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【発明の名称】 電磁調理器用加熱調理容器
【発明者】 【氏名】錦見 泰郎
【住所又は居所】愛知県名古屋市港区本宮町2丁目12番地 錦見鋳造株式会社内

【要約】 【課題】加熱膨張によるひずみを抑えた電磁調理器用加熱調理容器を提供すること。

【解決手段】フライパン1は、直径18cmの底部2と、この底部2の外周部に沿ってやや外向きに立設される胴部3と、柄部4と、底面2に放射状に設けられたリブ2aとから構成され、ダクタイル鋳鉄により一体に鋳造されている。また、底部2と胴部3とは、肉厚が1.5mmに形成されている。リブ2aは、底部2の中央部2bから周縁部2cに向かって放射状に16本形成されており、フライパン1の底部2は、中央部2bが周縁部2cよりも高い位置を占めるように円錐状に成形されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電磁調理器に使用するダクタイル鋳鉄製の加熱調理容器であって、その底面に放射状のリブを備えたことを特徴とする電磁調理器用加熱調理容器。
【請求項2】 肉厚が1.2mm乃至2mmであることを特徴とする請求項1に記載の電磁調理器用加熱調理容器。
【請求項3】 底面中央部が底面周縁部よりも所定距離だけ高い位置を占めるように形成されている請求項1又は2に記載の電磁調理器用加熱調理容器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁誘導加熱を原理とする電磁調理器に用いられるフライパン、鍋、やかん等の電磁調理器用加熱調理容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電磁調理器に用いられるフライパン、鍋、やかん等の加熱調理容器は、一般に鉄、鉄ほうろう、ステンレス等の電気抵抗値が大きい材料により作られている。
【0003】このような加熱調理容器を電磁調理器に載置した後、電磁調理器の高周波電磁誘導を行う加熱コイルから高周波磁界を発生させると、加熱調理器内を磁束が通過し、加熱調理器には渦電流が発生する。そして、この渦電流と電気抵抗によって発生するジュール損により、加熱調理容器は自己発熱し、加熱調理容器内の食材・水などを加熱する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の電磁調理器用加熱調理容器は、自己発熱のために加熱膨張が起こると、底面が変形し、凸状になって効率の良い加熱が妨げられたり、凸部を中心に回転してしまうことが起こっていた。これを防ぐために、加熱調理容器の肉厚を十分に厚くしたり、底面中央部に凹部を設けたりしていたが、肉厚を厚くすれば重くなって使い勝手が低下することになり、加熱膨張時に均一に平面になる凹部を設けることはなかなか困難であった。
【0005】本発明は、上述の問題点を解決するためになされたものであり、加熱膨張によるひずみを抑えた電磁調理器用加熱調理容器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1に記載の電磁調理器用加熱調理容器は、電磁調理器に使用するダクタイル鋳鉄製の加熱調理容器であって、その底面に放射状のリブを備えたことを特徴とする。
【0007】この構成の電磁調理器用加熱調理容器では、リブにより加熱膨張による熱変形が抑えられるため、底面全体が均等に発熱する。また、底面が熱変形して凸状になるために凸部を中心に回転してしまうこともない。
【0008】請求項2に記載の電磁調理器用加熱調理容器は、請求項1に記載の電磁調理器用加熱調理容器の構成に加え、肉厚が1.2mm乃至2mmであることを特徴とする。
【0009】この構成の電磁調理器用加熱調理容器では、請求項1に記載の電磁調理器用加熱調理容器の作用に加え、肉厚が薄手に形成されているので重量が軽く、日常的に使用するにも取り扱いが簡単で頻繁に使用しても使用者に負担とならない。
【0010】請求項3に記載の電磁調理器用加熱調理容器は、請求項1又は2に記載の電磁調理器用加熱調理容器の構成に加え、底面中央部が底面周縁部よりも所定距離だけ高い位置を占めるように形成されている。
【0011】この構成の電磁調理器用加熱調理容器では、請求項1又は2に記載の電磁調理器用加熱調理容器の作用に加え、熱変形が起こった場合でも、底面中央部が底面周縁部より突出することがないので、容器が回転したりぐらついたりすることがない。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の電磁調理器用加熱調理容器をダクタイル鋳鉄製のフライパン1に適用した実施形態について、図面に基づいて説明する。図1及び2に示すように、本実施形態のフライパン1は、直径18cmの底部2と、この底部2の外周部に沿ってやや外向きに立設される胴部3と、柄部4と、底面2に放射状に設けられたリブ2aとから構成され、これらはダクタイル鋳鉄により一体に鋳造されている。
【0013】ダクタイル鋳鉄(球状黒鉛鋳鉄)は、通常ネズミ銑組成(炭素3.2〜4.0%、珪素1.5〜2.5%)の基礎金属を溶解炉に導入し、熔湯に脱硫処理やマグネシウム導入による黒鉛の球状化処理を施した後、鋳込みを行って形成されるものである。ダクタイル鋳鉄の組織には、球状黒鉛がまんべんなく全体に広がっているため、通常の鉄鋳物に比べ、熱伝導が均一になり、むらなく高温になる。フライパン1は、このような特徴を持ったダクタイル鋳鉄製であり、投入された食材に均等に焦げ目が付く。また、ダクタイル鋳鉄の熱伝導率は、アルミニウムや鉄の場合よりも低いため、食材の投入によりフライパンの熱が下がりにくいので、より早く食材の中心に熱を通すことができる。
【0014】フライパン1の底部2と胴部3とは、図2に示すように肉厚Tが1.5mmに形成されており、通常鉄鋳物の肉厚が3−4mmであるのに比べ、かなり薄くなっている。このため、重量も軽くなり、扱いやすく、日常頻繁に料理に使用することができる。
【0015】リブ2aは、底部2の中央部2bから周縁部2cに向かって放射状に形成されており、本実施形態では16本のリブ2aが形成されているが、この本数に限られるものではないし、中央部2bから周縁部2cまで連続していなくても良い。また、形態も放射状に限られない。
【0016】さらに、フライパン1の底部2は、中央部2bが周縁部2cよりも距離L分高い位置を占めるように成形している。本実施形態では、距離Lは0.2mmとしているが、距離Lは、5−6mm程度まで可能である。また、底面2の形状としては、本実施形態のように円錐状に成形しても良いし、扁平な部分球状にしてもよい。さらに、周縁部2c近傍を平坦にして、中央部2b近傍のみ円錐状や部分球状にしてもよい。
【0017】以上の構成のフライパン1を電磁調理器10に載せて電界を加えると、電磁調理器10内の加熱コイルによって高周波磁界が発生し、フライパン1の底部2を磁束が通過し渦電流が発生する。そして、この渦電流と電気抵抗によって発生するジュール損により、フライパン1の底部2が自己発熱し、熱伝導によりフライパン1全体が加熱され、フライパン1内に投入された食材・水などを加熱する。
【0018】従来のリブ2aのないフライパンを電磁調理器10に載せて電界を加えると、磁界の発生により直接加熱されるのは底部2のみであるため、底部2と胴部3との間に温度差とそれによる膨張差が生じ、そのために中央部2bが下方へ突出してしまい、その部分だけでフライパンを支持する形になって、電磁調理器10上でフライパンが回転したりぐらついたりしていた。今回、リブ2aを一体成形し、さらに中央部2bを周縁部2cよりも0.2mm分円錐形に持ち上げたため、加熱膨張による熱変形が抑えられ、フライパン1が回転することはなくなった。
【0019】さらに、リブ2aがあるために、電磁調理器10により電磁加熱した場合、加熱膨張による熱変形が抑えられて底部2全体が均等に発熱し、フライパン1内の食材を均一に効率的に加熱することができる。また、発明者がフライパン1に水を入れ、摂氏200度まで加熱して凸力の変化を見たところ、底部2の熱変形は0.39mmであった。
【0020】
【発明の効果】上記説明から明らかなように、請求項1に記載の電磁調理器用加熱調理容器によれば、リブにより加熱膨張による熱変形が抑えられるため、底面全体が均等に発熱し、加熱調理容器内の食材を均一に効率的に加熱することができる。また、底面が熱変形して凸状になるために、食材を攪拌するとき等に凸部を中心に回転してしまったり、ぐらついたりすることもない。
【0021】請求項2に記載の電磁調理器用加熱調理容器によれば、請求項1に記載の電磁調理器用加熱調理容器の効果に加え、肉厚が薄手に形成されているので重量が軽く、日常的に使用するにも取り扱いが簡単で頻繁に使用しても使用者に負担とならない。
【0022】請求項3に記載の電磁調理器用加熱調理容器によれば、請求項1又は2に記載の電磁調理器用加熱調理容器の効果に加え、熱変形が起こった場合でも、底面中央部が底面周縁部より突出することがないので、容器が回転したりぐらついたりすることが防止できる。
【出願人】 【識別番号】501496164
【氏名又は名称】錦見鋳造株式会社
【住所又は居所】愛知県名古屋市港区本宮町2丁目12番地
【出願日】 平成13年12月26日(2001.12.26)
【代理人】 【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
【公開番号】 特開2003−190021(P2003−190021A)
【公開日】 平成15年7月8日(2003.7.8)
【出願番号】 特願2001−393186(P2001−393186)