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【発明の名称】 炊飯器
【発明者】 【氏名】杉原 通正
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内

【氏名】新山 融
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内

【氏名】紺ノ 説三
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内

【氏名】高椋 誠一
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内

【要約】 【課題】調理物を入れる鍋を誘導加熱する炊飯器において、軽量で安価な加熱コイルを実現し、結果、炊飯器の軽量化、低価格化を図る。

【解決手段】加熱コイル4、5へインバータ回路8により高周波電力を供給して調理物を入れる鍋3を誘導加熱し、インバータ回路8の動作を制御部13により制御する。加熱コイル4、5は、絶縁被覆を有するアルミニウム線を撚り合わせて巻回し構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 調理物を入れる鍋と、この鍋を誘導加熱する少なくとも1つの加熱コイルと、この加熱コイルへ高周波電力を供給するインバータ回路と、このインバータ回路の動作を制御する制御部とを備え、前記加熱コイルは、絶縁被覆を有するアルミニウム線を撚り合わせて巻回し構成した炊飯器。
【請求項2】 複数の加熱コイルの内、一部の加熱コイルのみ絶縁被覆を有するアルミニウム線を撚り合わせて巻回し構成した請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】 複数の加熱コイルの内、少なくとも1つを、絶縁被覆を有するアルミニウム線と銅線を混成し撚り合わせて巻回し構成した請求項1記載の炊飯器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、調理物を入れる鍋を誘導加熱する炊飯器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の炊飯器は図2に示すように構成していた。以下、その構成について説明する。
【0003】図2に示すように、炊飯器本体21は、内部に調理物を入れる鍋23を収納する収納部22を設け、炊飯器本体21の上部は蓋24で開閉自在に覆うよう構成し、鍋23は蓋24を開閉することにより取り出しできるようにしている。加熱コイル25は鍋23の底面中心部と対向する位置に配置し、鍋23の底面中心部を誘導加熱する。加熱コイル26は鍋23の底面外周部および側面下方部と対向する位置に配置し、鍋23の底面外周部および側面下方部を誘導加熱する。
【0004】インバータ回路28は、マイクロコンピュータなどで構成した制御部27により動作を制御され、加熱コイル25、26に高周波電流を供給する。冷却用ファン29はインバータ回路28の部品等を冷却するものである。
【0005】加熱コイル25、26のコイル線は、直径0.3mm程度の素線を30本程度撚り合わせたもので構成(リッツワイヤ構成)されている。この撚りピッチは数cm程度で、それぞれの素線は1ターン中に数回鍋23の下面に対して上下の位置関係を繰り返す構成となっている。素線の材質は銅で、その表面はポリエステル等によって絶縁被覆されており、それぞれの素線が電気的に接続されないようになっている。
【0006】加熱コイル25、26のコイル線をこのような素線を撚り合わせた構成としている理由は、加熱コイル25、26に流れる周波数20〜30kHz程度の高周波電流が、表皮効果によりコイル線表面に電流が集中するため、コイル線の径を流れる高周波電流の表皮深さに対して充分小とする必要があること、さらに加熱コイル25、26と鍋23に働く近接効果により、特定の素線に電流が集中するのを防ぐためである。
【0007】絶縁被覆を構成する絶縁物の耐熱温度は一般的に150℃〜180℃程度であり、コイル線の温度がこの耐熱温度を越えると、上記素線間およびコイル線間の絶縁が困難となり、この場合、コイルとしての機能を果たすことができなくなる。
【0008】したがって、コイル線の温度上昇を抑えるため、消費電力が1200W程度で加熱する炊飯器の加熱コイル25、26は、通常直径0.3mm〜0.5mm程度のポリエステル被覆銅線を30本程度撚り合わせて構成している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の炊飯器では、上記したような複数の絶縁被覆を有する銅線を撚りあわせて巻回する構成の加熱コイル25、26は、温度上昇を抑えるために30本程度で構成するため、加熱コイル25、26自身の重量が重くなるという問題を有し、そのために加熱コイル25、26を保護枠(図示せず)などの固定部材に固定する接着材、あるいは保護枠の強度を保持するために多くの難燃耐熱の樹脂量が必要となり、結果として炊飯器の製品重量が重くなり、材料費が高くなるという問題を有していた。
【0010】また、冷却ファン29の性能を向上してコイル線をよりよく冷やすような構成にし、コイル素線数を少なくし軽くすることもできるが、冷却ファン29等の部品のコストアップとなり、商品性を低減するという問題を有していた。
【0011】本発明は上記従来の課題を解決するもので、軽量で安価な加熱コイルを実現し、結果、炊飯器の軽量化、低価格化を図ることを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成するために、加熱コイルへインバータ回路により高周波電力を供給して調理物を入れる鍋を誘導加熱し、インバータ回路の動作を制御部により制御するよう構成し、加熱コイルは、絶縁被覆を有するアルミニウム線を撚り合わせて巻回し構成したものである。
【0013】これにより、軽量で安価な加熱コイルを実現でき、結果、炊飯器の軽量化、低価格化を図ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明は、調理物を入れる鍋と、この鍋を誘導加熱する少なくとも1つの加熱コイルと、この加熱コイルへ高周波電力を供給するインバータ回路と、このインバータ回路の動作を制御する制御部とを備え、前記加熱コイルは、絶縁被覆を有するアルミニウム線を撚り合わせて巻回し構成したものであり、アルミニウムの20kHzでの表皮抵抗は0.45(10−4Ω)で、銅の0.36(10−4Ω)より大きいが、撚り合わせる素線(絶縁被覆を有するアルミニウム線)の数を多くすることにより、各層間に流れる電流は鍋側に偏ることがなく、銅と同等レベルの損失の加熱コイルを実現することができ、さらに、素線を撚り合わせたコイル線をアルミニウムで構成としているため、撚り合わせた素線数を多くしても、銅線を撚り合わせた従来の加熱コイルと比べてコイル重量を軽くでき、加熱効率がよく、軽くて優れた炊飯器を提供することができる。
【0015】請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、複数の加熱コイルの内、一部の加熱コイルのみ絶縁被覆を有するアルミニウム線を撚り合わせて巻回し構成したものであり、コストアップを抑えかつ軽量化をできる優れた炊飯器を提供することができる。
【0016】請求項3に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、複数の加熱コイルの内、少なくとも1つを、絶縁被覆を有するアルミニウム線と銅線を混成し撚り合わせて巻回し構成したものであり、コストアップを抑えかつ軽量化をできる優れた炊飯器を提供することができる。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0018】(実施例1)図1に示すように、炊飯器本体1は、内部に調理物を入れる鍋3を収納する収納部2を設け、炊飯器本体1の上部は蓋9で開閉自在に覆うよう構成し、鍋3は蓋9を開閉することにより取り出しできるようにしている。加熱コイル4は鍋3の底面中心部と対向する位置に配置し、鍋3の底面中心部を誘導加熱する。加熱コイル5は鍋3の底面外周部および側面下方部と対向する位置に配置し、鍋3の底面外周部および側面下方部を誘導加熱する。
【0019】加熱コイル4、5は、鍋3の外周部に沿って設けるとともに、加熱コイル4、5は間隙を介して高耐熱樹脂で構成する保護枠6に接着材あるいは一体成形にて固定し、この保護枠6の下側には漏れ磁束を吸収するフェライトコア7を放射状に複数個設けている。
【0020】温度検知装置10は鍋3の温度を検知するもので、鍋3の底面中心部に接触するように設けている。この温度検知装置10の信号は制御部13に入力される。制御部13は、加熱コイル4、5に各々独立して高周波電力を供給する炊飯器本体1の底部に設けたインバータ回路8の発振を制御するとともに、炊飯器本体1の上部に設けた操作表示部11を制御するよう構成している。
【0021】冷却用ファン12はインバータ回路8の部品等を冷却するものであり、ヒータ14、15は、それぞれ鍋3を側面および上面から加熱するもので、このヒータ14、15は誘導加熱を行う加熱コイルであってもよい。
【0022】上記構成において動作を説明する。鍋3を収納部2に収納すると収納部2の底中心部に設けた鍋3の温度検知装置10の検知温度に対応して、制御部13はインバータ回路8に加熱開始信号を送り、炊飯開始状態となる。そして、操作表示部11の炊飯キーで炊飯モードが選択されると、制御部13はインバータ回路8により加熱コイル4、5に高周波電流を供給する。これにより、加熱コイル4、5は鍋3を誘導加熱して炊飯が開始される。
【0023】ここで、加熱コイル4、5はポリエステル等の絶縁被覆を有する直径0.3mm程度のアルミニウム線を40本程度撚り合わせたもので構成(リッツワイヤ構成)している。40本程度撚り合わせた理由として、20kHzでの表皮抵抗を銅とアルミニウムで比較すると、銅は0.36(10−4Ω)、アルミニウムは0.45(10−4Ω)で、アルミニウムが銅の約1.3倍である。そこで撚り本数を銅線の30本に対し、アルミニウム線を約1.3倍の40本で構成すれば、30本の銅での撚線と40本のアルミニウム撚線とはほぼ同等の抵抗とすることができる。
【0024】このとき、線材の重量を比較すると、密度で見れば銅の8.9(10−3kg/m3)に対し、アルミニウムは2.7(10−3kg/m3)で銅の約1/3である。結果として、素線の本数は約1.3倍になるが、総重量は、アルミニウム線は約60%軽くできる。
【0025】加熱コイル4、5は、撚線の撚りピッチを数cm程度とし、それぞれの素線は1ターン中に数回鍋3の下面に対して上下の位置関係を繰り返す構成とし、さらに、鍋3の底面を誘導加熱する加熱コイル4と、鍋3の側面下方および底面外周を誘導加熱する加熱コイル5とで構成し、加熱コイル4、5は鍋3の外周部に沿って高耐熱樹脂で構成する保護枠6に接着剤あるいは一体成形にて固定されている。
【0026】インバータ回路8は、加熱コイル4、5への高周波電力の供給量を個別に独立して制御する。すなわち、加熱コイル4、5の仕様に応じて、加熱コイル4、5への高周波電力の供給量を調整するのである。例えば、加熱コイル4、5のターン数、加熱面積、外径寸法あるいは加熱コイル4、5と鍋3との結合状態などに応じて、鍋3の各部分での電力密度分布が均一になるように、インバータ回路8の加熱コイル4、5への高周波電力の供給量あるいは通電時間等を、制御部13により制御する。
【0027】加熱コイル4、5に20kHz以上の高周波電流が流れると、まず表皮効果により、各線の表面部分に電流が集中して流れるが、本実施例の場合、各線の径は表皮深さに対して充分薄いため(例えば20kHzでは0.3mm程度)表皮効果による電流分布の不均一は発生しない。
【0028】このように本実施例においては、加熱コイル4、5をポリエステル等の絶縁被覆を有する直径0.3mm程度のアルミニウム素線を40本程度撚り合わせたもので構成することにより、従来の銅での撚線とほぼ同等の抵抗とすることができ、かつコイル線の重量が銅に比較して約60%軽くすることができるので、加熱コイル4、5を固定する接着剤の量を少なくできる、あるいは、保護枠6の樹脂材料の使用量を低減できる等により安価で軽量な炊飯器を実現することができる。
【0029】なお、本実施例では、アルミニウム線の直径を0.3mm程度で40本撚り合わせる構成としたが、これに限定されるものではなく、アルミニウム線の直径が0.1mmから0.5mmの間であっても、従来の銅線で構成した撚線の断面積の約1.3倍を有するような本数で構成することにより、加熱コイルの重量を軽減することができる。
【0030】(実施例2)図1に示す加熱コイル4、5は、これらの内のいずれか一方、例えば加熱コイル5を絶縁被覆を有するアルミニウム線を撚り合わせたコイル線を巻回して構成し、もう一方の加熱コイル4は絶縁被覆を有する銅線を撚り合わせたコイル線を巻回して構成している。他の構成は上記実施例1と同じである。また、上記構成における動作は上記実施例1と同じであるので説明を省略する。
【0031】アルミニウム線は、銅線に比較して単価が高く、単に銅線をアルミニウム線に置き換えただけでは、加熱コイル4、5の重量は軽減できるが、材料費がアップし、また本数も増加するのでさらにコストアップになる。
【0032】加熱コイル4、5の内のいずれか一方を絶縁被覆を有するアルミニウム線を撚り合わせたコイル線を巻回して構成することで、コストアップを抑えて炊飯器の重量を軽くすることができる。
【0033】(実施例3)図1に示す加熱コイル4、5は、これらの内のいずれか一方または両方を、例えば、絶縁被覆を有するアルミニウム線20本と銅線15本を混成し撚り合わせたコイル線を巻回し構成している。他の構成は上記実施例1と同じである。また、上記構成における動作は上記実施例1と同じであるので説明を省略する。
【0034】ここで、混成させるアルミニウム線と銅線の本数は、従来の銅線30本と同等の断面積を有するように構成すれば、これに限定されるものではない。
【0035】
【発明の効果】以上のように本発明の請求項1に記載の発明によれば、調理物を入れる鍋と、この鍋を誘導加熱する少なくとも1つの加熱コイルと、この加熱コイルへ高周波電力を供給するインバータ回路と、このインバータ回路の動作を制御する制御部とを備え、前記加熱コイルは、絶縁被覆を有するアルミニウム線を撚り合わせて巻回し構成したから、撚り合わせる素線(絶縁被覆を有するアルミニウム線)の数を多くすることにより、各層間に流れる電流は鍋側に偏ることがなく、銅と同等レベルの損失の加熱コイルを実現することができ、さらに、素線を撚り合わせたコイル線をアルミニウムで構成としているため、撚り合わせた素線数を多くしても、銅線を撚り合わせた従来の加熱コイルと比べてコイル重量を軽くでき、加熱効率がよく、また、コイル重量が軽くなるため、加熱コイルを固定する接着剤あるいは保持する樹脂材の使用量を少なくでき、軽くて安価な炊飯器を提供することができる。
【0036】また、請求項2に記載の発明によれば、複数の加熱コイルの内、一部の加熱コイルのみ絶縁被覆を有するアルミニウム線を撚り合わせて巻回し構成したから、コストアップを抑えかつ軽量化をできる優れた炊飯器を提供することができる。
【0037】また、請求項3に記載の発明によれば、複数の加熱コイルの内、少なくとも1つを、絶縁被覆を有するアルミニウム線と銅線を混成し撚り合わせて巻回し構成したから、コストアップを抑えかつ軽量化をできる優れた炊飯器を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地
【出願日】 平成14年4月23日(2002.4.23)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄 (外2名)
【公開番号】 特開2003−310429(P2003−310429A)
【公開日】 平成15年11月5日(2003.11.5)
【出願番号】 特願2002−120442(P2002−120442)