トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 テストステロン−5α−ヒドロゲナーゼ活性抑制剤
【発明者】 【氏名】山寺 敏雄

【要約】 【課題】男性ホルモンであるテストステロンを抑制することができるテストステロン−5α−ヒドロゲナーゼ活性抑制剤を提供する。

【解決手段】酸化還元電位を1000mV以上とした温泉水からなるテストステロン−5α−ヒドロゲナーゼ活性抑制剤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 酸化還元電位を1000mV以上とした温泉水からなることを特徴とするテストステロン−5α−ヒドロゲナーゼ活性抑制剤。
【請求項2】 蒸留水で2倍に希釈した50ミリモルトリス塩酸緩衝液(pH7.5)を当容量添加し、常温で40分間放置したときの、混合前の酸化還元電位からの電位低下量が350mV超であることを特徴とする特許請求の範囲1に記載のテストステロン−5α−ヒドロゲナーゼ活性抑制剤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、テストステロン−5α−ヒドロゲナーゼの活性を抑制する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】古来より髪の毛は生命のシンボルであった。そして、現代社会においても、ふさふさとした髪の毛は若さの発現をイメージさせる。これに対し、脱毛症、いわゆるはげはコンプレックスの原因になりやすく、人格にまで大きな影響を及ぼすと云われている。
【0003】しかしながら、脱毛症の治療は困難であり、現在までに科学的・俗信的を問わず数多くの方法が試みられてきたが、未だに決定的と云えるような解決方法は見出されていないのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した従来の問題点を改善する、すなわち、男性ホルモンであるテストステロンを抑制することができるテストステロン−5α−ヒドロゲナーゼ活性抑制剤を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】最近、脱毛症に関し、男性ホルモンであるテストステロンに注目し、この方面からの問題解決が取り組まれている。しかし、ホルモンのバランスを崩したり、あるいは、副作用を伴うなどの問題があり、実用化が困難であった。本発明者もこのテストステロン−5α−ヒドロゲナーゼの活性に注目し、この活性を抑制する方法について鋭意検討し、本発明に至った。
【0006】すなわち、本発明のテストステロン−5α−ヒドロゲナーゼ活性抑制剤は上記課題を解決するため、請求項1に記載の通り、酸化還元電位を1000mV以上とした温泉水からなる構成を有する。また、本発明のテストステロン−5α−ヒドロゲナーゼ活性抑制剤は、上記課題を解決するため、蒸留水で2倍に希釈した50ミリモルトリス塩酸緩衝液(pH7.5)を当容量添加し、常温で40分間放置したときの、混合前の酸化還元電位からの電位低下量が350mV超である構成を有する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明で用いる原料としては、通常、温泉水であることが必要である。ここで、温泉水とは一般に温泉として指定されているものを用いることができる。
【0008】温泉水としては、カルシウムや硫黄、アルミニウム、ケイ素、カリウム、ジルコニウム、鉄、及び塩素イオン、硫酸イオンなども含むものが望ましい。その他ナトリウム、マグネシウム、燐、ストロンチウム、臭素、マンガン等を含んでいるものであっても良い。なお、特に酸性の温泉水であることが望ましい。
【0009】このような酸性の温泉水は例えば、蔵王温泉(高見屋2号)、鳴子温泉(陽泉1号温泉神社硫黄混合泉)、岳温泉(元湯)、須川温泉(滝の湯)、玉川温泉(大噴の湯)、草津温泉(湯畑)、別府温泉(地蔵泉)、登別温泉(1号乙泉)などが挙げられる。
【0010】なお、酸性以外の温泉水、例えば、肘折温泉(組合2号)、岡谷温泉(長野県岡谷)、高峰温泉(長野県小県郡)、湯平温泉(大分県玖珠群)、浅草岳温泉(浅草岳温泉第2)、今神温泉、下呂温泉(温泉寺ポンプ所)などの温泉水では、所望の酸化還元電位を得ることが困難な場合があり、そのときは例えば上記の酸性の温泉水と混合使用することにより、好適に使用することができる。
【0011】これら温泉水において溶存二酸化炭素を含んでいる場合には酸化還元電位を調整する際に障害となることがあるため、その調整前に窒素、あるいは空気などを吹き込むいわゆるバブリングを充分行ってから用いることが望ましい。
【0012】ここで、詳細は不明であるが、本発明の育毛水の主原料である温泉水は多くの化合物やイオンを溶解しており、また、天然水ならではのクラスタサイズを有する。このような原料を用いて特定の酸化還元電位を有しているため、本発明の育毛水は、脱毛症の原因となるテストステロン−5α−ヒドロゲナーゼの活性を抑制し、その結果、本発明特有の画期的な効果が短期的に得られるものと推察されている。
【0013】なお、本発明の育毛水において原料として温泉水そのものを用いてもよいが、電解に適した導電率に調整するため、蒸留水、イオン交換水などの各種イオンの少ない水、例えば日本薬局方の精製水、あるいは、水道水等を適宜添加しても良い。
【0014】本発明における酸化還元電位は、白金電極と甘汞電極とを用いて標準水素電極電位に換算する方法など、一般的な方法で測定される値を用いる。なお、市販の酸化還元電位計などを用いて測定しても良い。
【0015】なお、本発明の育毛水において酸化還元電位は1000mV以上であることが必要である。1000mV以下であると、充分な効果が得られない。なお、同時にpHが2.4以下で、残留塩素濃度と次亜塩素酸濃度の和が5ppm以上となるときに特に優れた効果が得られる。
【0016】また、本発明の育毛水は、蒸留水で2倍に希釈した50ミリモルトリス塩酸緩衝液(pH7.5)を当容量添加し、常温でで40分間放置したときの、混合前の酸化還元電位からの電位低下量(以下「40分間での酸化還元電位の低下量」とも云う)が350mV超である。市販の強酸性水にも酸化還元電位が1000mV以上のものもあるが、それらは全て、上記40分間での酸化還元電位の低下量が300mV以下であり、このような市販の強酸性水では本発明の効果は得られない。なお、40分間での酸化還元電位の低下量と本願発明の効果との関係は例えば以下のようにも考えられる。
【0017】すなわち、緩衝液中で速やかに酸化還元電位が低下する育毛水は、その減少する電位に相当する一種の活性化力を有している。そしてこの活性化力が頭部皮膚、毛根等の発毛・育毛を司る器官に働きかけ、発毛、育毛を促進させると考えられ、また、このときのエネルギーの上記器官への働きかけは短時間で集中的なものであることが必要であると推測される。このことは、酸化還元電位が高くても、40分間での酸化還元電位の低下量が少ない市販の強酸性水では本発明の効果が得られないことからも裏付けられる【0018】本発明において酸化還元電位の調整は、電解槽を用いて行うことができる。すなわち、陽極と陰極、及び電解槽の構造上の必要に応じて隔膜を用いて電気分解を行うことによって行うことができる。なお、陽極及び陰極は充分な耐性を有する材質からなることが必要である。このような材質として白金をコーティングしたチタン等を挙げることができる。
【0019】なお、本発明における酸化還元電位の調整は、循環陽極酸化法によることが望ましい。ここで循環陽極酸化法とは、電解槽の陽極側で処理された処理水(陽極側処理水)の全量と、陰極側で処理された処理水(陰極側処理水)の全量とを混合し、これを電解槽へ原水として供給し、電解処理を行い、これを繰り返す方法である。なお、陽極側処理水と陰極側処理水との混合比率としては特に指定はないが、通常1:1付近である。
【0020】本発明の育毛水の使用にあたってはそのまま用いることが好ましい。不用意な希釈、あるいは、第三成分の添加により、本発明の効果が著しく減じたり、あるいは効果自体が得られなくなる場合がある。そのため、蒸留水、イオン交換水、水道水等による希釈、あるいは、他の育毛成分、調髪成分などのその他の成分と混合して用いる場合には、あらかじめ効果の低下がないことを確認することが必要である。
【0021】本発明の育毛水はスプレー、塗布などの方法で必要な箇所に供給することにより、発毛・育毛を促進させることができる。このとき、1日に1回乃至数回、あるいは数日乃至1週間に1回などと、定期的に用いることが望ましい。なお、通常は1日2回の使用で、効果的かつ迅速に効果が発揮できる。すなわち、脱毛症となって10年程度以内の箇所に関しては、2週間〜2ヶ月の使用で増毛効果が客観的に確認できるようになる。また、脱毛症となって10年程度以上経過した箇所も、3〜6ヶ月程度の使用継続により順次発毛・育毛する。なお、白髪だった部分が徐々に黒髪に変わるなどの副次効果が得られる場合が多い。
【0022】本発明の育毛水の使用により発毛・育毛した部分は、その後も育毛水の使用を続けることにより維持される。この場合の育毛水の使用量、使用頻度は、発毛・育毛時に比して適宜少なくしても良い。なお、上記育毛水は、紫外線を遮蔽する容器に入れ、冷暗所に保存することが望ましい。
【0023】
【実施例】以下に本発明の育毛水について具体的に説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではない。
【0024】[製造装置]図1に本発明の育毛水を製造するための装置の実例を示すモデル図である。図1中符号1を付して示されているのは、曝気槽である。温泉水(原水)はこの曝気槽1で空気を吹き込まれ(約28l/min)、溶存二酸化炭素が除去される。曝気槽で不要な二酸化炭素が除去された原水はポンプ2によりポンプ槽3にその上部から移される。
【0025】なお、本例では原水の導電率が9000μS/cmを超える場合に日本薬局方精製水を加え、9000μS/cm以下としている。
【0026】この水はポンプ槽3の下部からポンプ4により電解槽5に導入される。電解槽5には白金メッキが施されたチタンからなる陽極及び陰極があり、これら電極の間には隔膜が配されていて、陽極付近で電解処理された処理水(陽極側処理水)と、陰極付近で電解処理された処理水(陰極側処理水)との混合を防止している。
【0027】陽極側処理水は電解槽5から陽極側処理水槽6下部へ導入されてこの陽極側処理水槽6を満たし、余剰の処理水は陽極側処理水槽6上部からさらに混合槽7へ導入される。一方、陰極側処理水は電解槽5から陰極側処理水槽8下部へ導入されてこの陽極側処理水槽6を満たし、余剰の処理水は陰極側処理水槽8上部からさらに混合槽7へ導入される。なお、製品としての処理水は陽極側処理水槽6下部から採取する。
【0028】これら陽極側処理水及び陰極側処理水とは混合層で混合されたのち、その上部及び下部からポンプ槽3を経て再度電解槽5へとポンプ移送されて再度電解処理が行われて、循環使用される。
【0029】なお、本例においてはポンプ槽3及び混合槽7のそれぞれ容量は同じ(10l)であって、陽極側処理水槽6及び陰極側処理水槽8のそれぞれの容量(20l)の半分であり、また曝気槽1の容量は40lである。なお、電解槽5は非常にコンパクトであり、電解槽5の容量、各流路及びポンプ内の容量は上記各容器に比べ充分小さい。
【0030】また、この装置を実際に運転すると陰極側処理水槽8底部に沈殿物が蓄積することがあったが、この水槽から混合槽への処理水の移送は水槽上部から行われるため、沈殿物による障害は何ら発生しない。
【0031】[循環陽極酸化処理]以下に示す実施例では図1のような循環陽極酸化処理装置を本発明に係る育毛水の製造装置として用いた。なお、原水(温泉水)は室温になったものを用い、また、以下の処理はすべて室温で行った。
【0032】ポンプ4の流量を3l/minに設定した。この流量は装置の循環部分の容量のほぼ1/20であり、20分間の処理で循環部分の水は1サイクルの電解処理が行われたと計算できる。
【0033】電解槽の電極間に印加する電圧は通常4V以上30V以下の範囲であり、通常、上記による電解処理換算で6サイクル程度の処理により酸化還元電位が1000mV以上になるように設定する。
【0034】[処理水Aの作製]秋田県田沢湖町玉川温泉大噴の湯(含弗素砒素硼酸酸性明ばん緑ばん泉)を原水として、30分間の空気による曝気処理を行った後、循環陽極酸化処理を行った。得られた製品としての処理水(以下「処理水A」)の酸化還元電位は1180mVで、pHは1.80、次亜塩素酸イオン濃度と次亜塩素酸濃度の和が54ppmとなった。 この処理水Aの40分間での酸化還元電位の低下量は359mVであった。
【0035】[処理水Bの作製]蔵王温泉源七露天の湯(山形県山形市蔵王温泉字荒敷862番1、酸性・含硫黄−アルミニウム−硫酸塩・塩化物温泉(旧泉質名:含硫化水素強酸性明ばん泉))を用い、処理水Aと同様にして処理水Bを得た。このものの酸化還元電位は1140mVで、pHは2.1、次亜塩素酸イオン濃度と次亜塩素酸濃度の和は30ppmとなった。また、処理水Bの40分間での酸化還元電位の低下量は342mVであった。
【0036】[処理水Cの作製]蔵王温泉の源泉水(高見屋2号、酸性・含鉄−硫黄−アルミニウム−硫酸塩泉)を用い、処理水Aと同様にして処理水Cを得た。このものの酸化還元電位は1205mVで、pHは1.68、次亜塩素酸イオン濃度と次亜塩素酸濃度の和は54ppmとなった。また、処理水Cの40分間での酸化還元電位の低下量は394mVであった。
【0037】[処理水Dの作製]草津温泉の源泉水(大滝の湯、酸性硫黄泉)を用い、処理水Aと同様にして処理水Cを得た。このものの酸化還元電位は1115mVで、pHは2.4、次亜塩素酸イオン濃度と次亜塩素酸濃度との和は21ppmとなった。また、処理水Dの40分間での酸化還元電位の低下量は341mVであった。
【0038】[テストステロン−5α−ヒドロゲナーゼ活性への影響調査 その1]テストステロン(以下「TS」とも云う)は組織中のテストステロン−5α−ヒドロゲナーゼ(テストステロン−5α−リダクターゼ、以下「T5αH」とも云う)により5α−ジヒドロテストステロン(以下「5αDHT」とも云う)に還元される。
【0039】以下の検討ではヒト肝サイトゾル(株式会社ケー・エー・シーより入手、−80℃保存品)及びラット前立腺(SD系雄性ラット(7週齢、日本チャールス・リバー株式会社より入手)の前立腺を調整直後に使用)を酵素材料としてT5αH活性に及ぼす処理水A〜Cの影響を調べた。試験項目を表1に示す【0040】
【表1】

【0041】用いた試薬としては、[4−14C]テストステロン(American Radiolabled Chemicals Inc社製、比放射能2.12GBq/mmol、放射科学的純度98.7%)及びβ−ニコチンアミドアデニンヌクレオチド還元型(以下「NADH」とも云う、オリエンタル酵母工業製)を、いずれも−20℃で保存したものを、また、その他の試薬は特級試薬を用いた。
【0042】阻害試験は次のように行った。50ミリモルトリス塩酸緩衝液(pH7.5、最終濃度50mmol/l)で調整したヒト肝サイトゾル(最終濃度5mgprotein/ml)、またはラット前立腺ホモジネート(氷冷下で同量の緩衝液を加えてミクロホモジナイザーにより調整、最終濃度250mg/ml)にNADH(最終濃度1mmol/l)、[4−14C]TS(最終濃度2μmol/l)及び蒸留水(陰性対照)または処理水A〜Cのいずれか(最終2倍希釈)を加えて37℃でインキュベーション(ヒト肝サイトゾル:120分、ラット前立腺ホモジネート:30分)した後、2倍容量の氷冷エタノールを加えて反応を停止させた。
【0043】上清をTLCプレート(Silica gel 60 F254 Merck社製を使用)にスポットしてジクロロメタン/アセトン(4:1)により展開した後、TLCプレート上の放射能分布をバイオイメージングアナライザー(富士写真フィルム製)により定量した。
【0044】このとき代謝初速度は、基質の減少率(Kmet)に初期基質濃度を乗じて、サイトゾルタンパク質または組織重量当たりの値で示し、また、被験溶液による阻害の有無は、各初速度を陰性対照の初速度と比較し、t検定による判定した。(式I〜III参照)。ただし、これら式中Coは初期基質濃度、Ctはt分後の基質濃度、tは反応時間(min)をそれぞれ示す。
【0045】
【数1】
基質の減少率(Kmet)=(ln(Co/Ct))/t ……(I)
【0046】
【数2】
代謝初速度=Kmet×Co/(タンパク質または組織濃度) ……(II)
【0047】
【数3】
阻害率(%)
=(代謝初速度(対照)−代謝初速度(被験溶液))/代謝初速度(対照)×100 ……(III)
【0048】これら試験の結果、得られたヒト肝臓及びラット前立腺のT5αH活性に及ぼす処理水A〜Cの影響をそれぞれ表2及び表3に示し、またTLCオートラジオルミオグラフの1例を図2に示す。
【0049】
【表2】

【0050】
【表3】

【0051】これらより処理水A、B及びCはヒト肝臓のT5αH活性をそれぞれ72%、60%及び92%阻害し、ラット前立腺のT5αH活性をそれぞれ48%、31%及び97%阻害したことが判る。
【0052】[テストステロン−5α−ヒドロゲナーゼ活性への影響調査 その2]それぞれ処理水A、BおよびCと同様にして処理水HSSAW−1(酸化還元電位は1205mV、40分間での酸化還元電位の低下量は394mV、pH:1.41)、HSSAW−2(酸化還元電位は1182mV、40分間での酸化還元電位の低下量は359mV、pH:1.14)及びHSSAW−3(酸化還元電位は1194mV、40分間での酸化還元電位の低下量は385mV、pH:1.26)を得た。
【0053】これら処理水の他、蔵王温泉(高見屋2号)を使用し、図1に示した装置を用い、ただし、循環を行わず電解糟を1回通過させる電解処理を行い陽極側処理水を得た(以下、「通常電解水」と云う)。このものの酸化還元電位は1109mV、40分間での酸化還元電位の低下量は318mV、pHは1.65であった。
【0054】さらに、これら電解水の他、秋田県田沢湖町玉川温泉大噴の湯の温泉水(「温泉原水」と云う。酸化還元電位は446mV、40分間での酸化還元電位の低下量は9mV、pH1.14)、さらに市販の強酸性水(商品名「サンクエスト」。温泉水を原料として使用していないもの、酸化還元電位は1146mV、40分間での酸化還元電位の低下量は290mV、pH2.96)、塩酸溶液(蒸留水に塩酸を加えpHを1.89に調製したもの)及び蒸留水(「陰性対照」と云う。pH5.63)を用いて上記同様にラット前立腺のT5αH活性の阻害率を調べた。結果を表3に、TLCオートラジオルミオグラフの1例を図3に示す。
【0055】
【表4】

【0056】上記結果より、蒸留水で2倍に希釈した50ミリモルトリス塩酸緩衝液(pH7.5)を当容量添加し、常温でで40分間放置したときの、混合前の酸化還元電位からの電位低下量が350mV超である本発明の育毛水のテストステロン−5α−ヒドロゲナーゼ活性抑制効果は、温泉原水やpHを同程度に調製した塩酸溶液、あるいは市販強酸性水より、高いものであることが判る。
【0057】なお、表4での本発明の育毛水のテストステロン−5α−ヒドロゲナーゼ活性抑制効果は表3での結果より高い値を示しているが、これは前者では育毛水作製後室温で比較的長期間保存したものを供試体として用いたのに対し、後者では育毛水作製後冷暗所に短期間保管し、その後速やかに用いたことによる違いであると推測される。
【0058】[発毛・育毛効果の検討:実施例、その1]上記検討により本発明に係る育毛水のテストステロン−5α−ヒドロゲナーゼ活性抑制効果は確認されたが、実際の発毛・育毛効果について調べた。
【0059】上記で作成した処理水A〜Dを、脱毛症に悩む被験者に使用した。それぞれ朝晩の1日2回、脱毛部に約40mlをスプレーして試験を行った。いかにその結果を示す。
【0060】(被験者α:47歳、男性)使用前:頭頂付近に直径10cm程度の円形の薄毛部があり、地肌が殆ど透けて見える状態であった。この部分には1cm程度の短くまた細い毛髪が生えている程度であり、また、額は三日月型にはげていた。
【0061】97年6月6日より処理水Aの使用を開始したところ、2週間後に全体的に黒くなって地肌が見えにくくなったと云う印象が出てきて、また、髪の毛全体に「はり」を感じるようになった。1ヶ月後には薄毛部の髪の毛が明らかに太くなり、弾力を有するようになり、さらに、この部分の毛の長さも1.5cm超となった。さらに額上部の脱毛部と有毛部との境界に5mm程度の小さな毛が多数生えているのが確認された。使用開始から50日後には、家族にも「毛が生えてきたね」と云われるようになった。
【0062】なお、使用開始前に頭頂付近の薄毛部をファイバースコープ(拡大鏡)で観察した際には1つの毛穴のように見える箇所からそれぞれ1本の髪の毛が生えているように観察されたが、50日後に再度観察を行ったところ、殆どの毛穴から2本、場合によっては3本の毛が生えているように確認された。
【0063】被験者αは上記の50日間の使用でも、何らの障害(かゆみ、発疹等)も生じていず、本人の希望でさらに長期の試験を行うこととなった。
【0064】(被験者β:41歳、男性)使用前:頭部全体の髪の毛が薄く、そのため地肌を見えにくくするためにいわゆるパーマをかけていた。しかし、数年来、その効果も少なくなり、地肌が見えるようになっている。
【0065】97年5月10日より処理水Bの使用を開始した。1ヶ月後には額の方から髪を地肌に沿って指でかき分けて行くと、従来はなかったような短い髪の毛の存在を感じるようになった。なお、被験者βの頭の前の方にあざがあるが、この頃、行きつけの床屋で「あざが見えにくくなりましたね」と云われた。
【0066】なお、被験者βにおいてもファイバースコープ観察により、発毛(増毛)が確認されて、また、何らの障害も生じていない。
【0067】(被験者γ:53歳、男性)使用前:32歳位から頭の頂部が薄くなり、45歳を過ぎる頃には殆ど毛がなくなって、産毛のような細く短い毛がわずかに残っている状態であり、このことはファイバースコープでも確認された。なお、入手可能な育毛剤を数多く試してきたが、そのいずれでも自覚できるような効果は得られなかった。
【0068】97年6月15日より本発明に係る育毛水である処理水Cの使用を開始した。朝晩スプレーを行ったところ、1週間後に、薄毛部の産毛に存在感が出てきて、「こし」が感じられるようになった。その後使用を継続するにつれ、その産毛が徐々に黒くなり、また「密集感」が感じられるようになった。使用開始の2ヶ月後には「30歳代後半の頃に戻ったね」と家人に云われるようになった。なお、使用による不快感、違和感は全くなく、さらに長期の使用を希望している。
【0069】(被験者δ:47歳、女性)使用前:30代後半から頭頂部が薄くなり、42歳頃から地肌が見えるようになっていた。冗談に紛らわせてではあったが、家族からも「部分かつら」の使用を勧められるほどであった。なお、本発明に係る処理水の使用開始前に、美容院でファイバースコープによる50倍での観察を行ったところ、頭頂部では毛穴のように見える箇所から毛がそれぞれ1本づつしか生えていないことが確認された。
【0070】97年3月12日より処理水Cの使用を開始し、朝晩スプレーした。2ヶ月後には頭頂部での地肌の見え方が少なくなったと自覚できるようになった。上記と同じ美容院で頭頂部の拡大観察を行ったところ、毛穴のように見える箇所のほとんどに2本の毛が生えており、また、まれではあるが3本生えている箇所もあった。
【0071】使用開始後3ヶ月には、家族にも「ほう」と感心されるほど毛が増えてきて、将来的には20歳代の頃の状態に戻るのも夢ではないと期待しながら、使用を継続している。なお、かゆみや違和感等の不快な症状はまったく生じていない。
【0072】(被験者ε:27歳、男性)使用前:父は髪の毛が薄いものの、自分自身の髪の毛には全く不安を抱いていなかった。ところが25歳の秋、洗髪の際に浴室の排水溝の目皿が見えなくなるほどの抜け毛があり、自失してしまった。さらに、同じ頃、起床の度に枕が髪の毛で真っ黒になったかと錯覚を覚えるほど抜け毛があった。
【0073】本来不安を覚えるような年齢ではないはずであるにも拘わらず、市販の育毛剤を手当たり次第に試したが一向に改善されず、抜け毛はさらに進行し、会う友人ごとに指摘され、からかわれるようになっていた。
【0074】1997年10月16日より育毛水である処理水Dの使用を開始した。それまで洗髪時に目皿を覆い隠す量であった抜け毛が、使用開始17日目にほとんどなくなった。当初は処理水の効果とは信じられず、抜け毛が多い季節が終わったためと考えていた。
【0075】同時期に、理容室でファイバースコープによる拡大観察を行ったところ、髪の毛が薄い部分の毛穴のように見える箇所にそれぞれ黒い太い1本の毛が生えているのが観察されたが、その脇に小さな産毛が生えていることが確認された。
【0076】さらに1か月使用を継続した後、再度ファイバースコープによる拡大観察を行った。すると前述の毛穴のように見える箇所からそれぞれ太い・黒い毛が2本ずつ、場所によっては3本ずつ生えているのが確認された。なお、このころから、髪の毛が薄いことを指摘されることがなくなった。これを励みとして、処理水Dの使用を継続し、12月頃には「髪の毛が薄い」と云うのは他人事のように思えるようになった。
【0077】そこで、この頃から処理水Dの使用量を一日15ml程度に、また使用回数も1日1回(夜のみ)とし、その後、1998年9月下旬に至っている。なお、一般に秋は抜け毛が多いシーズンにも拘わらず、特に抜け毛が多くなることもなく、さらに日常生活において髪の毛についての精神的な重荷や劣等感を感じることが全くなくなった。なお、この処理水Dが原因と思われるような自覚症状、不都合等は使用開始後から1998年9月下旬に至るまで一度もない。
【0078】(被験者ζ:36歳、男性)使用前:若い頃から、俗に「猫毛」と云われる毛であり、頭の毛の薄いのは気にかけてもいなかった。しかし、ある日、娘(6歳)に「お父さん、どうしてそんなに髪の毛が薄いの」と問われ、急に気になるようになった。
【0079】1998年4月15日より処理水Dの使用を開始し、1週間後には抜け毛が減ったことに気づいた。使用開始40日後にはボリューム感が出てきて、髪の毛が「ファー」と持ち上がっているような感触を覚えた。4か月後には妻にも感心されるほどになり、娘にも喜んで貰えた。
【0080】[育毛・発毛効果の検討:比較例]
【0081】[処理水Eの作製]処理水Aと同様に、ただし、循環陽極酸化処理のサイクル数を少なくして、酸化還元電位は920mVで、pHは2.1、次亜塩素酸イオン濃度と次亜塩素酸濃度の和が21ppmとなった処理水Eを得た。この処理水Fの40分間での酸化還元電位の低下量は319mVであった。
【0082】また、温泉水の代わりに川越市水道水に若干の食塩を添加し、これに電解処理を施し、陽極側処理水を得た(処理水F)。このものの酸化還元電位は1080mVで、pHは2.9、次亜塩素酸イオン濃度と次亜塩素酸濃度の和は15ppmであった。この処理水Fの40分間での酸化還元電位の低下量は280mVであった。
【0083】さらに温泉水の代わりに川越市水道水をそのまま用いて、それ以外は処理水Aと同様に循環陽極酸化処理を行い処理水Gを得た。このときの酸化還元電位は1130mVであった。この処理水Gの40分間での酸化還元電位の低下量は260mVであった。
【0084】これら処理水E〜Gを用いて処理水A〜Dと同様に、髪の毛が少なくなった男女(40歳代〜50歳代)それぞれ数名ずつモニターテストを行った。しかし、いずれの場合も試験開始3月後の段階でも、客観的あるいは主観的に認められるような発毛・育毛効果は得られなかった。
【0085】さらに、市販の強酸性水(温泉水を原料として使用していないもの、酸化還元電位は1146mV、40分間での酸化還元電位の低下量は290mV、pH2.96)についても同様にモニターテストを行ったが、試験開始3月後の段階でも、客観的あるいは主観的に認められるような発毛・育毛効果は得られなかった。
【0086】[発毛・育毛効果の検討:実施例、その2]上記とは別の被験者63名(いずれも、薄毛を自認し、改善を望んでいる人。男性56名、女性7名)が、処理水Bと同様にして作製した処理水B'を6か月連続して使用した際の改善度について調べた。
【0087】その結果、使用開始前には、短い毛しか生えなかった箇所の髪の毛が伸びてきた、髪の毛のなかった箇所に新毛が見られるようになった、薄かった部分の髪の毛が増えてきた等の大幅な改善を実感した被験者は31人、髪の毛にハリ・コシなどを感じた、髪の毛が太くなってきた、抜け毛の量が少なくなってきた等の何らかの改善を実感した被験者は20人、変化が感じられないと回答した被験者は12人であった。
【0088】このうち、変化が感じられないと回答した被験者についてファイバースコープによる頭部拡大写真を撮影し、処理水B'使用開始前の同様の写真と比較したところ、これら12人中6人に髪の毛が太くなる、密度が高くなるなどの改善が見られた。
【0089】
【発明の効果】本発明のテストステロン−5α−ヒドロゲナーゼ活性抑制剤は、テストステロンを抑制することができるテストステロン−5α−ヒドロゲナーゼ活性抑制剤であり、朝晩の1日2回、脱毛部にスプレーすることにより、極めて短期間に優れた発毛・育毛効果が発現する。すなわち、数週間〜1箇月の短期間で効果が実感できるため、さらなる発毛・育毛への希望と励ましが得られ、その結果、最終的に確実な発毛・育毛が可能となる。
【出願人】 【識別番号】598138936
【氏名又は名称】山寺 敏雄
【識別番号】502160589
【氏名又は名称】小山 満里子
【識別番号】502160590
【氏名又は名称】小山 貴史
【識別番号】502161405
【氏名又は名称】小山 裕司
【出願日】 平成11年8月25日(1999.8.25)
【代理人】 【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄 (外1名)
【公開番号】 特開2003−34622(P2003−34622A)
【公開日】 平成15年2月7日(2003.2.7)
【出願番号】 特願2002−131610(P2002−131610)