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【発明の名称】 炊飯器
【発明者】 【氏名】鈴木 利明
【住所又は居所】千葉県柏市新十余二3番地1 株式会社日立ホームテック内

【要約】 【課題】沸騰検出後、フタ加熱手段の加熱が内釜内のおねばで冷やされて、フタの温度が上がりにくい特性をとらえて、加熱量を減らしふきこぼれを防止する。

【解決手段】本体1又はフタの加熱手段への通電を制御する制御手段と、フタ温度センサー6の温度が設定温度になるよう制御手段を介してフタ加熱手段の通電を制御する温度調節手段を設け、フタ温度センサー6が炊飯開始時の定温度より高い温度Tに至った時、制御手段が沸騰と判断し、温度調節手段7の設定温度を温度Tより高い第二の設定温度に切り替える炊飯器において、沸騰判断で第二の温度に切り替わってからは一定時間毎にフタ温度センサー6の温度を判断し、一定時間内に予め定めた温度以上にフタ温度センサー6の温度が上昇していないとき、ふきこぼれ直前と判断して主加熱手段4の加熱量を一時又はそれ以降低下もしくは一時停止するふきこぼれ防止手段を設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 本体(1)と、本体(1)内に着脱自在に収納される内釜(2)と、本体(1)に開閉自在に取り付けられ、内釜(2)と本体(1)の上部を覆うフタ(3)と、内釜(2)を加熱する主加熱手段(4)と、フタ(3)を加熱するフタ加熱手段(5)と、フタ(3)の温度を検出するフタ温度センサー(6)とを備え、本体(1)又はフタ(3)に主加熱手段(4)とフタ加熱手段(5)への通電を制御する制御手段(7)と、フタ温度センサー(6)の温度が設定温度になるよう制御手段(7)を介してフタ加熱手段(5)の通電を制御する温度調節手段(8)を設け、温度調節手段(8)の設定温度は炊飯開始時には第一の設定温度とし、フタ温度センサー(6)が第一の設定温度より高い温度Tに至った時、制御手段(7)が沸騰と判断し、温度調節手段(8)の設定温度を温度Tより高く、沸騰温度より高い第二の設定温度に切り替える炊飯器において、沸騰判断で第二の温度に切り替わってからは一定時間毎にフタ温度センサー(6)の温度を判断し、一定時間内に予め定めた温度以上にフタ温度センサー(6)の温度が上昇していないとき、ふきこぼれ直前と判断して主加熱手段(4)の加熱量を一時又はそれ以降低下もしくは一時停止するふきこぼれ防止手段(9)を設けたことを特徴とする炊飯器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蒸気口からふきこぼれを生じないでおいしいご飯を炊きあげる炊飯器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の炊飯器において、フタ温度センサーによる温度制御によりフタからの加熱を行い、かつフタ温度センサーで沸騰の検出を行うものとして特許第2844013号公報(以下従来技術1という)に示すものが知られている。
【0003】その詳細は、フタ温度センサーの温度が第一の温度になるようフタ加熱手段を制御し、フタ温度センサーが第一の温度より高い温度Tになったとき沸騰と判断して加熱手段の火加減を切り替えるとともに、フタ温度センサーの温度が温度Tより高い第二の温度になるようフタ加熱手段の制御を切り替えるものである。これにより温度Tでの沸騰検出と、沸騰検出前の炊飯初期の水温より高い第一の温度によるフタからの加熱及び沸騰後の水温より高い第二の温度によるフタからの加熱を行っている。
【0004】一方、沸騰後に内釜内部で発生する、澱粉質の溶けた粘性の高い湯(おねば)がフタの蒸気口から泡となって噴出するのを防ぐため、フタの温度を上記従来例の第二の温度に相当する沸騰点以上の高温に保つ技術として特許第2750568号公報(以下従来技術2という)に示すものが知られている。
【0005】また、これに適したフタ加熱手段の配置として、おねばの泡がフタ内面に到達した時に、沸騰点以上の高温としておくことで、触れた泡をはじけさせ、泡を消滅させる技術(以下従来技術3という)も知られている。
【0006】さらに、このおねばが多量に発生してフタの熱が急激に奪われ、前記従来技術2及び3でふきこぼれが防げなくなった時、このフタの急激な温度低下をフタ温度センサーで検出してふきこぼれを防ぐ技術(以下従来技術4という)も知られている。この技術はふきこぼれそうな状況を検出し、内釜の加熱量を調整してふきこぼれを防ぐものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記した従来技術のうち2〜4に示すものは、おねばが多量に発生する前に、フタの温度を沸騰点以上の高温(第二の温度)に保っておくことが必須である。特に、少量の炊飯時や誤って多量に水加減してしまった場合など、沸騰し始めると一気におねばが多量に発生する。
【0008】また、フタ加熱手段でフタを沸騰点以上の高温まで加熱するには、ある程度の時間を要することを考慮すると、沸騰を開始する以前からフタの温度を高温にしておくことが必要である。
【0009】また、従来技術1に示すように、沸騰を温度Tで検出してから第二の温度に切り替える方法では同時に発生するおねばがフタに到達する以前に、フタの温度を高温にすることは困難であった。
【0010】このため、炊飯初期から高温で制御する必要があり、前記従来例の技術による、第二の温度より低いフタ温度センサーの温度Tで沸騰を検出する技術との併用が不可能であった。
【0011】また、上記従来技術の2〜4技術を使う場合には、沸騰を検出せずに主加熱手段の火加減を制御するか、フタの温度に影響されない別の方法で沸騰を検出する必要があった。
【0012】
【課題を解決するための手段】かかる従来の問題を解決するため、本発明では、本体と、本体に着脱自在に収納される内釜と、本体に開閉自在に取り付けられ、内釜と本体の上部を覆うフタと、内釜を加熱する主加熱手段と、フタを加熱するフタ加熱手段と、フタの温度を検出するフタ温度センサーとを備え、本体又はフタに主加熱手段とフタ加熱手段への通電を制御する制御手段と、フタ温度センサーの温度が設定温度になるよう制御手段を介してフタ加熱手段の通電を制御する温度調節手段を設け、温度調節手段の設定温度は炊飯開始時には第一の設定温度とし、フタ温度センサーが第一の設定温度より高い温度Tに至った時、制御手段が沸騰と判断し、温度調節手段の設定温度を温度Tより高く、沸騰温度より高い第二の設定温度に切り替える炊飯器において、沸騰判断で第二の温度に切り替わってからは一定時間毎にフタ温度センサーの温度を判断し、一定時間内に予め定めた温度以上にフタ温度センサーの温度が上昇していない場合、ふきこぼれ直前と判断して主加熱手段の加熱量を一時又はそれ以降低下もしくは一時停止するふきこぼれ防止手段を設けたものである。
【0013】上記本発明によれば、温度T以下の温度で炊飯開始から沸騰までは第一の温度でフタの温度が制御されるので、炊飯初期の水温が低い状況においてはフタからの加熱効果が得られる。また、内釜内が沸騰するとフタが蒸気で加熱され、温度Tを超えて沸騰を判断でき、これにより主加熱部の加熱量を調整するなど適切な火加減が可能になる。また沸騰後は第二の温度に切り替えてフタが高温に保たれるのでふきこぼれを防ぐ効果も得られる。
【0014】また、沸騰検出直後にはフタの温度が第二の温度まで上がっておらず、一気におねばが発生した場合は、おねばでフタ加熱手段の熱が奪われて第二の設定温度まで上がることがない。従って従来ならふきこぼれが生じることになるが、本発明では沸騰判断で第二の温度に切り替わってからは一定時間毎にフタ温度センサーの温度を判断し、一定時間内に予め定めた温度以上にフタ温度センサーの温度が上昇していない場合には、ふきこぼれ防止手段によりふきこぼれ直前と判断する。これによって、温度Tに至った以降におねばによりフタ加熱手段の熱が奪われてフタの温度上昇が遅い場合には、おねばがフタまで到達していることを検出でき、主加熱手段の加熱量を低下又は加熱を一時停止するので、ふきこぼれを防止でき、また、この主加熱手段の加熱量の低下でおねばが収まっている間にフタの温度を第二の温度まで上昇させる事が出来る。
【0015】すなわち、本発明のふきこぼれ防止手段を設けることによって上記した従来技術の効果のみを合わせて実施することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例について図面を用いて詳細に説明する。図1はふきこぼれが生じない場合のフタ温度センサーの特性と主加熱手段への通電状況を示す説明図。図2はふきこぼれが生じそうな場合のフタ温度センサーの特性と主加熱手段への通電状況を示す説明図。図3は本発明の炊飯器の断面図である。
【0017】図中1は本体、2は内釜、3はフタ、4は主加熱手段、5はフタ加熱手段、6はフタ温度センサー、7は制御手段、8は温度調節手段、9はふきこぼれ防止手段、10はフタ3に設けた蒸気口である。
【0018】その具体的構成は、本体1内に内釜2が着脱自在に挿入され、フタ3は内釜1と本体2の上部を覆う如く本体1に開閉自在に取り付けられている。
【0019】本体1には内釜2を加熱する主加熱手段4が設けられ、フタ3にはフタ3の内釜対向面を加熱するフタ加熱手段5と、この近傍の温度を検出するフタ温度センサー6が設けられている。
【0020】また、本体1には主加熱手段4とフタ加熱手段5への通電を制御する制御手段7と、フタ温度センサー6の温度が設定温度になるよう制御手段7を介してフタ加熱手段5の通電を制御する温度調節手段8が設けられている。温度調節手段8の設定温度は炊飯開始時には第一の設定温度として本実施例では60℃と設定されている。なおこの制御手段7、温度調節手段8はフタ3に設けても良い。
【0021】フタ温度センサー6が第一の設定温度より高い温度T(本実施例では80℃)に至った時、制御手段7が沸騰と判断し、温度調節手段8の設定温度を温度Tより高く、沸騰温度より高い第二の設定温度、本実施例では120℃に切り替える。
【0022】制御手段7には、一定時間毎(本実施例では20秒毎)にフタ温度センサー6の温度を判断し、一定時間(20秒)内に予め定めた温度(本実施例では5℃)以上フタ温度センサー6の温度が上昇していない場合、ふきこぼれ直前と判断して、主加熱手段4の加熱量を低下もしくは加熱を一時停止するふきこぼれ防止手段9を設けている。
【0023】次にその作用について図1に従って炊飯の動作を説明する。
【0024】使用者が内釜2に適量の米と水を入れ、炊飯スイッチ(図示せず)を操作すると、制御手段7が炊飯の制御を開始する。制御手段7の制御により、主加熱手段4が内釜2の加熱を開始するとともに、フタ加熱手段5にも通電が開始される。以降、主加熱手段4は制御手段7の炊飯プログラムに従い、いわゆる「始めチョロチョロ中パッパ…」の火加減制御がなされる。
【0025】炊飯の開始時は温度調節手段8の制御温度が第一の設定温度である60℃に設定され、フタ温度センサー6の温度が第一の設定温度を超えると、フタ加熱手段5への通電が停止され、第一の設定温度未満になると通電する動作を繰り返し、これによってフタ加熱手段5の温度が略第一の設定温度に保たれる。このとき、内釜2内部の水温は第一の設定温度より低いので、フタ3から内釜2内に熱が移動し、フタ3からの加熱がなされ、主加熱手段4による底からの加熱のみに比べ、均一に加熱することができる。
【0026】やがて、内釜2内部の水温が第一の設定温度(60℃)を超えると、フタ温度センサー6が第一の設定温度を超えてフタ加熱手段5の通電を停止しても、水温の上昇に従いフタ3の温度が下がることがなくなり、フタ加熱手段5に通電していないにも関わらず、フタ温度センサー6の温度は徐々に上昇し始める。
【0027】内釜2内が沸騰して蒸気が発生し始めると、フタ温度センサー6の温度は急激に上昇し、温度T(80℃)を超えた時点で、制御手段7は沸騰と判断する。沸騰を判断した時点で、制御手段7は主加熱手段4の電力を低下させる。これはいわゆる「グツグツ言う頃火を引いて」の如き制御で、本実施例により沸騰を検出する事により、正確なタイミングで火力を落とすことができる。
【0028】同時に温度調節手段8の制御温度は第二の設定温度(120℃)に切り替わり、フタ温度センサー6はこの温度より低いためフタ加熱手段5に通電が開始される。同時にふきこぼれ防止手段9が動作を開始する。ふきこぼれ防止手段9の動作は次の通りである。
【0029】まず、その時のフタ温度センサー6の温度が制御手段7に記憶される。20秒経過すると、その時のフタ温度センサー6の温度と、記憶している20秒前の温度の比較がなされ、予め定めた温度(5℃)以上温度が上がっていれば、そのまま炊飯が継続される。次の20秒後の比較判断に備えて改めてその時のフタ温度センサー6の温度が記憶される。以降、20秒毎にこの比較がなされ、予め定めた温度(5℃)以上の温度上昇があれば炊飯が継続される。この状態は図1の状態であり、通常の炊飯はこの状態で動作する。
【0030】ところが、炊飯の量が少ないときや、水加減を多く誤った場合(図2)には、温度Tで沸騰を判断した直後に多量のおねばが発生する。このおねばの泡は蒸気口10まで到達してふきこぼれる前にフタ3に到達する。
【0031】このため、沸騰で温度調節手段8の制御温度が第二の設定温度に切り替えられてフタ加熱手段5に通電されていてもフタ3に到達しているおねばに熱が奪われ、フタ3の温度が上がらなくなる。(おねばの温度である略100℃にはなるものの、それ以上上がらなくなる。)
このとき、ふきこぼれ防止手段9の動作は20秒前の記憶温度と、そのときの温度の差が変化なく、5℃以上の上昇をしなくなる。これにより、おねばがフタ3まで到達して、ふきこぼれ直前の状況であると判断し、主加熱手段4の加熱量を一時又はそれ以降低下もしくは一時停止する。本実施例では、ふきこぼれ直前と判断した場合は、20秒間加熱を一時停止し、ふきこぼれを防ぐ構成としている。20秒経過すると再び元の加熱量に戻るが、再びふきこぼれ防止手段9でふきこぼれ直前と判断した場合は再び加熱の一時停止を行う。
【0032】なお、ふきこぼれ防止手段9の動作はフタ温度センサー6の温度が一定温度、例えば110℃を超えた時点で終了させる。これは、フタ温度センサー6が第二の設定温度(120℃)に至った後は、温度調節手段8の働きにより第二の設定温度近傍でフタ温度センサー6の温度が安定するため、このときにふきこぼれ防止手段9で温度上昇せずと判断しないためである。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば炊飯開始から沸騰までの炊飯初期の水温が低い状況においては、フタからの加熱効果が得られ、また、内釜内が沸騰するとフタが蒸気で加熱され、それを温度センサーにより正確に判断でき、これにより主加熱部の加熱量を調整するなど適切な火加減が可能になる。また沸騰後はフタが高温に保たれるのでふきこぼれを防ぐ効果が得られる。
【0034】また、沸騰検出直後に一気におねばが発生した場合には、おねばでフタ加熱手段の熱が奪われてフタの温度が上がりにくくなり、これをふきこぼれ防止手段でとらえて内釜の加熱量を減らし、ふきこぼれを防止する。
【0035】これにより、水加減が多いときのふきこぼれを防止できるので、沸騰後にふきこぼれを恐れて予め加熱量を低くおさえる必要がなくなり、通常の炊飯時の沸騰後の加熱量を高く設定でき、おいしいご飯を炊くことができる。
【出願人】 【識別番号】000005131
【氏名又は名称】株式会社日立ホームテック
【住所又は居所】千葉県柏市新十余二3番地1
【出願日】 平成14年2月28日(2002.2.28)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−250699(P2003−250699A)
【公開日】 平成15年9月9日(2003.9.9)
【出願番号】 特願2002−52484(P2002−52484)