トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学

【発明の名称】 睡眠時無呼吸等の防止具
【発明者】 【氏名】松田 成彦
【氏名】古谷 昌義
【課題】睡眠時の大きないびきや無呼吸状態を、利用者にできるだけ苦痛を与えずに防止することにある。

【解決手段】両側の下顎部に当接する下顎当接具3の左右両側部に所定の弾性力を有するベルトや紐等の係止材4をそれぞれ取り付け、この係止材4を顔面側の鼻部や頭部側に回して係止するようにして上記下顎当接具3を介して下顎部2を前方に押し出せるようにして、睡眠時に無呼吸状態や大きないびきが発生するのを防止するようにしている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 睡眠時に無呼吸状態やいびきが発生するのを防止するために、下顎部に当接する下顎当接具の左右両側部に所定の弾性力を有するベルトや紐等の係止材をそれぞれ取り付け、この係止材を顔面側の鼻部や頭部に回して係止するようにして上記下顎当接具を介して下顎部を前方に押し出せるように形成したことを特徴とする睡眠時無呼吸等の防止具。
【請求項2】 下顎当接具を下顎部にそったほぼU字形状に形成し、少なくともその下顎部への当接部をソフトな軟質材で形成するとともに、下顎当接具の側周部に複数個所に係止できる係止部を配設して係止材の端部を複数個所に係止するようにした請求項1に記載の睡眠時無呼吸等の防止具。
【請求項3】 下顎当接具にアルミニウム材や、熱可塑性のレジン、エンジニアプラスチック材を内装した請求項1または2に記載の睡眠時無呼吸等の防止具。
【請求項4】 下顎当接具の弾性力を有する軟質のベルトや紐等の係止材を鼻部を介して耳部や頭部に回して引っ張るように留め具を介して設けた請求項1ないし3のいずれかに記載の睡眠時無呼吸等の防止具。
【請求項5】 下顎当接具の係止材の他部を陽圧呼吸治療器のマスク部に係止するようにした請求項1ないし3のいずれかに記載の睡眠時無呼吸等の防止具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、口腔医療分野における睡眠時無呼吸等の防止具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】就寝中に大きないびきをかく人が意外と多く、その中にはその途中で無呼吸状態となってしまうことも多数知られている。
【0003】いびきは、睡眠中に発生する筋肉の緊張減退によるもので、顎の筋肉が弛緩したときに下顎が後方に移動して舌を口腔の後部に運び、これによって咽頭部の呼吸気道が狭められ、呼吸の流れに渦を生じ、軟口蓋や周辺の柔らかい筋肉が振動して、いびきという音響現象を引き起こすものである。
【0004】そして、下顎が後方に移動して舌根が沈下して呼吸気道が閉塞する状態となると、呼吸の中断、すなわち無呼吸状態となることがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そのため、いびきが大きかったり、無呼吸状態が生じる人には、鼻マスクを装着して一定量の空気を送り込む陽圧呼吸装置や、口腔の上歯部と下歯部にレジンのアプライアンスをそれぞれ装着して下顎を前方に位置させるものが知られている。
【0006】しかし、前者にあっては、鼻にやや大きなマスクを取り付けなければならず、かつエアーホースやエアー供給源装置が必要となる。
【0007】また後者は、口腔内で処理できて小型なので好ましいが、上顎、下顎が自由に動けなくなり、やや苦痛であるとともに、長時間装着していると顎関節等が痛くなることがあった。
【0008】これら以外に、緊張時に患者の下顎を挙上させて人工呼吸する、いわゆるジョーリフト法を応用して、人を仰向いて寝た状態で下顎を両側の下方から支持して睡眠中の気道閉塞を防止する口腔外装置が知られている。
【0009】しかし、就寝中に両側から下顎を支持するので、利用者は仰向いた状態で、寝返り等をすることができず、自由が利かないので、苦痛で不便なものであった。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記のような点に鑑みたもので、上記の課題を解決するために、睡眠時に無呼吸状態やいびきが発生するのを防止するために、下顎部に当接する下顎当接具の左右両側部に所定の弾性力を有するベルトや紐等の係止材をそれぞれ取り付け、この係止材を顔面側の鼻部や頭部に回して係止するようにして上記下顎当接具を介して下顎部を前方に押し出せるように形成したことを特徴とする睡眠時無呼吸等の防止具を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の睡眠時無呼吸等の防止具は、睡眠時に無呼吸状態やいびきが発生するのを防止するために、下顎部に当接する下顎当接具の左右両側部に所定の弾性力を有するベルトや紐等の係止材をそれぞれ取り付け、この係止材を顔面側の鼻部や頭部に回して係止するようにして上記下顎当接具を介して下顎部を前方に押し出せるように形成したことを特徴としている。
【0012】睡眠時の無呼吸等の防止具1は、口腔外装置のもので、図1のように利用者の下顎部2にそうようにして下顎当接具3を当接し、下顎当接具3に係止材4を取り付けて下顎部2を前方に押し出せるようにしている。
【0013】下顎当接具3は、たとえば図2〜図4のように下顎部2、特に下顎後縁から下顎下縁にそうように内周面を傾斜したほぼU字状等の折曲形状とすることができ、その後部ないしその前部の適宜の位置に吊り用の係止部5を設け、係止部5にゴムベルトやゴム紐等の所定の弾性力のある軟質の係止材4の端部をベルベットファスナーや鳩目具、ホックなどの接続手段6で接続して下顎部2を前方に押し出せるようにしている。
【0014】そして、この係止材4の他端部は、図1、図2のように鼻部にマスク状や鼻部を囲むようにブリッジ状の留め具7に左右対称状に係止し、下顎当接具3を上記のように押し出せるようにしている。
【0015】留め具7は、図2のようにその両側の下部と上部にスリット状の留め部8、9をそれぞれ左右対称状に設けていて、下方側の留め部8に上記した下顎当接具3の係止材4の他端部をそれぞれ連結し、上部の留め部9にゴムベルトやゴム紐等の耳部や頭部に引っ掛ける軟質の引掛材10をそれぞれ連結して、下顎当接具3を介して下顎部2を前方側に押し出して維持できるようにしている。
【0016】これらの器具、部材は、所定の形状を維持できるように硬質材で形成することができるし、利用者が寝返り等をしても顎や顔に当たって苦痛を生じないようにソフトに接触するように少なくとも肌への当接部分にシリコン等のゴムや不織布等の軟質材を使用することもできる。
【0017】たとえば、下顎当接具3は、図3、図4のように利用者の下顎部2に密着できるように型取ってレジンモールドして成形し、その下顎側の当接面や周面にシリコンラバーやナイロン樹脂、高分子で形成された弾性材等の軟質材11を所定の厚さに被覆して下顎部2に沿いやすく密着しやすいように形成することができる。
【0018】また、図4のように上記下顎当接具3のモールド時の成形体の芯材12として1〜2mm厚さの薄状のアルミニウム等の金属材やポリプロピレン、ABS、ナイロン、ポリウレタン等の熱可塑性のレジン、ポリイミド、ポリアミド・イミド等のエンジニアプラスチックの薄状の硬質材を折曲して内装し、そのまわりに硬質のレジン13等を装着して軟質材11で被覆し、全体として5〜12mm程のできるだけ軽量で薄状にするのが好ましい。
【0019】特に、アルミニウム板は、利用者の下顎部2に合わせて容易に折曲できるものであり、また熱可塑性のレジン等のプラスチック板も所要の高温に熱することで容易に折曲できて利用者の下顎部2に合わせるように容易に細工ができるので好ましいものである。
【0020】またさらに、上記芯材12のまわりに不織布や布材等の軟質材を所定の厚さに積層して被覆したり、巻回して下顎当接具3を成形することもできる。
【0021】留め具7についても、シリコンゴムや不織布、布材等で上記したようにマスク状やブリッジ状に形成し、顎面に苦痛を生じないようにできる。
【0022】また、図5のように、下顎当接具3の両端部にフック状等に当接係止部14を突設して下顎部2の後縁部に係止するようにし、下顎当接具3を介して上記したように下顎部2を前方へ押し出せるようにすることもできる。
【0023】また、図6のように下顎当接具3に係止部5を幅広く取着してその複数個所に係止材4を取り付け、下顎当接具3を所望の前方側に押し出して維持するようにできる。複数個所に係止材4を取り付けることによって、下顎当接具3を介して下顎部2をより所望の前方側に安定して押し出すようにすることができる。
【0024】またさらに、図7(a)、(b)のように下顎当接具3の内側の下顎部2の当接部分に所定の長さの袋状に形成して蓄熱剤や保冷剤、その他の高分子のゲル材15を装填した軟質材11を着脱可能に取着して使用するようにもできる。この場合、予め大、中、小等の所定の大きさに下顎当接具本体部を成形しておいて、下顎当接具3の内側にそってこの軟質材11を装着して使用するようにできるので迅速に対応できるとともに、ゲル材15が流動するので利用者の下顎部2にそってソフトに当接するようにできて好ましい。特に、図のように軟質材11をキルティング状等に仕切りをするのが、ゲル材15が分散しなく、均一状に押圧するようにできて好ましい。
【0025】上記のものでは、下顎当接具3をほぼU字状として下顎全体にそうようにしたが、図8のように下顎部2の後縁部に嵌装状態で係止するようにほぼL形状に形成したものとし、上記した係止材4の引っ張りに対してこの下顎当接具3が下顎部2の後縁部からはずれないようにするようにもできる。
【0026】たとえば、図8のように左右両側のL形状の下顎当接具3をゴムベルトやゴム紐等の弾性材やワイヤー、エンジニアリングプラスチックのバンド等の剛性材の結合材16で結合したり、下顎当接具3を粘着テープ等の複数の貼着材17で顔面や下顎に貼着して、上記した趣旨のように下顎部2を前方へ押し出せるようにすることもできる。これらの下顎当接具3にあっても、上記した構造とすることができる。
【0027】図9は、上記した下顎当接具3の係止材4を陽圧呼吸装置18のマスク19部に係止してマスク19部を固着するとともに、下顎当接具3も固着するようにしたものである。このように陽圧呼吸装置と併用するようにもできる。
【0028】なお、口腔の上顎歯列と下顎歯列にアプライアンスを装着する睡眠時無呼吸等の防止具との併用することも除外するものでなく、必要に応じて対応することができる。このアプライアンスと併用すると、下顎当接具の前方への押圧力によって下顎角等が痛くなるのを和らげることができる。
【0029】
【実施例】図1〜図4は、本発明の一実施例を示すものである。睡眠時の無呼吸等の防止具1は、下顎当接具3を図1〜図4のように利用者の下顎部2にそった厚さ12mm程度、幅(高さ)25mm程のほぼU字形状に内側をやや傾けて形成している。
【0030】その形成にあっては、たとえば図3〜図5のように予め所定の長さ、1mm厚さ、20mm幅(高さ)のアルミニウム材の硬質材を芯材12として利用者の下顎部2にそって折曲して予め型取った型の中に設置し、この芯材12のまわりに速硬性の硬質のレジン13を型内に注入して硬化し、その外周部にシリコンラバーの軟質材11を被覆して成形できる。
【0031】そしてその際、下顎当接具3の両側面の係止部5に後端部からややその前部のほぼ50mmの長さにわたってベルベットファスナーの接続手段6をそれぞれ接着し、所定の弾性力を有する1mm厚さ、6mm幅のゴムベルトの吊り上げ用の係止材4をその端部に取着したベルベットファスナーの被係止片を介して上記した係止部5の接続手段6の所定の位置に引っ張り力を調整して接続するようにしている。
【0032】上記係止材4の他端部側は、図1、図2のように鼻部にそってブリッジ状に湾曲して形成した留め具7の下方側の左右の留め部8にそれぞれ取着し、この留め具7の他の上方側の留め部9に取着した引掛材10を介して図1のように頭部に引っ掛けて留め具7を鼻部に固定し、上記した係止材4を介して下顎当接具3を前方に押し出せるようにしている。なお、手を介して下顎当接具3を前方に押し出した位置で上記のように維持するようにしてもよい。
【0033】このようにして試作した無呼吸等の防止具1を試用した結果、いびきを減退することができたとともに、無呼吸の防止についても所望の効果をあげることができ、また寝返りを自由にうつことができ、下顎や鼻部の肌への当接部分を軟質としていることによって、肌に痛くなくて良好であった。
【0034】上記下顎当接具3の前方への引っ張り力としては、3〜15N(300〜1500gf)/片方、好ましくは5〜10N(500〜1000gf)/片方で、下顎当接具3の下顎部2への当接面を所要面積として下顎当接具3が食い込んだり、痛みを生じないような面圧にするのが好ましいものである。この面圧としては、1〜1.5kPa(10〜100gf/cm2 )位に調整することが好ましい。
【0035】上記では、下顎当接具の係止部と係止材とをベルベットファスナーの係脱手段としたので、係止材の引っ張り具合、引っ張り角度、位置について容易に調整できて好ましいが、図6のように下顎当接具3を係止部5の複数個所から引っ張るようにすれば、引っ張り角度をより一層容易に調整できて有効である。
【0036】また、図5、図6のように下顎当接具3の両端部にフック状に当接係止部14を設けて下顎部2の後縁部に係止するようにすることによって、下顎当接具3を有効に前方へ押し出すようにすることができる。
【0037】また、図7(a)、(b)のようにゲル材15を装填したソフトな軟質材11を下顎当接具3の内周面にそって所定の接着剤等で接着して対処することもできる。この場合、予め大、中、小等の所定の大きさに下顎当接具本体部を成形しておいて、下顎当接具3の内側にそってこの軟質材11を装着して使用するようにできるので、迅速に対応てきて好ましい。
【0038】またさらに、図8のように下顎当接具3を下顎部2の後縁部に嵌装状態で係止するようにほぼL形の溝状に形成し、左右両側のL形状の下顎当接具3をゴムバンドやゴム紐の弾性材やワイヤー、エンジニアリングプラスチックのバンド等の剛性材の結合材16で結合したり、下顎当接具3を粘着テープ等の複数の貼着材17で顔面や下顎に貼着して行うこともできる。この場合、下顎後縁部分の拘束だけなので利用者に負担を少なくできる。
【0039】さらに、図9のように上記の実施例の下顎当接具3を前記したように陽圧呼吸装置とを併用することもできる。その際、下顎当接具3の係止材4を陽圧呼吸装置18のマスク19部に係止してマスク19を固着するとともに下顎当接具3も固着するようにできて有効である。
【0040】
【発明の効果】以上のように本発明にあっては、下顎当接具を介して下顎部を前方に押し出せるように形成したので、睡眠中に下顎が後方に移動して舌根が沈下して呼吸気道が閉塞状態となるのを防止でき、大きないびきをかくのを防げるとともに無呼吸状態となるのを防止することができる。
【0041】また、下顎当接具を下顎部にそったほぼU字形状に形成し、少なくともその下顎部への当接部をソフトな軟質材で形成するとともに、下顎当接具の側周部に複数個所に係止できる係止部を配設して係止材の端部を複数個所に係止することによって、寝返りを自由にうてるとともに下顎や鼻部への肌への当接部が軟質材なので肌にそうとともに肌に痛くなくでき、さらに複数個所の係止部を介し利用者に対応して係止材を所要の適格な方向へ引っ張るように容易に調整することができる。
【0042】また、下顎当接具に薄状のアルミニウム材や熱可塑性のレジン、硬質のエンジニアプラスチック材を内装することによって、下顎当接具を薄状で軽量なものにでき、利用者に利用しやすくできる。特に、アルミニウム板や熱可塑性のレジンでは、所要の形状に折曲できて、利用者の下顎部に容易に合わせられて好ましい。
【0043】さらに、下顎当接具の弾性力を有する軟質のベルトや紐等の係止材を鼻部を介して耳部や頭部に回して引っ張るように固定用係止具を介して設けることによって、下顎当接具を安定して上顎側および前方へ押し出すようにできる。
【0044】またさらに、下顎当接具の係止材の他部を陽圧呼吸治療器のマスク部に係止することによって、陽圧呼吸装置を併用することもでき、下顎当接具の係止材を陽圧呼吸装置のマスク部に係止してマスクを固着できるとともに、下顎当接具も固着するようにできる。
【出願人】 【識別番号】501379498
【氏名又は名称】医療法人社団松田歯科医院
【識別番号】501379340
【氏名又は名称】古谷 昌義
【出願日】 平成13年9月27日(2001.9.27)
【代理人】 【識別番号】100082832
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 邦章
【公開番号】 特開2003−93423(P2003−93423A)
【公開日】 平成15年4月2日(2003.4.2)
【出願番号】 特願2001−296691(P2001−296691)