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【発明の名称】 電気湯沸かし器
【発明者】 【氏名】佐野 光宏
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内

【氏名】浦田 隆行
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内

【氏名】橋田 卓
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内

【氏名】船越 康友
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内

【氏名】松本 敏宏
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内

【要約】 【課題】電気湯沸かし器にガラスウールを用いた場合や、粉末状断熱材を容器、袋等に詰めて電気湯沸かし器に使用した場合、断熱材同士の継ぎ目が発生し、この継ぎ目から熱が漏れるため、断熱性能は悪化し、電気湯沸かし器の保温電力が大きいという課題を有していた。

【解決手段】バインダを用いてその断熱性能を悪化させることなく固形化し、固形化後も熱伝導率が静止空気の熱伝導率以下である高断熱性の断熱材で貯水用容器を覆い、さらに継ぎ目がないため、熱が継ぎ目から漏れることなく、保温電力の小さい省エネ電気湯沸かし器を実現できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 貯水用容器と、前記貯水用容器内の水を加熱するヒータと、水を流出させる出湯経路と、素断熱材をバインダにより結合させ熱伝導率が静止した空気の熱伝導率以下である断熱材とを有し、前記断熱材が継ぎ目なく前記貯水用容器を覆った電気湯沸かし器。
【請求項2】 断熱材と貯水用容器がバインダにより結合された請求項1記載の電気湯沸かし器。
【請求項3】 素断熱材が疎水性を有しかつ多孔体を有し、バインダが水溶性有機バインダである請求項1または2記載の電気湯沸かし器。
【請求項4】 貯水用容器と、前記貯水用容器内の水を加熱するヒータと、水を流出させる出湯経路と、熱伝導率が静止した空気の熱伝導率以下である断熱材とを有し、疎水性でかつ細孔を有する素断熱材と、水溶性有機バインダの混合物に水分を添加し、混練した後に前記貯水用容器に塗り、前記水分を除去することで前記断熱材を装着した電気湯沸かし器。
【請求項5】 貯水用容器と、前記貯水用容器内の水を加熱するヒータと、水を流出させる出湯経路と、熱伝導率が静止した空気の熱伝導率以下である断熱材とを有し、素断熱材と樹脂バインダとの混合物に圧力と温度を加えることで前記貯水用容器に密着する成形体として前記断熱材を装着した電気湯沸かし器。
【請求項6】 素断熱材がシリカキセロゲルである請求項1〜5いずれか1項に記載の電気湯沸かし器。
【請求項7】 素断熱材もしくはバインダと、結着もしくは絡み付く繊維状物質を有する請求項1〜6いずれか1項に記載の電気湯沸かし器。
【請求項8】 赤外線を反射する物質もしくは吸収する物質のうち少なくともいずれか一つを含む請求項1〜7いずれか1項に記載の電気湯沸かし器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は家庭や事務所などで飲料用の湯を保温し、供給する電気湯沸かし器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電気湯沸かし器は水を入れ、電源をつなげると湯が沸くが、このお湯を長時間、略一定温度で保温しておく必要がある。そのため一般に、電気湯沸かし器内の貯水用容器の周囲を様々な断熱材で覆っている。その断熱材としては、熱伝導率が35mW/m・K程度のガラスウール、7mW/m・K程度の真空断熱材などがある。また、高温下での赤外線を反射させることで断熱をはかる金属の反射板断熱材もある。
【0003】しかしながら、ガラスウールや金属の反射板断熱材では、断熱性能が低いという課題があり、真空断熱材は複雑な形状に加工すると断熱性能が悪化するという課題を有している。また、これらの断熱材で貯水用容器を一様に覆うのは困難で、図5のように断熱材102同士による継ぎ目が発生する。この継ぎ目から熱が漏れるため、断熱性能は悪化するという課題も有している。
【0004】これらの課題を解決するため、18mW/m・K程度のキセロゲルと称される無機系の粉末状断熱材を固形化して使用する方法がある。従来の粉末状断熱材の固形化方法としては、例えば特表平10−508049号公報に記載されているようなものがあった。これによると、粉末状断熱材であるエアロゲル(キセロゲル含む)を、有機ポリマーまたは無機バインダなどの水性バインダ分散溶液を用いて固形化を行い、32〜46mW/m・K程度の熱伝導率をもつ固形化した断熱材を実現している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従来技術で用いている方法では、粉末状断熱材固形化後の断熱性能がグラスウールと同程度で、断熱性能が低いという課題を有していた。また、ガラスウールを用いた場合や、粉末状断熱材を容器、袋等に詰めて使用した場合、断熱材同士の継ぎ目が発生し、この継ぎ目から熱が漏れるため、断熱性能は悪化するという課題も有していた。
【0006】本発明は、前記従来技術を解決するもので、断熱材の断熱性能をほとんど悪化させることなく、静止した空気以下の熱伝導率で断熱材を固形化し、継ぎ目なく貯水用容器に密着させることで、保温のための電力(以下、保温電力という)を小さくできる省エネ電気湯沸かし器を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記従来の課題を解決するために、本発明の電気湯沸かし器は、素断熱材をバインダにより結合させ熱伝導率が静止した空気の熱伝導率以下である断熱材で継ぎ目なく貯水用容器を覆ったもので、熱伝導率が静止空気の熱伝導率以下である高断熱性の断熱材で貯水用容器を覆い、さらに継ぎ目がないため、熱が継ぎ目から漏れることなく、保温電力の小さい省エネ電気湯沸かし器を実現できる。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明は、素断熱材をバインダにより結合させ熱伝導率が静止した空気の熱伝導率以下である断熱材とを有し、断熱材が継ぎ目なく前記貯水用容器を覆ったものであり、熱伝導率が静止空気の熱伝導率以下である高断熱性の断熱材で貯水用容器を覆い、さらに継ぎ目がないため、熱が継ぎ目から漏れることなく、保温電力の小さい省エネ電気湯沸かし器を実現できる。
【0009】また、請求項2記載の発明は、断熱材と貯水用容器が、バインダにより結合された請求項1記載の電気湯沸かし器としたもので、熱伝導率が静止空気の熱伝導率以下である高断熱性の断熱材と貯水用容器の密着性を向上し、貯水用容器と一体化できるため、保温電力の小さい省エネ電気湯沸かし器を実現できる。
【0010】また、請求項3記載の発明は、素断熱材が疎水性を有しかつ多孔体を有し、バインダが水溶性有機バインダである請求項1または2記載の電気湯沸かし器としたもので、熱伝導率が静止空気の熱伝導率以下である高断熱性の断熱材で継ぎ目なく貯水用容器を覆い、貯水用容器と一体化できるので、保温電力の小さい省エネ電気湯沸かし器を実現できる。
【0011】また、請求項4記載の発明は、貯水用容器と、前記貯水用容器内の水を加熱するヒータと、水を流出させる出湯経路と、熱伝導率が静止した空気の熱伝導率以下である断熱材とを有し、疎水性でかつ細孔を有する素断熱材と、水溶性有機バインダの混合物に水分を添加し、混練した後に前記貯水用容器に塗り、前記水分を除去することで前記断熱材を装着した電気湯沸かし器としたもので、熱伝導率が静止空気の熱伝導率以下である高断熱性の断熱材で継ぎ目なく貯水用容器を覆い、貯水用容器と一体化できるので、保温電力の小さい省エネ電気湯沸かし器を実現できる。
【0012】また、請求項5記載の発明は、貯水用容器と、前記貯水用容器内の水を加熱するヒータと、水を流出させる出湯経路と、熱伝導率が静止した空気の熱伝導率以下である断熱材とを有し、素断熱材と樹脂バインダとの混合物に圧力と温度を加えることで前記貯水用容器に密着する成形体として前記断熱材を装着した電気湯沸かし器としたもので、熱伝導率が静止空気の熱伝導率以下である高断熱性の断熱材で継ぎ目なく貯水用容器を覆うことができるので、保温電力の小さい省エネ電気湯沸かし器を実現できる。
【0013】また、請求項6記載の発明は、素断熱材がシリカキセロゲルである請求項1〜5いずれか1項記載の電気湯沸かし器としたもので、シリカキセロゲルは非真空断熱材の中で極めて断熱性能が高いので、保温電力の小さい省エネ電気湯沸かし器を実現できる。
【0014】また、請求項7記載の発明は、素断熱材もしくはバインダと、結着もしくは絡み付く繊維状物質を有する請求項1〜6いずれか1項に記載の電気湯沸かし器としたもので、断熱性能を悪化させずに断熱材の強度を向上することができ、実用に耐え得る保温電力の小さい省エネ電気湯沸かし器を実現できる。
【0015】また、請求項8記載の発明は、赤外線を反射する物質もしくは吸収する物質のうち少なくともいずれか一つを含む請求項1〜7いずれか1項に記載の電気湯沸かし器としたもので、断熱材の断熱性能に対する温度依存性を小さくし、高温でも断熱性能が高い断熱材を実現できるので、保温電力の小さい省エネ電気湯沸かし器を実現できる。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0017】(実施例1)以下、本発明の第一の実施例を図に基づいて説明する。図1において、1は電気湯沸かし器本体の本体(以下、本実施例では本体と称する)で、内部に貯水する内径184mm、深さ200mmの貯水用容器2(以下、本実施例では容器2と称する)を有している。3は容器2の口部を封じるようにした中栓である。また、4は本体1の上部を開閉可能に覆った上蓋である。5は上蓋に設けられた蒸気通路であり、一端は中栓3を貫通して容器2内と連通しており、他端は大気と連通している。6は水漏れ防止弁であり、蒸気通路5内に配置されており、転倒時等には蒸気通路5を遮断するようになっている。ここで、蒸気通路5は複雑に曲げられている。これにより容器2の水が沸騰したときなど大気に比べ、容器2の内側の圧力が高くなったときは、蒸気が蒸気通路5を通じて本体外に排出されるが、容易には外気と容器2内の水面と上蓋4の間の空気(以下、本実施例では内気と称する)が混合しない構成となっている。
【0018】7は本体1と容器2との間の底部に設けたモータ、8はモータ7によって駆動されるポンプで、その吸い込み口9は容器2の底部と連通している。10はポンプ8の吐出口で、出湯管11に連通している。12は出湯口であり、ここより電気湯沸かし器外に出湯する。したがって、出湯経路は容器2から吸い込み口9、ポンプ8、ポンプ8の吐出口10、出湯管11を通り、出湯口12となる。
【0019】13は加熱用のヒーターであり、ドーナツ状に中央部が抜けており、容器2の下部に装着されている。15はモータ7を駆動する起動スイッチであり、可変抵抗体を有しており、押しボタン16の押し動作スイッチによりロッド17を介して動作する。
【0020】18は圧縮形のスプリングで、このスプリング18は、常時ロッド17を上方に押し上げるように付勢している。19は制御装置であり、14の温度検知器からの信号を取り込み、ヒーター13等を制御する。20は容器2の側面を覆う断熱材であり、容器2の熱が本体1の側面および底面から逃げることを抑える役割をしている。
【0021】本実施例において断熱材20は、バインダを用いて固形化を行ったシリカキセロゲル(以下、本実施例ではキセロゲルという)を用いた。これは素断熱材に相当するものである。キセロゲルは各種断熱材の中でも、静止空気より熱伝導率が小さく、非常に断熱性能が高い断熱材である。キセロゲル乾燥工程で超臨界乾燥を用いて作製したキセロゲルはエアロゲルと称され、本発明ではエアロゲルもキセロゲルに含むものである。
【0022】キセロゲルの詳細について図を用いて簡単に説明する。キセロゲルは、水ガラスや、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドを、ある条件下でゲル化させ、内部の溶媒を蒸発乾燥させたものである。普通に熱風乾燥させたものは、溶媒が乾燥するときの表面張力により、収縮してしまい断熱材としては機能しない。しかしながら、ゲル表面を疎水化し、さらに溶媒をトルエンやアセトンやヘキサンなど表面張力の小さい溶媒に置換し、熱風乾燥させたものは、表面張力がほとんど働かず、図2に示すように1〜10nm程度の径をもつシリカ一次粒子31が集合し、40〜100nm程度の粒子間距離32をもった集合体となる。したがって、この粒子間距離32が細孔を形成し、多孔質体となる。この40〜100nmが空気分子の平均自由行程と同程度の大きさであるため、空気分子間の衝突による熱伝導が小さくなり、キセロゲルは高い断熱性能を示す。そして、これら一次粒子の集合体が1μm〜10mm程度の二次粒子を形成する。これが、粉状もしくは粒状の断熱材となる。
【0023】次に、キセロゲルの電気湯沸かし器への搭載方法について図を用いて説明する。断熱材を電気湯沸かし器へ搭載するためには、粉末もしくは粒状の断熱材を、金属容器や繊維状の袋に入れる方法がある。しかしながら、金属容器に入れると金属容器自身を伝わって漏れる熱が大きいことや、繊維状の袋では複雑形状ができないため断熱材同士に継ぎ目が発生し、その部分から熱が漏れるという問題があった。
【0024】また、バインダを用いて粉末状物質を固形化する方法は多数あるが、高い断熱性能を維持したまま固形化することは非常に難しい。これはバインダを入れ過ぎると、断熱性能が極度に低下するからであり、バインダを少なくすると、固形化しないもしくは固形化した断熱材の強度が小さいためである。したがって、バインダの選定、バインダと断熱材の比率、バインダの粒子径、断熱材とバインダの混合方法などが重要な因子となる。
【0025】本発明では、キセロゲルを断熱性能を悪化させることなく固形化し、電気湯沸かし器へ搭載する方法として、水溶性有機バインダを用いる方法と、熱可塑性樹脂バインダもしくは熱硬化性樹脂バインダを用いる方法を発明した。
【0026】水溶性有機バインダを用いた方法について説明する。断熱材として用いるキセロゲルは製造プロセス上、ほぼ疎水化されている。よって、水溶性バインダを溶かした水溶液とキセロゲルとを混合させるとき、キセロゲルが水をはじき、混合できない。したがって、予め水溶性バインダ粒子とキセロゲルのシリカ二次粒子を均一に混合させておき、水を添加させながら混練することにより粘土状にし、貯水用容器に塗り付けた後に、水分を除去することで断熱材と容器2とを一体化することができる。
【0027】具体的な方法としては、例えば図3に示す装置を用いて、水溶性バインダ粒子とキセロゲルのシリカ二次粒子を均一に混合させておき、水を添加させながら混練することにより粘土状とした粘土状断熱材34をノズル33からシート35に吹き出させ、ローラ36を回転させナイフ37で厚みを制御することで、貯水用容器38に転写する。その後、乾燥させるなどして水分の除去を行うことで、断熱材と一体化した容器2を実現できる。
【0028】混合方法としては、断熱材と水溶性バインダを同じ容器に混合し、ミキサーまたはミックスロータなどを用い、できるだけ均一になるように混合させる。また、混練方法は、キセロゲルと水溶性バインダを練ることができれば、特に限定しない。
【0029】添加する水粒子の大きさは、できるだけ小さい方が良く、滴状から霧状が望ましい。特に、水溶性バインダ粒子径の大きさ以下の水粒子径である霧状で添加するのが最適である。水粒子の大きさが大きいと、複数の水溶性バインダ粒子が一度に溶けてしまい、水溶性バインダ粒子の凝集体を作り、バインダ粒子が偏って分布し、バインダの少ないところの強度が弱かったり、固形化しなかったりする。また、この状態を防ぐために、水溶性バインダ量を増加させると、断熱性能が極度に低下してしまう。
【0030】また、添加する水の量は特に限定しないが、なるべく少ない方がよい。水の量が多すぎると、バインダ粒子の偏りが起こり、バインダの少ないところの強度が弱かったり、水を除去するときに気泡が残り、断熱性能悪化につながったりする。
【0031】さらに、蒸気で水を添加すると、水粒子径が非常に小さい状態で水を供給でき、バインダ粒子の分布の偏りがなく、高い断熱性能を維持したまま固形化することができる。また高温で供給できるので、水溶性バインダの溶解度が上がり、最終的には除去する水の量が少なくて済む。
【0032】水溶性有機バインダの種類については特に限定しないが、好ましくは、常温常圧で固体であり、水への溶解度が大きいもの、溶解時の粘性が大きいもの、熱分解温度の高いもの、熱伝導率が小さいものがよい。これらの例として、メチルセルロースやヒドロキシプロピルセルロース(本実施例では、HPCという)に代表される水溶性のセルロース類がある。
【0033】水溶性バインダ粒子の大きさは、小さい方がよく、好ましくはキセロゲル粒子の大きさ以下が望ましい。そうすることで、水溶性バインダの分散性が向上し、より均一混合し易くなる。
【0034】水溶性バインダと断熱材の混合割合は、特に限定するものではないが、好ましくはバインダ30wt%程度以下がよい。バインダ量を多くすると、バインダを通って熱が流れるので断熱性能が悪化する。また、バインダ量を少なくすると、固形化できない、もしくは強度が小さくなってしまう。
【0035】次に、熱可塑性樹脂バインダもしくは熱硬化性樹脂バインダを用いた方法を説明する。断熱材とバインダを同じ容器に入れ、ミキサーまたはミックスロータなどを用い、できるだけ均一になるように混合させる。
【0036】また、バインダとしては、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの樹脂バインダや、珪酸ソーダ粉末、燐酸塩系粉末などの無機バインダがある。樹脂バインダを用いた方が、加圧成形や射出成形などが可能であり、成形性が良く、金型の形に応じて自由な形状に固形化でき、適度な柔軟性をもつ成形体ができる。
【0037】バインダとして樹脂バインダを用い、断熱材と混合の後、金型に入れ、加熱することによりバインダが溶けだし、断熱材粉末が固形化される。このとき、金型にかける圧力は特に限定しない。このとき特に、フェノール樹脂やシリコーン樹脂など熱硬化性樹脂を用いると、固形化後の断熱材を300℃程度の高温下でも型崩れせずに、使用することができる。したがって、予め容器2の形の金型を用い、容器2の形に断熱材を固形化したものを作製しておき、貯水用容器を覆うように搭載することで、断熱材と一体化した貯水用容器を実現できる。
【0038】樹脂バインダの平均粒子径は、極力小さいほうが良く、少なくとも断熱材の平均粒子径より小さい方が良い。これは、バインダの分散性を上げ、より均一混合し易くするためであり、またバインダ粒子径が極端に大きいと、熱を加えた後、熱により変形したバインダが断熱材粒子と同程度の太さになり、樹脂バインダを通って熱が流れてしまい、固形化した断熱材の断熱性能を悪化させてしまうからである。
【0039】またバインダと断熱材の混合割合は、特に限定するものではないが、好ましくはバインダ50wt%程度以下がよい。バインダ量を多くすると、バインダを通って熱が流れるので断熱性能が悪化する。また、バインダ量を少なくすると、固形化できないもしくは強度が小さくなる。
【0040】繊維状物質を添加する効果について図を用いて説明する。バインダと断熱材に繊維状物質を添加することにより、断熱性能を悪化させずに強度を上げることができる。このとき、繊維状物質がバインダと絡み付いた状態を図4に示す。キセロゲルのシリカ二次粒子41同士が水溶性バインダ42により結着していなくても、シリカ二次粒子41に結着した水溶性バインダ42同士を繊維状物質43により結着できるので、結果的にキセロゲルのシリカ二次粒子を結着させることができるため、繊維状物質を加えることにより強度を上げることができる。また、添加する繊維状物質の量は特に限定するものではない。
【0041】繊維状物質としては、ガラス繊維やポリエステル繊維、金属繊維、カイノール繊維、炭素繊維などがあるが、特にガラス繊維やカイノール繊維を用いると、固形化した断熱材を高温下で使用することができるようになり、さらにこれらは金属繊維より熱伝導率が小さいので、断熱材に用いるには最適である。
【0042】また炭素繊維を用いると、赤外線を吸収するので、高温下での断熱性能をさらに上げることができる。
【0043】また、酸化チタンやATO(酸化アンチモンドープ酸化スズ)やITO(酸化インジウムドープ酸化スズ)などに代表される金属酸化物など赤外線を反射する物質を混合させたり、微粉炭やカーボンブラックなどの赤外線を吸収する物質を混合させたりすると、高温下での断熱性能をさらに上げることができる。水溶性バインダを用いる場合、添加する水に赤外線を吸収する染料などを予め溶解させておくと、混練時に、より均一に赤外線を吸収する物質を分散させることができる。
【0044】なお、本実施例では素断熱材としてキセロゲルを例にして説明したが、素断熱材としては、乾燥によって多孔質になる無機材料(例えばシリカゲル等)や、セラミックス、耐熱性のスポンジ状物質、スチールウールなどでも良い。
【0045】以下、本実施例の動作を説明する。容器2に水を入れた後通電すると、容器2内の水温は温度検知器14により計測されその信号が制御装置19に送られ、制御装置はヒーター13の通電を開始し始める。容器2内の水が沸騰すると、ヒーター13への通電が終了する。その後、温度検知器14からの信号を受けて、制御装置19はヒーター13を容器2の温度が略一定温度になるように制御する。出湯する際は押しボタン16を押す。モーター7が動作し、容器2内の水はポンプ8により、11の出湯管を通り出湯口12より電気湯沸かし器外に排出され利用される。以下、固形化を行った断熱材を搭載した電気湯沸かし器に関する実験例を示す。
【0046】<実験例1>断熱材に平均粒径40μmのキセロゲル粉末を選び、水溶性バインダにHPCを選んだ。キセロゲル180gとHPC20gをミキサーにて混合し、霧吹きで水を添加しながら混練し、キセロゲルと水溶性バインダとの粘土状の混合物を作製した。次に、この混合物を容器2の外側に均一になるように塗り、容器2ごと80℃の恒温槽に入れ、熱風乾燥にて水分を除去することで、断熱材と一体化した容器2を作製した。この容器2を有する電気湯沸かし器(以下、本実施例では水溶性品という)を用意した。
【0047】次に、断熱材に平均粒径40μmのキセロゲル粉末を選び、樹脂バインダとしてフェノール樹脂であるベルパール(鐘紡製)を選んだ。キセロゲル180gとベルパール20gをミキサーにて混合し、その後、容器2の形をした金型に入れ、ヒータによって徐々に金型の温度を上げ始め、約40分で200℃まで加熱し、約10分間200℃に維持し、水冷装置により15分程度で室温まで冷却した。そして金型を開け取り出したサンプルを容器2に装着した。この容器2を有する電気湯沸かし器(以下、本実施例ではフェノール品という)を用意した。
【0048】また、従来例として、ステンレス容器に平均粒径40μmのキセロゲル粉末を詰め、容器2に装着した電気湯沸かし器(以下、本実施例では従来品1という)とポリエチレンテレフタレートの不織布により作製した袋に平均粒径40μmのキセロゲル粉末を詰め、図5のように継ぎ目を有した状態で、容器2に装着した電気湯沸かし器(以下、本実施例では従来品2という)を用意した。
【0049】これらの4種類の電気湯沸かし器に水を入れ、それぞれの保温電力を測定した。なお、保温水温は96.5℃、雰囲気温度は20℃とした。測定は十分平衡状態に達した後に行った。実験結果を(表1)に示す。
【0050】
【表1】

したがって、本発明による方法で、断熱材と容器2を一体化させることにより、大幅に保温電力を削減した電気湯沸かし器を実現することができる。
【0051】<実験例2>断熱材に平均粒径40μmのキセロゲル粉末を選び、水溶性バインダにHPCを選び、繊維状物質にガラス繊維を選んだ。キセロゲル180gとHPC20gをミキサーにより混合したもの(以下、本実施例では0%品という)、キセロゲル171gとHPC19gとガラス繊維10gをミキサーにより混合したもの(以下、本実施例では5%品という)、キセロゲル162gとHPC18gとガラス繊維20gをミキサーにより混合したもの(以下、本実施例では10%品という)、キセロゲル144gとHPC16gとガラス繊維40gをミキサーにより混合したもの(以下、本実施例では20%品という)、キセロゲル126gとHPC14gとガラス繊維60gをミキサーにより混合したもの(以下、本実施例では30%品という)、キセロゲル90gとHPC10gとガラス繊維100gをミキサーにより混合したもの(以下、本実施例では50%品という)を用意した。そして、それぞれに霧吹きで水を添加しながら混練し、粘土状の物質を作製した。
【0052】次に、それぞれの粘土状物質を容器2の外側に均一になるように塗り、容器2ごと80℃の恒温槽に入れ、熱風乾燥にて水分を除去することで、断熱材と一体化した容器2をそれぞれ作製した。この容器2を有する電気湯沸かし器をそれぞれ用意した。
【0053】これらの6種類の電気湯沸かし器に水を入れ、それぞれの保温電力を測定した。なお、保温水温は96.5℃、雰囲気温度は20℃とした。測定は十分平衡状態に達した後に行った。実験結果を(表2)に示す。
【0054】
【表2】

したがって、本発明による方法で、断熱材と容器2を一体化させるとき、繊維状物質を添加することにより、断熱材の強度が向上するため、より耐久性が高く、また大幅に保温電力を削減した電気湯沸かし器を実現することができる。
【0055】<実験例3>断熱材に平均粒径40μmのキセロゲル粉末を選び、水溶性バインダにHPCを選び、繊維状物質にガラス繊維を選んだ。さらに、赤外線を反射する物質として酸化チタンを、赤外線を吸収する物質としてカーボンブラックを選んだ。キセロゲル171gとHPC19gとガラス繊維10gとをミキサーにより混合したもの(以下、本実施例では通常品という)、キセロゲル171gとHPC19gとガラス繊維10gと酸化チタン10gとをミキサーにより混合したもの(以下、本実施例では酸化チタン品という)、キセロゲル171gとHPC19gとガラス繊維10gとカーボンブラック10gとをミキサーにより混合したもの(以下、本実施例ではカーボン品という)を用意した。そして、それぞれに霧吹きで水を添加しながら混練し、粘土状の物質を作製した。
【0056】次に、それぞれの粘土状物質を容器2の外側に均一になるように塗り、容器2ごと80℃の恒温槽に入れ、熱風乾燥にて水分を除去することで、断熱材と一体化した容器2をそれぞれ作製した。この容器2を有する電気湯沸かし器をそれぞれ用意した。
【0057】これらの3種類の電気湯沸かし器に水を入れ、それぞれの保温電力を測定した。なお、保温水温は96.5℃、雰囲気温度は20℃とした。測定は十分平衡状態に達した後に行った。実験結果を(表3)に示す。
【0058】
【表3】

したがって、本発明による方法で、断熱材と容器2を一体化させるとき、赤外線を反射する物質もしくは赤外線を吸収する物質を添加することにより、さらに大幅に保温電力を削減した電気湯沸かし器を実現することができる。
【0059】
【発明の効果】以上のように、請求項1〜6および8記載の発明によると、熱伝導率が静止空気の熱伝導率以下である高断熱性の断熱材を、その断熱性能を悪化させることなく、様々な形状に固形化することができ、その固形化した断熱材で貯水用容器を覆い一体化できるため、継ぎ目を無くすことができ、熱が継ぎ目から漏れることなく、保温電力の小さい省エネ電気湯沸かし器を実現できる。
【0060】また、請求項7記載の発明によると、貯水用容器と一体化した断熱材の強度が向上するため、より耐久性が高く、保温電力の小さい省エネ電気湯沸かし器を実現できる。
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地
【出願日】 平成14年1月17日(2002.1.17)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄 (外2名)
【公開番号】 特開2003−204886(P2003−204886A)
【公開日】 平成15年7月22日(2003.7.22)
【出願番号】 特願2002−8385(P2002−8385)