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【発明の名称】 フライヤー
【発明者】 【氏名】小野地 賢治
【住所又は居所】東京都江東区塩浜2丁目16番9号 マッハ機器株式会社内

【要約】 【課題】油質を知ることが重要なフライヤーにおいて、その時々の調理油の油質を表示させ、人によらない判断基準を提供する。

【解決手段】フライヤー本体11内に設置されたオイルパン12内の調理油にセンシング部を触れさせることで調理油の油質変化を電気的情報として出力できる油質センサ21を設け、この油質センサ21の電気的出力に基づく油質情報を表示部24に表示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 本体内に設置されたオイルパン内に調理油を注ぎ込み、該調理油を加熱することで、該調理油により食材を揚げるフライヤーであって;該オイルパン内の上記調理油にセンシング部を触れさせることで該調理油の油質変化を電気的に検出できる油質センサを設け;該油質センサの電気的出力に基づく油質情報を表示部に表示すること;を特徴とするフライヤー。
【請求項2】 請求項1記載のフライヤーであって;上記油質センサの電気的出力に基づき求められる油質情報が、予め定めてある油質劣化限界を表すようになったときには、可視警報と可聴警報の少なくとも一方または双方を発するようにしたこと;を特徴とするフライヤー。
【請求項3】 請求項1記載のフライヤーであって;上記油質センサは、センシング部として一対の電極を有し;該一対の電極を上記オイルパン内の上記調理油に触れさせ、該調理油の油質に応じて該一対の電極間の電位差が異なることで油質情報を電気的出力として出力するものであること;を特徴とするフライヤー。
【請求項4】 請求項3記載のフライヤーであって;該一対の電極は、上記オイルパンの壁面を貫いて上記調理油に触れ得るが、その先端において触れ得る程度に、該オイルパンの内方への突出は抑えられていること;を特徴とするフライヤー。
【請求項5】 請求項1記載のフライヤーであって;上記オイルパン内に、上記調理油の油面高さを検出する液面センサを設け;該液面センサを介して得られる油面高さ情報を表示部にて表示するようにしたこと;を特徴とするフライヤー。
【請求項6】 請求項5記載のフライヤーであって;上記液面センサは、上記調理油の油温に耐える耐熱性を有する光ファイバを用いたもので;該光ファイバ内に送給した光が、油面高さに応じて反射位置の異なる受信光となって戻って来る際に伴う油面高さ情報に基づき、油面高さを検出する光ファイバ型液面センサであること;を特徴とするフライヤー。
【請求項7】 請求項5記載のフライヤーであって;上記液面センサが、予め定めてある油面高さの下限値を検出したときには、可視警報と可聴警報の少なくとも一方または双方を発するようにしたこと;を特徴とするフライヤー。
【請求項8】 請求項5記載のフライヤーであって;上記液面センサが、上記オイルパン内の該調理油の油面高さに関し、予め定めてある上限値を検出したときには、可視警報と可聴警報の少なくとも一方または双方を発するようにしたこと;を特徴とするフライヤー。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、「フライヤー」と呼ばれて周知の揚げ物調理器、特に業務用フライヤーに関し、用いる調理油の品質(油質)をリアルタイムで知り得るようにする改良に関する。
【0002】
【従来の技術】業務用フライヤーでは、不特定多数の客を対象とし、一日だけの営業でも食材の揚げ数は相当な数に昇ることがある。こうした場合、当該揚げ物調理に用いる食用油(本書では‘調理油’と呼ぶ)の油質管理は重要な課題である。調理油の劣化で客の健康を害したのでは始まらないし、そうでなくても、揚げた商品の味が落ちたり、一定しないことは、その店の評判を左右する。
【0003】ところが、従来は、揚げカスを自動的に除去する等、物理的ないし機構的な装置はあっても、この調理油の油質(劣化の程度)自体をリアルタイムで検出し、電気的情報を介して調理者に分かる形で表示し得る手段はなく、調理者が揚げ回数や泡立ち等の変化を見て、あるいはまた、官能的には色調や臭いなどを目安として、交換すべきと判断したときに交換するとか、あるいは時間を決めて定期的に交換する等していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、明らかにこれは不合理な状況である。人によって、また熟練度によって判断が異なり、悪くなった調理油を使い続けてしまったり、逆に、まだ交換しなくても済む調理油を交換してしまったり等してしまう。
【0005】本発明はこうした実情に鑑みなされたもので、油質を知ること、特にその劣化限界を知ることが大切なフライヤーにおいて、リアルタイムで、ないし必要なときにはいつでも、その時の調理油の油質を知ることができ、人によらない判断基準を提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成するために、まず基本的な構成として、フライヤー本体に設置されたオイルパン内の調理油にセンシング部を触れさせることで調理油の油質変化を電気的に検出できる油質センサを設け、この油質センサの電気的出力に基づく油質情報を表示部に表示するようにしたフライヤーを提案する。
【0007】また、実用的な付加構成として、油質センサの電気的出力に基づき求められる油質情報が、予め定めてある油質劣化限界になったときには、可視警報と可聴警報の少なくとも一方または双方を発することも提案する。
【0008】さらに、油質センサとして望ましいものとして センシング部として一対の電極を有し、これら一対の電極をオイルパン内の調理油に触れさせ、調理油の油質に応じて当該一対の電極間の電位差が異なることで油質情報を電気的出力として出力する油質センサの使用を提案する。この場合、オイルパン内はできるだけ広くし、また、清掃時のことなども考えて、突起物等はない方が望ましいので、一対の電極はオイルパンの壁面を貫いて調理油に触れ得るが、その先端において触れ得る程度に、当該オイルパンの内方への突出は抑えるのが良い。
【0009】ところで、油質を管理する上では、意外に、その油量も影響する。簡単に言えば、かなり減ってきたときには油質も相当に劣化していると看做し得る。そこで本発明では、上記の構成に加えて、オイルパン内に調理油の油面高さを検出する液面センサを設け、これを介して得られる油面高さ情報を表示部にて表示するようにしたフライヤーも提案する。もちろん、油面高さを把握することは、安全性にも繋がる。余りに少ない油量での加熱は火災を招いたりすることもある。
【0010】しかるに、原則としては排斥するものではないが、フロート型の液面センサ等では場所をとり、調理をするオイルパン内にはふさわしくない。そこで、この液面センサは、調理油の油温に耐える耐熱性を有する光ファイバを用いたもので、光ファイバ内に送給した光が、油面高さに応じて反射位置の異なる受信光となって戻って来る際に伴う油面高さ情報に基づき、当該油面高さを検出する光ファイバ型液面センサとするのが良い。
【0011】この場合、液面センサが、予め定めてある油面高さの下限値を検出したときには、可視警報と可聴警報の少なくとも一方または双方を発するようにするのが良い。
【0012】また、折角、液面センサを設けるのであれば、オイルパン内への調理油の注ぎ込み時に特に有効であるように、調理油の油面高さに関し、予め定めてある上限値を検出したときには、可視警報と可聴警報の少なくとも一方または双方を発するようにし、注ぎ過ぎを防止するようにすると合理的である。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図1、2に即し、本発明の望ましい実施形態につき説明する。図1は本発明を適用して構成されたフライヤー(業務用を想定)の一例の概略構成を示している。公知既存の部分で良い所から説明すると、フライヤー本体11内には調理油を注ぎ込むオイルパン(油槽)12がある。オイルパン12はもちろん、この中で揚げる揚げ調理用の食材(図示せず)を出し入れできるように上方が開放しており、底部には、これを開けることで調理油を排出するためのドレインバルブ16が設けられている。その形も、実際には調理者側の傾斜の方が緩くなっている等、工夫があるが、本発明には直接の関係はないので、単に漏斗型に示してある。調理者は図示の場合、図面中で左側に立って、右を向いて調理作業をする。
【0014】オイルパン12内に注ぎ込まれた調理油(図示せず)の加熱は、レバー14を例えば回転軸15の周りに回動操作することで選択的にオイルパン12内に浸漬させたりオイルパン12から出したりすることができるヒータ13による。しかし、オイルパン12の底部ないし側壁部を外部から直接に加熱するタイプのフライヤーもあり、それにも本発明は適用可能である。
【0015】食材は、一般に「フライ籠」等と呼ばれるバスケット17(仮想線で示す)内にまとめて入れられ、その状態でバスケット17ごと、オイルパン12内に浸漬され、ヒータ13での調理油加熱により、揚げ調理される。
【0016】最近のフライヤーは随分と自動化され、希望する油温や、さらには調理時間等を操作表示盤23に設けられているスイッチ類等、入力部材を介し入力、設定しておけば、一般にはマイクロコンピュータを含んで構成される演算制御部22の制御により、調理者の希望に沿うような形での揚げ調理が行え、所定時間を経過すると自動的に揚げ上がった食材をバスケット17ごと持ち上げるようなものまでもある。しかし、こうしたことは本発明には関係がないので、これ以上の説明は省略する。
【0017】しかるに、本発明では、このようなフライヤーにおいて、オイルパン12内の調理油にセンシング部を触れさせることで調理油の油質変化を電気的に検出できる油質センサ21を設け、この油質センサ21の電気的出力に基づく油質情報を表示部24に表示させる。表示部24は、図示のように操作表示盤23に設けてよく、既存のものでも各種情報をいわゆる7セグメントディスプレイや液晶表示装置その他を介して可視表示するものがあるので、これを流用しても良いし、そうではなく、油質表示に専用の表示装置24を設けても良い。表示形態も、酸化の程度に応じた数値表示とか後述する極性化合物の増加の程度に応じた数値表示でも良いし、簡単ではあるが直感的認識性の良い、「優、良、不可」等の表示であっても良い。二段階の「適、不適」表示等でも良い。
【0018】すなわち、油質表示は、実質的には油質の劣化表示にすることが考えられる。そこで、油質センサ21の電気的出力に基づき、要すれば演算制御部22を介して求められる油質情報が、予め定めてある油質劣化限界になったときには、それを数値表示するか、「不可」表示する等に代えて、あるいはこれに加えて、例えば可聴警報手段29を稼動させ、あるいはまた、表示部24への警報表示や、別途専用に設けた点滅ランプ等の可視警報手段を介して、可視警報と可聴警報の少なくとも一方または双方を発するようにするとさらに良い。
【0019】ところで、油質センサ21は、原則として、油質を電気的信号に変換できるものであれば、本発明においてその具体的な種類は問わない。しかし、特に望ましい油質センサを提示することもできる。
【0020】図2は、そうした望ましい油質センサ21の一例のセンシング部近傍を示している。この油質センサは、センシング部として一対の電極25,25を有するもので、これら一対の電極25,25をオイルパン12内の調理油に触れさせると、調理油の油質に応じて一対の電極25,25間の電位差が異なることで油質情報を電気的出力として出力し得るものである。この一対の電極25,25の両側に一つ宛位置している一対の電極26,26は補助電極であって、原理的にはなくても良いもので、これらについては後に説明する。対比のために、原理的にセンシングに必要な一対の電極25,25の方は主電極25,25として示している。
【0021】単体としてなら、本出願人が販売元となって、「PCセンサ」なる商品名で、携帯でき、手作業で油内に浸漬させて用い得るものを市販している。こうしたセンサの油質検出原理は次の通りである。
【0022】一対の電極(主電極)25,25は、原理的には相互に固有の電位を異にする二種類の金属単体ないし合金により形成されている。これらはアルミニウムと銅等、固有電位差が大きい方が好ましいが、耐食性という観点から金、白金などの貴金属やチタン合金等も好ましい。
【0023】しかるに、調理油は、揚げ作業を繰り返して行く内に、酸化分解、酸化重合、加水分解等の要因により、本来、調理油の主成分たるトリグリセライドの他に、様々な生成物を生じる。これらは総称して、極性化合物と呼べる。そして、この極性化合物が、一対の電極25,25間にその量に応じた電位差を生じさせるのである。極性化合物が増え、電位差が増す程に、その調理油の油質、すなわち劣化の程度は大きくなっていると判断できる。
【0024】そこで、この油質センサの電気出力を演算制御部22にて捕らえ、それを人が理解できる可視情報として表示部24に表示すれば、人によらない、また、経験の深さによらない、その時々の客観的な油質を要すればリアルタイムで調理者に知らしめることができる。もちろん、上記の通り、この電気情報出力により、単に劣化の程度を例えば数値化するか、直感的に良、不良を表し得る表示をなすのに加え、予め定めた劣化限界に至ったことを演算制御部22が検知した場合には、先に述べたような態様で警報を発し、調理者に調理油の交換を促せば良い。なお、演算制御部22は、昨今ではマイクロコンピュータを用いて構成できる。
【0025】一対の補助電極26,26は、これらの間に意図的に印加する電位の大きさを調整することで、調理油の種類によっても変わることのある、初期設定をし易くしたり(例えば新しい調理油を注入した場合、一対の主電極25,25間の電位差をゼロに調整するのを簡単にしたり)、検出感度を上げるために使用される。つまり、主電極25,25間に現れる電位差を実質的に増幅させる効果もある。さらに、こうした調整機能を有するため、補助電極26,26を設けた場合には、主電極25,25は共に同種の金属ないし合金とすることもできる。
【0026】図2に示した油質センサ21は、構造的な工夫もある。図1に模式的に図示しているように、センシング部(電極)を調理油に触れさせるためには、センサの出力部はオイルパン12の外部に置かざるを得ないが、電極は少なくともオイルパンの壁面を貫いてオイルパン12内に侵入せざるを得ない。しかし、調理者が清掃のために手を入れたりするオイルパン12内には、できるだけ突起物等はない方が良い。調理作業領域を広く確保するためにもその方が好ましい。
【0027】そこで、図2に示されている油質センサでは、オイルパン12の壁面に対して取り付けられ、壁面を貫いて侵入する部分の絶縁体27を図示しない適当なシール材を介して取り付けた際、各電極25,25:26,26はオイルパン12内に実質的には突出することがないように、オイルパン12の壁面を貫いて調理油に触れ得るが、その先端において触れ得る程度に突出が抑えられ、ほぼオイルパン内壁面と面一とされている。
【0028】また、一般に油温を検出するサーミスタ28等の温度センサ28がこの種のフライヤーには備えられるが、本発明に従い、こうした油質センサを取り付けるのであれば、このセンシング部分に一体に組み込んでしまうのが合理的である。サーミスタ28もまた、その先端センシング部がオイルパン内壁面ないし各電極先端面と面一となるような配置が好ましい。
【0029】さらに、この実施形態では、オイルパン12の底部ないし側部の壁面を貫いて固定的に油質センサ21を取り付けるようにしているが、アタッチメント的に後付けとし、例えばオイルパン12内に外側からぶら下げるような格好で、油質センサ21を取り付けて固定するものでも良い。
【0030】本発明のこの実施形態では、オイルパン12内に調理油の油面高さを検出する液面センサ31も設けてある。そして、この液面センサ31を介して得られる油面高さ情報を表示部24にて表示するようにしている。液面高さ(油面高さ)は、意外にも油質情報を得る助けともなる。例えば、相当減ってきたときには油質も相当に劣化していると看做し得る。もちろん、油面高さを把握することは、安全性にも繋がる。余りに少ない油量での加熱は火災を招いたりすることもある。
【0031】従って、液面センサ31が、予め定めてある油面高さの下限値を検出したときには、演算制御部22を介する等してその状況を把握し、先に延べたような手段で、可視警報と可聴警報の少なくとも一方または双方を発するようにすると良い。また、強制的に電源を落とすように構成すると、なお安全である。
【0032】逆に、液面センサ31が、オイルパン12内への調理油の注ぎ込み時に、調理油の油面高さに関し、予め定めてある上限値を検出したときにも、可視警報と可聴警報の少なくとも一方または双方を発するように構成しても良い。注ぎ過ぎによる無駄や、溢れることでの事故発生を抑止し得る。
【0033】しかるに、液面高さ検出装置自体は、従来からも種々提案されていて、いわゆるフロート形式等のものも汎用されている。しかし、フライヤーの特殊性に鑑みると、耐熱性は耐熱プラスティックの採用等により、フロート部の構築に成功したにしても、如何せん、場所を取り過ぎる。そこで、望ましくは図1に示されているように、調理油の油温に耐える耐熱性を有する光ファイバ、例えばガラス光ファイバを用いたもので、この光ファイバ内に送給した光が、油面高さに応じて反射位置の異なる受信光となって戻って来る際に伴う油面高さ情報に基づき、油面高さを検出する光ファイバ型液面センサとするのが良い。なお、光ファイバを介して得られる光情報に載った油面高さ情報は、適当な光信号変換部32により電気信号に変換し、演算制御部22に送って処理させればよい。
【0034】
【発明の効果】本発明によると、油質劣化を数値化するか、良、不良表示する等のため、少なくとも電気的情報として油質情報を出力できる油質センサをフライヤーに取り付けてあるので、リアルタイムで油質(その劣化の程度)を知ることができ、熟練によらず、誰でもその時々の油質を知ることができる。調理油交換時期も、予め定めた劣化限界に油質センサの出力に基づく油質情報が至った時には警報を発する等することもできるため、人それぞれの判断に任せていた場合と異なり、確実に交換時期を判断でき、無駄な交換を行ってしまうような不都合も防げる。
【出願人】 【識別番号】502076350
【氏名又は名称】マッハ機器株式会社
【住所又は居所】東京都江東区塩浜2丁目16番9号
【出願日】 平成14年3月1日(2002.3.1)
【代理人】 【識別番号】100082669
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 賢三 (外2名)
【公開番号】 特開2003−250708(P2003−250708A)
【公開日】 平成15年9月9日(2003.9.9)
【出願番号】 特願2002−55245(P2002−55245)