| 【発明の名称】 |
畳用清掃シート |
| 【発明者】 |
【氏名】鈴木 幹雄 【住所又は居所】栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会社研究所内
【氏名】會田 健二 【住所又は居所】栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会社研究所内
|
| 【要約】 |
【課題】畳の過度の濡れ及びそれに起因する畳の傷みの発生が防止され、またいぐさ畳表の黄変が防止された畳用清掃シートを提供すること。
【解決手段】本発明の畳用清掃シートは、水性洗浄剤が不織布に含浸されてなり、清掃部と該清掃部に連結された棒状の把手とを具備した清掃具における該清掃部に装着されて用いられる。水性洗浄剤は、25℃での粘度が20〜30000mPa・sで且つpHが4以上7未満である。畳用清掃シートは、400g/100cm2荷重下での水性洗浄剤の放出量が0.002〜0.02g/100cm2である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水性洗浄剤が不織布に含浸されてなり、清掃部と該清掃部に連結された棒状の把手とを具備した清掃具における該清掃部に装着されて用いられる畳用清掃シートであって、前記水性洗浄剤は、25℃での粘度が20〜30000mPa・sで且つpHが4以上7未満であり、前記畳用清掃シートは、400g/100cm2荷重下での前記水性洗浄剤の放出量が0.002〜0.02g/100cm2である畳用清掃シート。 【請求項2】 前記水性洗浄剤が、前記不織布の重量当たり70〜230重量%含浸されている請求項1記載の畳用清掃シート。 【請求項3】 前記不織布の坪量が、40〜200g/m2である請求項1又は2記載の畳用清掃シート。 【請求項4】 前記不織布は、内層と、その上下面に積層された外層とが一体化された三層構造からなり、前記外層は、繊維長20mm以上の繊維から構成されており且つ該外層の重量(乾燥基準)当たり親水性セルロース繊維30〜98重量%及び低融点の熱可塑性繊維2〜70重量%を含んでいる請求項1〜3の何れかに記載の畳用清掃シート。 【請求項5】 前記不織布に熱エンボス加工が施されて表面に多数の凹凸が形成されており、該凸部の面積が該不織布の見掛けの面積に対して30〜95%である請求項1〜4の何れかに記載の畳用清掃シート。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、湿式の清掃シートに関する。本発明の清掃シートは、モップタイプの清掃具に装着され、畳上の埃、髪の毛及び固形ゴミや、畳に付着した皮脂汚れ及び水性汚れの捕集・除去に用いられる。 【0002】 【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】本出願人は先に特開2001−198066号公報において、モップタイプの清掃具に装着されて使用される湿式の床用清掃シートを提案した。この床用清掃シートは、床に付着した埃、水性汚れ、皮脂汚れなどを除去するために、洗浄剤の含浸率を300重量%程度に設定し、400g/100cm2荷重下での洗浄剤の放出量を0.02g/100cm2以上にしている。しかし、この含浸率及び放出量の清掃シートを用いて畳を清掃すると、畳が濡れすぎ、これに起因して畳が傷むおそれがある。また、いぐさ畳表が黄変することもある。 【0003】従来、畳の清掃は、いぐさ中の葉緑素の分解を防ぐために、酢を入れたお湯で濡らした雑巾を固く絞って行われていた。お湯を使う理由は、蒸発を出来るだけ早めて畳を極力濡らさないようにするためである。しかし、どんなに固く絞ったとしても水の粘度が低いこと及び雑巾の坪量が大きいことから、畳への水の放出量が多くなってしまう。濡れ雑巾で畳を拭いた後に乾拭きする方法もあるが、この方法は手間が掛かる。 【0004】従って、本発明は、畳の過度の濡れ及びそれに起因する畳の傷みの発生が防止され、またいぐさ畳表の黄変が防止された畳用清掃シートを提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は、水性洗浄剤が不織布に含浸されてなり、清掃部と該清掃部に連結された棒状の把手とを具備した清掃具における該清掃部に装着されて用いられる畳用清掃シートであって、前記水性洗浄剤は、25℃での粘度が20〜30000mPa・sで且つpHが4以上7未満であり、前記畳用清掃シートは、400g/100cm2荷重下での前記水性洗浄剤の放出量が0.002〜0.02g/100cm2である畳用清掃シートを提供することにより前記目的を達成したものである。 【0006】 【発明の実施の形態】以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の畳用清掃シート(以下、単に清掃シートともいう)は、モップタイプの清掃具に装着されて畳の清掃に用いられる。具体的には、畳上の埃、髪の毛及び固形ゴミや、畳に付着した皮脂汚れ及び水性汚れの捕集・除去に用いられる。尚、畳の清掃とは、畳表の清掃でのことである。畳表は主にいぐさを材料に麻糸や綿糸を使って織られたものをいう。その他、いぐさの欠点をカバーする目的で開発された化学素材やパルプを原料にした化学畳表もあり、これも本発明の清掃シートの清掃対象となる。本発明の清掃シートは、不織布(以下、含浸用不織布という)に水性洗浄剤が含浸されて構成されている。清掃シートは、400g/100cm2荷重下での水性洗浄剤の放出量(以下、洗浄剤放出量という)が0.002〜0.02g/100cm2となっている。洗浄剤放出量が0.002g/100cm2未満であると、皮脂汚れや水性汚れの除去性に劣り、0.02g/100cm2超であると、畳が過度に濡れてしまい、これに起因して畳が傷んでしまう。また0.002〜0.02g/100cm2という低い放出量を持続させることで、後述するように含浸率が低い状態であっても、清掃シートが清掃作業中に乾燥してしまうことが防止される。従来の湿式の清掃シートにも含浸率の低いものはあったが、そのような清掃シートは洗浄剤の放出量が大きく、放出の持続性がない。清掃シートの洗浄剤放出量を前記範囲内とするためには、例えば後述するように含浸用不織布にエンボス加工を施して凹凸部を形成し、該凸部の面積率や凸部と凹部との高低差をコントロールしたり、水性洗浄剤の含浸率、含浸用不織布の親水性の度合いや嵩高さ等をコントロールすればよい。 【0007】清掃シートにおいては、含浸用不織布の重量当たり好ましくは70〜230重量%、更に好ましくは100〜200重量%の水性洗浄剤が含浸されている。即ち、本発明の清掃シートは、含浸率が低めに設定されており、ハーフウエット状態となっている。含浸率が70重量%に満たないと、皮脂汚れや水性汚れに対する十分な清掃性能が得られなくなる。230重量%を超えると畳への水性洗浄剤の放出量が多くなり過ぎて畳が傷んでしまい、また畳に汚れが残留してしまう。ハーフウエット状態とすることで、畳を過度に濡らすこと及びそれに起因する傷みの発生を防止でき、しかもドライタイプの清掃シートでは除去できない皮脂汚れや水性汚れを効果的に除去できる。水性洗浄剤の含浸用不織布への含浸率は、水性洗浄剤を含浸用不織布に含浸させてそのままの状態またはマングル処理等で過剰の水性洗浄剤を除去した後、含浸用不織布の重量に対して無荷重下で測定される。 【0008】洗浄剤放出量は、図1に示す方法で測定される。即ち、水性洗浄剤が所定量含浸されてなる清掃シート1を、圧縮すること無く100×100mmの大きさに裁断する。110×110mmの大きさのアクリル板2の上に、この清掃シート1を載置する。底面が100×100mmの大きさの重り3(400g)を清掃シート1の上に載せて1分間放置した後、重り3及び清掃シート1を取り去って、アクリル板2の上に放出された洗浄剤の量を天秤で速やかに測定する。 【0009】本発明の清掃シートにおいては、畳の上にある髪の毛や綿埃を効果的に絡み取る観点から、清掃面の繊維1本1本の自由度を上げること、即ち、清掃面を低い繊維交絡状態にすることが好適である。本発明の清掃シートにおける清掃面の繊維交絡状態の指標として、静摩擦抵抗値を採用することができる。静摩擦抵抗値は、図2に示す方法で測定される。即ち、サンドペーパー(3M社製耐水ペーパー Techno sander 粒度1200番)4を張り付けた、底面が10cm×10cmの重り(サンドペーパーを含む全重量400g)5を、水平な台6上にしっかりと固定された、水性洗浄剤の含浸された清掃シート1(200mm×280mm)表面に、サンドペーパーのサンド面が清掃シートに対面するように載置する。重りの側面に糸7を取り付け、この糸7の他端を滑車8を介して引張試験機(オリエンティック社製、RTM−25)のロードセル9に取り付ける。引張試験機を作動させ、重り5を500mm/minの速度で 水平に30mm移動させ、その際の初期の最大静摩擦抵抗値を測定し、これを清掃面の繊維交絡度の指標とする。測定は、清掃シートの製造工程におけるシートの流れ方向(MD)と幅方向(CD)について実施する。サンドペーパーは1回の測定ごとに新しいものに交換する。水性洗浄剤の含浸された清掃シートの清掃面においては、繊維が低交絡状態、即ち、繊維1本1本の自由度が高い状態である程、繊維がサンドペーパーに引っかかるために、静摩擦抵抗値は高い値を示す傾向が認められる。 【0010】清掃シートにおける繊維交絡状態の指標となる清掃面の静摩擦抵抗値は、900〜2500cNであることが好ましい。900cN未満であると、畳の上にある髪の毛や綿埃の良好な絡み取り性が得られにくくなる。2500cNを超えるとシートの表面強度が弱くなって繊維が畳に引っかかることがあり、また操作性が悪くなることもある。髪の毛・綿埃の絡み取り性と清掃シートの表面強度等とを両立する観点からは、静摩擦抵抗値は1100〜2200cN、特に1200〜2000cNの範囲が好ましい。清掃シートのMD及びCDの何れの方向においても静摩擦抵抗値が前記範囲内であることが最も好ましいが、少なくとも何れか一方の方向における静摩擦抵抗値が前記範囲内であれば十分である。 【0011】次に清掃シートを構成する含浸用不織布について説明する。含浸用不織布は、少なくとも清掃面が、繊維長20mm以上、特に30〜100mm、とりわけ35〜65mmの繊維から構成される不織布で構成されることが、清掃シートの表面強度が十分に発現する点で好ましい。繊維長20mm以上の繊維から構成される不織布は、そのすべての構成繊維の繊維長が20mm以上であることを要せず、該不織布の原料中に及び/又は製造工程にて不可避的に混入及び/又は発生する繊維長20mm未満の繊維が含まれることは許容される。特に、含浸用不織布は、その清掃面がスパンレース不織布から構成されていることが好ましい。スパンレース不織布は低い繊維交絡状態を発現できるので、風合いが良く、また畳の上にある髪の毛や綿埃の絡み取り性が良好となる。清掃面がスパンレース不織布から構成される含浸用不織布としては、スパンレース不織布単体や、芯材となるシート材の上下面の少なくとも一方にスパンレース不織布が積層一体化された複合スパンレース不織布などが挙げられる。特に、芯材となるシート材(以下、内層という)の上下面にスパンレース不織布(以下、外層という)が積層一体化された三層構造の複合スパンレース不織布を用いることが、水性洗浄剤の保持性及び放出性の点から好ましい。 【0012】三層構造の複合スパンレース不織布における外層を構成する繊維は、親水性セルロース繊維及び低融点の熱可塑性繊維を含むことが、清掃性、操作性及び不織布の強度を維持する点から好ましい。親水性セルロース繊維としては、レーヨン、コットン繊維等が挙げられる。親水性セルロース繊維は、外層の重量当たり30〜98重量%、特に50〜90重量%含まれていることが、皮脂汚れや水性汚れを効率良く除去し得る点から好ましい。これは親水性セルロース繊維が、皮脂汚れや水性汚れが溶解・分散した汚液を再吸収する特性に優れていることに起因している。一方、低融点の熱可塑性繊維は、後述するように、複合スパンレース不織布を熱エンボス加工してその強度を高める目的で用いられる。低融点の熱可塑性繊維としては、融点200℃以下のものが好ましく、特に170℃以下のものが好ましい。具体的には、ポリエチレン系繊維、ポリプロピレン系繊維、低融点タイプのポリエチレンテレフタレート系繊維、ポリビニルアルコール繊維及びこれらの繊維の低融点繊維を鞘成分、高融点繊維を芯成分とした芯鞘状繊維や、低融点繊維と高融点繊維とのサイドバイサイド繊維が挙げられる。低融点の熱可塑性繊維は、外層の重量当たり2〜70重量%、特に10〜50重量%含まれていることが、熱エンボス加工された後の複合スパンレース不織布の強度が向上し、また清掃時の操作性が良好になる点から好ましい。 【0013】外層の坪量は、複合スパンレース不織布のトータルの坪量との関係で、8〜70g/m2、特に15〜30g/m2であることが好ましい。また、その厚み(各外層の厚み)は、0.05〜5mmが好ましく、髪の毛・綿埃の捕集性及びコストの点から0.1〜2mm、特に0.2〜1mmであることがより好ましい。 【0014】一方、三層構造の複合スパンレース不織布における内層としては、紙、不織布、織物、樹脂製ネット等の種々のシート材を用いることができる。これらシート材は、清掃シートの強度を維持する点から高強度、例えば破断強度が200cN/25mm以上であることが好ましい。複合スパンレース不織布の坪量を100g/m2以下にする場合には、水性洗浄剤を保持し、且つ複合スパンレース不織布の強度、厚み感及びクッション性を発現させる点から、内層は低密度で嵩高であることが好ましい。そのような特性を有する内層の構成材料としては、例えばサーマルボンド(エアスルー)不織布、スパンレース不織布、エアーレイド不織布等の不織布が好ましい。前記破断強度は高い程好ましいが、現実的には100N/25mm程度が上限値となる。 【0015】内層が繊維から構成されている場合、該繊維としては、レーヨン、コットン、パルプ、ポリビニルアルコール繊維等の親水性繊維を用いることができる。また、内層の厚みを増し且つクッション性を高める観点から、疎水性繊維を主に用いることも好ましい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維、ポリエステル繊維、ナイロン等のポリアミド系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維及びこれらの繊維の芯鞘型繊維やサイドバイサイド型繊維等の複合繊維が挙げられる。これらの繊維には立体クリンプがかかっていることが、内層の厚みが増し、またクッション性が良好になる点から好ましい。また、熱エンボス加工によって複合スパンレース不織布の表面に凹凸部を形成する場合には、熱収縮性繊維や熱捲縮性繊維が用いられる。 【0016】内層の坪量は、複合スパンレース不織布のトータルの坪量との関係で、20〜150g/m2、特に25〜80g/m2であることが好ましい。また、その厚みは、0.2〜4.8mmであることが好ましく、厚みやクッション性を高める点及び使い捨てに抵抗感のないコストを満足する点から0.4〜3mm、特に0.6〜2mmであることがより好ましい。 【0017】前述の内層及び外層から構成される複合スパンレース不織布は、例えば以下の方法により好ましく製造される。先ず内層となるシート材、例えばサーマルボンド不織布の両面に、カード法等によって作製した繊維ウエブを重ね合わせた状態とする。次いで、高圧水流を用いた絡合処理(ウォーターニードリング処理)を施して該繊維ウエブの繊維間を絡合させて外層を構成するスパンレース不織布を形成すると共に該繊維ウエブがサーマルボンド不織布からなる内層に対しても絡合状態で一体化した低交絡複合スパンレース不織布を製造する。このようにして得られた不織布は、シート材であるサーマルボンド不織布の両面に、繊維ウエブの繊維絡合で形成された不織布状の繊維集合体(スパンレース不織布)が、その構成繊維の絡合と共に前記シート材料に対しても絡合状態で一体化している。次いで、必要に応じ、これに熱エンボス加工を施す。 【0018】別の好ましい製造法としては、先ず、外層となる低交絡で繊維自由度の高いスパンレース不織布を製造する。これとは別に内層となるシート材を製造する。内層の両面に外層を配して熱エンボス加工を施し三者を一体化させて積層シートを形成する。 【0019】複合スパンレース不織布を始めとする含浸用不織布は、その坪量が40〜200g/m2、好ましくは50〜150g/m2、更に好ましくは55〜100g/m2となっている。含浸用不織布の坪量が40g/m2未満であると、広い面積の畳を拭くのに必要な量の水性洗浄剤を含浸しづらくなる。200g/m2を超えると重量増加で操作性が劣る場合があり、またコストアップにもなる。また、その厚みは、3g/cm2の荷重下で、0.4〜5mm、特に0.6〜2mmであることが、水性洗浄剤の保持性並びに清掃シートの操作性及びシート強度の点から好ましい。 【0020】含浸用不織布は、使用時に畳に接触する面に、多数の凸部及び熱及び圧力の適用によって圧密化した多数の凹部を有していることが好ましい。これによって、清掃時における清掃シートと畳との摩擦抵抗値が低減し、また水性洗浄剤の放出量を容易にコントロールできる。凸部の面積は、含浸用不織布の清掃面の見掛けの面積に対して30〜95%、特に40〜85%、とりわけ50〜80%であることが、洗浄剤放出量のコントロール、清掃時における髪の毛・綿埃の捕集性などの点から好ましい。含浸用不織布の清掃面の見掛けの面積とは、含浸用不織布の清掃面を平面視したときの面積をいう。 【0021】含浸用不織布の表面に凹凸部を形成する方法としては、(1)熱エンボス加工、(2)熱捲縮性繊維ウェブ又は熱収縮性繊維ウェブに非熱捲縮性繊維ウェブ又は非熱収縮性繊維ウェブを積層一体化した後、熱処理して起伏を発現させる加工法、(3)熱収縮性のフィルムと繊維ウェブとを所定の部分で一体化した後、熱処理して凹凸を発現させる加工法、(4)ウォータージェット等により熱収縮性の網状ネットと繊維ウェブとを一体化した後、熱処理して凹凸を発現させる加工法、(5)スパンレース不織布の製造時に、搬送ワイヤーのパターンを該不織布に刻印して凹凸を発現させる加工法、(6)繊維ウェブをパターンネット上に保持した状態で吸引し、該パターンネットのパターンを該繊維ウェブに刻印して凹凸を発現させる加工法等が挙げられる。 【0022】凸部の面積は以下のようにして測定される。即ち、水性洗浄剤が所定量含浸された清掃シート(10cm×10cm)を1枚に広げて、水に濡れた部分が黒く濃色化されるお習字練習用半紙〔(株)呉竹精昇堂社製、KN37−10〕の上に置く。清掃シートの上に10cm×10cmのアクリル板(25g)を載せ、さらにその上に2000gの重りを載せて60秒間荷重をかけた。その後、すばやく重り及びアクリル板を取り除き、半紙の黒く濃色化された部分の面積を画像解析装置〔(株)ネクサス社製、New Qube〕を用いて求め、この値を凸部の面積とした。さらに凸部の面積を100cm2(清掃シートの清掃面の見掛けの面積)で除した値を凸部の面積率とした。 【0023】凹部のパターンとしては、連続した直線状、曲線状あるいはその両方を一部に有するパターンなどが挙げられる。また、連続した直線状あるいは曲線状のパターンと、非連続の点状パターンとを組み合わせたパターンも好適に使用される。また、連続した線状の凹部が相互に交わり、該凹部によって閉鎖された凸部が形成されるパターン、例えば菱形格子状のパターンも、含浸用不織布の表面強度を維持する点から好適に使用される。凹部が直線状又は曲線状である場合は、その線幅は0.5〜3mmが好ましい。また、凹部間の距離は清掃シートに要求される特性等に応じて適宜調整される。 【0024】含浸用不織布における凸部と凹部との高低差は、洗浄剤放出量が前述した範囲内となるようにコントロールされることが好ましく、具体的には0.02〜1mm、特に0.04〜0.7mmであることが好ましい。この高低差は、含浸用不織布の断面をマイクロスコープ等を用いて観察することにより測定できる。 【0025】含浸用不織布は、その破断強度が200cN/25mm以上、特に300〜8000cN/25mmであることが、清掃時に要求されるシート強度が十分となることと畳の上にある髪の毛・綿埃の絡み取り性とを両立させる点から好ましい。前記破断強度は、含浸用不織布の流れ方向(MD)及び幅方向(CD)の少なくとも何れか一方が前記の値を満たしていれば十分である。 【0026】次に、含浸用不織布に含浸される水性洗浄剤について説明する。水性洗浄剤は、25℃での粘度が20〜30000mPa・s、好ましくは100〜1000mPa・s、更に好ましくは300〜800mPa・sである。この範囲の粘度の水性洗浄剤を用いることにより、(1)清掃初期に畳に放出される水性洗浄剤の量が低減されて、清掃の最初から最後までの水性洗浄剤の放出量が均一になり、(2)広い面積の畳に対する清掃持続性が向上し、(3)清掃初期でも水性洗浄剤の放出量が低いので、清掃シートの畳に対する摩擦抵抗値が低下し、(4)清掃初期でも水性洗浄剤の放出量が低いので、清掃シート表面の繊維自由度が大きく、畳の上にある髪の毛や綿埃を繊維によって絡み取って保持するという利点がある。詳細には、水性洗浄剤の粘度が20mPa・s未満であると、清掃初期に畳に放出される水性洗浄剤の量を低減させにくいことがある。30000mPa・sを超えると、水性洗浄剤を含浸用不織布に含浸させることが困難になる場合がある。粘度はブルックフィールド型粘度計を用いて測定される。使用ローター及び回転数は、水性洗浄剤の粘度に応じて適宜変更する。 【0027】水性洗浄剤は、そのpHが4以上7未満、好ましくは5以上7未満となっている。つまり、水性洗浄剤のpHは酸性側になっている。pHがアルカリ側となると、畳表を構成するいぐさ中の葉緑体の分解が促進されて、畳表の黄変が起こり易くなる。またこれに起因する畳の傷みも防止することができる。pHの下限値を4とした理由は、人体に対する安全性を確保すること並びに酸性臭及び金属の腐蝕を抑制することによる。 【0028】水性洗浄剤は、水を媒体とし、界面活性剤、増粘剤、アルカリ剤及び水溶性溶剤を含有することが好ましい。特に、水性洗浄剤のpHを前述の範囲内とする点及び酸性臭の抑制の点から、酸性を有する増粘剤とアルカリ剤とを組み合わせて配合することが好ましい。 【0029】酸性を有する増粘剤としては、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体系増粘剤、ポリアクリル酸系増粘剤などを用いることが好ましい。一方アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム等の水酸化物、炭酸ナトリウム等の炭酸塩、硫酸水素ナトリウム等のアルカリ性の硫酸塩、第1リン酸ナトリウム等のリン酸塩、酢酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム等の有機アルカリ金属塩、アンモニア、モノ、ジ又はトリエタノールアミン等のアルカノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等のβ−アミノアルカノール並びにモルホリン等が挙げられ、特に感触とpHの緩衝性の点でモノ、ジ又はトリエタノールアミン等のアルカノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等のβ−アミノアルカノール並びにモルホリンが好ましい。 【0030】増粘剤は、水性洗浄剤中に0.01〜2重量%、特に0.02〜1重量%含有されることが、畳の仕上がり性、pH調整及び洗浄剤放出量の調整の点で好ましい。アルカリ剤は、水性洗浄剤中に0.01〜1重量%、特に0.01〜0.5重量%含有されることが、洗浄性、感触及びpH調整の点で好ましい。 【0031】水性洗浄剤に配合されるその他の成分である界面活性剤としては、酸性である増粘剤との間で凝集を起こすこと及びそれに起因する沈降を防止する点から、非イオン界面活性剤又は陰イオン界面活性剤を用いることが好ましく、特に非イオン界面活性剤を用いることが好ましい。非イオン界面活性剤としては、アルキルグルコシドやポリオキシエチレンソルビタンモノアルキレートが挙げられる。陰イオン界面活性剤としては、少なくともアルキル基、及びスルホン酸塩基又はリン酸塩基を有するものが好ましい。陰イオン界面活性剤の具体例としては、アルキルスルホン酸塩やポリオキシエチレン(エチレンオキサイド付加モル数1〜20)アルキルエーテルリン酸塩が好適なものとして挙げられる。これらの陰イオン界面活性剤を構成する塩としては、ナトリウム塩やカリウム塩が挙げられる。水性洗浄剤における界面活性剤の配合量は、十分な洗浄性能の発現の点及び増粘剤の配合量との関係で、0.005〜2重量%、特に0.01〜1重量%であることが好ましい。 【0032】水溶性溶剤としては、エタノール、イソプロピルアルコール及びプロパノールなどの1価アルコール、エチレングリコール及びプロピレングリコールなどの多価アルコール、並びにその誘導体であるエチレングリコールモノメチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルなどが挙げられる。水溶性溶剤は、水性洗浄剤中に1〜50重量%、特に1〜20重量%配合されることが、臭い及び皮膚刺激性の低減の点から好ましい。 【0033】更に、水性洗浄剤には必要に応じ、除菌剤、香料、防黴剤、色素(染料、顔料)、キレート剤、ワックス剤等を含有させることもできる。 【0034】本発明の清掃シートは、図3に示すように、清掃部11と該清掃部11に連結された棒状の把手12とを具備した清掃具10における該清掃部11に装着されて用いられる。詳細には、清掃具10は、清掃シート1が装着可能である平坦な清掃部11、及び清掃部11と自在継手13を介して連結した棒状の把手12から構成されており、清掃シート1は、清掃部11に設けられた放射状のスリットを形成する可撓性の複数の片部14によって固定されるようになされている。掛かる清掃具10に装着することによって、立ったままの楽な姿勢で畳を清掃することができる。 【0035】本発明は前記実施形態に制限されない。例えば含浸用不織布として、単層構造のもの、特に、表面に微細な凹凸が形成されているものを用いることによって畳表の目の間に入り込んだ埃を効率的に除去することができる。そのような単層楮の不織布としては、例えば特開平9−67748号公報に記載の不織布等が挙げられる。 【0036】〔実施例1〜4並びに比較例1及び2〕芯がポリプロピレンからなり鞘がポリエチレンからなる芯鞘構造で、立体クリンプ形状をもつ低融点繊維(2.8dtex×51mm、鞘成分の融点130℃)を用いて坪量27g/m2のエアースルー不織布を作製した。繊維同士を温度140℃で熱接着させた。このエアスルー不織布の破断強度は流れ方向(MD)が1790cN/25mm、幅方向(CD)が240cN/25mmであった。 【0037】一方、レーヨン繊維(1.7dtex×40mm)と、アクリル繊維(0.9dtex×51mm)と、芯がポリプロピレンからなり鞘がポリエチレンからなる芯鞘繊維(1.0dtex×38mm)とを、重量比50/25/25の比率で混合し、常法のカード機で作製した坪量19g/m2の繊維ウエブを、前記エアースルー不織布の上下に積層した。次いで、低エネルギー条件でウォーターニードリング処理を施し、エアースルー不織布と繊維ウエブとを交絡させて繊維自由度の高い表面層を有する坪量65g/m2の複合スパンレース不織布を作製した。超音波エンボス機を用い、作製した不織布の全面に菱形格子状の凹凸模様からなるエンボス加工を施した。凸部の面積率は表1に示す通りであった。表1に示す配合組成の水性洗浄剤を、同表に示す含浸率で複合スパンレース不織布に含浸させて清掃シートを作製した。 【0038】〔比較例3〕坪量232g/m2の綿製の雑巾を、1重量%の食酢水溶液に浸し、手で固く絞って含浸率を140重量%とした。 【0039】〔性能評価〕得られた清掃シート及び濡れ雑巾について、前述の方法で洗浄剤放出量を測定すると共に、以下に述べる方法で髪の毛の捕集率、6畳目の醤油乾燥汚れの除去性を測定した。更に、いぐさ畳表の変色の程度及び洗浄液の臭いを評価した。結果を表1に示す。 【0040】〔髪の毛の捕集率〕クイックルワイパー〔花王(株)製〕に、清掃シートを装着した。30cm×60cmの畳上に約10cmの髪の毛を5本散布し、その上に清掃シートを乗せて一定のストローク(60cm)で2往復清掃して清掃シートに捕集された髪の毛の本数を測定した。この操作を連続6回実施して、30本中何本の髪の毛が捕集されたかを測定した。捕集された髪の毛の数を30で除し、これに100を乗じて、その値を髪の毛の捕集率(%)とした。但し、比較例3(濡れ雑巾)については、手で清掃を行った。 【0041】〔6畳目の醤油乾燥汚れの除去性〕1畳の畳上に市販の醤油を1滴(0.02g)垂らして、ドライヤーで乾燥させた。クイックルワイパー〔花王(株)製〕に、清掃シートを装着して別のきれいな畳を5畳分連続して清掃した後に、乾燥した醤油汚れが付着した畳1畳を清掃して以下の基準で評価を行った。尚、先に清掃する5畳分の畳は約90cmの距離を1往復拭くのを1ストロークとし、それを1畳の長手方向(180cm)に2列、短手方向(90cm)に4列拭いて1畳分の清掃とした。醤油汚れの付着した畳は汚れの上のみを拭いて、その清掃回数と汚れ落ちの関係を評価した。但し、比較例3(濡れ雑巾)については、手で清掃を行った。 ○:10往復以下の清掃で完全に汚れが除去できた。 ○〜△:15往復の清掃で完全に汚れが除去できた。 △:20往復の清掃で完全に汚れが除去できた。 △〜×:30往復の清掃で完全に汚れが除去できた。 ×:30往復を超えても完全に汚れは除去できなかった。 【0042】〔いぐさ畳表の変色の程度〕クイックルワイパー〔花王(株)製〕に、清掃シートを装着した。未使用のいぐさ畳表上に、このクイックルワイパーを30分静置した。その後クイックルワイパーを取り除き、静置場所を10分間風乾した。いぐさ畳表上にクイックルワイパーを静置する前後での畳表の色調変化を、ミノルタカメラ(株)製の色彩色差計CR−210を用いて測定し、色差ΔE*を求めた。ΔE*が1.5未満で、色調変化が目視でわからない場合を○、ΔE*が1.5以上で、色調変化が目視でわかる場合を×とした。 【0043】〔洗浄液の臭い〕洗浄剤を嗅いで、酸性の刺激臭がある場合は×、そうでない場合は○とした。 【0044】 【表1】
【0045】表1に示す結果から明らかなように、各実施例の清掃シート(本発明品)は、髪の毛の捕集率及び6畳目の醤油乾燥汚れの除去性の何れにも優れていることが判る。また、各実施例の清掃シートは、畳表に黄変を起こさせず、また洗浄剤に酸性臭がないことも判る。これに対して比較例1〜3の清掃シートは、各種汚れの除去性に劣り、また比較例2は、畳表に黄変を起こさせるものであることが判る。比較例3の濡れ雑巾は酢酸臭の強いものであった。 【0046】 【発明の効果】本発明の畳用清掃シートによれば、畳の過度の濡れ及びそれに起因する畳の傷みの発生が防止され、またいぐさ畳表の黄変が防止される。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000000918 【氏名又は名称】花王株式会社 【住所又は居所】東京都中央区日本橋茅場町1丁目14番10号
|
| 【出願日】 |
平成13年11月30日(2001.11.30) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100076532 【弁理士】 【氏名又は名称】羽鳥 修 (外1名)
|
| 【公開番号】 |
特開2003−164405(P2003−164405A) |
| 【公開日】 |
平成15年6月10日(2003.6.10) |
| 【出願番号】 |
特願2001−367964(P2001−367964) |
|