| 【発明の名称】 |
シャワーヘッド |
| 【発明者】 |
【氏名】大久保 貴泰
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| 【要約】 |
【課題】格別な構造を採用することなく、散水板の散水孔から噴射される噴射水を真っ直ぐ飛ばすことができるシャワーヘッドを提供する。
【解決手段】散水板7に形成した多数の散水孔10の総開口面積を25mm2以下に設定することにより、ヘッド部3内の静水圧を高くし、ヘッド部3内の水の挙動を抑えて、散水孔から噴射される水に対するヘッド部3内の水の流れの影響を排除し、これによって噴射水をほぼ真っ直ぐ飛ばすようにし、使用感に優れ、外観もきれいなシャワー水を得る。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一端がシャワーホースに連結される握り部およびこの握り部の他端に連設したヘッド部を有するシャワーヘッド本体と、上記ヘッド部に設けられ、多数の散水孔を開設した散水板とを備えたシャワーヘッドであって、上記散水孔の総開口面積を25mm2以下にしたことを特徴とするシャワーヘッド。 【請求項2】 上記散水孔の孔径を0.25mm以上0.5mm以下とし、かつこれら散水孔の総数を125個以上としたことを特徴とする請求項1に記載のシャワーヘッド。 【請求項3】散水板は、金属薄板にフォトエッチング加工することにより散水孔を開設してあることを特徴とする請求項2に記載のシャワーヘッド。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、シャワールーム、浴室、洗面台、または理容院や美容院などで使用されるシャワーヘッドに関する。 【0002】 【従来の技術】一般に、シャワーヘッドは、シャワーホースに接続される握り部及びヘッド部を備えたシャワーヘッド本体と、上記ヘッド部の先端に取り付けられ、多数の散水孔を開口した散水板とで構成されており、上記シャワーホースを通じて供給される水又はお湯はシャワーホース本体内を通り、散水板に形成した多数個の散水孔で分流されてそれぞれ細い糸状の水流となり、全体としてシャワー水となって放出されるようになっている。このようなシャワーヘッドにおいては、通常、握り部が上下に伸びているのに対し散水板は正面を向いており、握り部からヘッド部に流入した水はヘッド部内で流れの向きを変えて、ヘッド部正面の散水孔から噴出されることになる。ヘッド部内で流れの向きが変わると、ヘッド部内で水流の乱れが発生し、散水孔から噴射される水の噴射方向に乱れが生じる。更に説明すれば、ヘッド部で水流の向きが変わると、水流の一部は散水板の内面近くでこの内面に沿った流れを生じ、このため散水孔から前方へ向かおうとする噴射水に、この噴射方向に対し横向きの力(動水圧)が作用し、よって噴射方向が散水孔の軸線方向に対して一方へ偏よる。この結果、シャワー水の拡がり具合が周方向に不均一になってしまったり、一部の噴射水が不所望な方向に大きく外れるなど、均等な円錐形状のシャワーにならないといった問題がある。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】このような噴射方向を規制するため従来、例えば実開平5−26152号公報に記載されているように、複数の合成樹脂製の環体を同心状に組み合わせ、各環体の周面に複数の溝を設けることにより、これら溝にて散水孔を構成した散水板が知られている。このものは、散水孔の軸方向長さを大きくすることで長い散水孔で噴射方向をガイドし、よってヘッド部内の動水圧の影響を受けにくくしたものである。しかしながら、このような散水板は、複数の環体を組み合わせる構造であるため、部品点数が多くなり、成形のための金型も多く必要とし、組立手間もかかるなど、製造コストが高くなる。一方、噴射方向を規制する手段として、特開平9−239295号公報に記載されているように、各散水孔の形状及び向きをそれぞれ異ならせた構造の散水板も提案されている。しかし、この場合も各散水孔を成形するための金型ピンが複雑になり、成形金型全体の構造が複雑になるのでコスト高になるばかりでなく、散水板の板厚に制約があるので散水孔の軸方向長さを長くすることはできず、ヘッド部内の動水圧を拾って噴射方向が乱れる、といった問題がある。 【0004】本発明はこのような事情にもとづきなされたもので、ヘッド部内に生じる動水圧(流れの乱れ)の影響を軽減し、噴射孔から噴射される水の噴射方向に影響を及ぼすのを少なくしてきれいなシャワー水が得られるシャワーヘッドを提供しようとするものである。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため請求項1に係る発明は、シャワーヘッド本体のヘッド部に、多数の散水孔を開設した散水板を備えたシャワーヘッドであって、上記散水孔の総開口面積を25mm2以下にしたシャワーヘッドが提供される。このようなシャワーヘッドは、実質的に散水孔の総開口面積が絞られるため、ヘッド部内部の静水圧が高くなり、握り部からヘッド部に流れ込む水流の勢いが抑えられるので、ヘッド部内の流れの乱れが少なくなる。このため散水板の内面に沿う流れ(動水圧)が抑制され、噴射孔から噴射される水に横方向の力が作用するのが低減され、よって噴射水はほぼ噴射孔の軸線に沿って真っ直ぐに噴射されるようになる。この結果、噴射されるシャワー水に部分的な拡がりや偏った噴射が生じるのが軽減され、きれいなシャワー水が得られる。しかも、散水板の厚みを大きくしたり、孔の形を工夫するなどの格別な手段は不要になり、薄い散水板を用いて安価に製造することができる。なお、散水孔の総開口面積を小さくすればする程静水圧が高くなって噴射方向の乱れは少なくなり、しかも総開口面積を小さくすると単位時間当たりの通水量が少なくなって節水効果も生じるが、総開口面積を過度に小さくすると、浴びる水量が少なくなり、シャワーの使用感が損なわれる。一般に、通水量はシャワーの使用感から6リットル/分ないし12リットル1/分程度が好ましいとされているので、総開口面積は10mm2以上が望ましい。本発明の好ましい態様は、散水孔の総数を125個以上にし、かつ散水孔の直径を0.25mm以上0.5mm以下にしたことである。散水孔の総開口面積を減じる場合、孔の大きさを従来のままにして孔数を減らす、又は孔数を従来と同等にして孔を細くするなどの手段も可能であるが、孔数を減らすとシャワーを浴びる身体に対し全体に亘り均等な噴射が得られず、また孔を細くすると噴射圧が高くなって痛みを感じる。これに対し、散水孔の総数を125個以上にし、かつ散水孔の直径を0.25mm以上0.5mm以下にすると、シャワーの使用感を損なわず、快適なシャワー水を得ることができる。他の態様としては、散水板は、金属薄板にて形成され、散水孔をフォトエッチング加工により開設してあることであり、これにより小さな散水孔を多数個開口した散水板を容易に製造することができる。 【0006】 【発明の実施の態様】以下本発明について、シャワーヘッドに適用した一実施例を図面にもとづき説明する。図1はシャワーヘッドの一部断面して示す側面図、図2は散水板の正面図、図3は散水板の部分断面図である。図において、1はシャワーヘッド本体であり、握り部2とヘッド部3とで構成されている。これら握り部2およびヘッド部3は合成樹脂からなり、互いに図示しないネジ結合またはバヨネット結合などの手段で脱着可能に連結されている。握り部2は中空円筒形をなして内部に導水路4を構成しており、この導水路4の一端が導入口5となっており、この導入口5が図示ないシャワーホースに連結されるようになっている。なお、図示しないシャワーホースは周知の通り、給水栓又は混合栓などに接続される。握り部2の他端に連結されるヘッド部3も中空形状をなして内部に比較的容積の大きな給水路6を有している。この給水路6は上記握り部2の内部空間に連なっている。このヘッド部3の前面先端には散水板7が取り付けられている。この散水板7は、ヘッド部3に対し押えリング8よって脱着可能に取り付けられているとともに、ゴムなどのシール材9により水密が保たれている。 【0007】上記散水板7について説明する。本例の散水板7はステンレスの薄板からなり、このステンレス薄板は板厚0.4mm、直径50mm程度の円盤をなしている。このようなステンレス製の散水板7には多数の散水孔10…が開口形成されている。各散水孔10は直径は0.25mm以上で0.5mm以下の円形になっており、本例では、後述するように、直径0.30mmの孔が開けられている。そして、上記散水孔10は、図2に示されるように、散水板7の中心に対して均等に配分されている。本例では、複数の散水孔10を環状に配して散水孔列11…を構成し、これら複数の散水孔列11…が同心状に配されている。中心寄りの散水孔列は孔数が少なく、外周に近づくにつれて孔数が多くなっている。これら散水孔10の総数は234個とされている。したがって、本例では孔径0.30mmの散水孔10…が合計224個開口されており、散水孔の総開口面積は15.82mm2となっている。 【0008】なお、上記散水板7は、図1に示される通り、中央部が前方に出っ張る湾曲又は皿型に形成されており、外側の散水孔列から噴出された噴射水が、前方で若干拡がるように、つまりシャワー水を横から見た場合に全体像が円錐形状になるように構成されている。また、この散水板7は、上記散水孔10…が小さな開口の孔であるとともに、全体として高密度に配置されることから、ドリルなどの孔開け加工では多大な手間を要し、また樹脂による型加工では金型が複雑になるとともに金型寿命が短くなる等の理由から、ステンレス薄板を用い、フォトエッチング加工によって製造されている。 【0009】このような構造のシャワーヘッドについて、その作用を説明する。シャワーヘッド本体1をシャワーホースに連結して給水栓を開けると、水道水(又はお湯)がシャワーホースを通じてシャワーヘッド本体1に供給され、この水は握り部2下端の導入口5から導水路4を通り、ヘッド部3の給水路6に至る。供水路6内の水は散水板7の散水孔10…からシャワー水となって噴射される。しかして、ヘッド部3の給水路6においては、握り部2から流入した水が矢印Aで示すように、ヘッド部3の正面壁に衝突して流れの向きを変える。向きが変わった水流は、矢印Bで示す通り、散水板7の内面に沿う流れを生じる。散水板7の内面に沿う流れは、図3に示すように、散水孔10からこの孔の軸線に沿う方向へ噴射されようとする水流に対し横向きの力を与え、このため噴射水は正しく軸線方向に真っ直ぐ噴射されず、破線矢印Cで示すように、軸線から外れた方向に向かう。この結果、均等な円錐に拡がって欲しいシャワー水に対し、部分的に一方へ大きく拡がったシャワーのパターンが生じるといった問題がある。この問題に対し、本例では、散水孔10…の総開口面積を15.82mm2にしたから、散水板7を通過する水量が規制される。すなわち、従来の散水板は、孔径1.0mmないし0.8mm程度であり、孔数が60個ないし80個であって、総開口面積は30.14mm2ないし62.8mm2程度であった。これに対し、本例では散水孔10…の総開口面積が従来の約1/2ないし1/4に減じられたため、ヘッド部3の給水路6内では水圧(静水圧)が高くなる。ヘッド部3の内圧が高くなると、握り部2からヘッド部3に流入する水の勢いが抑えられ、前記矢印Bで示される散水板7の内面に沿う流れの勢い(動水圧)も弱くなる。したがって、散水孔10…から外に噴射される噴射水に対し、軸線方向とは異なる方向に作用する力が抑制されるようになり、噴射水はほぼ真っ直ぐ飛ぶようになる。 【0010】この結果、シャワー水の噴射パターンはほぼ均等な円錐に拡がり、人体の当たって欲しい場所に正しく当たるとともに、噴射の外観も向上する。また、噴射水が散水孔10から真っ直ぐ噴射されることから、散水板7は1枚の板で構成することができるとともに、噴射をガイドするための板厚も必要でなくなり、従来のような環体を同心状に結合した散水板などに比べて、部品点数が少なくてすみ、組立手間も少なくなり、材料費も少なくてすむのでコスト安になる。そして、噴射水が真っ直ぐ噴射されるので、散水孔10の形状もストレートな孔であってよく、孔の形状に格別な工夫が不要であるから、金型成形などの面倒な設備がいらない。このようなことから本実施例では、散水板7を、ステンレス板にて構成し、フォトエッチング加工により製造することができた。また、散水板7をフォトエッチング加工品で構成すれば、開口径が小さな多数の散水孔10…を高密度に開口することができる。散水板を合成樹脂にて構成し、同等孔径、同等密度の孔を形成しようとすると、成形金型に小さな針状の突起を精密に形成する必要があり、このような成形金型は製造が困難であり、針状突起が折損し易いなどの問題もあるので、フォトエッチング加工にて製造するのが有利である。 【0011】そして、上記のように散水板の総開口面積を減じることによってヘッド部3の内圧が高くなると、各噴射孔10…から噴射される水の勢いは強くなるが、本例では散水孔10を合計224個開けてあるから、各孔から噴射される噴射水の勢いが弱くなり、頭や肌に当てたときに軟らかい刺激になる。又、総開口面積を減じると、節水されて通水量が少なくなるが、散水孔10を合計224個開けたことにより、節水しつつ、しかしながら必要とする最低限の水量を確保することができる。そして孔数が増えても、散水孔10の孔径を0.3mm程度に小さくしてから総開口面積を絞ることができ、節水効果も生じる。 【0012】本発明は、散水孔の総開口面積を25mm2以下にした場合、噴射水をほぼ真っ直ぐ噴射するのに有効である。これについてテストした結果を説明する。テストは、図4に示す通り、シャワーヘッドの散水板を下に向け、散水板から真下に向けてシャワー水を噴射し、60cm離れた位置の噴射面におけるシャワー水の拡がりパターンを調べた。パターンの中心から手前側(握り部側)の拡がり寸法をaとし、先方側の拡がり寸法をbとする。前述の図3に示す通り、ヘッド部3内でB方向の流れが大きい場合はaの寸法が大きくなり、これに比較してbの寸法は小さくなる(a>b)といった傾向がある。a/bを偏差とし、この偏差が1に近づけば噴射水は真っ直ぐ噴射していることになる。下記表1には、各種のシャワーヘッドについて、流量(リットル/分)毎に偏差(a/b)を測定した結果を示す。 【0013】 【表1】
【0014】表1に示す測定結果より、どの流量域であっても総開口面積が小さくなるにつれて噴射パターンの偏りが少なくなる、すなわち、a寸法とb寸法が近づく傾向になることが判る。そして、比較例1ないし比較例3は従来の既存のシャワーヘッドの場合であるが、これら従来の場合、偏差(a/b)が1.8ないし1.2となっており、噴射の偏りが大きい。これに比べて、前記実施例の場合は、開口面積が従来の1/4ないし1/2に減じられており、これに伴い偏差(a/b)が1.05以下になっいる。したがって噴射孔10から噴射される噴射水はほぼ真っ直ぐに飛んでいることが判る。 【0015】総開口面積を減じることによりヘッド部3内の静水圧を高めたとしても流れの影響を完全に排除することは難しく、矢印B方向の流れは大部分抑制されるものの若干の影響を受けることは避けられない。噴射パターンの偏差(a/b)は1.0が理想であるが、1.2未満であればシャワー使用時の違和感が軽減され、またシャワーの側方から見た外観および噴射パターンも許容される範囲と判断されるので、偏差(a/b)が1.2未満なら合格とする。変形例1ないし変形例6は、散水孔の大きさ、孔数を変えて総開口面積を変更した場合の偏差を観測したものである。これらの例は、相対的に総開口面積を減じた場合であり、中でも総開口面積の大きな変形例2の場合は、総開口面積が24.93≒25mm2であり、噴射パターンの偏差(a/b)は最大1.15である。したがって、総開口面積を25mm2以下にすれば、噴射パターンの偏差(a/b)を1.2未満にすることができ、シャワー水の偏った噴射や局部的に不所望な方向への噴射が軽減され、使用時の違和感や外観が改善される。また、変形例6は総開口面積を、10.74mm2にした例であるが、この場合噴射パターンは極めて優れているが、散水孔の総開口面積を絞りすぎている傾向にあり、このため流量12リットル/分を確保することができない。このような場合、水栓側の元の水圧が低いときにはシャワー水の勢いがなくなるので、総開口面積は10mm2以上であることが望ましい。上記実施例では、散水板をフォトエッチング加工にて構成したが、本発明は、散水板を合成樹脂によって型成形した場合であっても構わない。 【0016】 【発明の効果】以上説明した通り本発明によれば、散水孔の総開口面積を小さくしたから、ヘッド部内の静水圧が高くなり、ヘッド部内の不所望な水の流れを抑えることができるので、散水孔から出る噴射水をほぼ真っ直ぐ飛ばすことができるようになる。このため、従来のように散水板の板厚を大きくして孔の長さを長くしたり、孔の形状を工夫したり、複数の環体を同心状に組み合わせる等の面倒な加工や構造を必要とせず、簡単な構造で使用感に優れたきれいなシャワー水を噴射することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】592104461 【氏名又は名称】大久保 貴泰
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| 【出願日】 |
平成14年4月3日(2002.4.3) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2003−290062(P2003−290062A) |
| 【公開日】 |
平成15年10月14日(2003.10.14) |
| 【出願番号】 |
特願2002−134704(P2002−134704) |
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