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【発明の名称】 生体膜保護剤
【発明者】 【氏名】織田 真智子

【氏名】山口 康代

【氏名】猪木 彩子

【要約】 【課題】副作用の発現頻度がより少ない安全な生体膜保護剤を提供する。

【解決手段】本発明は、シイタケ菌糸体抽出物を含む生体膜保護剤であって、該生体膜保護剤は種々の生体膜の傷害、破損の発生を防ぐこと、軽度の生体膜の傷害、破損から重度の生体膜の傷害、破損への進展を防ぐこと、生体膜の傷害、破損に起因する各種疾患の発生を防ぐこと、生体膜の傷害、破損に起因する各種疾患の症状を緩和すること、及び生体膜の傷害、破損に起因する各種疾患の症状を改善させること又は鎮静化させること等に有効である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 シイタケ菌糸体抽出物を含む生体膜保護剤。
【請求項2】 シイタケ菌糸体抽出物及び任意成分として薬剤的に許容できる担体を含む、生体膜保護のための予防用及び/又は治療用組成物である請求項1記載の保護剤。
【請求項3】 経口で投与する請求項1又は2記載の保護剤。
【請求項4】 食品である請求項1記載の保護剤。
【請求項5】 飲料である請求項1記載の保護剤。
【請求項6】 シイタケ菌糸体抽出物が、ジエチルエーテル分画及びCPC分画から選ばれる1以上のシイタケ菌糸体抽出物分画物であるか、あるいは前記シイタケ菌糸体抽出物分画物とシイタケ菌糸体抽出物との混合物である、請求項1〜5のいずれかに記載の保護剤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は生体膜保護剤に関する。さらに詳しくはシイタケ菌糸体抽出物を含む生体膜保護剤に関する。
【0002】
【従来の技術】細胞や細胞小器官を囲む生体膜は外界との境界として、生命の場から核酸、タンパク質およびその他の生体物質が散逸するのを防ぐとともに、外界と物質、エネルギー、情報の交換を能動的に行い、膜内に独立した環境を形成している。生体膜の主成分は極性脂質(polar lipid)と膜タンパク質である。両親媒性の極性脂質は脂質二重層を形成して、この中に各種の機能をもった膜タンパク質が陥入する。極性脂質の基本をなすのはホスファチジルコリンとホスファチジルエタノールアミンを主とするリン脂質である。
【0003】現在までに、生体膜を安定化し保護する物質として、α−トコフェロールを代表とするビタミンE、フィロキノン、ユビキノンなどの脂溶性ビタミン類およびリン脂質などが報告されている。
【0004】また、抗炎症作用をもつ薬物は、赤血球の低張溶血および熱溶血に対する保護作用のあること、つまり赤血球膜の保護作用を示すことが報告されている(Abeet al., Proc. symp. WAKAN-YAKU, 15:216-220, 1982)。哺乳動物の細胞膜構造は、細胞の種類にかかわらず基本的には同じであると考えられており、この赤血球膜保護安定化作用はライソゾームやミトコンドリア膜に対しても同様の作用を示すと推測され、これが抗炎症作用のメカニズムの一つとして考えられている(Abe et al., Planta Medica, 42:273-287, 1981)。
【0005】一方、シイタケは古くからさまざまな病気や症状に効果があると言われてきた。シイタケ(Lentinus edodes)は日本、中国の代表的な食用キノコであり、日本では約300年前から人工栽培が行われてきた。日常食用にしているキノコは子実体と呼ばれ、菌類が子孫を残すために胞子を生じる生殖体であり、栄養体である菌糸細胞は地中や原木中で長い時間をかけて菌糸体を形成する。
【0006】シイタケの薬理作用が解明されてきたのは比較的最近である。シイタケ菌糸体抽出物については、ラット、マウスでの発癌実験において、動物の大腸、肝臓などの腫瘍形成及び移植腫瘍細胞の増殖を抑制し、動物の生存率を上昇させた(N.Sugano et al., Cancer Letter,17:109, 1982;鈴木康将ら、日本大腸肛門病会誌、43:178, 1990など)、マイトジェン活性を示した(T. Tabata et al., Immunopharmacology, 24:57, 1992; Y. Hibino et al., Immunopharmacology, 28:77, 1994など)、抗体産生を増強し、抗体を介するADCC(antibody-dependentcell-mediated cytotoxicity)による免疫学的肝細胞障害に抑制効果を示した(溝口靖紘ら、肝胆膵、15:127, 1987)などの種々な報告がなされている。この他にもシイタケ菌糸体抽出物には発根促進、農作物の成長促進などの植物ホルモン作用(M.Mitsuhashi-Kato et al., Plant Cell Physiol. 26:221, 1985)や抗植物ウイルス作用(小室康雄:農林水産省植物ウイルス研報告, 1977)があることが報告されている。また、シイタケ菌糸体抽出物には薬物による肝障害の防御効果があることが見出されており、本出願人によって既に特許出願されている(特願平10−338085号:公開2000−159683号)。さらに、シイタケ菌糸体抽出物にはC型肝炎を含むウイルス性肝炎の防御効果があることも見出されており、本出願人によって既に特許出願されている(特願平11−344719号)。しかしながら、シイタケ菌糸体抽出物の生体膜に対する効果は報告されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、新規な生体膜保護剤であって、副作用の発現頻度がより<TXFFR=0002 HE=250 WI=080 LX=1100 LY=0300>少ない安全な生体膜保護剤を提供することである。本発明はシイタケ菌糸体抽出物の新規な薬理作用を探索することも目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意研究した結果、シイタケ菌糸体抽出物をラットに経口投与したところ、赤血球膜の保護作用を示すことを発見して本発明を完成した。
【0009】すなわち、本発明は、シイタケ菌糸体抽出物を含む生体膜保護剤を提供する。シイタケ菌糸体は、比較的安価で経済性に優れ、かつ永年食品として摂取され続けてきたものである。従って、本発明の保護剤はヒトに投与した場合の安全性に優れており、特に長期間経口的に投与した場合の安全性に優れていると考えられる。
【0010】本明細書で生体膜というときは、各種細胞や細胞小器官を囲む膜をいう。細胞には各種臓器、器官、組織の細胞、血液細胞、生殖細胞などを含む。細胞小器官は、一定の機能を有する細胞質の有形成分であり、ゴルジ体、ミトコンドリア、中心小体、リボソーム、小胞体、リソソーム、核膜などを含む。
【0011】本明細書で「保護」というときは、生体膜を安定化させること、生体膜を各種原因に由来する傷害、破損などから保護すること、を含む。また、本明細書で「保護」というときは、予防することと治療することとを含む。また「予防」及び「治療」は一般的な意味であり、これらは、例えば、種々の生体膜の傷害、破損の発生を防ぐこと、軽度の生体膜の傷害、破損から重度の生体膜の傷害、破損への進展を防ぐこと、生体膜の傷害、破損に起因する各種疾患の発生を防ぐこと、生体膜の傷害、破損に起因する各種疾患の症状を緩和すること、及び生体膜の傷害、破損に起因する各種疾患の症状を改善させること又は鎮静化させること等を含む。生体膜の傷害、破損に起因すると考えられている疾患には、高コレステロール血症、冠動脈疾患などを挙げることができるが、これに限定されない。例えば、肝傷害時の指標となる血清GOTやGPTの上昇は肝細胞膜傷害により細胞内GOT、GPTが細胞外に流出した結果であると考えられており、本発明の生体膜保護剤によって肝障害の改善が期待できる。
【0012】本発明の生体膜保護剤は、シイタケ菌糸体抽出物及び任意成分として薬剤的に許容できる担体を含む、生体膜保護のための予防用及び/又は治療用組成物の形態であってよい。また、本発明の生体膜保護剤は、食品の形態であってよく、飲料の形態であって良い。さらに、これらの形態に何ら限定されるものではない。
【0013】
【発明の実施の形態】(1)製造方法本発明の生体膜保護剤に使用するシイタケ菌糸体抽出物とは、シイタケ菌を固体培地で培養して得られる菌糸体、好ましくは菌糸体を含む固体培地を水及び酵素の存在下に粉砕、分解して得られる抽出物をいう。
【0014】シイタケ菌糸体抽出物は好ましくは以下の方法により得られたものを使用するが、これに限定されない。すなわち、バガス(サトウキビのしぼりかす)と脱脂米糠を基材とする固体培地上にシイタケ菌を接種し、次いで菌糸体を増殖して得られる菌糸体を含む固体培地を12メッシュ通過分が30重量%以下となるよう解束し、この解束された固体培地に水およびセルラーゼ、プロテアーゼまたはグルコシダーゼから選ばれる酵素の1種またはそれ以上を、前記固体培地を30〜55℃の温度に保ちながら添加するとともに、前記固体培地を前記酵素の存在下に粉砕、すりつぶしてバガス繊維の少なくとも70重量%以上が12メッシュ通過分であるようにし、次いで90℃までの温度に加熱することにより酵素を失活させるとともに滅菌し、得られた懸濁状液をろ過することによってシイタケ菌糸体抽出物を得る。シイタケ菌糸体抽出物はそのまま本発明の防御剤に用いてもよいが、これを濃縮、凍結乾燥して粉末として保存し、使用時に種々の形態で使用するのが便宜的である。凍結乾燥して得られる粉末は褐色粉末で、吸湿性があり、特異な味と臭いをもつ。
【0015】このようにして得られるシイタケ菌糸体抽出物はフェノール−硫酸法による糖質分析により糖質を15〜50%、好ましくは20〜40%(w/w)、Lowry法によるタンパク質分析によりタンパク質を10〜40%、好ましくは13〜30%(w/w)、没食子酸を標準とするFolin-Denis法によりポリフェノールを1〜5%、好ましくは2.5〜3.5%(w/w)含む。シイタケ菌糸体抽出物にはそのほかに脂質約0.1%、繊維約0.4%、灰分約20%を含むが、これに限定されない。
【0016】また、シイタケ菌糸体抽出物の構成糖組成(%)の一例は以下の通りであったが、この組成は培養条件などによって変動しうる:キシロース:15.2;アラビノース:8.2;マンノース:8.4;グルコース:39.4;ガラクトース:5.4;アミノ糖:12.0;ウロン酸:11.3。
【0017】シイタケ菌糸体抽出物は、シイタケ菌糸体抽出物自体であってもよく、あるいはこれから分離、精製して得られるシイタケ菌糸体抽出物分画物であってもよい。シイタケ菌糸体抽出物分画物は例えば、ジエチルエーテル分画又はCPC分画であってよい。あるいは、1以上の前記シイタケ菌糸体抽出物分画物とシイタケ菌糸体抽出物との混合物で用いてもよい。なお、本明細書中でのジエチルエーテル分画又はCPC分画は以下の方法によって分画された分画物をいう。
【0018】すなわち、シイタケ菌糸体抽出物をMeOH中で加熱還流し、冷却後減圧濃縮して得られた分画を濾過した濾液を減圧濃縮したものをMeOH分画とした。MeOH分画を水で洗浄後、ジエチルエーテルで抽出したものをジエチルエーテル分画、ジエチルエーテル抽出後の残渣をBuOHで抽出したものをBuOH分画とした。BuOH分画を交流分配クロマトグラフィ(CPC)に導入し、15ml/minで送液、100mlごとに分画したときの1500mlから2000mlまでの溶出液をCPC分画とした。
【0019】(2)投与方法本発明の生体膜保護剤は、治療剤及び/又は予防剤及び/又は保健用剤として投与できる。
【0020】投与経路は、本発明の生体膜保護剤を安全かつ効果的に投与することができれば、特に限定されるものではない。このような条件が満たされる限り、皮下投与、静脈内投与、筋肉内投与、局所投与、直腸内投与等の非経口投与であってもよく、経口投与であってもよい。簡便であり、自己投与が容易であるという観点からは、経口投与が好ましい。
【0021】本発明の生体膜保護剤は種々の剤形とすることができる。例えば、経口投与のためには、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、丸剤、液剤、乳剤、懸濁剤、溶液剤、酒精剤、シロップ剤、エキス剤、エリキシル剤とすることができるが、これらに限定されない。また、製剤には薬剤的に許容できる種々の担体を加えることができる。例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着香剤、着色剤、甘味剤、矯味剤、溶解補助剤、懸濁化剤、乳化剤、コーティング剤を含むことができるが、これらに限定されない。本発明の保護剤を持続性、徐放性のものとしてもよい。
【0022】本発明の生体膜保護剤に含まれるシイタケ菌糸体は、食品として長く食べ続けられてきたものであるから、本発明の生体膜保護剤を経口的に摂取した場合の安全性はかなり確保されている。この点から、本発明の保護剤の投与量は厳しく制限されるものではないと考えられるが、概ね、下限は、予防又は治療という投与目的に応じた効果を発揮しうる量が、上限は、服用のしやすさ、経済性等の観点から実際的な量が選択される。一般的には、シイタケ菌糸体抽出物粉末に換算して成人1日あたり約50mg〜約50000mg、好ましくは約500mg〜約5000mgである。もちろん個別的に、投与される者の年齢、体重、症状、投与経路、投与期間、治療経過等に応じて変化させることもできる。1日あたりの量を数回に分けて投与することもできる。また、他の生体膜保護剤と組み合わせて投与することもできる。
【0023】本発明の生体膜保護剤は、食品又は飲料の形態とすることもできる。例えば、粉末状のシイタケ菌糸体抽出物を原材料に配合することにより、麺類、パン、キャンディー、ゼリー、クッキー、スープ、健康飲料の形態とすることができる。このような食品、飲料にはシイタケ菌糸体抽出物の他に、鉄、カルシウム等の無機成分、種々のビタミン類、オリゴ糖、キトサン等の食物繊維、大豆抽出物等のタンパク質、レシチンなどの脂質、ショ糖、乳糖等の糖類を加えることができる。
【0024】(3)試験方法本発明の生体膜保護剤を投与した場合の効果は、当業者には良く知られた試験方法によって示されうる。例えば、ヘパリン採血を行い、これから赤血球を回収して、赤血球浮遊液を調製し、熱溶血試験、低張溶血試験などを実施することにより赤血球膜の保護作用を指標として生体膜保護効果を明らかにすることができる。また、生体膜として肝リソゾーム膜を用い、その加温による変性阻止作用を指標として生体膜保護効果を示すことも可能である。さらに、血清AST(GOT)、ALT(GPT)、ZTT、γGTP、アルカリフォスファターゼ、総ビリルビン濃度などの種々の肝機能を表す指標の変化を測定することによって、肝障害の予防、治療効果を測定し、間接的に生体膜の保護効果を示すことも可能である。
【0025】(4)効果以下の実施例で示すように、シイタケ菌糸体抽出物は、ラット赤血球の熱溶血および低張溶血の両方において、溶血抑制効果を示し、赤血球膜保護作用のあることが確認された。この結果から、本発明の保護剤は生体膜を保護する作用を有することが明らかになった。
【0026】本発明を以下の実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明の範囲はこれに限定されない。本発明を種々変更、修飾して使用することが当業者には可能であり、これらも本発明の範囲に含まれる。
【0027】
【実施例】実施例1:シイタケ菌糸体抽出物の調製法バガス90重量部、米糠10重量部からなる固体培地に純水を適度に含ませた後に、シイタケ種菌を接種し、温度および湿度を調節した培養室内に放置し、菌糸体を増殖させた。菌糸体が固体培地に蔓延した後、バガス基材の繊維素を解束し、12メッシュ通過分が24重量%以下となるようにした。この解束された培地1.0kgに、純水3.5Lを加え、40℃に保ちながら精製セルラーゼ2.0gを加え培地含有混合物とした。次いで培地含有混合物を変速付ギヤーポンプにより循環させながら、固体培地にギヤー部分において粉砕およびすりつぶし作用を200分間程度加えバカス繊維の約80重量%が12メッシュ通過分となるようにした。培地含有混合物の粉砕およびすりつぶしは、該混合物の温度を徐々に上昇させながら行った。その後培地含有混合物をさらに加熱して、90℃として30分間放置した。90℃への加熱により、酵素を失活せしめ、かつ殺菌を施した。得られた培地含有混合液を60メッシュろ布を用いてろ過してシイタケ菌糸体抽出物とし、濃縮した後、凍結乾燥粉末を得た。
実施例2:シイタケ菌糸体抽出物の分離シイタケ菌糸体抽出物240gにMeOH(2L)を加え、67℃にて還流し、冷却後濾過した濾液を4℃にて一夜静置した。析出物を濾取後、濾液を減圧濃縮したものをMeOH分画とした。MeOH分画に水(2.2L)を加えた後、ジエチルエーテル(350ml×3)で抽出し、抽出液を濃縮したものをジエチルエーテル分画とした。ジエチルエーテル分画は3g得られた。ジエチルエーテル抽出後に残った水層をBuOH(600ml、400ml、200ml)で抽出し、抽出液を濃縮したのもをBuOH分画とした。BuOH分画を交流分配クロマトグラフィ(CPC)に導入し、15ml/minで送液、100mlごとに分画したときの1500mlから2000mlまでの溶出液を濃縮したものをCPC分画とした。CPC分画は10.2g得られた。
実施例3:シイタケ菌糸体抽出物の生体膜保護作用(in vitro)
1.試験方法1.1.赤血球膜の調製ラット(Wister系ラット、8週齢、雄)(日本エスエルシーから入手)からヘパリン採血し、遠心分離により回収した赤血球を等張緩衝液で希釈、40%(v/v)の赤血球浮遊液を作製した。
1.2.溶血活性の測定1)熱溶血等張緩衝液中に各濃度の被検物質を混和し、それぞれの溶液中に赤血球浮遊液を添加、54.5度で12分間インキュベートした。インキュベート後、遠心した上清の吸光度を540nmで測定した。蒸留水中に赤血球浮遊液を添加したものを100%溶血とし、下式により溶血率を計算した。なお、緩衝液及び被検物質自身が示す540nmの吸光度はブランクとして差し引いて計算した。

2)低張溶血各濃度の被検物質を含む低張緩衝液(56mMNaClを含む10mMリン酸溶液)に赤血球浮遊液を添加し、室温で20分間インキュベートした。インキュベート後、遠心した上清の吸光度を540nmで測定した。蒸留水中に赤血球浮遊液を添加したものを100%溶血とし、上記の式により溶血抑制率を計算した。熱溶血の場合と同様、ブランクは差し引いて計算した。
2.結果ジエチルエーテル分画の熱溶血保護作用の結果を図1に、CPC分画の熱溶血保護作用の結果を図2に、またジエチルエーテル分画の低張溶血保護作用の結果を図3に示す。
【0028】図から明らかなように、CPC分画は熱溶血、ジエチルエーテル分画は低張溶血について、いずれも濃度依存的に溶血率の抑制効果が見られ、赤血球膜保護作用を示すことが分かった。また、濃度依存性は見られなかったが、低濃度のジエチルエーテル分画は熱溶血についても溶血抑制作用が確認された。シイタケ菌糸体抽出物の成分中にはin vitroの系で膜保護作用を示す成分が含まれていることが明らかとなった。
実施例4:シイタケ菌糸体抽出物の生体膜保護作用(in vivo)
1.試験方法1.1.動物への投与ラット(Wister系ラット、8週齢、雄)(日本エスエルシーから入手)に1日1回、7日間、シイタケ菌糸体抽出物(600mg/kg)を強制経口投与した。コントロールは生理食塩水を1日1回、7日間、経口投与したラットを用いた。シイタケ菌糸体抽出物投与群、コントロール群ともにラットは6匹ずつを使用した。
1.2.赤血球膜の調製ラットからヘパリン採血し、遠心分離により回収した赤血球を等張緩衝液で希釈して40%(v/v)の赤血球浮遊液を作製した。
1.3.溶血活性の測定1)熱溶血等張緩衝液中にシイタケ菌糸体抽出物投与ラットから調製した赤血球浮遊液を添加、54.5℃で20分間インキュベートした。インキュベート後、遠心した上清の吸光度を540nmで測定した。コントロールラットから調製した赤血球浮遊液についての吸光度も同様に測定した。蒸留水中に赤血球浮遊液を添加した試料についての吸光度を100%溶血時の吸光度として溶血率(%)を計算した。なお、溶血させない状態で遠心した上清(すなわち、等張液中氷中でインキュベートしたときの上清)が示す540nmの吸光度をブランクとして差し引いて以下の式により計算した。

2)低張溶血各浸透圧(60mOsm、65mOsm、70mOsm)を示す低張緩衝液に赤血球浮遊液を添加し、室温で20分間インキュベートした。インキュベート後、遠心した上清の吸光度を540nmの吸光度で測定した。コントロールラットから調製した赤血球浮遊液についての吸光度も同様に測定した。蒸留水中に赤血球浮遊液を添加した試料についての吸光度を100%溶血時の吸光度として溶血率(%)を計算した。なお、溶血させない状態で遠心した上清(すなわち、等張液中氷中でインキュベートしたときの上清)が示す540nmの吸光度をブランクとして差し引いて上記の式により計算した。
2.結果得られた結果を以下の表及び図4,図5に示す。
【0029】
【表1】

【0030】シイタケ菌糸体抽出物が熱溶血、低張溶血のいずれに対しても保護作用をもつことが示された。
【出願人】 【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
【識別番号】390041243
【氏名又は名称】長岡 均
【出願日】 平成13年7月19日(2001.7.19)
【代理人】 【識別番号】100089705
【弁理士】
【氏名又は名称】社本 一夫 (外5名)
【公開番号】 特開2003−34648(P2003−34648A)
【公開日】 平成15年2月7日(2003.2.7)
【出願番号】 特願2001−220167(P2001−220167)