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【発明の名称】 皮膚外用剤
【発明者】 【氏名】河合 江理子
【住所又は居所】神奈川県横浜市都筑区早渕2丁目2番1号 株式会社資生堂リサーチセンター(新横浜)内

【氏名】吉田 雄三
【住所又は居所】神奈川県横浜市都筑区早渕2丁目2番1号 株式会社資生堂リサーチセンター(新横浜)内

【氏名】勝田 雄治
【住所又は居所】神奈川県横浜市都筑区早渕2丁目2番1号 株式会社資生堂リサーチセンター(新横浜)内

【要約】 【課題】線溶系プロテアーゼの活性変化を伴う種々の皮膚疾患、特に乾燥・洗浄剤等の刺激によって生じる肌荒れ・ニキビなど表皮の増殖性異常を認める皮膚状態に対して、より短期間のうちに安全且つ効果的に改善・防止することができる皮膚外用剤を提供する。

【解決手段】作用機序の異なる線溶系プロテアーゼ阻害剤を2種以上配合することを特徴とする皮膚外用剤。
【特許請求の範囲】
【請求項1】作用機序の異なる線溶系プロテアーゼ阻害剤を2種以上配合することを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項2】作用機序の異なる線溶系プロテアーゼ阻害剤が、プラスミン阻害剤と、ウロキナーゼ阻害剤及び/またはプロウロキナーゼ活性化阻害剤であることを特徴とする請求項1記載の皮膚外用剤。
【請求項3】作用機序の異なる線溶系プロテアーゼ阻害剤が、プラスミン阻害剤、ウロキナーゼ阻害剤、及びプロウロキナーゼ活性化阻害剤であることを特徴とする請求項1記載の皮膚外用剤。
【請求項4】プラスミン阻害剤がアプロチニン、トラネキサム酸、ε-アミノカプロン酸、及びこれらの誘導体、またはオトギリソウ、ノバラ、カリン、ボタン、イチヤクソウ、キイチゴ、シモツケソウ、ジュウヤクの抽出物からなる群より選択される1種または2種以上であることを特徴とする請求項2または3記載の皮膚外用剤。
【請求項5】ウロキナーゼ阻害剤がアミロライド、酸化亜鉛及び酸化亜鉛と他の無機または有機化合物との複合体からなる群より選択される1種または2種以上であることを特徴とする請求項2〜4記載の皮膚外用剤。
【請求項6】プロウロキナーゼ活性化阻害剤が下記一般式化1で表されるトラネキサム酸のアミド体及びその塩からなる群より選択される1種または2種以上であることを特徴とする請求項2〜5記載の皮膚外用剤。
【化1】

[式中、R及びRは水素原子、炭素数1〜18の直鎖状または分岐状アルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、ベンジル基または下記一般式化2を示し、R及びRはそれぞれ同一でも異なってもよい。]【化2】

[式中、Xは低級アルキル基、低級アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、またはハロゲン原子を示し、n=0〜3である。]
【請求項7】線溶系プロテアーゼ阻害剤の配合量が皮膚外用剤全量中0.001〜30質量%であり、プラスミン阻害剤、ウロキナーゼ阻害剤、プロウロキナーゼ活性化阻害剤の活性の比が1〜3:5〜8:1〜3であることを特徴とする請求項2〜6記載の皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は皮膚外用剤、特に線溶系プロテアーゼ阻害剤を配合した皮膚外用剤の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】皮膚の正常な角化過程においては表皮細胞内のタンパク分解酵素(プロテアーゼ)が重要な役割を果たしていると考えられているが、乾燥・洗浄剤等の刺激によって表皮細胞が異常増殖した皮膚では、本来ならば表皮基底層付近に局在しているプラスミノーゲンが表皮全層に活性なプラスミンとして散在していることが明らかにされてきた(北村ら:粧技誌;29(2),1995)。
【0003】プラスミンはその前駆体であるプラスミノーゲンがプラスミノーゲンアクチベーター(PA)によって活性化されたプロテアーゼであり、血液凝固系において血栓形成の抑制という重要な役割を果たしているが、過剰産生されると非特異的なタンパク分解作用により組織や細胞を破壊したり、毛細血管の拡張、血管浸透性の亢進、平滑筋の収縮、疼痛といった、炎症、アナフィラキシーショックの原因となり得る有害なペプチドを生じ、生体にとって悪影響を及ぼすことが知られている。
【0004】また、ひとたび皮膚のバリアー機能が破壊されると、表皮細胞の異常増殖や皮膚の外観に変化が生じる以前に、PAの1つであるウロキナーゼの活性が皮膚の上層で高まることも明らかにされている。ウロキナーゼは細胞増殖を促す作用を有しているため、過剰に増加することが表皮肥厚の原因の一つになっていると考えられる。
【0005】このような知見に基づき、線溶系プロテアーゼ阻害剤を種々の皮膚疾患に適用した例が、数多く報告されるようになってきた(特開平3-178913、特開平3-178914、特開平3-178915)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、線溶系プロテアーゼ阻害剤の中には、ジイソプロピルフルオロリン酸(DFP)のように生体内の必要なプロテアーゼ活性までも阻害することによって、人体に対して強い毒性を示すものもあり、非特異的な線溶系プロテアーゼ阻害剤の使用は副作用の発現が問題視されていた(Yamamotoら:AIDS Res.Newsl.;11,1997、Kennedy A.R.:Pharmacol.Ther.;78,1998)。
【0007】そこで、線溶系プロテアーゼを特異的に阻害する物質が種々の皮膚疾患に対して用いられてきた。これらは標的となる酵素に対してのみ作用することから安全性が高く、またこれらの皮膚疾患の予防効果については優れているものの、改善効果については必ずしも十分ではなく、より優れた薬効剤の開発が期待されていた。
【0008】本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、線溶系プロテアーゼの活性変化を伴う種々の皮膚疾患、特に乾燥・洗浄剤等の刺激によって生じる肌荒れ・ニキビなど表皮の増殖性異常を認める皮膚状態をより短期間のうちに安全且つ効果的に改善・防止する皮膚外用剤を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述のような現状に鑑み、本発明者が鋭意検討した結果、作用機序の異なる線溶系プロテアーゼ阻害剤を2種以上組み合わせて配合した皮膚外用剤は、いずれか1種、あるいは作用機序の同じ阻害剤を2種以上配合した場合に比べ、より有効であることを見出した。
【0010】本発明の主題はすなわち、作用機序の異なる線溶系プロテアーゼ阻害剤を2種以上配合することを特徴とする皮膚外用剤である。前記皮膚外用剤において、作用機序の異なる線溶系プロテアーゼ阻害剤が、プラスミン阻害剤(抗プラスミン剤)と、ウロキナーゼ阻害剤及び/またはプロウロキナーゼ活性化阻害剤から選ばれることが好適である。
【0011】前記皮膚外用剤において、作用機序の異なる線溶系プロテアーゼ阻害剤が、プラスミン阻害剤(抗プラスミン剤)、ウロキナーゼ阻害剤、及びプロウロキナーゼ活性化阻害剤から選ばれることがさらに好適である。
【0012】前記皮膚外用剤において、プラスミン阻害剤がアプロチニン、トラネキサム酸、ε-アミノカプロン酸、及びこれらの誘導体、またはオトギリソウ、ノバラ、カリン、ボタン、イチヤクソウ、キイチゴ、シモツケソウ、ジュウヤクの抽出物からなる群より選択される1種または2種以上であることが好適である。
【0013】前記皮膚外用剤において、ウロキナーゼ阻害剤がアミロライド、酸化亜鉛及び酸化亜鉛と他の無機または有機化合物との複合体からなる群より選択される1種または2種以上であることが好適である。
【0014】前記皮膚外用剤において、プロウロキナーゼ活性化阻害剤が下記一般式化3で表されるトラネキサム酸のアミド体及びその塩からなる群より選択される1種または2種以上であることが好適である。
【0015】
【化3】

[式中、R及びRは水素原子、炭素数1〜18の直鎖状または分岐状アルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、ベンジル基または下記一般式化4を示し、R及びRはそれぞれ同一でも異なってもよい。]【0016】
【化4】

[式中、Xは低級アルキル基、低級アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、またはハロゲン原子を示し、n=0〜3である。]
【0017】前記皮膚外用剤において、線溶系プロテアーゼ阻害剤の配合量が皮膚外用剤全量中0.001〜30質量%であり、プラスミン阻害剤、ウロキナーゼ阻害剤、プロウロキナーゼ活性化阻害剤の活性の比が1:3〜5:8〜1:3であることが好適である。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳述する。健常な表皮内には線溶系プロテアーゼとして、ウロキナーゼ前駆体であるプロウロキナーゼとプラスミン前駆体であるプラスミノーゲンが存在する。これらの活性化反応については、プロウロキナーゼが僅かながらプラスミノーゲン活性化能を有するため、一部のプラスミノーゲンがプロウロキナーゼによって活性化されてプラスミンが生じ、前記プラスミンがプロウロキナーゼを活性化しウロキナーゼを生じ、さらに多くのプラスミノーゲンがプラスミンに転換されるという反応経路が存在するものと考えられている。
【0019】線溶系プロテアーゼ阻害作用とは、プラスミンやウロキナーゼの活性を直接阻害したり、これらの前駆体が活性化される反応を阻害する作用を指す。皮膚疾患に対する改善・防止効果を向上するためには作用機序の異なる阻害剤、特にプラスミンとウロキナーゼを同時に阻害する薬剤を組み合わせて用いることが重要である。すなわち、本発明の皮膚外用剤にはプラスミン阻害剤と、ウロキナーゼ阻害剤及び/またはプロウロキナーゼ活性化阻害剤から選ばれる2種以上を用いることが好適である。
【0020】さらに、プラスミン阻害剤、ウロキナーゼ阻害剤、及びプロウロキナーゼ活性化阻害剤から選ばれる3種以上を用いることが特に好適である。
【0021】プラスミン阻害剤としては、アプロチニン、トラネキサム酸、ε-アミノカプロン酸及びこれらの誘導体の他、抗プラスミン作用を有するとされるオトギリソウ、ノバラ、カリン、ボタン、イチヤクソウ、キイチゴ、シモツケソウ、ジュウヤクなどの植物抽出物が挙げられる。ウロキナーゼ阻害剤としてはアミロライド、酸化亜鉛及び酸化亜鉛と他の無機または有機化合物との複合体などが挙げられる。プロウロキナーゼ活性化阻害剤としては、下記一般式化5で表されるトラネキサム酸のアミド体及びその塩などが挙げられる。
【0022】前記線溶系プロテアーゼ阻害剤の配合量は皮膚外用剤全量中0.001〜30質量%、特に0.01〜15質量%であることが好ましい。0.001 質量%未満では、本発明でいう効果が十分に発揮されず、30質量%を越えると使用性上好ましくない。プラスミン阻害剤、ウロキナーゼ阻害剤、プロウロキナーゼ活性化阻害剤の活性の比は1〜3:5〜8:1〜3であることが好ましい。
【0023】
【化5】

[式中、R及びRは水素原子、炭素数1〜18の直鎖状または分岐状アルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、ベンジル基または下記一般式化6を示し、R及びRはそれぞれ同一でも異なってもよい。]【0024】
【化6】

[式中、Xは低級アルキル基、低級アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、またはハロゲン原子を示し、n=0〜3である。]
【0025】本発明の皮膚外用剤は、患部において線溶系プロテアーゼの活性変化を伴う種々の皮膚疾患、特に乾燥・洗浄剤等の刺激によって生じる肌荒れやニキビなど表皮の増殖性異常を伴う皮膚状態に対して有利に適用される。
【0026】また、上記必須成分以外に、通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる成分、例えば、保湿剤、酸化防止剤、油性成分、紫外線吸収剤、乳化剤、界面活性剤、増粘剤、アルコール類、粉末成分、色材、水性成分、水、各種皮膚栄養剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0027】その他、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸等の金属封鎖剤、カフェイン、タンニン、ベラパミル、トラネキサム酸およびその誘導体、甘草抽出物、グラブリジン、火棘の果実の熱水抽出物、各種生薬、酢酸トコフェロール、グリチルリチン酸およびその誘導体またはその塩等の薬剤、ビタミンC、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、コウジ酸等の美白剤、グルコース、フルクトース、マンノース、ショ糖、トレハロース等の糖類なども適宜配合することができる。
【0028】本発明の皮膚外用剤の剤型は任意であり、溶液系、可溶化系、乳化系、粉末分散系、水- 油二層系、水- 油- 粉末三層系等、どのような剤型でも構わない。また、本発明の皮膚外用剤の用途も任意であり、ローション、乳液、クリーム、パック等のフェーシャル化粧料やファンデーション、口紅、アイシャドー等のメーキャップ化粧料やボディー化粧料、芳香化粧料、洗浄料、軟膏、浴用剤等に用いることができる。
【0029】
【実施例】以下に実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。尚、本発明はこれにより限定されるものではない。配合量は質量%である。
【0030】[1]肌荒れ改善・防止効果試験本発明の皮膚外用剤の外皮適用による肌荒れに対する改善・防止効果を、界面活性剤によって惹起される肌荒れを対象に評価した。方法は以下の通りである。健常人の上腕内側皮膚10箇所(直径1.5cm、両腕)について、3%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液で30分間処理した後、水で軽くすすぎ、水分を拭き取った。1時間後、表1の9種類の被験試料をそれぞれ上記箇所に1日1回50μLずつ、15日間開放塗布した。また、1箇所は被験試料無適用部位とした。塗布終了日から数えて、4日後、8日後、12日後、16日後に被験部位の肌荒れ状態を測定した。
【0031】(1)被験試料表1に示すように、プラスミン阻害剤としてトラネキサム酸、ウロキナーゼ阻害剤として酸化亜鉛、プロウロキナーゼ活性化阻害剤としてトラネキサム酸のメチルアミド塩酸塩を配合したローションと、トラネキサム酸、酸化亜鉛、トラネキサム酸メチルアミド塩酸塩のうちいずれか2種を配合したローション、トラネキサム酸、酸化亜鉛、トラネキサム酸メチルアミド塩酸塩のいずれか1種のみを配合したローション、及びいずれも配合していないローションを被験試料として用いた。
【0032】
【表1】 試験例 原料 (質量%) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 トラネキサム酸 0.3 1.6 1.0 1.0 2.0 − − − −酸化亜鉛 1.3 0.3 1.0 − − 2.0 − 1.0 −トラネキサム酸 0.4 0.1 − 1.0 − − 2.0 1.0 −メチルアミト゛塩酸塩1.3-フ゛チレンク゛リコール 5.0 5.0 5.0 5.0 5.0 5.0 5.0 5.0 5.0エタノール 7.0 7.0 7.0 7.0 7.0 7.0 7.0 7.0 7.0ホ゜リオキシエチレン(20モル)オレイルアルコール 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5精製水 残余 残余 残余 残余 残余 残余 残余 残余 残余 【0033】(2)キメの判定基準被験部位皮膚表面のレプリカをレプリカ剤を用いて採取し、実体顕微鏡(17倍)にて観察し、以下に示す判定基準にしたがってキメの状態に評点を与える。
評点1: 皮溝、皮丘の消失、広範囲の角層のめくれが認められる。評点2:皮溝、皮丘が不鮮明、角層のめくれが認められる。評点3: 皮溝、皮丘は認められるが、平坦。評点4: 皮溝、皮丘が鮮明。評点5: 皮溝、皮丘が鮮明で整っている。
【0034】(3)肌荒れ改善・防止効果の評価前記判定基準にしたがってキメの状態に評点を与え、被験試料適用部位の評点と被験試料無適用部位の評点との差を求めて、これをもとに肌荒れに対する改善・防止効果を評価する。
◎:評点の差が2以上の被験者の割合が80%以上。
○:評点の差が2以上の被験者の割合が50%以上80%未満。
△:評点の差が2以上の被験者の割合が30%以上50%未満。
×:評点の差が2以上の被験者の割合が30%未満。
【0035】(4)皮膚刺激性各試料を上腕内側(界面活性剤未処理部分)に50μLずつ15日間適用し、各試料に関する皮膚刺激性について以下のように評価した。
◎:適用期間中、肌に痒みまたはヒリヒリ感を認めた被験者の割合が0%○:適用期間中、肌に痒みまたはヒリヒリ感を認めた被験者の割合が5%未満△:適用期間中、肌に痒みまたはヒリヒリ感を認めた被験者の割合が10%未満×:適用期間中、肌に痒みまたはヒリヒリ感を認めた被験者の割合が10%以上結果を表2に示す。
【0036】
【表2】 試験例 1 2 3 4 5 6 7 8 9 4日後 ◎ ○ ○ ○ △ △ △ △ × 8日後 ◎ ◎ ○ ○ △ △ △ ○ ×12日後 ◎ ◎ ○ ◎ ○ ○ ○ ○ ×16日後 ◎ ◎ ◎ ◎ ○ ○ ○ ◎ × 皮膚刺激性 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 【0037】 表2から分かるように、トラネキサム酸、酸化亜鉛、トラネキサム酸メチルアミド塩酸塩の活性の比を1〜3:5〜8:1〜3の比で配合した試験例1は最も短期間のうちにカミソリ負けによる肌荒れに対して優れた改善効果を示し、上記比とは異なる配合量の試験例2がこれに次ぐ効果を示した。また、トラネキサム酸と酸化亜鉛を配合した試験例3、及びトラネキサム酸とトラネキサム酸メチルアミド塩酸塩を配合した試験例4もそれに準ずる効果を示した。しかし、トラネキサム酸、酸化亜鉛、トラネキサム酸メチルアミド塩酸塩のいずれか1種のみを配合した試験例5〜7、及び酸化亜鉛とトラネキサム酸メチルアミド塩酸塩を配合した試験例8は試験例1〜4よりも改善効果が現れるのが遅く、いずれも配合していない試験例9にいたっては、16日後においても改善効果が低かった。また、本発明の試験例1〜4には皮膚刺激性は全く認められず、安全な外用剤であると考えられた。
【0038】 以上より、試験例1〜4は界面活性剤による肌荒れに対して改善・防止効果があることが確認され、冬季の乾燥、及びカミソリ負けによる肌荒れに対しても同様に改善・防止効果を有するものと推測される。
【0039】[2]ニキビ肌に対する改善効果試験本発明に係る皮膚外用剤の外皮適用によるニキビ肌に対する改善効果を下記の様にして評価した。
(1)被験試料表3に示すように、プラスミン阻害剤としてイチヤクソウの30%エタノール抽出物、ウロキナーゼ阻害剤としてシリカ被覆酸化亜鉛、プロウロキナーゼ活性化阻害剤としてトラネキサム酸エチルアミドをそれぞれ配合したクリームと、シリカ被覆酸化亜鉛のみを配合したクリームを被験試料として用いた。
【0040】
【表3】 原料 (質量%) 試験例10 試験例11 イチヤクソウ30%エタノール抽出物 3.0 ―シリカ被覆酸化亜鉛(FINEX-25) 5.0 10.5トラネキサム酸エチルアミド 2.5 ―ステアリン酸モノグリセリド 2.0 2.0ステアリルアルコール 4.0 4.0ミツロウ 3.0 3.0ラノリン 5.0 5.0エチルパラベン 0.3 0.3P.O.E(20モル)ソルビタンモノオレイン酸エステル 2.0 2.0スクワラン 20.0 20.01,3−ブチレングリコール 5.0 5.0グリセリン 5.0 5.0精製水 残余 残余 【0041】(2)判定基準ニキビに悩む20〜28歳の女性パネル40名を20名ずつ2群に分け、表4に示す試験例10もしくは試験例11を顔面に2週間連用させた。2週間後、試験前とのニキビの状態をパネル自身が評価し(症状が改善された=A、症状が不変または悪化した=B)、以下の基準をもとに改善効果を判定した。同時に前記基準に従って皮膚刺激性について評価した。結果を表4に示す。
【0042】
<改善効果判定基準>◎=高い改善効果あり :20名中15名以上がAと評価○=改善効果あり :20名中10〜14名がAと評価△=改善傾向あり :20名中5〜9名がAと評価×=無効 :20名中Aの評価が5名未満【0043】【表4】 試験例10 試験例11 改善効果 ◎ ○ 皮膚刺激性 ◎ ○ 【0044】表5から判るように、試験例10は試験例11に比べ、ニキビ肌に対するより優れた改善効果が認められた。また、本発明の試験例10には皮膚刺激性は全く認められず、安全な外用剤であると考えられた。
【0045】
実施例1 クリーム(処方) 質量% ステアリン酸 2.0 ステアリルアルコール 7.0 水添ラノリン 2.0 スクワラン 5.0 2−オクチルドデシルアルコール 6.0 ポリオキシエチレン(25モル)セチルアルコールエーテル 3.0 グリセリンモノステアリン酸エステル 2.0 プロピレングリコール 5.0 トラネキサム酸メチルアミド塩酸塩 0.1 トラネキサム酸 1.0 シリカ被覆酸化亜鉛 1.0 亜硫酸水素ナトリウム 0.03 エチルパラベン 0.3 香料 適量 イオン交換水 残余(製法)イオン交換水にプロピレングリコールを加え、加熱して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し、加熱融解して70℃に保つ(油相)。水相に油相を加え予備乳化を行い、ホモミキサーで均一に乳化した後、よく攪拌しながら30℃まで冷却する。
【0046】
実施例2 乳液(処方) 質量% マイクロクリスタリンワックス 1.0 ミツロウ 2.0 ラノリン 20.0 流動パラフィン 10.0 スクワラン 5.0 ソルビタンセスキオレイン酸エステル 4.0 ポリオキシエチレン(20モル)ソルビタンモノオレイン酸エステル 1.0 プロピレングリコール 7.0 トラネキサム酸メチルアミド塩酸塩 2.0 トラネキサム酸 1.0 酸化亜鉛 1.0 亜硫酸水素ナトリウム 0.01 エチルパラベン 0.3 香料 適量 イオン交換水 残余(製法)イオン交換水にトラネキサム酸とトラネキサム酸メチルアミド塩酸塩及びプロピレングリコールを加え、加熱して70℃に保つ(水相)。他の成分を混合し、加熱融解して70℃に保つ(油相)。油相を攪拌しながら水相を徐々に加え、ホモミキサーで均一に乳化した後、よく攪拌しながら30℃まで冷却する。
【0047】
実施例3 ゼリー(処方) 質量% 95%エチルアルコール 10.0 ジプロピレングリコール 15.0 ポリオキシエチレン(50モル)オレイルアルコールエーテル 2.0 カルボキシビニルポリマー(カーホ゛ホ゜ール940TM:B.F.Goodrich Chemical company) 0.05 苛性ソーダ 0.15 L−アルギニン 0.1 オトギリソウ50%エタノール抽出物 1.0 トラネキサム酸エチルアミド塩酸塩 0.01 亜硫酸水素ナトリウム 0.01 エチルパラベン 0.3 香料 適量 イオン交換水 残余(製法)イオン交換水にカルボキシビニルポリマーを均一に溶解し、トラネキサム酸エチルアミド塩酸塩を加える。(A層)一方95%エチルアルコールにポリオキシエチレン(50モル)オレイルアルコールエーテルを溶解し、A層に添加する。次いでその他の成分を加えた後、苛性ソーダ、L−アルギニンで中和させ、増粘する。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の皮膚外用剤を利用すれば、線溶系プロテアーゼの活性変化を伴う種々の皮膚疾患、特に乾燥・洗浄剤等の刺激によって生じる肌荒れ・ニキビなど表皮の増殖性異常を認める皮膚状態をより短期間のうちに安全且つ効果的に改善・防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社資生堂
【住所又は居所】東京都中央区銀座7丁目5番5号
【出願日】 平成13年6月22日(2001.6.22)
【代理人】 【識別番号】100092901
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 祐司
【公開番号】 特開2003−2821(P2003−2821A)
【公開日】 平成15年1月8日(2003.1.8)
【出願番号】 特願2001−189891(P2001−189891)