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【発明の名称】 常圧過熱蒸気による焼成装置
【発明者】 【氏名】榎本 守正
【住所又は居所】大阪府泉南郡熊取町朝代東1丁目2番11号 ジョンソンボイラ株式会社内

【要約】 【課題】常圧の過熱蒸気を用い、この過熱蒸気を循環使用することにより、排気量を少なくして熱効率の向上を図ることができ、焼成コストの低減と省スペース化を可能にすることができる焼成装置を提供する。

【解決手段】加熱炉2の内部で入口9から出口10に向けてこの加熱炉2内を走行する搬送体3の上下に、搬送体3に向けて過熱蒸気を吹き付ける多数のノズル4を配置し、加熱炉2と別に設置される過熱蒸気発生機6の過熱蒸気吐出口14と上記各ノズル4を接続し、加熱炉2内から取り出した使用済過熱蒸気を過熱蒸気発生機6に供給して循環使用する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 加熱炉の内部で入口から出口に向けてこの加熱炉内を走行する搬送体の上下に、搬送体に向けて過熱蒸気を吹き付ける多数のノズルを、搬送体の走行方向に沿って配置し、加熱炉と別に設置される過熱蒸気発生機の過熱蒸気吐出口と上記各ノズルを各ノズルごとに設けた流量調整弁を介して接続し、加熱炉内から取り出した使用済過熱蒸気を過熱蒸気発生機に供給して循環使用するようにしたことを特徴とする常圧過熱蒸気による焼成装置。
【請求項2】 上記加熱炉の内部は、入口側の予熱ゾーンと出口側の焼成ゾーンに設定され、この加熱炉内からの使用済過熱蒸気の取り出しは、予熱ゾーンの入口に近い位置に設定され、上記加熱炉の入口側と出口側の位置で加熱炉内の余剰蒸気を炉外に排出するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の常圧過熱蒸気による焼成装置。
【請求項3】 上記搬送体は、往行側が加熱炉の内部を入口から出口に向けて走行し、復行側が加熱炉の外部を走行するエンドレスで、両面焼きに対応するように形成され、上記加熱炉の内部が底面に水張りできるようになっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の常圧過熱蒸気による焼成装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、常圧の過熱蒸気を用いて各種食品を焼成するための焼成装置、更に詳しくは、過熱蒸気を循環使用することにより、排気量を少なくして熱効率の向上を図ることができるようにした焼成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、各種食品を連続的に焼成するための焼成装置としては、加熱炉の内部で入口から出口に向けてこの加熱炉内を走行する搬送体の上下に、ガス燃焼ノズルを多数並べて配置し、搬送体で送られていく食品を上下のガス燃焼ノズルの炎で直接焼成するようにした直火ガスオーブンが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、直火ガスオーブンは、加熱炉内において、ノズルから直接燃焼用のガスを吐出してこのガスを燃焼させるため、常に加熱炉内に外気を供給する必要があり、供給した外気に見合う排気ガスが発生し、従って、排気量が多いだけでなく、燃焼したガスは直ぐに炉外に排出されるため、排気ガス温度が500℃前後と極めて高く、熱効率が悪いので燃料の消費が増大し、焼成コストが高く付くという問題がある。
【0004】また、直火ガスオーブンは、燃焼ガスによる直火で炉内を昇温して食品を焼成させるため、食品の内部が高温になるまでに時間がかかり、このため、装置の全長が長大化し、広い設置スペースが必要となるという問題がある。
【0005】そこで、この発明の課題は、食品の焼成に常圧の過熱蒸気を用い、焼成が効率よく行えるだけでなく、過熱蒸気を循環使用することにより、排気量を少なくして熱効率の向上を図ることができ、焼成コストの低減と省スペース化を可能にすることができる常圧過熱蒸気による焼成装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記のような課題を解決するため、この発明は、加熱炉の内部で入口から出口に向けてこの加熱炉内を走行する搬送体の上下に、搬送体に向けて過熱蒸気を吹き付ける多数のノズルを、搬送体の走行方向に沿って配置し、加熱炉と別に設置される過熱蒸気発生機の過熱蒸気吐出口と上記各ノズルを各ノズルごとに設けた流量調整弁を介して接続し、加熱炉内から取り出した使用済過熱蒸気を過熱蒸気発生機に供給して循環使用するようにした構成を採用したものである。
【0007】上記加熱炉の内部は、入口側の予熱ゾーンと出口側の焼成ゾーンに設定され、この加熱炉内からの使用済過熱蒸気の取り出しは、予熱ゾーンの入口に近い位置に設定され、上記加熱炉の入口側と出口側の位置で加熱炉内の余剰蒸気を炉外に排出するようにすることができる。
【0008】また、上記搬送体は、往行側が加熱炉の内部を入口から出口に向けて走行し、復行側が加熱炉の外部を走行するエンドレスで、両面焼きに対応するように形成され、上記加熱炉の内部が底面に水張りできるようになっている構造を採用してもよい。
【0009】ここで、過熱蒸気発生機は、高温の過熱蒸気を発生し、これを加熱炉にノズルで供給することにより、加熱炉内は焼成温度となり、過熱蒸気には、赤外線放射能を持つため、食品の中心温度の到達が速く、処理時間の短縮がはかれるだけでなく、過熱蒸気は酸素濃度が低く、食品の酸化現象が微小となり、食品に含まれている油分は発火することがない。
【0010】過熱蒸気による焼成は、冷凍食品でも過熱蒸気の凝縮伝熱でもって解凍し、材料のうま味成分をドリップしないと共に、表面の凝縮水が蒸発乾燥し、表面に焼き色が付くことになる。
【0011】また、加熱炉内から取り出した補助蒸気を過熱蒸気発生機に供給して循環使用することにより、90%程度の熱効率となり、燃料消費の削減が図れる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0013】図1と図2のように、焼成装置1は、加熱炉2と、加熱炉2の内部を走行する搬送体3と、加熱炉2の内部で搬送体3の上下に、搬送体3に向けて過熱蒸気を吹き付けるよう配置した多数のノズル4と、加熱炉2と別に設置され、上記各ノズル4と各ノズル4ごとに設けたバタフライ弁のような流量調整弁5を介して接続した過熱蒸気発生機6と、加熱炉2内から取り出した過熱蒸気を過熱蒸気発生機6に供給する循環路7と、上記加熱炉2内の余剰蒸気を炉外に排出する排出路8とで形成されている。
【0014】上記加熱炉2は、耐火構造で横長の角筒状に形成され、一端に入口9と他端に出口10が設けられ、この加熱炉2の内部は、入口9側の予熱ゾーンAと出口10側の焼成ゾーンBに設定され、加熱炉2内からの過熱蒸気の取り出しのために、予熱ゾーンAの入口9に近い位置の側面に取り出し口11が設けられている。
【0015】上記搬送体3は、往行側が加熱炉2の内部を入口9から出口10に向けて走行し、復行側が加熱炉2の外側下部を走行するようエンドレスに配置され、両面焼きに対応するよう金属ネットを用いて形成されている。
【0016】上記ノズル4は、図2のように、加熱炉2の内部でこの加熱炉2内を走行する搬送体3の上下に位置し、図1のように、それぞれ搬送体3の走行方向に沿って多数本が一定間隔の配置で設けられている。
【0017】また、上記過熱蒸気発生機6は、筒形燃焼炉12の一端側に燃焼装置13を配置し、この燃焼装置13にLPG等の燃料と燃焼用空気を供給することにより、常圧の過熱蒸気を発生すると共に、温度調整機構26で燃焼装置13を制御することにより、必要とする温度の過熱蒸気を発生するようになっている。
【0018】この過熱蒸気発生機6の筒形燃焼炉12における過熱蒸気吐出口14が加熱炉2の外部に設置した中間過熱蒸気室15に接続され、中間過熱蒸気室15に上記各ノズル4が、各ノズル4ごとに設けた流量調整弁5を介して接続され、過熱蒸気発生機6で発生した過熱蒸気を各ノズル4に対して供給するようになっている。
【0019】上記加熱炉2内から取り出した過熱蒸気を過熱蒸気発生機6に供給する循環路7は、加熱炉2内の取り出し口11と筒形燃焼炉12の一端側外周に設けた補給口16とを接続し、その途中に、調整弁17と送風機18及びその間に補助蒸気管19が設けられ、加熱炉2内の過熱蒸気を筒形燃焼炉12内に供給するようになっている。
【0020】上記加熱炉2内の余剰蒸気を炉外に排出する排出路8は、加熱炉2の両端壁の上部に、加熱炉2内と導通する吸引フード20を設け、両吸引フード20に調整弁21を介した送風機22を接続し、加熱炉2内の過熱蒸気と材料からの水分蒸発による蒸気を排出するようになっている。
【0021】上記加熱炉2の内部は、オーバフロー管23で底面に所定量の水張りできるようになっており、ドリップした油を受けると共に焼き付き防止を図り、排水管24に設けた開閉弁25で溜まった水を外部に排出することができるようになっている。
【0022】この発明の焼成装置1は、上記のような構成であり、次にその作用を説明する。
【0023】過熱蒸気発生機6で発生した過熱蒸気を中間過熱蒸気室15に送り込んだ後、中間過熱蒸気室15から各ノズル4に対して過熱蒸気を供給することにより、加熱炉2の内部を常圧の過熱蒸気の雰囲気にする。
【0024】例えば、過熱蒸気発生機6で発生した450℃で6,700Nm3 /Mの過熱蒸気は、加熱炉2の内部で410℃となるが、この加熱炉2の温度は流量調整弁5による過熱蒸気の吹き出し量を調整することにより、焼成せんとする食品の種類に合わせた温度に設定できる。
【0025】加熱炉2の入口9側で搬送体3上に供給した食品Cは、入口9から加熱炉2内に進入し、先ず、前半の予熱ゾーンAで加熱された後、後半の焼成ゾーンBで加熱され、加熱炉2の内部を食品Cの種類に合わせた所定時間を通過させることで完全に焼成され、出口10から取り出されることになる。
【0026】上記加熱炉2の内部を通過する食品Cは、上下から過熱蒸気が吹き付けられることにより効率よく焼成される。例えば、−14℃の冷凍品材料でも、過熱蒸気による凝縮伝熱でもって解凍し、材料のうまみ水分はドリップしないと共に、表面の凝縮水が蒸発乾燥し、表面に焼き色が付くことになる。
【0027】図3は、常圧過熱蒸気による各種食品の処理温度や処理時間等の具体的な焼成例を示している。
【0028】また、通常の空気は、酸素濃度は、20vol%であるが、過熱蒸気を使用した加熱炉2内は酸素濃度が、200kg/Hの過熱蒸気の補給時に2.4vol%であるため、酸化現象の発生が微小となり、油分は発火しない。
【0029】図4は、加熱炉2内において、過熱蒸気の吹き出しによる経時的な酸素濃度の変化を測定した結果を示し、温度が250℃の条件で初期の酸素濃度0.55%〜0.60%が20分経過後に0.25%と減少した。
【0030】更に、過熱蒸気には、赤外線放射能を持つため、食品の中心温度の到達が速く、処理時間の短縮が図れることになる。
【0031】上記加熱炉2の内部に各ノズル4から吹き出して食品Cを過熱した使用済の過熱蒸気は、循環路7で過熱蒸気発生機6へ強制的に送られ、この過熱蒸気発生機6で再度過熱された後各ノズル4へ送られる循環使用されることになり、過熱蒸気の発生のための熱効率が90%程度の高効率となり、燃料の大幅な節減が可能になる。
【0032】
【発明の効果】以上のように、この発明によると、加熱炉内を走行して食品を搬送する搬送体の上下に多数のノズルを配置し、このノズルから吹き出す過熱蒸気で食品を焼成するようにしたので、排気量を少なくして熱効率の向上を図ることができ、焼成コストの低減と省スペース化を可能にすることができ、過熱蒸気の効果を有効に生かした食品の焼成が行える。
【0033】また、加熱炉で使用した過熱蒸気を過熱蒸気発生機に戻して再使用するようにしたので、排気量を少なくして熱効率の向上を図ることができ、過熱蒸気の発生のための燃料の大幅な節減が可能になり、焼成コストの低減を実現できる。
【出願人】 【識別番号】591288229
【氏名又は名称】ジョンソンボイラ株式会社
【住所又は居所】大阪府泉南郡熊取町朝代東1丁目2番11号
【識別番号】500045693
【氏名又は名称】株式会社中国メンテナンス
【住所又は居所】東京都港区赤坂8丁目7番10号
【出願日】 平成14年5月15日(2002.5.15)
【代理人】 【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二 (外2名)
【公開番号】 特開2003−325340(P2003−325340A)
【公開日】 平成15年11月18日(2003.11.18)
【出願番号】 特願2002−140372(P2002−140372)