| 【発明の名称】 |
セルロースを含有するスプレー剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】小野 博文 【住所又は居所】静岡県富士市鮫島2番地の1 旭化成株式会社内
【氏名】天川 英樹 【住所又は居所】静岡県富士市鮫島2番地の1 旭化成株式会社内
|
| 【要約】 |
【課題】噴霧性が良好で、噴霧後の定着性、液だれ防止性、塗布時ののび、塗布後の仕上り(噴霧むらの少なさ)に優れているスプレー剤の提供。
【解決手段】特定のセルロース微粒子と液状分散媒体を含有する組成物をスプレー噴霧装置に充填したスプレー剤であって、組成物中のセルロース濃度が0.1〜5.0重量%であり、かつコーン・プレート型回転粘度計を用いて測定する25℃での組成物の、少なくとも1×10-3s-1〜1×102s-1を含むずり速度領域にて得られる粘度−ずり応力曲線における粘度の最大値(ηmax)が、ηmax≧1×103mPa・s であることを特徴とするスプレー剤。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 平均重合度(DP)が100以下で、セルロースI型結晶成分の分率が0.1以下、セルロースII型結晶成分の分率が0.4以下で、かつ、平均粒子径が2μm以下であるセルロース微粒子と、液状分散媒体とを含有する組成物であって、該組成物中のセルロース濃度が0.1〜5.0重量%であり、かつ、該組成物のコーン・プレート型回転粘度計を用いて測定する少なくとも1×10-3s-1〜1×102s-1を含むずり速度領域で25℃で測定した粘度−ずり応力曲線における粘度の最大値(ηmax)が、ηmax≧1×103mPa・sであることを特徴とするスプレー剤用の組成物。 【請求項2】 請求項1に記載の粘度の最大値(ηmax)が、ηmax≧5×105mPa・s であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。 【請求項3】 該組成物中にオイル系化合物,保湿剤,界面活性剤,金属酸化物,紫外線遮蔽剤,無機塩,金属粉,ガム類,染料,顔料,シリカ系化合物,ラテックス,水溶性高分子,アミノ酸,化粧料用有効成分,医薬品,防虫剤,脱臭剤,抗菌剤,防腐剤および香料からなる群から選ばれた少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の組成物。 【請求項4】 該組成物のセルロース濃度を0.05重量%となるように水で希釈したときの該組成物の波長660nmの可視光に対する透過率が80%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載のスプレー剤用組成物をスプレー噴霧装置に充填したことを特徴とするスプレー剤。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明のスプレー剤は、スキンケア製品,ヘアケア製品,外用医薬品,経口用医薬品,防虫剤,芳香剤,消臭剤,抗菌剤,滅菌剤,消口臭剤,洗浄剤,塗料,防曇用コーティング剤,帯電防止用コーティング剤,防腐剤など、広範なスプレー製品の分野に関する。 【0002】 【従来の技術】近年スプレー製品は広範な分野に適用されており、多くの場合にスプレー装置に充填される液状の母液には組成物が使用されている。スプレー製品として望まれる特性には(1)あらゆる環境下で良好な噴霧を実現できること、(2)吹き付けられた表面に母液滴が良好に定着し噴霧むらが生じないこと、(3)母液滴の垂直面や傾斜面での液だれが発生しにくいこと、(4)定着した母液滴の乾燥体が皮膚等の表面を長期間に渡って損傷せず、安全性が高いものであること等があげられる。 【0003】これらの課題を解決するために種々の技術が提案されている。例えば、特開2001−89359では、上記(1)〜(3)の課題を解決するために、母液中に高分子増粘剤を溶解させて母液の粘度を上げることが提案されている。しかし、通常の高分子溶液では、液だれを防止するために母液粘度を高め過ぎるとスプレー噴霧が不可能となるため、ノズルへの吸い上げが可能であり噴霧が可能であるためにはある程度母液の粘度を低減しておく必要があるが、そうすると今度は液だれ防止性が低くなる。すなわち、両者のバランスをとることが極めて困難である点、さらには噴霧できる条件を探しても、噴霧時に高分子溶液特有の曳糸性により液滴が理想的にばらばら(ミスト状)にならず、ミストの状態が増粘剤を加えないケースと比べて大幅に劣り、噴霧むらの原因になることが問題であった。 【0004】また、母液中に界面活性剤を配合し、水相での構造形成力を利用して増粘させることや噴霧後の母液滴の表面張力をコントロールすることにより、上記(2)や(3)を改善する試みが数多くなされている(例えば、特開2001−72999や特開2000−351726)。しかし、その母液は流動性を有するため、逆さまにした状態で噴霧ができないなど上記(1)の課題は抜本的には解決できない、さらには、液だれ防止性を高めるために界面活性剤の量を増大させると皮膚刺激性を生じ易くなり、上記(4)の安全性の点で不都合を生じる等の問題があった。 【0005】(1)や(3)の課題を解決するために、容器構造面での改善も提案されている(例えば、特開2000−229255)が、この場合も、ミストを被覆表面上に薄く定着させる場合は良いが、多量の吹き付けを行う場合、すなわち厚塗りをする必要がある場合にはやはり液だれが発生してしまうため、液だれ防止という点で本質的な解決になっていなかった。上記した(1)〜(4)の課題を比較的バランスよく解決するために特開平9−241115や特開2000−51682には親水性スメクタイトからなるヘクトライトを主成分としたゲル状組成物を用いたスプレー剤を開示している。しかしながら開示された技術は安全面で使用実績に乏しい無機物を主成分としたものであることや、アルコールのようなスプレー用組成物の主要な分散媒中でヘクトライトが凝集を起こし、これが噴霧特性を低限させてしまう、というような問題点があった。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は上記(1)〜(4)の課題、即ち、(1)あらゆる環境下で良好な噴霧を実現できること、(2)吹き付けられた表面に母液滴が良好に定着し噴霧むらが生じないこと、(3)母液滴の垂直面や傾斜面での液だれが発生しにくいこと、(4)定着した母液滴の乾燥体が皮膚等の表面を長期間に渡って損傷せず、安全性が高いものであることを同時に満足するスプレー剤の提供を目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討した結果、PCT/JP98/05462において開示されているセルロース分散体のもつ良好な噴霧性、フォーム形成能とその保持性、高いチキソトロピー性、広範な化合物への分散安定化能に着目した結果、特定の粘度領域の組成物をスプレー剤用に用いることによってのみ上記した課題のすべてを同時に満足するものであることを見出し、さらに上記特定の粘度領域の組成物のうちゲル的性状のものがより優れることを見出し本発明を完成するにいたった。従って、本発明のスプレー剤は理想的なスプレー製品として広範な分野に用いることができるものである。 【0008】即ち、本発明は、1、平均重合度(DP)が100以下で、セルロースI型結晶成分の分率が0.1以下、セルロースII型結晶成分の分率が0.4以下で、かつ、平均粒子径が2μm以下であるセルロース微粒子と、液状分散媒体とを含有する組成物であって、該組成物中のセルロース濃度が0.1〜5.0重量%であり、かつ、該組成物のコーン・プレート型回転粘度計を用いて測定する少なくとも1×10-3s-1〜1×102s-1を含むずり速度領域で25℃で測定した粘度−ずり応力曲線における粘度の最大値(ηmax)が、ηmax≧1×103mPa・s であることを特徴とするスプレー剤用の組成物。 【0009】2、1に記載の粘度の最大値(ηmax)が、ηmax≧5×105mPa・s であることを特徴とする1に記載の組成物。 3、該組成物中にオイル系化合物,保湿剤,界面活性剤,金属酸化物,紫外線遮蔽剤,無機塩,金属粉,ガム類,染料,顔料,シリカ系化合物,ラテックス,水溶性高分子,アミノ酸,化粧料用有効成分,医薬品,防虫剤,脱臭剤,抗菌剤,防腐剤および香料からなる群から選ばれた少なくとも一種を含有することを特徴とする1または2に記載の組成物。 【0010】4、該組成物のセルロース濃度を0.05重量%となるように水で希釈したときの該組成物の波長660nmの可視光に対する透過率が80%以上であることを特徴とする1〜3のいずれかに記載の組成物。 5、1〜4に記載のスプレー剤用の組成物をスプレー噴霧装置に充填したことを特徴とするスプレー剤に関する。 【0011】以下に本発明を詳細に説明する。本発明のスプレー剤は、液状分散媒体に粘度調節剤としてセルロースを分散したスプレー剤用の組成物をスプレー噴霧装置に充填したものである。先ず本発明に用いるセルロースについて説明するが、本発明に用いるセルロースの平均重合度、セルロースI型結晶成分の分率、セルロースII型結晶成分の分率、平均粒子径は原料として用いるセルロース/水分散体やその乾燥物に対して測定したものである。 【0012】セルロースの平均重合度(DP)は10以上100以下、特に20以上50以下であることが望ましい。100よりも大きなDPでは、分散媒体に微細かつ高度に分散したセルロース分散体を得ることが難しく、本発明の組成物における増粘性,分散安定性に乏しい。また10以下のDPでは水溶性の成分を含有することになり、セルロースの粘度調節剤としての効果が得られない。セルロースの固体微粒子中に含まれるセルロースI型結晶成分の分率(χI)は0.1以下、好ましくは0であり、セルロースII型結晶成分の分率(χII)は0.4以下、好ましくは0.3以下の低結晶性であることが必要である。χIが0.1を超える又はχIIが0.4を超えるセルロースを含む組成物は透明度が低く、かつ粘度も低くなる。 【0013】セルロースの平均粒子径は、2μm以下、好ましくは1μm以下、更に好ましくは0.5μm以下である。平均粒子径の下限は、本発明が規定する測定法の検出下限値に近い0.02μmである。2μmを超えると、本発明の組成物の特徴である高粘度が発現され難くチキソトロピー性も低くなる。以下に本発明に用いるセルロースの平均重合度(DP)、セルロースI及びセルロースII型結晶成分の分率(χIおよびχII)、平均粒子径の測定方法を記載する。 【0014】DPは、原料として用いるセルロースを水などの液状分散媒体に分散した分散体を乾燥して得られた乾燥セルロース試料をカドキセンに溶解した希薄セルロース溶液の比粘度をウベローデ型粘度計で測定し(25℃)、その極限粘度数[η]から下記粘度式(1)および換算式(2)により算出した。 [η]=3.85×10-2×Mw0.76 (1) DP=Mw/162 (2) 【0015】セルロースI型結晶成分の分率(χI)は、同じくセルロースを液状分散媒体に分散した分散体を乾燥して得られた乾燥セルロース試料を粉状に粉砕し錠剤に成形し、線源CuKα,反射法での広角X線回折法(理学電機(株)社製ロータフレックスRU−300を使用)により得られた回折図(図1)において、セルロースI型結晶の(110)面ピークに帰属される2θ=15.0゜における絶対ピーク強度h0と、この面間隔におけるベースラインからのピーク強度h1から、下記(3)式によって求めた。 【0016】同様に、セルロースII型結晶成分の分率(χII)は、得られた回折図(図1)において、セルロースII型結晶の(110)面ピークに帰属される2θ=12.6゜における絶対ピーク強度h0*とこの面間隔におけるベースラインからのピーク強度h1*から、下記(4)式によって求めた。 χI=h1/h0 (3) χII=h1*/h0* (4) 尚、図1に、χIおよびχIIを求める模式図を示す。 【0017】セルロースの平均粒子径は、セルロースを液状分散媒体に分散した分散体をレーザ回折式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920;下限検出値は0.02μm)で室温で測定した。測定では分散体中のセルロース粒子間の会合を可能な限り切断した状態で粒子径を測定するために、以下に示す手順で試料を調製した。セルロース濃度が約0.5重量%になるように分散体を水で希釈した後、回転速度15000rpm以上の能力を持つブレンダーで10分間分散処理を行い均一な透明性の高い試料を作る。次いでこの試料を粒度分布測定装置のフローセルに供給し、超音波処理を適宜行った後、粒径分布を測定した。 【0018】次に本発明で用いるセルロースを分散させる液状分散媒体について説明する。本発明の液状分散媒は、通常水であるが、水の他にアルコール類などの水溶性有機溶媒であってもかまわない。また、目的によっては疎水性の有機溶媒を使用することも可能である。これらは混合媒体として使用してもよい。水溶性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトン、ジアセトンアルコール等のケトンまたはケトアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類、エチレングリコールモ ノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のセロソルブ類、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコール-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコール-n-ブチルエーテル等のカルビトール類、1,2-ヘキサンジオ-ル、1,2-オクタンジオール等の1,2-アルキルジオール類、さらには、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンおよびその誘導体、N−メチルー2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルー2−イミダゾリジノン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。 【0019】疎水性の有機溶媒としてはへキサンやトルエン等の炭化水素類、酢酸エチル等のエステル類等があげられる。本発明の組成物は上記したセルロースと液状分散媒体とを含有するものであるが、以下にその組成比について説明する。組成物中のセルロース濃度は、0.1〜5.0重量%、好ましくは0.3〜4.0重量%、さらに好ましくは0.5〜2.5重量%であることが望まれる。セルロース濃度が0.1重量%よりも低くなると、本発明で主張する噴霧液滴の液だれ防止性が期待できなくなる。またセルロース濃度が5.0重量%を越えると粘度が極めて高くなるため、スプレー容器内の母液中に空気が入りやすくなり、安定した噴霧を実現し難くなるため適当でない。 【0020】また、本発明の組成物は、コーン・プレート型回転粘度計を用いて測定する、25℃での、少なくとも1×10-3s-1〜1×102s-1を含むずり速度領域にて得られる粘度−ずり応力曲線における粘度の最大値(ηmax)が、ηmax≧1×103mPa・sであることが必要である。図2および図3に具体的な測定例として本発明に用いるセルロースを1.5重量%含有したセルロース/水分散体(試料S3)の、25℃における粘度(η)−ずり速度(γ',ガンマードット)曲線および粘度(η)−ずり応力(τ)曲線をそれぞれ示した。 【0021】コーン・プレート型回転粘度計は、Haake社製のRS−100を使用し、4°,35mm径のコーンを使用して行った。図3において、τがおよそ2Pa以下ではηはτに依存せずほぼ一定値をとる、いわゆるニュートン粘性を示すが、τが2Paを超えると急激に低粘度化し、例えばτ=20Paでは粘度は50mPa・sと極めて低い値を示すようになる。これは本発明の組成物のもつ高いチキソトロピー性によるものだが、これと同時に、他の材料の同曲線と比較し、τが急激に下がり始める臨界ずり応力(図3のτc)の値が極めて小さいことが、極めて高い粘性を持ちながら低い応力で母液が低粘度化し、吸い上げチューブからノズルへの吸い上げを可能にしていると言える。 【0022】ηmaxの値が1×103mPa・sを下回る低粘性の組成物では、本発明で主張する噴霧液滴の液だれ防止性が期待できなくなる。スプレー噴霧における塗布密度が比較的低い場合には、ηmax≧1×103mPa・sを満足していれば十分に液だれ防止性が期待できる。しかし、厚く塗布するような場合にはηmax≧1×103mPa・sを満たしていても、液だれ防止を阻止できないことが起こり得る。スプレーによる塗布のあらゆる条件で、液だれ防止などの本発明の主張する効果を発現させるためには、ηmax≧5×105mPa・s、さらに好ましくはηmax≧2×106mPa・sであるとよい。こうした粘度の調節は、スプレー製品の目的に応じて使い分ける。ηmaxの値が5×105mPa・s以上になると本発明の組成物は多くの場合、流動性のないゲル状の性状となる。噴霧を安定して行える範囲としてηmaxの値は109mPa・sを超えないことが望ましい。 【0023】本発明の組成物中には、当然のことながら目的に応じて種々の添加物を配合するが、代表的なものを挙げると、オイル系化合物,保湿剤,界面活性剤,金属酸化物,紫外線遮蔽剤,無機塩,金属粉,ガム類,染料,顔料,シリカ系化合物,ラテックス,水溶性高分子,アミノ酸,化粧料用有効成分,医薬品,防虫剤,脱臭剤,抗菌剤,防腐剤および香料などである。これらは、単独で配合しても、複数種組み合わせて配合しても構わない。配合した結果、組成物として均一性を有し、スプレー剤として本発明で主張する種々の効果を損なわないことが重要である。 【0024】例えば、本発明の組成物において分散媒体に水を使用し、流動パラフィンやシリコン系オイルなどのオイル系化合物のみを配合する場合には、均一なO/W型エマルジョンが形成されるようにセルロースの濃度を決定する。例えば、流動パラフィン/水=20/80(g/g)とし、通常のホモミキサーによる乳化により組成物を調製する場合には、セルロース濃度は1.0〜2.0重量%であることが望ましい。また、酸化チタンなどの金属酸化物や銅などの金属粉を配合する場合には、これら固体微粒子が沈降や凝集を起こさない組成で均一に分散させることが必要である。 【0025】以下に、本発明の組成物に配合可能な添加物を具体的に記載する。オイル系化合物としては、ホホバ油、マカデミアナッツ油、アボガド油、 月見草油、ミンク油、ナタネ油、ヒマシ油、ヒマワリ油、トーモロコシ油、カカオ油、ヤシ油、コメヌカ油、オリーブ油、アーモンド油、ごま油、サフラワー油、大豆油、椿油、パーシック油、ヒマシ油、ミンク油、綿実油、モクロウ、パーム油、パーム核油、卵黄油、ラノリン、スクワレン等の天然動植物油脂類;合成トリグリセライド、スクワラン、流動パラフィン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、イソパラフィン 等の炭化水素類;カルナバウロウ、パラフィンワック ス、鯨ロウ、ミツロウ、キヤンデリラワックス、ラノリン等のワックス類;セタノール、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコール、水添ラノリンアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール等の高級アルコール類、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノレン酸、リノール酸、オキシステアリン酸、ウンデシレン酸、ラノリン脂肪酸、硬質ラノリン脂肪酸、軟質ラノリン脂肪酸等の高級脂肪酸類;コレステリル−オクチルドデシル−ベヘニル等のコレステロールおよびその誘導体;イソプロピルミリスチン酸、イソプロピルパルミチン酸、イソプロピルステアリン酸、2エチルヘキサン酸グリセロール、ブチルステアリン酸等のエステル類;ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンペンタエリトリトールエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、リノール酸エチル等の極性オイル;その他アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、メタクリル変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、フェノール変性 シリコーン、片末端反応性シリコーン、異種官能基変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、メチルスチリル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、高級脂肪酸エステル変性シリコーン、親水性特殊変性シリコーン、高級アルコキシ変性シリコーン、高級脂肪酸含有シリコーン、フッ素変性シリコーン等、より具体的にはシリコン樹脂、メチルフェニルポリシロキサン、メチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メ チルポリシロキサン共重合体、メチルハイドロジェンポリシロキサン、テトラヒドロテトラメチルシクロテトラ シロキサン、ステアロキシメチルポリシロキサン、セトキシメチルポリシロキサン、メチルポリシロキサンエマルション、高重合メチルポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、架橋型メチルポリシロキサン、架橋型メ チルフェニルポリシロキサン、架橋型メチルフェニルポ リシロキサン等の各種誘導体を含むシリコーン類等を挙げることができるが、これらに限定されない。 【0026】保湿剤としては、マルチトール、ソルビトール、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリコール等の多価アルコール、ピロリドンカルボン酸ソーダ、乳酸ソーダ、クエン酸ソーダなど有機酸およびその塩、ヒアルロン酸ソーダなどヒアルロン酸およびその塩、酵母および酵母抽出液の加水分解物、酵母培養液、乳酸菌培養液など醗酵代謝産物、コラーゲン、エラスチン、ケラチン、セリシン等の水溶性蛋白、コラーゲン加水分解物、カゼイン加水分解物、シルク加水分解物、ポリアスパラギン酸ナトリウム等のぺプチド類およびその塩、トレハロース、キシロビオース、マルトース、蔗糖、ブドウ糖、植物性粘質多糖等の糖類・多糖類およびその誘導体、水溶性キチン、キトサン、ペクチン、コン ドロイチン硫酸およびその塩等のグリコサミノグリカンおよびその塩、グリシン、セリン、スレオニン、アラニン、アスパラギン酸、チロシン、バリン、ロイシン、アルギニン、グルタミン、プロリン酸等のアミノ酸、アミノカルボニル反応物等の糖アミノ酸化合物、アロエ、マロニエ等の植物抽出液、トリメチルグリシン、尿素、尿酸、アンモニア、レシチン、ラノリン、スクワラン、スクワレン、グルコサミン、クレアチニン、DNA、RNA等の核酸関連物質等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。 【0027】界面活性剤としては、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合体、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸(塩)などの非イオン界面活性剤やアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エ ステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩などのアニオン界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウムなどのカチオン界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドジメチルアミノ酢酸ベタインなどの両性界面活性剤、レシチン、ラノリン、コレステロール、サポニンなどの界面活性能を有する天然物、スルホコハク酸エステル類やエチレンオキシド・プロピレンオキシドブロック共重合体などのような低刺激性界面活性剤等が挙げられるがこれらに限定はされない。 【0028】金属酸化物としては、二酸化チタン、アルミナ、二酸化亜鉛、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄等が挙げられるがこれらに限定されない。噴霧特性を損なわないように10μm以下、好ましくは5μm以下の平均粒径をもつように微細化されたものが望ましい。紫外線遮蔽剤としては、パラアミノ安息香酸およびその誘導体、ホモメチル−7N−アセチルアラントイラニレート、ブチルメトキシベンゾイルメタン、ジ−パラメトキシケイ皮酸−モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、オクチルシンナメート等のパラメトキシケイ皮酸誘導体、アミルサリシレート等のサリチル酸誘導体、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオン酸エチルヘキシル、酢酸液状ラノリン、コガネバナ根抽出エキス、トリアニリノ−p−カルボエチルヘキシルオキシートリアジン等が挙げられるがこれらには限定されない。 【0029】無機塩としては塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸アンモニウム、リン酸カルシウム等、液状分散媒体に可溶なあらゆる無機塩を自由に選ぶことができるが、これらは配合量によってはセルロースを強く凝集させる性質をもっているので、スプレー特性に悪影響を及ぼさない程度に配合量を調節する。金属粉も金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、鉄等あらゆる種類の金属から自由に選ぶことができるが噴霧特性を損なわないように10μm以下、好ましくは5μm以下の平均粒径をもつものが望ましい。 【0030】ガム類としては、アラビアガム、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビンガム、クインスシード、カラギーナン等を挙げることができるがこれに限定されるものではない。染料、および顔料も繊維染色、各種印刷、コピー、筆記具等の分野で使用される染料や顔料のすべての中から適宜選択することができる。当然、着色能を有する色材であればこれらに限定されるものではない。 【0031】シリカ系化合物としては、ゼオライト、モンモリロナイト、アスベスト、スメクタイト、マイカ、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ等が挙げられるが、これらに限定はされない。噴霧特性を損なわないように10μm以下、好ましくは5μm以下の平均粒径をもつように微細化されたものが望ましい。ラテックスとしては、スチレン−ブタジエン共重合系ラテックス、アクリル系ラテックス等を挙げることができるが乳化重合によって得られる高分子ラテックスであれば何でも配合可能である。 【0032】水溶性高分子としては、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、カチオン化セルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、アルギン酸、ポリデキストロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。アミノ酸は、グルタミン酸、アスパラギン酸、グリシン、リジンをはじめとする公知のすべてのアミノ酸を意味する。 【0033】化粧品用有効成分としては、アルブチン、コウジ酸、リン酸アスコルビン酸マグネシウムなどのアスコルビン酸およびその誘導体、グルタチオン、甘草エキス、チョウジエキス、茶抽出物、アスタキサンチン、牛胎盤エキス、トコフェロールおよびその誘導体、トラネキサム酸およびその塩、アズレン、γ−ヒドロキシ酪酸等の美白成分、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、アジピン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、マレイン酸等の有機酸、ビタミンB6塩酸塩、ビタミン6トリパルミテート、ビタミンB6ジ オクタノエート、ビタミンB2及びその誘導体等のビタミンB類、アスコルビン酸、アスコルビン酸硫酸エステル、アスコルビン酸リン酸エステル等のビタミンC類、αトコフェロール、βトコフェロール、γトコフェロール等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸等のビタミン類;ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル、γ−オリザノール、アラントイン、グリチルリチン酸(塩)グリチルレチン酸およびその誘導体、ヒノキチオール、ムシジン、ビサボロール、ユーカリプトール、チモールイノシトール、サポニン類(キラヤサポニン、アズキサポニン、ヘチマサポニン等)トラネキ サム酸、パントテルエチルエーテル、エチニルエストラ ジオール、セファランジン、プラセンタエキス、センブリエキス、セファランチン、ビタミンEおよびその誘導体、ガンマーオリザノールなどの血行促進剤、トウガラシチンキ、ショオウキョウチンキ、カンタリスチンキ、ニコチン酸ベンジルエステルなどの局所刺激剤;グリチルレチン酸、グリチルリチン酸誘 導体、塩化カルプロニウム、ノニル酸ワニリルアミド、 アラントイン、アズレン、アミノカプロン酸、ヒドロコルチゾンなどの抗炎症剤、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、アラン トインヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、スルホ石炭酸亜鉛、タンニン酸などの収斂剤、メントール、カンフルなどの清涼剤、抗ヒスタミン剤、高分子シ リコーン、環状シリコーン等のシリコン系物質、トコフェロール類、没食子酸などの酸化防止剤等の各種薬剤;サッカロマイセスなどの酵母、糸状菌、バクテリア、牛胎盤、人胎盤、人臍帯、小麦、大豆、牛血 液、ブタ血液、鶏冠、カミツレ、キュウリ、コメ、シアバター、シラカバ、茶、トマト、ニンニク、ハマメリス、バラ、ヘチマ、ホップ、モモ、アンズ、レモン、キウイ、ドクダミ、トウガラシ、クララ、ギシギシ、コウホネ、セージ、ノコギリ草、ゼニアオイ、センキュウ、センブリ、タイム、トウキ、トウヒ、バーチ、スギナ、マロニエ、ユキノシタ、アルニカ、ユリ、ヨモギ、シャクヤク、アロエ、アロエベラ、オウゴン、オウバク、コウカ、ベニバナ、サンシン、シコン、タイソウ、チンピ、ニンジン、ヨクイニン、ハトムギ、クチナシ、サワラ等の動植物・微生物およびその一部から有機溶媒、アルコール、多価アルコール、水、水性アルコール等で抽出または加水分解して得た天然エキス等を挙げることができるがこれらに限定されない。 【0034】医薬品は、漢方医薬品を含むすべての薬効のある薬剤を使用することができるが、薬剤の薬効は共存する化合物によって大きく変動することから、組成物の配合においては適切な処方を組まなければならない。防虫剤は代表的なものとして、ショウノウ、ナフタリン、パラジクロルベンゼン、パラフォーム、クロルピクリン、除虫菊、スルホンベンズアルデヒド類、フェニルメタン系化合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。 【0035】脱臭剤は活性炭をはじめとする固体および溶解性の脱臭効果を有する化合物のすべてを意味するが、固体成分を配合する場合には、噴霧特性を損なわないように10μm以下、好ましくは5μm以下の平均粒径をもつように微細化されたものが望ましい。抗菌剤・防腐剤としては、安息香酸およびその塩、サリチル酸およびその塩、ソルビン酸およびその塩、パラオキシ安息 香酸アルキルエステル(エチルパラベン、ブチルパラベン等)およびその塩、デヒドロ酢酸およびその塩類、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、ホウ酸、レゾルシン、トリブロムサラン、オルトフェニルフ ェノール、グルコン酸クロルヘキシジン、チラム、感光素201号、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ハロカルバン、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニド、酢酸トコフェロール、ジンクピリチオン、ヒノキチオール、フェノール、イソプロピルメチルフェノール、2,4,4−トリクロロ−2−ヒドロキシフェノール、ヘキサクロロフェン等が挙げられるが、これらに限定されない。 【0036】香料も公知のすべての香料原料が対象となり得るが、組成物の配合成分の中で匂いを打ち消す効果が少ないような処方を選定するのが望ましい。これら以外にもあらゆる添加物をスプレー剤の各目的に応じて選定し、配合することができる。これらの添加物は1種類でも複数種組み合わせても構わないが、選ばれた添加物を配合して得た組成物がざらつき感のない均一な性状をもつこと、さらには組成物が曳糸性をほとんどもたないことの2点が特に重要である。特に、曳糸性は液状分散媒体中に高分子量のポリマー成分が溶解しているために発生する現象であるので、例えば、水溶性高分子を水性の分散媒体中に溶解させて使用する場合には、曳糸性の発生しない分子量と添加量を選択する必要がある。 【0037】本発明の組成物は高いチキソトロピー性を有しているので、スプレー剤とした際スプレー噴霧時には低粘度化して良好な噴霧やフォーム(泡)形成を実施できるが、噴霧後液滴が被覆表面に定着するまでに粘度を回復させるため、表面へ定着した後の液だれが極めて起こり難い。さらに該組成物は50℃以上の高温においても粘度低下が起こらず温度安定性に優れている、水溶性高分子特有のべたつき感が無く、塗布後の展延性にも優れる等の性質を有している。同時に、皮膚や基盤のような被覆表面への液滴の定着性もセルロースのもつ両親媒的な性質と粘性効果により組成物中の液状分散媒体を単独の場合と比較すると大幅に向上する。 【0038】また、該組成物中の粘度調節剤にセルロースを用いているため、その他の配合成分として安 全性の高い成分を選択することにより、例えば人体(皮膚など)に組成物を塗布した際に、液状分散媒体の乾燥後も刺激性が極めて小さくなるように容易に設計できる。すなわち、安全性の高いスプレー剤として提供することが可能である。また、本発明の組成物は、組成物中のセルロース濃度を0.05重量%となるように水で希釈したときの希釈物の波長660nmの可視光に対する透過率が80%以上、さらに好ましくは90%以上であることを特徴とする。 【0039】組成物が該条件を満たすことにより、特にスプレー噴霧後の塗布層は乾燥後も透明性を保つため、特に噴霧コーティング層の透明性や高度な平滑性が要求される分野で使用することができる。尚、透明性や平滑性を満たす組成物を調製するためにはセルロースはもちろん、セルロース以外の配合成分の凝集を生じないようにすることが重要である。凝集が起こると透明性は著しく損なわれるからである。 【0040】例えば、アニオン性界面活性剤やカチオン性界面活性剤,無機塩などはいずれも微量の添加で組成物中のセルロースの凝集を促進し透明性を低下させるので該条件を満たすスプレー剤としては不適となる。ただし、これらの化合物の微量の添加で透明性は低くなるが、スプレー噴霧特性が良好である濃度域は存在するので、塗布層の透明性が要求されない分野では好適に使用できる。しかしながら組成物に透明性を失わずに界面活性剤を配合したい場合には、非イオン性界面活性剤やベタインなどの両イオン性界面活性剤などの添加が有効である。 【0041】また、組成物中の分散成分(顔料など)の分散安定剤として水溶性高分子を添加する場合には噴霧特性を損なわないために曳糸性を与えない程度の添加量とすることが重要であるが、組成物の透明性という観点から言えば、ポリアクリル酸やアルギン酸,カルボキシメチルセルロースなどの高分子電解質はやはりセルロースの凝集を促進させてしまう。このような場合には、これら高分子電解質を透明性に影響を与えない程度の添加量に低減するか、分散安定剤として非イオン性のポリエチレングリコールやポリビニルアルコールなどを用いるかあるいは非イオン性の水溶性高分子と高分子電解質とを併用するとよい。 【0042】上記透過率の測定に用いる組成物の希釈試料(セルロース濃度:0.05重量%)の調製および透過率評価は以下の手順で行った。対象とする組成物にイオン交換水を加え、セルロース濃度が0.05重量%となるように調節する。次にホモミキサー(T.K.Lobo.micsTM,特殊機化(株)製)にて15000rpmの回転下で10分間分散処理を行い、均一な希釈試料を得た。希釈試料の透過率は、光路長1cmの石英セルに試料を充填し、可視紫外分光光度計(UV−2500PC,(株)島津製)を用いて、波長660nmの可視光を入射した際の入射光強度(=試料としてイオン交換水を用いた際のセルを通過した透過光強度,I0で近似)と透過光強度(=希釈試料についてセルを通過した透過光強度,It)の比(It/I0)の百分率(%)で規定した。 【0043】次に本発明の組成物の調製方法を説明する。本発明の組成物の調製においては、以下に述べるように、まずセルロースを液状分散媒体に分散した分散体(汎用的にはセルロース/水分散体)を調製しておき、これを原料としてさらにスプレー剤の目的に応じ、各種添加剤の添加や液状分散媒体による希釈を行い混合処理することで組成物を得る。先ず、PCT/JP98/05462に記載の方法を用いて天然或いは再生セルロース原料を、硫酸のような無機酸水溶液に溶解し、その溶液を水等の沈殿剤で再沈殿し、引き続き加温しながら加水分解、洗浄/濃縮して水分散体を得る。必要に応じてエタノールなどの有機溶媒に置換した後、更にミキサーで微細化処理し得ることができる。 【0044】こうして得られるセルロース分散体中の分散媒体は、先記したように通常水であるが、目的に応じてメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセ トン、アセトニトリル、ジメチルスルフォキシド、ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド等の水溶性有機溶媒で一部又は全部置換、あるいはこれらの混合溶媒で一部又は全部置換しても差し支えない。一方、目的とする組成物が非水系で極めて疎水性の強い分散媒体を使用するなど特別な場合には疎水性有機溶媒であるへキサンやトルエン等の炭化水素類、酢酸エチル等のエステル類等をセルロースを用いることが必要であるが、この場合には、上記調製工程の無機酸を除去した段階で水溶性の有機媒体と置換した後に、更に疎水性有機溶媒で置換する。 【0045】本発明で原料として使用する分散体は、上記のようにして得たセルロースが分散した分散体を、さらに高圧/超高圧ホモジナイザー等でさらに高度粉砕処理することが望ましい。この処理を行った分散体を原料として使用することにより、一層透明性に優れた本発明の組成物を得ることができる。尚、高度粉砕処理は複数回行ってもかまわない。 【0046】以上のようにして得られたセルロース分散体に対し目的に応じて各種添加物、さらに必要に応じて水やアルコールなどの液状分散媒体を追加混合することにより本発明の組成物を得ることができるが、ここでいう混合は、真空ホモミキサー、ディスパー、プロペラミキサー、ニーダーなどの各種混練機、各種粉砕機、ブレンダー、ホモジナイザー、超音波乳化機、コロイドミル、ペブルミル、ボールミル、遊星ボールミル、ビーズミル粉砕機あるいは高圧ホモジナイザーあるいは超高圧型ホモジナイザーなどを用いた混合・分散処理を意味する。 【0047】これらの処理は、スプレー製品の目的や組成物の配合成分の内容に応じて選択すればよい。以下に本発明のスプレー剤を構成する組成物が油性成分あるいはその混合物を添加物とするO/W型エマルジョンである場合の製造方法について説明する。本発明で使用するセルロースはセルロース自身に乳化性能があるため、界面活性剤を使用しなくてもエマルジョンを調製することができる。界面活性剤を乳化剤として使用した場合には、セルロースは乳化安定剤として機能する。 【0048】エマルジョンの調製は、常法のO/W型乳化エマルジョンの調製方法に従う。例えば、低結晶性のセルロース微粒子の水分散体を前述の方法で調製した後、70〜80℃において油性成分あるいはその混合物を混合し、乳化させる。乳化は、通常の乳化装置を用いるか、あるいは高圧型ホモジナイザーあるいは超高圧ホモジナイザーのようなより強力な乳化作用を有する装置で処理することにより好適なエマルジョンの油性成分あるいはその混合物を添加物とする本発明の組成物を得ることができる。 【0049】以上の方法により、通常用いられる界面活性剤を全く用いないで乳化エマルジョンを調製することが可能となる。尚、乳化剤として通常用いられる界面活性剤を用い、低結晶性のセルロース微粒子を乳化助剤(乳化安定化剤)として用いる場合も同様の方法をとることができる。また、セルロースを含有する水性ゲルと、セルロースを含まない系でO/W型エマルジョンを別々に調製してその後に両者を混合しても安定なゲル状の乳化エマルジョンを得ることができる。 【0050】上記の製造方法によって製造される本発明のセルロースを含む組成物は透明分散体、半透明〜不透明な分散体のいずれかの性状をとり得る。透明分散体の場合、非イオン性界面活性剤などの組成物の透明性を低下させずかつ泡立ち性のある界面活性剤をほとんど含まない場合には、ミスト剤として良好な噴霧を実施できる。逆に非イオン性界面活性剤などの組成物の透明性を低下させず、かつ泡立ち性のある界面活性剤をある一定量以上含む場合には、噴霧装置からの押し出しを実施するとフォーム(泡)を形成する、いわゆるフォーム剤として機能するが、この場合でも泡の中に含まれるセルロースの微粒子がネットワークを形成するため、形成された泡の保存性(泡もち性)が極めて高く、フォーム形成系のスプレー剤として本発明の主張する効果を好適に発現することができる。 【0051】また、半透明〜不透明な分散体の場合は、セルロースの緩い凝集により不透明化している場合や配合成分にオイル系化合物が含まれ、O/W型エマルジョンが形成されている場合、分散媒体に不溶でかつ組成物中での光の散乱を誘起する大きさの微粒子成分が含まれている場合、あるいは泡立ち性のあるイオン性界面活性剤がある一定量以上含まれる場合(この場合は不透明化はセルロースの軟凝集に起因)などが原因としてあげられ、泡立ち性のあるイオン性界面活性剤がある一定量以上含まれる場合以外ではいずれも良好な噴霧化が実施され、泡立ち性のあるイオン性界面活性剤がある一定量以上含まれる場合であってもフォーム形成系のスプレー剤として良好に機能する。 【0052】本発明は上記した組成物をスプレー噴霧装置に充填してスプレー剤となす。本発明に用いるスプレー噴霧装置は、本質的には、組成物を容易に充填でき、噴霧を可能とし、スプレー剤として機能するものであれば何を用いても構わないが、汎用性や噴霧性能の精度の高さを考慮すると、以下の3つの形態であることが特に好ましい。 【0053】本発明において使用する特に好ましいスプレー噴霧装置の一つは、容器の内部を大気圧に保持したままで噴霧可能なポンプ式ノズルを装着したディスペンサー式噴霧器である。本噴霧器は、大気圧で噴霧を操作でき、加圧ガスなどを必要とせず、かつ容器構造も比較的単純であるので、安全性が高く、携帯用に向いた噴霧装置である。構造は、吸い上げ用のチューブを装着した押し出しポンプ式のノズルとこれを固定し、組成物を充填するねじ式容器から成る。ここでいうディスペンサー式噴霧装置には、噴霧性能を高めるためにポンプ式ノズルの構造改良を行った装置等もすべて含まれる。噴霧特性は噴出しノズルの孔径やポンプの1回当たりの押し出し体積等に依存するが、これらの条件は、目的に応じて選定する。 【0054】また充填する組成物に含有されるセルロースは平均粒径が2μm以下、より好ましくは0.5μm以下であるから通常、これらの噴霧器が使用される条件下(ノズル内径がおよそ50μm〜1000μmの範囲)で目詰まりもせず、問題なく噴霧(またはフォーム形成)を実施できる。さらにチューブ内での母液の吸い上げも本発明の組成物が非常に弱い力で低粘度化する性質を有していることから、およそ0.1mm以上の内径があれば十分に送液できる。 【0055】これらのノズル、吸い上げ用チューブに関する条件は下記2つの噴霧器を使用する場合もほぼ同様である。トリガー式噴霧器も本発明で使用するスプレー噴霧装置として好ましい。トリガー式噴霧器は、住宅用洗剤、衣料用糊剤、台所用洗剤などの噴霧器として組成物を充填する容器本体の口部にピストル状のトリガー式スプレー装置が装着されたもので、やはり大気圧で噴霧を操作でき、液体噴霧器として汎用性の高いものである。ここでいうトリガー式噴霧器には噴霧性能を高めるためにトリガー式スプレー装置の一部を改良したものもすべて含まれる。本発明では、トリガー式噴霧器に場合によってはゲル状にもなる高粘性の組成物を充填し使用するわけであるが、ディスペンサー式噴霧器の場合と同様、本発明によって提供される組成物を使用することにより、いかなる条件でも良好に噴霧(またはフォーム形成)を実施することができる。 【0056】さらに本発明において使用する好ましいスプレー噴霧装置として、エアゾール式噴霧器を挙げることができる。エアゾール式噴霧器は、容器内への噴射剤を充填することによって上記2つの噴霧装置では実現できない連続噴霧化あるいは連続フォーム形成を可能とするものである。ここでいうエアゾール式噴霧器には、エアゾール式容器の噴射装置部分に改良を施したもの等もすべて含まれる。特に本発明のスプレー剤をフォーム形成剤として機能させる場合には、本噴霧装置の使用が好ましい。また一般的に、本噴霧器を用いた噴霧化では大気圧下で実施する上記2つの噴霧に比べ、より細かな噴霧が可能となる。本発明のエアゾール式噴霧(またはフォーム形成)で使用する噴射剤として、ジメチルエーテル、液化石油ガス、炭酸ガス、窒素ガス、アルゴンガス、空気、酸素ガス、フロンガス等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。これらは、2種以上を混合して使用してもよい。噴射剤にも依るが、噴射剤選定の一つの基準として、本発明の組成物における液状分散媒体への噴射剤の溶解性を挙げることができる。例えば、分散媒体中の大部分が疎水性の強い有機溶媒(イソプロパノールやn−ヘキサンなど)である場合には液化石油ガス、組成物中に占める水の割合が高い場合にはジメチルエーテルを使用するなどである。 【0057】これらいずれの噴霧装置を用いた場合に、母液として充填する本発明のセルロースを含む組成物がゲル状となるほど高粘性に設定すれば、容器内部で母液の流動が起こらないため、スプレー噴霧装置の全方位での噴霧化(あるいはフォーム形成)が可能となる。極端な場合、逆さまにしてもスプレー剤として良好に機能する。 【0058】 【発明の実施の形態】次に下記の実施例により、本発明の実施の形態を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を制限するものではない。実施例に先立ち、 評価方法について説明する。構造パラメータおよび物性の評価は以下のとおりに行った。 (1)組成物中のセルロースのキャラクタリゼーション・広角X線回折パターンの測定は、理学電機(株)社製 X線回折装置(RU−300型、リントシステムを付属)を用い、先記の方法でχIおよびχIIを評価した。 ・セルロース微粒子の平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所(株)製)を用い、先記の方法で測定した。 ・平均重合度(DP)は、乾燥セルロース試料をカドキセン溶液に溶解した希薄セルロース溶液の比粘度をウベローデ型粘度計で測定し(25℃)、その極限粘度数[η]から先記の方法でDPを評価した。 【0059】(2)組成物の粘度(ηmax) ηmaxの評価は、コーンプレート型回転粘度計としてHaake社製のRS−100を使用し、4°,35mm径のコーンを使用して25℃で、ずり速度(γ)が10-3〜102 s-1の範囲を含むように条件設定したうえで行った。 【0060】(3)組成物希釈物の660nmの相対透過率組成物をイオン交換水でセルロース濃度(その他の粘度調節剤を加えている場合は組成物中の粘度調節剤の濃度)が0.05重量%となるように希釈し、ホモミキサー(T.K.Lobo.micsTM,特殊機化(株)製)にて15000rpmの回転下で10分間分散処理を行って得られた希釈物に対し、可視紫外分光光度計(UV−2500PC,(株)島津製)を用いて測定を行った。 【0061】(4)スプレー噴霧特性の評価各種スプレー剤の噴霧特性について、以下の評価を実施した。 ・噴霧状態; 噴霧を実施し、以下の基準で評価した。 ノズルから組成物が発射されない,噴霧不可能 → ×ノズルから組成物は発射されるが、ミストの状態とならない → △ノズルから組成物が良好な状態のミストとして発射される → ○・噴霧むら; 18cm×18cmの曇りガラス板を垂直に立て、水平距離で20cm離れた位置からガラス板に向けて噴霧を1回実施し、直後のガラス面に付着した液滴の分布状態を観察した。スプレーの母液としてイオン交換水を用いた場合の結果と比較して以下の基準で評価した。 大きな液滴が散在し明確に噴霧むらが確認される → ×大きな液滴の散在は見られないが、イオン交換水の場合と比較すると明らかに液滴の分布は粗い → △イオン交換水の場合と同等かそれ以上緻密に液滴が分布される → ○・液だれ性; 噴霧むらの評価と同じ条件で噴霧を数回行い、垂直ガラス面に隙間のないように液滴が吹き付けられた状態となるまで噴霧を続け、ガラス板の垂直性を保持した状態でのガラス面上での噴霧液の液だれ性を各噴霧ごとに観察し、以下の基準で評価した。 1回の噴霧でも液だれが起こる → ×1回の噴霧では液だれは起こらないがガラス表面上での噴霧液の厚みが増すに従って液だれが発生した → △複数回の噴霧によっても全く液だれが起こらない → ○【0062】 【実施例1〜4および比較例1〜9】セルロース/水分散体を組成物とした場合についてまず噴霧特性を調べた。 (1)セルロース/水分散体の調製シート状の精製パルプを5mm×5mmのチップに切断した重合度760の原料パルプ(以下、単に精製パルプと呼ぶ)を、−5℃でセルロース濃度が5重量%になるように65重量%硫酸水溶液に溶解して透明かつ粘調なセルロースドープを得た。このセルロースドープを、重量で2.5倍量の水中(5℃)に撹拌しながら注ぎ、セルロースをフロック状に凝集させ、フロック状固体の分散液を得た。この懸濁液を85℃で20分間加水分解させた後、ガラスフィルターを用いた減圧濾過により分散媒である硫酸水溶液を除去し、次いで洗液のpHが3程度になるまで十分に水洗を繰り返した後、pHがおよそ11の希薄なアンモニア水溶液で洗浄(中和)した後、さらにイオン交換水で水洗し、セルロース濃度が6.0重量%の半透明白色のゲル状物を得た。得られたゲル状物をイオン交換水で希釈してセルロース濃度が4.0重量%となるように調製し、ホモミキサー(T.K.Lobo.micsTM,特殊機化(株)製)を用いて15000rpmの回転速度で10分間分散処理を行い、引き続いて超高圧ホモジナイザー(マイクロフルイダイザーTM,M110−E/H型、みずほ工業(株)製)を用いて1.72×108Paの圧力下で5回処理し、透明性の高いセルロース/水分散体(pH=6.7)を得た。セルロース濃度の試料を試料Aとする。図1に、試料Aの乾燥体の広角X線パターンを示した。試料Aに含まれるセルロースは、平均重合度が38、結晶化度は、χIが0、χIIが0.18、平均粒子径が0.3μmであった。 【0063】(2)実施例1〜4(試料S1〜S4の調製と噴霧特性評価) 試料Aに適宜イオン交換水を加え、セルロース濃度が0.5重量%、1.0重量%、1.5重量%、2.0重量%となるように濃度調製した後、各々、ホモミキサー(T.K.Lobo.micsTM,特殊機化(株)製)を用いて15000rpmの回転速度で10分間分散処理を行い、4種類のセルロース/水分散体の本発明の組成物を得た。これらを濃度の低いものから順に試料S1、試料S2、試料S3、試料S4とした。得られた各試料の0.05重量%に希釈した際の660nmの可視光の透過率は、99%(S1)、98%(S2)、96%(S3)および93%(S4)であった。また4つの試料の25℃でのηmaxの値は、2×103mPa・s(S1)、2×105mPa・s(S2)、2×106mPa・s(S3)および5×107mPa・s(S4)であった。特に試料S3について、コーンプレート型回転粘度計を用いて本発明で規定する粘度(ηmax)を評価する際の具体的な測定例を図2および図3に示した。得られた各分散体を各々、市販の容量50ml用のディスペンサー型のスプレー容器((株)サンプラテック製)に充填し、噴霧特性の評価を行った。得られた結果を表1に示した。いずれの試料も良好な噴霧特性を示すことが明らかになった。 【0064】(3)比較例1〜9(試料H1〜H9の調製と噴霧特性評価) 以下に記載するセルロース/水分散体での噴霧特性を調べた(試料H1〜H3)。市販の微結晶セルロース/水分散体、セオラスFP−03TM(セルロース濃度:10重量%,旭化成(株)製)をイオン交換水で希釈し、セルロース濃度が2.0重量%となるように調製した後、T.K.Lobo.micsTM(特殊機化(株)製)を用いて15000rpmにて10分間分散処理を行って分散させてセルロース/水分散体(試料H1)得た。さらに、試料H1を超高圧ホモジナイザー(マイクロフルイダイザーTM,M110−E/H型、みずほ工業(株)製)を用いて1.72×108Paの圧力下で5回処理することにより、セルロース濃度がやはり2.0重量%の半透明性白色のセルロース/水分散体(試料H2)を得た。 【0065】試料H1および試料H2に含まれるセルロースは、共に平均重合度が150、結晶化度は、χIが0.65、χIIが0であった。また、平均粒子径は試料H1のセルロースが5.0μm、試料H2のセルロースが0.2μmであった。セルロース濃度0.05重量%希釈時の660nm可視光の透過率は、試料H1が0.3%、試料H2が26%であった。試料H1およびH2のηmaxの値はそれぞれ、4×103mPa・sおよび7×104mPa・sであった。 【0066】また、市販のキュプラ長繊維を長さ1mmに細断したものを30%硫酸水溶液中で80℃にて2時間加水分解処理した後、得られた分散体をガラスフィルターでろ過し、pHが4付近になるまでイオン交換水を用いて水洗を繰り返した。得られたケークをpH=11程度の希薄アンモニア水で中和した後、さらにイオン交換水で水洗した。得られた分散体を、セルロース濃度が2.0重量%になるまでイオン交換水で希釈し、T.K.Lobo.micsTM(特殊機化(株)製)を用いて15000rpmにて10分間分散処理を行って分散させて予備分散を行い、さらに、超高圧ホモジナイザー(マイクロフルイダイザーTM,M110−E/H型、みずほ工業(株)製)を用いて1.72×108Paの圧力下で5回処理することにより、セルロース濃度がやはり2.0重量%の半透明性でやや白色がかったセルロース/水分散体(試料H3)を得た。 【0067】試料H3に含まれるセルロースは、平均重合度が42、結晶化度は、χIが0、χIIが0.52であった。また、平均粒子径は0.3μm、セルロース濃度0.05重量%希釈時の660nm可視光の透過率は、65%であった。試料H3のηmaxの値は8×104mPa・sであった。さらに比較試料として、カーボポール940TM(中外貿易(株)販売)、ポリアクリルアミド(平均分子量:900万〜1000万,キシダ化学(株)製)、合成スメクタイト微粒子であるスメクトンSA2TM(クニミネ工業(株)製)に対し、各々イオン交換水を溶媒あるいは分散媒としてそれぞれ0.5重量%および1.5重量%になるように水溶液あるいは水分散体を調製した。 【0068】カーボポールおよびポリアクリルアミドについては定法で水溶液を調製(カーボポール水溶液は溶解後、希薄アンモニア水による中和を実施)し、カーボポールの0.5重量%水溶液(ゲル状)として試料H4を、1.5重量%水溶液(ゲル状)として試料H5を、ポリアクリルアミドの0.5重量%水溶液(溶液状)として試料H6を、1.5重量%水溶液(溶液状)として試料H7を得た。 【0069】スメクトンSA2TMに関しては、2つの濃度に濃度を調製した後、各々ホモミキサー(T.K.Lobo.micsTM,特殊機化(株)製)を用いて15000rpmの回転速度で10分間分散処理を行い、透明性のある水分散体を得た。スメクトンSA2TMの0.5重量%分散体を試料H8、1.5重量%分散体を試料H9とした。得られた各試料の0.05重量%に希釈した際の660nmの可視光の透過率は、99%以上(H4,H5,H6,H7)、89%(H8)および72%(H9)であった。また6つの試料の25℃でのηmaxの値は、3×106mPa・s(H4)、1×107mPa・s(H5)、4×102mPa・s(H6)、4×104mPa・s(H7)、3×102mPa・s(H8)および1×106mPa・s(H9)であった。得られた各水溶液または各分散体を各々、市販の容量50ml用のディスペンサー型のスプレー容器((株)サンプラテック製)に充填し、噴霧特性の評価を行った。得られた結果を表1に示した。分子状に分散(溶解)している、カーボポール、ポリアクリルアミドの各水溶液では濃度を問わず、スプレー噴霧を実施することができず、これらを含む粘調な溶液はスプレー剤の母液として不適当であることが示された。一方、スメクトンの分散液は良好な噴霧特性を示したが、液だれ性という観点では、ここに例示した条件では必ずしも満足のいくものではないことが示された。すなわち、スメクトンの場合にはより本発明のセルロースの分散体と比べより高濃度の配合が必要とされる。 【0070】 【実施例5および比較例10】本発明の組成物と合成スメクタイト分散液との差異について明確にするため、以下の実験を行った。上記した試料Aに対してイオン交換水,エタノールを適宜加え、セルロース濃度2重量%、分散媒がエタノール/水=30/70(g/g)混合溶液となるよう調製し、ホモミキサー(T.K.Lobo.micsTM,特殊機化(株)製)を用いて15000rpmの回転速度で10分間分散処理を行い、透明な水分散体を得た(試料S5)。 【0071】同様にスメクトンSA2TMに対してイオン交換水,エタノールを適宜加え、スメクトン濃度2重量%、分散媒がエタノール/水=30/70(g/g)混合溶液となるよう調製し、ホモミキサー(T.K.Lobo.micsTM,特殊機化(株)製)を用いて15000rpmの回転速度で10分間分散処理を行ったところ、不透明白色の水分散体が得られた(試料H10)。上記のようにして得られた各試料の0.05重量%に希釈した際の660nmの可視光の透過率は、92%(S5)および2%(H10)であった。また2つの試料の25℃でのηmaxの値は、6×107mPa・s(S5)および1×106mPa・s(H10)であった。 【0072】試料S5と試料H10の各分散体を各々、市販の容量50ml用のディスペンサー型のスプレー容器((株)サンプラテック製)に充填し、噴霧特性の評価を行った。得られた結果を表2に示す。共に良好な噴霧特性を示した。次に、噴霧特性の評価で得られた、スプレー噴霧により分散液を数回吹き付けた曇りガラスの表面(共に液だれなし)を垂直に保持したまま常温で分散媒体を乾燥させた。得られたコーティングガラス表面の状態を観察したところ、試料S5のスプレーコーティング表面は透明であり指で擦っても表面からのコーティング層の剥離が全く見られなかった。これに対し、試料H7のスプレーコーティング表面は不透明であるばかりか、乾燥と同時にガラス表面上で凝集が起こったと見え、ざらざらした不均一な構造をとっていた。 【0073】さらに、コーティング層を指で擦ると白色の乾燥層は容易に剥離し、粉状物が指に付着した。さらに比較のため、比較例9で評価した際に得た、比較的透明性の高いスメクトン1.5重量%/水分散体からのスプレーコーティング表面を観察したところ、乾燥面の透明性が高いことは確認された(ただし、経時的な液だれのために厚みが不均一)が、これを指で擦ってもやはり容易にスメクタイトの粉末が剥離し、合成スメクタイトがセルロース微粒子と比べ乾燥時の凝集性が低いため連続した塗膜を形成し難い、すなわち塗膜形成能がほとんど無いことが判明した。 【0074】したがって、合成スメクタイトのような無機微粒子分散組成物ではスプレー剤としての液だれ性防止にはある程度なり得るが、アルコールのような汎用性の高い分散媒の添加で凝集を起こし不均一化してしまう点、塗布層が乾燥後に容易に剥離し、塗膜としての機能を保持しない点において不備であることが明らかになった。 【0075】 【実施例6】試料Aを用いて、美白効果を有する以下の組成の美白ジェルスプレー剤を作製した。 ジプロピレングリコール(保湿剤) : 5.0重量%ポリエチレングリコール(保湿剤) : 5.0重量%エタノール : 10.0重量%ポリオキシエチレンソルビタンモノステアリン酸エステル(界面活性剤) : 1.0重量%ソルビタンモノオレイン酸エステル(界面活性剤) : 0.5重量%オレイルアルコール(エモリエント剤) : 0.5重量%プラセンタエキス(薬剤) : 0.2重量%ビタミンEアセテート(薬剤) : 0.2重量%香料,防腐剤,褪色防止剤 : 各々適量試料A : 37.5重量%精製水 : 39.3重量%【0076】(製 法)試料Aに精製水を加え、ホモミキサー(T.K.Lobo.micsTM,特殊機化(株)製)による7000rpmでの分散処理下、保湿剤,褪色防止剤を順次溶解する。溶解後、さらに10分間分散処理を続け、水性ゲル状物を得た。エタノールに界面活性剤、エモリエント剤、薬剤、防腐剤を順次溶解し、水性ゲル中にこれを添加し、ホモミキサーによる10000rpmの回転下でマイクロエマルジョン化した。最後に脱気、濾過を行い、得られた半透明のゲル状組成物をディスペンサータイプの50ml用スプレー容器((株)サンプラテック製)に充填した。本試料を試料S6とする。ゲル状組成物の0.05重量%に希釈した際の660nmの可視光の透過率は34%、25℃でのηmaxの値は、1×107mPa・sであった。 【0077】(評 価)試料S6のスプレー噴霧性能を評価したところ、噴霧状態、噴霧むら、液だれ性のいずれも○であった。また、ゲル状組成物は均一な性状を有し、長期(30℃下、3ヶ月)に渡って成分の分離等は見られず、安定性の高いことが示された。さらに、本試料を10名の健常人のパネラーの上腕部にスプレー塗布し、24時間クローズドパッチ後の皮膚刺激性を、○;皮膚刺激性なし、△;皮膚刺激性ややある、または微妙、×;皮膚刺激性あり、の3段階で評価してもらったところ、10名共○という結果が得られ、安全性が高いことも確認された。さらに上記10名のパネラーに顔にスプレー噴霧にて塗布した直後の使用感をアンケートしたところ、全員がさらさら感、清涼感を高く評価した。 【0078】 【実施例7】試料Aを用いて、保湿・柔軟乳液としての機能をもつ以下の組成のエモリエントローションスプレー剤を作製した。 セチルアルコール(油分) : 1.0重量%ミツロウ(油分) : 0.5重量%ワセリン(油分) : 2.0重量%スクワラン(油分) : 6.0重量%ジメチルポリシロキサン(油分) : 2.0重量%エタノール : 5.0重量%グリセリン(保湿剤) : 2.0重量%1,3−ブチレングリコール(保湿剤) : 3.0重量%ポリエチレングリコール(10)モノオレイン酸エステル(界面活性剤) : 0.5重量%グリセロールモノステアリン酸エステル(界面活性剤) : 1.0重量%防腐剤,香料 : 各々適量試料A : 30.0重量%精製水 : 29.0重量%【0079】(製 法)乳化機としてホモミキサー(T.K.Lobo.micsTM,特殊機化(株)製)を使用し、まず7000rpm程度の攪拌下、精製水に保湿剤を加え、70℃に加熱する。予め油分に界面活性剤と防腐剤を加え、70℃に加熱調製しておいた油性成分を水相に加え、予備乳化を行う。ホモミキサーの回転数を9000rpmとし、試料Aとエタノールを乳化液の中に添加し、10分間分散処理を続ける。得られた白色ゲル状液を脱気し濾過、冷却する。得られた組成物をディスペンサータイプの50ml用スプレー容器((株)サンプラテック製)に充填した。本試料を試料S7とする。ゲル状組成物の0.05重量%に希釈した際の660nmの可視光の透過率は2%、25℃でのηmaxの値は、3×106mPa・sであった。 【0080】(評 価)試料S7のスプレー噴霧性能を評価したところ、噴霧状態、噴霧むら、液だれ性のいずれも○であった。また、ゲル状組成物は均一な性状を有し、長期(30℃下、3ヶ月)に渡って成分の分離等は見られず、安定性の高いことが示された。さらに、本試料を10名の健常人のパネラーの上腕部にスプレー塗布し、24時間クローズドパッチ後の皮膚刺激性を、○;皮膚刺激性なし、△;皮膚刺激性ややある、または微妙、×;皮膚刺激性あり、の3段階で評価してもらったところ、9名が○、1名が△という結果が得られ、安全性が高いことも確認された。さらに上記10名のパネラーに顔にスプレー噴霧にて塗布した直後の使用感をアンケートしたところ、全員がさらさら感、清涼感を高く評価した。 【0081】 【実施例8,比較例11】試料Aを用いて、以下の組成のエアゾール式シェービングフォームを作製した。 (1) 母液処方ステアリン酸(油分) : 4.5重量%ヤシ油脂肪酸(油分) : 1.5重量%グリセリンモノステアリン酸エステル(界面活性剤) : 5.0重量%グリセリン(保湿剤) : 10.0重量%トリエタノールアミン(アルカリ) : 4.0重量%香料 : 適量試料A : 25.0重量%(実施例8) 試料A : 添加せず(比較例11) 精製水 : 50.0重量%(実施例8) 精製水 : 75.0重量%(比較例11) (2) 充填処方(実施例、比較例共に以下の処方とした) 母液 : 96.0重量%LPG(噴射ガス) : 4.0重量%【0082】(製 法)母液は、精製水にグリセリン、トリエタノールアミンを加え、70℃に加熱する(水相)。他の成分を加熱溶解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を加え、反応、乳化させた。乳化はホモミキサー(T.K.Lobo.micsTM,特殊機化(株)製)を用い、8000rpmの回転数下で行った。この後、30℃まで冷却させた後、実施例8の場合のみ8000rpmの回転数下で試料Aを加え、さらに10分間分散処理を続けた。両ケース共、その後に脱気、濾過を行い、白色粘調な乳化組成物を得た。充填は、共にエアゾール用缶に母液を処方量充填し、バルブ装着後ガスを処方量充填した。実施例8で得た試料をS8、比較例8で得た試料をH11とする。ゲル状組成物の0.05重量%に希釈した際の660nmの可視光の透過率は両試料共1%未満、25℃でのηmaxの値は、2×106mPa・s(S8)および5×103mPa・s(H11)であった。 【0083】(評 価)試料S8のスプレー噴霧性能を評価したところ、両試料共に良好な状態のフォーム(泡)を与えた。噴射後、5分後の泡の大きさを比較したところ、試料H11で得たフォームが1/2以下の体積に消泡していたのに対し、試料S8で得たフォームは噴射直後のフォームの大きさを維持し、実施例8において泡の保持性が大変高いことが示された。両試料共、皮膚への定着性は良好であった。また、両試料共、長期(30℃下、3ヶ月)に渡って安定な噴霧特性をもつことが示された。さらに、2つの試料を10名の健常人(パネラー)のあごに噴射塗布し、シェービングフォームとして使用してもらい、その使用感をアンケートしたところ、試料S8では全員が、試料H11では7名が使用感の良さを高く評価した。泡の保持性、使用感の点で試料S8の優位性が確認された。 【0084】 【実施例9】試料Aを用いて、以下の組成のエアゾール式非ステロイド系消炎鎮痛剤を作製した。 (1) 母液処方ケトプロフェン(有効成分) : 0.3重量%エタノール : 30.0重量%プロピレングリコール(水性添加成分) : 1.0重量%セチルアルコール(油分) : 0.5重量%パルミチン酸(油分) : 0.5重量%ミリスチン酸イソプロピル(油分) : 0.1重量%ジメチルポリシロキサン(油分) : 0.1重量%ポリオキシエチレン(50)硬化ヒマシ油(界面活性剤) : 0.2重量%クエン酸(pH調整剤) : 0.06重量%試料A : 18.8重量%精製水 : 48.4重量%(2) 充填処方母液 : 50.0重量%LPG(噴射ガス) : 50.0重量%【0085】(製 法)試料Aに精製水を加え、ホモミキサー(T.K.Lobo.micsTM,特殊機化(株)製)による7000rpmでの分散処理下、水性添加剤を溶解する。溶解後、さらに10分間分散処理を続け、やや粘調な透明分散体を得た。エタノールに界面活性剤、油分、有効成分を順次溶解し、透明分散体中にこれを添加し、ホモミキサーによる10000rpmの回転下でマイクロエマルジョン化した。最後に脱気、濾過を行い透明性の高い粘調な組成物が得られた。充填は、エアゾール用缶に母液を処方量充填し、バルブ装着後ガスを処方量充填した。実施例9で得た試料をS9とする。母液を0.05重量%に希釈した際の660nmの可視光の透過率は84%、25℃でのηmaxの値は、8×103mPa・sであった。 【0086】(評 価)試料S9のスプレー噴霧性能を評価したところ、噴霧状態、噴霧むら、液だれ性のいずれも○であった。また、長期の保存(30℃下、3ヶ月)後に噴霧性能を評価してもほぼ同等の結果が得られ、保存安定性が高いことが確認された。本試料を10名の健常人のパネラーに10日間に渡り運動後の筋肉痛消炎効果について評価してもらい、塗布した直後の使用感および筋肉痛消炎効果をアンケートしたところ、使用感については全員がさらさら感、清涼感を高く評価し、消炎効果についても8名が非常に効果があると回答した。 【0087】 【実施例10】試料Aを用いて、以下の組成のトリガー式容器に充填された洗浄剤を作製した。 ポリオキシエチレン(13)ノニルフェニルエーテル(界面活性剤) : 5.0重量%エタノール : 5.0重量%防腐剤 : 適量試料A : 37.5重量%精製水 : 52.5重量%【0088】(製 法)試料Aに精製水を加え、ホモミキサー(T.K.Lobo.micsTM,特殊機化(株)製)による7000rpmで10分間分散処理を続け、その後に界面活性剤を添加し、引き続き、防腐剤を溶解させたエタノールを加えた。添加終了後、さらに10分間分散処理を行い、最後に脱気、濾過を行い透明ゲル状の組成物を得た。得られた組成物をトリガー式の500ml用噴霧容器(キャニオンスプレーTM,(株)サンプラテック製)に充填した。本試料をS10とする。母液を0.05重量%に希釈した際の660nmの可視光の透過率は92%、25℃でのηmaxの値は、3×106mPa・sであった。 【0089】(評 価)試料S10のスプレー噴霧性能を評価したところ、噴霧状態、噴霧むら、液だれ性のいずれも○であった。また、ゲル状組成物は均一な性状を有し、長期(30℃下、3ヶ月)に渡って成分の分離等は見られず、安定性の高いことが示された。さらに、油性物質で汚れた固定陶器(小用便器)の垂直面に本試料を噴霧し、布でふき取ったところ、良好な洗浄効果が確認された。ふき取った後の表面に本発明のセルロースが残り、光沢性が失われることも全く無かった。両親媒性のセルロースが油性の汚染物質を水および界面活性剤の存在下で取り囲む効果を極めて有効に補助しているものと推定される。 【0090】 【表1】
【0091】 【表2】
【0092】 【発明の効果】本発明によって提供されるスプレー剤は、噴霧性が良好で、噴霧後の定着性、液だれ防止性、塗布時ののび、塗布後の仕上り(噴霧むらの少なさ)に優れている。さらにスプレー噴霧装置に充填する母液の組成によっては、極めて泡もちの良いフォーム形成力をもつスプレー製品や安全性の高いスプレー製品としても機能する。液状分散媒体や配合成分を本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択することによって、既存のスプレー製品だけでなく、広範な水系製品に対してスプレー製品として適用することが可能となる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000000033 【氏名又は名称】旭化成株式会社 【住所又は居所】大阪府大阪市北区堂島浜1丁目2番6号
|
| 【出願日】 |
平成13年9月3日(2001.9.3) |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開2003−73229(P2003−73229A) |
| 【公開日】 |
平成15年3月12日(2003.3.12) |
| 【出願番号】 |
特願2001−266312(P2001−266312) |
|