(6)の成分を75〜85℃にて加熱溶解し、これに対し、予め混合均一化し75〜85℃に調整した(7)〜(12)の成分を加えて完全にケン化する。次に冷却を開始し45〜50℃にて(13)、(14)成分を加えた後、室温までさらに冷却し洗顔用洗浄剤を得た。
【0025】
実施例4 身体用洗浄剤(1)ラウリン酸 9.00(2)ミリスチン酸 5.00(3)パルミチン酸 1.00(4)ヤシ油脂肪酸サルコシンナトリウム 4.00(5)ポリオキシプロピレン(9)ジグリセリルエーテル 1.50(6)ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 1.00(7)精製水 全体を100とする量(8)1,3−ブチレングリコール 5.00(9)ヒドロキシエチルセルロース 0.50(10)水酸化カリウム 2.85(11)パラオキシ安息香酸エステル 0.05(12)エタノール 2.00(13)L−アルギニン 1.00(14)海洋性コラーゲン液 2.00(15)香料 0.10製造方法:(1)〜(6)の成分を75〜85℃にて加熱溶解し、これに対し、予め混合均一化し75〜85℃に調整した(7)〜(13)の成分を加えて完全にケン化する。次に冷却を開始し45〜50℃にて(14)、(15)成分を加えた後、室温までさらに冷却し身体用洗浄剤を得た。
【0026】上記の実施例1〜実施例4について、使用時及び使用後の刺激感、泡立ち等の使用性,洗い上がりのさっぱり感を評価した。その際、実施例1,実施例2においてはL−アルギニンを精製水に代替したものを、実施例3,実施例4においては海洋性コラーゲン液を精製水に代替したものを調整し、比較例1〜比較例4として、同時に評価を行った。
【0027】評価は、20〜50才代の敏感肌の女性パネラー20名を1群とし、各群に実施例及び比較例の洗浄剤組成物をそれぞれブラインドにて使用させることにより行った。刺激感については、各実施例及び各比較例の洗浄剤組成物の3重量%水溶液を皮膚に塗布した後、及びそれを洗い流した後のそれぞれ30秒〜1分後に感じるヒリヒリ感,チクチク感といった刺激感について、表1に示す評価基準に従って評価させて点数化し、20名の平均値を求めた。また、使用性については、手のひらで泡立てたときの泡立ち,泡持ち,泡質、及び洗い上がりのさっぱり感について、表2に示す評価基準に従って評価させて点数化し、20名の平均値を求めた。以上の結果は表3にまとめて示した。
【0028】
【表1】

【0029】
【表2】

【0030】
【表3】

【0031】表3より明らかなように、本発明の実施例1〜実施例4においては、使用時及び使用後に感じる刺激感はいずれも微妙に感じられる程度から少し感じられる程度であり、実使用に際して問題はなかった。また、各使用群でおおむね良好な使用性が認められた。また、かさつきやつっぱり感を訴えたパネラーも存在しなかった。これに対して、L−アルギニンもしくは海洋性コラーゲン液を含有しない各比較例使用群においては、使用時及び使用後に感じる刺激感の程度も相対的に強くなっており、使用性も対応する実施例使用群に比べて有意に低くなっていた。また、各比較例において、それぞれ数名のパネラーがかさつきやつっぱり感を訴えていた。なお、皮膚刺激性反応及び皮膚感作性反応を示したパネラーは、実施例使用群及び比較例使用群のいずれにおいても認められなかった。
【0032】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明により、pH緩衝能が低下した皮膚,老化等によって防御機能が低下した皮膚,もともと刺激に敏感な皮膚等に対し、ヒリヒリ感,チクチク感といった刺激感が極めて少なく、かさつき感やつっぱり感等の不快な感触を与えることなくさっぱりとした洗い上がり、泡立ちや泡持ち等の使用性にも優れた洗浄剤組成物を得ることができた。
【出願人】 【識別番号】000135324
【氏名又は名称】株式会社ノエビア
【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区港島中町6丁目13番地の1
【出願日】 平成13年9月18日(2001.9.18)
【代理人】 【識別番号】300008645
【氏名又は名称】川山 みちる
【公開番号】 特開2003−89614(P2003−89614A)
【公開日】 平成15年3月28日(2003.3.28)
【出願番号】 特願2001−283943(P2001−283943)