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【発明の名称】 連続炊飯機および連続炊飯方法
【発明者】 【氏名】今泉 唯晴
【住所又は居所】愛知県豊川市白鳥町防入60番地 株式会社アイホー内

【氏名】今井田 晃
【住所又は居所】愛知県豊川市白鳥町防入60番地 株式会社アイホー内

【氏名】戸谷 三郎
【住所又は居所】東京都千代田区内幸町一丁目1番3号 東京電力株式会社内

【氏名】杉田 勝彦
【住所又は居所】東京都千代田区内幸町一丁目1番3号 東京電力株式会社内

【氏名】松永 哲夫
【住所又は居所】神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内

【要約】 【課題】作業環境の悪化を防止できかつ構成の簡素化を図ることができる連続炊飯機を提供する。

【解決手段】連続炊飯機1は、炊飯釜2を搬送手段4で搬送方向Xに移動させながら加熱手段5で加熱するものである。加熱手段5は、搬送方向Xに移動中の炊飯釜2の底板部11を加熱する略矩形板状をなす複数の底板用誘導加熱コイル43,48を備える。加熱手段5は、搬送方向Xに移動中の炊飯釜2の側板部12を加熱する略矩形板状をなす複数の側板用誘導加熱コイル44,49を備える。複数のコイル43,44,48,49は、搬送方向Xに沿って並んだ状態でかつ各長手方向が搬送方向Xに一致した状態に配置する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 炊飯釜を搬送方向に移動させながら加熱手段で加熱する連続炊飯機であって、前記加熱手段は、前記搬送方向に移動中の炊飯釜の底板部を加熱する底板用誘導加熱コイルを備えることを特徴とする連続炊飯機。
【請求項2】 加熱手段は、搬送方向に移動中の炊飯釜の側板部を加熱する側板用誘導加熱コイルを備えることを特徴とする請求項1記載の連続炊飯機。
【請求項3】 加熱手段は、複数の底板用誘導加熱コイルを備え、これら複数の底板用誘導加熱コイルは、搬送方向に沿って並んだ状態に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の連続炊飯機。
【請求項4】 搬送方向に沿って並んだ状態に配置された複数の底板用誘導加熱コイルは、それぞれ個別的に制御可能となっていることを特徴とする請求項3記載の連続炊飯機。
【請求項5】 加熱手段は、複数の底板用誘導加熱コイルを備え、これら複数の底板用誘導加熱コイルは、搬送方向と交差する方向に沿って並んだ状態に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の連続炊飯機。
【請求項6】 炊飯釜を搬送方向に移動させながら加熱手段で加熱する連続炊飯機であって、前記加熱手段は、前記搬送方向に移動中の炊飯釜の底板部を加熱する略矩形板状をなす複数の底板用誘導加熱コイルを備え、これら複数の底板用誘導加熱コイルは、前記搬送方向に沿って並んだ状態でかつ各長手方向が前記搬送方向に一致した状態に配置されていることを特徴とする連続炊飯機。
【請求項7】 搬送方向に沿って並んだ状態に配置された複数の底板用誘導加熱コイルを用いて、前記搬送方向に移動中の炊飯釜の底板部を加熱する連続炊飯方法であって、連続炊飯作業開始時および連続炊飯作業終了時に、水のみが入れられた炊飯釜を、前記底板用誘導加熱コイルの前記搬送方向の長さと炊飯釜の前記搬送方向の長さとの対応関係に応じた所定数だけ、米および水が入れられた連なる複数の炊飯釜に隣接させて移動させることを特徴とする連続炊飯方法。
【請求項8】 搬送方向に沿って並んだ状態に配置された複数の底板用誘導加熱コイルを用いて、前記搬送方向に移動中の炊飯釜の底板部を加熱する連続炊飯方法であって、連続炊飯作業開始時および連続炊飯作業終了時において前記底板用誘導加熱コイルの略全体が前記炊飯釜の底板部によって覆われていない状態であっても、前記底板用誘導加熱コイルにコイル電流を流し、全炊飯釜に対して同じ加熱力を加えることを特徴とする連続炊飯方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炊飯釜を搬送方向に移動させながら加熱して連続炊飯を行う連続炊飯機および連続炊飯方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の連続炊飯機としては、例えば、炊飯釜を水平な搬送方向に連ねて移動させる搬送手段としてのチェーンコンベヤと、このチェーンコンベヤにて搬送方向に移動中の炊飯釜の底板部を加熱する加熱手段としてのガスバーナとを備えるガス式の連続炊飯機が広く知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来のガス式の連続炊飯機のように、移動中の炊飯釜の底板部を加熱する加熱手段としてガスバーナを用いる構成では、排気熱により作業室内の空気が熱くなり、作業環境を悪化するおそれがあり、また、燃焼による汚れた排気を室外へ排出するための給排気設備が必ず必要であるため、構成が複雑および巨大化するおそれがある。
【0004】本発明は、このような点に鑑みなされたもので、作業環境の悪化を防止できかつ構成の簡素化を図ることができる連続炊飯機および連続炊飯方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の連続炊飯機は、炊飯釜を搬送方向に移動させながら加熱手段で加熱する連続炊飯機であって、前記加熱手段は、前記搬送方向に移動中の炊飯釜の底板部を加熱する底板用誘導加熱コイルを備えるものである。
【0006】そして、搬送方向に移動中の炊飯釜の底板部を加熱する底板用誘導加熱コイルを備える構成であるから、従来のガス式の連続炊飯機に比べて、作業室内の空気を熱くする等、作業環境の悪化が防止され、かつ、燃焼による汚れた排気を室外へ排出するための給排気設備が必ずしも必要ではなく、構成の簡素化が図られる。
【0007】請求項2記載の連続炊飯機は、請求項1記載の連続炊飯機において、加熱手段は、搬送方向に移動中の炊飯釜の側板部を加熱する側板用誘導加熱コイルを備えるものである。
【0008】そして、搬送方向に移動中の炊飯釜の側板部を加熱する側板用誘導加熱コイルを備える構成であるから、このような側板用誘導加熱コイルを備えないものに比べて、炊飯釜全体から加熱し、釜内の米全域に対して温度が効率良く高められる。
【0009】請求項3記載の連続炊飯機は、請求項1または2記載の連続炊飯機において、加熱手段は、複数の底板用誘導加熱コイルを備え、これら複数の底板用誘導加熱コイルは、搬送方向に沿って並んだ状態に配置されているものである。
【0010】そして、複数の底板用誘導加熱コイルが、搬送方向に沿って並んだ状態に配置されているので、炊飯量の規模に応じて配置するコイルの長さ設定が容易となるとともに、適切な連続炊飯作業が可能となる。
【0011】請求項4記載の連続炊飯機は、請求項3記載の連続炊飯機において、搬送方向に沿って並んだ状態に配置された複数の底板用誘導加熱コイルは、それぞれ個別的に制御可能となっているものである。
【0012】そして、搬送方向に沿って並んだ状態に配置された複数の底板用誘導加熱コイルをそれぞれ個別的に制御することができるので、より一層適切な連続炊飯作業が可能となる。
【0013】請求項5記載の連続炊飯機は、請求項1または2記載の連続炊飯機において、加熱手段は、複数の底板用誘導加熱コイルを備え、これら複数の底板用誘導加熱コイルは、搬送方向と交差する方向に沿って並んだ状態に配置されているものである。
【0014】そして、複数の底板用誘導加熱コイルが、搬送方向と交差する方向に沿って並んだ状態に配置されているので、適切な連続炊飯作業が可能となる。
【0015】請求項6記載の連続炊飯機は、炊飯釜を搬送方向に移動させながら加熱手段で加熱する連続炊飯機であって、前記加熱手段は、前記搬送方向に移動中の炊飯釜の底板部を加熱する略矩形板状をなす複数の底板用誘導加熱コイルを備え、これら複数の底板用誘導加熱コイルは、前記搬送方向に沿って並んだ状態でかつ各長手方向が前記搬送方向に一致した状態に配置されているものである。
【0016】そして、作業環境の悪化を防止できかつ構成の簡素化を図ることができるばかりでなく、略矩形板状の底板用誘導加熱コイルをその長手方向が搬送方向と直交する方向に一致するように配置した場合に比べて、搬送方向に沿って互いに隣接する底板用誘導加熱コイル間の距離を短くでき、よって、移動しながら加熱されていく炊飯釜の温度変動が少なく、安定した連続炊飯作業ができる。
【0017】請求項7記載の連続炊飯方法は、搬送方向に沿って並んだ状態に配置された複数の底板用誘導加熱コイルを用いて、前記搬送方向に移動中の炊飯釜の底板部を加熱する連続炊飯方法であって、連続炊飯作業開始時および連続炊飯作業終了時に、水のみが入れられた炊飯釜を、前記底板用誘導加熱コイルの前記搬送方向の長さと炊飯釜の前記搬送方向の長さとの対応関係に応じた所定数だけ、米および水が入れられた連なる複数の炊飯釜に隣接させて移動させるものである。
【0018】そして、この方法では、作業環境の悪化を防止できかつ構成の簡素化を図ることができるばかりでなく、連続炊飯作業開始時および連続炊飯作業終了時に、加熱が不十分で品質の異なるものができてしまうようなことがなく、安定した連続炊飯作業が可能となる。
【0019】請求項8記載の連続炊飯方法は、搬送方向に沿って並んだ状態に配置された複数の底板用誘導加熱コイルを用いて、前記搬送方向に移動中の炊飯釜の底板部を加熱する連続炊飯方法であって、連続炊飯作業開始時および連続炊飯作業終了時において前記底板用誘導加熱コイルの略全体が前記炊飯釜の底板部によって覆われていない状態であっても、前記底板用誘導加熱コイルにコイル電流を流し、全炊飯釜に対して同じ加熱力を加えるものである。
【0020】そして、この方法では、作業環境の悪化を防止できかつ構成の簡素化を図ることができるばかりでなく、連続炊飯作業開始時および連続炊飯作業終了時に、ダミーの炊飯釜を用いなくても、加熱が不十分で品質の異なるものができてしまうようなことがなく、安定した連続炊飯作業が可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の連続炊飯機の一実施の形態の構成を図面を参照して説明する。
【0022】図1および図2において、1は連続炊飯機で、この連続炊飯機1は、例えば炊飯釜2を一直線状に連ねた状態で水平な搬送方向Xに連続的に移動させながら順次加熱処理して、連続炊飯を行う誘導加熱(Induction Heating:IH)式の全自動連続炊飯装置である。
【0023】すなわち、この連続炊飯機1は、複数の炊飯釜2が搬送方向Xに沿って等間隔(わずかな間隔)をおいて並んだ状態のまま搬送方向Xに細長状の加熱室である搬送用空間部3を通って行くように、これら複数の炊飯釜2を搬送手段4で搬送方向Xに連続的に移動させながら、これら複数の炊飯釜2を加熱手段5で加熱するものである。なお、図4等に示されるように炊飯釜2間に間隙が生じないようにすることが好ましい。
【0024】ここで、炊飯釜2は、図4ないし図6に示されるように、例えばアルミニウム等の金属を用いて、外形略直方体状で、上面が開口した略箱形状をなすように一体成型された比較的肉厚のアルミ製鋳物で、この外側の表面に磁性体を有する金属粉を溶着させており、略矩形板状の底板部11を有している。
【0025】この底板部11のR状の外周端部からは、急斜面状の側板部12が外斜め上方に向って一体に突出し、この側板部12の上周端部が略矩形環状の上面開口縁部13となっている。また、この上面開口縁部13の両短辺側からは、取手部14が外側方に向って一体に突出している。
【0026】なお、上面開口縁部13の長さ(長辺)はA、上面開口縁部13の幅(短辺)はB、炊飯釜2の高さはHである。
【0027】また、底板部11の長さ(長辺)はa、底板部11の幅(短辺)はb、底板部11のR状外周端部除く平面状部分は約a×bである。
【0028】さらに、垂直面に対する側板部12の傾斜角度はαであり、このように側板部12を垂直面に対してやや傾斜させる理由は、炊飯釜2を反転させた場合に、炊飯釜2内の内容物(炊き立ての飯)がその自重で落下して炊飯釜2外に容易に出るようにするためである。
【0029】また、炊飯釜2が搬送方向Xに沿って互いが略接する程度に並んだ状態では、図5に示されるように、互いに隣接する炊飯釜2の底板部11における相互間には、搬送方向Xと交差する方向、すなわち例えば搬送方向Xと直交する方向に細長い帯状の空間である、幅cの間隙が形成される。
【0030】なお、炊飯釜2は、クラッド材によって作られたものでもよい。
【0031】また、連続炊飯機1は、図1および図2に示すように、水平方向に長手方向を有する細長状で直線型の機体21を備えている。
【0032】この機体21の一端部には供給口部22が形成され、この供給口部22にはローラコンベヤ等の供給搬送手段23の搬送終端部が挿入されている。この機体21の他端部には排出口部24が形成され、この排出口部24にはローラコンベヤ等の排出搬送手段25の搬送始端部が挿入されている。
【0033】また、この機体21には、炊飯釜2を通過させるための搬送路である搬送用空間部(釜移動領域)3が機体21の長手方向に沿って形成され、この搬送用空間部3の一端側が供給口部22に連通され、この搬送用空間部3の他端側が排出口部24に連通されている。この搬送用空間部3の上方は天蓋27によって覆われており、この天蓋27の開閉動作で搬送用空間部3が上方に向って開閉する。
【0034】また、この機体21には、炊飯釜2を搬送用空間部3を通過させつつ搬送方向Xに移動させる搬送手段4と、炊飯釜2をIH方式で加熱する加熱手段5とが、それぞれ設けられている。
【0035】この搬送手段4は、例えばチェーンコンベヤ等にて構成されたもので、機体21の一端部両側および他端部両側のそれぞれに設けられた複数の回転体であるスプロケット31を備え、これら複数のスプロケット31には、搬送方向Xに対して左右一対をなす無端体であるチェーン32が巻き掛けられている。
【0036】そして、これら左右一対のチェーン32は、駆動手段である駆動モータ33からの動力に基づくスプロケット31の回転により所定方向に回行し、炊飯釜2を取手部14を介して支持した状態で搬送方向Xに連続的に移動させる。
【0037】一方、加熱手段5は、図1ないし図3に示されるように、例えば機体21の一端側に設けられた炊飯用の第1加熱部41と、機体21の他端側に設けられた蒸らし用の第2加熱部42とにて構成されている。
【0038】第1加熱部41は、搬送手段4にて搬送方向Xに移動中の炊飯釜2の底板部11を加熱する略矩形板状をなす複数(例えば搬送方向Xに対して4行2列状で、合計8個)の底板用誘導加熱コイルである第1底板用誘導加熱コイル43と、搬送手段4にて搬送方向Xに移動中の炊飯釜2の左右両側板部12を加熱する略矩形板状をなす複数(例えば搬送方向Xに対して左右4個ずつで、合計8個)の側板用誘導加熱コイルである第1側板用誘導加熱コイル44とを備えている。
【0039】一方、第2加熱部42は、搬送手段4にて搬送方向Xに移動中の炊飯釜2の底板部11を加熱する略矩形板状をなす複数(例えば搬送方向に対して2行2列状で、合計4個)の底板用誘導加熱コイルである第2底板用誘導加熱コイル48と、搬送手段4にて搬送方向Xに移動中の炊飯釜2の左右両側板部12を加熱する略矩形板状をなす複数(例えば搬送方向Xに対して左右2個ずつで、合計4個)の側板用誘導加熱コイルである第2側板用誘導加熱コイル49とを備えている。なお、図3は、第1側板用誘導加熱コイル44および第2側板用誘導加熱コイル49を第1底板用誘導加熱コイル43および第2底板用誘導加熱コイル48を含む平面上に展開した状態のコイル配置説明図である。
【0040】そして、8個の第1底板用誘導加熱コイル43は、搬送用空間部3の搬送始端側の下方位置に搬送方向Xに沿って互いに間隙を介して複数列、例えば2列に並んだ状態に配置され、かつ、搬送用空間部3の搬送始端側の下方位置に搬送方向Xと交差する方向、すなわち例えば搬送方向Xと直交する方向に沿って互いに間隙を介して複数例、例えば4列(搬送方向Xに対して4行)に並んだ状態に配置されている。そして、これら8個の第1底板用誘導加熱コイル43の各々は、搬送用空間部3を移動する炊飯釜2の底板部11との間に一定間隙を保持するように、機体21の底板用コイル支持板51によって水平状に固定支持されている。
【0041】また、4個の第2底板用誘導加熱コイル48は、搬送用空間部3の搬送終端側の下方位置に搬送方向Xに沿って互いに間隙を介して複数列、例えば2列に並んだ状態に配置され、かつ、搬送用空間部3の搬送終端側の下方位置に搬送方向Xと交差する方向、すなわち例えば搬送方向Xと直交する方向に沿って互いに間隙を介して複数例、例えば2列(搬送方向Xに対して2行)に並んだ状態に配置されている。そして、これら4個の第2底板用誘導加熱コイル48の各々は、搬送用空間部3を移動する炊飯釜2の底板部11との間に一定間隙を保持するように、第1底板用誘導加熱コイル43と同様、機体21の底板用コイル支持板51によって水平状に固定支持されている。
【0042】また一方、8個の第1側板用誘導加熱コイル44は、搬送用空間部3の搬送始端側の左右両側方位置に搬送方向Xに沿って互いに間隙を介して並んだ状態に配置され、搬送方向X右側方の第1側板用誘導加熱コイル44と搬送方向X左側方の第1側板用誘導加熱コイル44とは、搬送用空間部3を介して互いに離間対向した状態となっている。そして、これら8個の第1側板用誘導加熱コイル44の各々は、搬送用空間部3を移動する炊飯釜2の側板部12との間に一定間隙を保持するように、機体21の側板用コイル支持板52によって傾斜状に固定支持されている。
【0043】また、4個の第2側板用誘導加熱コイル49は、搬送用空間部3の搬送終端側の左右両側方位置に搬送方向Xに沿って互いに間隙を介して並んだ状態に配置され、搬送方向X右側方の第2側板用誘導加熱コイル49と搬送方向X左側方の第2側板用誘導加熱コイル49とは搬送用空間部3を介して互いに離間対向した状態となっている。そして、これら4個の第2側板用誘導加熱コイル49の各々は、搬送用空間部3を移動する炊飯釜2の側板部12との間に一定間隙を保持するように、第1側板用誘導加熱コイル44と同様、機体21の側板用コイル支持板52によって傾斜状に固定支持されている。
【0044】ここで、各第1底板用誘導加熱コイル(底面コイル)43は、それぞれ同一形状のもので、例えば導線が略矩形に複数回巻かれているとともに、中央空間部43aを有する略矩形板状(短冊状)に形成されたものである。そして、各第1底板用誘導加熱コイル43は、この第1底板用誘導加熱コイル43の長手方向が搬送方向Xに一致した状態に配置されている。
【0045】なお、図4ないし図6に示されるように、第1底板用誘導加熱コイル43の長さ(長辺)はL1、第1底板用誘導加熱コイル43の幅(短辺)はL2である各第1側板用誘導加熱コイル(側面コイル)44は、それぞれ同一形状のもので、例えば導線が略矩形に複数回巻かれているとともに、中央空間部44aを有する略矩形板状に形成されたものである。そして、各第1側板用誘導加熱コイル44は、この第1側板用誘導加熱コイル44の長手方向が搬送方向に一致した状態に配置されている。
【0046】なお、第1側板用誘導加熱コイル44の長さ(長辺)はL1(第1底板用誘導加熱コイルの長さL1と同じ)、第1側板用誘導加熱コイル44の幅(短辺)はL4である。
【0047】各第2底板用誘導加熱コイル(底面コイル)48は、それぞれ同一形状のもので、例えば導線が略矩形に複数回巻かれているとともに、中央空間部48aを有する略矩形板状に形成されたものである。そして、各第2底板用誘導加熱コイル48は、この第2底板用誘導加熱コイル48の長手方向が搬送方向Xに一致した状態に配置されている。
【0048】なお、第2底板用誘導加熱コイル48の長さ(長辺)はL1(第1底板用誘導加熱コイルの長さL1と同じ)、第2底板用誘導加熱コイル48の幅(短辺)はL6である。
【0049】各第2側板用誘導加熱コイル(側面コイル)49は、それぞれ同一形状のもので、例えば導線が略矩形に複数回巻かれているとともに、中央空間部49aを有する略矩形板状に形成されたものである。そして、各第2側板用誘導加熱コイル49は、この第2側板用誘導加熱コイル49の長手方向が搬送方向Xに一致した状態に配置されている。
【0050】なお、第2側板用誘導加熱コイル49の長さ(長辺)はL1(第1底板用誘導加熱コイルの長さL1と同じ)、第2側板用誘導加熱コイル49の幅(短辺)はL8である。
【0051】また、図3から明らかなように、搬送方向X最上流に位置して互いに電気的に接続された2つの第1底板用誘導加熱コイル43,43には炊飯用発信電源である第1インバータ601が電気的に接続され、搬送方向X最上流に位置して互いに電気的に接続された2つの第1側板用誘導加熱コイル44,44には炊飯用発信電源である第2インバータ602が電気的に接続されている。
【0052】また、最上流から2番目に位置して互いに電気的に接続された2つの第1底板用誘導加熱コイル43,43には炊飯用発信電源である第3インバータ603が電気的に接続され、最上流から2番目に位置して互いに電気的に接続された2つの第1側板用誘導加熱コイル44,44には炊飯用発信電源である第4インバータ604が電気的に接続され、最上流から3番目に位置して互いに電気的に接続された2つの第1底板用誘導加熱コイル43,43には炊飯用発信電源である第5インバータ605が電気的に接続され、最上流から3番目に位置して互いに電気的に接続された2つの第1側板用誘導加熱コイル44,44には炊飯用発信電源である第6インバータ606が電気的に接続され、最上流から4番目に位置して互いに電気的に接続された2つの第1底板用誘導加熱コイル43,43には炊飯用発信電源である第7インバータ607が電気的に接続され、最上流から4番目に位置して互いに電気的に接続された2つの第1側板用誘導加熱コイル44,44には炊飯用発信電源である第8インバータ608が電気的に接続されている。
【0053】さらに、最上流から5番目に位置して互いに電気的に接続された2つの第2底板用誘導加熱コイル48,48および2つの第2側板用誘導加熱コイル49,49には、炊飯用発信電源である第9インバータ609が電気的に接続され、最上流から6番目に位置つまり搬送方向最下流に位置して互いに電気的に接続された2つの第2底板用誘導加熱コイル48,48および2つの第2側板用誘導加熱コイル49,49には、炊飯用発信電源である第10インバータ6010が電気的に接続されている。
【0054】そして、各インバータ601,602,…,6010は、CPU等のハードウェアおよびプログラム等のソフトウェア等にて構成された制御手段61に電気的に接続されている。そして、搬送方向Xに沿って2列並んだ状態に配置された複数の底板用誘導加熱コイル43,48は、制御手段61によって、各行ごと(搬送用空間部3が搬送方向Xに複数に分割されて形成された分割搬送用空間部ごと)に、それぞれ個別的に制御可能となっている。また、搬送方向Xに沿って並んだ状態に配置された複数の側板用誘導加熱コイル44,44は、制御手段61によって、各行ごと(分割搬送用空間部ごと)に制御可能となっている。
【0055】なお、例えば第1ないし第8インバータ601,602,…,608のインバータ出力は5.0kWに設定され、第9インバータ609のインバータ出力は2.0kWに設定され、第10インバータ6010のインバータ出力は1.0kWに設定されている。
【0056】また、各インバータ601,602,…,6010には、図示しない安全装置(保護装置)が組み込まれている。このため、底板用誘導加熱コイル43,48の上方位置において、その底板用誘導加熱コイル43,48の略半分以上が炊飯釜2の底板部11によって覆われていない状態(コイル43,48の略半分以上が開放した状態)では、安全装置が作動し、コイル43,48にはインバータから電力が供給されず、コイル43,48にはコイル電流が流されない。
【0057】また同様に、側板用誘導加熱コイル44,49の内側方位置においても、その側板用誘導加熱コイル44,49の略半分以上が炊飯釜2の対応する側板部12によって覆われていない状態(コイル44,49の略半分以上が開放した状態)では、安全装置が作動し、コイル44,49にはインバータから電力が供給されず、コイル44,49にはコイル電流が流されない。なお、互いに隣接する炊飯釜2の底板部11相互間の間隙、或いは、側板部12相互間の間隙によって、コイル43,44,48,49の略半分以上が開放状態となることがないよう、各コイル43,44,48,49は所定の大きさに形成されている。
【0058】さらに、各コイル43,44,48,49に関し、導線を略矩形に巻く理由は、釜底を均一に加熱するため、配設作業の容易化のため、および、互いに隣接するコイル43,44,48,49相互の発生する磁力線が干渉して打ち消し合ってしまうような悪影響を及ぼさない程度まで対向辺を平行に位置させることで互いに隣接するコイル43,44,48,49とコイル43,44,48,49との間隙を狭めて配設できるようにするためである。
【0059】なお、各コイル43,44,48,49の中央部に所定の大きさの中央空間部43a,44a,48a,49aを形成するのは、1つの1巡するコイル43,44,48,49においても往路と復路では高周波電流の向きが逆となり近づきすぎると互いに磁力線が干渉して打ち消し合ってしまうような悪影響を及ぼし合うこととなるからである。
【0060】また、互いに隣接するコイル43,44,48,49であって異なるインバータ601,602,…,6010に接続されているもの同士間の間隙では、必ず、互いに磁力線が干渉して打ち消し合ってしまうような悪影響を及ぼし合わない程度の大きさとなっている。
【0061】さらに、底面コイル43,48および側面コイル44,49では、それぞれのコイルの長辺側が搬送方向Xに沿うように配設されている。
【0062】これは、炊飯釜2が搬送方向Xに沿って移動しながら加熱されていく場合、炊飯釜2がある底面コイル43,48および側面コイル44,49の上方に存在している時は、それらのコイル43,48,44,49の磁力線により底板部11および側板部12の全域に渦電流が発生し加熱がなされる。
【0063】しかし、炊飯釜2は、移動していることから、それらのコイル43,48,44,49から、隣接した次の底面コイル43,48および側面コイル44,49の上方へと移っていく。
【0064】この時、底板部11と側板部12では、底面用のコイルとコイルとの間隙および側面用のコイルとコイルとの間隙のそれぞれの上方を通過していくこととなり、これらの間隙によって底板部11全域および側板部12全域では、コイル43,48,44,49からの磁力線を受けない部分が生じ、炊飯釜2の底板部11および側板部12では渦電流の発生よる加熱が弱まることとなる。
【0065】このことから、搬送方向Xに沿って複数の底面コイル43,48および側面コイル44,49を配設する時には、コイル43,48,44,49とコイル43,48,44,49との間にできる間隙の数を少なくすることが望ましく、そのため、矩形状に巻かれたコイル43,48,44,49の長辺側を搬送方向Xに沿うようになっている。
【0066】次に、上記一実施の形態の連続炊飯機1を用いて、連続炊飯作業をする場合について説明する。
【0067】まず、連続炊飯作業開始時には、水のみが入れられて蓋のされたダミーの炊飯釜(図中、斜線が施された釜)2を、底板用誘導加熱コイル43,48の搬送方向Xの長さL1と炊飯釜2の搬送方向Xの長さつまり上面開口縁部13の幅Bとの対応関係に応じた所定数だけ、洗米および水が入れられて蓋のされた連なる複数の炊飯釜2に隣接させて移動させる。
【0068】すなわち、図7に示すように、本実施の形態では底板用誘導加熱コイル43,48の長さL1と炊飯釜2の幅Bとが略1対1の関係にあるため、連続炊飯作業開始時において、最初の1個目の炊飯釜2が、水のみが入れられたダミーの炊飯釜2として供給口部22から供給され、搬送方向Xに向って移動する。また、このダミーの炊飯釜2に隣接して後続の炊飯釜(洗米および水が入れられたもの)2は供給口部22から順次供給され、搬送方向Xに向って移動されるようになっている。
【0069】第1底板用誘導加熱コイル(底面コイル)43,43および第1側板用誘導加熱コイル(側面コイル)44,44は、ダミーの炊飯釜2が、供給口部22側から底面コイル43と側面コイル44の上方に入ってきたとしても、炊飯釜2の底板部11および側板部12が両コイル43,44の上方を半分以上覆わなければ、安全装置が働き作動はできない。
【0070】また、両コイル43,44の上方の略全域を覆うような状態でなければ、両コイル43,44に電力を供給したとしても、磁力線によって底板部11および側板部12に渦電流を適正に発生させることができない。
【0071】そのため、ダミーの炊飯釜2の底板部11および側板部12が、両コイル43,44の上方の略全域を覆うようになるまで、両コイル43,44には電力が供給されず、高周波電流が流されない。
【0072】そして、図8に示すように、1個目のダミーの炊飯釜2が移動していき、搬送方向X最上流に位置する第1底板用誘導加熱コイル43,43および第1側板用誘導加熱コイル44,44のそれぞれの略全域つまり略全体が覆われた時点で、それら第1底板用誘導加熱コイル43,43および第1側板用誘導加熱コイル44,44に第1インバータ601および第2インバータ602から電力が供給される。
【0073】すると、第1底板用誘導加熱コイル43および第1側板用誘導加熱コイル44に高周波電流(周波数約20kHzで一定)が断続的に流れ、そのコイル43,44の周囲の磁力線が常に変動し、その結果、ダミーの炊飯釜2の底板部11および側板部12に渦電流が発生し、その底板部11および側板部12が加熱される。
【0074】こうして、1個目のダミーの炊飯釜2が、最上流に位置する第1底板用誘導加熱コイル43,43および第1側板用誘導加熱コイル44,44によってIH方式により加熱されていく。
【0075】そして、ダミーの炊飯釜2に隣接した炊飯釜2(洗米および水が入れられたもの)が、供給口部22側から第1底板用誘導加熱コイル43および第1側板用誘導加熱コイル44に入りかけた時、両コイル43,44は、既にダミーの炊飯釜2によって両コイル43,44の略全域が覆われて高周波電流が流されている状態となっている。
【0076】図9に示すように、洗米および水が入れられた2個目の炊飯釜2は、最上流に位置する第1底板用誘導加熱コイル43,43および第1側板用誘導加熱コイル44,44を覆いはじめる時点から、最上流に位置する第1底板用誘導加熱コイル43,43および第1側板用誘導加熱コイル44,44によってIH方式により加熱される。3個目以降の炊飯釜2についても同様である。
【0077】このようにして、隣接して移動してくる2個目以降の炊飯釜2(洗米および水が入れられたもの)すべては、最上流に位置する第1底板用誘導加熱コイル43,43および第1側板用誘導加熱コイル44,44の上方を覆いはじめる同じ時点から、磁力線によって渦電流を受けて同一条件下で加熱されることとなる。
【0078】そして、図10に示すように、これら洗米および水が入れられた炊飯釜2は、第1加熱部41の第1底板用誘導加熱コイル43および第1側板用誘導加熱コイル44によってIH方式で加熱されて炊飯処理され、続いて第2加熱部42の第2底板用誘導加熱コイル48および第2側板用誘導加熱コイル49によってIH方式で加熱されて蒸らし処理され、その後、排出口部24から排出される。
【0079】なお、排出口部24から排出された炊飯釜2は、図示しない反転ほぐし機で1個ずつ反転され、炊飯釜2から内容物が取り出される。
【0080】そして、作業開始時と同様、連続炊飯作業終了時にも、水のみが入れられて蓋のされたダミーの炊飯釜(図中、斜線が施された釜)2を、底板用誘導加熱コイル43,48の搬送方向Xの長さL1と炊飯釜2の搬送方向Xの長さつまり上面開口縁部13の幅Bとの対応関係に応じた所定数だけ、洗米および水が入れられて蓋のされた連なる複数の炊飯釜2に隣接させて移動させる。
【0081】すなわち、図11に示すように、本実施の形態では底板用誘導加熱コイル43,48の長さL1と炊飯釜2の幅Bとが略1対1の関係にあるため、連続炊飯作業終了時において、最後の1個の炊飯釜2は、水のみが入れられたダミーの炊飯釜2として供給口部22から供給され、搬送方向Xに向って移動する。
【0082】なお、後ろから2個目の炊飯釜2は、最下流に位置する第2底板用誘導加熱コイル48,48および第2側板用誘導加熱コイル49,49のそれぞれの略半分を覆う位置から搬送方向X下流に移動しても、ダミーの炊飯釜2の存在により、最下流に位置する第2底板用誘導加熱コイル48,48および第2側板用誘導加熱コイル49,49によって、先行の炊飯釜2と同じ条件下でIH方式により加熱される。
【0083】また、図12および図13に示すように、最後のダミーの炊飯釜2は、後ろから2個目の炊飯釜2が最下流に位置する第2底板用誘導加熱コイル48,48および第2側板用誘導加熱コイル49,49による加熱が完全に終了する位置を通過するまで、最下流に位置する第2底板用誘導加熱コイル48,48および第2側板用誘導加熱コイル49,49によって加熱されることとなる。
【0084】このことから、隣接して移動してくるすべての炊飯釜2(洗米および水が入れられたもの)については、加熱の開始される時点および加熱の終了される時点が同じとなり、加熱時間に差異が生じるようなことがなく、加熱量の変動がほとんどない。
【0085】このようにして、上記一実施の形態によれば、搬送手段4の作動により搬送方向Xに連なって移動させられている炊飯釜2の底板部11を加熱する第1底板用誘導加熱コイル43および第2底板用誘導加熱コイル48と、搬送手段4の作動により搬送方向Xに連なって移動させられている炊飯釜2の左右両側板部12を加熱する第1側板用誘導加熱コイル44および第2側板用誘導加熱コイル49とを備える構成であるから、従来のガス式の連続炊飯機に比べて、作業室内の空気を熱くする等、作業環境の悪化を防止でき、かつ、燃焼による汚れた排気を室外へ排出するための給排気設備が必ずしも必要ではなく、構成の簡素化を図ることができ、しかも、作業性が良好で、安全性も確実に確保できる。
【0086】また、搬送方向Xに沿って並んだ状態に配置された複数の底板用誘導加熱コイル43,48および側板用誘導加熱コイル44,49を、制御手段61の指令に基づくインバータ601,602,…,6010による供給電力の調整により、各分割搬送用空間部ごとそれぞれ個別的に制御することができるので、例えば炊飯釜2の搬送方向Xへの移動量に応じて加熱手段5による炊飯釜2の加熱量を変えたり、例えば炊飯釜2の内容物の種類に応じて加熱手段5による炊飯釜2の加熱量を変えたりすることができ、よって適切な連続炊飯作業ができ、また、加熱手段5を必要に応じて部分的に作動させることで、省電力化を図ることができる。
【0087】さらに、略矩形板状をなす各コイル43,44,48,49を、その長手方向が搬送方向と一致するように搬送用空間部3を移動中の炊飯釜2との対向位置に配置したので、略矩形板状の各コイル43,44,48,49をその長手方向が搬送方向と直交する方向に一致するように配置した場合に比べて、搬送方向Xに沿って互いに隣接するコイル43,44,48,49間の距離を短くでき、よって、加熱手段5による加熱量の変動を極力小さくでき、安定した連続炊飯作業ができる。
【0088】また、最初の炊飯釜2と最後の炊飯釜2とを水のみが入ったダミーの炊飯釜2として搬送方向Xに移動させるので、洗米および水が入った中間の炊飯釜2については、同じ加熱条件の下で加熱手段5によって加熱でき、加熱が不十分で品質の異なるものができてしまうようなことがなく、安定した連続炊飯作業ができる。
【0089】さらに、IH式の炊飯ユニットを複数備え、各炊飯ユニットと各炊飯釜2とを1対1の関係で静止させてまとめて炊飯する炊飯機に比べて、搬送手段4の構成の簡素化を図ることができるばかりでなく、下流の後処理設備で各炊飯釜2を1個ずつ適切に処理できる。
【0090】次に、図14を参照しつつ、上述のコイル(底板用誘導加熱コイル、側板用誘導加熱コイル)上を移動する炊飯釜に対する加熱力の変動現象について詳細に説明する。
【0091】図14に示すように、例えば3つの底板用誘導加熱コイル(ワークコイル)で考えた場合、ワークコイル端子A・B、C・DまたはE・FからみたインダクタンスLは、L=k(μ・A/l)・N2であり、ワークコイル端子A・B、C・DまたはE・FからみたインピーダンスZは、Z=√{(2πfL)2+r2}であり、ワークコイルのコイル電流I0は、I0=V0/Zである。
【0092】ここで、k:長岡係数その他の係数、μ:被加熱体(炊飯釜の底板部つまり釜底)の透磁率、A:被加熱体の磁路面積、l:被加熱体の磁路長さ、N:ワークコイルの巻き数、f:発信周波数、r:ワークコイル端子A・B、C・DまたはE・Fからみた純抵抗値(釜底の抵抗分が大部分となる)、V0:ワークコイル端子A・B、C・DまたはE・F間に印加される電圧である。
【0093】上式から、ワークコイル端子A・B、C・DまたはE・Fからみた各種定数は、ワークコイル上方にある釜底が移動することで大きく変化し、炊飯釜がない時のコイル電流I0は、大幅に上昇することがわかる。
【0094】このコイル電流I0が上昇すれば、発信電源であるインバータが破損するため、これを避けるために、保護装置が作動してこのコイル電流I0を制限電流として制限し、磁束発生量はある値以下に制限されることになる。
【0095】一方、釜底にワークコイルからの発生磁束が多く鎖交すれば、釜底の加熱力は増加することになるし、釜底とコイル位置とがずれてくれば、発生磁束の鎖交が減少し釜底の加熱力は減少する。この両効果により釜底にワークコイルとが離れていくと釜底の加熱力は激減することになる。
【0096】このように釜底の加熱力は、ワークコイル表面と釜底下面との位置関係で、大幅に変化することがわかるが、この加熱力の変動現象は、連続炊飯ライン上で、連続炊飯機に対して最初に供給される炊飯釜(例えば連続炊飯作業開始時の最初の1個の炊飯釜)と最後に供給される炊飯釜(例えば連続炊飯作業終了時の最後の1個の炊飯釜)とに顕著に発生する。
【0097】そして、これを対策する方法としては、例えば第1に上述したように最初と最後にダミーの炊飯釜を用いる方法があり、第2に炊飯用発信電源であるIHのインバータの主回路電流容量を増加させて制限電流に余裕をもたせる方法があり、第3にワークコイルの見かけのL(インダクタンス)を増加させてコイル電流の制限値を下げる方法がある。
【0098】ここでさらに前記第2の方法について具体的に説明すると、連続炊飯機を考えた場合、対応する炊飯釜とコイルとの関係は、例えば図15に示すような3態となる。すなわち、(1)に示すコイル上方の全体が釜底によって覆われた状態と、(2)に示すコイル上方の略半分が釜底によって覆われた状態と、(3)に示すコイル上方の全体が釜底によって覆われていない状態である。
【0099】また、それぞれのコイルに流れるコイル電流Iは、I1<I2≪I3となり、αがβに近づく程コイルに流れるコイル電流Iは非常に大きい値となる。つまり電源であるインバータの出力を短絡させるようなものである。
【0100】そこで、保護装置でコイルに流れるコイル電流Iの値に制限を持たせるか、場合によってはコイル電流を遮断し、電源を保護している。
【0101】そして、前記第2の方法は、ダミーの炊飯釜を用いる代わりに、最初から最後までの全炊飯釜に対して同じ加熱力が加えられるように、電源であるIH加熱用のインバータに大電流通電可能機能を付加することにより図15の(3)の状態に近い状態(連続炊飯作業開始時および連続炊飯作業終了時においてコイル上方の略全体が釜底によって覆われていない状態)でもインバータからのコイルへの電力供給を止めずそのコイルにコイル電流を流せるようにするものである。
【0102】より具体的には、例えばIH加熱用のインバータでは制限電流はトランジスタ(IGBT)によって制御しており、このトランジスタの容量を大きくすることで出力可能範囲が広がり、よって、加熱力変動を招くことなく、全炊飯釜に対して同じ加熱力が加えることができる。
【0103】また、例えば図16に示すようにコイルは炊飯釜が移動することにより可変トランスLとなっている。このため、この変化をキャンセルするような可変トランスL´を設ければ出力可能範囲が広がり、よって、加熱力変動を招くことなく、全炊飯釜に対して同じ加熱力が加えることができる。なお、この際、共振コンデンサCの値を小さくする必要がある。
【0104】また、前記第3の方法は、汎用のIH加熱用のインバータに変更を加えることなく、ダミーの炊飯釜を用いる代わりに、コイルのインダクタンスを大きくし、図17に示すように互いに隣接するコイル間にも例えば磁性体であるフェライトFを配置することによりコイルの間隙にも磁束を発生しやすくする方法である。そして、この方法は、上記第2の方法と同様、最初から最後までの全炊飯釜に対して同じ加熱力が加えられるように、図15の(3)の状態に近い状態(連続炊飯作業開始時および連続炊飯作業終了時においてコイル上方の略全体が釜底によって覆われていない状態)でもインバータからのコイルへの電力供給を止めずそのコイルに電流を流せるようにするものである。
【0105】このようにダミーの炊飯釜を用いなくても、加熱が不十分で品質の異なるものができてしまうようなことがなく、安定した連続炊飯作業ができる。
【0106】なお、上記実施の形態における加熱手段5は、炊飯釜2の底板部11を加熱する複数の底板用誘導加熱コイル43,48と炊飯釜2の側板部12を加熱する複数の側板用誘導加熱コイル44,49とを備えるものには限定されず、例えば、図示しないが、炊飯釜2の底板部11を加熱する底板用誘導加熱コイルのみを1個或いは複数個備えるものでもよい。
【0107】また、加熱手段5は、図示しないが、搬送方向に移動中の炊飯釜の底板部をこの底板部の下方から加熱する底板用誘導加熱コイルと、搬送方向に移動中の炊飯釜の上面開口を閉じた蓋をこの蓋の上方から加熱する蓋用誘導加熱コイルとを備えるものでもよい。
【0108】また、1つのインバータに対するコイル43,44,48,49との接続する数や位置およびインバータの数は、加熱の仕方によって変更してもよい。
【0109】さらに、加熱手段5は、各コイル43,44,48,49をその長手方向が搬送方向と一致するように配置したものには限定されず、例えば、図示しないが、各コイル43,44,48,49をその長手方向が搬送方向に対する傾斜方向に一致するように配置したものでもよい。
【0110】また、図示しないが、底板用誘導加熱コイルと搬送方向に移動中の炊飯釜の底板部との間の間隙を調整できるように、底板用誘導加熱コイルを昇降調節可能に設けてもよい。同様に、側板用誘導加熱コイルと搬送方向に移動中の炊飯釜の側板部との間の間隙を調整できるように、側板用誘導加熱コイルを移動調節可能に設けてもよい。
【0111】さらに、搬送手段4は、炊飯釜2を水平な搬送方向Xに連続的に移動させるものには限定されず、炊飯釜2を間欠的に移動させるものでもよく、或いは炊飯釜2を下降傾斜または上昇傾斜した搬送方向Xに連続的・間欠的に移動させるものでもよい。
【0112】また、各コイル43,44,48,49の形状は、略矩形板状には限定されず、略円形状、略楕円形状に類似するものでもよい。
【0113】さらに、底板用誘導加熱コイル43,48の搬送方向Xの長さL1と炊飯釜2の搬送方向Xの長さBとの対応関係が略1対1の関係でなく、略2対1の関係にある場合或いは略1.5対1の関係にある場合等には、連続炊飯作業開始時および連続炊飯作業終了時に、水のみが入れられたダミーの炊飯釜2を2個、米および水が入れられた炊飯釜2に隣接させて移動させる。すなわち、かかる場合、最初の炊飯釜2と、最初から2個目の炊飯釜2と、最後の炊飯釜2と、最後から2個目の炊飯釜2とを、水のみが入ったダミーの炊飯釜2として搬送方向Xに移動させる。なお、底板用誘導加熱コイル43,48の搬送方向Xの長さL1は、炊飯釜2の搬送方向Xの長さBの略0.5ないし略2.5(好ましくは略1ないし略2倍)の長さとすることが適切である。
【0114】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、搬送方向に移動中の炊飯釜の底板部を加熱する底板用誘導加熱コイルを備える構成であるから、従来のガス式の連続炊飯機に比べて、作業室内の空気を熱くする等、作業環境の悪化を防止でき、かつ、燃焼による汚れた排気を室外へ排出するための給排気設備が必ずしも必要ではなく、構成の簡素化を図ることができる。
【0115】請求項2の発明によれば、搬送方向に移動中の炊飯釜の側板部を加熱する側板用誘導加熱コイルを備える構成であるから、このような側板用誘導加熱コイルを備えないものに比べて、炊飯釜全体から加熱し、釜内の米全域に対して温度を効率良く高めることができる。
【0116】請求項3の発明によれば、複数の底板用誘導加熱コイルが、搬送方向に沿って並んだ状態に配置されているので、炊飯量の規模に応じて配置するコイルの長さ設定が容易となるとともに、適切な連続炊飯作業ができる。
【0117】請求項4の発明によれば、搬送方向に沿って並んだ状態に配置された複数の底板用誘導加熱コイルをそれぞれ個別的に制御することができるので、より一層適切な連続炊飯作業ができる。
【0118】請求項5の発明によれば、複数の底板用誘導加熱コイルが、搬送方向と交差する方向に沿って並んだ状態に配置されているので、適切な連続炊飯作業ができる。
【0119】請求項6の発明によれば、作業環境の悪化を防止できかつ構成の簡素化を図ることができるばかりでなく、略矩形板状の底板用誘導加熱コイルをその長手方向が搬送方向と直交する方向に一致するように配置した場合に比べて、搬送方向に沿って互いに隣接する底板用誘導加熱コイル間の距離を短くでき、よって、移動しながら加熱されていく炊飯釜の温度変動が少なく、安定した連続炊飯作業ができる。
【0120】請求項7の発明によれば、作業環境の悪化を防止できかつ構成の簡素化を図ることができるばかりでなく、連続炊飯作業開始時および連続炊飯作業終了時に、加熱が不十分で品質の異なるものができてしまうようなことがなく、安定した連続炊飯作業ができる。
【0121】請求項8の発明によれば、作業環境の悪化を防止できかつ構成の簡素化を図ることができるばかりでなく、連続炊飯作業開始時および連続炊飯作業終了時に、ダミーの炊飯釜を用いなくても、加熱が不十分で品質の異なるものができてしまうようなことがなく、安定した連続炊飯作業ができる。
【出願人】 【識別番号】000116699
【氏名又は名称】株式会社アイホー
【住所又は居所】愛知県豊川市白鳥町防入60番地
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区内幸町1丁目1番3号
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
【住所又は居所】神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号
【出願日】 平成14年4月23日(2002.4.23)
【代理人】 【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄 (外2名)
【公開番号】 特開2003−310437(P2003−310437A)
【公開日】 平成15年11月5日(2003.11.5)
【出願番号】 特願2002−120682(P2002−120682)