| 【発明の名称】 |
屎尿処理装置及び屎尿処理方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】中台 光雄 【住所又は居所】鎌倉市常盤258番地 リンフォース工業株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】屎尿及び、その分解残溜物を運び出す事なく、すべてを発生場所で処理する屎尿処理装置と屎尿処理方法を提供すること。
【解決手段】屎尿を分解液化させ、液化した屎尿を土壌微生物によって浄水化すると共に残留する未分解有機物も土壌微生物の力により処理し、外部に廃棄物を出さないようにした。 |
【特許請求の範囲】
【請求項I】 一回の洗浄水量が100ccから1000cc程度の水洗便器又は一回の洗浄水量が500cc以下の簡易水洗便器を搭載した便槽の壁面上部に屎尿水取出口を、便槽の側面又は壁面下部に、残留有機物取出口を設け,夫々の取出口を、水分が土壌中へ毛細管移動するように水平状に配設された多孔管よりなる浸透装置に接続して、屎尿と残留有機物を夫々の浸透装置から土壌に浸透させる屎尿処理装置。 【請求項II】 少水量水洗便器を使用して、屎尿を嫌気菌による分解に適する濃度に調整し、便槽を兼ねる消化槽で固形物を分解液化させ、壁面上部に設けられた屎尿取出口から流出する屎尿水を好気性菌の働き易い地表より数十センチ下の土壌中に水平状に配設された多孔管より成る浸透装置に送り込んで浄化すると共に、未分解の残留有機物を便槽底面又は側面下部に設けられた取出口に接続する地表より数十センチ下の土壌中に水平状に配設された多孔管より浸透装置に送り込み、長い時間をかけて液化消滅させることを特徴にとする屎尿処理方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はトイレの屎尿のすべてを放流せずに処理する装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、山小屋等、バキュームカーによる汲取が困難な地区では汲取便所の汚物の処理には困っている。山小屋等でシーズンの終わりに便槽から屎尿を放流すると、不溶性のティッシュペーパーが残り、有名な富士山の白い川のような惨状を呈する。土壌微生物の浄化力を利用して汚水を浄化する方法が発達し、本出願人が特平9−198703に提案しているような、汚物を嫌気処理して得られる有機物を含む水分のみを土壌中に水平に配設された多孔管から土壌中に毛細管浸透させて浄化し、浄化された水を便器洗浄水として再利用したり、放流したりする方法がある。この方法では大便中の有機物のかなりの量を便槽を兼ねる消化装置内で分解液化し、小便と共に土壌中に浸透させ、きれいな水に変えている。 【0003】人間の体内から排出された有機物を嫌気分解すると、分解に働く微生物が有機物を自らの新細胞に変えていく量が好気分解で働く好気菌の新細胞形成量より遙かに少なく、殆どの有機物がメタンガス、炭酸ガスと水に分解される。こうして分解された水分と尿を土壌に浸透させて処理するのが前記の土壌による処理方法であるが、高温の期間の短い山岳地帯等で、大便の量が多かった場合は夏の数ヶ月間では分解されずに、未分解有機物が汚泥と同じような形状で便槽に残り、これをシーズンの終わりに汲み取ったり、斜面に流して処理しているのが現状である。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】解決しようとする課題は、第一に人体から排出する大便小便を、高い有機物濃度を持つ状態で嫌気分解する消化槽と、その槽で液化された屎尿水を土壌中の毛管水領域に浸透させ浄化する装置と、未分解で消化槽中に残った有機物をまとめて土壌中に保持し長い時間をかけて液化分解し、土壌中の毛管水領域に浸透させ浄化する装置を、第2には、液化された屎尿有機物と未分解の屎尿有機物を、夫々土壌の浄化力を利用して処理する方法を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明は前記した課題を達成するために、一回の洗浄水量が100cc〜1000cc程度の水洗便器又は一回の洗浄水量が500cc以下の簡易水洗便器を搭載した便槽の壁面上部に屎尿水取出口を、便槽の底面又は壁面下部に有機物取出口を設け、夫々の取り出し口を水分が土壌中へ毛細管移動するように、水平状に配設された多孔管より成る浸透装置に接続して、屎尿と残留有機物を夫々の浸透装置から土壌に浸透させ、土壌微生物の働きにより処理することを特徴とする。 【0006】そして本発明の屎尿処理方法では少水量水洗便器を使用して、屎尿を嫌気菌による分解に適する濃度に調整し、便槽を兼ねる消化槽で固形物を分解液化させ、壁面上部に設けられた屎尿取出口から流出する屎尿水を好気性菌の働き易い地表より数十センチ下の土壌中に水平に埋設された多孔管より成る浸透装置に送り込んで浄化すると共に、未分解の残留有機物を、便槽底面又は壁面下部に設けられた取出口に接続する地表より数十センチ下の土壌中に水平状に配設された多孔管より成る浸透装置に流入させ、長い時間をかけて、液化消滅させる方法を特徴とする。 【0007】本装置では便槽に空気の流入を少なくし嫌気状態に保って、消化槽として機能させ、屎尿に通性嫌気菌、偏性嫌気菌を働かせ、屎尿を分解液化させる。屎尿は嫌気菌の働きにより分解されて蛋白質、脂肪、炭水化物は酢酸、アミノ酸、プロピオン酸等の有機酸に分解され液化する。尿中の尿素は桿菌等の出す酵素によってアンモニア態のチッソに変える。トイレットペーパーもパルプ系の物なら時間がかかるが有機酸に変える。消化槽での屎尿の嫌気分解は温度と濃度によって影響を受ける。温度については嫌気菌の温度限界は0°〜75°といわれているが、普通に存在する低温菌に最適な温度範囲は16°〜20°である。濃度については、有機物濃度1%以上が必要といわれている。普通の屎尿は有機物濃度の基準となるBOD値が8000〜15000PPMであるから、これを水洗便器等で多量の水を入れると薄く成りすぎる。普通は50倍に稀釈される。従って一回の洗浄水量が平均500cc以下の簡易水洗便器等を使用することによりBOD値3000〜5000PPMの屎尿水が得られ、嫌気分解に適した有機物濃度が保たれる。 【0008】屎尿処理場での本格的嫌気処理では屎尿を各種有機酸、アセトン、グリセリン、アルコール等に分解液化して、更に出来るだけ多くを水とメタンガス、炭酸ガス等に変えるところまでやるが、本システムでは消化槽での分解は液化までで良い。各種有機酸、アセトン、グリセリン、アルコール等に分解された屎尿液は次に送られる。次に屎尿液を地表から20〜30センチ位の通気性のある土壌中に送り込む。ここは土壌の好気的な部分に住む好気性土壌微生物の働き易い場所である。好気菌類は上記の各種有機酸アセトン、グリセリン、アルコール等の屎尿液化物を良い餌として増殖し、有機物をガスと水に変えていく。最も多く含まれるチッソ分も同じ好気領域に住む硝化菌、亜硝酸菌の働きにより亜硝酸から硝酸に変わり、一部は窒素ガスとして気化する。 【0009】この好気土壌帯に屎尿水を送り込む方法も又大切である。表層土壌は好気的であるが水に浸かれば嫌気状態になってしまうので土壌の好気的状態を残したまま屎尿水を移動させなければならない。それには毛管浸透法を使うのが最適である。表層の土壌は図9のような形になっている。土壌粒子が所々に空隙を持ちながら連続して折り、その土壌の粒子の表面には水が付着し、隣同士がつながって薄い膜状をなしている。この膜は極めて薄いため水が管状に密閉されていないにもかかわらず 、毛細管現象を起こし、表面張力により上下左右に移動する。地表の水分が蒸発すると下から水分が補われるのはこの運動によっている。地上に水を撒くと土中に入った水は図の空隙を伝わって下方へ流れていくので中々毛管水領域に水を送り込めない。そこで土壌中の空気層を保ちながら毛管水領域へ屎尿水を送り込む方法をとらねばならない。それが図10に示す毛管浸透工法である。重力浸透を防ぐ皿状体の上に置いた多孔管内に屎尿水を通すと、多孔管に接する側面の土壌中の土壌粒子を取り巻く土壌の毛管水領域の中に屎尿水はゆっくりと吸収されていく。吸収された屎尿水は空気層に触れながら左右へ約一メートルまで毛管移動しながら下へ下って行く。その間に好気菌の作用を受け屎尿水は分解され清水に近くなっていく。土壌は微細な粘土系粒子が集まり団粒化した土壌であると、団粒内部には嫌気菌、外部には好気菌という棲み分けが行われるので、団粒構造土壌中に屎尿水を通すと更に清浄な水となる。 【0010】残留有機物の分解にも同じく土壌微生物の力を利用する。通常は春、暖かくなり使用者が増加する前に貯溜されている残留有機物を浸透装置に流入させる。残留有機物は便槽内の水分や追加した水分でドロドロにして浸透装置に流入させるので有機分を含んだ高濃度の屎尿水が土壌中に浸透する。その後は降雨の度に水分を得て土壌中に浸透し残留有機物自身も微生物により分解され、液化し次第にその量を減らしていく。流入に当たっては便槽中に投入されている異物や不溶性のティッシュペーパー等は取り除く。高濃度の屎尿水であるがすべて分解される有機物であるので、時間をかければ問題ない。土壌処理装置内は湿度100%のため乾燥したスカム等は発生せず、降雨の度に流動性を増し、水位が上昇して則面の土壌に浸透してゆく。冬季便槽が凍結し使用出来ない場所では、シーズンの終わりに浸透装置内に残留有機物を導入し次の年の夏に処理することも可能である。 【0011】 【発明の実施例】図1から図8に本屎尿処理装置の実施の1形体を例示しており1はトイレハウスで2は少洗浄水洗便器を搭載したトイレ床部3は消化槽を兼ねる便槽である。この例は便器一個に対して1便槽を用意する比較的少人数用のものである。大人数用としては便器の数、便槽の容積を増せば良い。本実施例は山岳地等で運搬容易な現場組立て用の例を示している。図1の1aは扉のついた正面パネル、1bはサイドパネル、1cは背面パネルで便槽の四隅に立ててあるボルトに合わせて二人で組み立てるようになっている。1dは屋根パネルである。2は床パネルで便槽3の上にパッキングにより密接固着され、トイレハウスの各パネルを立てる時に同じボルトで締められパッキングにより便槽上部を密封する。2aは簡易水洗便器で500ccの洗浄水で便器を洗浄する。2bは洗浄水を送る足踏ポンプで給水ホース2cに連結し、その水源は貯溜された雨水でも土壌により浄化された洗浄水でも良い。以上が山岳用戸建トイレの概要であるが運搬の便からこのように分割されている。 【0012】以下屎尿の処理を図2〜図8を使って説明する。便槽3の上部側面に屎尿水取水口3aが開口し便槽3の屎尿水を次の消化槽5へパイプを介して送り可能にしてある。取水口3aの便槽側にはT字管の垂直部に差し込まれたT字管の内径と同じ太さを持つプラスチック製捲縮繊維体を持つ取水体3bが設けられている。このプラスチック捲縮繊維体は直径0.5〜1ミリ位のプラスチック捲縮繊維を無作為に寄せ集めバインダーで固めた物で、これを円筒形にまとめると、仮に繊維体の一部に紙類が巻き付いても繊維体の外周面部から通水するので目詰まりすることがない。即ち、全管の側面から通水するパイプを下げているのと同じであり、且つ繊維体が内部で異物を捕捉し、且つ濾過する働きもあるので、少しでも固形物の少ない液体を次槽に送れるわけである。便槽内全層の屎尿水を取水するため底面近くまで下げている。 【0013】取水体3bによって濾過して送られた屎尿水は消化槽5に送られる。この槽は土中に埋設され槽内には礫体を入れ上面を網で覆い、その上に土壌を長さ方向にカマボコ状に積んでいる。雨水の流入は少なく、土壌微生物はよく槽内に入るようになっている。礫は軽量で輸送に便利なガラス発泡体の50〜70ミリ程度の礫体を使用している。この槽で沈殿分離と屎尿水の有機物の分解を行い、次装置に送る。この消化槽の次に接続されるのが多孔管より成る浸透装置である。図7,図8Bの形がそれである。土壌表面7cから20〜30cmの深さに樋状受皿部7hを水平状に埋設してあり必要に応じて左右に平行させる。樋状受皿部の上面には多孔管7aが固着されており、長さが必要な場合には7hごと多孔管を連結する。消化槽5から供給された屎尿水は管内からその周辺に置かれた礫を介して土壌7c中に毛管浸透し、土壌微生物により更に分解され、浄化されて、清水となり更に下層の土壌中に浸透する。土壌中に遮水体を設け清水を貯溜して便器洗浄水として利用することも可能である。 【0014】便槽3の後背部上面に横長の開口部3cがあり、常時はパッキングを介した蓋3dで密閉されている。残留有機物を排出する時はこの蓋3dを開け、かき寄せ棒3gを使い開口部3cより水を投入しながら槽内を撹拌し、有機物を槽3下部に設けられた排出口3eより排出させる。3eより濾過槽6に連結した配管途中にバルブ3fを設置する。濾過槽6は便槽に近く、作業し易い場所に埋設された浅い箱体で、排出口6bを介して残溜有機物浸透装置8に連結している。この濾過槽は残溜有機物排出時にのみ利用し、その上面に手動のゴミ取り網6aを置き、便槽内に混入した不溶性のティッシュペーパー等を取り除く。このゴミ取り網は両側を二人で持ち適時にバルブを切り替えながら、不溶性物質を別の箱に集め、これを別途処理する。 【0015】不溶性物質を除去された残留有機物は配管を介して適当な場所に埋設された浸透装置8に送られる。図6、図8Aに示されている浸透装置8は便槽の容積とほぼ同じ容積になるように切断された大型多孔管で、口径40センチ〜80センチ位のものを使用する。この多孔管は全面に孔のあいたものでも、強度保持のために円筒外周に凹凸状に設けらてたリングの凹部に孔穿されたものでも良い。多孔管の両端は目の細かい網体でふさぐ。地型が許すならば、出来るだけ長さを取り、便槽の容積に合わせることが望ましい。地表に近い好気性微生物の作用を受けさせたいためである。浸透性土壌がある場所ならば巾深さ共、多孔管より20〜30センチ大きな穴を掘り、多孔管と土壌の空間に直径概5−6センチの礫を置き埋設するが、岩石や礫の多い山岳地帯では巾2メートル深さ1メートルの穴を掘り土壌層を作り、残留有機物浸透装置を設置しなくてはならない。これは屎尿水浸透装置でも同じである。 【0016】便器に1回の洗浄水量が0.5リットルの簡易水洗便器又は小便時0.1−0.2リットル、大便時1リットルの少量水洗便器を使用し、原屎尿を3倍程度に稀釈した高濃度の屎尿水を便槽に貯留し、この便槽に嫌気菌の培養体と酵素を使用開始時と毎月1回の割合で投入し槽内での有機物の分解を促進する。このために屎尿中のセルローズ、炭水化物、タンパク質、脂肪は酢酸、酪酸、アミノ酸、脂肪酸、グリセリン、アルコールに変り、液化又はガス化する。この液化して流動し易い有機酸含有屎尿水を土壌微生物の豊富な土壌中に供給してやると微生物はこれを栄養源として繁殖し屎尿水を浄化する。 【0017】排出時には未分解部分が多かつた残留有機物も、元来はすべて分解され得る有機物であるため、夏期の地下の温度と湿度のために4−5ヵ月で分解液化する。これに降雨があれば更に流動し易くなり、土壌中毛細管浸透し土壌微生物の作用を受、屎尿水と同じく浄化され、清水となつていく。便槽中、土壌中で有害細菌はすべて死滅し、屎尿水は硝酸態チッソを含む清水に変わる。多孔管内にわずかに残るこの年の残留物も翌年投入される新たな残留物有機物の分解を促進する種菌となり翌年には消滅する。夏毎にこの分解を繰り返すことにより残留有機物は完全に消滅する。 【0018】 【発明の効果】A 使用期間中は常時屎尿水が土壌により処理されているので便槽の水量は増すことが無く,汲み取りの必要がない。 B 残溜有機物の処理に多少の手間がかかるが有機物は土壌中で消滅するため、廃棄物を一切外部に出さない。 C 残溜有機物を土壌処理装置に移動する時だけ臭気が出、汚物を目視するが、それ以外は全く屎尿をみず、臭気も上がらない。 D 良質の土壌が現場に無くて土壌をヘリコプターで運送しても以後は毎年行う汚物運搬の費用がかからなくなり経済的である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000115865 【氏名又は名称】リンフォース工業株式会社 【住所又は居所】神奈川県鎌倉市常盤258番地
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| 【出願日】 |
平成13年12月19日(2001.12.19) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2003−180557(P2003−180557A) |
| 【公開日】 |
平成15年7月2日(2003.7.2) |
| 【出願番号】 |
特願2001−402885(P2001−402885) |
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