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【発明の名称】 電磁調理器用鍋
【発明者】 【氏名】丸山 忠良
【住所又は居所】東京都江東区森下4丁目9番25号 株式会社日軽プロダクツ内

【氏名】佃 幸男
【住所又は居所】東京都江東区森下4丁目9番25号 株式会社日軽プロダクツ内

【氏名】高橋 徳充
【住所又は居所】東京都江東区森下4丁目9番25号 株式会社日軽プロダクツ内

【氏名】中山 勝訓
【住所又は居所】東京都江東区森下4丁目9番25号 株式会社日軽プロダクツ内

【氏名】武田 勇作
【住所又は居所】静岡県静岡市曲金3−2−1 株式会社ホクセイ理研静岡事業所内

【要約】 【課題】調理時の加熱温度に対する鍋底面の変形を抑制して、鍋の設置を安定にし、電磁調理器の温度センサの検知温度による加熱温度制御を良好に行えるようにすると共に、熱伝導効率の向上を図れるようにすること。

【解決手段】内外両表面を構成する金属材料のうち、少なくとも外表面がステンレス層22にて形成され、その内部に単層又は複層よりなるアルミニウム層23を具備する電磁調理器用鍋において、鍋底2の中央部に、鍋内方側に向かって隆起する環状屈曲部3を設け、環状屈曲部3の中心側内方部に、電磁調理器10のトッププレート11に接触する鍋底面との間に隙間Sを有する平坦部4を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内外両表面を構成する金属材料のうち、少なくとも外表面が磁性金属材料にて形成され、その内部に単層又は複層よりなる熱良導性金属材料を具備する電磁調理器用鍋であって、鍋底の中央部に、鍋内方側に向かって隆起する環状屈曲部を設け、上記環状屈曲部の中心側内方部に、電磁調理器の載置面に接触する鍋底面との間に隙間を有する平坦部を設けてなる、ことを特徴とする電磁調理器用鍋。
【請求項2】 請求項1記載の電磁調理器用鍋において、上記平坦部の隙間が少なくとも0.2mm以上であって、電磁調理器に内蔵された温度検知手段の温度検知許容範囲内であることを特徴とする電磁調理器用鍋。
【請求項3】 請求項1又は2記載の電磁調理器用鍋において、上記鍋底の外周底面から環状屈曲部に向かって上り勾配のテーパ面を形成してなる、ことを特徴とする電磁調理器用鍋。
【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の電磁調理器用鍋において、上記磁性金属材料がステンレス鋼であり、上記熱良導性金属がアルミニウムであることを特徴とする電磁調理器用鍋。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電磁調理器用鍋に関するもので、更に詳細には、内外両表面を構成する金属材料のうち、少なくとも外表面が磁性金属材料にて形成され、その内部に単層又は複層よりなる熱良導性金属材料を具備する電磁調理器用鍋に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、電磁調理器用鍋として、内外両表面を構成する金属材料のうち、少なくとも外表面が磁性金属例えばステンレスにて形成され、その内部に単層又は複層よりなる熱良導性金属であるアルミニウムを具備する電磁調理器用鍋が知られている。
【0003】このように構成される電磁調理器用鍋は、電磁調理器の載置面(トッププレート)に載置された状態で、熱源である環状の電磁誘導コイルから発っせられた磁力線の作用により、鍋底の外表面を構成するステンレスに渦電流が発生し、発熱する。この熱がアルミニウムからなる熱良導性金属により鍋全面に効率よく、かつ、均一に伝達された後、内表面を構成するステンレスに伝熱され、鍋内部の被調理物に伝熱されるようになっている。この場合、電磁調理器における環状の電磁誘導コイルの中心部に内蔵された温度センサによって加熱温度が検知され、その検知信号に基づいて加熱温度が制御されるように構成されている。
【0004】ところで、調理時に電磁誘導コイルを励磁して鍋を加熱すると、鍋底が膨張して鍋底中央部が外側(下方側)に凸状に変形し、鍋底の中央部がトッププレートで支持されるため、鍋の設置が不安定となるばかりか、鍋底と熱源である電磁誘導コイルとの接触面積が不均一となる。したがって、加熱温度の制御が不十分になると共に、熱伝導効率が低下するという問題があった。
【0005】この問題を解決するために、鍋底の中央部を平面に形成すると共に、この中央部に、加熱時の鍋底中央部の変形を吸収できる寸法の環状凹入部を設けた構造の電磁調理用鍋が知られている(特開2000−23839参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の鍋底の中央部を平面に形成すると共に、この中央部に環状凹入部を設けたもの(特開2000−23839参照)においては、環状凹入部によって鍋底の変形は多少吸収することは可能であるが、鍋底の中央部が平面に形成されているため、調理時の加熱初期時に調理温度例えば200℃以上に加熱されることにより、外側(下方側)に変形してしまう。したがって、鍋底の中央部がトッププレートで支持されるため、鍋の設置が不安定となるばかりか、鍋底と熱源である電磁誘導コイルとの接触面積が不均一となり、また、加熱温度の制御が不十分になると共に、熱伝導効率が低下するという問題がある。
【0007】この発明は、上記事情に鑑みなされたもので、調理時の加熱温度に対する鍋底面の変形を抑制して、鍋の設置を安定にし、電磁調理器の温度センサの検知温度による加熱温度制御を良好に行えるようにすると共に、熱伝導効率の向上を図れるようにする電磁調理器用鍋を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、内外両表面を構成する金属材料のうち、少なくとも外表面が磁性金属材料にて形成され、その内部に単層又は複層よりなる熱良導性金属材料を具備する電磁調理器用鍋であって、 鍋底の中央部に、鍋内方側に向かって隆起する環状屈曲部を設け、上記環状屈曲部の中心側内方部に、電磁調理器の載置面に接触する鍋底面との間に隙間を有する平坦部を設けてなる、ことを特徴とする。この場合、上記平坦部の隙間は、少なくとも0.2mm以上であって、電磁調理器に内蔵された温度検知手段の温度検知許容範囲内、例えば0.2mm以上0.5mm未満とする方が好ましい(請求項2)。
【0009】請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の電磁調理器用鍋において、 上記鍋底の外周底面から環状屈曲部に向かって上り勾配のテーパ面を形成してなる、ことを特徴とする。
【0010】請求項4記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の発明において、上記磁性金属材料がステンレス鋼であり、上記熱良導性金属がアルミニウムであることを特徴とする。
【0011】請求項1,2,4記載の発明によれば、鍋底の中央部に、鍋内方側に向かって隆起する環状屈曲部を設け、上記環状屈曲部の中心側内方部に、電磁調理器の載置面に接触する鍋底面との間に隙間を有する平坦部を設けることにより、調理時の加熱初期時の加熱に対して、環状屈曲部により変形量を抑制することができ、外表面の外側(下方側)への変形量を隙間内に納めることができる。また、調理時の加熱初期時の高温度から調理温度に下がった状態においても、環状屈曲部により内側(上方側)への変形量を抑制することができ、鍋底中央部の変形量を電磁調理器の温度検出手段の検出許容範囲内に納めることができる。
【0012】請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の発明に加えて、更に鍋底の外周底面から環状屈曲部に向かって上り勾配のテーパ面を形成することにより、鍋の外表面の磁性金属材料が渦電流により発熱し、鍋の基部である板を構成する他の金属との温度差により、鍋底中央部が内側(上方側)に変形した状態で、環状屈曲部に応力が生じ、この応力の作用によって上り勾配のテーパ面が下方側に押圧されて、電磁調理器の載置面に接触又は近接する。したがって、更に電磁調理器の渦電流を効率よく鍋底に伝達することができ、伝熱効率の向上を図ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に、この発明に係る電磁調理器用鍋の実施形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】図1は、この発明に係る電磁調理器用鍋の一例を示す断面図(a)、(a)のI部を示す拡大断面図(b)及び(a)のII部を示す拡大断面図(c)、図2は、上記鍋の断面斜視図、図3は、上記鍋の底部を示す拡大断面図である。
【0015】上記電磁調理器用鍋1(以下に鍋1という)は、鍋底2の中央部に、鍋内方側に向かって隆起する環状屈曲部3を設け、この環状屈曲部3の中心側内方部に、電磁調理器10の載置面すなわちトッププレート11に接触する鍋底面との間に隙間Sを有する平坦部4を設けてなる。この場合、隙間Sは、調理時の調理温度{実際には、調理温度以上}や繰り返し加熱によって外側(下方側)に変形する変形量を納める(吸収し得る)範囲内に設定され、かつ、内側(上方側)の変形量に対して後述する電磁調理器10の温度検知用センサ12が検知できる範囲内に設定されている。具体的には、隙間Sは、0.2mm以上0.5mm未満に設定されている。隙間Sを0.2mm以上0.5mm未満とした理由は、隙間Sが0.2mm未満であると、調理加熱時に鍋底2の中央部が外側(下方側)に凸状に突出(変形)して鍋1の設置が不安定となると共に、熱伝導効率が低下するからである。また、隙間Sを0.5mm以上とすると、後述する電磁調理器10に内蔵される温度検知手段例えば温度検知用センサ12の温度検知が不十分となり、温度制御ができなくなる虞があるからである。
【0016】また、鍋1には、電磁調理器10の熱源である電磁誘導コイル13の上方に位置する鍋底2の外周底面5から環状屈曲部3に向かって上り勾配のテーパ面6が形成されている。この場合、テーパ面6の上端は、平坦部4の下面の延長線上に位置している。
【0017】なお、電磁調理器10の熱源すなわち電磁誘導コイル13は、環状に配設されている。また、電磁誘導コイル13の中心部には、温度検知手段例えば温度検知用センサ12が配設(内蔵)されており、この温度検知用センサ12で検知した検知信号に基づいて電磁誘導コイル13が温度制御されるようになっている。
【0018】上記のように構成される鍋1は、図1(b),(c)、図3及び図4(a)に示すように、外表面を構成する金属材料が磁性金属材料例えばステンレス層22にて形成され、その内部に熱良導性金属材料例えばアルミニウム層23を積層した3層構造に形成されている。更に、その内部に耐食性金属材料例えばステンレス層21が形成されている。この場合、内表面のステンレス層21は、0.4mmのJIS SUS304にて形成され、外表面のステンレス層22は、0.55mmのJIS SUS430にて形成されている。また、アルミニウム層23は、ステンレス層21,22より厚い1.05mmのJIS A1050にて形成されている。
【0019】このように、外表面を構成するステンレス層22の厚み(0.55mm)と厚く形成することにより、外表面のステンレス層22を、電磁調理器の熱源である電磁誘導コイル13から発せられた磁力線を十分に吸収し発熱する厚みとすることができる。また、内表面のステンレス層21を外表面のステンレス層22より薄くすることにより、アルミニウム層23(熱良導性金属)を介して伝達された熱を鍋内面から被調理物に効率よく伝熱することができる。また、鍋自体に蓄積された熱を鍋外側よりも鍋内面側の被調理物側に伝熱し易くすることができると共に、鍋外側への放熱をし難くすることができる。したがって、伝熱効率の向上を図ることができると共に、保温性の向上を図ることができる。なお、上記説明では、内表面のステンレス層21が非磁性金属のJIS SUS304にて形成される場合について説明したが、耐食性を有するものであれば、磁性金属材料であってもよい。
【0020】また、アルミニウム層23の厚み(1.05mm)をステンレス層21,22より厚くすることにより、外表面のステンレス層22から発熱された熱を鍋全体に均一に伝熱することができる。
【0021】なお、上記実施形態では、図1、図3及び図4(a)に示すように、鍋1がステンレス層21、アルミニウム層23及びステンレス層22の3層構造の場合について説明したが、この3層構造以外の多層構造としてもよい。例えば、図4(b)に示すように、内側から順に、内表面を構成するステンレス層21、第1のアルミニウム補助層24、アルミニウム基部層25、第2のアルミニウム補助層26及び外表面を構成するステンレス層22とからなる5層構造としてもよい。この場合、第1及び第2のアルミニウム補助層24,26は、ステンレスとのろう付け性の良好な例えばJIS A1050が使用され、アルミニウム基部層25は、熱伝導性の高いJIS A3004が使用される。また、図4(c)に示すように、上記5層構造の第2のアルミニウム補助層26の外側に中間ステンレス層27、鉄層28及び外表面を構成するステンレス層22を積層した7層構造とすることも可能である。この場合、中間ステンレス層27とステンレス層22は、ステンレス層21と同様な材料であるSUS304が使用される。なお、鍋1の厚さは、3層構造では2mm、5層構造及び7層構造では、2.5〜3.0mmに形成される。
【0022】また、上記のように、鍋底2の中央部に、鍋内方側に向かって隆起する環状屈曲部3を設けることにより、調理時の加熱初期時の加熱や繰り返し加熱に対して、環状屈曲部3により変形量を抑制することができる。また、環状屈曲部3の中心側内方部に、電磁調理器10のトッププレート11に接触する鍋底面との間に隙間Sを有する平坦部4を設けることにより、外表面の外側(下方側)への変形量を隙間S内に納めることができる。また、調理時の加熱初期時の高温度から調理温度に下がった状態においても、環状屈曲部3により内側(上方側)への変形量を抑制することができ、鍋底中央部の変形量を可及的に少なくすることができる。
【0023】また、電磁調理器10の電磁誘導コイル13の上方に位置する鍋底2の外周底面5から環状屈曲部3に向かって上り勾配のテーパ面6を形成することにより、鍋の外表面の磁性金属材料が渦電流により発熱し、鍋の基部である板を構成する他の金属との温度差により、鍋底2中央部が内側(上方側)に変形した状態で、環状屈曲部3に応力が生じ、この応力の作用によって上り勾配のテーパ面6が下方側に押圧されて、電磁調理器10の載置面に接触又は近接する。これにより、電磁調理器10の渦電流を効率よく鍋底に伝達することができ、伝熱効率の向上を図ることができる。
【0024】
【実施例】以下に、この発明の鍋における平坦部4の隙間Sを変えた場合の加熱昇温時の変位量(変形量)を確認するための実験を行った結果について説明する。
【0025】上記実験を行うに当って、図5に示すような底面湾曲量測定機を用意する。この底面湾曲量測定機は、試料である鍋の鍋底表面の変位量を測定する三脚ダイヤルゲージ30と、鍋内に収容される油31の温度を測定する温度検出手段例えば熱電対32と、熱電対32によって検出された温度情報を記録する自動温度記録計33とで主に構成されている。この場合、三脚ダイヤルゲージ30は、鍋底面の中心位置に当接する測定子34と、測定子34の変位量を表示するメータ35と、測定子34の周辺の3箇所を支持する脚片36とで構成されている(図5(b)参照)。
【0026】このように構成される底面湾曲測定機によれば、電磁調理器10のトッププレート11上に載置される鍋内に底面から30mmの高さまで油31を入れ、電磁調理器10によって油31の温度を上昇させ、その間の温度を熱電対32にて測定し、三脚ダイヤルゲージ30によって底面の湾曲変形量(変位量)を測定することができる。
【0027】次に、試料として第一実施形態と同様な3層構造を有する以下の3種類の鍋(試料)を用意する。
【0028】すなわち、■試料1内周径:φ180mm、高さ:119mm、加熱接触面の外周:φ118mm、鍋底中央部に設けられた環状屈曲部の内周:φ60mm、平坦部の隙間:0.50mm■試料2内周径:φ180mm、高さ:119mm、加熱接触面の外周:φ118mm、鍋底中央部に設けられた環状屈曲部の内周:φ60mm、平坦部の隙間:0.2mm■試料3内周径:φ180mm、高さ:119mm、加熱接触面の外周:φ118mm、鍋底中央部に設けられた環状屈曲部の内周:φ60mm、平坦部の隙間:0.1mmを用意する。
【0029】上記試料1,2,3を、図5に示すように、電磁調理器10のトッププレート11上に載置すると共に、それぞれ30mmの高さまで油31を入れて、上述した底面湾曲量測定機をセットした状態で、20℃から順次加熱して220℃まで昇温した後、加熱を停止して、油31の温度が200℃になるまでの温度と鍋底面の湾曲変形量(変位量)を調べたところ、図9及び表1に示すような結果が得られた。
【0030】
【表1】

【0031】また、油31の温度が200℃になった時点から順に油31の温度を180℃、160℃、150℃、100℃に下げた状態の各温度の湾曲変形量(変位量)を調べたところ、表2に示すような結果が得られた。
【0032】
【表2】

【0033】上記実験の結果、試料1のものは、加熱当初から220℃まで昇温して行くと、鍋底面は、外側(下方側)に湾曲変形(変位)するが、加熱を停止した時点及び油31の温度を200℃以下に下げた時点では、鍋底面は内側(上方側)に湾曲変形(変位)し、油31の温度が200℃〜160℃では、内側(上方側)に0.110mm凹状に湾曲変形(変位)し、油31の温度が150℃では、0.100mm湾曲変形(変位)し、油31の温度が100℃では、0.080mm湾曲変形(変位)した。
【0034】また、試料2のものは、加熱当初から220℃まで昇温し、加熱を停止した時点では、鍋底面は、試料1と同様に外側(下方側)に湾曲変形(変位)するが、油31の温度を200℃以下に下げた時点では、鍋底面は内側(上方側)に湾曲変形(変位)し、油31の温度が200℃では、内側(上方側)に0.020mm凹状に湾曲変形(変位)し、油31の温度が180℃では、0.015mm湾曲変形(変位)し、油31の温度が160℃では、0.013mm湾曲変形(変位)し、油31の温度が150℃では、0.012mm湾曲変形(変位)し、油31の温度が100℃では、0.005mm湾曲変形(変位)した。
【0035】一方、試料3のものは、加熱当初から220℃まで昇温し、加熱を停止した時点では、鍋底面は、試料2と同様に外側(下方側)に湾曲変形(変位)するが、加熱過程の初期時の40℃〜120℃において、隙間Sの寸法0.1mmより大きい0.21〜0.22mmで外側(下方側)に湾曲変形(変位)した。また、油31の温度を200℃以下に下げた時点では、鍋底面は内側(上方側)に湾曲変形(変位)し、油31の温度が200℃では、内側(上方側)に0.020mm凹状に湾曲変形(変位)し、油31の温度が180℃では、0.014mm湾曲変形(変位)し、油31の温度が160℃では、0.013mm湾曲変形(変位)し、油31の温度が150℃では、0.013mm湾曲変形(変位)し、油31の温度が100℃では、0.005mm湾曲変形(変位)した。
【0036】上記実験の結果から、試料1,2のものは、鍋底の中央部が当初の隙間(0.5mm、0.2mm)以上に突出することがないことが判った。これに対して、試料3のものは、当初の隙間(0.1mm)以上に突出してしまい、鍋の設置が不安定になると共に、熱伝導効率が低下するという問題があることが判った。したがって、平坦部4の隙間Sが0.2mm以上0.5mm未満の場合には、鍋底の中央部が当初の隙間S以上に突出することがなく、鍋の設置が安定し、熱伝導効率の向上が図れることが判った。
【0037】なお、上記実施形態では、電磁調理器用鍋が3層構造である場合について説明したが、3層構造以外の5層構造あるいは7層構造の電磁調理器用鍋においても同様に適用できるものである。
【0038】
【発明の効果】以上に説明したように、この発明によれば、以下のような効果が得られる。
【0039】(1)請求項1,2,4記載の発明によれば、鍋底の中央部に、鍋内方側に向かって隆起する環状屈曲部を設け、上記環状屈曲部の中心側内方部に、電磁調理器の載置面に接触する鍋底面との間に隙間を有する平坦部を設けることにより、調理時の加熱初期時の加熱に対して、環状屈曲部により変形量を抑制することができ、外表面の外側(下方側)への変形量を隙間内に納めることができる。また、調理時の加熱初期時の高温度から調理温度に下がった状態においても、環状屈曲部により内側(上方側)への変形量を抑制することができ、鍋底中央部の変形量を電磁調理器の温度検出手段の検出許容範囲内に納めることができる。
【0040】(2)請求項3記載の発明によれば、鍋底の外周底面から環状屈曲部に向かって上り勾配のテーパ面を形成することにより、鍋の外表面の磁性金属材料が渦電流により発熱し、鍋の基部である板を構成する他の金属との温度差により、鍋底中央部が内側(上方側)に変形した状態で、環状屈曲部に応力が生じ、この応力の作用によって上り勾配のテーパ面が下方側に押圧されて、電磁調理器の載置面に接触又は近接するので、上記(1)に加えて更に電磁調理器の渦電流を効率よく鍋底に伝達することができ、伝熱効率の向上を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】597006920
【氏名又は名称】株式会社日軽プロダクツ
【住所又は居所】東京都江東区森下4−9−25
【出願日】 平成14年1月11日(2002.1.11)
【代理人】 【識別番号】100096644
【弁理士】
【氏名又は名称】中本 菊彦
【公開番号】 特開2003−204872(P2003−204872A)
【公開日】 平成15年7月22日(2003.7.22)
【出願番号】 特願2002−4345(P2002−4345)