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【発明の名称】 光照射脱毛処理に用いられるゲル組成物
【発明者】 【氏名】前島 栄一

【要約】 【課題】容易に入手しうる原料から安価に製造することができると共に、皮膚への粘着性が弱く光照射脱毛処理後に皮膚から容易に取り除くことができる、光照射脱毛処理に際して皮膚に貼着又は塗布されるゲル組成物を提供する。

【解決手段】光照射脱毛処理に際して脱毛対象皮膚の被覆保護に用いられる、ポリビニルアルコール、ホウ砂及び水を混合して調製されるゲル組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】光照射脱毛処理に際して脱毛対象皮膚の被覆保護に用いられる、ポリビニルアルコール、ホウ砂及び水を混合して調製されるゲル組成物。
【請求項2】透明性を有する、請求項1に記載のゲル組成物。
【請求項3】自己保形性を有する、請求項1又は2に記載のゲル組成物。
【請求項4】ポリビニルアルコールを51〜70重量%、ホウ砂を3.2〜5.5重量%、及び水を25〜36重量%の割合で含有する、請求項1乃至3のいずれかに記載のゲル組成物。
【請求項5】シート状に成形されてなる、請求項1乃至4のいずれかに記載のゲル組成物。
【請求項6】ポリビニルアルコール、ホウ砂及び水を混合する混合ステップと、該混合ステップによって得られるゲル組成物から気泡を除去する気泡除去ステップと、そして該気泡除去ステップによって気泡が除去されたゲル組成物をシート状に成形する成形ステップと、を有してなる、請求項5に記載のゲル組成物の製造方法。
【請求項7】請求項1乃至5のいずれかに記載のゲル組成物を、脱毛対象皮膚部に貼着又は塗布する被覆ステップと、該被覆ステップにて該ゲル組成物により被覆された該脱毛対象皮膚部に光を照射する照射ステップと、そして該照射ステップの後、該脱毛対象皮膚部を被覆した該ゲル組成物を該脱毛対象皮膚部から取り除く除去ステップと、を有してなる、光照射脱毛処理法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光照射脱毛処理に用いられるゲル組成物に関し、より詳細には、毛が生え又は生えていた皮膚に光を照射することによって毛乳頭や皮脂腺にタンパク変性を起こさせその部分の毛の発育を抑制する光照射脱毛処理に際し、その光照射に先立ち該光が照射される皮膚に貼着又は塗布されることで皮膚を保護するゲル組成物に関する。本発明のゲル組成物は、皮膚に貼着又は塗布されることで、光照射によって生じる皮膚温度の上昇を抑制し光照射により生じうる皮膚の火傷や痛みを防止又は低減するものである。
【0002】
【従来の技術】従来からレーザー光線等の光を、毛が生え又は生えていた皮膚に照射することにより毛乳頭や皮脂腺にタンパク変性を起こさせその部分の毛の発育を抑制することによって脱毛を行う光照射脱毛処理が、主として美容を目的として広く行われてきた。かかる光照射脱毛処理は、照射される光が有するエネルギーを皮膚が吸収することにより、毛乳頭や皮脂腺の温度が上昇しタンパク変性を生じることによって達成される反面、毛乳頭や皮脂腺以外の部分については温度上昇による火傷や痛みを抑制する必要がある。このため皮膚温度の上昇を抑制するため、比較的熱容量の大きなクリーム様のゲルを光照射を受ける皮膚表面に塗布することが行われてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来から用いられてきた光照射を受ける皮膚表面に塗布されるクリーム様のゲルは、高価であることに加え、皮膚への粘着性が強いことから光照射脱毛処理後に皮膚から取り除くことが難しい(皮膚から除去する作業が難儀であった。)という問題があった。そこで、本発明では、容易に入手しうる原料から安価に製造することができると共に、皮膚への粘着性が弱く光照射脱毛処理後に皮膚から容易に取り除くことができる、光照射脱毛処理に際して皮膚に貼着又は塗布されるゲル組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねていたところ、比較的容易に入手できるポリビニルアルコール、ホウ砂及び水を原料として安価に製造することのできるゲル組成物が、光照射脱毛処理に際して皮膚に貼着又は塗布されることで火傷や痛みを減少させ皮膚を保護することを見いだし、更に、皮膚への粘着性が弱く光照射脱毛処理後に皮膚から容易に取り除くことができることを見いだし、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、光照射脱毛処理に際して脱毛対象皮膚の被覆保護に用いられる、ポリビニルアルコール、ホウ砂及び水を混合して調製されるゲル組成物(以下、「本組成物」という。)である。
【0005】また、本組成物には、以下(1)〜(4)の態様が含まれる。
(1)透明性を有する、上記ゲル組成物。
(2)自己保形性を有する、上記ゲル組成物。
(3)ポリビニルアルコールを51〜70重量%、ホウ砂を3.2〜5.5重量%、及び水を25〜36重量%の割合で含有する、上記ゲル組成物。
(4)シート状に成形されてなる上記ゲル組成物。
【0006】そして、本発明は、シート状に成形されてなる本組成物の製造方法を提供する。即ち、該製造方法は、ポリビニルアルコール、ホウ砂及び水を混合する混合ステップと、該混合ステップによって得られるゲル組成物から気泡を除去する気泡除去ステップと、そして該気泡除去ステップによって気泡が除去されたゲル組成物をシート状に成形する成形ステップと、を有してなる、シート状に成形されてなる本組成物の製造方法(以下、「本製造方法」という。)である。
【0007】さらに、本発明は、本組成物を用いた光照射脱毛処理法を提供する。即ち、該光照射脱毛処理法は、本組成物を脱毛対象皮膚部に貼着又は塗布する被覆ステップと、該被覆ステップにて本組成物により被覆された該脱毛対象皮膚部に光を照射する照射ステップと、そして該照射ステップの後、該脱毛対象皮膚部を被覆した本組成物を該脱毛対象皮膚部から取り除く除去ステップと、を有してなる、光照射脱毛処理法(以下、「本脱毛法」という。)である。
【0008】
【発明の実施の形態】本組成物本組成物は、ポリビニルアルコール、ホウ砂及び水を混合して調製されるゲル組成物である。本組成物は、比較的熱容量が大きいことから、光照射脱毛処理に際して皮膚に貼着又は塗布されることで主として皮膚表面の温度上昇を抑え、皮膚の火傷や痛みを減少させると共に皮膚を保護することができる。また、本組成物の物性(例えば、強度、粘度、弾性、可塑性、延び等)は、本組成物を調製する際に用いるポリビニルアルコール、ホウ砂及び水の割合やポリビニルアルコールの重合度等によって調節することができる。ポリビニルアルコールに対してホウ砂の量が少ないと本組成物が柔らかくなりホウ砂の量が多いと本組成物がかたくなる。また、ポリビニルアルコールに対して水の量が少ないと本組成物がかたくなり水の量が多いと本組成物が柔らかくなる。そして、ポリビニルアルコールの重合度が大きくなると本組成物がかたくなりポリビニルアルコールの重合度が小さくなると本組成物が柔らかくなる。従って、これらポリビニルアルコール、ホウ砂及び水の割合やポリビニルアルコールの重合度等を、本組成物が所望の物性を有するように適宜調整すればよい。ここに本組成物の所望の物性としては、後述するように、自己保形性、粘弾性、可塑性及び非粘着性を挙げることができる。かかる物性を有する本組成物の調製には、上記したようにポリビニルアルコール、ホウ砂及び水の割合やポリビニルアルコールの重合度等を適宜調節しつつ行うことができるが、例えば、本組成物を調製するのに用いられるポリビニルアルコールは、洗濯のりとして市販されているポリビニルアルコールを広く好適に用いることができる。かかる洗濯のりとして市販されているポリビニルアルコールを用いた場合、本組成物が含有するポリビニルアルコールの割合は、下限として、好ましくは51重量%以上であり、より好ましくは55重量%以上であり、最も好ましくは60重量%以上であり、上限として、好ましくは70重量%以下であり、より好ましくは67重量%以下であり、最も好ましくは65重量%以下である。そして、本組成物が含有するホウ砂の割合は、下限として、好ましくは3.2重量%以上であり、より好ましくは4.2重量%以上であり、最も好ましくは4.5重量%以上であり、上限として、好ましくは5.5重量%以下であり、より好ましくは5.3重量%以下であり、最も好ましくは5.2重量%以下である。さらに、本組成物が含有する水の割合は、下限として、好ましくは25重量%以上であり、より好ましくは27重量%以上であり、最も好ましくは29重量%以上であり、上限として、好ましくは36重量%以下であり、より好ましくは33重量%以下であり、最も好ましくは31重量%以下である。
【0009】本組成物は、透明性を有するものであってもよい。本組成物は、光照射脱毛処理に際して皮膚に貼着又は塗布され、本組成物を通して光が該皮膚に照射されるので、本組成物が脱毛処理に必要な光成分をあまり吸収すると十分な脱毛効果が得られないことがある。このため本組成物は、脱毛処理に必要な光成分をあまり減衰させることなく通過させるものであることが好ましい。なお、ここにいう「透明性」とは、本組成物が皮膚に貼着又は塗布された際に脱毛処理に必要な光成分(脱毛処理に必要な波長の光)を減衰させることなく通過させる性質をいい、具体的には、厚さ0.5cmの本組成物への入射光強度に対する透過光強度の割合が、下限として、好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上であり、最も好ましくは95%以上である(上限は、無論100%未満である。)。
【0010】本組成物は、前記所望の物性として挙げた自己保形性を有するものであってもよい。本組成物は、光照射脱毛処理において皮膚に貼着又は塗布され脱毛処理を行う間、その貼着又は塗布された本組成物を修正又は手直し(例えば、貼着又は塗布をし直すこと等)する必要がない方が便利である。このため本組成物は、皮膚に貼着又は塗布され脱毛処理を行う間、その貼着又は塗布された形状を保つ程度の自己保形性を有するものであることが好ましい。なお、ここにいう「自己保形性」とは、本組成物が皮膚に貼着又は塗布された際に自重によって型くずれしない程度の保形性を有することをいう。
【0011】本組成物は、シート状に成形されてもよい。本組成物は、光照射脱毛処理において皮膚に貼着又は塗布されるが、本組成物がシート状に成形されていれば、そのシート状のまま皮膚に貼着又は塗布することで、本組成物を略一定した厚さ(厚さが略一定になるように本組成物を皮膚に貼着等することで、脱毛処理を受ける皮膚のいずれの場所も略同一条件にて脱毛処理を行うことができるので、略均一な仕上がりを得ることができる。)になるよう皮膚に貼着又は塗布することができ便利である。なお、本組成物によって形成するシートの厚みは、本組成物の組成や照射される光の強度や波長等によって適宜定められてよく何ら限定されるものではないが、通常、0.5〜0.7cm程度とされる。
【0012】本組成物は、前記所望の物性として挙げた粘弾性を有するものであってもよい。該粘弾性としては、本組成物が皮膚に貼着された後に剥がし取られ再び皮膚に貼着できる程度の粘弾性をいい、該粘弾性をより具体的に説明すれば、本組成物が、第1回目に皮膚に貼着され光照射による脱毛処理が行われた後、本組成物の一部が皮膚に実質的に残留することなく本組成物が剥がし取られることができると共に、該剥がし取られた本組成物を再び皮膚に貼着できることをいう。こうすることで、光照射脱毛処理において本組成物が皮膚に貼着又は塗布され脱毛処理が行われた後、本組成物を皮膚から剥がし取り、再び、該剥がし取られた本組成物を皮膚に貼着できるので、本組成物を複数回使用することができ、本組成物を経済的に使用することができる。
【0013】本組成物は、前記所望の物性として挙げた可塑性を有するものであってもよい。該可塑性としては、本組成物が皮膚に貼着又は塗布された際に光照射の照射装置の一部が当接することによって変形する程度の可塑性を有することをいい、より具体的には、本組成物が皮膚に貼着又は塗布された際に光照射の照射装置の該一部が通常の光照射脱毛処理において本組成物に当接する際に本組成物が受ける圧力である0.15kg/cmの圧力を受けた時に、該圧力の方向に向かって形成される窪みの深さが、下限として、好ましくは0.1cm以上であり、より好ましくは0.15cm以上であり、最も好ましくは0.2cm以上であり、上限として、好ましくは0.5cm以下であり、より好ましくは0.45cm以下であり、最も好ましくは0.35cm以下であることをいう。光照射の照射装置の一部(特に、照射装置から光が発せられる部分)は、通常、光が照射される皮膚に近接する位置に配置されるので、該一部が本組成物に当接することが多い。このとき本組成物が該一部が当接することによって変形する程度の可塑性を有するものであれば、該一部が当接したことによる凹みが本組成物表面に形成されるので、本組成物の表面のうちいずれの部分が照射済みかが明白になる。これによって、あやまって同一箇所に複数回照射すること(あやまって複数回照射すると、皮膚が障害を受け、火傷や痛みを引き起こす。)や、未照射の部分が残留すること(無論、未照射であれば脱毛されない。)といった問題を回避することができる。
【0014】本組成物は、前記所望の物性として挙げた非粘着性を有するものであってもよい。該非粘着性としては、本組成物が皮膚に貼着又は塗布された際に、光照射の照射装置の一部が当接し離れた後に該一部に実質的に付着しないことをいい、より具体的には、本組成物が皮膚に貼着又は塗布された際に、光照射の照射装置の前記一部が通常の光照射脱毛処理において本組成物に当接する際の圧力である0.15kg/cmの圧力によって前記一部が本組成物に当接し離れたときに、前記一部の表面のうち本組成物と当接した部分に本組成物が実質的に付着しないことをいう。前述したように、光照射の照射装置の前記一部(特に、照射装置から光が発せられる部分)は、通常、光が照射される皮膚に近接する位置に配置されるので本組成物に当接することが多い。前記一部が本組成物に当接し離れた際に、本組成物が前記一部に付着するものであれば、本組成物が前記一部を汚染する問題がある。従って、本組成物は、前記一部が当接し離れた後に前記一部に実質的に付着しないものであれば、かかる汚染の問題を回避することができる。
【0015】そして、本製造方法は、シート状に成形されてなる本組成物の製造方法であり、ポリビニルアルコール、ホウ砂及び水を混合する混合ステップと、該混合ステップによって得られるゲル組成物から気泡を除去する気泡除去ステップと、そして該気泡除去ステップによって気泡が除去されたゲル組成物をシート状に成形する成形ステップと、を有してなる。混合ステップによりポリビニルアルコール、ホウ砂及び水が混合され、ゲル組成物が調製される。この混合ステップにおけるポリビニルアルコール、ホウ砂及び水の混合割合については、前述したように、洗濯のりとして市販されているポリビニルアルコールを用いた場合、本組成物が含有するポリビニルアルコールの割合は、下限として、好ましくは51重量%以上であり、より好ましくは55重量%以上であり、最も好ましくは60重量%以上であり、上限として、好ましくは70重量%以下であり、より好ましくは67重量%以下であり、最も好ましくは65重量%以下であり、本組成物が含有するホウ砂の割合は、下限として、好ましくは3.2重量%以上であり、より好ましくは4.2重量%以上であり、最も好ましくは4.5重量%以上であり、上限として、好ましくは5.5重量%以下であり、より好ましくは5.3重量%以下であり、最も好ましくは5.2重量%以下であり、そして本組成物が含有する水の割合は、下限として、好ましくは25重量%以上であり、より好ましくは27重量%以上であり、最も好ましくは29重量%以上であり、上限として、好ましくは36重量%以下であり、より好ましくは33重量%以下であり、最も好ましくは31重量%以下である。そして、混合ステップによって得られた該ゲル組成物には、混合ステップで混合する際に混入した気泡が存在しており、本組成物を均一化する観点から気泡除去ステップによって気泡を除去する。なお、気泡除去ステップは、該ゲル組成物に存する気泡を減少又は取り除くものであればいかなるものであってもよく、特に限定されないが、例えば、静置分離や減圧分離等を例示することができる。その後、気泡除去ステップによって気泡が除去されたゲル組成物を成形ステップによりシート状に成形することで、シート状に成形された本組成物を得ることができる。なお、成形ステップは、該ゲル組成物をシート状に成形するものであればいかなるものであってもよく、特に限定されないが、例えば、該ゲル組成物をそのまま伸展してシート状にする方法や、該ゲル組成物をシート状の成形型に注入する方法や、該ゲル組成物から板状の切片を複数切り出し、該切り出された複数の切片をシート状に沿うように並べた後、該複数の切片同士を融合させ該複数の切片を一体化させるように練ることによる方法(後述の実施例中、実施例2:シート状成形実験にて詳述する。)等を挙げることができる。
【0016】さらに、本脱毛法は、本組成物を用いた光照射脱毛処理法であり、本組成物を脱毛対象皮膚部に貼着又は塗布する被覆ステップと、該被覆ステップにて本組成物により被覆された該脱毛対象皮膚部に光を照射する照射ステップと、そして該照射ステップの後、該脱毛対象皮膚部を被覆した本組成物を該脱毛対象皮膚部から取り除く除去ステップと、を有してなる、光照射脱毛処理法である。まず、被覆ステップによって本組成物を脱毛対象皮膚部に貼着又は塗布し、該脱毛対象皮膚部を本組成物によって被覆する。次いで、被覆ステップにて本組成物により被覆された該脱毛対象皮膚部に照射ステップにおいて光を照射する。なお、照射ステップによって照射される光は、その光が脱毛対象皮膚部に照射されることにより脱毛対象皮膚部に存する毛乳頭等にタンパク変性等を起こさせその部分の毛の発育を抑制することができると共に、脱毛対象皮膚部に大きな障害を生じないものであればいかなるものであってもよく特に限定されるものではないが、例えば、レーザー光線等を例示することができる。最後に、照射ステップの後、除去ステップにおいて、脱毛対象皮膚部を被覆した本組成物を脱毛対象皮膚部から取り除く。
【0017】
【実施例】以下、本発明を具体的に説明するために、実施例を挙げる。しかしながら、本発明は、かかる実施例によって何ら制限されるものではない。
【0018】(実施例1:本組成物の調製実験)略7リットル程度の円筒形の容器(有底無蓋)に精製水600mlを注ぎ入れる。次いで、精製水が入れられた該容器に、ポリビニルアルコール(三和油脂工業株式会社製、商標「サリノール」、洗濯のり用)3750ml(750ml/本×5本。3750g)をできる限り泡立てないよう静かに注ぎ入れる。該容器の内容物(精製水とポリビニルアルコール)をできる限り泡立てないよう該内容物が均一になるまで静かに攪拌し、ポリビニルアルコール水溶液を調製する。その後、該ポリビニルアルコール水溶液に混入した気泡をスプーン等を用いて除く。一方、略2リットル程度の別の容器にホウ砂(健栄製薬株式会社製、日本薬局方ホウ砂)300gと精製水1200mlとを入れ攪拌し、ホウ砂を精製水に完全に溶解させ、ホウ砂水溶液を調製する。該ホウ砂水溶液に含まれる微細な気泡等を取り除くため、攪拌終了後、該ホウ砂水溶液を約90秒程度静置する。
【0019】前記ポリビニルアルコール水溶液に前記ホウ砂水溶液を少しずつゆっくりと注ぎ入れつつ(ポリビニルアルコール、ホウ砂及び水を混合する混合ステップ)、両水溶液が十分混合されるようへら形状の攪拌棒にて攪拌する。この前記ホウ砂水溶液の注入に伴い、該攪拌棒に透明のゲル組成物が付着し、最終的には、容器の内容物全体が透明のゲル組成物になる。該透明のゲル組成物は、気泡を含んでおり、この気泡を除去するため、該透明のゲル組成物をそのまま略7日間静置する(混合ステップによって得られるゲル組成物から気泡を除去する気泡除去ステップ)。この略7日間の静置により、該透明のゲル組成物に含まれていた気泡のほとんどが除去される。このようにして形成された該ゲル組成物は、無色透明でありかつ自己保形性を有しており、上記したように、ポリビニルアルコール64重量%、ホウ砂5.1重量%、及び水30.9重量%の割合で含有する。
【0020】(実施例2:シート状成形実験)次いで、略7日間の静置により気泡が除去されたゲル組成物をシート状に成形する方法について説明する。図1は、略7日間の静置により気泡が除去されたゲル組成物11を、静置された容器から取り出してビニールシート51に載置したところを示す正面図である。そして、図2に示すように、図1に示すゲル組成物11から略5mm程度の厚みの板状の切片13を切り出す。
【0021】一方、主表面が一辺略14cmの正方形をしたビニールシート41を複数枚(ここでは6枚)用意する。そして、図3に示すように、これら複数枚のビニールシート41を互いの辺が重なるように水平面43に敷き詰める。次いで、図4に示すように、図3のように敷き詰められた複数枚のビニールシート41の上面に、図2に示した切片13をできる限り隙間なく載置してゆく。複数枚のビニールシート41の上面の略全面に切片13を載置し終わったら、図5に示すように、上部から全てを覆うことができるビニールシート45を上部を覆うように載置する。そして、図6に示すように、ビニールシート45の上面に丸棒61を押しつけた状態で転動させ(うどん等の生地をのばす要領に略同じ。)、切片13全体の厚みを略一定にならす。また、図6は、図5中、矢印A方向から見たところを示している。なお、この作業において、切片13同士の境界が融合し、複数の切片13が一枚のシート状に一体化された状態に成形される(以上が気泡除去ステップによって気泡が除去されたゲル組成物をシート状に成形する成形ステップ)。
【0022】図7は、図6のように丸棒61によって切片13全体の厚みを略一定にならした後、ビニールシート45を取り外したところを示す平面図である。切片13同士の境界が消失し、一枚のシート15が形成されている。この後、複数枚のビニールシート41からはみ出したシート15の部分15cを切除する。さらに、複数枚のビニールシート41それぞれをシート15と一緒に切り離す。そして、切り離されたものは、図8に示すように、シート15の両面のうちビニールシート41が貼着されていない方の面に、該面を完全に覆うことができる該面よりも大きな主表面(ここでは具体的には、一辺が17cmの正方形)を有するビニールシート47が貼着され、その後、ビニールシート41が剥がし取られる。そして図9に示すように、ビニールシート47が貼着されたシート15は、数段(ここでは3段)程度積層され、その積層された状態にて冷却(例えば、冷蔵庫の中で冷蔵される。)される。
【0023】(実施例3:光照射脱毛処理実験)最後に、本組成物を用いた光照射脱毛処理実験について説明する。まず、図9にて説明した冷却されたシート15がビニールシート47から取り外され、図10に示すように、脱毛される対象の脱毛対象皮膚部101に貼着される(本組成物たるシート15を脱毛対象皮膚部に貼着又は塗布する被覆ステップ)。次いで、図11に示すように、脱毛用の光を照射する装置(ここでは具体的には、ESCシャープラン株式会社製、機種名「エステライト」、シリアル番号:SA33010003399009を用いた。)の光照射部分111(以下、これを「プローブ」と称する。)のうち光が発せられる部分111a(以下、これを「クリスタル面」と称する。)を、脱毛用の光を照射し脱毛できるようシート15を介して脱毛対象皮膚部101に面するように配置する。なお、図11は、クリスタル面111aと交わりかつ脱毛対象皮膚部101に対して略垂直な平面による断面を示しており、図示及び理解を容易にするためプローブ111の内部構造については図示を省略している。その後、クリスタル面111aから脱毛用の光(ここではレーザー光線)を所定時間照射する(被覆ステップにて本組成物たるシート15により被覆された脱毛対象皮膚部101に光を照射する照射ステップ)。
【0024】脱毛用の光を照射した後、図12に示すようにプローブ111を引き上げる。このとき、プローブ111のクリスタル面111aがシート15に当接していた部分(図11参照)に変形が生じることで凹み15dが形成されている。なお、ここでは光照射の照射装置の一部たるクリスタル面111aが通常の光照射脱毛処理においてシート15に当接する際にシート15が受ける圧力である0.15kg/cmの圧力を受けた時に、該圧力の方向に向かって形成される窪みたる凹み15dの深さが約0.2cmであり、シート15は、光照射の照射装置の一部が当接することによって変形する程度の可塑性を有するものであった。そして、クリスタル面111aをシート15を介して脱毛対象皮膚部101の次の光照射位置へ面するように配置する際、かかる凹み15dを目印とすることができる。即ち、凹み15dにクリスタル面111aが配置されて光が照射される部分は既に照射済みであるので、凹み15dにクリスタル面111aが再び重なることがないよう(脱毛対象皮膚部101の同じ位置に複数回照射すると火傷や痛みを生じるので、このような誤った重複照射を防止する)、かつ照射していない部分がないよう(脱毛処理が行われない部分が生じないようにする)、凹み15dを目印としてクリスタル面111aを次の光照射部分へ面するように配置することができる。図13は、凹み15dを目印としてクリスタル面111aを次の光照射部分へ配置したところを示しており、凹み15dにクリスタル面111aが重ならないように、かつ凹み15dに隣接するようにクリスタル面111aが配置されている。このようにして、クリスタル面111aがシート15に当接することで生じる凹み15dを目印にして、順次、クリスタル面111aを配置し光照射することで、脱毛対象皮膚部101に重複照射部分や未照射部分が形成されることを効果的に防止することができる。
【0025】脱毛対象皮膚部101への光照射が完了した後、脱毛対象皮膚部101からシート15を剥がし取る(照射ステップの後、脱毛対象皮膚部101を被覆した本組成物たるシート15を脱毛対象皮膚部101から取り除く除去ステップ)。なお、この脱毛対象皮膚部101からシート15が剥がし取られる際、シート15の一部が脱毛対象皮膚部101に実質的に残留することなくシート15が剥がし取られることができると共に、該剥がし取られたシート15を再び脱毛対象皮膚部101に貼着でき、シート15は皮膚に貼着された後に剥がし取られ再び皮膚に貼着できる程度の粘弾性を有するものであった。
【0026】なお、ここでは光照射の照射装置の一部たるクリスタル面111aが通常の光照射脱毛処理においてシート15に当接する際の圧力である0.15kg/cmの圧力によってクリスタル面111aがシート15に当接し離れたときに、クリスタル面111aの表面のうちシート15と当接した部分にシート15に由来する物が全く認められずシート15が実質的に付着しないものであり、シート15は光照射の照射装置の一部が当接し離れた後に該一部に実質的に付着しないものであった。
【0027】さらに、本組成物たるシート15は、従来から用いられてきたクリーム様のゲル(以下、「従来品」という。)に比して、次のような利点も有する。第一に、従来品は柔軟なクリーム様であると共に粘着性が強いことから、プローブ111のクリスタル面111aが従来品に一度でも接触すると、クリスタル面111aに従来品が付着する。このクリスタル面111aへの従来品の付着は、光照射脱毛処理を開始する際に略一定にされた脱毛対象皮膚部101上の従来品の厚さを不意に変化させることになる(即ち、該付着によりクリスタル面111aに付着した従来品が元々存した場所の厚みが減少する。)。このことは従来品の脱毛対象皮膚部101上における厚みが脱毛対象皮膚部101の位置によって異なることとなり、脱毛対象皮膚部101の位置によって照射される光の強度が変化することとなる(従来品を光が透過する際の減衰量が異なるため)ので、脱毛対象皮膚部101の位置によって効果のむらが生じやすい。これに対して、シート15は、上述のように、光照射の照射装置の一部(プローブ111のクリスタル面111a)が当接し離れた後に該一部に実質的に付着しないものであるので、かかる問題は発生しない。
【0028】第二に、上述のように、プローブ111のクリスタル面111aが従来品に一度でも接触すると、クリスタル面111aに従来品が付着する。このクリスタル面111aへの従来品の付着は、脱毛対象皮膚部101上の従来品を変形させるので、脱毛対象皮膚部101上の照射済み及び未照射位置の判断を困難にし(例えば、脱毛対象皮膚部101上の従来品の何らかの形状を目印として照射した位置を記憶していたような場合にはその目印を失わせることとなる。)同じ位置への重複照射(火傷や痛みの原因となる。)を起こりやすくなさしめることや、かかる従来品の変形によってクリスタル面111aと脱毛対象皮膚部101との位置関係を見誤ることでクリスタル面111aが脱毛対象皮膚部101に(従来品を介在させることなく)直接接触することで火傷や傷み(高温となっているクリスタル面111aが接触することや、従来品を介することなくクリスタル面111aから光照射されることで多量の光を受けること等による。)を生じるといった問題がある。これに対して、シート15は、上述のように、光照射の照射装置の一部(プローブ111のクリスタル面111a)が当接し離れた後に該一部に実質的に付着しないものであるので、かかる問題は発生しない。また、シート15は、自己保形性を有することからも、クリスタル面111aが脱毛対象皮膚部101に直接接触することを防止する。
【0029】第三に、上述のように、プローブ111のクリスタル面111aが従来品に一度でも接触すると、クリスタル面111aに従来品が付着する。従って、クリスタル面111aに付着した従来品は、拭き取りや洗浄等によってクリスタル面111aから除去される必要がある。このためクリスタル面111aに付着した従来品の除去作業(拭き取りや洗浄等)を要することから、光照射脱毛処理を煩雑にさせるという問題があった。また、該除去作業を的確に行わない場合、従来品がクリスタル面111aに付着した状態で乾燥するので、その乾燥した従来品が付着したクリスタル面111aを使用することで、クリスタル面111aが傷つくという問題(クリスタル面111aが傷つくことで、最終的には、使用できなくなる。)があった。これに対して、シート15は、上述のように、光照射の照射装置の一部(プローブ111のクリスタル面111a)が当接し離れた後に該一部に実質的に付着しないものであるので、かかる問題は発生しない。
【0030】第四に、従来品は、柔軟なクリーム様であると共に粘着性が強いことから、それを脱毛対象皮膚部101上に略均一な厚さで塗布することは面倒であると共に、光照射終了後、脱毛対象皮膚部101上に塗布された従来品を除去(通常、拭き取る)することも面倒であり、光照射脱毛処理を煩雑にすると共に光照射脱毛処理時間を増加させる原因となっていた。これに対して、シート15は、上述のように、略一定の厚さに成形されたシートになっているので脱毛対象皮膚部101上に容易かつ迅速に貼着されることができると共に、脱毛対象皮膚部101から剥がし取られる際にシート15の一部が脱毛対象皮膚部101に実質的に残留することなく容易かつ迅速に剥がし取られることができるので、光照射脱毛処理を煩雑にしたり光照射脱毛処理時間を増加させることもない。また、脱毛対象皮膚部101から剥がし取られたシート15は、再び脱毛対象皮膚部101に貼着できるので、繰り返し使用することができる。
【0031】第五に、本組成物たるシート15は、皮膚表面と同様の弱酸性であるので、肌荒れ等の問題もない。第六に、本組成物たるシート15は、ポリビニルアルコール、ホウ砂及び水といった容易に入手しうる安価な原料から簡単に製造することができ、極めて安価に製造することができる。
【出願人】 【識別番号】501345530
【氏名又は名称】有限会社のぞみ
【出願日】 平成13年8月31日(2001.8.31)
【代理人】 【識別番号】100107917
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 英俊
【公開番号】 特開2003−73244(P2003−73244A)
【公開日】 平成15年3月12日(2003.3.12)
【出願番号】 特願2001−264119(P2001−264119)