| 【発明の名称】 |
血管補綴材用袋織り管状体の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】山崎 照久 【住所又は居所】福井県福井市毛矢1丁目10番1号 セーレン株式会社内
【氏名】若林 惣兵衛 【住所又は居所】福井県福井市毛矢1丁目10番1号 セーレン株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】ジャカード方式による血管補綴材用袋織り管状体の製造において従来問題であった、管状体形成に寄与しない部分の経糸の緩み、およびそれに起因する糸切れ、開口不良などのトラブルを防止し、連続的に安定した製織を行うとともに、品質の高い血管補綴材用袋織り管状体を製造するための方法を提供する。
【解決手段】ジャカード装置付きシャットル織機を使用して血管補綴材用袋織り管状体Aを製造する方法であって、前記管状体Aの形成に寄与する部分の経糸列Eに緯糸Gを挿入するための少なくとも1個のシャットルCと、管状体形成には寄与しない部分の経糸列Fに緯糸Hを挿入するための少なくとも1個のシャットルDを織機に備え付け、これらを作動させることによって、管状体Aと、管状体A以外の製織部Bを同時に形成することを特徴とする血管補綴材用袋織り管状体の製造方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】ジャカード装置付きシャットル織機を使用して血管補綴材用袋織り管状体Aを製造する方法であって、前記管状体Aの形成に寄与する部分の経糸列Eに緯糸Gを挿入するための少なくとも1個のシャットルCと、管状体形成には寄与しない部分の経糸列Fに緯糸Hを挿入するための少なくとも1個のシャットルDを織機に備え付け、これらを作動させることによって、管状体Aと、管状体A以外の製織部Bを同時に形成することを特徴とする血管補綴材用袋織り管状体の製造方法。 【請求項2】経糸にモノフィラメントを使用することを特徴とする請求項1記載の血管補綴材用袋織り管状体の製造方法。 【請求項3】経糸に単糸繊度が5.5〜50dtexのマルチフィラメントを使用することを特徴とする請求項1記載の血管補綴材用袋織り管状体の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は血管補綴材用袋織り管状体を製造する方法に関し、詳しくは品質の高い血管補綴材用袋織り管状体を、ジャカード方式により連続的に安定して製織するための製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】損傷を受けた、あるいは疾患のある血管を置換、修復するための代用血管として、血管補綴材が広く用いられている。血管補綴材に関しては、その材質や構造、表面修飾、物理的性能などについて古くから研究され、ポリエステル系繊維を織成あるいは編成により管状体としたものや、ポリテトラフルオロエチレン樹脂を管状に成形したものなどが実用化されている。これらのうち織成管状体は、有孔度を低くすることが可能で、これによって液密性を高めることが可能であるとともに、高い強度(破断、破裂等)を有し、かつ移植後の径方向の拡張が小さい、といった特徴を有している。このため、織成管状体は、血液の流れが早い胸・腹部大動脈等の治療に用いられる大口径血管補綴材として特に好適に用いられている。また、近年、大動脈瘤や大動脈解離に対する低侵襲治療として、カテーテルを経由してステント型血管補綴材を経皮的に血管に導入し、病変部に留置する血管内治療が注目を集めている。ステント型血管補綴材は小さく折り畳んだ状態でカテーテルに挿入されるが、このとき、血管補綴材の折り畳み体積が問題となる。織成管状体は壁厚の極薄化が可能で、折り畳み体積を小さくすることが可能である。このように、液密性、強度、折り畳み性などの物理的性能に優れた織成管状体は、ステント型血管補綴材用管状体として、ステントと組み合わせたかたちで血管内治療に好適に用いられている。 【0003】このような織成管状体は、フラットな織布を縫製、融着などによりつなぎ合わせ管状とするか、もしくは袋織りの技法により製織段階から管状とすることによって製造することができる。後者の方法によれば、シームレスな管状体を得ることができ、患部に移植した際、抗血栓性、強度に優れた血管補綴材となる。また、織布をつなぎ合わせる工程が不要で、工程を簡略化することができる。このような理由により、現在では専らこの方法が採用されている。 【0004】袋織りにより血管補綴材用管状体を製造するには、通常、開口装置としてドビー、またはジャカードを搭載したシャットル織機を使用する。シャットル織機とは、シャットル(緯糸挿入具の1つ)を用いて、経糸の間に緯糸を通す織機である。細幅織物を効率的に生産できる、緯糸の張力管理が容易である、などの特徴から、ラベル、ファッションリボン等、主として細幅織物の製造に用いられている。 【0005】開口装置の1つ、ドビーは、経糸を数〜数千本からなる数〜数十組のグループに分けて開口を制御することが可能であり、組織の複雑な一定幅の織物を製造するのに適している。具体的には、目的の管状体を形成するために必要な本数の経糸を織機にセットし、ドビー装置により経糸を開口し、シャットルを用いて、織機にセットしてある全ての経糸に対して緯糸を挿入する。しかしながら、管状体の径サイズを変更する場合、すなわち管状体を扁平に折り畳んだ状態において管状体の幅を変更する場合、ドビー方式による製織では、織機にセットする経糸の本数を減らしたり、あるいは増やしたりする作業が必要で、径サイズ(幅)の変更には手間と時間を要した。 【0006】血管補綴材の径サイズは移植部位によって異なり、末梢血管の治療に用いる7mm以下のもの(小口径血管補綴材)から、胸・腹部大動脈の治療に用いる7〜54mmのもの(大口径血管補綴材)まで広範囲に及ぶ。さらに、血管補綴材の形状も、ストレート型のみならず、分岐型、円錐型と多様化している。ドビー方式による製織では、ストレート型以外の形状の管状体を製造することは難しく、そのような血管補綴材が必要な場合には、ストレート型管状体を縫製、融着などによりつなぎ合わせるほかなかった。 【0007】一方、ジャカード装置は経糸を1〜数本ずつ開口させることが可能であり、極めて複雑な組織の織物を製造することができる。具体的には、織機にセットしてある経糸のうち、目的の管状体を形成するために必要な部分の経糸列、すなわち管状体形成に寄与して管状体の一部を構成する経糸列だけをジャカード装置により開口し、その部分の経糸に対して緯糸を挿入する。目的の管状体の径サイズ(幅)に見合う本数の経糸を自由に選択できるため、管状体の径サイズ(幅)変更に要する手間と時間を大幅に削減することができる。さらに、分岐型、円錐型などストレート型以外の形状の管状体も製造することができ、シームレスな管状体を得ることが可能である。 【0008】ところが、管状体形成に寄与しない部分の経糸列には緯糸が挿入されないため、連続的に製織した場合、その部分の経糸が緩み、糸切れ、開口不良などのトラブルを誘発し、製織性が低下したり、緩んだ経糸に管状体製織用の緯糸が引っかかり管状体に毛羽等の品質不良が発生するという問題があった。特に、モノフィラメント、または単糸繊度が大きなマルチフィラメントなど、剛性が大きく張力変化が明瞭に現れやすい糸条を経糸に用いた場合、深刻な問題であった。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような現状に鑑みて行われたものであり、ジャカード方式により血管補綴材用袋織り管状体を製造するに際して生じる従来の問題点を解決し、連続的に安定した製織を行うとともに、品質の高い血管補綴材用袋織り管状体を製造するための方法を提供することを目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。本発明は上記目的を達成するもので、次の構成よりなるものである。本発明の血管補綴材用袋織り管状体の製造方法は、ジャカード装置付きシャットル織機を使用して血管補綴材用袋織り管状体Aを製造する方法であって、前記管状体Aの形成に寄与する部分の経糸列Eに緯糸Gを挿入するための少なくとも1個のシャットルCと、管状体形成には寄与しない部分の経糸列Fに緯糸Hを挿入するための少なくとも1個のシャットルDを織機に備え付け、これらを作動させることによって、管状体Aと、管状体A以外の製織部Bを同時に形成することを特徴とするものである。 【0011】この方法によれば、ジャカード方式による袋織り管状体の製造において従来問題であった、管状体形成に寄与しない部分の経糸の緩みを防止することができ、連続的に安定した製織を行うことが可能となる。本発明の血管補綴材用袋織り管状体の製造方法は、経糸にモノフィラメント、または単糸繊度が大きなマルチフィラメント、たとえば単糸繊度が5.5〜50dtexのマルチフィラメントを使用する場合、特に効果を発揮する。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本明細書において「血管補綴材用袋織り管状体」を、単に「袋織り管状体」もしくは「管状体」という場合もある。本発明の血管補綴材用袋織り管状体の製造方法は、ジャカード装置付きシャットル織機を使用して血管補綴材用袋織り管状体を製造する方法である。本発明に使用されるジャカード装置は、電子式、機械式のいずれであっても構わないが、管状体の径サイズ(幅)および形状変更の容易さ、生産性を考慮すると電子式ジャカード装置が好ましい。 【0013】図1は、本発明により血管補綴材用袋織り管状体Aを製造する場合の工程を模式的に示す平面図である。本発明の血管補綴材用袋織り管状体の製造方法は、管状体Aの形成には寄与しない部分の経糸列Fにも緯糸Hを挿入し、管状体Aとは別の製織部Bを形成することを特徴とする。このように製織することによって、織機にセットしてある全ての経糸に張力が加えられることになり、製織の際、管状体Aの形成に寄与しない部分の経糸列Fに発生しやすい緩みやそれに起因する糸切れ、開口不良などのトラブルを防止できるため、連続的に安定した製織を行うことが可能となる。 【0014】このような製織を行うためには、少なくとも2個のシャットルを織機に備え付ける必要がある。1つは、管状体Aの形成に寄与する緯糸Gを担持し、管状体Aの形成に寄与する部分の経糸列Eに緯糸Gを挿入するためのシャットルCであり、もう1つは、管状体Aの形成に寄与しない緯糸であって製織部Bの形成に寄与する緯糸Hを担持し、管状体Aの形成に寄与しない部分の経糸列Fに緯糸Hを挿入して製織部Bを形成するためのシャットルDである。 【0015】織機に備え付けるシャットルの個数は、管状体の形状や製織部Bの個数などによって決定する。この際、シャットルを作動させずに停止させておく時間が長くなると、シャットルに担持させてある緯糸が緩み、糸切れ、開口不良などのトラブルが発生し、製織性が低下するため注意を要する。 【0016】図8は、従来法により分岐型血管補綴材用袋織り管状体Aを製造する場合の工程を模式的に示す平面図である。通常、分岐型管状体を製造する場合には支管数に応じた数のシャットル、図8の2分岐型管状体については2個のシャットルを織機に備え付けて製織を行うのであるが、備え付けたシャットルすべてを常時作動させるのではなく、主管部A1を製織する場合には1個のシャットルC1のみを作動させ、残りのシャットルC2は停止させておくことになる。従来法によれば、管状体Aの形成に寄与しない部分の経糸列Fの緩みに加え、シャットルC2の停止時間が長くなると、シャットルC2に担持させてある緯糸G2にも緩みが発生し、安定して製織を行えないという問題があった。 【0017】このように、管状体形成のために備え付けた複数のシャットルのうち、連続的に停止させるシャットルがある場合、このシャットルをシャットルDとして作動させ、製織部Bを形成することができる。すなわち、図6に示すように、主管部A1を製織する場合に、これに寄与しないシャットルC2/Dを作動させ、管状体Aの形成に寄与しない部分の経糸列Fに緯糸G2/Hを挿入して、製織部Bを形成すればよい。このようにすることにより、シャットルC2/Dに担持させてある緯糸G2/Hの緩みを防止できるとともに、管状体Aの形成に寄与しない部分の経糸列Fの緩みを防止することができ好ましい。 【0018】管状体形成に寄与しない部分の経糸列に対して、緯糸を挿入する頻度およびそれによって形成される製織部Bの長さ、緯糸密度は特に限定されるものでないが、次の点に注意する必要がある。すなわち、緯糸を挿入する頻度が高いほど経糸の張力が安定に保たれ、製織性は向上するが、生産性は低下する。経糸張力の安定性と生産性のバランスを考慮して緯糸を挿入する頻度を決定するのが良い。 【0019】管状体の織り組織は特に限定されるものでなく、例えば平織り、綾織り、朱子織り、梨地織りなどが挙げられるが、壁厚を薄く、且つ強度(破断強度、破裂強度)や液密性に優れた管状体を得やすいという理由により平織りが好ましい。 【0020】製織部Bの織り組織は特に限定されるものでなく、例えば平織り、綾織り、朱子織り、梨地織りなどが挙げられるが、張力を均一に保ちやすいことから平織りが好ましい。 【0021】本発明の血管補綴材用袋織り管状体の製造方法に用いられる糸条は特に限定されるものではなく、モノフィラメント、マルチフィラメントのいずれも使用可能であり繊度も任意であるが、なかでも、剛性が大きく、従来の製造方法では製織が困難であった繊度5.5〜250dtexのモノフィラメントや単糸繊度が5.5〜50dtexのマルチフィラメントを経糸に用いた場合、特に効果を発揮する。 【0022】その素材も特に限定されるものではないが、血管補綴材料としての使用実績からポリエステル系繊維が好ましい。ポリエステル系繊維は化学的に安定で耐久性が大きく、機械的強度も高く、毒性や異物反応がないことから、血管補綴材料として広く用いられてきた。ポリエステル系繊維として具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル−ポリエーテルブロック共重合体、及びこれらの複合繊維などを挙げることができる。 【0023】 【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。電子式ジャカード装置付きシャットル織機を使用して、図1〜8(実施例1〜5、比較例1、2に対応)に示す血管補綴材用袋織り管状体A(平織り組織)を製造した。これと並行して、実施例1〜5においては、管状体Aとは別の製織部B(平織り組織)を製造した。用いた糸条は次の通りである。 経糸:単糸繊度18dtex、フィラメント数2本より構成される総繊度36dtex、無撚のポリエチレンテレフタレート製マルチフィラメント緯糸:単糸繊度0.55dtex、フィラメント数170本より構成される総繊度94dtex、撚り数200回/mのポリエチレンテレフタレート製マルチフィラメント【0024】[実施例1]2個のシャットルを織機に備え付け、図1に示すストレート型血管補綴材用袋織り管状体Aを連続的に製造した。これと並行して、管状体Aとは別の製織部Bを連続的に製造した。織機にセットしてある経糸(2000本)のうち、管状体Aの形成に寄与する部分の経糸列E(600本)をジャカード装置により開口し、シャットルCを作動させて緯糸Gを挿入することで、管状体Aを製造した。これと並行して、管状体Aの形成には寄与しない部分の経糸列F1、F2(各700本)をジャカード装置により同時に開口し、シャットルDを作動させて緯糸Hを挿入することで、製織部B1、B2を製造した。管状体Aの両側に配される製織部B1およびB2は、図2に示すように、緯糸Hにより連結され、一体となっている(製織部B)。ここで、図2は、図1中の管状体Aおよび製織部Bの状態を模式的に示す斜視図である。 【0025】以上の製造手順をシャットルの動作に着目して説明する。製織開始時、シャットルC、Dが図1に示す位置(経糸右側)にある場合、ステップ1:シャットルCを右側から左側に移動させ、経糸列Eに対して緯糸Gを挿入する。 ステップ2:シャットルDを右側から左側に移動させ、経糸列F2、F1に対して緯糸Hを挿入する。 ステップ3:シャットルCを左側から右側に移動させ、経糸列Eに対して緯糸Gを挿入する。 ステップ4:シャットルDを左側から右側に移動させ、経糸列F1、F2に対して緯糸Hを挿入する。 ステップ1〜4を繰り返すことにより、管状体Aおよび製織部Bを同時に、連続して製造した。このように製造されたストレート型血管補綴材用袋織り管状体は、患部に合わせ所望の長さにカットされて、実用に供される。本実施例における製織性は良好であり、得られた管状体の品質も良好であった。 【0026】[実施例2]管状体Aの形成に寄与する部分の経糸列Eの本数を1200本、管状体Aの形成には寄与しない部分の経糸列であって製織部B1、B2の形成に寄与する部分の経糸列F1、F2の本数をそれぞれ400本とした以外は、実施例1と同様に行った(図3)。本実施例における製織性は良好であり、得られた管状体の品質も良好であった。 【0027】[実施例3]製織部Bを一定間隔毎に、断続的に製造した以外は実施例1と同様に行った。このとき、製織部Bの長さLが5mm、間隔Mが100mmとなるように製織を行った(図4)。本実施例における製織性は良好であり、得られた管状体の品質も良好である上、実施例1に比べ生産性が優れていた。 【0028】[実施例4]3個のシャットルを織機に備え付け、図5に示す2分岐型血管補綴材用袋織り管状体Aを連続的に製造した。これと並行して、管状体Aとは別の製織部Bを連続的に製造した。織機にセットしてある経糸(2000本)のうち、主管部A1の形成に寄与する部分の経糸列E1(600本)をジャカード装置により開口し、シャットルC1を作動させて緯糸G1を挿入することで、主管部A1を製造した。このとき、主管部A1の長さが200mmとなるように製織を行った。また、これと並行して、管状体Aの形成には寄与しない部分の経糸列F1、F2(各700本)をジャカード装置により同時に開口し、シャットルD1、C2/D2を交互に作動させて緯糸H1、G2/H2を挿入することで、製織部B1、B2を製造した。管状体Aの両側に配される製織部B1およびB2は、緯糸H1、G2/H2により連結され、一体となっている(製織部B)。次いで、支管部A21、A22の形成に寄与する部分の経糸列E21、E22(各300本)をジャカード装置によりそれぞれ開口し、シャットルC1、C2/D2をそれぞれ作動させて緯糸G1、G2/H2を挿入することで、主管部A1に連続する支管部A21、A22を製造した。このとき、支管部A21、A22の長さが200mmとなるように製織を行った。また、これと並行して、管状体Aの形成には寄与しない部分の経糸列F1、F2(各700本)をジャカード装置により同時に開口し、シャットルD1を作動させて緯糸H1を挿入することで、前記製織部B1、B2に連続する製織部を製造した。 【0029】以上の製造手順をシャットルの動作に着目して説明する。製織開始時、シャットルC1、C2/D2、D1が図5に示す位置(経糸右側)にある場合、ステップ1:シャットルC1を右側から左側に移動させ、経糸列E1に対して緯糸G1を挿入する。 ステップ2:シャットルC2/D2を右側から左側に移動させ、経糸列F2、F1に対して緯糸G2/H2を挿入する。 ステップ3:シャットルC1を左側から右側に移動させ、経糸列E1に対して緯糸G1を挿入する。 ステップ4:シャットルC2/D2を左側から右側に移動させ、経糸列F1、F2に対して緯糸G2/H2を挿入する。 ステップ5:シャットルC1を右側から左側に移動させ、経糸列E1に対して緯糸G1を挿入する。 ステップ6:シャットルD1を右側から左側に移動させ、経糸列F2、F1に対して緯糸H1を挿入する。 ステップ7:シャットルC1を左側から右側に移動させ、経糸列E1に対して緯糸G1を挿入する。 ステップ8:シャットルD1を左側から右側に移動させ、経糸列F1、F2に対して緯糸H1を挿入する。 ステップ1〜8を繰り返すことにより、主管部A1および製織部Bを同時に製造した。次いで、ステップ9:シャットルC1を右側から左側に移動させ、経糸列E21に対して緯糸G1を挿入する。 ステップ10:シャットルC2/D2を右側から左側に移動させ、経糸列E22に対して緯糸G2/H2を挿入する。 ステップ11:シャットルD1を右側から左側に移動させ、経糸列F2、F1に対して緯糸H1を挿入する。 ステップ12:シャットルC1を左側から右側に移動させ、経糸列E21に対して緯糸G1を挿入する。 ステップ13:シャットルC2/D2を左側から右側に移動させ、経糸列E22に対して緯糸G2/H2を挿入する。 ステップ14:シャットルD1を左側から右側に移動させ、経糸列F1、F2に対して緯糸H1を挿入する。 ステップ9〜14を繰り返すことにより、支管部A21、A22および製織部Bを同時に製造した。ステップ1〜8の繰り返し、ステップ9〜14の繰り返しを交互に連続して行うことにより、管状体Aおよび製織部Bを同時に、連続して製造した。このように製造された2分岐型血管補綴材用袋織り管状体は、主管部A1と支管部A21、A22の切り替え部分でカットされ、さらに患部に合わせ所望の長さにカットされて、実用に供される。本実施例における製織性は良好であり、得られた管状体の品質も良好であった。 【0030】[実施例5]2個のシャットルを備え付け、図6に示す2分岐型血管補綴材用袋織り管状体Aを連続的に製造した。これと並行して、管状体Aとは別の製織部Bを断続的に製造した。実施例4において、常時、製織部Bの形成に寄与する緯糸H1、およびこれを担持するD1を使用しないもので、管状体Aの製造は実施例4と同様である。すなわち、織機にセットしてある経糸(2000本)のうち、主管部A1の形成に寄与する部分の経糸列E1(600本)をジャカード装置により開口し、シャットルC1を作動させて緯糸G1を挿入することで、主管部A1を製造した。このとき、主管部A1の長さが200mmとなるように製織を行った。また、これと並行して、管状体Aの形成には寄与しない部分の経糸列F1、F2(各700本)をジャカード装置により同時に開口し、シャットルC2/Dを作動させて緯糸G2/Hを挿入することで、製織部B1、B2を製造した。管状体Aの両側に配される製織部B1およびB2は、緯糸G2/Hにより連結され、一体となっている(製織部B)。次いで、支管部A21、A22の形成に寄与する部分の経糸列E21、E22(各300本)をジャカード装置によりそれぞれ開口し、シャットルC1、C2/Dをそれぞれ作動させて緯糸G1、G2/Hを挿入することで、支管部A21、A22を製造した。このとき、支管部A21、A22の長さが200mmとなるように製織を行った。以上を交互に連続して行うことにより、連続的な管状体A、および断続的な製織部Bを同時に製造した。本実施例における製織性は良好であり、得られた管状体の品質も良好である上、実施例4に比べ生産性が優れていた。 【0031】[比較例1]1個のシャットルを備え付け、図7に示すストレート型血管補綴材用袋織り管状体Aを製造した。実施例1において、製織部Bの形成に寄与する緯糸H、およびこれを担持するDを使用しないもので、管状体Aの製造は実施例1と同様である。すなわち、織機にセットしてある経糸(2000本)のうち、管状体Aの形成に寄与する部分の経糸列E(600本)をジャカード装置により開口し、シャットルCを作動させて緯糸Gを挿入することで、管状体Aを製造した。本実施例においては、管状体Aの形成に寄与しない部分の経糸列F1、F2が緩み、糸切れ、開口不良などのトラブルが発生するなど製織性が不良であり、連続的に製織することが困難であった。また、得られた管状体の品質も劣っていた。 【0032】[比較例2]2個のシャットルを備え付け、図8に示す2分岐型血管補綴材用袋織り管状体Aを製造した。実施例5において断続的な製織部Bを製造しないもので、管状体Aの製造は実施例5と同様である。すなわち、織機にセットしてある経糸(2000本)のうち、主管部A1の形成に寄与する部分の経糸列E1(600本)をジャカード装置により開口し、シャットルC1を作動させて緯糸G1を挿入することで、主管部A1を製造した。このとき、主管部A1の長さが200mmとなるように製織を行った。また、このとき、シャットルC2は停止状態であった。次いで、支管部A21、A22の形成に寄与する部分の経糸列E21、E22(各300本)をジャカード装置によりそれぞれ開口し、シャットルC1、C2をそれぞれ作動させて緯糸G1、G2を挿入することで、支管部A21、A22を製造した。このとき、支管部A21、A22の長さが200mmとなるように製織を行った。本実施例においては、管状体Aの形成に寄与しない部分の経糸列F1、F2、および一時停止状態にあるシャットルC2に担持させてある緯糸G2が緩み、糸切れ、開口不良などのトラブルが発生するなど製織性が不良であり、連続的に製織することが困難であった。また、得られた管状体の品質も劣っていた。 【0033】 【発明の効果】本発明によれば、ジャカード方式による血管補綴材用袋織り管状体の製造において従来問題であった、管状体形成に寄与しない部分の経糸の緩み、およびそれに起因する糸切れ、開口不良などのトラブルを防止することができ、連続的に安定した製織を行うことが可能となる。本発明によって製造された血管補綴材用袋織り管状体は、毛羽などの欠点が無く、品質の優れたものである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000107907 【氏名又は名称】セーレン株式会社 【住所又は居所】福井県福井市毛矢1丁目10番1号
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| 【出願日】 |
平成14年3月22日(2002.3.22) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2003−275229(P2003−275229A) |
| 【公開日】 |
平成15年9月30日(2003.9.30) |
| 【出願番号】 |
特願2002−80949(P2002−80949) |
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