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【発明の名称】 乾式トイレ
【発明者】 【氏名】矢作 尚
【住所又は居所】兵庫県尼崎市金楽寺町2丁目2番33号 株式会社タクマ内

【要約】 【課題】一般家庭で使用される乾式トイレに於いて、水の代わりに古新聞等の吸湿性のある古紙を使用し、各家庭から排出されるし尿に古紙を混入してこれらをコンポストやバイオガスに簡単且つ容易に変換できるようにすると共に、下水道負荷や水道使用量を大幅に減らせるようにする。

【解決手段】トイレ内の床に設置された無水式の便器1と、トイレ内に設けられ、吸湿性のある古紙aを便器1のし尿排出口1bから落下排出されたし尿bに混入させると共に、古紙aが混入されたし尿bをコンポスト装置A又はメタン発酵装置Bへ供給する古紙混入搬送装置2とから構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 トイレ内の床に設置された無水式の便器と、トイレ内に設けられ、吸湿性のある古紙を便器のし尿排出口から落下排出されたし尿に混入させると共に、古紙が混入されたし尿をコンポスト装置又はメタン発酵装置へ供給する古紙混入搬送装置とから構成したことを特徴とする乾式トイレ。
【請求項2】 古紙混入搬送装置は、吸湿性のある古紙を細かく裁断して貯蔵すると共に、貯蔵した古紙を定量ずつ排出する古紙供給装置と、古紙供給装置から排出された古紙を便器のし尿排出口の下方へ搬送してし尿と一緒にコンポスト装置又はメタン発酵装置へ搬送する搬送装置とから成ることを特徴とする請求項1に記載の乾式トイレ。
【請求項3】 古紙供給装置は、古紙を細かく裁断する裁断機と、裁断された古紙を貯蔵する貯蔵部と、貯蔵部に貯蔵された古紙を搬送装置の上流側へ定量ずつ排出する排出機構とを備えていることを特徴とする請求項2に記載の乾式トイレ。
【請求項4】 搬送装置は、筒状のケーシング内にスクリュー羽根を回転自在に設けたスクリューコンベヤから成り、その下流側部分に、臭気の逆流を防止するシール部と、下流側へ搬送されたし尿と古紙の混合物をコンポスト装置又はメタン発酵装置へ落下排出させる解砕部とを備えていることを特徴とする請求項2に記載の乾式トイレ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主に一般家庭や農家、酪農家等の各家庭に設置される乾式トイレの改良に係り、各家庭から排出されるし尿に吸湿性のある古紙を混入し、各家庭から排出されるし尿をコンポストやバイオガスに簡単且つ容易に変換できるようにすると共に、下水道負荷や水道使用量を大幅に減らせるようにした乾式トイレに関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、各家庭で使用されているトイレは、その殆どが水洗式のトイレである。この水洗式のトイレには、便器から水洗により流されたし尿を一旦浄化槽に貯留し、バクテリア等の微生物によって浄化処理するようにした簡易型水洗トイレと、便器から水洗により流されたし尿を下水道を通して下水処理場へ送り、ここで浄化処理するようにした都市型水洗トイレとがある。
【0003】然し乍ら、簡易型水洗トイレ及び都市型水洗トイレは、何れも便器内のし尿を流すのにエネルギーコストの高い上水を多量に使用しているうえ、水洗水により増量されたし尿を浄化するために莫大なエネルギーが消費されると云う問題があった。
【0004】この問題を解決する方法としては、各家庭から排出されたし尿を、既に実用化されているコンポスト装置やバイオガス化装置(以下メタン発酵装置と呼ぶ)を用いてコンポストやバイオガス(家畜の糞尿や生ごみ等の発酵可能な有機性廃棄物を嫌気性発酵させて取り出した可燃性ガスであり、メタンガスを主成分としている)に変換してリサイクルすると云う方法がある。しかし、各家庭から排出されるし尿には、上述した水洗式のトイレを使用しているために水分が多量に含まれており、コンポストやバイオガス(以下メタンガスと呼ぶ)にするには制御が極めて難しいと云う問題があった。
【0005】一方、各家庭で使用されているトイレには、水洗式のトイレの他に水洗水を使用しない乾式トイレがある。この乾式トイレには、し尿に吸湿材として籾殻やおが屑を混入し、籾殻やおが屑を混入したし尿をコンポスト装置やメタン発酵装置に供給してコンポストやメタンガスに変換できるようにしたものがある。しかし、吸湿材として使用する籾殻やおが屑は、一般家庭では簡単に手に入り難く、又、例え手に入ったとしても貯留し難いと云う問題があった。そのため、上述した乾式トイレは、一般家庭では殆ど普及していないのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、水の代わりに古新聞等の吸湿性のある古紙を使用し、各家庭から排出されるし尿に古紙を混入してこれらをコンポストやバイオガスに簡単且つ容易に変換できるようにすると共に、下水道負荷や水道使用量を大幅に減らせるようにした乾式トイレを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本件発明者は、各家庭から毎日多量に排出される新聞や雑誌等の古紙の吸湿性に着目し、この吸湿性のある古紙を吸湿材として使用するようにした乾式トイレを開発した。即ち、本発明の請求項1に記載の発明は、トイレ内の床に設置された無水式の便器と、トイレ内に設けられ、吸湿性のある古紙を便器のし尿排出口から落下排出されたし尿に混入させると共に、古紙が混入されたし尿をコンポスト装置又はメタン発酵装置へ供給する古紙混入搬送装置とから構成したことに特徴がある。
【0008】本発明の請求項2に記載の発明は、古紙混入搬送装置が、吸湿性のある古紙を細かく裁断して貯蔵すると共に、貯蔵した古紙を定量ずつ排出する古紙供給装置と、古紙供給装置から排出された古紙を便器のし尿排出口の下方へ搬送してし尿と一緒にコンポスト装置又はメタン発酵装置へ搬送する搬送装置とから成ることに特徴がある。
【0009】本発明の請求項3に記載の発明は、古紙供給装置が、古紙を細かく裁断する裁断機と、裁断された古紙を貯蔵する貯蔵部と、貯蔵部に貯蔵された古紙を搬送装置の上流側へ定量ずつ排出する排出機構とを備えていることに特徴がある。
【0010】本発明の請求項4に記載の発明は、搬送装置が、筒状のケーシング内にスクリュー羽根を回転自在に設けたスクリューコンベヤから成り、その下流側部分に、臭気の逆流を防止するシール部と、下流側へ搬送されたし尿と古紙の混合物をコンポスト装置又はメタン発酵装置へ落下排出させる解砕部とを備えていることに特徴がある。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の実施の形態に係る乾式トイレの概略縦断面図を示し、当該乾式トイレは、トイレ内の床に設置された無水式の便器1と、トイレ内に設けられ、吸湿性のある古新聞や雑誌等の古紙aを便器1から排出されたし尿bに混入させると共に、古紙aが混入されたし尿bをコンポスト装置A又はメタン発酵装置Bへ供給する古紙混入搬送装置2とから構成されている。
【0012】前記便器1は、トイレ内の床面にボルト等の固定具により据え付け固定されており、便器1の上面には使用者が座る便座1aが、又、便器1の下端部には床面に形成した開口に連通するし尿排出口1bが夫々形成されている。この実施の形態に於いては、便器1に洋式の便器1を使用しているが、他の実施の形態に於いては、便器1に和式の便器(図示省略)を使用するようにしても良い。
【0013】前記古紙混入搬送装置2は、吸湿性のある古紙aを細かく裁断して貯蔵すると共に、貯蔵した古紙aを定量ずつ排出する古紙供給装置3と、古紙供給装置3から排出された古紙aを便器1のし尿排出口1bの下方へ搬送してし尿bと一緒にコンポスト装置A又はメタン発酵装置Bへ搬送する搬送装置4とから成る。
【0014】即ち、前記古紙供給装置3は、古紙aを貯蔵する貯蔵槽5に裁断機6及び排出機構7を設けたものであり、古紙aの吸湿性を高めるために古紙aを裁断機6により細かく裁断して貯蔵槽5に貯蔵し、乾式トイレの使用時に貯蔵している古紙aを排出機構7により定量ずつ搬送装置4へ排出するようにしたものである。
【0015】具体的には、貯蔵槽5は、略四角筒状に形成されており、トイレ内の床に起立姿勢で設置されている。この貯蔵槽5の上端には古紙aの投入口5aが、又、貯蔵槽5の中間部には古紙aの貯蔵部5bが、更に、貯蔵槽5の下端には古紙aの排出口5cが夫々形成されている。
【0016】又、裁断機6は、貯蔵槽5の上部に設けられており、貯蔵槽5の投入口5aから投入された新聞や雑誌等の古紙aをその吸湿性を高めるために細かく裁断するものである。この裁断機6は、貯蔵槽5内の上部位置に水平姿勢で対向状に設けた回転自在な左右一対の回転軸6aと、左右の回転軸6aにその長手方向に沿って一定間隔毎に夫々取り付けられ、互いに齟齬状態になる複数枚の左右の円形の回転刃6bと、左右の回転軸6a及び左右の回転刃6bを互いに反対方向へ回転駆動させるモータ等の駆動部(図示省略)とから成り、貯蔵槽5の投入口5aから投入された古紙aを互いに反対方向へ回転する回転刃6bにより細かく裁断するように構成されている。
【0017】更に、排出機構7は、貯蔵槽5の下部に設けられており、貯蔵部5bに貯蔵されている細かく裁断された古紙aを定量ずつ排出するものである。この排出機構7は、貯蔵槽5内の下部位置に水平姿勢で対向状に設けた回転自在な左右一対の回転軸7aと、左右の回転軸7aに夫々取り付けられ、互いに当接可能な楕円形状の左右のローター7bと、左右のローター7bを互いに反対方向へ回転駆動させるモータ等の駆動部(図示省略)とから成り、前記左右のローター7bは、その外周面が互いに接触して貯蔵部5bと排出口5cを連通する空間を閉鎖する閉鎖位置(図1の実線位置)と、その外周面が互いに離れて貯蔵部5bと排出口5cを連通する空間を開放する開放位置(図1の一点鎖線位置)とに亘って回転自在となっている。而して、この排出機構7によれば、左右のローター7bを駆動部により閉鎖位置と開放位置と亘って回転駆動させることによって、貯蔵部5bに貯蔵されている古紙aを定量ずつ排出することができる。尚、排出機構7による古紙aの排出量は、左右のローター7bの回転数を調整することにより決定される。
【0018】一方、前記搬送装置4は、トイレ内の床下に配設されており、古紙供給装置3から排出された古紙aを便器1のし尿排出口1bの下方へ搬送してし尿bと一緒にコンポスト装置A又はメタン発酵装置Bへ搬送するものである。この実施の形態に於いては、搬送装置4には、筒状のケーシング8内にスクリュー軸9及びスクリュー羽根10を回転自在に設けたスクリューコンベヤが使用されている。
【0019】具体的には、搬送装置4は、トイレ内の床下に水平姿勢で配設された円筒状のケーシング8と、ケーシング8内に回転自在に配設されたスクリュー軸9と、スクリュー軸9の外周面に取り付けられたスクリュー羽根10と、スクリュー軸9を回転駆動するモータ等の駆動部11とから成り、上流側に投入された古紙aをスクリュー軸9及びスクリュー羽根10の回転によってケーシング8内を便器1の下方位置へ順次搬送し、便器1の下方位置で古紙aが混入されたし尿bをコンポスト装置A又はメタン発酵装置Bへ搬送できるように構成されている。尚、ケーシング8の上流側端部には貯蔵槽5の排出口5cに接続される古紙aの入口8aが、又、ケーシング8の中間部には便器1のし尿排出口1bに接続されるし尿bの受入れ口8bが、更に、ケーシング8の下流側端にはコンポスト装置A又はメタン発酵装置Bに接続されてし尿bと古紙aの混合物cが排出される混合物cの落下口8cが夫々形成されている。
【0020】そして、前記搬送装置4の下流側部分には、コンポスト装置A又はメタン発酵装置Bからの臭気の逆流を防止するシール部12と、下流側へ搬送されたし尿bと古紙aの混合物cを落下口8cへ確実且つ良好に落下排出させる解砕部13とが下流側へ向って順次設けられている。即ち、シール部12は、下流側端部の近傍のスクリュー羽根10のピッチを小さくすることにより形成されており、スクリュー羽根10のピッチを小さくすることによって、コンポスト装置A又はメタン発酵装置Bからの臭気が逆流し難いようになっている。又、解砕部13は、下流側端部のスクリュー羽根10の向きを逆向きにすることにより形成されており、スクリュー羽根10により下流側へ搬送されて来てシール部12を通過したし尿bと古紙aの混合物cが逆向きのスクリュー羽根10により解砕されて落下口8cへ落下排出されるようになっている。
【0021】尚、上述した裁断機6の駆動部、排出機構7の駆動部及び搬送装置4の駆動部11は、何れも乾式トイレの使用者がトイレ内の壁面に設けた制御盤(図示省略)を手動操作することにより駆動制御されている。
【0022】又、搬送装置4の下流側に接続されるコンポスト装置A又はメタン発酵装置Bは、何れも従来公知のものと同様構造に構成されており、コンポスト装置Aは、し尿bを好気性雰囲気下の発酵槽内で発酵処理して無害な有機肥料とするものであり、又、メタン発酵装置Bは、し尿bを嫌気性雰囲気下の発酵槽内で発酵せしめてメタンガスを生成するものである。このメタンガスは、ボイラ等の燃料として使用される。
【0023】次に、上述した乾式トイレを使用する場合について説明する。使用者は乾式トイレを使用した後、トイレ内の壁面に設けた制御盤を手動操作して古紙供給装置3の排出機構7と搬送装置4とを作動させる。そうすると、貯蔵槽5内の貯蔵部5bに予め貯蔵されている細かく裁断された古紙aが排出機構7により一定量だけ排出口5cから排出され、搬送装置4のケーシング8の入口8aからケーシング8内に入る。
【0024】ケーシング8内に入った古紙aは、ケーシング8内で回転するスクリュー軸9及びスクリュー羽根10によってケーシング8内を便器1側へ搬送されて行き、便器1のし尿排出口1bから受入れ口8bを経てケーシング8内に落下排出されたし尿bへ混入される。このとき、古紙aが細かく裁断されてその吸湿性が高められているため、し尿bの水分調整が行い易くなる。
【0025】そして、古紙aが混入されたし尿bは、引き続きスクリュー羽根10によってケーシング8内を下流側へ搬送されて行き、シール部12を通過した後、解砕部13の逆向きのスクリュー羽根10に衝突して落下口8cからコンポスト装置A又はメタン発酵装置Bへ落下排出され、コンポスト装置A又はメタン発酵装置Bで発酵処理される。
【0026】尚、コンポスト装置A又はメタン発酵装置Bからの臭気は、搬送装置4の下流側に設けたシール部12により逆流が阻止される。そのため、乾式トイレの使用者に不快感を与えることがない。又、搬送装置4の下流側に搬送されたし尿bと古紙aの混合物cは、搬送装置4の下流側に設けた解砕部13により落下口8cからコンポスト装置A又はメタン発酵装置Bへ確実且つ良好に落下排出されることになり、搬送装置4内で停滞すると云うことがない。
【0027】
【発明の効果】本発明の乾式トイレは、次のような優れた効果を奏し得る。
(1)本発明の乾式トイレは、無水式の便器から排出されたし尿に吸湿性のある古紙を混入させ、古紙が混入されたし尿をコンポスト装置又はメタン発酵装置へ供給できるようにしているため、水洗式のトイレから排出されたし尿に比較して水分調整が行い易くなり、し尿をコンポストやバイオガスに簡単且つ容易に変換することができる。
(2)本発明の乾式トイレは、水の代わりに新聞等の古紙を使用しているため、水洗式のトイレを使用している場合に比較して下水道負荷が下がると共に、水道使用量が大幅に減少し、経済的に極めて優れたものとなる。
(3)本発明の乾式トイレは、吸湿材として一般の家庭でも簡単に手に入る新聞等の古紙を使用しているため、一般家庭へ簡単に普及させることができる。
(4)本発明の乾式トイレは、吸湿性のある古紙を細かく裁断してし尿に混入するようにしているため、古紙の吸湿性がより高められてし尿の水分調整がより行い易くなり、し尿をコンポストやバイオガスにより一層簡単且つ容易に変換することができる。
(5)本発明の乾式トイレは、搬送装置の下流側部分に、臭気の逆流を防止するシール部と、下流側へ搬送されたし尿と古紙の混合物をコンポスト装置又はメタン発酵装置へ落下排出させる解砕部とを備えているため、コンポスト装置又はメタン発酵装置からの臭気が逆流すると云うことがなく、使用者に不快感を与えることがないうえ、し尿と古紙の混合物をコンポスト装置又はメタン発酵装置へ確実且つ良好に供給することができる。
(6)本発明の乾式トイレを使用すれば、家庭から排出される生ごみもし尿と一緒にコンポスト又はバイオガスに変換することができる。この場合には、家庭から排出されるごみの量が減少し、ごみ処理場の負荷が少なくなる。
【出願人】 【識別番号】000133032
【氏名又は名称】株式会社タクマ
【住所又は居所】大阪府大阪市北区堂島浜1丁目3番23号
【出願日】 平成14年1月15日(2002.1.15)
【代理人】 【識別番号】100082474
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 丈夫 (外1名)
【公開番号】 特開2003−204898(P2003−204898A)
【公開日】 平成15年7月22日(2003.7.22)
【出願番号】 特願2002−5497(P2002−5497)