| 【発明の名称】 |
炭酸経皮吸収用組成物、その用途及び使用方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】石原 敞
【氏名】藤永 好和
【氏名】山根 月美
【氏名】大谷 光伸
【氏名】鎌田 健資
【氏名】中濱 哲郎
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| 【要約】 |
【課題】身体の皮膚の血行を促進することにより皮膚の健康を保持、促進する安全性の高い炭酸経皮吸収用組成物を提供する。
【解決手段】遊離炭酸を300ppm以上とトレハロースを含む水溶液がPHが低いにも拘らず皮膚に対する刺激性が少く、且つ潤いや美白効果を示す組成物となり化粧水として有用である。また、遊離炭酸を300ppm以上含む水溶性高分子組成物のゾルーゲル相転移温度を0℃以上45℃未満の範囲に設定することで、保存や使用時に組成物の粘度を調整して炭酸ガスの逃散が少ない血行促進作用が持続する組成物が得られた。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】遊離炭酸を300ppm以上含み、且つトレハロースを必須成分として含む実質的に気泡状の炭酸ガスを含まない水溶液からなることを特徴とする炭酸経皮吸収用組成物。 【請求項2】PH(水素イオン濃度)が5.0未満である請求項1の炭酸経皮吸収用組成物からなる化粧水。 【請求項3】少なくとも水、水溶性高分子、遊離炭酸からなる組成物であって、該組成物中の遊離炭酸は濃度が300ppm以上であり、実質的に気泡状では存在せずに溶解状態で存在してなる炭酸経皮吸収用組成物において、前記組成物がゾルーゲル転移又はゲルーゾル転移(以下相転移と略す)を示し、その転移温度が0℃以上、45℃未満の範囲にあることを特徴とする炭酸経皮吸収用組成物。 【請求項4】少なくとも水、水溶性高分子、遊離炭酸からなる組成物であって、該組成物中の遊離炭酸は濃度が300ppm以上であり、実質的に気泡状では存在せずに溶解状態で存在してなるゲル状の炭酸経皮吸収用組成物。 【請求項5】トレハロースを必須成分として含むことを特徴とする請求項3.又は4.の炭酸経皮吸収用組成物。 【請求項6】請求項1.から5.の炭酸経皮吸収用組成物がシート状支持体に含浸又は/及びコーティングされてなる炭酸経皮吸収用シート状物。 【請求項7】炭酸経皮吸収用組成物の使用方法において、使用時に該組成物を相転移させることにより組成物の粘度を変化させて使用することを特徴とする炭酸経皮吸収用組成物の使用方法。 【請求項8】組成物の相転移を温度又は/及び添加剤で行うことを特徴とする請求項7.の使用方法。 【請求項9】炭酸経皮吸収用組成物の製造方法において、炭酸ガスを含まない組成物原料水溶液を調整し、次いで前記原料水溶液に300ppm以上の炭酸ガスを加圧溶解させて炭酸経皮吸収用組成物を調整し、次いで前記組成物を密閉容器に充填することを特徴とする炭酸経皮吸収用組成物の製造方法。 【請求項10】精密ろ過器と膜式炭酸ガス溶解器が接続された装置を用いて異物のろ過と炭酸ガスの溶解を連続して行うことを特徴とする請求項9.の製造方法。 【請求項11】熱ゲル化特性を示す水溶性高分子を用いて炭酸経皮吸収用組成物を製造する方法において、前記水溶性高分子をゲル化温度以上で水又は水溶液に分散し、次いで前記分散液を冷却し又は冷却しながら炭酸ガスを溶解させることを特徴とする炭酸経皮吸収用組成物の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明が属する技術分野】本発明は溶解性炭酸ガスを高濃度に含む水溶性組成物に関し、人体の皮膚と接触させて皮膚を通して炭酸ガスを有効に人体に吸収させ皮膚の血行促進を図ることが可能な炭酸経皮吸収用組成物、それを用いた化粧水、該組成物をシート状支持体に複合化させた炭酸経皮吸収用シート状物、さらにこれらの使用方法及び製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】炭酸ガスを含む水が人体の血行を促進することは古くから良く知られており、特に全身の血行を良くするために炭酸泉に入浴することが古くから行われている。これは炭酸ガスの経皮からの侵入により毛細管床の増加及び拡張が起こり皮膚の血行を促進するためと考えられている。このような炭酸ガスの特徴を利用して化粧水、養毛・育毛料やパック剤に用いることが提案されている。特公平3−14284号公報には炭酸ガスを所定量含むPHが5−6.5の化粧水が開示されている。また、特開昭60−215606号公報や特開平11−228334号公報には炭酸ガスを含むパック剤や粘度の高い化粧料が開示されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】炭酸ガスの血行促進効果は化粧料やパック剤(本発明ではこれらを炭酸経皮吸収用組成物と称す)に溶解している炭酸ガスの濃度が高いほど大きい。一方、水に炭酸ガスのみを溶解させるとその水のアルカリ度によっても変化するが、図1の様にPHが低下してくる。このようにPHが低下した水溶液は皮膚に対する刺激性が強く化粧料として用いることが困難であった。PHの低下はPH調整剤を添加してPHを5以上にすることも可能であるが、化粧水などの敏感な用途には添加剤が悪い効果をもたらすことも考えられる。本発明はPHが低くても皮膚に対する刺激性の少ない安全な添加剤を見つけることを第1の課題とした。第2の課題は炭酸ガスを高濃度に含有する水溶液は保存中に容器を通して炭酸ガスが空気中に逃散したり、常圧での使用時に空気中に水溶液から炭酸ガスが直ちに逃散してしまう欠点があった。これらの欠点を解決することを第2の課題とした。この第2の課題については従来技術、例えば特開平11−228834号公報にも開示されているがいまだ十分ではなかった。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明の第1は遊離炭酸を300ppm以上含み、且つトレハロースを必須成分として含む実質的に気泡状の炭酸ガスを含まない水溶液からなることを特徴とする炭酸経皮吸収用組成物である。また、この組成物を化粧水として用いる場合はそのPH(水素イオン濃度)が5.0未満であることが好ましい。本発明の第2は少なくとも水、水溶性高分子、遊離炭酸からなる組成物であって、該組成物中の遊離炭酸は濃度が300ppm以上であり、実質的に気泡状では存在せずに溶解状態で存在してなる炭酸経皮吸収用組成物において、前記組成物がゾルーゲル転移又はゲルーゾル転移(以下相転移と略す)を示し、その転移温度が0℃以上、45℃未満の範囲にあることを特徴とする炭酸経皮吸収用組成物である。本発明の第3は少なくとも水、水溶性高分子、遊離炭酸からなる組成物であって、該組成物中の遊離炭酸は濃度が300ppm以上であり、実質的に気泡状では存在せずに溶解状態で存在してなるゲル状の炭酸経皮吸収用組成物である。第2、第3発明においてトレハロースを必須成分として含む炭酸経皮吸収用組成物が好ましい。本発明の第4は上記の炭酸経皮吸収用組成物がシート状支持体に含浸又は/及びコーティングされてなる炭酸経皮吸収用シート状物である。本発明の第5は炭酸経皮吸収用組成物の使用方法において、使用時に該組成物を相転移させることにより組成物の粘度を変化させて使用することを特徴とする炭酸経皮吸収用組成物の使用方法である。この使用方法において組成物の相転移を温度又は/及び添加剤で行うことが好ましい。本発明の第6は炭酸経皮吸収用組成物の製造方法において、炭酸ガスを含まない組成物原料水溶液を調整し、次いで前記原料水溶液に300ppm以上の炭酸ガスを加圧溶解させて炭酸経皮吸収用組成物を調整し、次いで前記組成物を密閉容器に充填することを特徴とする炭酸経皮吸収用組成物の製造方法である。この製造方法において精密ろ過器と膜式炭酸ガス溶解器が接続された装置を用いて異物のろ過と炭酸ガスの溶解を連続して行うことが好ましい。本発明の第7は熱ゲル化特性を示す水溶性高分子を用いて炭酸経皮吸収用組成物を製造する方法において、前記水溶性高分子をゲル化温度以上で水又は水溶液に分散し、次いで前記分散液を冷却し又は冷却しながら炭酸ガスを溶解させることを特徴とする炭酸経皮吸収用組成物の製造方法である。 【0005】 【発明の実施の形態】炭酸ガス(CO2)は20℃、1気圧で水に対して0.88(ml/ml水)の溶解度を持つ(化学大事典)。水に溶解した炭酸ガスは水と反応して炭酸(H2CO3 )、さらに水の水素イオン濃度(PH)が6を越えて高くなると、炭酸が解離して炭酸水素イオンや炭酸イオンとなる。本発明で言う遊離炭酸とは炭酸ガスが水中に溶解して炭酸ガス及び炭酸の状態で存在しているもので、水のアルカリ度によっても変化するが、PHが6以下では大部分の炭酸ガスは遊離炭酸として水中に存在する。血行促進効果は炭酸水素イオンや炭酸イオンでは見られず、炭酸ガスの状態が必要である。上述のごとく1気圧の炭酸ガスは水1gに約0.88ml溶解するが、この炭酸ガスを質量に換算すると約0.0016gとなる。即ち、約1600ppm(質量基準)である。本発明では炭酸経皮吸収用組成物に溶解している遊離炭酸の質量をppmで表示するが、該組成物は水が大部分であるため、近似的に該組成物を構成する水に溶解している遊離炭酸と考えて差し支えない。 【0006】本発明の遊離炭酸を所定量含む炭酸経皮吸収用組成物の製造方法は後に詳述するが、炭酸ガスを直接組成物を構成する水や組成物水溶液に加圧して溶解させるものである。従って従来入浴剤として用いられている炭酸塩と有機酸の反応で炭酸ガスを発生させ炭酸ガスの気泡による刺激作用と一部水に溶解した炭酸ガスの血行促進作用を狙う技術とは本質的に異なるものである。このような化学反応によって炭酸ガスを水に溶解させることが出来るが、反応生成物が水中に残存するため化粧水のような肌に敏感な用途には好ましくないと考えられる。これらの技術と区別するために本組成物水溶液は実質的に気泡状の炭酸ガスを含まないものである。「実質的に」とは一旦水あるいは水溶液に溶解した遊離炭酸が攪拌作用、気温、圧力変動等により炭酸ガスの溶解度が変化して気泡として発生するものは本発明の範囲内に含まれることを意味する。 【0007】本発明の炭酸経皮吸収用組成物の血行促進作用は以下のようにして調べることが出来る。肌の色が白い部分、例えば腕の内側で日光が比較的にあたらない部分や足の膝部分に、炭酸経皮吸収用組成物を十分しみ込ませた脱脂綿やガーゼを5ないし10分間貼付してその前後の皮膚の状態を観察する。比較として純水や水道水をしみ込ませたものを同時に隣に貼付しておく。所定時間経過後、貼付した脱脂綿等を剥がして皮膚の状態を観察する。血行促進作用を示す炭酸経皮吸収用組成物は貼付部分の皮膚が赤くなり、比較試料は添付前の状態と変わらないので区別が容易につく。即ち、本発明で言う血行促進作用とはこのようなテストで皮膚が赤化することを意味する。このようにして血行促進作用を調べると、組成物中の遊離炭酸濃度が300ppm以上、好ましくは500ppm以上で血行促進作用を示すことが明らかとなった。また、遊離炭酸濃度の上限は、炭酸経皮吸収用組成物の使用が大気圧下であることから、使用時の温度にもよるが2000ppm近傍である。数気圧の炭酸ガスを水溶液に圧入すると、ヘンリーの法則に従って上記以上の炭酸ガスを水溶液に溶解させることが可能であるが、使用時が常圧であるのでこのような水溶液は空気に触れた段階で発泡して過飽和の炭酸ガスは直ちに空気中に逃散してしまう。 【0008】図1は水道水に炭酸ガスを溶解して調整した炭酸水の炭酸ガス濃度とPHの関係である。炭酸ガスの濃度は二酸化炭素電極を用いて測定した。このグラフから300ppmの炭酸ガスを含む炭酸水のPHは4.95であった。従って本発明では血行促進効果を機能させるためには上述の通り300ppm以上の遊離炭酸が必要であり、そのためには炭酸水のPHを5以下、好ましくは4.9以下にする必要がある。一方、炭酸水は人体の皮脂を溶解する作用があり、PHが5以下の炭酸水を化粧水とした場合、皮脂が溶解して顔がヒリヒリするためそのままでの使用は困難であることが解った。この欠点を無くすために本発明者らは化粧品に用いられている添加剤を各種検討したが、その中でトレハロースが非常に効果があることを見出した。炭酸水とトレハロースの組み合わせがなぜ優れるのか原因は不明であるが、トレハロースが2分子の水を結晶水として保持しえること、吸湿特性が特異であることなどが関係していると今のところ想定している。また、トレハロースは脂質の変敗抑制作用があり加齢臭や体臭の防止効果も期待され、化粧料に用いることはこの意味からも好ましい添加剤である。炭酸経皮吸収用組成物に含有させるトレハロースの量は0.1wt%以上、好ましくは0.5wt%以上、さらに好ましくは1wt%以上である。上限はべたつき等の使用感から10wt%以下、好ましくは7wt%以下である。遊離炭酸を300ppm以上且つトレハロースを含むPHが5未満の炭酸経皮吸収用組成物を化粧水として用いると、弱酸性による皮膚の収斂作用と共に血行が促進されトレハロースの特異な作用と相まって、皮膚に対する刺激性が少なくしっとり感や美白など多くの優れた効果を示す化粧水が得られることを発見した。 【0009】本発明の化粧水にはトレハロース以外に公知の保湿成分や角質軟化剤を併用することが出来る。保湿成分としてはエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−ブチレンジオール、1,2−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ソルビトール等の多価アルコール類、これら多価アルコールの脂肪酸エステル類、キシリトールなどの多糖類、アミノ酸類、ヒアルロン酸、エラスチン、コラーゲン、キチン、キトサン誘導体 等が例示される。この中でも使用経験から、グリセリン、セリンやグルタミン酸ナトリウムのようなアミノ酸又はアミノ酸塩、ヒアルロン酸やその塩が好ましい保湿成分である。また、これらの保湿成分は単独あるいは2種類以上混合して使用してもよい。角質軟化剤としてはアミノ酸、ピログルタミン酸、乳酸、尿素、アルカリ金属などの天然保湿因子のほか、乳酸塩、トリエタノールアミン、α−ヒドロキシ酸、等が例示される。 【0010】本発明の炭酸経皮吸収用組成物及び化粧水は上述のごとく遊離炭酸及びトレハロースを必須成分とするものであるが、上記保湿成分や角質軟化剤に加えて使用目的に応じて公知の添加剤成分を加えても良い。これらの添加剤としては、オリーブオイル、セチルアルコール、ラノリン、ステアリルアルコールなどの柔軟化剤、ミネラル、各種栄養剤、アロエや甘草など薬草等の植物抽出成分、クロレラエキス、海藻抽出物、ローズマリーエキス、カモミラエキス、ラベンダーエキスなどのハーブ、各種香料、アルブチン、ビタミンC、コウジ酸などの美白剤が挙げられる。また、皮膚のターンオーバーを促進しシワの改善が期待されるレチン酸、レチノール、γ―アミノ酪酸なども用途によって適宜添加することもできる。使用目的によってはグリチルリチン酸のような抗炎剤を添加して薬効を期待することも出来る。さらに使用時に清涼感を付与するためにエチルアルコールなども少量添加することもできる。また、本発明の化粧水は遊離炭酸を含むため防腐効果がそれ自身であるが、高温での長期間保管などの過酷な使用条件が想定される場合は、パラベンやクエン酸などの防腐剤や酸化防止剤を添加することもできる。これらの添加剤の添加量は本発明の目的である肌にやさしい化粧水、即ち添加物の少ない化粧水を提供するために出来るだけ少なくすべきである。 【0011】次に第2発明、第3発明の炭酸経皮吸収用組成物並びにその使用方法に関する第5発明について、その好ましい実施形態も含めて説明する。上述の第1発明と重複する構成要件の説明は省略する。この発明の遊離炭酸を含む組成物は人体の局部に塗布ないしは貼って使用するのがその主要な目的であるので、粘度はその使用形態によって適宜選ぶことが好ましい。一方、炭酸ガスの拡散による空気中への逃散の速度は組成物の粘度に反比例することを考えると粘度は高いほうが好ましい。少なくとも室温で5dPa・s、好ましくは10dPa・s以上であるものが好ましい。このような粘度の調整は高分子の種類、重合度と水溶液への濃度を変える事によって行うことが出来る。場合によっては高分子水溶液に無機や有機の低分子塩を添加することで粘度を変化させることも可能である。本発明で言うゲルとは粘度が無限大に大きい状態で流動性が無い状態を示し、組成物中の水溶性高分子が分子間相互作用により3次元編目構造を形成してゲル化する。ゲル状態では粘度が無限大に大きいため組成物からの炭酸ガスの逃散は遅くなるため組成物の保存には好適である。しかし使用時には流動性がないため塗布などが困難であるので、ゲルをゾル化して用いることが好ましい。本発明ではゲルは上記説明の通り流動性を示さない状態であり粘度が測定できないもので、一般に化粧品関係でジェルと称されているものとは異なるものである。化粧品関係では粘度が高く指先で掬い取ることが出来るような状態をジェルと称しているが、このジェルは粘度が測定できるもので、本発明では流動性を示す状態をゾルと定義しているので、いわゆるジェルは本発明ではゾルの範疇に入るものである。 【0012】本発明ではゾルからゲルへ転移する過程をゾルーゲル転移と呼び、その逆をゲルーゾル転移と呼び、これらの転移を纏めて相転移と呼ぶ。本発明ではこの相転移は水溶性高分子の分子間相互作用の変化によって起こるものであるが、分子間相互作用の変化は該水溶液に物理的、化学的な作用を与えることによってもたらされる。物理的な作用としては温度変化を与えるのが好ましい。温度によって転移を起す、即ち転移温度はDSCやNMRなどの分析機器を用いれば正確に求めることが出来るが本発明では簡便的に以下の方法で求めた。ゲル化やゾル化の場合、系の全体の粘度が変化して流動性を失ったり、流動性を回復したりするため転移が完了するまで時間を要するのが一般的である。本発明では組成物を入れた試験管を恒温水槽で温度を変えながら流動性即ち粘度変化が起こり始める温度を観察し、組成物の粘度が温度変化以上に大きく変化し始める温度を転移温度と定義した。化学的な作用としては水溶性高分子の溶解性を変化させるような添加剤を加えることで行なうことができる。本発明では添加剤として水溶液に良く溶ける低分子塩を添加することが好ましい。この場合は水溶液の温度を一定にして、所定量の添加剤を加えてしばらく放置してゲル化するかゾル化するかを上記試験管法で確認することが出来る。添加剤の量によって転移温度は異なるので、所定量の添加剤を含む水溶液の転移温度は上述のようにして求めることが出来る。 【0013】本発明の炭酸経皮吸収用組成物の上記転移温度は人体に使用する観点から0℃以上45℃未満、好ましくは0−40℃を有するものである。この温度範囲でゾルーゲル転移を示す組成物はいわゆる熱ゲル化特性を示す組成物である。本発明の組成物は炭酸水に水溶性高分子を溶解させるか、高分子水溶液に炭酸ガスを溶解させて製造されるが、いずれにしても炭酸ガスの水への溶解度は温度が低いほど大きいため低温で行う必要がある。また、水溶液の場合その粘度が低い方が炭酸ガスの水溶液への拡散速度が速くなり好ましい。従って、低温でゾル状態を示しさらに粘度が低い高分子水溶液は高濃度の炭酸ガスを組成物に溶解させることが出来る。一方、組成物を保存する場合は炭酸ガスの逃散の観点から粘度が大きい状態、好ましくはゲル状態である。また、使用時にはゾル状態で適切な粘度に調節できることが好ましい。これらの相転移は簡便に出来ることが好ましく、本発明では温度や低分子塩などの添加剤またはこれらの組み合わせで行なうことが好ましい。転移温度が高いと使用に適した粘度にするために組成物を高温度にする必要があり、組成物からの炭酸ガスの逃散が起こりやすく好ましくない。この観点からも転移温度は45℃未満、好ましくは40℃以下である。最も好ましいのは37℃付近に転移温度を有する組成物であり、人体にゾル状態で塗布した場合、体温でゲル化が進行し炭酸ガスの空気中への逃散が起こりにくくなるので好ましい。下限の温度は実用的な観点から冷蔵庫の温度で保存する場合ゲル化やゾル化が容易に起こるものが好ましく0℃以上である。ゲルーゾル転移を示す組成物についても事情は同じであるが、組成物の調整段階、即ち水溶液に炭酸ガスを溶解させる時はゾル状態で行う必要があり、低温好ましくは35℃以下に転移温度を示すものが好ましい。 【0014】本発明の組成物の水溶性高分子は合成高分子、天然高分子、天然高分子を原料として誘導される半合成高分子のいずれでも良い。合成高分子としてはポリアクリルアミド、ポリ(メタ)アクリル酸並びにその塩、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなど、天然高分子としてはゼラチン、加水分解コラーゲン、寒天、カラギーナン、グアーガム、ペクチン、デキストラン、ヒアルロン酸、でんぷんなど、半合成高分子としてはメチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体等を用いることが出来る。しかしながら人体に触れることから天然高分子、半合成高分子が好ましい。また、これらの水溶性高分子を2種以上混合して使用してもよい。組成物中の水溶性高分子の濃度は0.5−5wt%の範囲が好ましい。 【0015】低温でゾル状態、高温でゲル化特性を示す水溶性高分子としてはメチルセルロースがよく知られている。また、合成高分子ではポリーN―イソプロピルアクリルアミド、ポリーN―ビニルアセトアミド、ポリーN―ビニルイソブチルアミド、N―ビニルイソブチルアミドとN―ビニルアセトアミドの共重合体などが知られている。人体に用いる観点から半合成高分子であるメチルセルロースが好ましい。メチルセルロースの場合、その2wt%水溶液の転移温度は本発明の方法で測定すると45℃であり、転移温度を45℃未満にするためには低分子塩を添加するのが好ましい。このような塩としては塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、クエン酸ナトリウムなどのナトリウム塩が例示される。本発明の好ましい実施形態はこのような熱ゲル化特性を示す水溶性高分子を用いて低温で水溶液に炭酸ガスを十分溶解させて密閉容器に保存し、必要ならば冷蔵庫に保管して、使用時に30−40℃の雰囲気に密閉容器を放置することでゲル化に伴う増粘を起こさしめ、塗布しやすい粘度に調節してから容器を開封して人体の局部に塗布することである。ゲル化に伴う増粘作用は使用時に上述の低分子塩を組成物に添加することでも行なうことが出来る。この方法は炭酸経皮吸収用組成物に塩を均一に溶解させるために攪拌を必要とするが、その時に組成物に溶解している炭酸ガスが逃散するので注意が必要である。溶解しやすい塩や攪拌を短時間で且つ低温で行うことにより組成物の相転移による粘度変化を炭酸ガスの逃散を最小限にして達成することが出来る。 【0016】一方、低温でゲル状態を取り、高温でゾル状態を示す炭酸経皮吸収用組成物はゲル状態で保存が出来るので組成物からの炭酸ガスの逃散を最小にすることが出来るので好ましい。例えばゼラチンの水溶液からなる炭酸経皮吸収用組成物はゼラチンの濃度によっても多少変化するが2wt%水溶液では約25℃以下でゲル化を起こす。従って、25−30℃の範囲のゾル状態で炭酸ガスを溶解させて25℃以下、例えば冷蔵庫に保管しておけば炭酸ガスの逃散がほとんど起こらない炭酸経皮吸収用組成物が得られる。使用時にこのゲルを30℃以上に加熱することでゾル化して人体の局部等に塗布して使用することが出来る。このように昇温と共にゲルーゾル転移を示す水溶性高分子は多く知られている。高温溶解性を示す水溶性高分子、でんぷん、寒天、アガロース、グアーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、カラギーナン、ペクチン、マンナン、デキストラン等の天然高分子、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、などの半合成高分子、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸やその塩、ポリアクリルアミドやその部分加水分解物、ポリエチレンオキシドなどの合成高分子が例示されるが、転移温度は水溶液中の高分子の重合度や濃度によって変化する。一般に重合度が高く濃度が高いと相転移温度は高くなる。 【0017】本第2、第3発明に関する組成物は炭酸ガスを300ppm以上含むものであるためPHが5以下に低下する場合がある。その場合、水、遊離炭酸、水溶性高分子以外に第1発明で説明したようにトレハロースを加えることによりPHが低くても使用感に優れた炭酸経皮吸収用組成物が得られるので好ましい。さらに必要であれば第1発明で説明した保湿成分、角質軟化剤、薬剤等使用目的に応じて各種の添加剤を加えて用いることが出来る。本発明の炭酸経皮吸収用組成物は高濃度に炭酸ガスを含み、且つ後の実施例で示すごとく人体の局部に貼付した場合、30分後でも皮膚の赤化現象を示し血行促進が認められるものであり、炭酸ガスの空気中の逃散速度が遅く血行促進が必要な患部に貼付してその治癒を図ることが出来る。 【0018】次に本発明の第4について説明する。粘度が低くて人体に塗布した場合流動して流れてしまうような組成物や逆に室温でゲル化している組成物はそのままでは人体の局部に塗布するのが困難である。このような場合はシート状の支持体に組成物をゾル状態で含浸させたり、コーティングして組成物を担持したシート状物を人体の局部に貼って使用することが出来る。支持体としては繊維からなる柔軟性のある編地、織物、不織布、フェルト状物、高分子からなるフイルム等を用いることが出来る。また、人体の局部に貼った後に炭酸ガスの逃散を防いだり、組成物が外部に漏れ出すのを防ぐために、組成物の含浸層として機能する支持体と高分子フイルムなどガスバリヤー機能を有する支持体を複合した複合支持体を用いることも出来る。シート状支持体の厚みは5mm以下が取り扱い性から好ましい。 【0019】最後に本発明の炭酸経皮吸収用組成物の製造方法に関する第6、第7発明について説明する。従来技術の製造法では耐圧容器内に化粧水やローションと言った化粧料の原液を入れてその容器内を炭酸ガスで加圧して炭酸ガスを含む化粧料を製造していた。この方法は一見製造法としては簡便に思われるが、加圧注入する炭酸ガスを容器内の水やアルコールに溶解させて所定量の炭酸ガスを溶解した化粧料とするものであるから、高濃度の炭酸ガスを溶解させるためには炭酸ガスの圧力を高くする必要がある。そのため容器は十分な耐圧構造にする必要があった。また、炭酸ガスの溶解はガスと接触する液体の表面からしか起こらないため高濃度の炭酸ガスを溶解させるには長時間が必要である。時間の問題は炭酸ガスを加圧注入し密閉して放置すれば徐々に溶解が進行するので、製品の保管中に行なうことが可能と思われるが、そのためには容器内に炭酸ガス気体の占める空間を十分確保しておく必要がある。従って容器に占める化粧料の量は必然的に少なくなってしまう。 【0020】本発明者らはこのような欠点を無くすために、組成物への炭酸ガスの溶解工程と得られた炭酸ガス含有組成物の容器への充填を別工程とした炭酸経皮吸収用組成物の製造方法を発明した。組成物への炭酸ガスの溶解工程は炭酸ガスを含まない組成物原料水溶液を調整してその水溶液を炭酸ガスと接触させることが一工程で済むので好ましい。この場合、予め原料水溶液を脱気しておくことが好ましい。また、炭酸ガスの水等の液体への溶解度は低温ほど大きいので30℃以下、好ましくは25℃以下で溶解させるのが好ましい。さらに炭酸ガスと原料水溶液の接触面積を大きくした装置を用いるのが好ましい。原料水溶液の粘度が低い場合は膜式炭酸ガス溶解器を用いて短時間で高濃度の炭酸ガスを溶解させることが出来ることを見出した。このような膜式炭酸ガス溶解器は例えば特許2810694号公報や特開平7−779号公報に開示されている中空糸膜を用いたものが気体と液体の接触面積が大きくて効率的で好ましい。膜式炭酸ガス溶解器を用いた場合、その前段又は後段に精密ろ過装置を連続して設けることにより、細菌や異物のろ過を行って無菌状態の炭酸経皮吸収用組成物が容易に得られる。 【0021】一方、水溶性高分子を含んだ比較的に粘度の大きい原料組成物の場合は水溶液を攪拌装置の具備したオートクレーブ等の加圧容器にいれて攪拌しながら脱気後、炭酸ガスを加圧して溶解させることが出来る。炭酸ガスの供給は炭酸ガスボンベを用いるのが簡単で好ましいが、固体炭酸(ドライアイス)をオートクレーブに水溶液と共に入れて密閉することも出来る。また、連続して高粘度の水溶液に炭酸ガスを溶解させるための装置としては、濡れ壁装置やスタティックミキサー内で炭酸ガスを導入し水溶液と接触ないしは混合しながら溶解させて取り出す方法なども好ましい方法である。炭酸ガスの圧力は0.1−0.5MPaの範囲が好ましい。このようにして300ppm以上の炭酸ガスを溶解した組成物は目的に応じて各種容器に密閉して収納して保管される。収納容器は容器の壁を通して炭酸ガスの逃散が起こりにくいものが好ましく、プラスチック製であればポリエチレンテレフタレート(PET)や塩化ビニリデン、アクリルニトリル共重合体などのガス透過性の低い材料が好ましい。またアルミ等の金属とのラミネート包装材料や、粘度が低ければ金属製のスプレー容器も好ましい容器である。 【0022】熱ゲル化特性を示す水溶性高分子を組成物に含む場合、そのゲル化温度以上で高分子を水もしくはトレハロースや低分子塩を含む水溶液に分散させることが好ましい。ゲル化温度以下では高分子の溶解速度が速く水溶液の粘度が上昇し数%の濃度でも高分子を均一に溶解させることが困難である。一方、ゲル化温度以上で分散させた場合、高分子の溶解は起こらないため分散液の粘度は低く均一な分散液を得ることが出来る。この分散液をゲル化温度以下の温度に攪拌しながら冷却すると均一な高分子水溶液を得ることが出来る。炭酸ガスの溶解度は低温ほど大きいためこの均一溶液を冷却状態で炭酸ガス溶解装置に充填して炭酸ガスを溶解することが出来るが、好ましくは粘度の低い均一な分散液を冷却しながら炭酸ガスを溶解させることが好ましい。冷却温度は30℃以下、好ましくは25℃以下、さらに好ましくは20℃以下である。 【0023】このようにして調整した組成物中の炭酸ガス濃度は幾つかの方法で求めることが出来る。二酸化炭素電極法や標準試薬による化学滴定法は水道水や粘度の低い液体の場合に有効であるが、高粘度の組成物では用いることは出来ない。水溶性高分子を含む高粘度の組成物の場合、本発明では炭酸ガス溶解工程で組成物に吸収された炭酸ガスの質量及び該組成物の血行促進作用からその濃度を定性的に判断した。 【0024】本発明の炭酸経皮吸収用組成物は血行促進作用による顔の肌の健康、美容のために用いられる基礎化粧水として、具体的には肌に潤いをもたらす、しみやそばかすの改善、にきびの改善、日焼けの改善、美白効果、シワの改善などが挙げられる。また、炭酸ガスの血行促進作用から頭皮に用いる事による育毛剤、体の踵や肘等の角質層が発達しやすい部位に於ける角質柔軟剤としても用いることが出来る。更に、皮膚の乾燥が起因すると考えられるアトピー性皮膚炎に対しても治癒が期待される。また、高粘度の炭酸経皮吸収用組成物はエステ用品として上記作用効果を示すほか、血行不良に基づく患部、例えば寝たきり患者の床ずれ患部等に塗布あるいは貼付することにより、患部の血行が促進され治癒が期待される。以下に実施例、参考例及び比較例で本発明をさらに説明するが本発明の技術範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。 【0025】参考例1水道水を用いて中空糸膜式炭酸ガス溶解器で異なる濃度の遊離炭酸を含む炭酸水を調整した。炭酸ガスの濃度は水道水の流量と炭酸ガス溶解器に供給する炭酸ガスの流量を変える事によって行った。炭酸水中の遊離炭酸の濃度は二酸化炭素電極(ORION RESEARCH 社製)で測定した。この炭酸水の炭酸ガス濃度とPHの関係を図1に示した。 【0026】実施例1イオン交換水(DI水)を用いて参考例1と同様して1000ppmの遊離炭酸を含む炭酸水を調整した。この炭酸水にトレハロースを表1に示す量を溶解して化粧水を作製した。この化粧水のPHは4.6であった。この化粧水及び比較のためにトレハロースを含まない炭酸水のみを用いて乾燥肌を訴える女子被験者20名(年齢:23−53歳)に、化粧水を毎日朝と夜の2回顔に付与させ20日間の試用テストを行った。評価項目として顔がヒリヒリする等の「皮膚に対する刺激性」を訴えた人数、「皮膚の潤い」、「美白」について使用前に比べて改善効果を認めた人の人数を調べた。その結果を表1に纏めた。この結果より本発明のトレハロースと炭酸ガスを含む化粧水はPHが4.6と低いにも拘らず刺激性が少なく、且つ皮膚の潤いや美白効果を示すことが解った。 【0027】比較例1実施例1と同様に1000ppmの遊離炭酸を含むDI水に表2で示す保湿剤を2wt%添加した化粧水を作製した。但し、ヒアルロン酸ナトリウム液は増粘効果が大きいため添加量を1%水溶液で3wt%添加した。化粧水のPHはいずれも4.6であった。各化粧水について実施例1と同じ女性被験者20名に同様に顔に付与させて、1週間の試用テストを評価項目として「皮膚に対する刺激性」についてのみ行った。その結果を表2に纏めて示した。 【0028】実施例2参考例1と同様にしてDI水に濃度の異なる炭酸ガスを溶解した炭酸水を調整した。夫々の炭酸水にトレハロースを2wt%になるように溶解して炭酸経皮吸収用組成物を得た。この組成物を縦3cm、横1.5cm、厚み3mmの脱脂綿シートに十分しみ込ませて腕の内側の白い皮膚に5分間貼付して皮膚の状態を観察した。結果を表3に纏めて示した。 【0029】実施例3実施例1と同様にして1000ppmの遊離炭酸を含む炭酸水を調整し、これに下記化合物を添加して化粧水を調整した。 グリセリン 2wt%トレハロース 0.5wt%ヒアルロン酸ナトリウム 0.03wt%クエン酸 0.05wt%本化粧水をオイリー性肌を有する女性被験者(年齢20−35才)10名に毎日朝晩の2回顔に塗布させて肌の改良状況を観察した。その結果、2週間後からにきび等の吹き出物の改善を認めた被験者は8名存在した。 【0030】実施例4実施例1と同様にして1000ppmの遊離炭酸を含む炭酸水を調整し、これに下記化合物を添加して化粧水を調整した。 グリセリン 5wt%トレハロース 0.5wt%ヒアルロン酸ナトリウム 0.03wt%クエン酸 0.05wt%コウジ酸 0.5wt%本化粧品を顔にくすみを訴える女性被験者(年齢30−50才)10名に毎日朝晩顔に塗布させてくすみの改善効果を調べた。その結果、2週間後からくすみの改善を認めた被験者は7名存在した。 【0031】実施例5下記の組成物を含むDI水1Kgを調整して化粧水原水とした。 トレハロース 1wt%グリセリン 2.5wt%L−セリン 1wt%にがり液(30%溶液) 3wt%この化粧水原水を精密ろ過器と参考例1の炭酸ガス溶解器が接続された装置に通して異物のろ過と炭酸ガスの溶解を同時に行った。得られた化粧水には1000ppmの炭酸ガスが溶解しており(供給炭酸ガス量から計算)、PHは4.8であった。この化粧水について実施例2と同様にして皮膚の赤化テストを行ったところ皮膚は赤化した。また、比較例1と同様にして女性被験者に皮膚の刺激性をテストしたところ刺激感を訴えた女性は20名中3名であった。 【0032】実施例6下記の組成を有する炭酸経皮吸収用組成物を実施例5と同じ方法で調整した。 トレハロース 2wt%グリセリン 2.5wt%尿素 5wt%遊離炭酸 1500ppmPH 4.5足の踵部が乾燥してひび割れの激しい被験者(男性、59歳)にこの組成物を毎朝右足踵部に塗布させ、夜の入浴後に踵部のひび割れの改善状態を観察させた。約1週間でひび割れの改善が観察された。 【0033】実施例7DI水1Kgに3wt%になるように硫酸ナトリウムを溶解した。この水溶液を50−60℃に加熱してメチルセルロース(2wt%水溶液の粘度のカタログ値は1500mPa・s)を分散させた。分散溶液を30℃まで冷却して(この状態ではポリマーの溶解は起こらず分散状態である)内容積が1.5Lの攪拌機が装備したオートクレーブに充填して密閉した。この状態で攪拌しながら30分間真空ポンプで脱気した後、オートクレーブを15℃に冷却した。真空ラインを炭酸ガス供給ラインに切り替えて炭酸ガスボンベより0.2MPaの炭酸ガスをオートクレーブに供給した。時間の経過と共に炭酸ガスの溶解が起こりオートクレーブの圧力は低下するので、適宜炭酸ガスを供給して圧力を0.2MPaに戻した。図2はオートクレーブのガス空間容積と圧力変化から求めた水溶液に吸収された炭酸ガス質量と時間の関係である。30分間で4g以上の炭酸ガスが溶解した様子がわかる。4時間炭酸ガスの溶解を行いオートクレーブを開封して水溶液をPETボトルに収納した。水溶液はオートクレーブの開封と同時にかなり発泡し、ポリマーの溶解はまだ完全ではなく半透明状態であった。PETボトルを1夜冷蔵庫に保管するとポリマーの溶解が進行し透明な溶液となった。この溶液の一部を試験管に取り恒温水槽中で昇温しながら増粘挙動を調べたところ30℃近辺から急激な増粘を認めたのでゾル−ゲル転移温度を30℃とした。 【0034】実施例8実施例7で調整した炭酸経皮吸収用組成物をシャーレ(開放面積:56.7cm2)に40ml広げ室温(約18℃)で空気中に放置してPHの経持変化を追跡した。比較のために同じ条件で炭酸水、ブランクテストとして水道水についても行った。結果を表4に示した。本発明の炭酸経皮吸収用組成物の方が炭酸水に比べてPHの変化速度が小さく炭酸ガスの逃散速度が遅いことが解る。 【0035】実施例9実施例7と同様にして炭酸経皮吸収用組成物を調整した。但し、本実験では硫酸ナトリウムに加えて2wt%のトレハロースを添加した水溶液に実施例7と同様にしてメチルセルロースを分散して炭酸ガスを溶解させた。炭酸ガスの溶解曲線は実施例7とほぼ同様であった。また、この溶液のゾルーゲル転移温度は30℃であり、PHは4.5であった。冷蔵庫に保管したこの炭酸経皮吸収用組成物を30℃の雰囲気に半日放置することで増粘させて、実施例2と同様にして皮膚の赤化テストを行った。比較のために炭酸水についても行った。この実験では皮膚への貼付時間を5、10,20,30分と変えて時間経過を観察した。結果を表5に示した。この結果より、炭酸水の場合時間が経過すると炭酸ガスの逃散により赤化が消滅するが、本発明の炭酸経皮吸収用組成物の場合30分経過しても赤化現象が見られることが解った。 【0036】実施例10硫酸ナトリウムの代わりに炭酸水素ナトリウムの5wt%水溶液を調整して、実施例7と同様にしてメチルセルロースの分散液を調整し、同じく炭酸ガスを溶解させた。炭酸ガスの溶解曲線を図2に示した。図2からこの水溶液には炭酸ガスは30分間で5g以上の溶解を示した。4時間の溶解後、溶液は半透明状態でオートクレーブの開放に伴ってかなりの発泡が見られた。実施例7と同様にPETボトルに水溶液を入れて冷蔵庫に1夜保管すると透明な溶液が得られた。この溶液のPHは7.3であり、ゾル−ゲル転移温度は32℃であった。冷蔵庫に保管していた溶液を35℃の雰囲気に半日放置して増粘させた後、赤化テストを実施例9と同様に行なったところ5−30分の貼付時間で皮膚の赤化が認められた。 【0037】実施例11料理用市販ゼラチンを用いて2wt%の水溶液1Kgを調整した。この水溶液をオートクレーブにいれて30℃で攪拌しながら30分減圧状態に真空ポンプで保った。次いで0.2MPaの炭酸ガスをボンベから導入して1時間加圧した。その間、炭酸ガスがゼラチン溶液に吸収されるためオートクレーブの圧力が低下するたびに圧力を0.2MPaに戻した。オートクレーブの空間と炭酸ガスの減圧度から計算したゼラチン水溶液に吸収された炭酸ガスの量は全部で800ppmであった。また、このゼラチン水溶液のPHは5.5であった。このゼラチン水溶液は室温(約20℃)で放置するとゲル化を起こした。このゼラチン水溶液を30℃の温水に浸漬してゾル状態とし実施例2と同様にして皮膚の赤化テストを行った結果、皮膚に貼付した時間を5分、10分、20分と変化させたが、いずれの時間も赤化が認められた。 【0038】実施例12実施例11で調整した炭酸ガスを溶解したゼラチン水溶液を室温(約20℃)でゲル化させそのゲルをシュパチュラで掬い取りシャーレ上に広げて空気中に放置して炭酸ガスの逃散速度をPH変化で調べた。比較のために炭酸水についても同じ条件でPHの変化を調べた。結果を表6に示したがゲルの場合、炭酸水に比べてPHの変化が小さく炭酸ガスの逃散速度が小さいことが解った。 【0039】実施例13実施例11と同様にしてゼラチン水溶液に炭酸ガスを吸収させた。但し、この実験では0.2MPaの炭酸ガスを2時間加圧供給し、1500ppmの炭酸ガスを吸収させたがその時のPHは4.8であった。この炭酸ガスを溶解したゼラチン水溶液をゾル状態で100mm角、厚み3mmのフェルト状シートの上にコーティングした。ゾル溶液はフェルトの内部に浸透したが表面には2mm程度の溶液が残る状態にして直ちに2℃に保たれた冷蔵庫の中でゲル化させた。ゲル化後のシート状物は取り扱いが容易で鋏で任意の大きさに切断できるものであった。鋏みで幅15mm、長さ30mmに切断し腕の内側の皮膚に貼付して皮膚の赤化度合いを観察した。貼付時間を5、10、20分と変更したが5分では赤化は見られず、10分後から観察された。 【0040】 【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【0041】 【発明の効果】本発明の炭酸経皮吸収用組成物からなる化粧水は高濃度の炭酸ガスを含むためPHが低下するがトレハロースの作用で刺激性が緩和され、炭酸ガスの血行促進作用に基づいて顔の皮膚の健康促進、美容(潤いのある肌、美白、にきび等吹き出物の解消等)、ひび割れの改善などを達成することが出来た。また、水溶性高分子の相転移現象を利用することにより高濃度の炭酸ガスを含み且つ使用時に空気中への炭酸ガスの逃散の少ない炭酸経皮吸収用組成物が得られるため人体の患部に塗布ないしは貼付して血行促進による治癒が期待される。
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| 【出願人】 |
【識別番号】300052051 【氏名又は名称】株式会社ヒロマイト
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| 【出願日】 |
平成13年8月20日(2001.8.20) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2003−34612(P2003−34612A) |
| 【公開日】 |
平成15年2月7日(2003.2.7) |
| 【出願番号】 |
特願2001−248842(P2001−248842) |
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