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【発明の名称】 化粧料
【発明者】 【氏名】富田 弥生
【住所又は居所】大阪府大阪市旭区赤川1丁目6番28号 大東化成工業株式会社内

【要約】 【課題】界面活性剤を用いることなく、水と油とを安定に保持して皮膚に適当な潤いを与えることができ、塗布した際の透明性に優れ、温度変化による粘度変化が少なく、皮膚刺激性の少ない化粧料を提供する。

【解決手段】化粧料中に、ケイフッ化ナトリウムおよび/またはフッ化ナトリウムを10〜35重量%とタルクの混合粉末を700〜900℃で加熱処理した、式、αNaF・β(aMgF・bMgO)・γSiO(式中、α、β、γ、aおよびbは各々係数を表し、αは0.1〜2、βは2〜3.5、γは3〜4、a、bは0〜1とし、a+b=1とする)で示される合成膨潤性フッ素雲母を配合するとともに、水を膨潤させたその合成膨潤性フッ素雲母のカードハウス中に、油を攪拌によって細粒化し保持させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ケイフッ化ナトリウムおよび/またはフッ化ナトリウムを10〜35重量%とタルクの混合粉末を700〜900℃で加熱処理した、式、αNaF・β(aMgF・bMgO)・γSiO(式中、α、β、γ、aおよびbは各々係数を表し、αは0.1〜2、βは2〜3.5、γは3〜4、a、bは0〜1とし、a+b=1とする)で示される合成膨潤性フッ素雲母を配合してなることを特徴とする化粧料。
【請求項2】 前記合成膨潤性フッ素雲母の含有量が0.01〜30重量%である請求項1に記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、界面活性剤を用いることなく、水と油とを安定に含有する化粧料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、皮膚に適当な潤いを与えるために、水と油とを安定に含有する化粧料が求められている。そこで、このような化粧料を得るために、水−油の界面張力を低下させるとともに、吸着面を形成し分散粒子の凝集および合一を防止する界面活性剤が積極的に用いられている。
【0003】一方、近年は安全性や皮膚刺激性、環境問題への配慮から、化粧料中における界面活性剤の配合量を減少させる傾向にある。このため、アルキル変性ポリマーを界面活性剤の代わりに用いて所望の化粧料を得るという技術や、水を膨潤させた親水性高分子の網目構造中に油を撹拌によって細粒化し保持させる乳化技術によって所望の化粧料を得るという技術がそれぞれ提案されている。その他、膨潤性フッ素雲母を配合した化粧料も提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従来技術において、界面活性剤を用いることにより得られた化粧料では、前述した皮膚刺激性等の問題点があることに加えて、高温下において粘度が減少し分離が起こるという問題点がある。また、より安定した化粧料を得るために、複数の界面活性剤を組み合わせ、その検討を繰り返し行わなければならないという問題点もある。
【0005】一方、アルキル変性ポリマーを界面活性剤の代わりに用いる技術により得られる化粧料や、水を膨潤させた親水性高分子の網目構造中に油を撹拌によって細粒化し保持させる乳化技術により得られる化粧料においても、使用感が悪かったり、高温下において水や油が解離したりするという問題点がある。
【0006】他方、膨潤性フッ素雲母を配合した化粧料では、その膨潤性フッ素雲母が、一般に、原料を1300℃以上という高温で長時間溶融させた後、結晶化させるという溶融法により合成されるため、粉末化のための粉砕が必要であり、そのためコストが非常に高くなるという問題点があることに加えて、その溶融法では均一な形状となるようにコントロールすることができないため、この膨潤性フッ素雲母を配合した化粧料を塗布した際、透明性の点において十分満足のいくものではないという問題点がある。
【0007】本発明は、このような問題点を解消するためになされたもので、界面活性剤を用いることなく、水と油とを安定に保持して皮膚に適当な潤いを与えることができ、塗布した際の透明性に優れ、温度変化による粘度変化が少なく、皮膚刺激性の少ない化粧料を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用・効果】前記目的を達成するために、第1発明による化粧料は、ケイフッ化ナトリウムおよび/またはフッ化ナトリウムを10〜35重量%とタルクの混合粉末を700〜900℃で加熱処理した、式、αNaF・β(aMgF・bMgO)・γSiO(式中、α、β、γ、aおよびbは各々係数を表し、αは0.1〜2、βは2〜3.5、γは3〜4、a、bは0〜1とし、a+b=1とする)で示される合成膨潤性フッ素雲母を配合してなることを特徴とするものである。
【0009】本発明によれば、水を膨潤させた前記合成膨潤性フッ素雲母のカードハウス中に、油を攪拌によって細粒化し保持させることで、化粧料中には水と油とが安定に含有されることとなり、その結果、界面活性剤を用いることなく、皮膚に適当な潤いを与える化粧料を得ることができる。また、前記合成膨潤性フッ素雲母の層状構造による効果により、使用感触が良くなるという効果を奏する。さらに、前記合成膨潤性フッ素雲母は非粘土質の不純物をほとんど含まないことから、長期間にわたり、くすみのない、安定した品質を保持することが可能な化粧料とすることができる。
【0010】本発明において、前記合成膨潤性フッ素雲母の含有量が0.01〜30重量%であるのが好ましい(第2発明)。このようにすれば、適度な粘度と均一性とを備えた化粧料を得ることができるという効果を奏する。
【0011】
【発明の実施の形態】次に、本発明による化粧料の具体的な実施の形態について説明する。
【0012】本発明において用いられる合成膨潤性フッ素雲母、すなわちケイフッ化ナトリウムおよび/またはフッ化ナトリウムを10〜35重量%とタルクの混合粉末を700〜900℃で加熱処理した、式、αNaF・β(aMgF・bMgO)・γSiO(式中、α、β、γ、aおよびbは各々係数を表し、αは0.1〜2、βは2〜3.5、γは3〜4、a、bは0〜1とし、a+b=1とする)で示される合成膨潤性フッ素雲母は、仏国、LCW社からSUBMICA Eの名称で市販されている。
【0013】本発明の化粧料に配合される前記合成膨潤性フッ素雲母の配合量は、化粧料全体に対して0.01重量%以上30.00重量%以下であるのが好ましく、化粧料全体に対して0.01重量%未満の配合量では、系の中で水と油とを安定に保つ効果が得られず、また30.00重量%を超えて配合しても、配合量の増加に見合った効果が期待できないばかりか、粘度が高くなりすぎて均一な化粧料を得ることができない。
【0014】このように、前記合成膨潤性フッ素雲母を化粧料に配合することにより、界面活性剤を用いることなく、水と油とを安定に保持し、塗布した際の透明性に優れ、温度変化による粘度変化が少なく、皮膚刺激性の少ない化粧料を得ることができる。
【0015】さらに、本発明の化粧料には、前述した必須成分に加え、必要に応じて通常化粧料中に配合される他の成分を本発明の所期の効果を損なわない限りにおいて配合することができる。例えば、炭化水素類、油脂、ロウ、高級アルコール、高級脂肪酸、エステル油、極性オイル、シリコーン等の油分、有機・無機粉体、顔料、保湿剤、水溶性高分子、紫外線吸収剤、低級アルコール、酸化防止剤、防腐剤、中和剤、香料、精製水などを配合することができる。
【0016】また、本発明の化粧料がとり得る剤型は特に限定されるものではなく、例えば水−油2層系、水−油−粉末3層系等、化粧料全般にわたって本発明を適用することが可能である。また、その用途も化粧水、乳液、クリーム等の多くの化粧品にわたるものである。
【0017】
【実施例】次に、本発明による化粧料の具体的な実施例について説明する。なお、本発明は、以下に述べる実施例に限定されるものではない。
【0018】まず、合成膨潤性フッ素雲母の製造実施例について以下に説明する。
【0019】(製造実施例1)ケイフッ化ナトリウム20重量%と粉砕したタルク80重量%を混合して磁製ルツボに入れ、電気炉で900℃、1時間加熱し、合成膨潤性フッ素雲母(合成雲母1)を得た。
【0020】(製造実施例2)無水ケイ酸35重量部、酸化マグネシウム30重量部、酸化アルミニウム10重量部およびケイフッ化ナトリウム20重量部を混合し、約1500℃で溶融した後、1300℃で結晶化したものを粉砕し、溶融法による合成膨潤性フッ素雲母(合成雲母2)を得た。
【0021】表1には、実施例1および比較例1〜4における各種成分の配合量がそれぞれ示されている。
【0022】
【表1】

【0023】(実施例1、比較例1〜4)実施例1および比較例1〜4においては、いずれの例も油相部を水相部に添加しながらホモミキサーで撹拌する製法で、表1に示される処方にてクリームを調製した。また、これら各例ごとに、使用感、「温度安定性」、および「温度安定性試験前後の粘度」の各項目についてそれぞれ以下に述べる評価方法および測定方法により評価、測定し、それらの結果を表1に併せて示した。
【0024】(実施例1および比較例1〜4の化粧料についての各種特性の評価方法)
(1)使用感官能試験製品塗布時の感触を専門検査員10名によって調べた。
(評価基準)
◎:なじみが悪いと感じた人が1人以下○:なじみが悪いと感じた人が3人以下△:なじみが悪いと感じた人が5人以下×:なじみが悪いと感じた人が10人以下(2)温度安定性40℃で3ヶ月間保存後に肉眼観察した。
(評価基準)
◎:完全に安定である○:ほぼ完全に安定である△:一部に水または油の解離がみられる×:完全に水と油が解離している(3)粘度測定温度安定性試験前後の粘度変化をB型粘度計で測定した。なお、測定温度は25℃とした。
【0025】表1から明らかなように、溶融法により調製された合成膨潤性フッ素雲母(合成雲母2)を配合した比較例1は、実施例1とほぼ同程度の経時安定性を持つが、使用感には問題があり、また、その溶融法により調製された合成膨潤性フッ素雲母(合成雲母2)は形状が均一でないため、化粧料を塗布した際、透明性の点でも十分満足のいくものではなかった。また、合成膨潤性フッ素雲母の代わりにタルクのみを配合した比較例2は水と油の解離が見られた。また通常用いられる界面活性剤を配合した比較例3は、実施例1とほぼ同程度の使用感であるが、温度安定性に問題があり、また温度安定性試験後の粘度に大きな変化が見られた。また、アルキル変性カルボキシビニルポリマーを配合した比較例4も、使用感、温度安定性において不十分なものであった。
【0026】続いて、実施例2乃至実施例3について説明する。
【0027】
(実施例2)乳液(1)精製水 77.0(2)1.3−ブチレングリコール 5.0(3)1%セルロースガム分散液 10.0(4)マカダミアナッツ油 3.0(5)流動パラフィン 2.0(6)合成雲母1 3.0(7)酸化防止剤 適量(8)防腐剤 適量 100.0この実施例2においては、油相部を水相部に添加しながらホモミキサーで撹拌する製法により、以上の配合にて乳液を調製した。ここで、(6)合成雲母1は、前記製造実施例1により得られた合成膨潤性フッ素雲母である。このようにして得られた乳液は安定で、かつ使用感、温度安定性に優れていた。
【0028】
(実施例3)肌色乳液(1)精製水 51.3(2)グリセリン 5.0(3)1%セルロースガム分散液 10.0(4)マカダミアナッツ油 2.0(5)メチルフェニルポリシロキサン 20.0(6)合成雲母1 5.0(7)酸化防止剤 適量(8)防腐剤 適量(9)酸化チタン 5.8(10)ベンガラ 0.2(11)黄酸化鉄 0.6(12)黒酸化鉄 0.1 100.0実施例3においては、(9)〜(12)を油相部に均一に分散させ、油相部を水相部に添加しながらホモミキサーで攪拌する製法により、以上の配合にて肌色乳液を調製した。ここで、(6)合成雲母1は、前記製造実施例1により得られた合成膨潤性フッ素雲母である。このようにして得られた肌色乳液は安定で、かつ使用感、温度安定性に優れていた。
【0029】
(実施例4)マスカラ(1)精製水 43.0(2)1.3−ブチレングリコール 3.0(3)イソノナン酸イソトリデシル 9.0(4)合成雲母1 10.0(5)酸化防止剤 適量(6)防腐剤 適量(7)黒酸化鉄 15.0(8)アクリル酸アルキル共重合体エマルション 20.0 100.0実施例4においては、(7)を油相部に均一に分散させ、油相部を水相部に添加しながらホモミキサーで攪拌し、最後に(8)を添加し均一に攪拌する製法により、以上の配合にてマスカラを調製した。ここで、(4)合成雲母1は、前記製造実施例1により得られた合成膨潤性フッ素雲母である。このようにして得られたマスカラは安定で、かつ使用感、温度安定性に優れていた。
【0030】以上述べたように、特定の原料および製法により製造された合成膨潤性フッ素雲母、すなわちケイフッ化ナトリウムおよび/またはフッ化ナトリウムを10〜35重量%とタルクの混合粉末を700〜900℃で加熱処理した、式、αNaF・β(aMgF・bMgO)・γSiO(式中、α、β、γ、aおよびbは各々係数を表し、αは0.1〜2、βは2〜3.5、γは3〜4、a、bは0〜1とし、a+b=1とする)で示される合成膨潤性フッ素雲母を配合することにより、界面活性剤を用いることなく、水と油とを安定に保持し、使用感、温度安定性に優れた化粧料を得ることができた。また、界面活性剤を用いないため、得られた化粧料は、皮膚刺激性が少なく、安全性の高いものであった。
【出願人】 【識別番号】391015373
【氏名又は名称】大東化成工業株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市旭区赤川1丁目6番28号
【出願日】 平成13年7月18日(2001.7.18)
【代理人】 【識別番号】100097755
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 勉
【公開番号】 特開2003−34609(P2003−34609A)
【公開日】 平成15年2月7日(2003.2.7)
【出願番号】 特願2001−218481(P2001−218481)